JP2007140876A - 操作ペダルの支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常時にペダル本体の操作感を良好状態に維持できるとともに、車両の衝突時にペダル踏込部の後退を簡単かつ効果的に防止して運転者の足元に作用する負荷を軽減できるようにする。
【解決手段】第1支軸13を介してペダルブラケット3に支持されるペダル本体2と、車両の衝突時に車体側部材33と干渉することにより第2支軸17を支点に回動変位して上記第1支軸13を下方に押動する回動レバー5とを設け、上記ペダルブラケット3に、通常時に上記第1支軸13を支持する支持部と、車両の衝突時に上記回動レバー5の回動変位に応じて上記第1支軸13が下方に脱落するのを促進する脱落促進部(15)とを設け、上記支持部を、通常時のペダル踏込み操作に応じて上記第1支軸13からペダルブラケット3に加わる力Fの作用線から少なくとも下方側に略90度の角度範囲Aに亘って上記第1支軸13と当接するように設置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ダッシュパネルに枢支されて車両の前後方向に揺動操作される操作ペダルの支持構造に関するものである。
従来、下記特許文献1に示されるように、ダッシュパネルに取り付けられたペダルブラケットと、このペダルブラケットに支持された支持軸を介して揺動自在に支持されたペダル本体とを有する操作ペダルの支持構造において、車両の衝突時に車体側部材に当接することにより回動変位して上記支持軸を駆動する回動レバーを設け、ペダルブラケットに形成されたガイド溝に沿って上記支持軸を車両の後方側にスライドさせることにより、ブレーキブースタを駆動するプッシュロッドの設置部を支点としてペダル本体の上部を車両の後方側に変位させるとともに、これに対応してペダル本体の下端部に設けられたペダル踏込部を車両の前方側に変位させることが行われている。
また、下記特許文献2には、車両の衝突時に、ペダル本体の揺動支点となる回転軸を、ペダル本体の下端部に設けられたペダル踏込部に対して相対的に車両の後方側に変位させるように構成された車両用ペダルの支持構造において、上記回転軸を初期位置に保持する初期位置保持機構と、上記回転軸を車両の後方側へ付勢する付勢手段とを備え、上記初期位置保持機構に、回転軸を保持する回転リンクと、この回転リンクを上記回転軸から離間した位置で回動可能に支持する固定軸を設けるとともに、上記付勢手段により回転軸を初期位置に維持させるように上記回転リンクを付勢し、かつ車両の衝突時に、上記回転軸を初期位置から車両の後方側へ変位させるように回転リンクを付勢することにより、上記ペダル踏込部を車両の前方側に移動させるようにした構成が開示されている。
さらに、下記特許文献3に示すように、操作ペダルのペダル本体を揺動可能に支持するペダルブラケットを、車両の衝突時に作用する衝撃荷重に応じて拡開変形させるとともに、これに対応して上記ペダル本体の揺動支点となる支持軸をペダルブラケットから離脱させることにより、車両の衝突時にダッシュパネルが後退した場合においてもペダル本体の下端部に設けられたペダル踏込部が車両の後方側に移動するのを防止することが行われている。
国際公開第03/45750号パンフレット 特許3269372号公報 欧州特許出願公開第0659615号明細書
上記特許文献1,2に開示された操作ペダルの支持構造では、車両の衝突時に、ペダル本体の上端部に設けられた揺動支点となる回転軸を車両の後方側に移動させるとともに、これに対応してペダル本体の下端部に設けられたペダル踏込部を車両の前方側に移動させるように構成したため、このペダル踏込部上に載置された運転者の足元に入力される負荷、つまり車両の衝突時に運転者を前方側に移動させようとする慣性力に応じて上記足元に作用する負荷を軽減することが可能である。
しかし、上記特許文献1に開示された操作ペダルの支持構造では、通常時に回動レバーに設けられたアーム部によりペダル本体の支持軸を支持して上記ガイド溝の上端部に係止させているため、上記ペダル本体に作用する外力等に対応して回動レバーにがたつきが生じることにより、ペダル本体の支持状態が不安定になってその操作感が損なわれるとともに、上記回動レバーに大きな外力が作用した場合には、上記アーム部による係止状態が解除されてペダル本体が上記係止部から脱落する可能性があるという問題があった。
また、上記特許文献2に開示されているように、通常時に上記付勢手段の付勢力に応じてペダル本体の回転軸を上方の初期位置に保持するように構成した場合には、付勢手段の付勢力を極端に強く設定しなければ上記回転軸を安定して保持することができず、この回転軸の支持位置が上記付勢手段の伸縮等に応じて変動し易いために、ペダル本体の操作感を良好状態に維持することが困難であるという問題がある。
