JP4500084B2 - 車両のペダル支持構造 - Google Patents
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このように構成された本発明においては、上部ペダル部材がペダルブラケットに揺動可能に支持され、この上部ペダル部材に下部ペダル部材及び当接部材がそれぞれ揺動可能に支持され、さらに、通常時(非衝突時)には、当接部材と下部ペダル部材とがそれらが相対変位しないように連結されているので、運転者がペダルを踏むことにより、上部ペダル部材及び下部ペダル部材が一体で揺動して通常のペダル操作を行うことが出来る。一方、衝突時には、当接部材の当接部が車体後方に移動し車体側補強部材に当接して揺動するので、上部ペダル部材に対し下部ペダル部材のその揺動軸より下方部分を車体前方側に強制的に変位させることが出来る。
また、当接部材の当接部は、通常時に車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し車体側補強部材と当接するようにして下部ペダル部材の下方部分を車両前方に強制変位させるようになっているので、当接部材、上部ペダル部材及び下部ペダル部材を、車体側補強部材と連結せずにユニット化することが出来る。
さらに、このように構成された本発明においては、ガイド用長孔はピン手段を保持する保持部を備えているので、通常時には、下部ペダル部材が踏まれてもピン手段を連結用長孔の摩擦力により保持して上部ペダル部材に対し下部ペダル部材が相対変位しないようにすることが出来る。一方、衝突時には、当接部材の当接部が車体側補強部材と当接して揺動することにより保持部それ自体が破壊され上部ペダル部材に対し下部ペダル部材の下方部分を車体前方側に強制的に変位させることが出来る。
このように構成された本発明においては、上部ペダル部材がペダルブラケットに揺動可能に支持され、この上部ペダル部材に下部ペダル部材及び当接部材がそれぞれ揺動可能に支持され、さらに、通常時(非衝突時)には、当接部材と下部ペダル部材とがそれらが相対変位しないように連結されているので、運転者がペダルを踏むことにより、上部ペダル部材及び下部ペダル部材が一体で揺動して通常のペダル操作を行うことが出来る。一方、衝突時には、当接部材の当接部が車体後方に移動し車体側補強部材に当接して揺動するので、上部ペダル部材に対し下部ペダル部材のその揺動軸より下方部分を車体前方側に強制的に変位させることが出来る。
また、当接部材の当接部は、通常時に車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し車体側補強部材と当接するようにして下部ペダル部材の下方部分を車両前方に強制変位させるようになっているので、当接部材、上部ペダル部材及び下部ペダル部材を、車体側補強部材と連結せずにユニット化することが出来る。
このように構成された本発明においては、ピン手段の通常時の位置でのガイド用長孔の延びる方向が、第2の揺動軸とピン手段とを結ぶ線が延びる方向に対して直交しているので、通常時のブレーキ操作時には、ピン手段と連結用長孔との間にはガイド用長孔にほぼ直交する方向の力が作用し、この力は第2の揺動軸とピン手段とを結ぶ線が延びる方向(当接手段の前方部分が延びる方向)と一致する。従って、通常時のブレーキ操作時には、ピン手段がガイド用長孔に沿って移動しないようにすることが出来ると共に摩擦力によりガイド用長孔とピン手段とをその位置で互いにロックさせることが出来、その結果、上部ペダル部材と下部ペダル部材との相対変位が抑制され、通常のブレーキ操作を行うことが出来る。
一方、衝突時に当接部材が揺動し始めるとき、当接部材の当接部が車体側補強部材と当接して揺動することによりピン部材には大きな力が加わってピン手段がガイド用長孔との摩擦力に打ち勝ち移動して上部ペダル部材に対し下部ペダル部材の下方部分を車体前方側に強制的に変位させることが出来る。
上記の目的を達成するために本発明は、ダッシュパネルが車室内前方に配置され、このダッシュパネルに固定されたペダルブラケットにペダル装置を揺動可能に支持する車両のペダル支持構造であって、ペダルブラケットより車体後方側に車幅方向に延びるように配置された車体側補強部材と、ペダルブラケットに揺動可能に支持された上部ペダル部材と、この上部ペダル部材に揺動可能に支持されその下端部にペダルを備えた下部ペダル部材と、上部ペダル部材に揺動可能に支持され、通常時に車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し車体側補強部材と当接する当接部を備えた当接部材と、上部ペダル部材を揺動可能に支持する第1の揺動軸と、当接部材を揺動可能に支持する上部ペダル部材に設けられた第2の揺動軸と、下部ペダル部材を揺動可能に支持する上部ペダル部材に設けられた第3の揺動軸と、当接部材の第2の揺動軸より前方に位置する当接部材の前方部分と、この当接部材の前方部分の端部に設けられたピン手段と、下部ペダル部材の第3の揺動軸よりも下方に位置する下部ペダル部材の下方部分と、下部ペダル部材の第3の揺動軸よりも上方に位置する下部ペダル部材の上方部分と、を有し、この上方部分には、ピン手段が挿入されると共にその中を移動するようになっている連結用長孔が形成され、上部ペダル部材と下部ペダル部材とは、第3の揺動軸及びピン手段を介して連結され、上部ペダル部材に揺動可能に取り付けられた当接部材が第2の揺動軸を中心に揺動すると、ピン手段が連結用長孔内を移動して、下部ペダル部材の下方部分を車両前方側に変位させるようになっており、下部ペダル部材、第2の揺動軸、第3の揺動軸及びピン手段は、連結用長孔が、下部ペダル部材の第3の揺動軸の半径方向に沿って延びると共に、その延びる方向が第2の揺動軸とピン手段とを結ぶ線が延びる方向に対して直交するように設けられ、これにより、下部ペダル部材の下方部分は、通常時には、下部ペダル部材が踏まれてもピン手段が連結用長孔の摩擦力により保持されて上部ペダル部材に対し相対変位しないようにされ、衝突時には、当接部材の当接部が車体側補強部材と当接して揺動することによりピン手段が連結用長孔との摩擦力に打ち勝ち移動して上部ペダル部材に対し車体前方側に強制的に変位するようになっていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、上部ペダル部材がペダルブラケットに揺動可能に支持され、この上部ペダル部材に下部ペダル部材及び当接部材がそれぞれ揺動可能に支持され、さらに、通常時(非衝突時)には、当接部材と下部ペダル部材とがそれらが相対変位しないように連結されているので、運転者がペダルを踏むことにより、上部ペダル部材及び下部ペダル部材が一体で揺動して通常のペダル操作を行うことが出来る。一方、衝突時には、当接部材の当接部が車体後方に移動し車体側補強部材に当接して揺動するので、上部ペダル部材に対し下部ペダル部材のその揺動軸より下方部分を車体前方側に強制的に変位させることが出来る。
