JP2007141725A - コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】コネクタの振動に伴って電線が大きく振れるのを抑えることのできるコネクタを提供する。
【解決手段】端子挿入口13から導出している電線40を斜め上方に屈曲させ、上面開口部16から導出させるとともに、この上面開口部16から導出された電線40は、受け部21(上面開口部16における後側縁部)に受けられた状態となる。これにより、電線40が略水平状に戻ろうとする復元力を利用して受け部21に当接した状態となっているから、コネクタの振動に伴って電線40が大きく振れるのを抑えることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、コネクタに関する。
従来、コネクタとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。このコネクタには、電線の端末部に接続された端子金具が挿入可能なキャビティが形成されている。そして、端子金具はキャビティ内に収容され、電線はキャビティから導出された状態となる。
特開平7−282883号公報
ところで、自動車のエンジンルームのように振動を受ける環境下でコネクタを使用すると、コネクタの振動に伴って電線が振られる。ここで、上記のコネクタにおいては、端子金具が挿入可能となるように形成されたキャビティは、端子金具よりも細い電線に比べて大きく、電線とキャビティとの間には隙間が空いている。このため、コネクタが振動すると電線が大きく振られ、キャビティと擦れてしまうおそれがある。また、電線の振れが端子金具に伝わると、この端子金具に接続されている相手側端子金具との接点部に磨耗が生じ、両端子金具の接続信頼性が損なわれてしまう懸念がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタの振動に伴って電線が大きく振れるのを抑えることのできるコネクタを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電線の端末部に接続された端子金具を挿入可能なキャビティが形成されたハウジングを備えたコネクタであって、前記ハウジングには、前記端子金具の挿入方向に対し交差方向に屈曲して前記ハウジングから導出される前記電線に対し、この電線が復元変形する側から当接する受け部が備えられているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記キャビティの軸方向における後端部には前記端子金具を挿入するための端子挿入口が開口され、前記ハウジングの側部には前記キャビティを外部に開放する開口部が形成され、この開口部と前記端子挿入口とは前記電線が通過可能な連絡路を介して連通されているものであって、前記開口部の後側縁部が前記受け部とされており、前記電線は、前記端子挿入口から導出された状態から前記連絡路を通って前記開口部から導出された状態に移行できるようになっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記ハウジングには前記開口部を覆うカバーが備えられ、前記カバーには、このカバーを被せると、前記連絡路内に進出してこの連絡路を狭めて前記電線の戻り止めを行う戻り止め部が設けられているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載のものにおいて、前記カバーの後縁部には切欠き凹部が形成され、前記カバーを被せると、この切欠き凹部と前記受け部とによって電線導出口が形成されるようになっており、この電線導出口における前記電線まわりのクリアランスが、前記端子挿入口における前記電線まわりのクリアランスよりも小さくされているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項2〜請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記カバーには、このカバーを被せると、前記端子金具に係止してこの端子金具の抜け止めを行う抜止め部が設けられているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項2〜請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記端子金具は、前記電線の端末部に接続するバレル部とその前方に配されて相手側端子金具に接続する本体部とを備え、前記開口部はこの端子金具の本体部よりもほぼ後方の部分を開放させる範囲に形成されたものであって、前記開口部の開口縁部には、前記キャビティの軸方向に対し交差する方向に持上り規制部が設けられ、この持上り規制部は前記開口部から導出されている状態の電線が持ち上げられるのを規制しているところに特徴を有する。