なお、上記特許文献3に開示されているように、車両の衝突時に作用する衝撃荷重に応じてペダルブラケットを拡開変形させることにより、上記ペダル本体の揺動支点となる支持軸をペダルブラケットから離脱させるように構成した場合には、通常時に上記ペダルブラケットが拡開変形しない限り支持軸がペダルブラケットに安定して支持されるため、ペダル本体の操作感を良好状態に維持することが可能である。しかし、上記構成では、車両の衝突時に作用する衝撃荷重に応じて上記ペダル本体を拡開変形させる際に、ペダルブラケットに支持されたペダル本体に斜め方向の荷重が作用する等により、ペダル本体が傾斜状態となると、ペダル本体がペダルブラケットに引っ掛かるという事態が生じ易く、このような事態が生じると、ペダルブラケットによるペダル本体の拘束状態が維持されて運転者の足元に所定の負荷が作用することが避けられない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、通常時にペダル本体の操作感を良好状態に維持できるとともに、車両の衝突時にペダル踏込部の後退を簡単かつ効果的に防止して運転者の足元に作用する負荷を軽減することができる操作ペダルの支持構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、ダッシュパネルに枢支されて車両の前後方向に揺動操作される操作ペダルの支持構造であって、上記ダッシュパネルに取り付けられて車両の後方側に延びるペダルブラケットと、このペダルブラケットに設置された車幅方向に延びる第1支軸を介して揺動自在に支持されるペダル本体と、上記ペダルブラケットに設置された車幅方向に延びる第2支軸を介して揺動自在に支持されるとともに、車両の衝突時に車体側部材と干渉することにより上記第2支軸を支点に回動変位して上記第1支軸を下方に押動する回動レバーとを備え、上記ペダルブラケットには、通常時に上記第1支軸を支持する支持部と、車両の衝突時に上記回動レバーの回動変位に応じて上記第1支軸が下方に脱落するのを促進する脱落促進部とが設けられており、上記支持部は、通常時のペダル踏込み操作に応じて上記第1支軸からペダルブラケットに加わる力の作用線から少なくとも下方側に略90度の角度範囲に亘って上記第1支軸と当接するように設置されていることを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、通常の走行状態では、ダッシュパネルに取り付けられるペダルブラケットに、車幅方向に延びる第1支軸を介してペダル本体を支持させることにより、簡単な構成でペダル本体の安定した支持状態を得ることができ、ペダル本体を揺動操作する際の操作感を良好状態に維持することができる。特に、本発明では、上記第1支軸を支持するペダルブラケットの支持部が、運転者のペダル踏込み操作に応じて上記第1支軸からペダルブラケットに加わる力の作用線から少なくとも下方側に略90度の角度範囲に亘って上記第1支軸と当接するように設置されていることにより、ペダル踏込み力に対する充分な反力を上記第1支軸を介してペダル本体に付与することができるとともに、ペダル本体の自重を効果的に支持することができるため、ペダル本体の支持剛性を充分に確保してペダル本体の操作感を確実に良好状態に維持することができるという利点がある。
そして、車両の衝突時には、第2支軸を介してペダルブラケットに支持される回動レバーを車体側部材との干渉に応じて回動変位させることにより、上記第1支軸を下方に押動して上記支持部から脱落させるように構成したため、ペダル本体の下端部に設けられたペダル踏込部上に運転者の足が載置された状態で衝突事故が発生した場合においても、このペダル踏込部がペダル本体とともに車両の後方側に押動されることに起因して運転者の足元に過大な負荷が作用するのを効果的に防止できるという利点がある。
上記構成において、上記第1支軸の両端部には、上記支持部に対し車幅方向に当接して上記第1支軸をペダルブラケットに保持させる固定部を設けることが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、通常時に第1支軸をペダルブラケットに安定して保持させることができる。また、車両の衝突時には、第1支軸の両端部に設けられた固定部を上記支持部の外側面に沿って摺動させながら上記第1支軸を下方に脱落させることができるため、第1支軸が車幅方向に大きく移動したり斜め向きの状態になったりすることに起因してこの第1支軸がペダルブラケットに引っ掛かるという事態の発生を効果的に防止することができ、第1支軸を確実に下方に脱落させることができる。
上記脱落促進部は、車両の衝突時に回動レバーによって押動される上記第1支軸の旋回方向に沿って設けられていることが好ましい(請求項3)。
このように、回動レバーによって押動される上記第1支軸の旋回方向に沿って上記脱落促進部を設ければ、車両の衝突時に上記第1支軸をこの脱落促進部に沿って容易に脱落させることができる。
