JP2007151543A - 水耕栽培装置および水耕栽培方法 - Google Patents

水耕栽培装置および水耕栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】湿害による病気の発生を防止でき、装置を簡易なものとし、さらに廃棄物を軽減することのできる水耕栽培技術を提供することにある。
【解決手段】内部が水または養液の流路となる樋状容器と、この樋状容器の長手方向に沿ってこの樋状容器の上側に設けられて二槽構造を形成し植物を保持する保持容器2と、を備えた水耕栽培装置であって、保持容器2は、植物を保持するための凹部を有する容器本体2aと、この容器本体2aの底部2bに形成され植物の根を下方に通すための開口部としての孔部2cと、容器本体2aの凹部に設けられ種子または植物を保持するための保持材である不織布2dと、容器本体2aおよび保持材2dに付着した水または養液を下方へ流すための水切り手段と、を備えている。水切り手段は、容器本体2aの下部を下方に傾斜させて形成したテーパ部2fであり、容器本体2aの下部はほぼ断面V字状に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、野菜の水耕栽培技術に関し、より詳しくは、NFTによる二槽構造の水耕栽培技術に関する。
近年、農産物の高品質化、省労力化を図ることを目的として、養液栽培が普及している。養液栽培方法とは、土壤を用いずに固形状の培地や水中に根系を形成させ、植物の生育に必要な栄養分を植物に応じた成分組成や濃度をもつ培養液によって与え、根には適度の酸素供給を行って野菜を栽培する方法である。従来の養液栽培方法としては、代表的なものとして、湛液型循環式水耕、NFT、及び、ロックウール耕、礫耕、砂耕などの固型培地耕等が知られており、これらを組み合わせた方法も知られている。
ここで、湛液型循環式水耕とは、ベッド内に一定の水位で培養液を湛液(保持)し、タンクとベッド間又はベッド間相互で培養液を強制循環させることにより、ベッドに植栽された植物の水耕栽培を行う方法である。この方法では、根への酸素補給をいかに効果的に行うかが課題となり、その酸素補給方法についても種々の方法が考案されている。湛液型循環式水耕による栽培技術として、例えば特許文献1に記載の水耕栽培装置がある。
特許文献1に記載の水耕栽培装置は、不透水性の上面開放の液槽と、培地槽とにより二槽構造としている。液槽は適当容量の容器で底面に冨養物を沈積して養液を貯水したものであり、液槽と培地槽との間には空間が設けられている。また、培地槽は底面を通気通水性の網状または多孔板で構成され、内部にスポンジ、砂質、礫質、粘土質、繊維質等またはそれ等をミックスした培地を入れて形成されている。以上のような構成とすることにより、空気中の酸素を取り入れて根腐れを防止することができるとしている。
また、NFT(Nutrient Film Technique)とは、ゆるく傾斜した水路(樋)状のベッドの上に、養液を薄い膜状にして掛け流す水耕栽培をいい、上方から断続的に水あるいは水耕液を少量ずつ流下させ、流下した培養液をタンクに戻して培養液を循環させる方式である。この方式によれば、根の上方が空気に直接触れるため根への酸素供給が十分に行われ、また、水路内の液深が浅いために装置自体が軽くなって高設化でき、さらに、容易に高設化できるため小さい作物(葉菜類等)での作業姿勢が改善され労働効率を向上させることができる。NFTによる水耕栽培技術として、例えば特許文献2が知られている。
特許文献2には、培養液の流路を形成する樋状容器と、この樋状容器内に設置されて植物を保持する植物保持手段(植物保持板)を備え、この植物保持手段は、流路内に配置された高さ調整部材によって培養液の上方に持ち上げられている植物栽培装置が記載されている。このような植物栽培装置とすることにより、培地を使用せずに栽培できるとともに、播種直後の種子や伸び出た芽が流路内に流れる培養液に沈むことなく植物を栽培できるとしている。
一方、特許文献3には、簡易な水耕栽培として、不織布を用いたかいわれ蕎麦の生産方法が記載されている。この方法は、不織布上で蕎麦の種子を発芽させた後、遮光下での水耕栽培により茎部および根部を伸長させ、子葉が展開した幼苗を根部を切り取らずにかいわれ蕎麦として収穫する方法である。
特開平8−289682号公報 特開平10−174521号公報 特開平10−28479号公報
特許文献1に記載の水耕栽培装置は、NFT(掛け流し式)でないため、養液中の養分量や養分濃度を調節することが難しい。また、空間を形成するために、湛液量を調整しなければならず、培地から給液を必要とし装置が複雑化し、調整の加減も手間であると思われる。また、固形培地を使用して植物体を支持するため、培地によっては病気が発生したり、栽培終了後はこの固形培地が大量の廃棄物になるためそれを処理したりするという問題がある。さらに、培地の底面が幅広の平坦状となっているため、根が広範囲に渡って下方に出ており、収穫時には根の処理を行うのに手間がかかる。
特許文献2に記載の植物栽培装置は、固形培地を使用していないため、前述の廃棄物の処理問題は軽減されるが、種子の発芽からの育苗管理が必要となる。すなわち、二槽構造で栽培するには、育苗時期にある苗の根が短い間は根が樋状容器の底部に到達しないため、高さ調節部材に保水材を設けて種子や苗に水や養液を供給している。しかしながら、育苗時期においては、水や養液を供給する設備や用具を別途設けるため植物栽培装置の複雑化を招くこととなる。さらに、植物が生長するにつれ高さ保持部材が根にとって邪魔となり生育に支障をきたすと考えられる。