また、当接部材の当接部は、通常時に車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し車体側補強部材と当接するようにして下部ペダル部材の下方部分を車両前方に強制変位させるようになっているので、当接部材、上部ペダル部材及び下部ペダル部材を、車体側補強部材と連結せずにユニット化することが出来る。
このように構成された本発明においては、連結用長孔が、下部ペダル部材の第3の揺動軸の半径方向に沿って延びると共に、その延びる方向が第2の揺動軸とピン手段とを結ぶ線が延びる方向に対して直交しているので、通常時のブレーキ操作時には、ピン手段と連結用長孔との間には連結用長孔にほぼ直交する方向の力が作用し、この力は第2の揺動軸とピン手段とを結ぶ線が延びる方向(当接手段の前方部分が延びる方向)と一致する。従って、通常時のブレーキ操作時には、ピン手段が連結用長孔に沿って移動しないようにすることが出来ると共に摩擦力により連結用長孔とピン手段とをその位置で互いにロックさせることが出来、その結果、上部ペダル部材と下部ペダル部材との相対変位が抑制され、通常のブレーキ操作を行うことが出来る。
一方、衝突時に当接部材が揺動し始めるとき、当接部材の当接部が車体側補強部材と当接して揺動することによりピン部材には大きな力が加わってピン手段が連結用長孔との摩擦力に打ち勝ち移動して上部ペダル部材に対し下部ペダル部材の下方部分を車体前方側に強制的に変位させることが出来る。
このように構成された本発明においては、通常時に車体側補強部材と当接せずに係合部材による上部ペダル部材及び下部ペダル部材の車体前後方向の係合を保持するようにし、衝突時に車体後方に移動して車体側補強部材と当接し揺動することで係合部材による上部ペダル部材及び下部ペダル部材の車体前後方向の係合を解放するようにする係合保持部を有する当接部材と、衝突時に当接部材と当接して揺動し下部ペダル部材の下方部分を車体前方側に強制的に変位させるカム部材とを有するので、通常時には、係合部材により、上部ペダル部材と下部ペダル部材とを一体的に連結してペダル操作を行うことができ、一方、衝突時には、係合部材により上部ペダル部材と下部ペダル部材との連結を解き、さらに、カム部材により、この連結が解かれた下部ペダル部材の下方部分を車体前方側に強制的に変位させることができる。
このように構成された本発明においては、当接部材の揺動軸より前方に位置する前方部分が、通常時に、下部ペダル部材の連結用長孔にほぼ直交する方向に設けられているので、衝突時に当接部材が揺動し始めるとき、ピン手段の移動方向は連結用長孔の長手方向とほぼ一致し、ピン手段がその通常時の位置から移動し易い。さらに、ピン手段の移動方向は連結用長孔の長手方向に対し直交する方向に向けて徐々にずれるので、下部ペダル部材の上方部分を後方に向けて揺動させることが出来る。これらの結果、下部ペダル部材の下方部分を車両前方へ確実に強制的に変位させることが出来る。
このように構成された本発明においては、連結用長孔が、下部ペダル部材の揺動軸の半径方向に沿って延びているので、通常時のブレーキ操作時には、ピン手段と連結用長孔との間には連結用長孔にほぼ直交する方向の力が作用し、この力は当接手段の前方部分が延びる方向と一致する。従って、通常時のブレーキ操作時には、ピン手段が連結用長孔に沿って移動しないようにすることが出来ると共に摩擦力により連結用長孔とピン手段とをその位置で互いにロックさせることが出来、その結果、当接部材と下部ペダル部材との相対変位が抑制され、通常のブレーキ操作を行うことが出来る。
このように構成された本発明においては、上部ペダル部材、下部ペダル部材及び当接部材は、それぞれの揺動軸が平面視で所定の同一空間内に位置するように配置されているので、上部ペダル部材、下部ペダル部材及び当接部材が、車体側補強部材から受ける力により曲げ変形しにくくなる。その結果、上部ペダル部材、下部ペダル部材及び当接部材が互いに接触して相対的に揺動しにくくなることが防止されると共に連結用長孔とピン手段との相対位置もずれにくくなり、連結機構をより確実に作動させることが出来る。
このように構成された本発明においては、当接部材及び連結機構は、衝突時、下部ペダル部材の強制変位量が、衝突初期よりも衝突後期の方が大きくなるように構成されているので、下部ペダル部材の下方部分が車室側に後退するのを効果的に防止することが出来る。特に、運転者がペダルを操作しているとき、運転者が受ける衝突後期の大きな衝撃力が緩和される。
また、本発明において、好ましくは、ピン手段は、連結用長孔に挿入されると共に当接部材を貫通する本体部及びこの本体部を当接部材に固定する固定部で構成され、ペダルブラケットは、連結機構のピン手段の頭部側を覆い且つピン手段が連結用長孔及び当接部材から抜けない位置に近接して配置されている。
このように構成された本発明においては、ピン手段は、連結用長孔に挿入されると共に当接部材を貫通する本体部(例えば、ボルト)及びこの本体部を当接部材に固定する固定部(例えば、ナット)で構成され、ペダルブラケットは、連結機構のピン手段の頭部側を覆い且つピン手段が連結用長孔及び当接部材から抜けない位置に近接して配置されているので、万一、ピン手段の本体部を当接部材に固定する固定部が緩んでも、ピン手段の本体部は連結用長孔及び当接部材から抜けることがなく、通常時のブレーキ操作が保証される。
先ず、図1乃至図17により、本発明の第1実施形態による車両のペダル支持構造を説明する。この第1実施形態は、本発明の車両のペダル支持構造をブレーキペダル装置に適用したものである。図1は、第1実施形態による車両のペダル支持構造を備えた車両の前方部分の概略を示す斜視図であり、図2は、第1実施形態による車両のペダル支持構造を備えた車両の前方部分の概略を示す側面図である。
車両1は、さらに、アクセルペダル装置26、クラッチペダル装置28及び本実施形態が適用されたブレーキペダル装置34を備えている。
ブレーキペダル装置34は、インパネメンバ14の前方の斜め下方に位置し、ダッシュロアパネル6の傾斜した上方部分の車室側に、ブラケット(ペダルブラケット)38により、取り付けられている。ブレーキペダル装置34には、ピストンロッド36の一端が連結され、このピストンロッド36の他端は、マスタバッグ16に連結されている。このブレーキペダル装置34に加えられた運転者の踏力は、ピストンロッド36を介してマスタバッグ16に伝達され、マスタバッグ16により倍力されてマスタシリンダ18に伝達される。
