JP2007139373A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 リアガイダ上端付近にできる渦を音源とするNZ音を低減する。
【解決手段】 空気調和機筐体1内に格納される送風機9と、送風機9の吸入側に送風機を囲むように設けられ吸込口4から流入する気体と熱交換する熱交換器8と、前記空気調和機筐体1内の背面側に配置される熱交換器8aの端部に対向すると共に送風機9に対向して設けられ、熱交換した気体が送風機9の吹出側に導かれるように風路の一部を形成するリアガイダ11と、吸込口4から熱交換器8aを通りリアガイダ11の熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げる抵抗手段16を備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は空気調和機に関するものであり、特に貫流送風機を有する室内機に関するものである。
従来の空気調和機は、熱交換器に並設した複数のフィンの、クロスフローファンに近接した端縁部のうち、前記熱交換器の冷媒管のクロスフローファン側にくる端縁部に、同部位を冷媒管と平行に屈曲させて形成した屈曲部を、フィンの長さ方向に交互にずらして冷媒管の長さ方向に千鳥足状に配設している。(例えば、特許文献1参照。)。
また、クロスフローフアンのリアガイダの吸い込み側の端部に、リアガイダ部材の厚み方向に徐変する厚みを有し、断面形状が円弧状若しくは曲面上の曲線部を有する突起形状を形成して、リアガイダの端部における流体の流れの渦領域を最小限に押さえる空気調和機もある(例えば、特許文献2参照。)。
また、風向板が、送風機羽根車の外郭にほぼ沿って背面ドレンパンの前面上部から上方に延出し、背面側熱交換器上部からのドレン水を前記背面ドレンパンへ流す空気調和機もある(例えば、特許文献3参照。)。
特開平5−203173号公報(第3頁、図1) 特開2000−291594号公報(第3頁、図1) 特開2003−185171号公報(第3頁、図1)
特許文献1では、熱交換器のクロスフローファンに最も接近する部分において、熱交換器のパイプ後流をクロスフローファンの翼が通過することに起因するNZ音を低減するものである。ファンの背面に配置する背面側熱交換器とリアガイダを有する構成で発生するNZ音、即ちリアガイダ上端近傍の渦を音源とするNZ音を低減することはできなかった。リアガイダ上端近傍の渦を音源とするNZ音は、パイプ後流をクロスフローファンの翼が通過する際のようにリアガイダ上端近傍のパイプ後流の風速の差には起因せず、背面側熱交換器とファンの間に設けられたリアガイダのファン側の近傍にできる渦に起因する。このため、特許文献1とは解決しようとする課題が異なるものであり、さらに、リアガイダが送風機と熱交換器との間に存在することで、特許文献1による構成をそのまま用いてもリアガイダ上端近傍の渦を音源とするNZ音を低減することはできないという問題点があった。
また、特許文献2では、リアガイダ上端付近の渦を音源とするNZ音を低減することができるが、この様な形状のリアガイダでは実現が困難であるという問題点があった。例えば、成形時には、リアガイダに接続する空気調和機の背面の筐体と一体に成形するのが製造工程から見た場合に効率がよいのであるが、一体成形するためには、リアガイダと筐体との接続部の奥から開放部に向かって成形型が抜けるように広がっていなければならず、リアガイダの形状に制限を有する。また、熱交換器から垂れる露をリアガイダ部で受けるというドレンパン機能との両立、組立時に熱交換器を挿入する際の作業性との両立など、他の制約条件を満たすことができない場合があるという問題点があった。
また、特許文献3による空気調和機では、リアガイダが複雑な形状であるため成形上の制約条件から設計自由度が制限されるという問題点があった。また、リアガイダが別部品なため部品点数が増加し製造工程も多くなり、高価になるという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、リアガイダの形状などの設計自由度に影響することなく、かつリアガイダ上端付近の渦を音源とするNZ音を低減できる空気調和機を得ることを目的とするものである。
この発明に係る空気調和機は、空気調和機筐体内に格納される送風機と、前記送風機の吸入側に前記送風機を囲むように設けられ吸込口から流入する気体と熱交換する熱交換器と、前記空気調和機筐体内の背面側に配置される前記熱交換器の端部に対向すると共に前記送風機に対向して設けられ、前記熱交換した気体が前記送風機の吹出側に導かれるように風路の一部を形成するリアガイダと、前記吸込口から前記熱交換器を通り前記リアガイダの前記熱交換器との対向側に流れる気流を妨げる抵抗手段と、を備えたことを特徴とするものである。
この発明によれば、リアガイダの形状によらず、リアガイダ上端付近を通過する気流の流量を低減してNZ音を低減できる空気調和機が得られる効果がある。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を示す断面構成図であり、室内機の側面に平行な面での断面構成を示している。空気調和機の室内機を構成する空気調和機筐体1が室内の壁面にその背面で固定され、室内に対向して正面上段側に前面パネル2と天面グリル3で覆われた空気の吸込口4を有する。また、正面下段側には空気の吹出口6となる開口を有し、室内機1の長手方向に伸びる軸を中心に回動可能な風向可変ベーン5が吹出口6に設けられ、吹出口6の開口の方向と大きさが可変に構成されている。室内機1内には吸込口4から吹出口6に至る風路が形成される。この風路の途中には、通過する室内空気の異物を除去するプレフィルタ7と、配管内を流れる冷媒と通過する室内空気とを熱交換する熱交換器8と、貫流送風機9が配置されている。貫流送風機9の上流側は熱交換器8で囲まれ、下流側は貫流送風機9の構成部材であるノズル部12とボックス部13で区画されて吹出風路を形成する。
貫流送風機9は羽根車10が、室内機1の長手方向に伸びる回転軸、即ち図1の紙面に垂直な回転軸を中心に回転することで、室内空気を吸込口4より吸い込んで吹出口6へ送風する。吸込口4のうちで、空気調和機の後方側の吸込口4から流入する空気と熱交換するように、貫流送風機9の背面には熱交換器8の一部である背面側熱交換器8aを配置している。また、羽根車10と背面側熱交換器8aとの間にはリアガイダ11が羽根車10の外周に沿うように設けられている。
図1に示す室内機1に格納された熱交換器8は、通常、空気調和機の室外機に格納された圧縮機、室外熱交換器、減圧手段と共に冷凍サイクルを構成しており、接続配管内に冷媒を循環させている。そして、圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒ガスを凝縮器で凝縮し、気液二相状態または気相状態となった冷媒を減圧手段で減圧する。その後、低温低圧の液冷媒を蒸発器で蒸発し、高温になった冷媒ガスを再び圧縮機に吸入する。この冷凍サイクルで、室内機に格納された熱交換器を凝縮器として動作させると室内の暖房を行うことができ、蒸発器として動作させると室内の冷房を行うことができる。