また、高さ調節部材に保水材を設けていることから、植物の根は常に保水材に密着した状態であるため、湿害となって病気が発生する恐れがある。さらに、植物保持手段(植物保持板)上に水が付着した場合には孔に蓄積されやすく、湿害となって病気が発生しやすい状況であると推察される。また、保水材は樋状容器から植物保持板に渡りその高さの約2倍分の面積となるように設けられており、その使用量が多く、栽培終了後には保水材は廃棄物となる問題もある。
特許文献3に記載のかいわれ蕎麦の生産方法は、土壌代替え担持体として不織布を使用した簡易な水耕栽培方法であるが、栽培期間として数日程度しか必要としないかいわれを栽培の対象としており、NFTによる栽培ではない。生育期間として長期間を必要とする他の植物を栽培すると、根の酸素不足が起こったり、湿害による病害が発生したりするなど、根圏環境が不良となる。
本発明が解決しようとする課題は、NFTによる栽培装置を簡易化するとともに、湿害による病気の発生を抑制することができる水耕栽培技術を提供することにある。
本発明の水耕栽培装置は、内部が水または養液の流路となる樋状容器と、この樋状容器の長手方向に沿ってこの樋状容器の上側に設けられて二槽構造を形成し植物を保持する保持容器と、を備えた水耕栽培装置であって、保持容器は、植物を保持する凹部、および凹部の底部に形成され植物の根を下方に通す開口部を備える容器本体と、凹部に配置され、種子または植物を保持するとともに根が貫通可能な部材よりなる保持材と、容器本体および保持材に付着した水または養液を下方へ流す水切り手段と、を備えていることを特徴とする。
上記のような構成とすることにより、播種時段階から種子を保持材に播種して保持容器に保持させることができ、簡易な装置で二槽構造を形成して栽培することができる。また、水切り手段を設けたことにより、株元付近の湿度が高まることを防止することができ、湿害による植物の病害を防止することができる。また、二槽構造を形成してNFTにより栽培しているため、根への酸素供給を十分なものとしながら植物の生育に応じた肥培管理が可能となるため、植物を長期栽培することができる。
ここで、水切り手段は、垂直断面が下細り形状となるように容器本体の下部を傾斜させたテーパ部であることを特徴とする。
本発明者は、植物をNFTで水耕栽培しているときに、水や養液が毛管現象により根を伝って開口部から保持容器内に入り込むことがあることに気付き、このことが植物の株元付近の湿度を高めて、病気の発生要因となると考えた。そこで、病気の発生を農薬に頼らず抑制するために鋭意研究を行った結果、容器の形状を工夫することによりその解決策を見出した。すなわち、付着した水または養液を下方へ流すための水切り手段を前記の構成としたことにより、水や養液をテーパ部に沿って下方に移動させて開口部から追い出しやすくなり、所謂水切りを行いやすくすることができる。これにより、保持材および植物の株元の水分を低減あるいは乾燥した状態とすることができ、湿害による病気の発生を防止することができる。また、植物の上方から散水した場合においても水切りが行いやすく、前述と同様な効果を得ることができる。
また、容器本体の下方を断面尖状または断面V字状に形成すると、板状、皿状、半球面状等の形状に比べて深い容器とすることができ、樋状容器の底面と容器本体の底部との距離を近いものとすることができる。これにより、育苗後の根が短い状態であっても、根の先端部を養液に浸すことが可能となり、植物が比較的小さい時期から二槽構造を形成して水耕栽培を行うことができる。
また、容器本体の底部を、テーパ部から連続して形成した平坦面とし、この平坦面に、開口部として一直線上に複数の孔部を形成し、保持材を、孔部と略同幅または同幅以下の大きさに形成して平坦面上に設ける構成としても良い。
このような構成とすれば、平坦面とテーパ部とにより植物を好適に保持することができ、植物の根を孔部から下方に容易に通すことができる。なお、平坦面の幅を孔部と略同幅または同幅以下として平坦面の幅を小さくすることが望ましく、断面がほぼ尖状またはほぼV字状となって、テーパ部に付着した水または養液の水切りを容易に行うことができる。ここで、平坦面の幅が、孔部よりもわずかに大きい程度であれば大きな問題ないが、孔部よりも極端に大きくなると、テーパ部に付着した水滴と孔部との距離が大きくなり、平坦面に水また養液が滞ってしまい、水切りを好適に行うことができない。
ここで孔部について説明する。本発明においては、ベビーリーフ(野菜)と称される葉菜類を主な対象植物としており、孔部の径または幅を5mm以上20mm以下とすることが望ましく、より好ましくは8mm以上15mm以下である。この範囲内の径または幅であれば、ベビーリーフの根が容易に孔部を通過して好適に生育させることができる。孔部の径または幅を5mm未満とすると、ベビーリーフの根の径がそれ以上太くならないため、生長に支障をきたす。孔部の径または幅が20mmを越えると、孔部と根との間の隙間が大きくなって、植物を良好に支持することができない。従って、上記の孔部の大きさに応じた平坦面の幅とすることが望ましい。
なお、ベビーリーフの種類として、サンチュ、ミズナ、ターサイ、レッドマスタード、ルッコラ、デトロイト、レッドキャベツ等が挙げられる。また、本発明においては、ベビーリーフ以外にもホウレンソウやコマツナ等の葉菜類全般において栽培可能であるが、対象とする野菜によって好適な孔部の径または幅が異なると考えられる。このような野菜に対しては孔部の径または幅は適宜設計変更しても良く、この孔部の大きさに応じて平坦面を形成することができる。
また、保持材を繊維材や発泡樹脂材で構成するとよく、繊維材や発泡樹脂材上に播種すれば簡素な構造で種子を支持できるとともに、播種時の水分保持材としても機能する。また、発根後は根を、繊維材や発泡樹脂材を貫通させて孔部から下方へ通過させることができるため、前述のように、保持容器を樋状容器に設置して簡素な水耕栽培装置とすることができる。