請求項7の発明は、請求項6に記載のものにおいて、前記持上り規制部の端部が前記カバーを閉じた状態で係止させるロック突起となっているところに特徴を有する。
請求項8の発明は、請求項2〜請求項7のいずれかに記載のものにおいて、前記カバーがヒンジを介して前記ハウジングに回動可能に連結されているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、ハウジングには、端子金具の挿入方向に対し交差方向に屈曲してハウジングから導出される電線に対し、この電線が復元変形する側から当接する受け部が備えられている。このような構成によれば、電線の復元力を利用して受け部が電線を受け止めるようになっているから、コネクタの振動に伴って電線が大きく振れるのを抑えることができる。
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、電線は、端子挿入口から導出された状態から連絡路を通って開口部から導出された状態に移行できるようになっている。このような構成によれば、比較的振動を受けにくい環境下でコネクタを使用する場合には、電線の導出方向を選択することができる。
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、カバーには、連絡路を狭めて電線の戻り止めを行う戻り止め部が設けられている。このような構成によれば、カバーが被せられると、開口部から導出されている電線が、連絡路を通って端子挿入口から導出された状態に戻ってしまうことを防ぐことができる。
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、カバーの切欠き凹部とハウジングの受け部とによって電線導出口が形成されるようになっており、この電線導出口における電線まわりのクリアランスが、端子挿入口における電線まわりのクリアランスよりも小さくされている。このような構成によれば、電線導出口における電線の振れは、端子挿入口における電線の振れよりも小さく抑えられる。
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、カバーには、キャビティに挿入された端子金具に係止してこの端子金具の抜け止めを行う抜止め部が設けられている。このような構成によれば、カバーがリテーナを兼ねているから、リテーナが別部品とされている場合に比べて部品点数が少なくて済む。
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、開口部から導出されている状態の電線は、持上り規制部によって持ち上がりを規制されている。ここで、端子金具における本体部とバレル部との境目部分は一般的に強度が低いため、電線の持ち上げに伴ってバレル部側が持ち上げられると、端子金具が変形してしまうおそれがある。しかし、本発明の構成によれば、持上り規制部によって、本体部よりも後方の部分が持ち上がらないようにされているから、端子金具が変形してしまうことを回避できる。
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、持上り規制部の端部がカバーを閉じた状態で係止させるロック突起となっているから、持上り規制部とロック突起とが1箇所に設けられる。これにより、持上り規制部とロック突起とを離れた位置に分けて設けるのに比べて設計の自由度が高まる。
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、カバーがヒンジを介してハウジングに連結されている。このような構成によれば、メンテナンス等によりカバーを外してもカバーを紛失するおそれがなく、またハウジングに対するカバーの組み付け経路がヒンジによって規定されるから、組み付けの際にカバーがハウジングに対して位置ずれしにくく、組み付け作業性がよい。
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1〜図6によって説明する。本実施形態のコネクタは、ハウジング10とカバー30とを一体成型した合成樹脂部品である。このコネクタは、電線40の端末部に接続された端子金具41を2本収容できるようになっている。
図1および図2には、第1実施形態におけるコネクタを斜め前方から見た斜視図およびコネクタの側断面図を、また、図3には、カバー30が開いた状態のコネクタを上方から見た平面図を示した。以下、各構成部材において、ハウジング10に対する端子金具41の挿入方向を前方とし、また図2の上側を上方、下側を下方として説明する。
