JP2007133387A - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Nobuaki Kondo
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Tomoko Takahashi
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Masaaki Yamada
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Ichiro Kadota
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Abstract

【課題】従来に比べて長寿命化を図ることができるホッピング方式の現像装置を提供する。
【解決手段】所定方向に並ぶ複数の電極を具備するトナー担持ローラ31の無端移動する表面に担持したトナーを、それら複数の電極に電圧が印加されることで形成された電界によってローラ表面上でホッピングさせながら、感光体に担持される潜像に付着させて潜像を現像する現像装置において、トナー担持ローラ31の無端移動方向の全周に渡って導電性表面を露出させる共通電極である電極軸40A、40Bを設けるとともに、トナー担持ローラ31の無端移動に伴って電極軸40A、40Bに摺擦する第1摺擦接点部材91A、第2摺擦接点部材91Bを設け、複数の電極のうち、A相パルス電圧が印加される群の電極に対してそれぞれ電極軸40Aを接続し、B相パルス電圧が印加される群の電極に対してそれぞれ電極軸40Bを接続した。
【選択図】図10

Description

本発明は現像装置、及びこれを用いて画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
従来、この種の現像装置として、現像ローラや磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いるのではなく、トナー搬送基板等のトナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるものが知られている。
例えば、特許文献1に記載の現像装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数の電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。これら電極は、互いに隣り合う2つの電極からなる電極対が繰り返し配設されたものである。それぞれの電極対における2つの電極の間には交番電界が形成される。すると、電極対における一方の電極の上に位置していたトナーが浮上して他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上から浮上して一方の電極の上に着地したりする。そして、このようにしてホッピングを繰り返しながら、筒状のトナー担持体の回転駆動に伴う表面移動よって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで浮上したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、現像ローラや磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーを現像に用いる。これにより、従来の1成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
特開平3−21967号公報
しかしながら、この現像装置においては、寿命が短いという欠点があった。具体的には、現在主流となっている小粒径のトナーの使用を考慮すると、上述の複数の電極については、幅(電極並び方向の長さ)が数十[μm]程度であるものを、数十〜百数十[μm]程度のピッチで配設する必要がある。特許文献1に記載の現像装置では、このような微小ピッチで配設された複数の狭幅の電極に対してそれぞれ接点部材を個別に接触させている。そして、それら複数の電極と、それぞれ個別に接触する複数の接点部材とをトナー担持体の回転駆動に伴って摺擦させながら、それら接点部材を介して電源からの電圧をそれぞれの電極に印加している。かかる構成では、微小ピッチで配設される複数の狭幅の電極にそれぞれ個別に摺擦する複数の接点部材についても、電極と同様に狭幅のものを用いざるを得ない。そして、このような狭幅の電極と接点部材との組合せでは、電極や接点部材が摺擦に伴って僅かに摩耗しただけでも接触不良が起こるため、現像装置の寿命がかなり短くなってしまうのである。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来に比べて長寿命化を図ることができるホッピング方式の現像装置、及びごれを用いる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定方向に並ぶ複数の電極を具備するトナー担持体の無端移動する表面に担持したトナーを、それら複数の電極に電圧が印加されることで形成された電界によって該表面上でホッピングさせながら、潜像担持体に担持される潜像に付着させて該潜像を現像する現像装置において、上記トナー担持体の無端移動方向の全周に渡って導電性表面を露出させる共通電極を該トナー担持体に設けるとともに、該トナー担持体の無端移動に伴って該共通電極に摺擦する摺擦接点部材を設け、上記複数の電極のうち、共通の電圧が印加される同一群の電極に対してそれぞれ該共通電極を接続し、且つ、電源から該摺擦接点部材と該共通電極とを介して該同一群の電極に該共通の電圧を印加するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記共通の電圧が印加される同一群の電極として、上記複数の電極における所定の電極を起点にした奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群と、偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群とを設け、上記共通電極として、該奇数番目電極群に接続された第1共通電極と、該偶数番目電極群に接続された第2共通電極とを設け、且つ、上記摺擦接点部材として、該第1共通電極に摺擦する第1摺擦接点部材と、該第2共通電極に摺擦する第2摺擦接点部材とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記トナー担持体として、回転駆動によって表面を無端移動させるものを用いるとともに、上記第1共通電極と上記第2共通電極とを、該トナー担持体上にて回転軸線方向にずらして配設したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の現像装置において、上記トナー担持体の金属製の回転軸部材を、上記第1共通電極及び第2共通電極の少なくとも一方として兼用したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、上記トナー担持体として、その回転軸線方向の一端側に位置する金属製の回転軸部材と、他端側に位置する金属製の回転軸部材とを互いに絶縁状態にしたもの、を用い、且つ、何れか一方の回転軸部材を上記第1共通電極として兼用するとともに、他方の回転軸部材を上記第2共通電極として兼用したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1乃至5の何れかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1つに記載の現像装置を有し、この現像装置により潜像担持体上に2種以上のトナー画像を重ね合わせて形成することを特徴とするものである。
