JP3060208B2 - 渟水式養液栽培方法及び栽培装置 - Google Patents

渟水式養液栽培方法及び栽培装置

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JP3060208B2
JP3060208B2 JP9050533A JP5053397A JP3060208B2 JP 3060208 B2 JP3060208 B2 JP 3060208B2 JP 9050533 A JP9050533 A JP 9050533A JP 5053397 A JP5053397 A JP 5053397A JP 3060208 B2 JP3060208 B2 JP 3060208B2
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武之介 直木
真吾 奥村
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東都興業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、移動しない溜ま
り水(渟水)状態の養液で作物に必要な成分を供給し、
しかも養液を補給することなく、湿気中根を十分に発育
させつつ作物を育てる渟水式養液栽培方法及び栽培装置
の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】 従来、植物の栽培を養液で行う水耕栽培方法が広く
行われている。しかし、水耕栽培の場合は養液を強制循
環させる構成であり、植物の育成に必要な養分及び溶存
酸素量の調整、並びに水温の調整などの手段を含む大掛
かりな養液循環設備とその管理が必要であるから多大な
イニシャルコスト、及びランニングコストを要する。し
かも湿気中根を発育させないから、栽培が難しいとされ
るほうれん草を栽培した場合には、酸素不足等のために
葉肉が薄く、色も黄色を帯びて黄緑状になるなど成長が
悪く、とうてい商品にならない。その上、養液の絶え間
のない循環を前提とする構成であるため、作物又は設備
が一旦病気、細菌に汚染されると、当該循環設備に関連
する栽培の全部を廃棄せざるを得ない事態となって甚大
な損害を被ることになる。 特公平4−52730号(特許第1769961
号)公報に記載された栽培方法は、養液を栽培に必要な
量だけ溜める渟水式であり、水槽を半地下式に構成して
外気温度による養液温度への悪影響を小さくした、所謂
渟水式養液栽培方法である。この栽培方法によれば、水
耕栽培のように大掛かりな養液循環設備とその管理は無
用であり、イニシャルコスト、ランニングコストも大幅
に安くなり、設備が簡易で経済的である。また、水槽単
位に独立した栽培方法なので、いずれかの水槽又は作物
が病気、細菌に汚染されても他の水槽への波及は心配な
く、当該水槽の栽培設備、作物を廃棄するだけで済み、
被害を最小限に抑制することもできる。 同様な渟水式養液栽培装置が特願平7ー14005
1号明細書及び図面に開示されている。この装置の特徴
は、柔軟性と耐水圧性及び透湿性を有するシート状素材
で形成した水槽を全て大気中に晒したこと、及び定植板
は前記水槽の蓋として液面の少し上に載置し、該定植板
の定植孔からは養液を吸い上げる吸水シートを水槽の養
液中に深く垂らし、幼苗が水槽の養液中に根を張りつけ
るまでの間は吸水シートが毛細管現象で吸い上げる養液
で植物を育てる構成である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】上述したのように
養液を強制循環させる水耕栽培方法の技術的、経済的な
問題点は論外としても、上記の渟水式養液栽培方法の
ように水槽を半地下式に構成する方式は、従前の耕地農
業の考えの域を出ない技術的思想によるものであり、農