端子金具41は、導電性を有する金属板材から形成されており、図2に示すように、全体として前後方向に細長く、略前半部は相手側端子金具のタブ(図示せず)が進入可能とされた角筒状をなす本体部42、略後半部は電線40の端末部を圧着するバレル部43となっている。本体部42の側壁には、斜め後方へ向かって片持ち状に延出された形態の弾性変形可能なランス44が形成されている。この端子金具41は、ランス44を下側に向けた姿勢でキャビティ11に挿入されて収容されるようになっており、本体部42の後端におけるランス44とは反対側の端縁には、後述するカバー30の抜止め突起35が係止されるようになっている。一方バレル部43は、電線40の端末に露出された芯線を締め付けるワイヤバレル43Aと、このワイヤバレル43Aの後方に形成されて電線40の被覆を締め付けるインシュレーションバレル43Bとを備え、それぞれを締め付けることで電線40の端末部を接続している。
ハウジング10は合成樹脂製であって、全体として前後方向に長い扁平な箱形をなしている。このハウジング10には、図3に示すように、端子金具41を収容するための2つのキャビティ11が設けられている。2つのキャビティ11はハウジング10の前端から後端にわたって仕切壁12によって仕切られ、前後方向に細長い形状をなすとともに幅方向に並列した状態となっている。
各キャビティ11の軸方向における後端部には、このキャビティ11に端子金具41を挿入するための端子挿入口13が形成されている。この端子挿入口13は端子金具41を挿入可能な大きさに開口されており、後方から端子金具41が挿入可能となっている。詳細には、端子金具41が電線40の外径寸法より大きいことから、キャビティ11の内周面と電線40との間には十分なクリアランスが保有される関係となっている。また、ハウジング10の前壁において各キャビティ11に対応する位置には、相手側端子金具のタブを挿入するためのタブ挿入口14が設けられている。
各キャビティ11において端子金具41のランス44に対応する位置には係止段部15が設けられ、キャビティ11に収容された端子金具41のランス44がこの係止段部15に係止するようになっている。
ハウジング10の上面には、キャビティ11を上方に開放する上面開口部16(本発明における開口部に該当する)が形成されている。上面開口部16は、ハウジング10の後端縁からキャビティ11に収容された端子金具41のバレル部43までの部分に形成されている。すなわち、端子金具41の本体部42は外部に露出されることなくキャビティ11内に収容され、本体部42の後方の部分が上方に開放された形態となっている。この上面開口部16は上方から後述するカバー30に覆われるようになっている。
キャビティ11間を仕切る仕切壁12における後側部分は、上端縁(上面開口部16に臨む端縁)を下方に切り欠かれて段差状に低くされた電線逃がし部12Aとなっている。この電線逃がし部12Aの上下方向寸法は、キャビティ11の上下方向寸法のほぼ半分の寸法とされている。
ハウジング10の両側壁17における前寄り位置(端子金具41の本体部42の後端縁に対応する位置)には、両側壁17の上端縁を切り欠いた形態の逃がし部18が形成されている。逃がし部18は、後述するカバー30の抜止め突起35が嵌合可能な形状とされ、カバー30を被せると、抜止め突起35の端部がこの逃がし部18に嵌まるようになっている。また、ハウジング10の両外側面における後寄り位置には、それぞれロック突起19が形成されている。
また、ハウジング10の下側には、ハウジング10全体を被固定部材に固定するための固定部Kが設けられている。この固定部Kは全体としてハウジング10と略同形の前後方向に長い扁平な箱形をなし、ハウジング10に対し前後方向および幅方向に若干ずれた形態でこのハウジング10と一体的に形成されている。
ハウジング10における前後方向ほぼ中間位置には、リブ20(本発明の持上り規制部に該当する)が設けられている。リブ20は幅方向に長い棒状をなし、上面開口部16の開口縁部16Aにおいて各キャビティ11の軸方向(前後方向)に対し交差する方向に配されている。各リブ20の両端部は、それぞれハウジング10の両側壁17と仕切壁12とに連結され、詳しくは、ハウジング10の側壁17における前後方向ほぼ中間位置と仕切壁12における電線逃がし部12Aよりもやや前寄り位置とに連結されている。両リブ20は、部材軸線が互いに同軸線上となるように配されており、ハウジング10の両側壁17間に架け渡されたような形態となっている。このリブ20は、電線40の被覆を締め付けているインシュレーションバレル43Bの後側に対応する位置において各キャビティ11における上端位置を横切るように設けられ、下方に端子金具41の通過可能なスペースが確保されている。