これらの発明において、複数の電極における同一群の電極に対して共通した電圧を導くための共通電極については、トナーの粒径やホッピング性を考慮して幅を決定する必要がないため、比較的広幅のものを用いることが可能となる。更には、共通電極に摺擦せしめる摺擦接点部材についても、共通電極の幅に合わせて、比較的広幅のものを用いることが可能になる。そして、比較的広幅の共通電極と摺擦接点部材との組合せを採用することで、それらの摩耗による接触不良の発生時期を従来よりも遅らせることが可能になる。よって、従来に比べて現像装置の長寿命化を図ることができる。
まず、本発明に関する実験について説明する。図1に示すように、ガラス基板1上にアルミニウムを蒸着することによって、p[μm]のピッチで移動方向に配列された複数の電極21、22、23・・・からなる電極バターン2を形成し、その上に保護層3として厚み約3[μm]、体積抵抗率約1010[Ω・cm]の樹脂コートを施したものを形成してトナー担持体としての基板4を構成し、この基板4の上には、帯電させたトナー層5を形成する。
このトナー層5は、基板4に対して図示しない2成分現像器によってベタ画像を薄層に現像することによって形成した。トナーはポリエステル系の粒径約6[μm]のものを使い、基板4上に薄層に形成された状態でのトナーの帯電量は約−22[μC/g]であった。この状態のトナー層5に対して、図2に示すように、奇数番目の電極21、23・・・の集合体である奇数番目電極群に交流電源6から交流電圧を印加する一方で、偶数番目の電極22・・・の集合体である偶数番目電極群に前記交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加すると、トナー5は奇数番目電極群21、23・・・と偶数番目電極群22・・・を往復するような運動を行う。この現象を以下、フレア(あるいはフレア現象)と呼ぶ。また、フレア現象を引き起こしている状態をフレア状態という。
電極21、22、23・・・のピッチがそれぞれ50、100、200及び400[μm]である4種類の基板4を用いて、交流電源6から電極21、22、23・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値であるVmax[V]を何点かに振りながら(変えながら)、フレアの活性度を高速度カメラで観察したところ、図3に示すような結果を得た。因みに、電極21、22、23・・・の幅と、電極21、22、23・・・の隣同士の距離は、電極21、22、23・・・のピッチの1/2となるようにした。
ここで、フレアの活性度とは、基板4の表面に張り付いて動かないトナーの様子を観察することで約5段階の官能評価により求められたものである。図3から、Vmaxやpの値に関わらず、Vmax[V]/p[μm]によってフレアの活性度がほぼ一義的に得られることが確認できる。そして、Vmax[V]/p[μm]>1の時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3ではフレアが完全に活性化していることが分かる。
また、基板4表面の電気的特性の影響を調べるために、基板4の表層3の体積抵抗率を何点か振って(変えて)、同様にフレア活性度を確認した。表層3に用いた材料はシリコーン系樹脂であり、そこに分散されるカーボン微粒子の量を変更することにより、10〜1014[Ω・cm]の体積抵抗率の保護層(厚みは約5[μm])3を形成した。代表的なものとして、電極21、22、23・・・のピッチが50[μm]のものを使って、上述と同様の実験をしたところ、図4に示す結果を得た。
この結果から、表層3の体積抵抗率が10〜1012[Ω・cm]の範囲にあることが適正であることが確認できる。これは、体積抵抗率が非常に高い表層3を用いると、飛翔を繰り返すトナーと表層3との摩擦によって基板4の表面が帯電したままになってしまう。そして、この帯電により、基板の表面電位が変動して、現像に寄与するバイアスを不安定にしてしまう。また、逆にあまりに表層3の導電性が高いと、電極21、22、23・・・間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなくなるからである。表層3は、基板4の表面に蓄積した電荷が電極群21、22、23・・・にうまく逃げられるように、適当な抵抗率(体積抵抗率で10〜1012[Ω・cm])となっている必要がある。なお、この体積抵抗率の最適範囲は、図2に示す装置を具備する実験設備を用いた実験によって得られたものである。図2に示す装置に代えて、図11に示す現像ローラ(詳細は後述する)を備える現像装置の場合には、最適範囲が前述のものと変わってくることもある。このような場合には、その現像装置における体積抵抗率の最適範囲を実験によって調べた上で、適切な体積抵抗率に調整することが望ましい。
本発明者らは、基板4の表面の摩擦帯電特性の影響を調べるために、表層3をシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の2種類として上記と同様なフレア活性度観察を行った。表層3は、カーボン微粒子を微量分散させることにより、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂のいずれのコート層としても体積抵抗率を1011〜1012[Ω・cm]とした。交流電源6から電極21、22、23・・・に交番バイアスを印加してフレア活性度を観察すると、表層3がシリコーン系樹脂の場合は長時間フレア状態を維持していたが、表層3がフッ素系樹脂の場合は直ぐにフレアが消滅しトナーが基板4に張り付いたままとなってしまった。
上記観察後に、基板4上のトナーの帯電量を測定したところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量は初期に比べて若干の低下がみられただけであったが、表層3がフッ素系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量はトナーの電荷がほとんど無くなっていた。試しに、帯電していないトナーをそれぞれの表層3の表面に擦り付けてみたところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合にはトナーが正規の極性の摩擦電荷を得られたのに対し、表層3がフッ素系樹脂の場合にはほとんど摩擦電荷を得られないばかりか若干逆の極性となっていた。つまり、フレア現象は、トナーと基板4の表面とが無数回衝突するプロセスであるため、表層3の材料はトナーの電荷を奪ってしまうものではなく、トナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましいことが理解できる。これは材料の摩擦帯電系列に習うものであり、表層3の材料としては、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。