作業者の姿勢が悪く苦しい労働を強いられる点に問題が
ある。
【0004】上記の先願発明に係る渟水式栽培装置
は、農作業の姿勢を楽にできる特長がある。しかし、吸
水シートで養液を吸い上げさせて植物を育成する栽培方
法は、作物の育成が100%とならない点に問題があ
る。即ち、湿度が低く温度が高い気候や季節、例えば夏
場には吸水シートが養液を毛細管現象で吸い上げるより
も蒸発し乾燥する方が早くて、吸水シート自体が乾いて
しまい、作物に養液が届かず枯れてしまう事例が往々見
られる。また、せっかく吸水シートで作物の根を水槽の
養液へ導く構成にしているにも関わらず、作物の根が意
に反して吸水シートに沿っては延びず、寝ころんだ形に
育って枯れる事例も往々見られる。その他、消費材とし
ての吸水シートが、ランニングコストとして意外に高く
つくこと、及び定植板の各定植孔へ一つ一つ吸水シート
を適正な態様で取付ける作業に多くの手間が掛かるとい
う問題点もある。
【0005】従って、本発明の第1の目的は、作物の湿
気中根を十分に発育させる栽培方法であるが、吸水シー
トを使用しないで済み、吸水シートに要するランニング
コスト、及び取付けの手間を一切省ける渟水式養液栽培
方法と栽培装置を提供することである。本発明の次の目
的は、作物の育成を100%の確率で行うことが出来、
作物の歩留り率の高い栽培ができ、また、定植板の配設
作業の手間を可及的に省ける渟水式養液栽培方法及び栽
培装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決するための手段として、請求項1に記載した発明に
る渟水式養液栽培方法は、水槽に、少なくとも作物の収
穫に至るまでに必要とされる量の養液を満たすこと、前
記水槽には、前記必要量の養液を満たした際の液面の高
から、その後養液が減少して降下した液面の位置に、
後記の定植板を水平に支持する定植板支持部を設けるこ
と、定植板は、前記定植板支持部の上に支持されて、下
方の養液面の全面を光、熱が入らないように覆う形状、
大きさとし、該定植板に同板の厚さ方向に貫通する作物
の定植孔を設け、前記の定植孔へ所望の作物を植え付け
た定植板は前記必要とされる量の養液を満たした水槽の
養液面上に浮かべること、そのまま前記作物の育成期間
に移り、水槽内養液の減少に伴う液面の降下に従い定植
板は水槽の定植板支持部の上に止めて支持させ、その後
も降下する養液面と定植板との間に空気層を形成させ
作物の根に湿気中根を発育させること、 前記作物の収穫
期に至り同作物の収穫を行うことをそれぞれ特徴とす
る。
【0007】
【0008】請求項記載の発明に係る渟水式養液栽培
装置は、少なくとも作物の収穫に至るまでに必要とされ
る量の養液を満たすことが可能な容量を有し、前記必要
量の養液を満たした際の液面の高さから、その後養液が
減少して降下した液面の位置に、後記の定植板を水平に
支持する定植板支持部を設けている水槽と、前記水槽の
定植板支持部の上に支持されて、下方の養液面の全面を
光、熱が入らないように覆う形状、大きさの板に、同板
の厚さ方向に貫通する作物の定植孔を設けてあり、前記
の定植孔へ所望の作物を植え付けて前記必要とされる量
の養液を満たした水槽の養液面上に浮かべる定植板とか
ら成り、前記水槽の養液面上に前記所望の作物を植え付
けた定植板を浮かべそのまま前記作物の育成期間に移
ことができ、水槽内養液の減少に伴う液面の降下に従
い定植板は水槽の定植板支持部の上に止めて支持させる
ことができ、更にその後も降下する養液面と定植板との
間に空気層を形成させて作物の根に湿気中根を発育させ
ることが可能であり、 前記作物の収穫期に至り同作物の
収穫を行うことができる
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態及び実施例】図1〜図4は、横断面