端子挿入口13の周縁部における上側縁部、言い換えると、上面開口部16における後側縁部は、電線40を斜め方向に導出したときに電線40を支持する受け部21となっている。この受け部21は、ハウジング10の両側壁17から仕切壁12側に向かってそれぞれほぼ水平に延出された片持ち状をなしている。両受け部21の延出端同士は、仕切壁12における電線逃がし部12Aの上方空間において電線40の外形寸法とほぼ同じくらいの間隔を空けて対向しており、この電線逃がし部12Aの上方の隙間が上面開口部16と両端子挿入口13とを連通する連絡路22となっている。これにより、端子挿入口13から導出された電線40は、この連絡路22を通りつつ上方に屈曲されて、それぞれ上面開口部16から導出された状態に移行できるようになっている。かくして、上面開口部16から導出された電線40は、受け部21によって下側(復元変形する側)から受け止められた状態となる。また、両受け部21は、電線40の復元力に対して十分な剛性を備えている。なお、両受け部21の延出端部は、図3に示すように、若干前方(ハウジング10における内方)へ向かって湾曲した形態をなし、各受け部21に受けられた電線40が容易に連絡路22側へ外れてしまわないようにされている。また、受け部21の延出端部における後面は後方へ拡開するガイド面となって、電線40の移行操作を容易にしている。
ハウジング10の上面開口部16はカバー30によって覆われるようになっている。図4には、カバー30が開いた状態のコネクタを前方から見た正面図を示した。ハウジング10の上面開口部16を覆うカバー30は、上面開口部16によって開放された範囲をほぼ全面にわたって覆う大きさに形成されている。このカバー30は、前後方向にやや長い略長方形をなす平板状の蓋部31を備え、その後端部(端子挿入口13側の端部)は、後方に向かってなだらかに上った後、後方に延出した形態の高位部31Aとされている。この高位部31Aは、電線40のキャビティ11内に配されている部分における端子金具41の挿入方向に対し斜めをなす部分の上方を覆うようになっている(図2参照)。また、蓋部31の両側縁の後寄り位置にはそれぞれ撓み変形可能なロック片32が設けられ、ハウジング10の両外側面に設けられたロック突起19に係止されるようになっている。
蓋部31の前側部分における幅方向ほぼ中央位置、言い換えると、仕切壁12に対応する位置には、前後方向に細長い溝部33が形成されている。この溝部33は、仕切壁12の壁厚(幅方向の厚み)とほぼ同じ幅をなして開口されている。
蓋部31の下面(キャビティ11に臨む側の面)における前後方向ほぼ中央位置、言い換えると、ハウジング10のリブ20に対応する位置には、キャビティ11に臨む側とは反対側に凹んだ凹み部34が形成されている。この凹み部34は、ハウジング10のリブ20および端子金具41のインシュレーションバレル43Bに対応した部分に形成されており、カバー30を上面開口部16に被せた際、カバー30の下面がリブ20およびインシュレーションバレル43Bに接触しないようになっている。
また、蓋部31の下面には、各端子金具41の後端縁に係止する抜止め突起35(本発明の抜止め部に該当する)が幅方向に沿って突設されている。この抜止め突起35は、蓋部31の前端縁部において溝部33によって幅方向に分断された形態となっている。各抜止め突起35の前端面は、ハウジング10に対する端子金具41の挿抜方向(前後方向)に対し略直角をなす係止面35Aとなっている。そして、カバー30を被せると、抜止め突起35における仕切壁12側の端部は仕切壁12の側方に配され、仕切壁12とは反対側の端部はハウジング10の両側壁17に形成された逃がし部18に嵌まった状態となる。このとき、係止面35Aが本体部42の後端縁に後方から係止し、端子金具41を抜止めするようになっている。
そして、抜止め突起35の前側、つまり蓋部31の前端縁には、それぞれヒンジ36が設けられている。一対のヒンジ36はそれぞれ薄肉状をなし、カバー30の前端縁と上面開口部16の開口縁とに連なって形成されている。このヒンジ36を撓ませることにより、カバー30は、上面開口部16を開放させた開放状態と、上面開口部16を塞いだ閉じ状態との間で回動されるようになっている。
カバー30の高位部31A(カバー30の後縁部)には、幅方向に一対の切欠き凹部37が設けられている。この切欠き凹部37は、カバー30の後端縁において各端子挿入口13に対応する部分を後方へ向けて開放する略四角形をなしている。各切欠き凹部37の開口寸法は、幅方向にはほぼ電線40の外形寸法と同じかやや狭めとされ、前後方向には電線40の外径寸法よりもやや大きい寸法とされており、斜め上方に導出される電線40に対し略水平をなして嵌合可能となっている。そして、カバー30を被せると、受け部21に受けられている電線40がこの切欠き凹部37に嵌まった状態となり、電線40は、受け部21と切欠き凹部37とによって形成された開口部分から斜め方向に導出された状態となる。このように、受け部21と切欠き凹部37とによって電線40を導出する電線導出口38が形成される形態となっている。この電線導出口38は、電線40の外径寸法にあった開口寸法となっており、端子金具41の断面寸法にあわせて形成された端子挿入口13に比べて開口幅が小さくなっている。これにより、電線導出口38における電線40まわりのクリアランス(詳しくは幅方向のクリアランス)が、端子挿入口13における電線40まわりのクリアランスよりも小さくなっている。