次に、図5に示すような系での実験結果について説明する。基板Aはアルミニウムからなる基板7の上に厚み約20[μm]の樹脂層(これは感光体を想定したもの)8を形成することで構成する。基板7は接地し、樹脂層8にはベタ画像相当の0.4[mg/cm]のトナー層9を形成する。このトナー層9は図示しない2成分現像器によって樹脂層8に対してベタ現像をすることで形成したものである。
この基板Aに間隔d[μm]で対向するように基板Bを設置する。この基板Bは上記基板4と同様に構成され、表層3は以降の作業によってここに転移するトナーの量を光学的な測定装置(反射光濃度測定器)によって計測しやすいように白色のコート層とする。図3から、Vmax[V]/p[μm]=4であればいずれの条件でも安定なフレアを形成できるので、Vmax[V]/p[μm]=4となる4種の条件を用いて、基板Bへのトナー転移量の現像ギャップ(d[μm])依存性を調べると、図6に示すような結果が得られた。図6のグラフの縦軸は、基板Bにおける表層3の光学濃度増加量を示しており、表層3にトナーが全く付着していない状態では、光学濃度増加量が0となる。同グラフにおいて、光学濃度増加量が0よりも大きくなっている結果が含まれているが、これは基板Aの樹脂層8に付着していたトナー層9における一部のトナーが基板B上に形成される電界の影響を受けてトナー層9から基板Bの表層3に転移したためである。このような転移が発生すると、重ね合わせ現像において、先行する現像時に潜像担持体(例えば感光体)上に形成されたトナー層のトナーが、後続の現像時に後続色の現像装置内に転移して混色を引き起こしてしまう。また、先行する現像で得られた潜像担持体上の画像を乱してしまう。このような混色や画像の乱れを回避し得るのは、同グラフにおいて光学濃度増加量が0となっている条件である。そして、同グラフにより、かかる条件は、ピッチ間距離pが現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dであることがわかる。
これは、トナー担持体(基板B)上に形成される電界カーテンの影響が、潜像担持体(基板A)上の静電潜像電場やトナー像に対して及ばない条件であると考えることができる。このような条件のもとでは、例えば1200dpiや2400dpiの孤立ドットをスキャベンジなしで正確に現像できるばかりでなく、上述したように、潜像担持体(基板A)上でのトナー像重ねのような作像プロセスを利用する際にも、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱すこと無く、且つ、現像装置内のトナーの混色を招くことも無く、非常に高画質なトナー像重ねを実現することができる。
ところで、従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像装置には、2成分現像方式や1成分現像方式などがある。2成分現像方式は、高速現像に非常に適しており、現在の中速や高速の画像形成装置の主流方式である。この2成分現像方式では、高画質を狙うためには、潜像担持体上の静電潜像との接触部における現像剤の状態を非常に緻密にする必要がある。そのために、現在はキャリア粒子の小径化が進んでおり、商用レベルでは30μm程度のキャリアも使われ始めている。
1成分現像方式は、機構が小型軽量になることから、現在の低速の画像形成装置の主流方式である。この1成分現像方式では、現像ローラ等の現像剤担持体の表面に担持したトナーをホッピングさせずに現像に用いる。具体的には、現像ローラ上にトナー薄層を形成するために、ブレードやローラなどのトナー規制部材を現像ローラ上のトナーに当接させ、そのときに現像ローラやトナー規制部材とトナーとの摩擦によってトナーは帯電される。現像ローラ上に薄層に形成された帯電トナー層は、現像部に運ばれて潜像担持体上の静電潜像を現像する。ここでの1成分現像方式には大きく分けて接触型と非接触型があり、前者は現像ローラと潜像担持体とが接触するものであり、後者は現像ローラと潜像担持体とが非接触であるものである。
上記2成分現像方式と1成分現像方式との欠点を補い合うべく、特開平3−100575号公報に記載のものなどのように2成分現像方式と1成分現像方式とをハイブリッド化したハイブリッド化方式も幾つか提案されている。
高解像度の微小均一ドットを現像する方法としては、例えば特開平3−113474号公報に記載の方式がある。この方式は、上記ハイブリッド化方式に対して、現像部に高周波バイアスを印加したワイヤを設置することにより、現像部でのトナークラウド化を行い、高解像度のドット現像性を実現するものである。
また、特開平3−21967号公報(特許文献1)には、最も効率良く、且つ安定なトナークラウドを形成するために、回転ローラ上に電界カーテンを形成する方法が提案されている。
また、進行波電界による電界カーテンで現像剤を搬送する現像装置が特開2003−15419号公報に記載されている。また、現像ローラの周面上にほぼ1層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有する現像装置が特開平9−269661号公報に記載されている。また、特開2003−84560号公報には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所定のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させる現像装置が記載されている。
従来の2成分現像方式では、高画質化に対する要求が益々高まっており、必要とされる画素のドットサイズ自身が現状のキャリア粒子径と同等もしくはそれよりも小さい必要があるために、孤立ドットの再現性という意味では更にキャリア粒子を小さくする必要がある。しかし、キャリア径を小さくしていくと、キャリア粒子の透磁率が低下するために、現像ローラからのキャリア離脱が生じやすくなり、離脱したキャリア粒子が潜像担持体に付着した場合には、キャリア付着そのものによる画像欠陥が生じるだけでなく、それを起点として潜像担持体に傷をつけてしまうなどいろいろな副作用が生じる。
このキャリア離脱を防止するために、材料面からキャリア粒子の透磁率を上げる試みや、現像ローラに内包されるマグネットの磁力を強くする試みが進められているが、低コスト化及び高画質化との兼ね合いの中で開発は困難を極めている。また、小型化の煽りを受けて、現像ローラは益々小径化の一途をたどっていることからも、キャリア離脱を完全に抑止できるような強力な磁場構成を有した現像ローラ設計が困難となっている。
そもそも2成分現像方式は、磁気ブラシと呼ばれる2成分現像剤の穂を静電潜像に対して擦り付けるようにしてトナー像を形成するプロセスであるために、どうしても穂の不均一性によって、孤立ドットの現像性にムラが生じやすい。現像ローラと潜像担持体との間に交番電界を形成することで画質の向上は可能であるが、現像剤の穂のムラといった根本的な画像ムラを完全に消滅させることは困難である。
また、潜像担持体上の現像されたトナー像を転写する工程や、転写後に潜像担持体上に残存するトナーをクリーニングする工程において、転写効率やクリーニング効率を向上させるためには、潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を極力下げる必要がある。潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を下げる方法としては、潜像担持体表面の摩擦係数を下げることが効果的であることが知られているが、この場合、2成分現像剤の穂が滑らかに現像部をすり抜けてしまうために現像効率やドット再現性が非常に悪くなってしまう。