ここで繊維材としては、不織布が望ましいが、根が貫通するものであれば他の繊維質の素材を使用しても良く、使用後に堆肥化して肥料として使用できる材質のものが良い。また、発泡樹脂材としては、ポリウレタンなどの樹脂を発泡させてスポンジ状にしたものを用いるとよい。
また、保持材を孔部と略同幅または同幅以下とすることにより、平坦面と保持材とが略同幅または同幅以下ともなり、保持材を平坦面に載置するだけでよく、しかも側方にはテーパ部が形成されているため横に大きくずれることがない。さらに、保持材の使用量を必要最低限とすることができ、使用量を少なくすると保持材を乾燥させやすくなって湿害を防止できるとともに、使用後の廃棄物量を軽減することができる。さらに孔部を一直線上に形成したことにより、植物はほぼ一直線上に栽培されるため、収穫時期においては根を切断しやすくなるとともに、地上部を容易に収穫することができ、作業効率を高めることができる。
また、保持材から下方に延びる根を通す網状部または開口部を有するとともにテーパ部に掛け渡し可能な幅に形成された支持部材上に保持材を載置し、この支持部材を、容器本体のテーパ部に掛け渡す構成としてもよい。
このような構成とすれば、さらに、植物の株元の水分を低減あるいは乾燥しやすい状態とするとともに、テーパ部に沿って流れ落ちる余分な水や溶液が保持材に付着することを防止することができ、湿害による病気の発生を防止することができる。
さらに、保持容器は、容器本体の上端部に形成され樋状容器の上端部に載置するための鍔部を備えることにより、保持容器を樋状容器に載せるだけで二槽構造を容易に形成することができる。
また、鍔部に、保持容器どうしを連結する係止部材を設ければ、保持容器を樋状容器の長手方向に連結して長く形成することができる。これにより、長い樋状容器上において一度に複数の保持容器を長手方向にスライドすることが可能となり、栽培管理や収穫作業において作業者の移動距離を軽減することができ、労力が軽減される。
ここで、鍔部の下端部と樋状容器の上端部の少なくとも一方に、突起を形成すれば、鍔部と樋状容器の上端部との接触面積が小さくなり水や養液で密着することを防止することができ、保持容器を樋状容器から容易に外したり、保持容器を樋状容器上で容易にスライドさせたりすることができる。従って、栽培管理中或いは収穫時の作業効率を高めることができる。
本発明の水耕栽培方法は、植物を保持する保持容器の底部に設けられた孔部の上に種子または植物を保持するための保持材を設けてこの保持材上に種子を播く播種工程と、種子の発芽および発根を促し植物を所定の大きさに生長させる育苗工程と、内部が水または養液の流路となる樋状容器の上に保持容器を設けて二槽構造とする装置形成工程と、を有することを特徴とする。
上記のような構成としたことにより、播種時段階から種子を保持材に播種して保持容器に保持させることができ、装置を簡易なものとしながらも、植物が比較的小さい時期から二槽構造で栽培することができる。
また、本発明の水耕栽培方法は、種子または植物を保持するための保持材を、保持材に播種された植物の根を通す網状部または開口部を有する支持部材上に載置し、保持材上に種子を播く播種工程と、種子の発芽および発根を促し植物を所定の大きさに生長させる育苗工程と、植物を保持する保持容器の下部に形成されたテーパ部に支持部材を掛け渡し、支持部材から下方に延びる根を保持容器の底部に形成された開口部から下方に通した状態で、内部が水または養液の流路となる樋状容器の上に保持容器を設けて二槽構造とする装置形成工程と、を有することを特徴とする。
上記のような構成としたことにより、保持材上に播種した種子が発芽および発根して、植物が所定の大きさになるまで保持材を支持部材上に載置しただけの状態で育苗し、植物が所定の大きさになった状態で支持部材を容器本体に配置して二槽構造で栽培することができる。このように本発明によれば、育苗段階と、装置形成後の栽培段階とを分けて管理することで、栽培に要する空間の効率化を図ることができ、一定の栽培容積における収穫量を増大させることができる。
本発明の最大の特徴は、内部が水または養液の流路となる樋状容器と、二槽構造を形成し植物を保持する保持容器と、を備えた水耕栽培装置であって、保持容器は、植物を保持する凹部、および凹部の底部に形成され植物の根を下方に通す開口部を備える容器本体と、凹部に配置され、種子または植物を保持するとともに根が貫通可能な部材よりなる保持材と、容器本体および保持材に付着した水または養液を下方へ流すための水切り手段と、を備えていることである。
このような構成としたことにより、装置を簡易で二槽構造を形成して栽培することができる。また、水切り手段を設けたことにより、株元付近の湿度が高まることを防止することができ、湿害による植物の病害を防止することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態である水耕栽培装置を示す概要図である。
水耕栽培装置10は、NFTにより水耕栽培される装置であり、内部が水または養液(以下、養液等6)の流路となる樹脂製の樋状容器1と、この樋状容器1の長手方向に沿って樋状容器1の上側に設けられ植物を保持するための樹脂製の保持容器2と、これらを載置するための支持架台4とを備えている。樋状容器1と保持容器2とにより二槽構造の栽培槽3が形成され、この栽培槽3が支持架台4に複数並列配置されて水耕栽培装置10が構成されている。保持容器2内にはベビーリーフ等の植物11が栽培されている。