高位部31Aにおける各切欠き凹部37を隔てている部分の下面には、戻り止め部39が設けられている。戻り止め部39は、下面から下方へ突出する壁状をなし、仕切壁12の電線逃がし部12Aに対応する部分において、前後方向(仕切壁12の長さ方向)に延びる形態とされている。そして、カバー30を被せると、戻り止め部39が連絡路22内に進出し、この連絡路22を分断するようにして電線逃がし部12Aの上側に配され、戻り止め部39と電線逃がし部12Aとによって、斜めに屈曲された電線40が幅方向に仕切られた状態となる。こうして、電線40が連絡路22を通過して端子挿入口13から導出された元の水平状に戻れなくなっている。
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用および効果について説明する。図5および図6には、カバー30を被せる前の様子を示す斜視図および側断面図を示した。
まず、カバー30を開放状態にしておき、各キャビティ11の端子挿入口13に対し後方から端子金具41を挿入する。端子金具41は、各キャビティ11の前面に突き当たる正規位置まで挿入されると、ランス44が係止段部15に係止した状態となって後方(抜け方向)への変位が規制されて正規位置に保持される。このとき、端子金具41に接続された電線40は、ハウジング10の端子挿入口13から後方にむかってほぼ水平をなして導出されており、各電線40と端子挿入口13との間には比較的大きなクリアランスが空いた状態となっている。
次に、端子挿入口13から導出している電線40を斜め上方に屈曲させ、受け部21に受け止めさせた状態にする。その場合に、まず、略水平をなしている電線40を上方に引っ張りつつ幅方向にずらすようにして仕切壁12の電線逃がし部12A上に持ち上げる。このとき、必要以上に電線40を持ち上げることがあっても、電線40におけるインシュレーションバレル43Bの後側部分がリブ20に当接し、インシュレーションバレル43Bよりも前側の部分はそれ以上持ち上がらないようになっており、もって端子金具41の変形が防止されている。特に、リブ20はインシュレーションバレル43Bの後側部分、つまり電線40の被覆に当接するようになっているから、この被覆部分が屈曲するだけで済み、端子金具41の変形をより確実に防止できる。次いで、連絡路22において電線40を上昇させ、端子挿入口13よりも上方に至ったところで再び幅方向にずらし、図5および図6に示すように、電線40を受け部21上に下ろす。この受け部21に受け止められた電線40は、自身の復元力によってこの受け部21上に当接した状態となり、斜め方向に導出された姿勢で保持される。
次に、カバー30をハウジング10の上面開口部16に被せて組み付ける。まず、ハウジング10の上方に立ち上がった姿勢で開放状態となっているカバー30を、上面開口部16を覆う閉じ状態とするため、ヒンジ36を支点として回動させる。このとき、カバー30の蓋部31に設けられた抜止め突起35がキャビティ11内に進出し、端子金具41の本体部42の後端縁に対して後方から係止する。この係止作用により、端子金具41が抜止め状態に保持されるようになっている。また、カバー30が開放状態から閉じ状態へ移行する過程において、戻り止め部39が徐々に連絡路22に進出していく。こうして、連絡路22は戻り止め部39によって分断されて狭められ、斜め方向に導出された電線40がこの連絡路22を通過して元の位置に戻ってしまうことが防止される。そして、カバー30が閉じ状態に至ると、ロック片32がロック突起19に嵌合され、電線40が斜め方向に導出された状態でカバー30の閉じ状態が保持されるようになっている。
以上説明したように第1実施形態によれば、ハウジング10には、電線40を斜め方向に導出したときに電線40を支持する受け部21が設けられ、電線40は、略水平状に戻ろうとする復元力によってこの受け部21に当接した状態となっている。また、カバー30が被せられると、受け部21とカバー30の切欠き凹部37とによって電線導出口38が形成されるようになっており、この電線導出口38によって電線40まわりの幅方向のクリアランスが狭められている。これにより、電線40は、受け部21によって上下方向の振れが抑えられるのに加え、幅方向の振れも抑えられるから、コネクタの振動に伴って電線40が大きく振られてしまうのをより確実に防止できる。
そして、カバー30には、連絡路22を狭めて電線40の戻り止めを行う戻り止め部39が設けられている。これにより、カバー30が被せられると、上面開口部16から導出されている電線40が、連絡路22を通って端子挿入口13から導出された元の状態に戻ってしまうことを防ぐことができる。