1成分現像方式では、トナー規制部材により薄層化された現像ローラ上のトナー層は、現像ローラ上に十分に圧接されてしまっているために、現像部での電場に対するトナー応答性が非常に悪い。よって、通常は高画質を得るために、現像ローラと潜像担持体との間に強力な交番電場を形成するのが主流であるが、この交番電場の形成をもってしても静電潜像に対して一定量のトナーを安定して現像することは困難であり、高解像度の微小ドットを均一に現像することは難しい。また、この1成分現像方式は、現像ローラへのトナー薄層形成時にトナーに対して非常に大きなストレスをかけてしまうため、現像装置内を循環するトナーの劣化が非常に早い。トナーの劣化に連れて、現像ローラへのトナー薄層形成の工程でもムラなどが生じやすくなり、1成分現像方式は一般には高速や高耐久の画像形成装置としては向かない。
ハイブリッド化方式(特開平3−100575号公報)では、現像装置そのものの大きさや部品点数は増えてしまうものの、幾つかの課題は克服される。しかし、現像部においてはやはり1成分現像方式と同様の問題があり、つまり高解像度の微小均一ドットを現像することには難が残る。
特開平3−113474号公報に記載の方式は、高安定且つ高画質な現像が実現できるものと考えられるが、現像装置の構成が複雑になる。
また、特開平3−21967号公報(特許文献1)に記載の方法は、小型且つ高画質の現像を得るには非常に優れたものと解釈できるが、本発明者らが鋭意研究した結果、理想的な高画質を得るためには、形成する電界カーテンや現像などの条件を限定しなくてはならないことが発見された。すなわち、適正な条件から外れた条件で作像を行ってしまうと、全く効果が得られないばかりか、返って粗悪な画質を提供してしまうことになる。また、この方式はトナー担持体上でホッピングするトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域まで搬送するものであるが、トナー担持体を表面移動させずに、ホッピングよる移動のみによってトナーを現像領域まで搬送する特開2002−341656号公報に記載の方式でも、同様のことが言える。
また、潜像担持体に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式でなくてはいけない。非接触一成分現像方式や、3−113474号公報に記載のトナークラウド現像方式を用いることで、潜像担持体上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、いずれの方式も、潜像担持体と現像ローラとの間には交番電界が形成されてしまうために、潜像担持体上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。これによって、潜像担持体上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては潜像担持体と現像ローラとの間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
このようなクラウド現像を実現できる方法としては、先に挙げた特開平3−21967号公報(特許文献1)や特開2002−341656号公報に記載の方式が有効と考えられるが、これらに関しては先にも述べた通り、適当な条件の元で利用しないと全く効果が無い。具体的には、条件が不適切であると、トナーをクラウド化させることができなくなる。更には、トナーをクラウド化させたとしても、重ね合わせ現像においては、先行する現像で得られた潜像担持体上のトナー層中のトナーを後続色の現像装置内に転移させ、画像の乱れや混色を引き起こしてしまう。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置においては、上述した実験の結果に鑑みて、Vmax[V]/p[μm]>1という条件を具備させている。かかる構成では、トナーを確実にクラウド化せしめることができる。よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
なお、特開2002−341656号公報に記載の方式などの様に、トナー担持体の機械的な駆動を無くし、3相以上の交互電場によってトナーを静電的に搬送し現像する方法においても、上記条件を具備させることで、トナーを確実にクラウド化せしめることが可能であると考えられる。しかしながら、同公報に記載の方法によれば、何かのきっかけで静電搬送できなくなったトナーを起点として、搬送基板上にトナーが堆積してしまい、結果として機能しなくなる問題を抱えてしまう。このような問題を解決すべく、例えば特開2004−286837号公報に記載の方式のように固定搬送基板とその表面を移動するトナー担持体の組合せのような構造も提案されているが、機構が非常に複雑になってしまう。これに対し、本画像形成装置のように、トナーをホッピングによって電極間で往復移動させながら、トナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送する方式では、前述のようなトナーの堆積や機構の複雑化を回避することができる。
図7は本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるトナー担持ローラの代表例を示すものである。トナー担持体としてのトナー担持ローラ31は、回転ローラ形状に形成したもので、移動方向にp[μm]のピッチで配列されて空間周期的に配置された複数の電極41、42、43・・・からなる電極バターンにおける奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群におけるそれぞれの電極に接続された第1共通電極としての電極軸40Aを有している。また、偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群におけるそれぞれの電極に接続された第2共通電極としての電極軸40Bも有している。電極軸40Aは、トナー担持ローラ31の回転軸線方向の一端側に位置する金属製の回転軸部材が第1共通電極として兼用されたものである。また、電極軸40Bは、トナー担持ローラ31の回転軸線方向の他端側に位置する金属製の回転軸部材が第2共通電極として兼用されたものである。これら電極軸40A、電極軸40Bは、互いに絶縁状態を維持するように配設されており、それぞれ図示しない軸受けに回転自在に支持されている。そして、トナー担持ローラ31の無端移動方向である回転方向の全周に渡って導電性表面を露出させている。
それぞれの電極軸40A、40Bには、図示しない電極ブラシ等の摺擦接点部材によって交流電源からバイアス電位として交流電圧が印加される。この交流電圧は、図15に示されるように、上述の奇数番目電極群を束ねた電極軸(40A)に印加される矩形波状のA相パルス電圧と、偶数番目電極群を束ねた電極軸(40B)に印加される矩形波状のB相パルス電圧とからなる。これらA相パルス電圧、B相パルス電圧は、図示のように互いに逆位相になっており、単位時間あたりにおける平均電位は互いに同じである。なお、図16に示すように、一方の電極軸に周波数fの矩形波状のパルス電圧を印加する一方で、もう一方の電極軸には、前記パルス電圧の平均電位となる直流電圧を印加しても、逆位相のパルス電圧を採用する場合と同様に、フレア現象を生起せしめることが可能である。