次に空気調和機の動作について説明する。図1のように構成された空気調和機においては、まず、電源が投入され、熱交換器8に冷媒が流れ、送風機9の羽根車10が回転すると、吸込口4から吸い込まれた室内空気はプレフィルタ7を介して塵埃を除去したのち、熱交換器8に流れ、この熱交換器8の配管内を流れる冷媒と熱交換される。その後、吹出口6から室内へ吹き出され、再び吸込口4から吸い込まれる。この一連の動作が繰り返され、その結果、室内空気は塵埃を除去され、また熱交換器8の冷媒と熱交換することで冷やされたり温められたりすることとなり、室内空気の空気質は変化する。
ここで、リアガイダ11の形状に関わる制約は以下のとおりである。
背面側熱交換器8aから出てくる気流を送風機9の翼に導く。この時、気流が翼にスムーズに導かれるようにリアガイダ11の長さ及び角度が設計されている。
背面側熱交換器8aで生じた結露をリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向面で受けて集め、室外に連結する配管に流す。このため、リアガイダ11はフィン14に生じた露が送風機9に落ちないように、十分な長さを確保する必要がある。
成形時には、リアガイダ11に接続する空気調和機の背面の筐体と一体に成形している。これは別部品を接続する構成にすると運転時の振動によって接続部分が不安定になったりするからである。このため、リアガイダ11と筐体との接続部の奥から開放部に向かって成形型が抜けるように広がっている必要がある。
組み立て時に、リアガイダ11と、これに接続する空気調和機の背面の筐体との間の空間に、背面側熱交換器8aを多少回転させながら斜め上方から挿入する。この際に、障害物とならないようにリアガイダ11の角度及び長さが設計されている。
図1に示す空気調和機は、上記の制約条件を満たすようにリアガイダ11及び背面側熱交換器8a付近を構成したものの一例である。
図2は背面側熱交換器8aの一部を示す斜視図である。熱交換器8は複数のフィン14とパイプ15で構成されており、複数のフィン14が並設され、フィン面に垂直な方向、即ちフィン4の積層方向に各フィン14を複数段及び複数列でパイプ15が貫通している。フィン14の長手方向を段方向、段方向に交わる方向を列方向と称する。図2に示す背面側熱交換器8aは、例えば上流側の列のパイプと中央の列のパイプと下流側の列のパイプの3列のパイプ15を有する。背面側熱交換器8aを構成する1つのフィン14において、フィン14の長手方向の一端部で、リアガイダ11と対向する対向部に、2つのフィン倒し16を備えている。ここで、背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部とは、並設するフィン14の長手方向に伸びる下流側端面でリアガイダ11と対向する部分、及びこのフィンの下流側端面からパイプ15の一列程度上流側の位置も含むとする。また、並設する複数のフィン14のすべてに対し、例えば同様の位置で2箇所にフィン倒し16を設ける。
フィン倒し16は、フィン14の下流側端面をフィン面に対して上方に押し上げてまたは下方に押し下げて構成され、そのフィン面からフィン倒し16が並設するフィン間に突出した状態になっている。この実施の形態では、フィン14の下流側端面から2箇所の切り込みを入れ、切り込み間のフィンを押し上げまたは押し下げてフィン倒し16を構成している。このため、フィン倒し16はフィン面から垂直に四角形状に突出する。ここで、並設するフィンの積層間隔よりも長い切り込みをいれてフィン倒し16を形成すれば、フィン倒し16によってフィン14間は積層方向(即ち、送風機9の回転軸方向)に完全に塞がれる。
さらに、フィン倒し16は、背面側熱交換器8aを気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たとき、最も下流側の列(以下、最下流列と記す)のパイプ15と重ならない領域に設けている。図2の斜線部Kは、気流の下流側からフィンの長手方向に対して略垂直に背面側熱交換器8aを見て、最も下流側列のパイプ15と重なるフィンの部分を示しており、この実施の形態ではフィン倒し16を例えば斜線部Kを除くパイプ間に設ける。
ここで、パイプ間とは、フィン長手方向の段方向に隣り合う2つのパイプの中心から中心までを示す。また斜線部Kをパイプ15に重なる位置と称し、斜線部K以外の位置をパイプ15に重ならない位置と称する。
さらに、例えば2つのフィン倒し16がリアガイダ11と対向する対向部のパイプ間に対応する部分に、背面側熱交換器8aのリアガイダ11と対向する側の一端部から吹込口4に向かって順に設けられている。図1の実施例では背面側熱交換器8aは鉛直方向から傾斜させて配設されているので、フィン倒し16は背面側熱交換器8aの下端部から上方に向かって、2つのパイプ間に対応する部分に順に設けられている。このとき、リアガイダ11の上端位置と同じ高さの位置Aに対応するパイプ間を少なくとも含むようにフィン倒し16が設けられている。Aは厳密に言えば、リアガイダ先端部11aからフィン14の長手方向に対して略垂直に下ろした垂線である。
また、フィン倒し16の幅L、段方向パイプ間距離DP、パイプ15の直径Dに対して、L/(DP−D)が例えば0.5以上となるようにフィン倒し16を構成する。この段方向パイプ間距離DPは、図に示すように、フィン長手方向の段方向に隣り合う2つのパイプの中心から中心までの距離とする。
以下に、リアガイダ11近傍の空気流について説明する。背面側熱交換器8aのフィン面には矢印で示すように、吸込口4から流入した室内空気が気流Pとなって上流側から下流側へ流れる。パイプ15にぶつかった空気は2分されてパイプ15の外周に沿って流れ、パイプ15の後方の領域Kでは速度が遅くなる。フィン14面を局所的に見ると気流の方向はパイプ15のために方向を変えつつ流れるのであるが、全体的には図に示すように、背面側熱交換器8aのフィン14面に沿ってフィン14の長手方向に対して略垂直に流れる。
図3はリアガイダ11付近を拡大して気流を説明する説明図である。送風運転時に、背面側熱交換器8aの一端部を通過する気流は、リアガイダ11や空気調和機筐体1に流路を妨げられて、リアガイダ11の背面側からリアガイダ先端部11aに流れる。このとき、リアガイダ先端部11aを回り込んで流れる風の流れと羽根車の翼との干渉によって発生するNZ音(周波数がファンの回転数N×ブレード枚数Zの定数倍となる狭帯域音)が聴感的に耳障りで不快であるため問題になる。