なお、支持架台4は、下から空気の移動があるように網で面状に形成したり、パイプを組み立てて形成したりしている。
樋状容器1内には、この樋状容器1の端部に設けられた潅水チューブ5a,5bにより、水または養液(養液等6)が連続的または断続的に潅注される。ここで、例えば、潅水チューブ5aを養液用とし、潅水チューブ5bを水用とすれば、選択的に切り替えて水または養液を流すことができる。また、養液等6が樋状容器1の底部1aを流れるように、樋状容器1は、養液等6を潅注する側から流す方へ向けて傾斜させて設置されている。保持容器2で栽培される植物11は、根11bが保持容器2から下方へ伸長して底部1aに達して養液等6の養水分を吸収し、地上部11aが保持容器2内で支持され生長する。
次に、保持容器2について説明する。図2は保持容器2を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
保持容器2は、植物を支持するための凹部を有する容器本体2aと、この容器本体2aの底部2bに形成され植物11の根11bを下方に通すための孔部2cと、孔部2cの上に設けられ種子(図示せず)または植物11を保持するための保持材としての繊維材である不織布2dと、容器本体2aの上端部に形成され樋状容器1の上端部1b(図3参照)に載置するための面状の鍔部2eと、を有している。
また、容器本体2aの側部から下部にかけては、下方に傾斜させて形成した傾斜面であるテーパ部2fが形成されており、容器本体2aは、テーパ部2fによりほぼ断面V字状に形成されている。ここで、容器本体2aの底部2bはテーパ部2fから連続して形成された平坦面であり、この平坦面に孔部2cがほぼ一直線上に形成されている。底部2b(平坦面)の幅は孔部2cと略同幅または同幅以下となるように形成されており、不織布2dは、孔部2cと略同幅または同幅以下となるように形成されている。
テーパ部2fは、容器本体2aおよび不織布2dに付着した養液等を孔部2cから下方へ流すための水切り手段として機能する。ここで、容器本体2aの下部は、テーパ部2fによりほぼ断面V字状に形成されているが、下方へ水を流せるように尖ったような形状、すなわちほぼ断面尖状としても良い。なお、容器本体2aの形状は上記に限定されることはなく、容器本体2aの下部がテーパ状で尖状に形成してあれば他の形状とすることもできる。
ここで、保持容器2の寸法について説明する。保持容器2は平面視矩形状であり、保持容器2の長手方向Aの長さは約50cm、幅方向Bの長さは約13cmである。また、保持容器2の深さCは約5cmであり、底部2b,孔部2c,不織布2dの幅Dの長さは約1.5cmである。保持容器2の鍔部2eは、保持容器2の長手方向Aおよび幅方向Bに、すなわち保持容器2の上端全周に渡って形成されており、鍔部2e幅Eの長さは樋状容器1の上端部1b(図3参照)に載置できる程度であれば足り、約1cmとしている。なお、これらの長さは、植物の栽培目的に応じて適宜設計変更できるものである。さらに、孔部2cの形状は円形としているが、さらに根が貫通しやすくなるように長円形や溝状としても良い。
なお、不織布2dは、栽培初期において種子および発根した直後の植物(苗)を支持させるために機能するものであり、植物がある程度大きくなって孔部2cから落ちない程度の大きさとなれば不要となる。また、栽培期間中の植物の株元の加湿を防ぎ、且つ栽培終了後の廃棄物を減少させる観点から、不織布2dの幅は、種子および苗を支持できる程度の幅であれば、孔部2cの幅よりも小さい方がより好ましい。
また、鍔部2eの長手方向Aの一方の端部且つ幅方向Bの両端部には、それぞれ突起2gが形成されており、この突起2gを引っ掛けることにより係止可能な孔部2hが、鍔部2eの長手方向Aの他方の端部且つ幅方向Bの両端部にそれぞれ形成されている。これらの突起2gおよび孔部2hは、保持容器2どうしを連結するための係止部材として機能する。
さらに、面状の鍔部2eの下端部(下面)に、この鍔部2eと樋状容器1の上端部1bとの接触面積を小さくするための突起2jを形成している。これにより、鍔部2eと樋状容器1の上端部1bとが養液等6で密着することを防止することができ、保持容器2を樋状容器1から容易に外したり、保持容器2を樋状容器1上で容易にスライドさせたりすることができる。また、本実施形態においては、この突起2jを曲線で波状に形成しているため、保持容器2をスライドする際に、樋状容器1の上端部1bに蓄積した水を除去することができ、スライド時の抵抗を小さくすることができ、さらに容易にスライドすることが可能となる。なお、突起2jは樋状容器1の上端部1bにも設けても良く、さらに鍔部2eと樋状容器1の上端部1bの両方に設けても良い。また、突起2jの形状は波状に限定されるものではなく、鍔部2eと樋状容器1の上端部1bとの接触面積が小さくなるような形状であれば、直線状や点状や等の他の形状とすることもできる。
次に、図3〜図5を用いて本実施の形態における水耕栽培方法について工程ごとに説明する。図3は育苗直後の栽培中であることを示す栽培槽3の断面側面図、図4は収穫前の植物を栽培中であることを示す栽培槽3の断面側面図であり、図5は収穫時に保持容器2を持ち上げた状況を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
(1)播種工程