上記脱落促進部は、例えば溝部によって構成することができる(請求項4)。
このようにすれば、簡単な構成で上記第1支軸を確実に脱落させることができる。
この場合、上記回動レバーは、車両の衝突時に、車両の前方側の斜め下方に向けて上記第1支軸を押動するように構成されていることが好ましい(請求項5)。
このように、回動レバーが第1支軸を押動する方向を、車両の前方側の斜め下方に設定すれば、それに合わせて上記溝部(脱落促進部)の設置位置を、上記第1支軸を支持する支持部よりも車両の前方側、つまり運転者のペダル踏込み操作に応じて上記第1支軸からペダルブラケットに加わる力の作用方向と反対側に設定することができるため、上記溝部(脱落促進部)の存在に起因して上記支持部の支持強度が低下するという事態を効果的に抑制することができ、通常時に上記支持部の支持強度を充分に確保しながら、車両の衝突時には第1支軸を適正に上記支持部から脱落させることができる。
また、本発明においては、上記回動レバーに、上記ペダルブラケットに設けられた支持部から脱落した第1支軸およびペダル本体の上部を車両の後方側に移動させるように駆動する後方移動手段を設けることが好ましい(請求項6)。
このように、車両の衝突時に、ペダル本体の上部を車両の後方側に移動させるようにすれば、ペダル本体の下端部に設けられたペダル踏込部を、ブレーキブースタ駆動用のプッシュロッドの連結部等を支点としてペダル本体の上部を車両の前方側に移動させることができるため、このペダル踏込部から運転者の足元に入力される負荷を効果的に軽減することができる。
上記後方移動手段は、上記第1支軸の設置部よりも車両の前方側に延びるように上記回動レバーに設けられた延出部であり、該延出部は、車両の衝突時に、上記回動レバーの回動変位に伴い上記ペダル本体の上部に当接し、これを車両の後方側に移動させることが好ましい(請求項7)。
このようにすれば、上記第1支軸の脱落後に、ペダル本体を駆動する回動レバーのレバー比を変化させることにより、ブレーキブースタ駆動用のプッシュロッドの連結部等を支点としてペダル本体の上部を大きく車両の後方側に移動させることができるとともに、これに応じてペダル踏込部を車両の前方側に大きく移動させることができるため、このペダル踏込部から運転者の足元に入力される負荷を効果的に軽減することができる。
また、本発明において、通常時にブレーキブースタを駆動するとともに上記第1支軸脱落後にペダル本体の揺動支点となるプッシュロッドの連結部が、上記ペダル本体における上記第1支軸の設置部よりも下方に設けられている場合には、上記回動レバーは、車両の衝突時に、上記プッシュロッドの連結部と上記第1支軸の設置部とを結ぶ線に略平行に上記第1支軸を押動して上記支持部から脱落させることが好ましい(請求項8)。
このように、車両の衝突時に上記回動レバーが第1支軸を押動する方向を、上記第1支軸脱落後におけるペダル本体の揺動支点となるプッシュロッドの連結部と上記第1支軸の設置部とを結ぶ線に略平行に設定した場合には、上記第1支軸の脱落時にペダル本体が上記プッシュロッドの連結部を支点に回動変位してそのペダル本体の上部が車両の前方側に移動することを防止できるため、これに応じてペダル踏込部が車両の後方側に一時的に移動するのを防止することができ、このペダル踏込部の後退に起因して運転者の足元に入力される負荷が増大するという事態を効果的に回避することができる。
以上説明したように、本発明の操作ペダルの支持構造によれば、通常時にペダル本体の操作感を良好状態に維持できるとともに、車両の衝突時にペダル踏込部の後退を簡単かつ効果的に防止して運転者の足元に作用する負荷を軽減することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る操作ペダルの支持構造を示している。図1において、1はエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルであり、このダッシュパネル1には、ブレーキペダル等の操作ペダルを構成するペダル本体2を揺動自在に支持するペダルブラケット3と、ブレーキブースタ4とが取り付けられるとともに、上記ペダルブラケット3には、車両の衝突時にペダル本体2の揺動支点を下方に脱落させるように駆動する回動レバー5が枢支されている。
上記ペダルブラケット3は、図2〜図4に示すように、ダッシュパネル1にボルト止めされる取付基板6と、この取付基板6の左右両端部から車両の後方側に延びる左右一対のブラケット本体7とを有し、このブラケット本体7の後端部には、上記ペダル本体2が操作されたことを検出するブレーキセンサ(図示せず)の取付ブラケット8が下方に向けて突設されている。また、上記ペダルブラケット3のブラケット本体7は、取付基板6の左右両側辺部から車両の後方側に延びる左右一対の鉛直板9と、その下端部から車幅方向の外方側に延びる左右一対の水平板10と、この水平板10の外側端部から下方に延びる左右一対の外側板11と、この外側板11の下端部から車幅方向の内方側に向けて斜め向きに延びる左右一対の傾斜板12とを有している。