形状と構造・材質が種々異なる水槽Pによる渟水式溶液
栽培方法及び栽培装置の実施形態を示している。水槽P
の材質は紙質、不織布、プラスチックシート等のシート
状素材、又は硬質のプラスチック板、金属板、木板等の
何れでも使用可能である。特に図4は発泡プラスチック
フォームを組み立てて形成した水槽枠の内部にシート状
素材Sを敷設して構成した水槽Pの例を示している。
【0012】図1〜図4の実施例はいずれも、水槽Pに
少なくとも作物Qの収穫に至るまでに必要とされる量の
養液6を満たす(各A図を参照)。ここに少なくとも作
物の収穫に至るまでに必要とされる養液量とは、本来的
には作物Qの吸収量であり、蒸発その他の遺漏量、発汗
量などの合計量を意味する。もっと具体的、現実的には
図1〜図4の各C図で明らかなように、およそ作物Qの
収穫時期になってもかなりな量の養液6が残存し、未だ
作物の根が養分を吸い上げ得る状態であることをも包含
する。そして、作物Qによる吸収と蒸発等により養液が
減少して降下した液面と共に降下した結果、直下の支持
部にTより止められ高さ位置を不動に支持された定植板
7との間に、相当な空気層Rを形成する量であることを
も意味する。従って、水槽Pの横断面形状の如何によっ
て、前記の必要液量も様々と言うことになる。例えばフ
ラスコのように上部の幅寸が狭い水槽、或いは鼓のよう
に上部の幅寸が広い水槽によって必要液量は大きく異な
ることを理解されたい。
【0013】なお、養液6は、作物の成育に応じて必要
とされる栄養分(肥料分)や溶存酸素を含み、病気や細
菌類に汚染されていない程度に消毒等された水を主体成
分として調整されたものが好適である。図1〜図4の場
合、水槽Pの上部の両側であって、前記養液6を必要量
収容した際の液面の高さより以下の高さ位置(図1〜図
4の各A図とB図の定植板の高さ位置を対比されたい)
に、定植板7を水平に支持する定植板支持部Tを設けて
いる。図1及び図3には明示の定植板支持部を積極的に
形成していないが、水槽Pの横断面形状を下向きに幅寸
が狭くなる碗形状乃至すり鉢形状に形成しているので、
養液6の液面が少し下がって定植板7の両端が当たる位
置が定植板支持部Tになる。支持部Tの高さ位置に関す
る前記条件は、定植板7を当初必ず養液6の液面に浮か
べ、その後養液が減少し液面が降下した段階で支持部T
に止めて支持させる栽培法に不可欠である。なお、定植
板支持部Tは水槽Pの底壁又は側壁から支柱のように立
ち上がり又は突出す要素を突設して実施することもでき
る。
【0014】次に、作物Qを植付けて育てる培地たる定
植板7は、本実施例では水槽Pの前記定植板支持部Tの
上に支持され得る幅寸で、同水槽の長さと同じ又はその
長さを複数に分割した長さ、一例として厚さが30mm程
度、縦、横寸法は500×700mm程度で比重が軽い発
泡スチロール樹脂板等で作られている。この定植板7に
は、同板の厚さ方向に貫通する作物の定植孔8を設け、
この定植孔8へ所望の作物を植え付けて前記水槽Pの養
液面上に浮かべる。定植孔8は単なる切れ目として実施
することもできる。定植板7は、水槽Pが小さいときは
同形・同大の一枚板として実施することもできる。
【0015】本発明の特徴は、前記のように所望の作物
Qを植え付けた定植板7を水槽Pの養液面上に浮かべ
る。その以後は養液6の補給を一切行うことなく、その
まま作物Qの育成期間へと移る。作物Qの発育と共に養
液6は吸収され減少してその液面は図1〜図4の各B、
C図のように漸次下降する。定植板7も液面と共に下降
し数日のうちに定植板支持部Tに止められ高さ位置を不
動に支持される。一方、依然として日数に比例するよう
に下降する養液6の液面と定植板7との間には、空気層
Rが発生して日時の経過と共に拡大する。その結果、作
物Qの根は依然として養液6の中に浸かった「水中根q
1 」と、空気層Rに露出した「湿気中根q2 」との二本