また、ブレーキペダル装置34の車体後方側には、上述したインパネメンバ(車体側補強部材)14が車幅方向に延びるように配置され、このインパネメンバ14に、ブレーキペダル装置34に対向して前方にやや下方に向いて車体側当接部材32が取り付けられている。
ブラケット38は、ダッシュロアパネル6に平行に延びる基部ブラケット38aと、この基部ブラケット38aから後方に向かって延びる左側支持ブラケット38b及び右側支持ブラケット38cと、で構成されている。各支持ブラケット38b、38cは、基部ブラケット38aを介してボルト孔38dを貫通するボルト(図示せず)によりダッシュロアパネル6に取り付けられる。
第1上部ペダル部材44及び第2上部ペダル部材46は、第1乃至第3ピン52、54、56によって所定の離間した位置に互いに固定され、この各上部ペダル部材44、46に筒状のブレーキハブ40が固定されている。各上部ペダル部材44、46の間には、下部ペダル部材48が配置され、第3ピン56によって各上部ペダル部材44、46に揺動可能に取り付けられている。また、第2上部ペダル部材46の車幅方向右側にはウイングカム(当接部材)50が配置され、第2ピン54によって各上部ペダル部材44、46に揺動可能に取り付けられている。なお、後述するように、これらのウイングカム50及び下部ペダル部材48は連結機構60により連結されている。
第1上部ペダル部材44の下端部の前方側には、ピストンロッド36が回動可能に連結されるための孔44aが形成されている(図2参照)。
図7及び図9に示すように、第1上部ペダル部材44及び第2上部ペダル部材46は、それぞれ、板厚が全面にわたりほぼ一定である平板から作られ、第2上部ペダル部材46の板厚は、第1上部ペダル部材44の板厚より小さくなっている。
図7及び図8に示すように、第1上部ペダル部材44には、各ピン52、54、56がそれぞれ嵌め合わされる3つの孔44b、44c、44dが形成され、第2上部ペダル部材46にも、各ピン52、54、56がそれぞれ嵌め合わされる3つの孔46b、46c、46dが形成されている。
図10に示すように、各ピン52、54、56の大径部52a、54a、56aの幅はいずれも同一の幅W1にされており、これらの3つのピン52、54、56によって、各上部ペダル部材44、46間の距離が一定に即ち距離W1に保たれている。
図7及び図8(b)に示すように、下部ペダル部材48は、上方部分48a及び下方部分48bを有し、下方部分48bの下端部にはペダル48cが取り付けられている。また、上方部分48aと下方部分48bとの境界部には孔48dが形成され、この孔48dが第3ピン56の大径部56aに嵌められて、下部ペダル部材48が第3ピン(第3揺動軸)56を中心に揺動するようになっている。
また、図10に示すように、下部ペダル部材48の板厚W2は、各ピンの大径部52a、54a、56aの幅W1即ち各上部ペダル部材44、46間の距離W1より若干小さくなっているので、下部ペダル部材48が、各上部ペダル部材44、46に対して抵抗無く摺動することができるようになっている。
図7に示すように、ウイングカム50は、ほぼ直線状に延びる第1部分(前方部分)50aと、この第1部分50aに対して所定の角度で延びる第2部分(上方部分)50bとを有する。第1部分50aと第2部分50bとの境界部には孔50cが形成されている。
図9及び図10に示すように、この孔50cは、第2上部ペダル部材46から所定量突出した第2ピン54の小径部54bに嵌められており、ウイングカム50がこの第2ピン(第2揺動軸)54を中心に揺動するようになっている。
図7及び図8に示すように、各上部ペダル部材44、46の上端部の中央付近には、それぞれ、ブレーキハブ40が嵌め込まれる孔44e、46eが形成されている。ブレーキハブ40は、各上部ペダル部材44、46の孔44e、46eに嵌め込まれて固定され、このブレーキハブ40の中空部40aには、ブレーキハブ40より長手方向に若干長いハブスペーサ58が挿入される。
ブレーキハブ40の内径は、ハブスペーサ58の外径より若干大きくなっており、ハブスペーサ58に対してがたつきなく揺動するようになっている。このようにして、ブレーキハブ40が第1揺動軸40となっている。
図7及び図9に示すように、左側支持ブラケット38bの後方端には、ストッパ部材42が、左側支持ブラケット38bを折り曲げ加工して形成されている。このストッパ部材42は、車両の衝突時、万一、後述する連結機構60が作動しなかった場合に、下部ペダル部材48の強制変位を確実に行わせるためのものである。
一方、図8及び図11に示すように、下部ペダル部材48の後方側面部には、第3揺動軸56の近傍の付近からその下方にわたり曲面で構成された当接部48eが形成されており、後述するように、所定の条件下においてこの当接部48eとストッパ部材42とが当接して、連結機構60を作動させて下部ペダル部材48を確実に強制変位させるようになっている。
図7及び図8に示すように、下部ペダル部材48の上方部分48aには、孔48dに対して半径方向に直線状に延びる連結長孔68が形成され、第1上部ペダル部材44及び第2上部ペダル部材46には、それぞれ、ピンボルト66の移動をガイドするための円弧状に延びるガイド長孔70、72が形成されている。また、図7に示すように、ウイングカム50の第1部分50aの先端部には、ピンボルト66をウイングカム50に固定するための孔50fが形成されている。
具体的には、図10に示すように、リンク部66bは、ウイングカム50の孔50fの内径よりも大きい外径を有しており、その縁部66dはウイングカム50に当接している。ウイングカム50がこのリンク部66bの縁部66dとナット74(ピン手段の固定部)とにより挟み込まれると共にナット74で締め付けられて、ピンボルト66(ピン手段の本体部)がウイングカム50に固定される。なお、ナット74をウイングカム50やピンボルト66に溶接により固定するようにしても良く、ナット以外の固定具を用いても良い。
また、図9に示すように、ブレーキペダル装置34は、第1上部ペダル部材44が左側支持ブラケット38bの近傍に位置するように配置されている。後述するように、ピンボルト66は、通常時(非衝突時)には第1揺動軸(ブレーキハブ)40を中心に揺動し、衝突時にはガイド長孔70、72に沿って移動するが、左側支持ブラケット38bは、このようなピンボルト66の稼働範囲にわたってピンボルト66のヘッド部66aに近接して延びるように形成されている。