上記ブラケット本体7の鉛直板9には、ペダル本体2の揺動支点となる第1支軸13が挿通される支持孔14と、この支持孔14の下辺部から斜め前方側に延びる傾斜溝部15とが形成されている。また、上記傾斜溝部15の後方側には、支持孔14に向けて斜め向きに延びる切欠き部16が形成されるとともに、上記支持孔14の後方側には、上記回動レバー5の揺動支点となる第2支軸17が挿通される支持孔18が形成されている。
上記ブラケット本体7の鉛直板9に設けられた傾斜溝部15および切欠き部16の下方側には、上記鉛直板9の下辺部と、水平板10の前後方向中央部と、外側板11の上側辺部とを所定範囲に亘って切り欠くことにより略矩形状の開口部19が形成され、この開口部19と上記傾斜溝部15および切欠き部16とによって略台形状の脆弱部20が区画形成されている。この脆弱部20は、通常時に上記第1支軸13を下方から支持してその下方移動を規制するとともに、車両の衝突時には、後述するように上記回動レバー5の回動変位に応じて変形することにより、上記第1支軸13の下方への脱落を許容するように構成されている。
そして、上記ペダルブラケット3の鉛直板9に形成された支持孔14の周縁部および上記脆弱部20からなる第1支軸13の支持部に対し、第1支軸13の左右両端部に設けられたナット22およびボルト頭部23からなる固定部が車幅方向に圧接されることにより、第1支軸13がペダルブラケット3に取り付けられている。すなわち、上記第1支軸13の軸部を、ブラケット本体7の支持孔14およびペダル本体の2のボス部21に設けられた挿通孔に挿通させるとともに、上記第1支軸13の先端部にナット22を螺着することにより、上記第1支軸13の固定部(ナット22およびボルト頭部23)が上記支持孔14の周縁部に対して車幅方向に圧接された状態で、上記第1支軸13がペダルブラケット3に取り付けられ、この第1支軸13を支点に上記ペダル本体2が揺動可能に支持されている。
上記ペダル本体2の下端部には、図1に示すように、運転者の足が載置されるペダル踏込部34が設けられている。また、ペダル本体2においてこのペダル踏込部34と上記第1支軸13との間には、上記ブレーキブースタ4を駆動するためのプッシュロッド35が連結されている。
ここで、上記のように第1支軸13およびプッシュロッド35の設置部において支持されているペダル本体2に対し、運転者がペダル踏込部34を踏込む操作を行うと、このペダル踏込み操作に応じて上記プッシュロッド35から上記ブレーキブースタ4に前向きの作動力が加わるとともに、上記第1支軸35から上記ペダルブラケット3の支持部に後向きの押圧力が加わることになる。このうち、上記第1支軸13からペダルブラケット3に加わる押圧力を、図5における矢印Fで示す。上記第1支軸13を支持するペダルブラケット3の支持部(支持孔14の周縁部および脆弱部20)は、この図5に示されるように、上記第1支軸13からペダルブラケット3に加わる押圧力Fの作用線から少なくとも下方側に略90度の角度範囲Aに亘って上記第1支軸13と当接するように設置されている(ただし図例では、傾斜溝部15の設置部を除いて、略全周に亘って第1支軸13と当接するように設置されている)。これにより、上記ペダルブラケット3の支持部は、上記第1支軸13を効率よく支持することが可能となっている。
上記回動レバー5は、第2支軸17が挿通される挿通孔25が下端部に形成された左右一対の脚体26と、この脚体26の上端部に設けられた左右一対の側壁板27と、左右の側壁板27上端部を互いに連結する天板28とを有し、上記天板28の前方部には、脚体26よりも車両の前方側に向けて斜め下向きに延びる延出部28aが設置されている。また、上記側壁板27には、通常時に上記ペダルブラケット3の切欠き部16内に挿入されて上記脆弱部20を補強することにより、この脆弱部20の変形を抑制する補強部30が脚体26の後方部に突設されている。さらに、図2および図4に示すように、上記延出部28aの前端部中央には、平面視で後窄まりの切欠き部31が形成され、この切欠き部31がペダル本体2に対向した状態で設置されるようになっている。
そして、上記第2支軸17の軸部を、ブラケット本体7の支持孔18および回動レバー5の挿通孔25に挿通させるとともに、上記第2支軸17の先端部にナットを螺着して、この第2支軸17をペダルブラケット3に取り付けることにより、第2支軸17を支点に上記回動レバー5が揺動可能に支持されている。また、上記回動レバー5の補強部30が、ペダルブラケット3の切欠き部16内に挿入されるとともに、回動レバー5の脚体26が、上記第1支軸13と所定距離を置いてその後方側の斜め上方に対向した状態で設置されている。さらに、上記天板28に設けられた前方への延出部28aは、上記第1支軸13の設置部よりも車両の前方側に延びるように設置されることにより、ペダル本体2の前面と所定距離を置いて対向した状態で配設されるようになっている。