上記トナー担持ローラ31は、図8(a)に示すように、絶縁体であるアクリル樹脂の円筒51に軸穴52を設け、図8(b)に示すようにステンレス製の電極軸40A、40Bを円筒51の軸穴52に圧入して電極軸40A、40Bを奇数番目電極群41、43・・・、偶数番目電極群42・・・にそれぞれ接続する。次に、図9(a)〜(e)に示す各工程でパターン電極を形成する。図9はトナー担持ローラ31の表面を回転軸に沿った方向に見た図である。図9(a)に示す工程では、図8に示す工程よって得られたローラ51の表面を外周旋削によって平滑に仕上げる。図9(b)に示す工程では、溝のピッチが100[μm]、溝幅が50[μm]となるように溝53の切削を行う。図9(c)に示す工程では、溝切削を行ったローラ51に無電解ニッケル54のメッキを施し、図9(d)に示す工程では、無電解ニッケル54のメッキを施したローラ31の外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。この時点で電極41、42、43・・・が溝53の部分に互いに絶縁して形成される。その後、ローラ51にシリコーン系樹脂をコーティングすることでローラ51の表面を平滑にし、同時に表面保護層(厚み約5[μm]、体積抵抗率約1010[Ω・cm])55を形成してトナー担持ローラ31を製作した。
図10は、トナー担持ローラ31を平面状に展開した状態を示す平面図である。このトナー担持ローラ31は、上記基板4と同様に、保護層55上に薄いトナー層が形成される。そして、電極軸40A、40Bに対して図15に示した交流電圧がバイアス電位として図示しない交流電源から電極ブラシ等を介して印加される。この印加は、次のようにして行われる。即ち、図17に示すように、トナー担持ローラ31の電極軸40Aの周面には、現像装置本体側に固定された金属等の導電性材料からなる第1摺擦接点部材91Aが接触しており、回転する電極軸40Aと摺擦する。上述の奇数番目電極群におけるそれぞれの電極に対しては、A相交流電源59Aから出力される上述のA相パルス電圧(図15参照)が、この第1摺擦接点部材91Aと電極軸40Aとを介して印加される。また、トナー担持ローラ31の電極軸40Bの周面には、現像装置本体側に固定された金属等の導電性材料からなる第2摺擦接点部材91Bが接触しており、回転する電極軸40Bと摺擦する。上述の奇数番目電極群におけるそれぞれの電極に対しては、B相交流電源59Bから出力される上述のB相パルス電圧(図15参照)が、この第2摺擦接点部材91Bと電極軸40Bとを介して印加される。このようにして各電極にパルス電圧が印加されると、トナーは奇数番目電極群41、43・・・と偶数番目電極群42・・・を往復するような運動(フレア)を行う。
かかる構成において、トナー担持ローラ31の複数の電極における同一群の電極に対して共通した電圧を導くための電極軸40A、電極軸40Bについては、トナーの粒径やホッピング性を考慮して幅を決定する必要がないため、図示のようにかなり広幅のものを用いることが可能となる。更には、これら電極軸に摺擦せしめる図示しない電極ブラシ等の摺擦接点部材についても、電極軸(40A、40B)の幅に合わせて、広幅のものを用いることが可能になる。これらの結果、電極軸と摺擦接点部材との摩耗による接触不良の発生時期を従来よりも遅らせて、従来よりも現像装置の長寿命化を図ることができる。
第1共通電極たる電極軸40Aと、第2共通電極たる電極軸40Bとは、トナー担持ローラ31において互いに回転軸線方向にずらして配設されている。かかる構成では、電極軸40Aと電極軸40Bとを互いに回転軸線方向にずらしていることで、回転する電極軸40A、電極軸40Bに対して、それぞれ摺擦接点部材を独立させて摺擦せしめることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置においては、トナー担持ローラ31の回転軸線方向における一端側に位置する金属製の電極軸40Aを第1共通電極として兼用するとともに、他端側に位置する金属製の電極軸40Bを第2共通電極として兼用し、それら電極軸を互いに絶縁状態にしている。かかる構成では、トナー担持ローラ31に新たな共通電極を設けることなく、それぞれの電極群に独立してパルス電圧を印加することができる。
本実施形態に係る画像形成装置において、交流電源から電極41、42、43・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値がVmax[V]とし、Vmax[V]/p[μm]>1である時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3はフレアが完全に活性化するのは上述した通りである。また、トナー担持ローラ31は、上記基板4と同様に、表層55の体積抵抗率が10〜1012[Ω・cm]の範囲にあることが適正であり、表層55がシリコーン系樹脂である。表層55の材料は、上述のように、トナーとの摩擦でトナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましく、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。pは現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dに設定される。
実施形態に係る画像形成装置においては、トナーとして、母材樹脂(トナーの主成分)がポリエステル又はスチレンアクリルからなり、且つ正規帯電極性がマイナス極性(負極性)であるものを用いている。そして、潜像担持体58の一様帯電部(地肌部)と潜像部とを共にトナーの正規帯電極性と同極性(本例ではマイナス極性)にし、且つ地肌部よりも電位を減衰せしめた潜像部に対してトナーを選択的に付着させるいわゆる反転現像を行うようになっている。
図10におけるトナー担持ローラ31は、先に図1に示したように、ガラス基板1と、複数の電極(21、22・・・)と、これら電極を覆う表面保護層たる保護層3とを有している。この保護層3としては、トナー担持体たるトナー担持ローラ31の表面上でホッピングするトナーとの摺擦に伴ってトナーの正規帯電極性側(本例ではマイナス側)への摩擦帯電を促す材料からなるもの、を用いている。即ち、トナーの方が保護層3よりも摩擦帯電系列上でマイナス側に位置しているのである。このような関係を実現し得る保護層3の材料としては、シリコーン、ナイロン、メラミン樹脂、アクリル樹脂、PVA、ウレタンなどの有機材料を例示することができる。また、第四級アンモニウム塩やニグシロン系染料などでもよい。更には、これまでに例示した材料の2つ以上を混合した材料でもよい。これらの材料は、トナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促すことに加えて、自らの絶縁性によってトナー電荷の電極へのリークを回避することが可能である。
このような保護層3を具備する本画像形成装置においては、トナー担持体たるトナー担持ローラ31の保護層3(表面保護層)がホッピングするトナーとの摺擦に伴ってトナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促す。そして、保護層3との摺擦に伴うトナーの正規帯電極性とは逆極性側への摩擦帯電を回避する。これにより、ホッピングに伴うトナーの帯電量(正規帯電極性)の低下を抑えることで、トナーのホッピング不良による現像不良の発生を抑えることができる。