詳細は後述するように、ウイングカム50が第2揺動軸(第2ピン)54を中心に図中Aで示す方向に揺動すると、ピンボルト66が第2揺動軸54を中心に図中Bで示す方向に円弧状の軌跡を描いて移動する。そして、移動するピンボルト66は、連結長孔68を介して下部ペダル部材48の上方部分48aを後方に押し、下部ペダル部材48を図9中Cで示す方向に第3揺動軸56を中心に揺動させる。このとき、ピンボルト66は連結長孔68内を最上部68aから最下部に向けて移動する。
具体的には、図8(a)及び図8(c)に示すように、各ガイド長孔70、72の通常位置70a、72aの幅は、ピンボルト66がその位置70a、72aから動き出しにくいように、ピンボルト66に対してタイトに即ちピンボルト66との隙間が小さくなっている。
また、図8(c)に示すように、第2上部ペダル部材46のガイド長孔72には、その通常位置72aと摺動範囲72bとの境界部に、ピンボルト66がその通常位置72aから移動しないように、ノッチ72cが設けられている。このノッチ72cは、後述するように、車両の衝突時等に車体側当接部材32からピンボルト66に加わる力により破壊される程度の強度になっている。
なお、ウイングカム50に連結長孔を形成し、下部ペダル部材48にピンボルト66を設けて、上述したような連結機構を構成してもよい。
ここで、ブレーキペダル装置34は、ブレーキの非操作時には図13(a)に示す位置にあり、ブレーキの操作時には図13(b)に示すような位置にある。当接部50gは、このようなブレーキの非操作時及び操作時のいずれの位置においても、車体側当接部材32に対向する所定の範囲に延び、ブレーキペダル装置34が後退すると、このウイングカム50の当接部50gのいずれかの部分が車体側当接部材32に衝突するようになっている。
先ず、図13(a)に示すように、ブレーキ非操作時には、ピンボルト66は、通常位置68aに位置し、ウイングカム50の第1部分50aの長手方向即ち第2揺動軸54とピンボルト66とを結んだ線の延びる方向と、下部ペダル部材48の連結長孔68の長手方向とが、ほぼ直交している。
この結果、通常時には、連結長孔68とピンボルト66はその通常位置68aで互いにロックされて、下部ペダル部材48とウイングカム50とが相対変位しないようになっている。さらに、上述したように、各ガイド長孔70、72の通常位置70a、72aはタイトになっており、又、ガイド長孔72にはノッチ72cも形成されているので、ピンボルト66は通常位置70a、72aに保持される。
なお、運転者がペダル48cの踏力を緩め或いはペダルから足を離すと、下部ペダル部材48は、上述した各部材の位置関係を保ったまま、ばね(図示せず)により、図13(a)に示す位置に戻るようになっている。
ウイングカム50が車体側当接部材32に衝突すると、ウイングカム50の第2部分50bは、第2揺動軸54と衝突点(例えば、H点、J点)とを結ぶ方向に対しほぼ直交する方向の力を車体側当接部材32から受け、第2揺動軸54を中心に揺動する。このウイングカム50の揺動により、ピンボルト66は、連結長孔68及び各ガイド長孔70、72との摩擦に打ち勝ち且つ第2上部ペダル部材46のノッチ72cを破壊する。ここで、通常位置68a、70a、72aでは、ピンボルト66の移動方向は下部ペダル部材48の連結長孔68の長手方向とほぼ一致し、又、各ガイド長孔70、72にガイドされるので、ピンボルト66はその通常位置68a、70a、72aから移動し易くなっている。
ここで、下部ペダル部材48を強制的に変位させても、第1上部ペダル部材44にはピストンロッド36が連結されたままである。従って、ブレーキ操作時には、踏力が、強制変位が終了した下部ペダル部材48及び各上部ペダル部材44、46を介してピストンロッド36に伝達され、制動力は確保される。また、運転者は、ペダル48cを踏みつつ踏ん張って、車両の衝突により前方に投げ出されようとする自身の体を支えることも可能である。
また、連結機構60により、下部ペダル部材48を強制変位させるようにしているので、ブレーキペダル装置34を比較的コンパクトに且つ軽くすることが出来る。
本実施形態では、ウイングカム50の揺動特性(図16(a))及び連結機構60による連結長孔68の揺動特性(図16(b))を適当に設定することにより、図16(c)に示すような下部ペダル部材48の強制変位特性(強制揺動特性)を得るようにしている。即ち、図16(c)に示すように、車体側当接部材32と衝突して揺動を始める衝突初期と、衝突による後退量が大きくなる衝突後期とで、それぞれ強制変位速度が大きく、又、その変位速度が衝突初期より衝突後期の方が大きくなるようにしている。
ここで、ブレーキペダル装置34の後退速度が一定であるとすると、衝突初期にはウイングカム50の揺動速度は大きく、揺動が進むにつれて揺動速度が小さくなる。従って、ウイングカム50の特性をこの揺動速度で表すと、図16(a)に示すようになる。
また、衝突初期にウイングカム50の揺動速度が大きくなるので、連結長孔68に対するピンボルト66の相対速度も大きくなる。従って、通常位置68a、70a、72aに保持されているピンボルト66は、連結長孔68との摩擦に打ち勝ち且つノッチ72cを破壊して、この通常位置68a、70a、72aから移動することができる。
従って、図16(a)に示すように、ブレーキ操作時には、ウイングカム50の揺動速度は、ウイングカム50の第2部分50bがほぼ真上方向に延びる位置に至るまで増加し、その後ウイングカム50の第2部分50bが車両前方へ倒れ込むことによって減少する。
一方、下部ペダル部材48の連結長孔68は、この第1部分50aに対して直交する方向に延びているので、ピンボルト66の移動に伴い、連結長孔68の向きが上方に向けて立つように連結長孔68(下部ペダル部材48の上方部分48a)が揺動する。また、ピンボルト66の移動方向が徐々に連結長孔68の長手方向に直交するようになる。
ここで、ウイングカム50の揺動速度が一定の場合には、下部ペダル部材48の揺動速度は、初期に小さく、ウイングカム50が揺動するにつれて徐々に大きくなる。このような連結機構60による連結長孔68の揺動特性を連結長孔68(上方部分48a)の揺動速度で表すと、図16(b)に示すようになる。
図16(b)に示すように、連結機構60による連結長孔68の揺動特性によれば、ウイングカム50の揺動速度が一定の場合、ウイングカム50が揺動する程連結長孔68の揺動速度が大きくなる。その結果、連結機構60により衝突後期の下部ペダル部材48の強制変位速度を大きくすることが出来る。
本実施形態では、図16(c)に示すように、衝突後期の下部ペダル部材48の強制変位速度が衝突初期より大きくなるように、ウイングカム50については、その第2部分50bの延びる角度や第2揺動軸54からピンボルト66までの長さ等、下部ペダル部材48については、その上方部分48aの延びる角度やその上方部分48aにおける連結長孔68の半径方向の位置等を調整している。