図3(a)はフィン倒し16を設けていない構成での空気の流れを示す説明図である。吸込口4から背面側熱交換器8aのリアガイダ11の近くに位置する一端部を通った気流は、図に示すように、リアガイダ11と背面側熱交換器8aとの間を流れる。そして、リアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側から、リアガイダ先端部11aを回り込み、羽根車10に対して大きく入り込むような方向に流れ込む。リアガイダ11の上端部付近の流れPは、リアガイダ上端部11aから羽根車側に流入する際に剥離し、渦領域Sを形成しつつ、羽根車10の影響を受けることにより再びリアガイダ11側に近づく。その後、リアガイダ11に沿って流れて吹出口6に流れる。
このようにリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側からリアガイダ先端部11aを回り込んで流れる気流のため、リアガイダ11上端部付近の渦領域SにNZ音の原因となる大きな渦が生じていると考えられる。
図3(b)はこの実施の形態によるフィン倒し16があるときの空気の流れを示す説明図である。背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部に設けられたフィン倒し16は、この部分に流れる気流Pを妨げるように作用する。即ち、フィン倒し16によって、吸込口4から背面側熱交換器8aの下方側の一端部を通って領域Qに流れる気流の流量は図3(a)の構成よりも減少する。このため、リアガイダ11の背面側から先端部11aに回って流れる気流の流量も図3(a)の構成よりも減少する。リアガイダ11上端部付近の気流の流量は少なくなり、図3(a)と比べると羽根車10にそれほど深く入り込まずにリアガイダ11の面に沿うように流れ、渦領域Sの渦は小さくなる。従って、リアガイダ11上端部付近にできる渦が発生源となっているNZ音を低減でき、低騒音化を図ることができる。
図4は、最下流列のパイプ15と重ならない部分のフィン倒し16の幅L、即ちここではフィン倒し16の幅L、熱交換器8aの段方向パイプ間距離DP、パイプ直径Dとし、横軸にL/(DP−D)、縦軸にNZ音レベル(dB)を示すグラフである。ここでNZ音レベルは、JIS測定点、即ち空気調和機の室内ユニットの前面中心より前方に1m程度、下方に0.8m程度の位置で測定し、周波数分析をしたときのピーク値(dB)を示す。図4によれば、L/(DP−D)≧0.5とするとNZ音レベルは急激に改善されている。
フィン倒し16は背面側熱交換器8aの下方で空気流Pを妨げるように作用し、特にL/(DP−D)≧0.5にすることで、領域Qのリアガイダ11の背面側から先端部11aに回って流れる空気の流量を効果的に減少させ、NZ音を低減させる。
なお、図2に示した構成では、背面側熱交換器8aを下流側から略垂直に上流側に見て最下流列のパイプ15と重ならない位置にフィン倒し16を設けているが、これに限るものではない。少なくとも最下流列のパイプ15と重ならない位置にフィン倒し16が存在すれば、最下流列のパイプ15と重なる部分にさらにフィン倒し16が存在してもよい。即ち領域Kにも抵抗体が設けられていてもよい。
ただし、その場合には図4に示す関係のフィン倒しの幅Lは、1つのパイプ間に対して最下流列のパイプ15に重ならない領域(DP−D)におけるフィン倒し16のフィン長手方向の長さとする。少なくとも最下流列のパイプ15と重ならない位置にL/(DP−D)≧0.5のフィン倒し16が存在すれば、最下流列のパイプ15と重なる部分にさらにフィン倒し16が存在しても、流量を減らす効果は同程度、または同程度以上となるため、NZ音を低減する効果が得られる。
また、図2に示した構成では、フィン倒し16によって並設するフィン14の積層間隔が塞がれる程度にフィン14を押し上げまたは押し下げるように構成したが、これに限るものではない。並設するフィン14の積層間隔が完全に塞がれなくても、吸込口4から背面側熱交換器8aを通りリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側、即ち領域Qに流れる気流を妨げるようにフィン倒し16を設けることで、フィン倒し16を設けない場合に比べてNZ音を低減できる。
また、ここではフィン倒し16を2箇所としたが、1箇所以上設ければ、NZ音低減の効果は得られる。フィン倒し16を複数個設ける際は、熱交換器8aのパイプ間に対応する位置で、下方の一端側から吸込口4側に向かって順番にフィン倒し16を設けるのが望ましい。熱交換器8aの下方のパイプ間から順に上方に向かってパイプ間毎にフィン倒し16を設けることで、リアガイダ11付近の気流の流量を効果的に低減できる。
また、図2では並設する複数のフィン14に対し、背面側熱交換器8aの下端から同じ位置にフィン倒し16を設けたが、これに限るものではない。例えば、フィン14のそれぞれにおいて、フィン長手方向にずらした位置にフィン倒し16を設けてもよい。
また、図2に示した構成では、背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部にフィン倒し16を設けるとしたが、これに限るものではない。吸込口4から背面側熱交換器8aを通り、リアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げるようにフィン倒し16を設ければよい。例えば背面側熱交換器8aの一端部で上流側のフィン14の部分や、背面側熱交換器8aの下端面のフィン14の部分も、吸込口4から背面側熱交換器8aを通り、リアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流の通り道であるので、この部分に流れに対して抵抗手段となるフィン倒しを設けてもよい。
また、他の構成例として、例えばリアガイダ11の背面の領域Qには空気が全く流れないように抵抗体を設けてもよい。例えば背面側熱交換器8aを短くして上方側だけ残し、その背面熱交換器8aの下方に接続してリアガイダ11との対向部に抵抗板を設け、領域Qへの流路を塞ぎかつ露をリアガイダ11の背面に導くようにしてもよい。リアガイダ11の背面に空気を全く流れないようにした場合、渦領域Sの渦の減少効果は大きなものが得られる。図4に示すグラフにおいて、L/(DP−D)が1.0よりも大きくしたのと同等の構成になるので、NZ音レベルの低減効果は大きなものとなる。ただし、図1の構成のようにリアガイダ11の背面に少量の空気を流して背面側熱交換器8aで熱交換するように構成すれば、NZ音レベルは多少上がるが、熱交換性能を向上でき、ファン入力を低減できるという有利な点がある。