立ての発育が進み、前記「湿気中根q2 」が大気中から
必要十分な量の酸素を吸収して収穫に十分な品質状態に
まで作物が成長することを促進する。従って、栽培が最
も難しいとされるほうれん草でも、酸素不足に陥ること
なく、瑞々しいまでに新鮮でしっかりと太い茎と厚い葉
肉、深い緑の成草を収穫することが出来る。
【0016】作物Qの育成期間中は、防除等の手入れは
行うとしても、養液6の強制循環等の設備や管理は一切
無用である。よって水槽P或いは作物Qが病気、細菌に
汚染されても被害は水槽の単位で抑制することが出来
る。また、作物Qを植え付けた定植板7は当初水槽Pの
養液面上に直接浮かべるので、定植孔8を浸す養液6に
よって作物Qの成育に必要な養分、水分を十分に与えら
れ、作物は100%の均一な発育を期待できる。勿論、
吸水シートの必要性は皆無である。
【0017】図1〜図4に示した水槽Pは、いずれも紙
面の垂直方向に、小は1m程度から大は5mとか10
m,数10mの長さに形成される。そして、作物を植え
付けた定植板7は水槽の養液面上に浮かべられ、その全
面に複数配設される。作物を植え付けた複数の定植板7
を長い水槽Pの養液面上の全面に配設する方法として
は、定植板7を当所養液6の液面上に浮かべることを積
極的に利用して次のように行うのが有利である。作業者
は水槽Pの一方の端部の位置に立ち、作物を植え付けた
定植板7は水槽の端部の養液面上に浮かべ、順次他方の
端部に向かって養液面上を長手方向へ順押しに送る。か
くして最終的には水槽Pの養液面の全面を光が入射しな
い程度に覆う配置に並べる方法の実施が効率的であり、
省力化を図れる。液面上の複数の定植板7は相互に密接
に突き合わせた状態に並べると、太陽光の入射を防いで
藻などの発生を防ぎ、且つ入射熱によって液温が上昇す
るのを防ぐことができる。
【0018】定植板7に作物を植え付ける方法として
は、発芽した幼苗を植え付ける方法と、種を蒔く方
法とに大別される。後者の種を蒔く方法の場合は、発
芽を均一に進めるため、播種した定植板7は一旦発芽室
へ搬入し、発芽させた後に発芽室から定植板を取り出し
て水槽へ浮かべる手順を実施するのが好ましい。上記の
次第であるから。請求項3記載の発明に係る渟水式養液
栽培装置は、要するに、少なくとも作物Qの収穫に至る
までに必要とされる量の養液6を満たすことが可能な容
量を有し、前記必要量の養液6を収容した際の液面の高
さ以下の高さに定植板7を水平に支持する定植板支持部
Tを設けている水槽Pと、前記定植板支持部Tの上に支
持される板に厚さ方向に貫通する作物の定植孔8を設
け、前記の定植孔8へ所望の作物Qを植え付ける定植板
7とで構成される。
【0019】もっとも、請求項4に記載した発明のよう
に、前記水槽Pを作業者が農作業の際に腰を曲げたりし
ないで済む楽な姿勢の高さ、例えば地面上60〜100
cm位の高さに支持する架台等の支持手段と組み合わせた
構成で実施するのが実際に好適である。この渟水式養液
栽培装置は、通例温室内に設備されるが、露地栽培用に
設備されることもある。
【0020】次に、図5以下に示した渟水式養液栽培方
法及び栽培装置は、シート状素材で水槽を組み立てた実
施形態である。以下にこれを説明する。水槽Pの支持手
段として、地面上に作業員が腰を折らない楽な姿勢で農
作業できる高さ(約60cm程前後)の支持構体が、支柱
2と横繋ぎ桟3等々で言わば畝状に長く構築されてい
る。前記の支持構体には、シート定着溝1aを有する形
材1が、水槽Pの口縁に沿う配置で支持されている。前
記形材1が形成する枠面の上に、その幅寸よりも水槽の
深さ及び両側へ裾部分として垂れ下がる長さ分を合計幅
寸とする、水槽Pを形成するシート状素材5が大きく広
げられ、このシート状素材5を、形材1の開口部を幅狭
に形成された公知のシート定着溝1aへ入れ込んだ公知