なお、トナーとして、正規帯電極性がプラス極性(正極性)であるものを用いてもよい。この場合には、保護層3として、トナーとの摺擦に伴ってトナーのプラス極性側への摩擦帯電を促す材料からなるものを用いればよい。
また、トナーの帯電系列とは、トナー母材樹脂(粒子)にシリカ、酸化チタンなどの外添剤を添加したトナー全体としての帯電系列を意味する。帯電系列における序列については、次のようにして調べることが可能である。即ち、トナーを表面保護層上で所定時間だけ表面保護層に摺擦せしめた後、そのトナーを吸引して採取する。そして、採取したトナーの帯電量をエレクトロメータで測定する。この測定結果がトナーの負極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもマイナス側の帯電系列となる。また、測定結果がトナーの正極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもプラス側の帯電系列となる。
また、保護層3と電極との間に中間層を設けてもよい。この場合、中間層として、Ti、Sn、Fe、Cu、Cr、Ni、Zn、Mg、Al、T、SnO、Fe、Fe、CuO、Cr、NiO、ZnO、MgO、Al等の導電性の材料からなるものを用いることも可能である。
図11は本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は上記トナー担持ローラ31を利用した現像装置を有するものである。トナー担持ローラ31に対しては、通常の2成分現像器56により2成分現像剤の穂が当接されている。具体的には、粒径50[μm]の磁性キャリア粉と粒径約6[μm]のポリエステルトナーを重量比で7〜8[wt%]混合させた2成分現像剤を、2成分現像器56の永久磁石を内包するマグネットスリーブ57によってトナー担持ローラ31まで搬送し、そこでトナーの一部がマグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間に印加される直流バイアス電位によってトナー担持ローラ31に転移する。トナー担持ローラ31に転移したトナーは、トナー担持体31上でフレアを形成しながら、トナー担持体31が図示しない駆動部により回転駆動されることで潜像担持体58との対向部に搬送され、トナー担持ローラ31表面の平均電位と潜像担持体58電位との差によって潜像担持体58上の静電潜像に付着することで該静電潜像を現像してトナー像を形成する。なお、電極軸40A、40B間には交流電源59から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加され、奇数番目電極群41、43・・・と偶数番目電極群42・・・との間に時間周期的な電位差が形成される。
現像に寄与しなかった不要なトナーは現像部から再びマグネットスリーブ57に戻ってくる。フレアが形成されているので、トナー担持ローラ31に対するトナーの付着力は非常に低く、トナー担持ローラ31によって現像部から戻ってきたトナーは、マグネットスリーブ57の回転に追随した2成分現像剤の穂によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ31上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。2成分現像器56は、容器60内の2成分現像剤63を攪拌しながら搬送して循環させ、マグネットスリーブ57がその2成分現像剤の一部をトナー担持ローラ31まで搬送すると共に現像部から現像に寄与しなかった不要なトナーを戻す。
潜像担持体58としては、厚み13[μm]の有機感光体を使用し、1200dpiのレーザ書き込み系を利用して潜像を形成する場合について以下に説明する。感光体58は、図示しない駆動部により回転駆動されて帯電装置により一様に帯電され、露光手段としてのレーザ書き込み系により露光されて静電潜像が形成される。この場合、感光体58の帯電電位は−300〜−500[V]とし、ベタ部での書き込み電位が0〜−50[V]となるような条件で静電潜像を形成する。
この静電潜像は、トナー担持ローラ31上でフレアを形成するトナーにより現像されてトナー像となる。この時、帯電量が約−22[μC/g]で粒径が6[μm]であるトナーを使って、地汚れが無く、ベタ部の埋まりも良く、且つ1200dpiの1ドットが再現できるように条件を設定したところ、トナー担持体31と感光体58とのギャップは約500[μm]、トナー担持体31の奇数番目電極群と偶数番目電極群には、−400[V]と0[V]のそれぞれをピークに持つ各瞬間瞬間における平均電位が−200[V]の交流バイアスを、5[kHz]の周波数で交流電源59から印加することで実現した(奇数番目電極群と偶数番目電極群で交流バイアスの位相を互いに逆位相とした)。
トナー担持ローラ31上のトナー像は給紙装置から給送されてきた記録紙等の記録媒体へ転写手段により転写され、その記録媒体は定着装置によりトナー像が定着されて外部へ排出される。
トナー担持ローラ31上に過剰なトナーが乗っていると、トナーの電荷によって電界カーテンがシールドされてしまいフレアが形成できなくなるので、トナー担持ローラ31上に乗っている単位面積当りのトナー量は0.2[mg/cm]となるように、マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間には電源から約200[V]の直流バイアスが印加されている。ちなみに、フレアによるトナーの拡散効果があるので、マグネットスリーブ57からトナー担持ローラ31へのトナー転移には多少のムラがあっても問題なく、マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間には上記直流バイアスにACバイアスを重畳するような工夫は特に必要なく、また、2成分現像剤の穂を厳格に均一にするような工夫も特に必要ない。
一方、感光体58上のベタ画像として必要とされるトナー量が0.4[mg/cm]であることから、現像部でのトナー枯渇が生じないように、トナー担持ローラ31の移動速度は、感光体58の移動速度の2倍以上にする必要があり、ここでは感光体58の移動速度の2.5倍としている。トナー担持ローラ31の移動方向と感光体58の移動方向は、図11に示すように同じ向きでも良いが、逆向きでも良い。マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31の移動方向は、戻りトナーの掻き取り効果を得るために、図11のように逆向きであるのが好ましい。
以上の系によって、感光体58の線速300[mm/s]の元で、ベタ部の埋まり性、1200dpiドット再現性、に優れた地汚れの無い高画質現像を実現できることが確認された。
図12は、実施形態に係る画像形成装置の第1変形例装置を示す概略構成図である。この第1変形例装置では、図11に示す実施形態において、現像器56は、マグネットスリーブ57を省略して簡略化した構成とし、トナー担持ローラ31に対するトナー供給を2成分現像剤のカスケード現像現象によって行う。2成分現像器56は単純なカスケードを利用してトナー担持ローラ31に薄いトナー層を形成するため、トナー担持ローラ31へのトナー転移率が図11に示す実施形態に比べて低下するが、その分トナー担持ローラ31の回転速度を高くすることにより、感光体58への現像速度に対応することができる。図12に示す実施形態のマグネットスリーブ57を省略した2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置は、実質的に従来の2成分現像器と同サイズとなるため、図12に示す実施形態は小型で高画質の作像エンジンを構成することが可能である。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