従って、図16(c)に示すように、ウイングカム50と連結機構60とにより、衝突初期と衝突後期において、下部ペダル部材48の強制変位速度を大きくすることが出来、又、その変位速度を衝突初期より衝突後期の方が大きくすることが出来る。
また、衝突後期にも下部ペダル部材48は短時間で大きく変位するので、下部ペダル部材48が車室側に後退するのを効果的に防止することが出来る。さらに、衝突後期の下部ペダル部材48の強制変位速度が、衝突初期より大きくなるようにしているので、より効果的に後退を防止することが出来る。特に、運転者がブレーキペダル48cを操作しているとき、運転者が受ける衝突後期の大きな衝撃力が低減される。
また、ウイングカム50の第2部分50bを第2揺動軸54に対し上方に延びるように形成し、さらに、連結機構60により連結長孔68の揺動速度を設定しているので、ウイングカム50の当接部50gを車体側当接部材32に確実に衝突させると共に衝突後期に下部ペダル部材48を大きく変位させることが出来る。
図15(a)及び(b)に示すように、下部ペダル部材48の強制変位が終了すると、ウイングカム50は、その当接部50g(図13参照)が車両前方に斜め上方に延び、延長部50h(図13参照)がほぼ水平或いは車両前方に向けて斜め上方に延びる状態で止まる。また、ウイングカム50の当接部50g及び延長部50hは、インパネメンバ14の比較的下方に位置すると共に、車体側当接部材32の下方部分に当接するようになっている。
特に、ウイングカム50の延長部(第2当接部)50hは、ほぼ水平或いは車両前方に向けて斜め上方に延びた状態で車体側当接部材32に当接するようになっているので、ブレーキペダル装置34をさらに下方に押しつけることが出来る。
従って、ブレーキペダル装置34が後退すると、車体側当接部材32からの力により各支持ブラケット38b、38cが変形しながら、ブレーキペダル装置34がインパネメンバ14の下方に潜り込むように変位する。
先ず、図9及び図11に示すように、左側支持ブラケット38bが、ピンボルト66の稼働範囲にわたってピンボルト66のヘッド部66aに近接して延びるように形成されているので、万一、ピンボルト66を固定するナット74が緩んでもピンボルト66が連結長孔68及びウイングカム50の孔50fから抜けないようになっている。
特に、図8に示すように、各ガイド長孔70、72の通常位置70a、72aはピンボルト66に対しタイトに形成され、又、第2上部ペダル部材46のガイド長孔72にはノッチ72cが形成されているので、万一、ナット74が緩んでも、ピンボルト66はその通常位置70a、72aから移動しにくく、且つ、通常位置70a、72aに保持されるようになっている。ここで、第2上部ペダル部材46は板厚が小さくされているので、成型性が高く、ノッチ72cを形成し易い。
先ず、図14に示すように、車体側当接部材32の被当接面32aは車幅方向に湾曲した曲面で形成され、ウイングカム50の動きが車体側当接部材32により拘束され難くなっているので、ウイングカム50にこじり力が作用することなく、そのため、こじり力により生じるねじれ変形等を防止することが出来、さらに、こじり力によりピンボルト66と下部ペダル部材48の連結長孔68との間に大きな摩擦力が発生して連結機構60が作動しにくくなることを防止することが出来る。その結果、連結機構60がより確実に作動する。また逆に、連結機構60が確実に作動すれば、ウイングカム50が車体側当接部材32から受ける力に対する反力が連結機構60で大きく生じないので、ウイングカム50の変形が防止される。
また、第2上部ペダル部材46とウイングカム50とは、ピンボルト66のヘッド部66aとナット74とにより互いに密着するように押さえつけられていないので、ウイングカム50の車幅方向の傾きが許容される。従って、ウイングカム50が車体側当接部材32と衝突して車幅方向に傾くことがあっても、第2上部ペダル部材46との間で大きな摩擦力が生じないようにすることが出来る。一方、第2上部ペダル部材46がウイングカム50のガイドの役割を果たすので、ウイングカム50が車幅方向に大きく傾くことを防止できる。
本実施形態では、各上部ペダル部材44、46は下部ペダル部材48の両側に設けられているので、車体側当接部材32から受ける力に対するブレーキペダル装置34全体の剛性を高めることが出来る。従って、車体側当接部材32からウイングカム50を介してブレーキペダル装置34に力が伝わっても、ブレーキペダル装置34の変形が生じにくくなるので、ブレーキペダル装置34の各部材が相対的に動きにくくなることが防止される。特に、本実施形態では、ピンボルト66と連結長孔68とをタイトに形成してがたつきなく作動するようになっているが、この連結機構60に大きな摩擦力が生じないようにして、連結機構60を確実に作動させるようにすることが出来る。
図17は、ストッパ部材の作用を説明するためのブレーキペダル装置を左側から見た側面図である。図17は、ブレーキペダル装置34が後退し、ウイングカム50が車体側当接部材32に衝突したとき、連結機構60が作動せず、ブレーキペダル装置34が一体で後方に揺動し、下部ペダル部材48がストッパ部材42に当接した状態を示す。
ここで、衝突時に運転者がブレーキを踏んでいれば、その踏力が各上部ペダル部材44、46及び下部ペダル部材48の一体での後方への回動を妨げるように働くので、これらの部材44、46、48に対しウイングカム50が相対的に揺動し、連結機構60が作動し易くなる。一方、運転者の踏力によっては、ピンボルト66と下部ペダル部材48との摩擦力が大きくなったり、上述したようにピンボルト66はその通常位置に保持されるようになっている等、いくつかの要因により、連結機構60の作動が妨げられる可能性もある。
そこで、本実施形態では、万一連結機構60が作動しなかったとしても、ストッパ部材42により、連結機構60をより確実に作動させるようにしている。
このようにブレーキペダル装置34が一体で揺動した場合、下部ペダル部材48の当接部48eは、図中Lで示すような位置でストッパ部材42と当接する。この当接により、下部ペダル部材48の下方部分に図中F3で示すような方向の力が働き、この力と、ウイングカム50が車体側当接部材32から受ける力とにより、連結機構60を作動させることが出来る。
さらに、ストッパ部材42は、ブレーキ非操作時において下部ペダル部材48の近傍に位置しているので、ブレーキ非操作時に連結機構60を迅速に作動させることが出来る。また、通常のブレーキ操作を妨げることもない。