このように、空気調和機筐体内に格納される送風機と、前記送風機の吸入側に前記送風機を囲むように設けられ吸込口から流入する気体と熱交換する熱交換器と、前記空気調和機筐体内の背面側に配置される前記熱交換器の端部に対向すると共に前記送風機に対向して設けられ、前記熱交換した気体が前記送風機の吹出側に導かれるように風路の一部を形成するリアガイダと、前記吸込口から前記熱交換器を通り前記リアガイダの前記熱交換器との対向側に流れる気流を妨げる抵抗手段と、を備えたことにより、抵抗手段16を設けない構成に比べ、領域Qのリアガイダ11の背面側から先端部11aに回って流れる空気の流量を減少できる。これにより、リアガイダの形状などの設計自由度に影響することなく、リアガイダ11の送風機9側に発生する渦領域Sの渦を小さくして、この渦に起因するNZ音を低減でき、使用者が快適に使用できる空気調和機が得られる効果がある。
また、抵抗手段として、熱交換器8aのリアガイダ11との対向部に設けた抵抗体16としたことにより、リアガイダ11がどのような形状であっても、リアガイダ11の背面側から先端部11aに回って流れる空気の流量を減少できる。このため、リアガイダ成形上の制約条件を満足でき、熱交換器から垂れる露をリアガイダ部で受ける機能を満たし、組立時に熱交換器を挿入する際の作業性も保持できる構成で、確実に、効果的にNZ音を低減することができる。
また、熱交換器8aを、並設する複数のフィン14の面が気流に沿うように配置し、抵抗手段を、前記フィンの端部の一部を曲げて前記気流を妨げるように構成したフィン倒し16としたことにより、簡単な構成で、効果的にNZ音を低減することができる。
また、熱交換器8aを、並設する複数のフィン14とフィン14の面を略垂直に複数段及び複数列で貫通するパイプ15を有する構成とし、フィン14の面を気流に沿うように配置し、熱交換器8aを気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、熱交換器8aを構成するパイプ15の最下流列に重ならない領域を少なくとも含むように抵抗体16を設けたことにより、熱交換性能を保持し、効果的にNZ音を低減でき、使用者が快適に使用できる空気調和機が得られる。
また、最下流列を構成するパイプ15のうちの1つのパイプ間において、熱交換器8aを気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、1つのパイプ間に対して最下流列のパイプ15に重ならない領域における抵抗体16のフィン長手方向の長さLが、パイプ間距離DP及びパイプの直径Dとして、L/(DP−D)≧0.5となるように抵抗体16を構成したことにより、確実に低騒音化を図ることができ、使用者が快適に使用できる空気調和機が得られる。
また、フィン14の長手方向に対し、熱交換器8aの一端部から吸込口4側に向かって、リアガイダ11との対向部でかつ気流の最下流列のパイプ間に対応する位置に順に抵抗体16を設けたことにより、効果的に確実に低騒音化を図ることができる。
ここで、背面側熱交換器8aの一端部から吸込口4側へ向かって、即ち背面側熱交換器8aの下端から上方に向かって、リアガイダ11との対向部でかつ気流の最下流列のパイプ間に対応する位置に順に複数箇所に抵抗体としてフィン倒し16を設けた構成とする。図5は、パイプ間の位置の複数箇所にフィン倒し16を設けたときの、一番上のフィン倒し16の上端位置とNZ音レベルの関係を示すグラフであり、横軸にフィンふさぎ領域の上端位置(mm)、縦軸にNZ音レベル(dB)を示す。このフィンふさぎ領域とは、フィン14間を流れる気流に対し、フィン倒し16を設けることで並設するフィンのフィン間の流路がふさがれる領域で、フィン14の長手方向で吸込口4に近い位置を示す。図5中の縦に引いた点線は、リアガイダ先端部11aから背面側熱交換器8aのフィン長手方向に略垂直に引いた垂線Aと背面側熱交換器8aの下流側端面との交点(図1に示す)を示している。また、NZ音の計測位置は図4での計測位置と同様である。
即ち、図5はフィンふさぎ領域の上端位置をリアガイダ先端部11aに対して変化させたときのNZ音レベルを計測した結果である。
この計測結果が示しているのは、フィン倒し16を背面側熱交換器8aの下方からパイプ間に対応する位置に順次設けていった場合、垂線Aの位置にフィンふさぎ領域の上端位置が達するまでは、徐々にNZ音レベルが低減していく。さらに、垂線Aと背面側熱交換器8aとの交点の位置までフィンふさぎ領域が達した後は、それ以上に吸込口4側にフィン倒し16を設けても、NZ音レベルはそれほど低減しないことがわかる。
このことから、リアガイダ先端部11a付近では垂線Aの位置に応じて以下のようにフィン倒し16を設けると、NZ音レベルを効果的に低減できる。
図6はリアガイダ先端部11a付近における背面側熱交換器8aのリアガイダ対向部にフィン倒し16を設けた具体例を示す説明図である。垂線Aは、リアガイダ先端部11aから背面側熱交換器8aに対し、フィンの長手方向に略垂直に下ろした線である。図6(a)では垂線Aが気流の最下流列のパイプ15aの中心とパイプ15bの中心の間を通っている。このような場合には、パイプ間15a−15bにフィン倒し16を設ける。この時、パイプ間15a−15bよりも下方のリアガイダ11との対向部に位置するパイプ間のそれぞれにもフィン倒し16を設ける。また、フィン倒し16を設ける際には、前記のように、背面側熱交換器8aを気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、少なくとも最下流列のパイプ15に重ならない領域にフィン倒し16を設ければよい。リアガイダ先端部11a付近ではフィン倒し16、パイプ15a、15bが気流に対して抵抗体となる。このため、気流Pのように流れ、リアガイダ先端部11aの背面側熱交換器8aとの対向側を通って先端部11aに回り込む流れを妨げるので、NZ音レベルを低減できる。
また、図6(b)では垂線Aが気流の最下流列のパイプ15aの中心とパイプ15cの中心の間を通っている。このような場合には、パイプ間15a−15cにフィン倒し16を設け、以下は図6(a)の場合と同様である。この時、フィンふさぎ領域は図5では垂線Aとの交点よりも下方となるが、気流の最下流列のパイプ15aが抵抗体となるので、NZ音レベルは図6(a)と同様に低減できる。
なお、垂線Aがパイプ15aの中心を通る場合には、図6(a)、(b)のどちらの構成でもよい。
また、図5に示すように、フィン14の長手方向で、さらに吸込口4側に位置するパイプ間にフィン倒し16を設けても、NZ音レベル低減効果には変わりはない。これとは逆に、気流の流量低減によって熱交換性能の低減や、送風機入力上昇につながるので、これより吸込口4側の上方のパイプ間にはフィン倒し16を設けないほうがよい。
このように、リアガイダの先端部11aからフィン14の長手方向に対して略垂直に下ろした垂線Aが通る位置の気流の最下流列のパイプ間を含み、フィン14の長手方向でリアガイダ11との対向部に位置する最下流列のパイプ間であって、熱交換器8aを前記気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、少なくとも最下流列のパイプ15に重ならない領域に抵抗体16を設けることにより、NZ音レベルを効果的に低減できる。