図13は、実施形態に係る画像形成装置の第2変形例装置を示す概略構成図である。この第2変形例装置は、図12に示した第1変形例装置において、2成分現像器56の代りにトナーのみを有する1成分現像器64が用いられ、この1成分現像器64はトナー担持ローラ31に対してトナーを転位させてトナー担持ローラ31上に薄いトナー層を形成する。この場合、1成分現像器64は、容器65内のトナー66を循環パドル67で攪拌して循環させながらトナー担持ローラ31に供給し、トナー担持ローラ31上のトナーをトナー規制部材としてのメータリングブレード68により一定厚に規制して薄いトナー層とする。
トナー担持ローラ31へのトナー供給安定性という意味では、図11に示した実施形態に係る画像形成装置や図12に示した第1変形例装置にやや劣る部分もあるが、それは条件を詰めれば解決できる問題であり、何よりも非常に小型軽量且つ高画質な現像装置を提供することができる。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
図14は、実施形態に係る画像形成装置の第3変形例装置を示す概略構成図である。この実施形態は、図11に示した画像形成装置における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ現像装置を利用して構成され、感光体上に各色のトナー像を重ねて形成する画像形成装置の例である。この実施形態では、感光体としてのベルト状の有機感光体69は、図示しない2つのローラに掛け渡され、図示しない駆動部により回転駆動される。
感光体69の左側には、複数色、例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの画像をそれぞれ形成する複数の画像形成手段としての作像装置70K、70Y、70C、70Mが配列されている。感光体69は、まず、作像装置70Kにて帯電装置71Kにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、ブラックの画像データで変調された光ビーム72Kによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図11に示した画像形成装置における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Kにより現像されてブラックのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Kにより除電されて次の画像形成に備える。
次いで、感光体69は、作像装置70Yにて帯電装置71Yにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、イエローの画像データで変調された光ビーム72Yによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図11に示した画像形成装置における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Yにより現像されて上記ブラックのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Yにより除電されて次の画像形成に備える。
次に、感光体69は、作像装置70Cにて帯電装置71Cにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、シアンの画像データで変調された光ビーム72Cによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図11に示した画像形成装置における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Cにより現像されて上記ブラックのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Cにより除電されて次の画像形成に備える。
次に、感光体69は、作像装置70Mにて帯電装置71Mにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、マゼンタの画像データで変調された光ビーム72Mによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図11に示した画像形成装置における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Mにより現像されて上記ブラックのトナー像、上記イエローのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるマゼンタのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
一方、図示しない給紙装置から記録紙等の記録媒体が給送され、この記録媒体は電源から転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ75により感光体69上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録媒体は、定着装置76によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体69は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段としてのクリーナ77により残留トナー等が除去される。
なお、現像装置73K、73Y、73C、73Mは、図12の2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置又は図13の1成分現像器64及びトナー担持ローラ31からなる現像装置を用いてもよい。
この実施形態では、同一の感光体69上に4色分の書き込みを行うので、通常の4連タンデム方式と比較すると、原理的に位置ズレがほとんど発生せず、感光体上で色重ねができて位置ズレのない高画質のフルカラー画像を得ることができる。
なお、本第3変形例装置においては、上述した実験の結果に鑑みて、Vmax[V]/p[μm]>1という条件に加えて、p[μm]<d[μm]という条件も具備させている。かかる構成では、上述したように、感光体69上に一度形成されたトナー像に対しては全く影響を与えることが無く、しかも、感光体69上に形成された先行色のトナー層を後続色の現像装置内に転移させることもない。よって、スキャベンジや混色などの問題が一切無く、高画質な作像プロセスを長期的に渡り安定して行うことができる。