保持容器2の底部2bおよび孔部2cの上にこれらと略同幅の不織布2dを載置し、この不織布2d上に植物11の種子を撒く(図示せず)。植物11はベビーリーフであり、この種類は単一のものでも良いが、要望に応じて複数種を混在させて播種することもできる。種子の大きさは径が約1mmであり、10〜20粒/cm2程度の密度となるように筋状に播種する。このとき、孔部2cの真上となるように不織布2dに播種すれば、発根後の根11bは不織布2dおよび孔部2cをスムーズに貫通して真直ぐ下方に伸びるが、底部2bの真上となるように不織布2dに播種しても、発根後の根11bを底部2bを伝って孔部2cから下方に伸ばすことができる。ここで、不織布2dの幅は平坦に形成された底部2bと略同幅であるため、不織布2dを底部2bに載置するだけでよく、しかも側方にはテーパ部2fが形成されているため横に大きくずれることがなく、さらに不織布2dの使用量を必要最低限とすることができる。
(2)育苗工程
種子を有したまま保持容器2を複数段に間隔を置いて重ね、恒温高湿室である発芽庫に入れる。発芽に最適な温度と湿度環境として発芽および発根を促し、約3日程度かけて植物が所定の大きさになるまで生長させる。種子から発根すると、根は、不織布2dに繊維の隙間に進入することとなって苗が不織布2dに支持され、不織布2dはこの育苗期間においては培地として機能し、播種時段階から種子を保持容器2に支持させることができる。また、播種時に不織布2dに水を含ませておけば、発芽庫の中では水分保持材としても機能し、潅水の必要はない。根の生育が進むに連れ、根は不織布2dを貫通し、前述のように底部2bから下方に伸びる。ここで、根の長さを約2cm以上になるまで育苗する。
(3)装置形成工程
育苗工程により植物11が所定の大きさに達すると、樋状容器1の上に植物11が栽培されている保持容器2を設けて、図3に示すように二槽構造とするが、樋状容器1の上端部1bに、保持容器2の鍔部2eを載せるだけで二槽構造を容易に形成することができる。二槽構造とする際には、鍔部2eに形成された孔部2hに突起2gを嵌合し、保持容器2どうしを連結し、これを複数行って、樋状容器1の長手方向に渡って保持容器2を連結する。
このように二槽構造とすると、保持容器2の底部2bと樋状容器1の底部1aとの距離Fは、約2cmとなる。従って、植物11の根11bの長さが2cm以上であるため、根11bの先端部付近は、NFTによる養液等6に浸されることなり、養水分を吸収して生長を継続することができる。また、根11bへの酸素供給を十分なものとしながら植物11の生育に応じた肥培管理が可能となる。以上のように、保持容器2を樋状容器1に設置して容易に栽培槽3を構成し、装置を簡易なものとすることができる。
また、容器本体2aの下方の形状はほぼ断面V字状に形成されているため、板状、皿状、半球面状等の形状に比べて深い容器となり、樋状容器1の深さが一定の場合において距離Fを小さくすることができる。このため、育苗後の根11bが短い状態であっても、前述のように根11bの先端部を養液等6に浸すことが可能となり、植物が比較的小さい時期から二槽構造を形成して水耕栽培を行うことができる。なお、距離Fは植物により適宜設計変更しても良いが、距離を5cm以上とすると、栽培初期の根が養液に浸らなくなり好ましくない。
ここで、距離Fは、1.5cm以上3cm以下であることが望ましく、この範囲であれば、養液等6の水深は約5mm程度となり、根11bを適度に養液等6に浸らせて、且つ、円滑に養液等6を樋状容器1内で流すことができるため、植物11を好適に生育させることができる。
距離Fを1.5cm未満とすると、根11bが大きくになるに連れて、根11bと樋状容器1の底部1aとの接触面積が増大することとなる。これにより、養液等6が根11bに堰き止められて樋状容器1の中を流れにくくなり、樋状容器1の上流側と下流側との間で植物11の生育の差が生じ、生育が不安定になるという問題が生じる。
距離Fが3cmを越えると、栽培初期の根11bが養液等6に浸らなくなるため、根11bが3cm以上になるまで保持容器2で育苗する必要がある。これにより、育苗期間が長期化して苗の栄養状態が悪くなったり、栄養分を補給するなど管理上の手間がかかったりするという問題が生じる。
(4)栽培工程
装置形成工程後は、植物11は日増しに生長を続けて図1に示すように生長する。ここで、生育途中にある状況について詳細に説明する。図4に示すように、植物11の地上部11aは、保持容器2の深さ以上の高さにまで大きくなり、根11bも樋状容器1の底部1aの広範囲に渡る。ここで、植物11の栽培を継続して繁茂した状態になると、養液等6が毛管現象により根11bの上方に伝って孔部2cから保持容器2内に入り込み、不織布2dや底部2bが濡れ、このように保持容器2内に進入した養液等6は、植物11の株元付近の湿度を高めることとなる。
しかし本実施の形態においては、テーパ部2fを形成しているため、付着した養液等6をテーパ部2fに沿って下方に移動させて孔部2cから追い出しやすくなり、所謂水切りが可能となる。従って、不織布2dおよび植物11の株元の水分を低減あるいは乾燥した状態とすることができ、湿害による病気の発生を防止することができる。また、害虫の発生防止のために植物の上方から散水した場合や、万が一農薬を散布した場合においても水切りが行いやすい。また、植物11は、生長して繁茂すると、保持容器2の幅方向に広がってくるが、容器本体2aにテーパ部2fを設けため、これが植物11を好適に支持することができる。さらに、前述のように不織布2dの使用量を必要最小量としたことから、この不織布2dを乾燥させやすくなって湿害を防止できるとともに、使用後の廃棄物量を軽減することができる。
(5)収穫工程