ブレーキペダル装置34が後退すると、例えば、ブレーキ非操作時には図18中M点で当接(衝突)し、鎖線で示すブレーキ操作時には、N点で当接(衝突)する。当接部50gは半径Rが一定の円弧状に形成されているので、第1揺動軸40からこれらのM点及びN点までの距離も同一となる。従って、ブレーキ非操作時及び操作時のいずれにおいても、当接部80gとインパネメンバ14の被衝突部材との相対距離が、同一の距離Dとなる。
一方、インパネメンバ14には、第1車体側当接部材92及び第2車体側当接部材94が形成されている。各車体側当接部材92、94は、ブレーキ非操作時に当接部90gが第1車体側当接部材92に当接(衝突)し、ブレーキ操作時(一点鎖線で示す)に当接部90gが第2車体側当接部材94に当接(衝突)するように、それぞれ配置されている。
従って、ブレーキ非操作時に比べ、ブレーキ操作時にウイングカム90を被衝突部材94に早く衝突させることが出来、その結果、車両の衝突後、より早く下部ペダル部材48を強制変位させて、運転者の脚部等を保護することが出来る。
また、第1車体側当接部材92と第2車体側当接部材94とを別々に設けているので、ブレーキ非操作時と操作時との両方において、適切に、ウイングカム90と車体側当接部材92、94とを衝突させることが出来る。
この場合、ブレーキ非操作時及び操作時のいずれも、ウイングカム90とこれらの車体側当接部材92、94との衝突タイミングが同一となるので、ブレーキの操作の有無にかかわらず、運転者の脚部等を保護することが出来る。
この被当接面96aは、ブレーキ操作時に当接部90gが当接(衝突)する部分Qまでの第1揺動軸40からの距離R2が、ブレーキ非操作時に当接部90gが衝突する部分Pまでの第1揺動軸40からの距離R1より短くなるような曲面で形成されている。従って、当接部90gと車体側当接部材96との相対距離が、ブレーキ非操作時の距離D1に対し、ブレーキ操作時には距離D1より短い距離D2となり、上述したようにブレーキ非操作時に比べ、ウイングカム90を被衝突部材96に早く衝突させることが出来る。
また、車体側当接部材を複数の部材で形成して、ウイングカム90がそれらの被当接面に確実に当接(衝突)させるようにしても良い。この場合には、それらの各部材の被当接面を平面で形成し、各部材間でこれらの面が連続するようにして、当接部90gが一方の被当接面から他方の被当接面に滑らかに移動出来るようにしても良く、又は、各部材の被当接面を曲面で構成して、各部材間でこれらの面が連続するようにして、全体的に円弧状や曲率が変化するような曲面状にしても良い。
図21は、第4実施形態による車両のブレーキペダル支持構造を左側から見た側面図であり、図22は、図21のB−B線に沿って見たペダルユニットの断面図であり、図23は、ペダルユニットの主要部品の部品展開図である。
先ず、図21に示すように、車両1は、第1実施形態と同様に、車室2とエンジンルーム4を仕切るダッシュロアパネル6と、インパネメンバ14とを備えている。ダッシュロアパネル6の傾斜した上方部分のエンジンルーム側には、マスタバッグ16及びマスタシリンダ18が取り付けられ、その車室側には、ブレーキペダル支持構造100が取り付けられている。
次に、図21及び図22に示すように、ブレーキペダル装置102は、上部ペダル部材110、下部ペダル部材112、カム部材114、レバー部材(当接部材)116及び係合部材118を備え、下部ペダル部材112の下方端部にはペダル112aが取り付けられている。また、上部ペダル部材110には、孔110aを介してピストンロッド36の一端が連結され、このピストンロッド36の他端は、マスタバッグ16に連結されている。
図22に示すように、通常時には、各ペダル部材110、112は互いに重ね合わされ、嵌合孔部122、124は、このように重ね合わせたときに凹部122a、124aが互いに対向する位置に設けられ、これらの凹部122a、124aにより係合部材を車幅方向に挟み込むようになっている。
また、各ペダル部材110、112は、ブレーキ操作時に各ペダル部材110、112が確実に一体で揺動するように、係合部材118により前後方向に係合され、運転者のブレーキ操作即ちペダル112aに加えられる踏力によっても折り曲げ部126bに大きな力が加わって変形しないようにしている。
また、レバー部材116には、ピン軸106(孔116c)より上方の前方側に、車幅方向に折り曲げたフランジ部(第2当接部)132が形成されている。この第2当接部132は、レバー部材116が各ペダル部材に対して相対的に揺動したときに、カム部材114の上方部分の後方側面114に衝突し、カム部材114を回転させるようになっている。
本実施形態のブレーキペダル支持構造100は、通常時には、各ペダル部材110、112が係合保持部126及び係合部材118によりピン軸106を中心に一体的に揺動するようになっており、ペダル112aに加えられた踏力が、第1ペダル部材110に連結されたピストンロッド36に伝達される。
このとき、係合保持部126の折り曲げ部126bは、第1当接部の衝突による衝撃力により、図22に示す状態から車両前後方向に真っ直ぐに延びるように変形し、その結果、重ね合わされている各ペダル部材110、112への前後方向の係合力が失われ、レバー部材116は各ペダル部材110、112に対して相対的に図中Rで示す方向に揺動する。
このとき、上部ペダル部材110はピストンロッド36に連結され車幅方向の移動が拘束されている一方、下部ペダル部材112は車幅方向に移動出来るようになっているので、下部ペダル部材112が上部ペダル部材110から離れるように車幅方向に移動する。
なお、本実施形態において、レバー部材(当接部材)116の第1当接部130を、上述した第1乃至第3実施形態のウイングカム(当接部材)50、80、90の当接部50g、50h、80g、90gのように形成し、また、レバー部材(当接部材)116の第2当接部132とカム部材114の上部後方側面114eとの距離を調整して、第1乃至第3実施形態で述べたような効果と同等の効果を得られるようにしても良い。
さらに、レバー部材(当接部材)116の形状や延びる方向、及び、カム部材114の外径形状(プロファイル)や配置により、第1実施形態で述べたような、ウイングカム50の揺動特性と同等の特性、及び、連結機構60による連結長孔68の揺動特性と同等の特性を得て、これらの特性を加算することにより上述したような下部ペダル部材48の強制変位特性と同等の特性を得ることが出来る。
2 車室
6 ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
14 インパネメンバ(車体側補強部材)
30 ブレーキペダル支持構造
32、92、94、96 車体側当接部材
32a、92a、94a、96a 車体側当接部材の当接面