の弾性な波形線状のシート止め材4によって全周を止着
し水槽Pが形成されている。図5は水槽Pが幅方向に2
列平行に設けられた実施例を示している。もっとも水槽
Pの底部を地面に接地させた状態、又は一部土中に埋め
込んだ形で実施することもできる。この点は図1〜図4
の実施例にも共通する。
【0021】水槽Pを形成する前記シート状素材5に
は、シートとしての取扱い易さのある柔軟性と、養液を
収容し支持しても相当な長さの耐用寿命を発揮する耐水
圧性があれば使用可能である。この水槽Pも、作物の収
穫に至るまでに必要とされる量の養液を十分な余裕をも
って収容することが可能な大きさとされる。横断面形状
は上記の図1又は図3の実施例にも似て下向きに幅寸が
狭くなる形状とされ、前記の支持構体によって支持され
る。水槽Pの大きさはまた、両側の作業通路から作業員
が手を伸ばして作物の手入れや収穫の作業が出来るよう
に、全幅を100cm程度、長さは例えばビニールハウス
の棟の長さに応じて25mとか50m程度に構成されて
いる。前記水槽Pに、少なくとも作物の収穫に至るまで
に必要とされる量の養液6が収容される。
【0022】定植板7は、前記のように構成された水槽
Pに栽培作物の収穫までに必要とされる量の養液6が収
容された際の液面よりも少し下った液面の幅寸と略等し
い幅(通例50cm前後とされる)で、同水槽Pの長さを
複数に分割した長さ(作業上の取扱い易さ、利便性を考
慮して通例75cm前後)に形成し、安価で比重の小さい
発泡プラスチック板が使用されている。もっとも、定植
板7の材質は、水槽Pの養液6上に浮く限りは特に限定
されない。また、水槽Pの長さが小さいときは同形、同
大の1枚の定植板で実施することもできる。定植板7の
定植孔8は、図6に例示したように作物の生育に適切な
間隔の栽培畝を形成するように縦、横に規則的な配列で
複数設けられている。定植孔8の大きさ、形状は作物の
植栽状態に応じてまちまちである。一例を示すと、図
7、図8のように幅15mm、長さ10〜15cm程度のス
リット形状に設け、両端部に倒立三角形状の受け座8a
を形成している。作物の種子9を収容し保持する透水性
の保持シート10は二つ折り状態にしてその中に種子9
を蒔き、前記定植孔8の受け座8aに両端を支持させた
形でセットする。前記保持シート10の代わりに、種子
を保持可能なガーゼ、ウレタンスポンジ、綿布などを使
用することもできる。定植孔8は、単なる丸孔、角孔で
も良いし、場合によっては単なる切れ目で実施すること
もできる。
【0023】上述した水槽Pに必要量の養液6を供給
し、一方、定植板7の定植孔8へは例えばほうれん草の
種子9を保持させた保持シート10をセットして播種作
業を行う。この定植板7は直接、又は一旦発芽室へ入れ
て双葉程度に発芽した段階で、前記水槽Pの養液6の液
面上に浮かべる。発芽室を使用すると、発芽に好適な環
境が整っているので、発芽を早く均一に高効率に行え
る。水槽Pの液面上に浮かべられた定植板7は、図8に
示したように定植孔8へ植えた種子9又はそれが発芽し
た植物の根部が必ず直接液面下に浸る状態になるから、
従前の吸水シートが無用なばかりでなく、定植板7の定
植孔8へ播種された種子または発芽した植物の全部が必
ず養液を摂取し得る状態となる。よって養液不足が原因
で枯れたり、根部が転倒して発育不全に陥る心配はな
い。
【0024】前記のように各定植孔8へ種子9が蒔か
れ、又は一旦発芽室に入れられ発芽した後に取り出され
た定植板7は、図6に示したように栽培装置の水槽Pの
養液面上の全面にびっしり浮かべ、養液6の無用な蒸発
を防ぎ、且つ太陽光の入射を防ぎ、更に放熱を防ぐよう
に密に並べて液面を覆う状態に配設される。その作業方
法として、上記したように定植板7は栽培装置の水槽P
の一方の端部に立った作業員が、一枚ずつ同水槽Pの端
部へ浮かべると共にこれを他方の端部に向かって順押し