また、上記では図1に示すような構成の空気調和機に適用したが、背面側熱交換器8aを出た気流は、熱交換器8aと垂直の方向に吹き出るため、リアガイダ11の長さや熱交換器8aの段方向パイプ間距離DPが図1と異なる場合でも、前述のように抵抗体16を設けることで、NZ音を低減できる効果がある。即ち、前述のリアガイダ11の形状は図1に限るものではない。リアガイダ11の形状はどのような制約条件も満足でき、かつ騒音低減の効果を奏するので、使用者が快適に使用できる空気調和機を得ることができる。
図7は、この実施の形態による空気調和機の他の構成に係り、背面側熱交換器8aの一部を示す斜視図である。図において、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。
この構成例では、吸込口4から背面側熱交換器8aを通りリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げる抵抗手段として、背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部に抵抗板17を有する。並設する複数のフィン14において、フィン14の下流側端面に複数のフィン14に亘って板状に抵抗板17を設けた。抵抗板17は例えばステンレス板であり、背面側熱交換器8aとリアガイダ11の背面側熱交換器8aの下流側端面に、例えば回転軸方向、即ちフィン14の積層方向に伸びるようにステンレス板17を固着している。ステンレス板17は、背面側熱交換器8aを気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに最下流列のパイプ15と重ならない位置に固着され、さらに背面側熱交換器8aの下側から順に存在するパイプ間に、例えば2箇所に設けられている。
また、ステンレス板17の幅L、段方向パイプ間距離DP、パイプ15の直径Dとしたとき、L/(DP−D)が例えば0.5以上となるようにステンレス板17を構成する。
空気調和機の動作については、図1の構成と同様であるので省略する。ここで、ステンレス板17は、背面側熱交換器8aの上流側から下流側へと流れる気流Pに対して抵抗となり、吸込口4からリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げるように作用する。即ち、リアガイダ11の背面側からリアガイダ先端部11aに回り込む気流の流量は少なくなり、流速が遅くなる。そのため、渦領域Sの渦は小さくなる。NZ音の発生源である渦領域の渦Sを小さくすることで、低騒音化を図ることができる。
また、ステンレス板17のパイプ15と重ならない部分の幅L、ここではステンレス板17のフィン長手方向の幅L、熱交換器8aの段方向パイプ間距離DP、パイプ直径Dに対し、L/(DP−D)とNZ音レベルは図4に示す関係がある。即ち、L/(DP−D)≧0.5とするとNZ音レベルは急激に改善される。
なお、図7に示した構成では、背面側熱交換器8aを下流側から略垂直に上流側に見て最下流列のパイプ15と重ならない位置にステンレス板17を設けているが、これに限るものではない。少なくとも最下流列のパイプ15と重ならない位置にステンレス板17が存在すれば、最下流列のパイプ15と重なる部分にさらにステンレス板17が存在してもよい。即ち領域Kにも抵抗体が設けられていてもよい。
ただし、その場合には図4に示す関係のフィン倒しの幅Lは、1つのパイプ間に対して最下流列のパイプ15に重ならない領域(DP−D)におけるステンレス板17のフィン長手方向の長さとする。少なくとも最下流のパイプ15と重ならない位置にL/(DP−D)≧0.5のステンレス板17が存在すれば、最下流のパイプ15と重なる部分にさらにステンレス板17が存在しても、流量を減らす効果は同程度、または同程度以上となるため、NZ音を低減する効果が得られる。
また、ここではステンレス板17を2箇所としたが、1箇所以上設ければ、NZ音低減の効果は得られる。ステンレス板17を複数個設ける際は、リアガイダ先端部11a付近の流量を落とすために、背面側熱交換器8aのパイプ間に対応する位置で、下方の一端側から上方の吸込口4側に向かって順番にステンレス板17を設けるのが望ましい。熱交換器8aの下方のパイプ間から順に上方に向かってパイプ間毎にステンレス板17を設けることで、リアガイダ11付近の気流の流量を効果的に低減できる。
また、フィンふさぎ領域の上端位置(mm)とNZ音レベル(dB)の関係は図5と同様の関係がある。即ち、ステンレス板17を背面側熱交換器8aの下方からパイプ間に対応する位置に順次設けていった場合、垂線Aの位置にフィンふさぎ領域の上端位置が達するまでは、徐々にNZ音レベルが低減していく。さらに、垂線Aと背面側熱交換器8aとの交点の位置までフィンふさぎ領域が達した後は、それ以上に吸込口4側にステンレス板17を設けても、NZ音レベルはそれ以上に改善されない。
このことから、リアガイダ先端部11a付近では垂線Aの位置に応じてステンレス板17を設けると、NZ音レベルを効果的に低減できる。具体的にはフィン倒し16の場合と同様、リアガイダの先端部11aからフィン14の長手方向に対して略垂直に下ろした垂線Aが通る位置の気流の最下流列のパイプ間を含み、フィン14の長手方向でリアガイダ11との対向部に位置する最下流列のパイプ間であって、熱交換器8aを前記気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、少なくとも最下流列のパイプ15に重ならない領域にステンレス板17を設けることにより、NZ音レベルを効果的に低減できる。図7に示す垂線Aの位置はその一例を示しており、熱交換器8aの下方のパイプ間から順に吸込口4側に向かって垂線Aが通っている位置のパイプ間にまでステンレス板17を設けており、NZ音レベルを大きく低減できる。
また、背面側熱交換器8aを出た気流は、熱交換器8aと垂直の方向に吹き出るため、リアガイダ11の長さや熱交換器8aの段方向パイプ間距離DPが図1と異なる場合でも、前述のようにステンレス板17を設けることで、NZ音を低減できる効果がある。即ち、前述のリアガイダ11の形状におけるどのような制約条件も満足でき、かつ騒音低減の効果を奏するので、使用者が快適に使用できる空気調和機を得ることができる。
また、このステンレス板17を固着する方法は、例えば接着剤でフィン下流側端面に接着してもよいし、フィン14に凹部を設けてはめ込むようにしてもよい。またフィン積層方向の両端部または数箇所で何らかの固定部材を設けて固定してもよい。また、パイプ15に固定部材を設けてパイプ15に固定してもよい。さらにはリアガイダ11に固定部材を設け、熱交換器8aの下流側端面に押し付けるような固定方法など、どの様な方法を用いてもよい。
また、ここでは抵抗板17をステンレス板としたが、板状のものであり、熱や水分に対して耐性の強い素材であれば他のものでも同様の効果を得られる。また、例えばアルミテープなど、テープ状のものでも同様の効果を得られる。