34 ブレーキペダル装置
38 ペダルブラケット
40 ブレーキハブ(第1揺動軸)
42 ストッパ部材
44 第1上部ペダル部材
46 第2上部ペダル部材
48 下部ペダル部材
48a 下部ペダル部材の上方部分
48b 下部ペダル部材の下方部分
48c ペダル
50、80、90 ウイングカム(当接部材)
50a ウイングカムの第1部分(前方部分)
50b ウイングカムの第2部分(上方部分)
50g、80g、90g 当接部(第1当接部)
50h 延長部(第2当接部)
52 第1ピン
54 第2ピン(第2揺動軸)
56 第3ピン(第3揺動軸)
60 連結機構
66 ピンボルト(ピン手段の本体部)
66a ピンボルトのヘッド部
66b ピンボルトのリンク部
66c ピンボルトのねじ部
68 連結長孔
68a、70a、72a 通常位置
68b、70b、72b 摺動範囲
70、72 ガイド長孔
74 ナット(ピン手段の固定部)
100 ブレーキペダル支持構造
102 ブレーキペダル装置
104 ブラケット
106 ピン軸(第1揺動軸)
110 上部ペダル部材
112 下部ペダル部材
112a ペダル
112b 前方側面
114 カム部材
114b 下部後方側面
114e 上部後方側面
116 レバー部材(当接部材)
118 係合部材
120 ピン軸(第2揺動軸)
122、124 係合孔部
122a、124a 環状の凹部
126 係合保持部
126a 側面部
126b 折り曲げ部
126c 後面部
130 第1当接部
132 フランジ部(第2当接部)
Claims (9)
- ダッシュパネルが車室内前方に配置され、このダッシュパネルに固定されたペダルブラケットにペダル装置を揺動可能に支持する車両のペダル支持構造であって、
上記ペダルブラケットより車体後方側に車幅方向に延びるように配置された車体側補強部材と、
上記ペダルブラケットに揺動可能に支持された上部ペダル部材と、
この上部ペダル部材に揺動可能に支持されその下端部にペダルを備えた下部ペダル部材と、
上記上部ペダル部材に揺動可能に支持され、通常時に上記車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し上記車体側補強部材と当接する当接部を備えた当接部材と、
上記上部ペダル部材を揺動可能に支持する第1の揺動軸と、
上記当接部材を揺動可能に支持する上記上部ペダル部材に設けられた第2の揺動軸と、
上記下部ペダル部材を揺動可能に支持する上記上部ペダル部材に設けられた第3の揺動軸と、
上記当接部材の上記第2の揺動軸より前方に位置する上記当接部材の前方部分と、
この当接部材の前方部分の端部に設けられたピン手段と、
上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸よりも下方に位置する下部ペダル部材の下方部分と、
上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸よりも上方に位置する下部ペダル部材の上方部分と、を有し、
この上方部分には、上記ピン手段が挿入されると共にその中を移動するようになっている連結用長孔が形成され、
上記上部ペダル部材には、上記ピン手段が挿入されると共に上記ピン手段が上記連結用長孔内を移動するとき上記ピン手段の移動をガイドするガイド用長孔が形成され、
上記上部ペダル部材と上記下部ペダル部材とは、上記第3の揺動軸及び上記ピン手段を介して連結され、上記上部ペダル部材に揺動可能に取り付けられた上記当接部材が上記第2の揺動軸を中心に揺動すると、上記ピン手段が上記連結用長孔内を移動して、上記下部ペダル部材の上記下方部分を車両前方側に変位させるようになっており、
上記ガイド用長孔には、上記ピン手段を通常時の位置に保持する保持部が形成され、
上記下部ペダル部材の上記下方部分は、通常時には、上記ピン手段が上記ガイド用長孔の上記保持部により保持されることにより上記上部ペダル部材に対し相対変位しないようにされ、衝突時には、上記当接部材の当接部が上記車体側補強部材と当接して揺動することにより上記ピン手段が上記ガイド用長孔の上記保持部を破壊して移動することにより上記上部ペダル部材に対し車体前方側に強制的に変位するようになっていることを特徴とする車両のペダル支持構造。 - ダッシュパネルが車室内前方に配置され、このダッシュパネルに固定されたペダルブラケットにペダル装置を揺動可能に支持する車両のペダル支持構造であって、
上記ペダルブラケットより車体後方側に車幅方向に延びるように配置された車体側補強部材と、
上記ペダルブラケットに揺動可能に支持された上部ペダル部材と、
この上部ペダル部材に揺動可能に支持されその下端部にペダルを備えた下部ペダル部材と、
上記上部ペダル部材に揺動可能に支持され、通常時に上記車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し上記車体側補強部材と当接する当接部を備えた当接部材と、
上記上部ペダル部材を揺動可能に支持する第1の揺動軸と、
上記当接部材を揺動可能に支持する上記上部ペダル部材に設けられた第2の揺動軸と、
上記下部ペダル部材を揺動可能に支持する上記上部ペダル部材に設けられた第3の揺動軸と、
上記当接部材の上記第2の揺動軸より前方に位置する当接部材の前方部分と、
この当接部材の前方部分の端部に設けられたピン手段と、
上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸よりも下方に位置する下部ペダル部材の下方部分と、
上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸よりも上方に位置する下部ペダル部材の上方部分と、を有し、
この上方部分には、上記ピン手段が挿入されると共にその中を移動するようになっている連結用長孔が形成され、
上記上部ペダル部材には、上記ピン手段が挿入されると共に上記ピン手段が上記連結用長孔内を移動するとき上記ピン手段の移動をガイドするガイド用長孔が形成され、
上記上部ペダル部材と上記下部ペダル部材とは、上記第3の揺動軸及び上記ピン手段を介して連結され、上記上部ペダル部材に揺動可能に取り付けられた上記当接部材が上記第2の揺動軸を中心に揺動すると、上記ピン手段が上記連結用長孔内を移動して、上記下部ペダル部材の上記下方部分を車両前方側に変位させるようになっており、