図1に示すように、上記回動レバー5の後方側には、パイプ材からなるステアリングコラム支持用のインストルメントパネルレインフォースメント32が所定距離を置いて配設されるとともに、このインストルメントパネルレインフォースメント32には、上記回動レバー5の後端部と所定距離を置いて対向する車体側部材33が設置されている。そして、車両の衝突時にダッシュパネル1およびペダルブラケット3が後退し、このペダルブラケット3に取り付けられた上記回動レバー5の後端部が上記車体側部材33に当接すると、図6に示すように、第2支軸17を支点に回動レバー5の脚体26が車両の前方側に倒れる方向に回動変位することにより、上記補強部30がペダルブラケット3の切欠き部16内からその下方に離脱するとともに、上記脚体26が第1支軸13を保持するボス部21に当接し、図示の矢印に示すように、第1支軸13が、上記傾斜溝部15の設置方向と略同方向である車両の前方側の斜め下方に押動されることになる。
車両の衝突荷重に応じて上記ペダルブラケット3がさらに後退すると、図7に示すように、上記ペダルブラケット3に設けられた脆弱部20が、その後方側に設けられた切欠き部16を起点として下方に押し下げられるように塑性変形することにより、上記傾斜溝部15が拡開変形する。この結果、上記第1支軸13の支持状態が解除され、その第1支軸13が、上記のように拡開した傾斜溝部15からなる脱落促進部に沿って下方にスライド変位しつつ上記ペダルブラケット3の支持部から脱落し、その直後に図8に示すように、第1支軸13が上記支持孔14の下方に位置する開口部19内に移動するとともに、上記ボルト頭部23および上記ナット22からなる第1支軸13の固定部が、ペダルブラケット3に形成された開口部19を介して左右の外側板11,11の間に導入され、これに応じて上記ペダル本体2がペダルブラケット3から離脱するようになっている。
また、上記第1支軸13が下方に脱落した後、図9に示すように、回動レバー5に設けられた延出部28a(天板28の前方部分)の前端部がペダル本体2の上部前面に当接することにより、ペダル本体2の上部が車両の後方側に押動され、ブレーキブースタ4を駆動するプッシュロッド35の連結部を支点としてペダル本体2が回動変位することになる。すなわち、車両の衝突時に、上記ペダルブラケット3の支持部から下方に脱落した第1支軸13の下方部においてペダル本体2の前面に当接してこれを押動することにより、上記第1支軸13およびペダル本体2の上部を車両の後方側に移動させるように駆動する後方移動手段が、上記回動レバー5に設けられた延出部28aにより構成されている。なお、延出部28aの前端部に、上述したような後窄まりの切欠き部31が形成されているため、ペダル本体2は、延出部28aとの当接時にこの切欠き部31の形成面に沿って車幅方向中央部側に引き寄せられることになる。そして、上記切欠き部31がこのようにペダル本体2を車幅方向中央部側に案内することにより、ペダルブラケット3による拘束が解除されたペダル本体2が大きく横移動することに起因して車体構成部材に引っ掛かるような事態の発生が効果的に防止されるようになっている。
以上説明したように、上記構成によれば、通常の走行状態では、ダッシュパネル1に取り付けられるペダルブラケット3の支持部(支持孔14の周縁部および脆弱部20)に、車幅方向に延びる第1支軸13を介してペダル本体2を支持させることにより、簡単な構成でペダル本体2の安定した支持状態を得ることができ、ペダル本体2を揺動操作する際の操作感を良好状態に維持することができる。特に、上記構成では、第1支軸13を支持するペダルブラケット3の支持部が、運転者のペダル踏込み操作に応じて上記第1支軸13からペダルブラケット3に加わる押圧力Fの作用線から少なくとも下方側に略90度の角度範囲Aに亘って上記第1支軸13と当接するように設置されていることから、ペダル踏込み力に対する充分な反力を上記第1支軸13を介してペダル本体2に付与することができるとともに、ペダル本体2の自重を効果的に支持することができるため、ペダル本体2の支持剛性を充分に確保してペダル本体2の操作感を確実に良好状態に維持できるという利点がある。