図18は、実施形態に係る画像形成装置の第4変形例装置に用いられるトナー担持ローラ31を示す平面図である。この第4変形例装置のトナー担持ローラ31においては、回転軸線方向の両端側にそれぞれ設けられた金属製の回転軸部材を共通電極として兼用していない。その代わりに、トナー担持ローラ31のローラ部における回転軸線方向の一端側において、ローラ部全周に渡って延在するようにローラ部表面に被覆された第1共通電極92Aを設けている。また、回転軸線方向の他端側において、ローラ部全周に渡って延在するようにローラ部表面に被覆された第2共通電極92Bを設けている。そして、第1共通電極92Aに第1摺擦接点部材91Aを摺擦せしめる一方で、第2共通電極92Bに第2摺擦接点部材92Aを摺擦せしめている。
なお、ローラ部表面に被覆された第1共通電極92Aや第2共通電極92Bに代えて、円盤状の金属製フランジ部材を設けてもよい。また、第1共通電極92Aや第2共通電極92Bを、ローラ部周面に代えて、ローラ部の軸線方向の側面(円平面)に設けてもよい。また、給電部材として金属製フランジ部材を設けたり、給電部材たる共通電極をローラ部の側面に設けたりした場合には、接点摺擦部材と給電部材との接点をローラ部の側面側に設けることも可能である。
図19は、実施形態に係る画像形成装置の第5変形例装置に用いられるトナー担持ローラ31を示す平面図である。この第5変形例装置のトナー担持ローラ31においては、実施形態に係る画像形成装置と同様に、回転軸部材たる電極軸40Aを第1共通電極として兼用し、これに対して第1摺擦接点部材91Aを摺擦せしめている。この一方で、ローラ部の一端部において全周に渡って延在する第2共通電極92Bを設け、これに対して第2摺擦接点部材91Bを摺擦せしめている。
これまで、互いに隣り合う2つの電極の間でトナーを往復移動させるようにホッピングせしめてフレア現象を得ながら、トナー担持体の表面移動によってトナーを現像領域まで搬送する画像形成装置の実施形態について説明してきたが、次のような画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。即ち、特開2002−341656号公報に記載の方式のように、トナー担持体において、ある電極の上からこれに隣り合う電極の上に向けてのホッピングを、トナー担持体の一端側から他端側に向かう方向で繰り返して行わせることで、トナーを現像領域に向けて搬送する画像形成装置である。また、このようなホッピングによるトナーの移動と、トナー担持体の表面移動との両方によってトナーを現像領域に向けて搬送する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
本発明に関する実験に用いた系を示す断面図である。 同系のフレア状態を示す断面図である。 同系の実験結果であるVmax[V]/p[μm]とフレア活性度との関を示す特性図である。 同系の実験結果である表層3の体積抵抗率とフレア活性度との関係を示す特性図である。 本発明に関する実験に用いた系を示す断面図である。 同系の実験結果である現像ギャップと基板A上の光学濃度増加分との関係を示す特性図である。 本発明の実施形態におけるトナー担持体の代表例を示す斜視図である。 同トナー担持体の製造工程の一部を示す断面図である。 同トナー担持体の製造工程の他の一部を示す断面図である。 同トナー担持体を平面状に展開した状態を示す展開図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 実施形態に係る画像形成装置の第1変形例装置を示す概略構成図。 実施形態に係る画像形成装置の第2変形例装置を示す概略構成図。 実施形態に係る画像形成装置の第3変形例装置を示す概略構成図。 同トナー担持体の電極に印加されるA相パルス電圧及びB相パルス電圧の特性を示す波形図。 同トナー担持体の電極に印加されるパルス電圧及び平均電圧の特性を示す波形図。 実施形態に係る画像形成装置のトナー担持ローラを示す平面図。 実施形態に係る画像形成装置の第4変形例装置に用いられるトナー担持ローラを示す平面図。 実施形態に係る画像形成装置の第5変形例装置に用いられるトナー担持ローラを示す平面図。
符号の説明
1:ガラス基板
2:電極バターン
21、22、23:電極
3:保護層
4:基板
5、9:トナー層
6:交流電源
7:基板
8:樹脂層
A、B:基板
31:トナー担持体
40:電極バターン
40A、40B:電極軸
41、42、43:電極
51:円筒
55:表層
56:2成分現像器
58:感光体
59:交流電源
64:1成分現像器
69:感光体
70K、70Y、70C、70M:作像装置
73K、73Y、73C、73M:現像装置

Claims (7)

  1. 所定方向に並ぶ複数の電極を具備するトナー担持体の無端移動する表面に担持したトナーを、それら複数の電極に電圧が印加されることで形成された電界によって該表面上でホッピングさせながら、潜像担持体に担持される潜像に付着させて該潜像を現像する現像装置において、
    上記トナー担持体の無端移動方向の全周に渡って導電性表面を露出させる共通電極を該トナー担持体に設けるとともに、
    該トナー担持体の無端移動に伴って該共通電極に摺擦する摺擦接点部材を設け、
    上記複数の電極のうち、共通の電圧が印加される同一群の電極に対してそれぞれ該共通電極を接続し、
    且つ、電源から該摺擦接点部材と該共通電極とを介して該同一群の電極に該共通の電圧を印加するようにしたことを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1の現像装置において、
    上記共通の電圧が印加される同一群の電極として、上記複数の電極における所定の電極を起点にした奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群と、偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群とを設け、
    上記共通電極として、該奇数番目電極群に接続された第1共通電極と、該偶数番目電極群に接続された第2共通電極とを設け、
    且つ、上記摺擦接点部材として、該第1共通電極に摺擦する第1摺擦接点部材と、該第2共通電極に摺擦する第2摺擦接点部材とを設けたことを特徴とする現像装置。
  3. 請求項2の現像装置において、
    上記トナー担持体として、回転駆動によって表面を無端移動させるものを用いるとともに、上記第1共通電極と上記第2共通電極とを、該トナー担持体上にて回転軸線方向にずらして配設したことを特徴とする現像装置。
  4. 請求項3の現像装置において、
    上記トナー担持体の金属製の回転軸部材を、上記第1共通電極及び第2共通電極の少なくとも一方として兼用したことを特徴とする現像装置。
  5. 請求項4の現像装置において、
    上記トナー担持体として、その回転軸線方向の一端側に位置する金属製の回転軸部材と、他端側に位置する金属製の回転軸部材とを互いに絶縁状態にしたもの、を用い、且つ、何れか一方の回転軸部材を上記第1共通電極として兼用するとともに、他方の回転軸部材を上記第2共通電極として兼用したことを特徴とする現像装置。
  6. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、
    上記現像手段として、請求項1乃至5の何れかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1つに記載の現像装置を有し、この現像装置により潜像担持体上に2種以上のトナー画像を重ね合わせて形成することを特徴とする画像形成装置。
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