前述したように、保持容器2の孔部2cは一列に形成されており、植物11は一直線上に栽培された状態となっている。従って、収穫時において、図4に示す収穫時期を迎えた状態の保持容器2を持ち上げると、図5に示すように、根11bが下方に突出した状態となる。作業者は、この根11bを架台上に置き、例えばピアノ線等で容易に引きちぎったりナイフで切ったりすることができ、地上部11aを素早く回収して収穫することができる。なお、手でも容易に引きちぎって収穫することもできる。ここで、保持容器2を突起2gと孔部2hとの係止により、長手方向に複数連結しているため、樋状容器1の長手方向の一方の端部にいる作業者が、樋状容器1上において保持容器2を長手方向にスライドさせると、連結された保持容器2が全体的に作業者の方に移動する。突起2gと孔部2hとの係止を解除して1番手前にある保持容器2を作業者の前におき、植物11収穫した後、次の保持容器2を作業者側にスライドさせれば、この保持容器2に連結されている3番目以降の保持容器2も全体的に作業者の方に移動する。2番目の保持容器2から植物11を収穫した後、再度同じ動作を繰り返すことで、作業者は同じ場所に立った状態で、樋状容器1の長手方向に複数載置された保持容器2からすべて植物11を収穫することができる。このように、収穫時においては、作業者の移動量を軽減することができ、作業効率を高めることができる。
なお、収穫直前においては、植物11の体内の硝酸濃度を軽減することが、これを食する消費者にとって望ましいことである。そこで、図6を用いて硝酸濃度を軽減する方法について説明する。図6は樋状容器1から排出される液を回収することを示す図である。なお、図6においては説明を簡単にするために保持容器2を省略している。
栽培中においては養液等を樋状容器1に掛け流して、流した後は再度樋状容器1を循環させているが、収穫直前においては、除々に水の頻度を高めて、養液を施用する頻度を減らすかゼロにする。このとき、水または養液によって、廃液を流す樋を変更している。すなわち、支持架台4に並列させてある樋状容器1の位置を、養液を循環させる場合には位置1Aとすると、養液は矢印23のように樋21上に落ちて、矢印25の方向へ流すことができる。一方、水を循環させる場合には樋状容器1の位置をずらして位置1Bとすると、養液は矢印24に示すように樋22上に落ちて、矢印26の方向へ流すことができる。このように、樋状容器1から排出される液の流れを2系統とすることにより、水のみを掛け流せば植物11の体内の硝酸濃度を低くすることができるとともに、養液のみを掛け流す場合には養液のみを回収できるため、回収した養液の処分が容易となる。
(6)袋詰工程
以上のように収穫した植物11の地上部11aを、そのままの状態、または残存する根11bや不織布2dを除去してビニル袋に詰める。このとき、地上部11aは、複数種類栽培されていれば複数種類が詰められている。そして市場に出荷され消費者の元へと流通する。一方、消費者は、複数種類の野菜が入ったベビーリーフを手軽においしく食することができる。
次に、図7を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態における保持容器32を示す側面図である。ここで、図7において、容器本体32a以外は第1の実施形態の保持容器2および水耕栽培装置10と同一であり、同一の符号を付しているため、説明を省略する。
図7に示すように、容器本体32aは、鍔部2eから垂下して形成した側壁32iと、この側壁32iから連続して下方に傾斜させて形成したテーパ部2fと、を有しており、容器本体32aの下部は、このテーパ部2fによりほぼ断面V字状に形成されている。側壁32iを設けたことにより、さらに深い凹部を有した保持容器32とすることができ、栽培する植物の種類によってはさらに安定して栽培することが可能となる。
次に、図8を用いて本発明の第3の実施形態について説明する。図8は本発明の第3の実施形態における保持容器42を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。ここで、図8において、容器本体42a以外は第1の実施形態の保持容器2および水耕栽培装置10と同一であり、同一の符号を付しているため、説明を省略する。
図8に示すように、容器本体42aは、下方に傾斜させて形成した傾斜面であるテーパ部2fを有しており、容器本体42aの底部は、このテーパ部2fの下端を連結して断面V字状に尖った形状に形成されている。容器本体42aの底部(テーパ部2fの下端部)には、孔部2cが一直線上に形成されており、この孔部2c上に不織布2dが載置されている。載置される不織布2dは、容器本体42aの底部の構造上、断面V字状をなしており、不織布2dは、孔部2cと略同幅または同幅以下となるように形成されている。
以上のように、容器本体42aの底部を断面V字状に尖った状態としたことにより、底部やテーパ部2fに付着した水をさらに水切りしやすいものとすることができ、植物の湿害による病気の発生を抑制することができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態においては、第1または第2実施形態における容器本体2a,32aの底部2bを網で形成しており、この網上に不織布2dを載置している(図示せず)。網目の大きさは、不織布2dを載置でき、且つ、根11bが伸長できる程度であれば良く、約1cm程度としている。この網目が孔部2cとして機能し、根11bが下方へ伸長する。このように、底部2bを網で形成すれば、テーパ部2fにより下方に流した水を、さらに水切りしやすいものとすることができ、植物の湿害による病気の発生を抑制することができる。なお、テーパ部2fを網で形成すると、光が差し込んで根11bに当たるため、好ましくない。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態においては、第3実施形態における容器本体42aの底部(テーパ部2fの下端部)を網で形成し、この網の幅が不織布2dと略同幅または同幅以下となるように形成している。