操作で移動させる。図5に示したように水槽Pの液面上
に浮かび両側縁を同水槽Pの壁面に拘束された定植板7
は、順次一連の板状になって液面上を流れるが如くに軽
やかに移動してゆき、遂には液面の全面に配設すること
が可能である。よって作業員がいちいち移動して定植板
7を配設して回る必要は一切なく、軽作業として高能率
に行うことができる。
【0025】かくして水槽Pの液面上の全面に浮かべて
配設された定植板7は、そのまま作物Q(ほうれん草)
の育成期間へと移行する。もっとも、育成期間の当初に
は、しばらくの間、シート状素材5の両側へ垂れた裾部
分を図5に点線で図示したように起こして定植板7の上
に被せ、保護膜として利用するのが良い。作物Qによっ
て養液6が吸収・消費されその液面が降下するに従い、
当初は図5のように養液6の液面に浮かんでいた定植板
7も下降して、その両側縁が水槽Pの両壁面に引っ掛か
って止まった状態でそのまま支持される。更に液面が下
降すると定植板7との間に空気層Rが発生し、それは漸
次拡大する(図9を参照)。その結果、当初は浸るほど
に十分な養液6中の栄養分や溶存酸素を吸収して発育し
た作物Qの根部は、依然として養液6の中に浸る「水中
根」と、液面が下がって発生した空間Rに露出する「湿
気中根」との二本立てとなり、前記「湿気中根」が良く
発達して大気中から必要十分な量の酸素を吸収して収穫
に十分な品質状態に成長することを促進する。従って、
栽培が難しいとされるほうれん草でも、酸素不足に陥る
ことなく、瑞々しいまでに新鮮でしっかりと太い茎と厚
い葉肉、深い緑の成草を収穫することが出来る。
【0026】ほうれん草は、発芽室を使用して約1週間
の発芽期間をとると、約25日位で出荷可能な成草とな
り収穫される。この栽培装置を使用すると収穫量は膨大
に増産され大きな収益を確保できる。養液に杉や檜の樹
皮を裁断したチップを入れると、緑藻の発生を抑える効
果があることも確認済である。作物Qの収穫作業は、図
9と図10に例示したように、水槽Pの口縁に沿って走
行する作業台車16を利用して行うのが好都合である。
その手段として、水槽Pの口縁を形成する上記形材1の
シート定着溝1aの上に丸パイプ状のレール材11が載
置される。そして、水槽Pの長手方向に用意された平行
な前記2本のレール材11、11の上に同レール材11
の上を走行する車輪12を備え、水槽Pを幅方向に跨ぐ
構成の車体13を有する作業台車16が利用される。更
に必要に応じて当該作業台車10の上に収穫篭14を載
せ、栽培したほうれん草等の作物Qを収穫し収穫篭14
へ収納しつつ作業を進める。
【0027】作物の収穫を終えた水槽Pについては、用
済みとなった定植板7を取り除き、同水槽Pに残存する
養液を廃棄し、水洗いして次の栽培作業に利用する。前
記のように取り除かれた定植板7も可能な限り清掃して
繰り返し利用する。水槽Pに残存する養液を廃棄し、水
洗いして直ちに次の栽培作業に必要な養液を供給する作
業を効率的に進める手段として、水槽Pの端部等に給液
管、排液管等を接続しておくことも好都合である。
【0028】なお、上記図1〜図4に示した水槽Pを上
記図5、図6等に示した支持構台乃至架台の上に設置し
て全く同様に栽培を行うことが出来る。
【0029】
【本発明が奏する効果】本発明に係る渟水式養液栽培方
法及び栽培装置によれば、当初定植板を養液面上に浮か
べるので、消費材としての吸水シートを一切使用しない
で済み、吸水シートに要するランニングコスト、取付け
の手間を一切省ける。そして、必然的に同定植板の定植
孔へ植えた植物(又は播種された種子)は必ず養液に浸
る状態となるから、植物の育成を100%の確率で行う
ことが出来、作物の歩留り率の高い栽培ができるのであ
る。
【0030】そして、渟水式であるが故に養液循環設備
が無用であることは勿論のこと、作物の根に湿気中根の