また、図7のように、フィン14の積層方向に一枚の抵抗板でなくてもよく、複数の抵抗板で構成してもよい。また、並設されているフィン14の端から端まで全面に設けずに、送風機9の回転軸方向の一部分、または複数部分に設けてもよい。
また、図7では並設する複数のフィン14に対し、背面側熱交換器8aの下端から同じ位置になるように抵抗板17を設けたが、これに限るものではない。例えば、フィン14のそれぞれにおいて、フィン長手方向にずらした位置に斜めになるように抵抗板17を設けてもよい。
さらには、抵抗板17を熱交換器8aの下流側端面でなく、熱交換器端部の他の部分に固定してもよい。例えば、熱交換器8aの上流側端面や吸込口側と反対の下端面に固定する構成でも、吸込口4から熱交換器8aを通りリアガイダ11の熱交換器との対向側に流れる気流を妨げることができる。この構成でも、抵抗板17を設けない構成に比べ、リアガイダ11の背面側から先端部11aに回って流れる空気の流量を減少でき、NZ音レベルを低減できる。
以上のように、熱交換器8aを、並設する複数のフィン14の面が気流に沿うように配置し、熱交換器8aの下流側端面で複数のフィン14に亘って抵抗手段として板状の抵抗板17を設け、気流を妨げるように構成したことにより、流速が遅くなるため、渦領域Sの渦は小さくなって低騒音化できる。さらに、前述のリアガイダ11の形状におけるどのような制約条件も満足でき、かつ騒音低減の効果を奏するので、使用者が快適に使用できる空気調和機を得ることができる。
図8は、この実施の形態による空気調和機の他の構成例に係り、背面側熱交換器8aの一部を示す斜視図である。図において、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。
この構成例では、吸込口4から背面側熱交換器8aを通りリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げる抵抗手段として、背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部に切り起こし18を有する。この部分のフィン14面を切り起こしてなる切り起こし18を設け、背面側熱交換器8aとリアガイダ11の間の気流の流量を低減させる抵抗体としている。気流Pは上流側から下流側へと流れるが、この切り起こし18は、フィン14の下流側端面よりも上流側のフィン面で、下流側端面に近い部位に設けられている。さらに、切り起こし18は、背面側熱交換器8aを気流の下流側から端面に略垂直に上流側を見たときに、最下流列のパイプ15と重ならない位置に設けられている。また、最下流列のパイプ間で、フィンの長手方向の下方の一端から吸込口4側に向かって順に例えば2箇所に設けられている。
切り起こし18はフィン14を長手方向に切り欠き、切り欠いた部分を折り曲げ、気流に対して抵抗となるようにフィン面から立ち上げて形成する。フィン14をコの字状に切り欠いて切り起こし18を構成すれば、図9(a)に断面構成を示すように、ほぼ垂直で長方形に突出する切り起こし18が形成され、気流に対する抵抗体として効果的である。ここで、並設するフィンの積層間隔と同程度の切り込みを気流の流れ方向にいれて切り起こし18を形成すれば、切り起こし18によってフィン14間は積層方向(即ち、送風機9の回転軸方向)にほぼ完全に塞がれる。
ここで、フィンの長手方向での切り起こし18の幅Lと、段方向パイプ間のパイプと重ならない部分の距離(DP−D)の比L/(DP−D)が例えば0.5以上となるように切り起こし18を構成する。
空気調和機の動作については、図1と同様であるので省略する。ここで、切り起こし18は、背面側熱交換器8aの上流側から下流側へと流れる気流Pに対して抵抗となり、吸込口4からリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げるように作用する。即ち、リアガイダ11の背面側からリアガイダ先端部11aに回り込む空気の流量は少なくなり、流速が遅くなる。そのため、渦領域Sの渦は小さくなる。NZ音の発生源である渦領域の渦Sを小さくすることで、低騒音化を図ることができる。
なお、図8に示した構成では、切り起こし18によって並設するフィン14の積層間隔が塞がれる程度にフィン14を切り起こして構成したが、これに限るものではない。並設するフィン14の積層間隔が完全に塞がれなくても、吸込口4から背面側熱交換器8aを通りリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側、即ち領域Qに流れる気流を妨げるように切り起こし18を設けることで、切り起こし18を設けない場合に比べてNZ音を低減できる。
また、切り起こし18のパイプ15と重ならない部分の幅L、ここでは切り起こし18のフィン長手方向の幅L、熱交換器8aの段方向パイプ間距離DP、パイプ直径Dに対し、L/(DP−D)とNZ音レベルは図4に示す関係がある。即ち、L/(DP−D)≧0.5とするとNZ音レベルが急激に改善される。
また、図8に示した構成では、背面側熱交換器8aを下流側から略垂直に上流側に見て最下流列のパイプ15と重ならない位置に切り起こし18を設けているが、これに限るものではない。少なくとも最下流列のパイプ15と重ならない位置に切り起こし18が存在すれば、最下流列のパイプ15と重なる部分にさらにス切り起こし18が存在してもよい。即ち領域Kにも抵抗体が設けられていてもよい。
ただし、その場合には図4に示す関係の切り起こしの幅Lは、1つのパイプ間に対して最下流列のパイプ15に重ならない領域(DP−D)における切り起こし18のフィン長手方向の長さとする。
また、フィンふさぎ領域の上端位置(mm)とNZ音レベル(dB)の関係は図5と同様の関係がある。即ち、切り起こし18を背面側熱交換器8aの下方からパイプ間に対応する位置に順次設けていった場合、垂線Aの位置にフィンふさぎ領域の上端位置が達するまでは、徐々にNZ音レベルが低減していく。さらに、垂線Aと背面側熱交換器8aとの交点の位置までフィンふさぎ領域が達した後は、それ以上に吸込口4側に切り起こし18を設けても、NZ音レベルはそれ以上に改善されない。
このことから、リアガイダ先端部11a付近では垂線Aの位置に応じて切り起こし18を設けると、NZ音レベルを効果的に低減できる。具体的にはフィン倒し16の場合と同様、リアガイダの先端部11aからフィン14の長手方向に対して略垂直に下ろした垂線Aが通る位置の気流の最下流列のパイプ間を含み、フィン14の長手方向でリアガイダ11との対向部に位置する最下流列のパイプ間であって、熱交換器8aを前記気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、少なくとも最下流列のパイプ15に重ならない領域に抵抗体として切り起こし18を設けることにより、NZ音レベルを効果的に低減できる。図8に示す垂線Aの位置はその一例を示しており、熱交換器8aの下方のパイプ間から順に吸込口4側に向かって垂線Aが通っている位置のパイプ間にまで切り起こし18を設ければ、NZ音レベルを大きく低減できる。