そして、この網上に、不織布2dを載置している。網目の大きさは、不織布2dを載置でき、且つ、根11bが伸長できる程度であれば良く、約1cm程度としている。このように、容器本体42aの底部を網で形成すれば、テーパ部2fにより下方に流した水を、さらに水切りしやすいものとすることができ、植物の湿害による病気の発生を抑制することができる。なお、前述したように、テーパ部2fを網で形成すると、光が差し込んで根11bに当たるため、好ましくない。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図9は、本発明の第6の実施形態における保持容器を示す図であり、(a)は断面図、(b)は分解斜視図である。ここで、図9において、第1の実施形態と同じ構成のものについては、同符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、第6の実施形態における保持容器52は、植物を保持するための凹部を有する容器本体52aと、保持材としての不織布2dと、不織布2dを載置する支持部材52kを備える。
容器本体52aは、鍔部2eから垂下して形成した側壁52iと、この側壁52iから連続して下方に傾斜させて形成したテーパ部2fと、を有しており、容器本体52aの下部は、このテーパ部2fにより下方に向かって垂直断面が下細り形状となるように形成されている。容器本体52aの底部には、補強部52pを挟んで、植物の根を下方に通すための開口部52nが2つ形成されている。補強部52pは、容器本体52aのテーパ部2fに不織布2dを載置した支持部材52kを掛け渡す際に、支持部材52kの自重によりテーパ部2fがそれぞれ外側に開かないようにするための補強材としての役割を果たすものである。なお、開口部52nの大きさや数は本実施の形態に限定するものではなく、また、テーパ部2fが、支持部材52kを掛け渡した際に支持部材52kが落下しないような剛性の高いもので形成されていれば、補強部52pを省略することもできる。
支持部材52kは、2枚の側壁52mと網目状に形成された底板52lとにより断面コ字状に形成されている。本実施の形態では、幅Gは約3.5cm、高さHが約1.5cmに形成されており、図9(a)に示すように、容器本体52aのテーパ部2fに掛け渡すことが可能となっている。不織布2dは、支持部材52kと同幅もしくは同幅以下に形成され、側壁52mによって横ずれしたり落下したりすることが防止される。なお、本実施の形態では、植物の根を下方に通すとともに不織布2dに付着した余分な水分が切れやすいように底板52lを網目状に形成したが、これに限らず、複数の孔を形成したり、載置される不織布2dが落下しない程度に開口を形成したりしてもよい。また、側壁52mについても網目状のもので形成することもできる。さらに、支持部材52kの短辺側にも不織布2dが落下することを防止するための側壁を設けることもできる。
次に、本実施の形態における水耕栽培方法について工程ごとに説明する。
(1)播種工程
不織布2dを支持部材52kの底板52l上に載置し、不織布2d上に植物の種子を撒く。
(2)育苗工程
不織布2d上に種子を有したまま支持部材52kを複数段に間隔を置いて重ね、恒温高湿室である発芽庫に入れる。発芽に最適な温度と湿度環境として発芽および発根を促し、約3日程度かけて植物が所定の大きさになるまで生長させる。種子から発根すると、根は、不織布2dに繊維の隙間に進入することとなって苗が不織布2dに支持され、不織布2dはこの育苗期間においては培地として機能する。また、播種時に不織布2dに水を含ませておけば、発芽庫の中では水分保持材としても機能し、潅水の必要はない。根の生育が進むに連れ、根は不織布2dを貫通し、底板52lから下方に伸びる。
所定の大きさまで発芽庫で育苗したら、支持部材52kごと中間育苗庫に移動させる。中間育苗庫は、植物が生育するのに最適な温度と湿度で管理されており、不織布2d上で植物が同程度の大きさに生育した支持部材52kを、複数段に間隔を置いて重ねて入れる。本実施の形態では、支持部材52kを用いることにより、第1から第5の実施の形態と比較して不織布2dの幅を大きく形成することができることから、幅方向により多くの種子を播種することができる。これにより、種子が発芽して植物が生長していく過程で、植物どうしが互いに支えあって真上に向かって自立する。この中間育苗庫で、支持部材52kを容器本体52aに載置した際に、植物の背丈が容器本体52aから出るか出ないかの程度(本実施の形態では5cm程度)になるまで管理する。
(3)装置形成工程
育苗工程により植物が所定の大きさに達したら、支持部材52kを容器本体52aの凹部に載置する。すると、テーパ部2fどうしの距離と支持部材52kの幅とが同程度のところで、支持部材52kの短手方向の両端部がテーパ部2fに当接し、図9(a)に示すように、支持部材52kはテーパ部2fに掛け渡された状態となり、支持部材52kの底面52lから下方に延びた根は、容器本体52aの開口部52nから下方に延伸することとなる。本実施の形態では、図9(b)に示すように、容器本体52aの底部を、補強部材52p以外は開口部52nとなるように形成したことにより、支持部材52kの底面52lから下方に延びる根を、容易に開口部52nから下方に出すことができる。この状態で、容器本体52aを樋状容器1の上に設けて二槽構造とする。装置形成後の栽培工程ならびにその後の工程は、上述した方法で行う。