また、上面開口部16から導出されている状態の電線40は、上面開口部16の開口縁部16Aに設けられたリブ20によって持ち上げられないようにされている。ここで、リブ20が設けられていないと、端子挿入口13から導出している電線40を斜め上方に屈曲する場合やメンテナンス等に伴って電線40を上面開口部16側に引っ張ったりする場合に、電線40がバレル部43とともに持ち上げられ、端子金具41が変形してしまうおそれがある。しかし、本実施形態の構成によれば、上面開口部16から導出されている状態の電線40の持ち上がりは、リブ20によって規制されるから、端子金具41が変形してしまうことを回避できる。
加えて、カバー30には、キャビティ11に挿入された端子金具41に係止してこの端子金具41の抜け止めを行う抜止め突起35が設けられており、カバー30がリテーナを兼ねているから、リテーナが別部品とされている場合に比べて部品点数が少なくて済む。
さらに、カバー30がヒンジ36を介してハウジング10に連結されており、メンテナンス等によりカバー30を外してもカバー30を紛失するおそれがなく、またハウジング10に対するカバー30の組み付け経路がヒンジ36によって規定されるから、組み付けの際にカバー30がハウジング10に対して位置ずれしにくく、組み付け作業性がよくなっている。
なお、電線40は、端子挿入口13から導出された状態から連絡路22を通って上面開口部16から導出された状態に移行できるようになっているから、比較的振動を受けにくい環境下でこのコネクタを使用する場合には、電線40の導出方向を選択することができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係るコネクタを図7および図8によって説明する。図7には、第2実施形態におけるコネクタの斜視図を、図8には、第2実施形態におけるコネクタの上面カバー70Aおよび下面カバー70Bを被せる前の様子を示す斜視図を示した。
本実施形態のコネクタは、キャビティ51に挿入した電線40をカバー側から斜めに導出させるのではなく、ハウジング50の側壁57から導出させた後、ハウジング50の外側面に沿って後方へ屈曲させるようにした点で、第1実施形態とは相違する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本実施形態に係るコネクタは、第1実施形態と同様に、ハウジング50と上面カバー70Aおよび下面カバー70Bとを一体成型した合成樹脂部品であり、このコネクタには、電線40(以下、図8において奥側に描かれている電線を一方の電線40Aと呼び、手前側に描かれている電線を他方の電線40Bと呼ぶ)の端末部に接続された端子金具41が4本収容されるようになっている。
ハウジング50は合成樹脂製であり、全体として前後方向に長い略直方体状をなし、幅方向に一対のキャビティ51が上下2段に分かれて形成されている。上下2段のキャビティ51は、後端部を除く部分が仕切壁52によって幅方向に仕切られている。このキャビティ51の後端部は一方の電線40Aが通過可能な空きスペース53となっている。なお、各仕切壁52における後端部分は、上端縁および下端縁をそれぞれ若干切り欠かれて他の部分よりも段差状に低くされた低壁部52Aとなっている。
ハウジング50の上面および下面には、キャビティ51を上方および下方に開放する上面開口部54および下面開口部55が形成されている。上面開口部54および下面開口部55は、第1実施形態と同様に、ハウジング50の後端縁からキャビティ51に収容された端子金具41のほぼバレル部43までの部分に形成され、上方および下方から後述する上面カバー70Aおよび下面カバー70Bによってそれぞれ覆われるようになっている。
ハウジング50の上面開口部54および下面開口部55における前後方向ほぼ中間位置には、第1実施形態と同様に、リブ56が設けられており、このリブ56はインシュレーションバレル43Bの後側に位置し、電線40の持ち上げ時には電線40の被覆と当接可能となっている。このリブ56は第1実施形態のリブ20に比べて前後方向に幅広とされ、ハウジング50の両側壁57と仕切壁52との間を各キャビティ51の上端位置を横切るように架け渡されている。そして、各リブ56におけるハウジング50の側壁57に対応する側の端部が、それぞれハウジング50の側壁57の外側に突出したロック突起58と連なる形態とされている。
ハウジング50における他方の電線40Bが収容される側の側壁57には、キャビティ51を側方に開放する側面開口部59が設けられている。この側面開口部59と上面開口部54および下面開口部55とが、本発明における開口部に該当する。側面開口部59は、側壁57における後寄り位置において、上段および下段のキャビティ51にそれぞれ対応するように上下1箇所ずつ設けられている。各側面開口部59は、前後に2本の電線40A,40Bを並べて導出できる幅を備えており、この側面開口部59の後側縁部は電線40の外形に沿った円弧形状とされている。この後側縁部が、側面開口部59から側方にむかって屈曲されて導出される電線40A,40Bを、後方(電線40A,40Bの復元方向)から受け止める受け部60となっている。