そして、車両の衝突時には、車体側部材33との干渉に応じて回動変位される回動レバー5によって上記第1支軸13を下方に押動し、この第1支軸13を下方から支持する脆弱部20を変形させることにより、上記第1支軸13を下方に脱落させるように構成したため、ペダル踏込部34上に載置された運転者の足元に作用する負荷を効果的に低減できるという利点がある。すなわち、上記実施形態では、車両の前突事故が発生してダッシュパネル1が後方に押動された場合に、上記車体側部材33の前端部を回動レバー5の後端部に当接させ、第2支軸17を支点に回動レバー5を回動変位させることにより、上記第1支軸13を下方に変位させる押圧力を作用させ、この押圧力に応じて上記脆弱部20を下方に押し下げるように変形させるとともに、その脆弱部20の前方に設けられた傾斜溝部15からなる脱落促進部を拡開変形させるように構成したため、衝突事故の発生時に、上記ペダルブラケット3による第1支軸13の支持状態を解除するとともに、その支持状態が解除された第1支軸13を上記傾斜溝部15に沿って車両の前方側の斜め下方に脱落させることができる。これにより、上記ペダル踏込部34上に運転者の足が載置された状態で衝突事故が発生した場合においても、このペダル踏込部34がペダル本体2とともに車体の後方側に押動されることに起因して運転者の足元部に過大に負荷が作用するのを効果的に防止できるという利点がある。
しかも、上記実施形態では、車両の衝突事故発生時に、まず回動レバー5の脚体26をボス部21に当接させることにより、ボス部21を下方に押動してこれに保持される第1支軸13をペダルブラケット3の支持部から脱落させた後(図7参照)、回動レバー5の延出部28aの前端部をペダル本体2の第1支軸13の下方部に当接させることによってペダル本体2の上部を車両の後方側に移動させるように構成したため(図9参照)、上記第1支軸13をペダルブラケット3の支持部から容易に脱落させることができるとともに、その後にペダル本体2を駆動する回動レバー5のレバー比を変化させてペダル本体2の上部を大きく車両の後方側に変位させることができ、その結果、ペダル踏込部34を車両の前方側に大きく移動させて運転者の足元に作用する負荷を効果的に軽減することができるという利点がある。
すなわち、上記のように回動レバー5の脚体26を第1支軸13に当接させて第1支軸13を支持孔14から脱落させる際には、上記回動レバー5の駆動力を梃子の原理により増大させてペダル本体2の上端部を大きな力で容易に下方に脱落させることができる。そして、上記第1支軸13を支持孔14から脱落させた後には、それ程大きな駆動力を作用させることなくペダル本体2の上部を車両の後方側に移動させることが可能であるため、上記延出部28aの前端部に押動されるペダル本体2の被当接部を、ペダル本体2の揺動支点となる上記プッシュロッド35の連結部に近い位置に設定することにより、ペダル本体2を大きく揺動変位させてペダル踏込部34を車両の前方側に大きく移動させることが可能となる。したがって、上記ペダル本体2の下端部に設けられたペダル踏込部34から運転者の足元に入力される負荷、つまり車両の前突荷重に対応して運転者を前方側に移動させようとする慣性力により運転者の足元に作用する負荷を効果的に軽減できるという利点がある。
また、上記実施形態のように、ペダルブラケット3を構成する左右一対の鉛直板9に、第1支軸13の支持孔14を設けるともに、第1支軸13の左右両端部に設けられた固定部(ナット22およびボルト頭部23)を上記ペダルブラケット3の支持部(支持孔14の周縁部および脆弱部20)に圧接させることにより、第1支軸13の左右両端部を上記ペダルブラケット3に取り付けるように構成した場合には、通常時に上記第1支軸13をペダルブラケット3に安定して支持させることができるとともに、車両の衝突時に上記支持部から離脱した第1支軸13を上記鉛直板9に沿って下方に移動させることにより、第1支軸13が車幅方向に大きく移動したり斜め向きの状態になったりすることに起因してこの第1支軸13がペダルブラケット3に引っ掛かるという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
また、上記実施形態のように、上記第1支軸13の脱落を促進する傾斜溝部15からなる脱落促進部を、上記支持孔14の下辺部から斜め前方側に延びるように設置するとともに、回動レバー5を、車両の衝突時に回動変位するのに応じて上記傾斜溝部15の設置方向と略同方向に(車両の前方側の斜め下方に)上記第1支軸13を押動するように構成した場合には(図6参照)、第1支軸13を傾斜溝部15に沿って容易に上記支持孔14の下方に脱落させることができる。なお、上記実施形態では、傾斜溝部15を斜め下方に向けて略直線状に延びるように設置したが、この傾斜溝部15を、回動レバー5の揺動支点である第2支軸17を中心とした円弧状に延びるように設置することにより、車両の衝突時に回動レバー5によって押動される第1支軸13の旋回方向に傾斜溝部15がより忠実に沿うようにしてもよい。このようにすれば、円弧状の傾斜溝部15に沿って、上記第1支軸13をよりスムーズに下方に脱落させることができる。
さらにまた、上記実施形態では、傾斜溝部15を、上記支持孔14に対して車両の前方側、つまり上記第1支軸13からペダルブラケット3に加わる押圧力Fの作用方向(図5参照)と反対側に設置したことにより、上記第1支軸13を支持するペダルブラケット3の支持部(支持孔14の周縁部および脆弱部20)の支持強度が上記傾斜溝部15の存在に起因して低下するという事態を効果的に抑制することができるため、通常時に上記支持部の支持強度を充分に確保しながら、車両の衝突時には第1支軸13を適正に上記支持部から脱落させることができるという利点がある。