本実施の形態によれば、図9(a)に示すように、支持部材52kと容器本体52aの底部との間に空間を設けることができる。これにより、不織布2dは、常に空気に触れることとなり、植物の株元の水分を低減あるいは乾燥しやすい状態とすることができ、湿害による病気の発生を防止することができる。また、この後の栽培工程において、害虫の発生防止のために植物の上方から散水しても、容器本体52aのテーパ部2fに付着した水分は、不織布2dに触れることなく、テーパ部2fに沿って開口部52nから樋状容器1に流れ落ちる。これにより、湿害による病気の発生をさらに防止することができる。
また、本実施の形態によれば、不織布2dに播種された種子が発芽して、植物が所定の大きさになるまで、容器本体52aを使用することなく支持部材52k上で生育させることができるので、第1から第5の実施の形態と比べると、発芽庫ならびに中間育苗庫における収納量を増大させることができる。また、中間育苗庫で、植物の背丈が容器本体52aから突出する程度に生育してから、支持部材52kを容器本体52aに載置することにより、栽培に要する空間の効率化を図ることができ、一定の栽培容積における収穫量を増大させることができる。
本発明は、ベビーリーフを主体とした葉菜類の水耕栽培技術として広く利用することができる。
本発明の第1の実施形態である水耕栽培装置を示す概要図である。 保持容器を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 育苗直後の栽培中であることを示す栽培槽の断面側面図である。 収穫前の植物を栽培中であることを示す栽培槽の断面側面図である。 収穫時に保持容器を持ち上げた状況を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。 樋状容器から排出される液を回収することを示す図である。 本発明の第2の実施形態における保持容器を示す側面図である。 本発明の第3の実施形態における保持容器を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の第6の実施形態における保持容器を示す図であり、(a)は断面図、(b)は分解斜視図である。
符号の説明
10 水耕栽培装置
1 樋状容器
1a 底部
1b 上端部
2,32,42,52 保持容器
2a,32a,42a,52a 容器本体
2b 底部
2c 孔部
2d 不織布
2e 鍔部
2f テーパ部
2g 突起
2h 孔部
2j 突起
3 栽培槽
4 支持架台
5a,5b 潅水チューブ
6 養液等
11 植物
11a 地上部
11b 根
21,22 樋
23,24,25,26 矢印
32i,52i 側壁
52k 支持部材
52l 底板
52m 側壁
52n 開口部
52p 補強部
A 長手方向
B 幅方向
C 深さ
D,E,G 幅
F 距離
H 高さ
1A,1B 位置

Claims (9)

  1. 内部が水または養液の流路となる樋状容器と、該樋状容器の長手方向に沿って該樋状容器の上側に設けられて二槽構造を形成し植物を保持する保持容器と、を備えた水耕栽培装置であって、
    前記保持容器は、
    植物を保持する凹部、および前記凹部の底部に形成され植物の根を下方に通す開口部を備える容器本体と、
    前記凹部に配置され、種子または植物を保持するとともに根が貫通可能な部材よりなる保持材と、
    前記容器本体および前記保持材に付着した水または養液を下方へ流す水切り手段と、を備えていることを特徴とする水耕栽培装置。
  2. 前記水切り手段は、垂直断面が下細り形状となるように前記容器本体の下部を傾斜させたテーパ部である請求項1記載の水耕栽培装置。
  3. 前記底部は、前記テーパ部から連続して形成された平坦面をなし、該平坦面には、前記開口部として一直線上に複数の孔部が形成され、
    前記保持材は、前記孔部と略同幅または同幅以下の大きさを有し、前記平坦面上に設けられるものである請求項2記載の水耕栽培装置。
  4. 前記保持材を載置するものであり、前記保持材から下方に延びる根を通す網状部または開口部を有する支持部材を備え、
    該支持部材は、前記テーパ部に掛け渡し可能な幅を有する請求項2記載の水耕栽培装置。
  5. さらに前記支持容器は、前記容器本体の上端部に形成され前記樋状容器の上端部に載置するための鍔部を備えている請求項1から4のいずれかの項に記載の水耕栽培装置。
  6. 前記鍔部には、前記支持容器どうしを連結する係止部材が設けられている請求項5記載の水耕栽培装置。
  7. 前記鍔部の下端部と前記樋状容器の上端部の少なくとも一方には突起が形成されている請求項5または6記載の水耕栽培装置。
  8. 植物を保持する保持容器の底部に設けられた孔部の上に種子または植物を保持するための保持材を設けて、該保持材上に種子を播く播種工程と、
    種子の発芽および発根を促し植物を所定の大きさに生長させる育苗工程と、
    内部が水または養液の流路となる樋状容器の上に前記保持容器を設けて二槽構造とする装置形成工程と、
    を有することを特徴とする水耕栽培方法。
  9. 種子または植物を保持するための保持材を、該保持材に播種された植物の根を通す網状部または開口部を有する支持部材上に載置し、該保持材上に種子を播く播種工程と、
    種子の発芽および発根を促し植物を所定の大きさに生長させる育苗工程と、
    植物を保持する保持容器の下部に形成されたテーパ部に前記支持部材を掛け渡し、前記支持部材から下方に延びる根を前記保持容器の底部に形成された開口部から下方に通した状態で、内部が水または養液の流路となる樋状容器の上に前記保持容器を設けて二槽構造とする装置形成工程と、
    を有することを特徴とする水耕栽培方法。
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