また、背面側熱交換器8aを出た気流は、熱交換器8aと垂直の方向に吹き出るため、リアガイダ11の長さや熱交換器8aの段方向パイプ間距離DPが図1と異なる場合でも、前述のように切り起こし18を設けることで、NZ音を低減できる効果がある。即ち、前述のリアガイダ11の形状におけるどのような制約条件も満足でき、かつ騒音低減の効果を奏するので、使用者が快適に使用できる空気調和機を得ることができる。
なお、ここでは切り起こし18を2箇所としたが、1箇所以上設ければ、NZ音低減の効果は得られる。切り起こし18を複数個設ける際は、リアガイダ先端部11a付近の流量を落とすために、背面側熱交換器8aのパイプ間に相当する部分で下から順番に切り起こし18を設けるのが望ましい。
また、切り起こし18は、図9(a)のような形状に限るものではなく、フィン14の長手方向に切り欠いて、切り欠いた上流側を立ち上げて図9(b)のように構成してもよいし、切り欠いた下流側を押圧して立ち上げて図9(c)のように構成してもよい。また、切り起こす形状は、四角形としたが、三角形や半円形など、どのような形状でもよい。切り起こし18が気流に対して抵抗となるように構成すればよい。
また、図8では並設する複数のフィン14に対し、背面側熱交換器8aの下端から同じ位置に切り起こし18を設けたが、これに限るものではない。例えば、フィン14のそれぞれにおいて、フィン長手方向にずらした位置に切り起こし18を設けてもよい。
また、図8に示した構成では、背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部に切り起こし18を設けるとしたが、これに限るものではない。吸込口4から背面側熱交換器8aを通り、リアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流を妨げるように切り起こし18を設ければよい。例えば背面側熱交換器8aの端部で上流側のフィン14の部分や、背面側熱交換器8aの下端面のフィン14の部分も、吸込口4から背面側熱交換器8aを通り、リアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向側に流れる気流の通り道であるので、この部分に流れに対して抵抗手段となるフィン倒しを設けてもよい。
以上のように、熱交換器8aの並設する複数のフィン14の面が気流に沿うように配置し、抵抗手段を、フィン14の一部を切り起こして気流を妨げるように構成した切り起こし18としたことにより、リアガイダの形状などの設計自由度に影響することなく、簡単な構成で、効果的にNZ音を低減することができる。
また、図2、図7、図8において、フィン14の長手方向でリアガイダ11との対向部に位置する最下流列のパイプ間のすべてにおいて抵抗体16、17、18を設けたが、これに限るものではない。フィン14の長手方向でリアガイダ11との対向部に位置する最下流列のパイプ間の一部に抵抗体を設けてもよい。例えば図2において、抵抗体16をフィン14の長手方向の下側のみまたは上側のみに設ける構成でも、ある程度の効果を奏する。
実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2による空気調和機に係り、背面側熱交換器8aの一部を示す斜視図である。図において、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。背面側熱交換器8aの下流側端面には、吸込口4から背面側熱交換器8aを通りリアガイダ11の背面側熱交換器8aとの対向部に流れる気流を妨げる抵抗手段として抵抗板19を有する。ここでは、背面側熱交換器8aのリアガイダ11との対向部である下流側端面に、例えば板状で多孔を有する金網19を固着し、背面側熱交換器8aとリアガイダ11の間の気流の流量を低減させる抵抗体としている。気流Pは上流側から下流側へと流れるが、この金網19は、並設されている複数のフィン14に亘って、背面側熱交換器8aのリアガイダ11の対向部付近に設ける。
空気調和機の動作については、実施の形態1と同様であるので省略する。ここで、背面側熱交換器8aのリアガイダ11に対向する付近に金網19を設けており、金網19を設けた部分を流れる流量は低減する。これにつれて、リアガイダ11の背面側からリアガイダ先端部11aに回り込む空気の流量は少なくなり、流速が遅くなる。そのため、渦領域Sの渦は小さくなる。NZ音の発生源である渦領域の渦Sを小さくすることで、低騒音化を図ることができる。
この実施の形態では板状の多孔を有する抵抗体を熱交換器8aの端部に設けることで、気流に対する抵抗となると共に気流をある程度通過させるという機能を発揮する。ある程度気流を通過させることで熱交換性能を保持し、ファン入力の上昇を防ぐことができる。実施の形態1におけるステンレス板は最下流列のパイプ間の1箇所または複数箇所に設けた構成であったが、金網19のように多孔を有する抵抗板を用いると、1枚設けることで騒音を低減できる。また、位置あわせも綿密に行う必要がなく容易に取り付けることができる。
なお、実施の形態1と同様、リアガイダ11の長さや背面側熱交換器8aの段方向パイプ間距離DPがこの実施の形態と異なる場合でも、フィンふさぎ領域の上端位置(mm)とNZ音レベル(dB)の関係は図5と同様である。即ち、背面側熱交換器8aのリアガイダ11に対向する部分で、リアガイダ先端部11aから背面側熱交換器8aに引いた垂線Aと背面側熱交換器8aとの交点の高さまで金網19を設けると、NZ音レベルを大きく低減できるので望ましい。
また、ここでは抵抗体を金網としたが、気流を通過させると同時にある程度抵抗となる多孔を有するものならどのようなものでもよい。例えばメッシュ状のものでもよい。ただし、使用環境から熱や水分に対して耐性の強い素材であれば、他のものでも同様の効果を得られる。
また、この金網19を固着する方法は、実施の形態1における抵抗板と同様の方法が考えられる。例えば接着してもよいし、凹凸によってはめ込んだり、固定部材で固定してもよい。金網19の場合には多孔の部分で引っ掛けるような固定部材を使ってもよい。
また、図10のように、フィン14の積層方向に一枚の抵抗板でなくてもよく、複数の抵抗板で構成してもよい。また、並設されているフィン14の端から端まで全面に設けずに、送風機9の回転軸方向の一部分、または複数部分に設けてもよい。
さらには、金網19を熱交換器8aの下流側端面でなく、熱交換器端部の他の部分に固定してもよい。例えば、熱交換器8aの上流側端面や吸込口側と反対の下端面に固定する構成でも、吸込口4から熱交換器8aを通りリアガイダ11の熱交換器との対向側に流れる気流を妨げることができる。このため、金網19を設けない構成に比べ、リアガイダ11の背面側から先端部11aに回って流れる空気の流量を減少でき、NZ音レベルを低減できる。