上記上部ペダル部材、上記第2の揺動軸及び上記ピン手段は、上記ピン手段の通常時の位置での上記ガイド用長孔の延びる方向が、上記第2の揺動軸と上記ピン手段とを結ぶ線が延びる方向に対して直交するように設けられ、これにより、上記下部ペダル部材の上記下方部分は、通常時には、上記下部ペダル部材が踏まれても上記ピン手段が上記ガイド用長孔の摩擦力により保持されて上記上部ペダル部材に対し相対変位しないようにされ、衝突時には、上記当接部材の当接部が上記車体側補強部材と当接して揺動することにより上記ピン手段が上記ガイド用長孔との摩擦力に打ち勝ち移動して上記上部ペダル部材に対し車体前方側に強制的に変位するようになっていることを特徴とする車両のペダル支持構造。 - ダッシュパネルが車室内前方に配置され、このダッシュパネルに固定されたペダルブラケットにペダル装置を揺動可能に支持する車両のペダル支持構造であって、
上記ペダルブラケットより車体後方側に車幅方向に延びるように配置された車体側補強部材と、
上記ペダルブラケットに揺動可能に支持された上部ペダル部材と、
この上部ペダル部材に揺動可能に支持されその下端部にペダルを備えた下部ペダル部材と、
上記上部ペダル部材に揺動可能に支持され、通常時に上記車体側補強部材と当接せず、衝突時に車体後方に移動し上記車体側補強部材と当接する当接部を備えた当接部材と、
上記上部ペダル部材を揺動可能に支持する第1の揺動軸と、
上記当接部材を揺動可能に支持する上記上部ペダル部材に設けられた第2の揺動軸と、
上記下部ペダル部材を揺動可能に支持する上記上部ペダル部材に設けられた第3の揺動軸と、
上記当接部材の上記第2の揺動軸より前方に位置する当接部材の前方部分と、
この当接部材の前方部分の端部に設けられたピン手段と、
上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸よりも下方に位置する下部ペダル部材の下方部分と、
上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸よりも上方に位置する下部ペダル部材の上方部分と、を有し、
この上方部分には、上記ピン手段が挿入されると共にその中を移動するようになっている連結用長孔が形成され、
上記上部ペダル部材と上記下部ペダル部材とは、上記第3の揺動軸及び上記ピン手段を介して連結され、上記上部ペダル部材に揺動可能に取り付けられた上記当接部材が上記第2の揺動軸を中心に揺動すると、上記ピン手段が上記連結用長孔内を移動して、上記下部ペダル部材の上記下方部分を車両前方側に変位させるようになっており、
上記下部ペダル部材、上記第2の揺動軸、上記第3の揺動軸及び上記ピン手段は、上記連結用長孔が、上記下部ペダル部材の上記第3の揺動軸の半径方向に沿って延びると共に、その延びる方向が上記第2の揺動軸と上記ピン手段とを結ぶ線が延びる方向に対して直交するように設けられ、これにより、上記下部ペダル部材の上記下方部分は、通常時には、上記下部ペダル部材が踏まれても上記ピン手段が上記連結用長孔の摩擦力により保持されて上記上部ペダル部材に対し相対変位しないようにされ、衝突時には、上記当接部材の当接部が上記車体側補強部材と当接して揺動することにより上記ピン手段が上記連結用長孔との摩擦力に打ち勝ち移動して上記上部ペダル部材に対し車体前方側に強制的に変位するようになっていることを特徴とする車両のペダル支持構造。 - ダッシュパネルが車室内前方に配置され、このダッシュパネルに固定されたペダルブラケットにペダル装置を揺動可能に支持する車両のペダル支持構造であって、
上記ペダルブラケットより車体後方側に車幅方向に延びるように配置された車体側補強部材と、
上記ペダルブラケットに揺動可能に支持された上部ペダル部材及び下端部にペダルを備えた下部ペダル部材と、
これらの上部ペダル部材及び下部ペダル部材を車体前後方向に係合可能な係合部材と、
通常時に上記車体側補強部材と当接せずに上記係合部材による上記上部ペダル部材及び上記下部ペダル部材の車体前後方向の係合を保持するようにし、衝突時に車体後方に移動して上記車体側補強部材と当接し揺動することで上記係合部材による上記上部ペダル部材及び上記下部ペダル部材の車体前後方向の係合を解放するようにする係合保持部が形成された当接部材と、
衝突時に上記当接部材と当接して揺動し上記下部ペダル部材の下方部分を車体前方側に強制的に変位させるカム部材と、
上記上部ペダル部材、上記下部ペダル部材及び上記当接部材を揺動可能に支持する第1の揺動軸と、
上記カム部材を揺動可能に支持する、上記第1の揺動軸とは異なる位置に設けられた第2の揺動軸と、を有し、
上記カム部材は、上記第2の揺動軸を挟んで、その一端が上記当接部材が揺動した際に上記当接部材と当接する位置に配置され、他端が衝突時の回転により上記下部ペダル部材の下方部分が車体前方側に変位するよう上記下部ペダル部材の上記第1の揺動軸より上方部分に当接する位置に配置され、
上記下部ペダル部材の下方部分は、通常時には、上記係合保持部により上記係合部材による上記上部ペダル部材及び上記下部ペダル部材の車体前後方向の係合が解放されずに上記上部ペダル部材に対し相対変位しないようにされ、衝突時には、上記当接部材の当接部が上記車体側補強部材と当接して揺動することにより上記カム部材が上記下部ペダル部材の第1の揺動軸より上方の部分に当接して上記係合保持部により上記係合部材の係合を解放することにより上記上部ペダル部材に対し車体前方側に強制的に変位するようになっていることを特徴とする車両のペダル支持構造。 - 上記当接部材の揺動軸より前方に位置する前方部分が、通常時に、上記下部ペダル部材の連結用長孔にほぼ直交する方向に設けられている請求項1記載の車両のペダル支持構造。
- 上記連結用長孔が、下部ペダル部材の揺動軸の半径方向に沿って延びている請求項5記載の車両のペダル支持構造。
- 上記上部ペダル部材、上記下部ペダル部材及び上記当接部材は、それぞれの揺動軸が平面視で所定の同一空間内に位置するように配置されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両のペダル支持構造。
- 上記当接部材及び上記連結機構は、衝突時、上記下部ペダル部材の強制変位量が、衝突初期よりも衝突後期の方が大きくなるように、上記当接部材の揺動特性及び連結用長孔の揺動特性が構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両のペダル支持構造。
- 上記ピン手段は、上記連結用長孔に挿入されると共に上記当接部材を貫通する本体部及びこの本体部を上記当接部材に固定する固定部で構成され、上記ペダルブラケットは、上記連結機構のピン手段の頭部側を覆い且つ上記ピン手段が上記連結用長孔及び上記当接部材から抜けない位置に近接して配置されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両のペダル支持構造。
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