なお、以上説明したような操作ペダルの支持構造は、本発明にかかる操作ペダルの支持構造の一実施形態であって、その具体的な構成等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、変形例を以下に説明する。
(1)上記実施形態では、図3に示したように、支持孔14とその下方の開口部19との間に設けられた脆弱部20によって第1支軸13を下方から支持し、車両の衝突時に、この脆弱部20を塑性変形させるとともに、この脆弱部20の塑性変形に応じて拡開した傾斜溝部15に沿って第1支軸13を支持孔14から下方に脱落させるように構成したが、通常時に第1支軸13の安定した支持状態を得ることができかつ車両の衝突に応じて第1支軸13を脱落させることができる支持構造であれば、上記構造に限らず各種の構造を採用可能である。例えば、図10に示すように、上記第1支軸13が支持される支持孔14の下方部に形成された開口部19の上端部に車両の前方側に向けて突出する突部37を設け、この突部37により、通常時には第1支軸13の下方移動を規制するとともに、車両の衝突時には上記回動レバー5の回動変位に応じて上記突部37を変形させて上記第1支軸13が下方に脱落するのを許容するように構成してもよい。この構成によれば、上記ペダルブラケット3の構造を簡略化しつつ、通常の走行状態では、上記第1支軸13を安定した支持状態に保持することができるとともに、車両の衝突時には、突部37を容易に変形させて上記第1支軸13をその設置部から容易に脱落させることができる。
(2)上記実施形態では、第1支軸13を支持孔14から脱落させる際に、傾斜溝部15に沿って第1支軸13を開口部19内に移動させ、第1支軸13の固定部(ナット22およびボルト頭部23)を左右の外側板11,11内に導入させることにより、上記第1支軸13をペダルブラケット3から完全に離脱させるように構成したが、第1支軸13の拘束を車両の衝突に応じて適正に解除できる支持構造であれば上記構造に限らず各種の構造を採用可能である。例えば、図11に示すように、支持孔14の下辺部から一旦車両の前方側に延びてそこから反対側の車両後方に大きく延びるガイド溝39からなる脱落促進部を形成した構造としてもよい。そして、車両の衝突初期段階において、図12に示すように、回動レバー5の後端部をインストルメントパネルレインフォースメント32からなる車体側部材に当接させ、上記回動レバー5を回動させて第1支軸13を車両の前方側の斜め下方に押動することにより、上記ガイド溝39の上端部に設けられた前後一対の突部37を変形させて上記第1支軸13を車両の前方側の斜め下方に一旦脱落させるとともに、そこから上記回動レバー5の延出部28aの前端部によりペダル本体2の上部を後方側に押動する等により、図13に示すように、上記ガイド溝39に沿って第1支軸13を車両の後方側に案内するように構成してもよい。このように構成した場合には、通常時におけるペダル本体2の支持剛性を充分に確保できるとともに、車両の衝突時に、ペダル本体2の上端部をペダルブラケット3から完全に離脱させることなく、車両の後方側に移動させて上記ペダル本体2の下端部に設けられたペダル踏込部34を車両の前方側に大きく移動させることにより、このペダル踏込部34から運転者の足元に入力される負荷を効果的に軽減できるという利点がある。
(3)上記実施形態では、車両の衝突時に、回動レバー5の回動変位に応じて上記第1支軸13を車両の前方側の斜め下方に押動するように構成したが、第1支軸13を略鉛直下向きに押動するように構成してもよい。このようにした場合には、第1支軸13を脱落させる際に脆弱部20をより大きく変形させる必要が生じるが、プッシュロッド35の連結部と上記第1支軸13の設置部とを結ぶ線に略平行にペダル本体2を脱落させることができるため、上記第1支軸13の脱落時にペダル本体2が上記プッシュロッド35の連結部を支点に回動変位してそのペダル本体2の上部が車両の前方側に移動するのを防止することができ、これに応じてペダル踏込部34が車両の後方側に一時的に移動するのを防止することができる。このため、上記ペダル踏込部34の後退に起因して運転者の足元に入力される負荷が増大するという事態を効果的に回避することができる。
本発明に係る操作ペダルの支持構造の実施形態を示す側面図である。 上記操作ペダルの支持構造の具体的構成を示す分解斜視図である。 通常時におけるペダル本体の支持状態を示す側面図である。 上記操作ペダルの支持構造の具体的構成を示す正面図である。 第1支軸を支持する支持部の具体的構成を示す説明図である。 衝突初期段階におけるペダル本体の支持状態を示す側面図である。 第1支軸が脱落した状態を示す側面図である。 第1支軸が脱落した状態を示す正面図である。 衝突の後期段階におけるペダル本体の状態を示す側面図である。 第1支軸を支持する支持部の別の具体例を示す説明図である。 本発明に係る操作ペダルの支持構造の別の実施形態を示す側面図である。 上記別の実施形態にかかるペダル本体の衝突初期段階における支持状態を示す側面図である。 上記別の実施形態にかかるペダル本体の衝突後期段階における支持状態を示す側面図である。