この側面開口部59の略前半部分から上面開口部54および下面開口部55にかけての部分は、それぞれ連通するように切り欠かれて切欠き路61となっており、1本の電線40が通過可能な幅を備えている。また、この切欠き路61は、前記した仕切壁52の後方の空きスペース53と連通しており、一方のキャビティ51に挿入された電線40Aが空きスペース53および切欠き路61を通ってハウジング50内から屈曲され、側面開口部59から導出され得るようになっている。なお、空きスペース53と切欠き路61とによって本発明における連結路が構成される。
側面開口部59の設けられている側壁57において、各側面開口部59よりも後側の部分には、その上端縁および下端縁から各端子挿通口51Aの上側および下側を囲うようにして若干幅方向に張り出した張出部62が形成されている。また、この張出部62と対向するようにして、側面開口部59が設けられていない側の側壁57にも同様の張出部62が設けられている。両張出部62における互いに向き合う張出端の間隔は、電線40の外径寸法のほぼ2倍の寸法離れた形態とされている。
ハウジング50の上面開口部54および下面開口部55を覆う上面カバー70Aおよび下面カバー70Bは、第1実施形態と同様に、上面開口部54および下面開口部55によって開放された範囲をほぼ全面にわたって覆う大きさに形成され、前後方向にやや長い略長方形状をなす平板状の蓋部71を備えている。蓋部71の後端部は、ハウジング50の後端部に形成された両張出部62に対応する部分が切り欠かれた形態とされ、残された中間部分が張出部62の張出端間に嵌合可能な略四角形状をなす嵌合部72となっており、上面カバー70Aおよび下面カバー70Bの振れ止めの役割を果たしている。蓋部71の両側縁には、第1実施形態と同様に、それぞれ撓み変形可能なロック片73が設けられている。このロック片73の後縁部は、蓋部71の側縁に連なって後方に延びた形状をなす戻り止め部73Aとなっており、上面カバー70Aおよび下面カバー70Bがそれぞれ閉じ状態に至ると、切欠き路61の外方においてこの切欠き路61と対向するように位置するようになっている。この戻り止め部73Aは、側面開口部59から導出している電線40を上面開口部54側および下面開口部55側から挟み込んで、この電線40の戻り止めの役割を果たすようになっている。同時に、ロック片73がハウジング50に設けられたロック突起58に係止されるようになっている。こうして、側面開口部59とカバーのロック片73とによって電線導出口74が形成される形態となっており、この電線導出口74からは2本の電線40A,40Bがほとんど隙間のない状態で導出されるようになっている。
カバーの嵌合部72におけるキャビティ51に臨む側の面には、突状77が形成されている。突状77は、嵌合部72の幅方向ほぼ中央位置においてそれぞれキャビティ51側に向かって突出している。この突状77は、仕切壁52の低壁部52Aと空きスペース53とに対応する範囲にわたる前後方向に細長い形状をなし、仕切壁52における低壁部52Aと他の部分との段差分だけ突出されている。
以上のように本実施形態においては、第1実施形態における作用および効果に加えて、ハウジング50から導出された電線40が、ハウジング50のほぼ高さ寸法内で配索されるため、コネクタの配索スペースにおいて上下方向に制約がある場合に有利となる効果が得られる。
また、リブ56の端部がロック突起58となっており、リブ56とロック突起58とが1箇所に設けられている。これにより、リブ56とロック突起58とを離れた位置、例えば前後方向に離間した位置に分けて設ける場合に比べて設計の自由度が高められる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)第1実施形態においては、上面開口部16における後側縁部が電線40を支持する受け部21となっているが、これに限らず、例えば、受け部はハウジングの後端面から後方に延出した後、端子挿入方向に対し横切る方向に折り曲げられた形態の部材であってもよく、この部材がハウジングの後端面から導出して屈曲された電線を支持する形態となっていてもよい。
(2)第1実施形態においては、各リブ20の両端部はそれぞれハウジング10の両側壁17と仕切壁12とに連結されているが、これに限らず、各リブが電線の屈曲に伴って持ち上げられてしまわない剛性を備えていれば、必ずしも両端部がハウジングに連結されていなくてもよい。
(3)第1実施形態においては、各リブ20は、キャビティ11に収容された電線40の被覆を締め付けているインシュレーションバレル43Bの後側に対応する位置に設けられているが、端子金具の変形が防げる位置であればこの位置でなくても構わず、例えばインシュレーションバレルに対応する位置であってもよいし、本実施形態の位置よりもさらに後方位置であってもよい。