発育を十分に促進し、もって品質優良な作物の栽培を技
術的に容易ならしめる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A,B,Cは本発明に係る渟水式栽培方法及び
栽培装置の実施形態を工程順に示した説明図である。
【図2】A,B,Cは本発明に係る渟水式栽培方法及び
栽培装置の異なる実施形態を工程順に示した説明図であ
る。
【図3】A,B,Cは本発明に係る渟水式栽培方法及び
栽培装置の異なる実施形態を工程順に示した説明図であ
る。
【図4】A,B,Cは本発明に係る渟水式栽培方法及び
栽培装置の異なる実施形態を工程順に示した説明図であ
る。
【図5】本発明に係る異なる渟水式栽培装置の播種時の
状況を示した断面図である。
【図6】図5の栽培装置を俯瞰した斜視図である。
【図7】定植孔の一部を破断して示した斜視図である。
【図8】定植孔へ作物の種を植えた状態の断面図であ
る。
【図9】作物が成長した状況を示した断面図である。
【図10】図9の栽培装置を俯瞰して示した斜視図であ
る。
【符号の説明】
P 水槽 6 養液 7 定植板 T 定植板支持部 8 定植孔 R 空気層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 31/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水槽に、少なくとも作物の収穫に至るまで
    に必要とされる量の養液を満たすこと、 前記水槽には、前記必要量の養液を満たした際の液面の
    高さから、その後養液が減少して降下した液面の位置
    に、後記の定植板を水平に支持する定植板支持部を設け
    ること、定植板は、 前記定植板支持部の上に支持されて、下方の
    養液面の全面を光、熱が入らないように覆う形状、大き
    さとし、該定植板に同板の厚さ方向に貫通する作物の定
    植孔を設け、前記の定植孔へ所望の作物を植え付けた定
    植板は前記必要とされる量の養液を満たした水槽の養液
    面上に浮かべること、 そのまま前記作物の育成期間に移り、水槽内養液の減少
    に伴う液面の降下に従い定植板は水槽の定植板支持部
    に止めて支持させ、その後も降下する養液面と定植板
    との間に空気層を形成させて作物の根に湿気中根を発育
    させること、 前記 作物の収穫期に至り同作物の収穫を行うことをそれ
    ぞれ特徴とする、渟水式養液栽培方法。
  2. 【請求項2】少なくとも作物の収穫に至るまでに必要と
    される量の養液を満たすことが可能な容量を有し、前記
    必要量の養液を満たした際の液面の高さから、その後養
    液が減少して降下した液面の位置に、後記の定植板を水
    平に支持する定植板支持部を設けている水槽と、 前記水槽の定植板支持部の上に支持されて、下方の養液
    面の全面を光、熱が入らないように覆う形状、大きさの
    板に、同板の厚さ方向に貫通する作物の定植孔を設けて
    あり、前記の定植孔へ所望の作物を植え付けて前記必要
    とされる量の養液を満たした水槽の養液面上に浮かべる
    定植板とから成り、 前記水槽の養液面上に前記所望の作物を植え付けた定植
    板を浮かべそのまま前記作物の育成期間に移ることが
    でき、水槽内養液の減少に伴う液面の降下に従い定植板
    水槽の定植板支持部の上に止めて支持させることがで
    き、更にその後も降下する養液面と定植板との間に空気
    層を形成させて作物の根に湿気中根を発育させることが
    可能であり、 前記 作物の収穫期に至り同作物の収穫を行うことができ
    る、渟水式養液栽培装置。
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