符号の説明
1 ダッシュパネル
2 ペダル本体
3 ペダルブラケット
4 ブレーキブースタ
5 回動レバー
13 第1支軸
15 (傾斜)溝部(脱落促進部)
17 第2支軸
22 ナット(固定部)
23 ボルト頭部(固定部)
28a 延出部(後方移動手段)
33 車体側部材
35 プッシュロッド
F 押圧力(第1支軸からペダルブラケットに加わる力)
A 角度範囲

Claims (8)

  1. ダッシュパネルに枢支されて車両の前後方向に揺動操作される操作ペダルの支持構造であって、
    上記ダッシュパネルに取り付けられて車両の後方側に延びるペダルブラケットと、
    このペダルブラケットに設置された車幅方向に延びる第1支軸を介して揺動自在に支持されるペダル本体と、
    上記ペダルブラケットに設置された車幅方向に延びる第2支軸を介して揺動自在に支持されるとともに、車両の衝突時に車体側部材と干渉することにより上記第2支軸を支点に回動変位して上記第1支軸を下方に押動する回動レバーとを備え、
    上記ペダルブラケットには、通常時に上記第1支軸を支持する支持部と、車両の衝突時に上記回動レバーの回動変位に応じて上記第1支軸が下方に脱落するのを促進する脱落促進部とが設けられており、
    上記支持部は、通常時のペダル踏込み操作に応じて上記第1支軸からペダルブラケットに加わる力の作用線から少なくとも下方側に略90度の角度範囲に亘って上記第1支軸と当接するように設置されていることを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  2. 請求項1記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記第1支軸の両端部に、上記支持部に対し車幅方向に当接して上記第1支軸をペダルブラケットに保持させる固定部を設けたことを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  3. 請求項1又は2記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記脱落促進部は、車両の衝突時に回動レバーによって押動される上記第1支軸の旋回方向に沿って設けられていることを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  4. 請求項3記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記脱落促進部を溝部によって構成したことを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  5. 請求項3又は4記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記回動レバーは、車両の衝突時に、車両の前方側の斜め下方に向けて上記第1支軸を押動することを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記回動レバーに、上記ペダルブラケットに設けられた支持部から脱落した第1支軸およびペダル本体の上部を車両の後方側に移動させるように駆動する後方移動手段を設けたことを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  7. 請求項6記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記後方移動手段は、上記第1支軸の設置部よりも車両の前方側に延びるように上記回動レバーに設けられた延出部であり、
    該延出部は、車両の衝突時に、上記回動レバーの回動変位に伴い上記ペダル本体の上部に当接し、これを車両の後方側に移動させることを特徴とする操作ペダルの支持構造。
  8. 請求項1又は2記載の操作ペダルの支持構造において、
    上記ペダル本体には、通常時にブレーキブースタを駆動するとともに上記第1支軸の脱落後にペダル本体の揺動支点となるプッシュロッドの連結部が、上記第1支軸の設置部よりも下方に設けられており、
    上記回動レバーは、車両の衝突時に、上記プッシュロッドの連結部と上記第1支軸の設置部とを結ぶ線に略平行に上記第1支軸を押動して上記支持部から脱落させることを特徴とする操作ペダルの支持構造。
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