(4)第1実施形態においては、切欠き凹部37は各端子挿入口13に対応する位置において幅方向に一対設けられているが、本発明によれば、必ずしも切欠き凹部は電線毎に設けられていなくてもよく、例えば、並列する電線に対応する部分にわたって切り欠かれた一の切欠き凹部であってもよい。
(5)第1実施形態においては、カバー30がリテーナを兼ねているが、カバーとリテーナとを別個の部品としてもよい。
(6)第1実施形態においては、カバー30とハウジング10とがヒンジ36を介して一体的に形成されているが、カバーとハウジングとを別個の部品としてもよい。
第1実施形態におけるコネクタを斜め前方から見た斜視図 第1実施形態におけるコネクタの側断面図 カバーが開いた状態のコネクタを上方から見た平面図 カバーが開いた状態のコネクタを前方から見た正面図 カバーを被せる前の様子を示す斜視図 カバーを被せる前の様子を示す側断面図 第2実施形態におけるコネクタの斜視図 第2実施形態におけるコネクタの上面カバーおよび下面カバーを被せる前の様子を示す斜視図
符号の説明
10…第1実施形態に係るハウジング
11…キャビティ
13…端子挿入口
16…上面開口部(開口部)
16A…上面開口部の開口縁部
20…リブ(持上り規制部)
21…受け部
22…連絡路
30…カバー
31A…高位部(カバーの後縁部)
35…抜止め突起(抜止め部)
36…ヒンジ
37…切欠き凹部
38…電線導出口
39…戻り止め部
40…電線
41…端子金具
42…本体部
43…バレル部

Claims (8)

  1. 電線の端末部に接続された端子金具を挿入可能なキャビティが形成されたハウジングを備えたコネクタであって、
    前記ハウジングには、前記端子金具の挿入方向に対し交差方向に屈曲して前記ハウジングから導出される前記電線に対し、この電線が復元変形する側から当接する受け部が備えられていることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記キャビティの軸方向における後端部には前記端子金具を挿入するための端子挿入口が開口され、前記ハウジングの側部には前記キャビティを外部に開放する開口部が形成され、この開口部と前記端子挿入口とは前記電線が通過可能な連絡路を介して連通されているものであって、
    前記開口部の後側縁部が前記受け部とされており、
    前記電線は、前記端子挿入口から導出された状態から前記連絡路を通って前記開口部から導出された状態に移行できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記ハウジングには前記開口部を覆うカバーが備えられ、
    前記カバーには、このカバーを被せると、前記連絡路内に進出してこの連絡路を狭めて前記電線の戻り止めを行う戻り止め部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
  4. 前記カバーの後縁部には切欠き凹部が形成され、前記カバーを被せると、この切欠き凹部と前記受け部とによって電線導出口が形成されるようになっており、
    この電線導出口における前記電線まわりのクリアランスが、前記端子挿入口における前記電線まわりのクリアランスよりも小さくされていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコネクタ。
  5. 前記カバーには、このカバーを被せると、前記端子金具に係止してこの端子金具の抜け止めを行う抜止め部が設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
  6. 前記端子金具は、前記電線の端末部に接続するバレル部とその前方に配されて相手側端子金具に接続する本体部とを備え、前記開口部はこの端子金具の本体部よりもほぼ後方の部分を開放させる範囲に形成されたものであって、
    前記開口部の開口縁部には、前記キャビティの軸方向に対し交差する方向に持上り規制部が設けられ、この持上り規制部は前記開口部から導出されている状態の電線が持ち上げられるのを規制していることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載のコネクタ。
  7. 前記持上り規制部の端部が前記カバーを閉じた状態で係止させるロック突起となっていることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
  8. 前記カバーがヒンジを介して前記ハウジングに回動可能に連結されていることを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれかに記載のコネクタ。
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