以上のように、熱交換器8aは、並設する複数のフィン14の面が気流に沿うように配置され、抵抗手段は、熱交換器8aの下流側端面で複数のフィン14に亘って板状の抵抗板19を設け、気流を妨げるように構成したことにより、流速が遅くなるため、渦領域Sの渦は小さくなって低騒音化できる。また、リアガイダ11の形状におけるどのような制約条件も満足でき、かつ騒音低減の効果を奏するので、使用者が快適に使用できる空気調和機を得ることができる。
また、実施の形態1、2で述べた抵抗手段を1つに限らず、1つの空気調和機で複数種類を設けてもよい。例えば切り起こしとフィン倒しを混在させてもよい。
上記のように、この発明による空気調和機は、空気調和機の室内機に内蔵され、室内空気と熱交換する熱交換器と、この熱交換器からの室内空気を導く吸込口および吹出口を有する風路と、この風路内に配置され、前記吸込口からの前記室内空気を前記吹出口に送風する貫流送風機と、を具備した空気調和機の送風装置において、リアガイダ上端付近を通過する気流の流量を減らす手段を設けて構成したので、NZ音を低減し、かつリアガイダ成形上の制約条件との両立、熱交換器から垂れる露をリアガイダ部で受ける機能との両立、組立時に熱交換器を挿入する際の作業性との両立など、他の制約条件との両立を可能にでき、使用者が快適に利用できる空気調和機を廉価に提供できるという効果を有する。
この発明の実施の形態1による空気調和機を示す断面構成図である。 この発明の実施の形態1に係る背面側熱交換器の一部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係り、リアガイダ付近の気流を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和機に係り、フィン倒し部の幅L、熱交換器の段方向パイプ間距離DP、パイプ直径Lとしたとき、L/(DP−D)とNZ音レベル(dB)の関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態1に係る空気調和機において、熱交換器下端からフィン倒しを設けたときの、フィンふさぎ領域の上端位置(mm)とNZ音レベル(dB)の関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態1に係り、リアガイダ付近の気流を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1に係る熱交換器の一部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る熱交換器の一部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る熱交換器のフィンを示す断面構成図である。 この発明の実施の形態2に係る熱交換器の一部を示す斜視図である。
符号の説明
1 空気調和機筐体
4 吸込口
6 吹出口
8 熱交換器
8a 背面側熱交換器
9 送風機
10 羽根車
11 リアガイダ
11a リアガイダ先端部
14 フィン
15 パイプ
16 抵抗体
17 抵抗板
18 抵抗体
19 抵抗板
A 垂線

Claims (8)

  1. 空気調和機筐体内に格納される送風機と、前記送風機の吸入側に前記送風機を囲むように設けられ吸込口から流入する気体と熱交換する熱交換器と、前記空気調和機筐体内の背面側に配置される前記熱交換器の端部に対向すると共に前記送風機に対向して設けられ、前記熱交換した気体が前記送風機の吹出側に導かれるように風路の一部を形成するリアガイダと、前記吸込口から前記熱交換器を通り前記リアガイダの前記熱交換器との対向側に流れる気流を妨げる抵抗手段と、を備えたことを特徴とする空気調和機。
  2. 前記抵抗手段は、前記熱交換器の前記リアガイダとの対向部に設けた抵抗体であることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  3. 前記熱交換器は、並設する複数のフィンの面が前記気流に沿うように配置され、前記抵抗手段は、前記フィンの端部の一部を曲げて前記気流を妨げるように構成したフィン倒し、または前記フィンの一部を切り起こして前記気流を妨げるように構成した切り起こしであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の空気調和機。
  4. 前記熱交換器は、並設する複数のフィンの面が前記気流に沿うように配置され、前記抵抗手段は、前記熱交換器の下流側端面で複数の前記フィンに亘って設けた抵抗板であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の空気調和機。
  5. 前記熱交換器は、並設する複数のフィンと前記フィンの面を略垂直に複数段及び複数列で貫通するパイプを有し、前記フィンの面が前記気流に沿うように配置され、前記抵抗体は、前記熱交換器を前記気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、前記熱交換器を構成する前記パイプの最下流列に重ならない領域を少なくとも含むように設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機。
  6. 最下流列を構成する前記パイプのうちの1つのパイプ間において、前記熱交換器を前記気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、前記1つのパイプ間に対して前記最下流列のパイプに重ならない領域における前記抵抗体のフィン長手方向の長さLが、前記パイプ間距離DP及び前記パイプの直径Dとして、L/(DP−D)≧0.5となるように前記抵抗体を構成したことを特徴とする請求項5記載の空気調和機。
  7. 前記リアガイダの先端部から前記フィンの長手方向に対して略垂直に下ろした垂線が通る前記最下流列のパイプ間を含み、前記フィンの長手方向で前記リアガイダとの対向部に位置する前記最下流列のパイプ間であって、前記熱交換器を前記気流の下流側からその端面に略垂直方向に上流側を見たときに、少なくとも前記最下流列のパイプに重ならない領域に前記抵抗体を設けることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の空気調和機。
  8. 前記フィンの長手方向に対し、前記熱交換器の一端部から前記吸込口側に向かって、前記リアガイダとの対向部でかつ前記気流の最下流列のパイプ間に対応する位置に順に前記抵抗体を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の空気調和機。
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