以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下においては、動力発生手段として電動機を用いる例を説明するが、動力発生手段は電動機には限られず、例えば油圧モータを用いてもよいし、あるいはガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよく、さらには、これらを組み合わせて用いてもよい。また、以下においては、車両が備える左右の駆動輪に駆動力差を与える場合を説明するが、本発明は、車両が備える前後の駆動輪に駆動力差を与える場合や、車両が備える前後左右の駆動輪に駆動力差を与える場合等にも適用できる。すなわち、本発明は、異なる動力発生手段で駆動される複数の駆動輪間に駆動力差を与える場合に適用できる。
また、次の説明においては、乗用車、トラック、バスその他の車両に対して本発明を適用した場合を例とするが、本発明の適用対象はこのような車両に限定されるものではない。また、本発明は、内燃機関と電動機とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド車両や、電動機で駆動される電気自動車、複数の異なる内燃機関によって異なる駆動輪を駆動する車両等に対して適用することができる。
(実施形態1)
この実施形態は、第1の駆動軸を駆動する第1動力発生手段の出力を調整して第2の駆動軸を駆動する第2の駆動軸へ伝達し、また、前記第2動力発生手段の出力を調整して前記第1の駆動軸へ伝達することを特徴とする点に特徴がある。次に、この実施形態に係る駆動装置について詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る駆動装置を搭載した車両の構成を示す説明図である。この駆動装置100は車両(例えば、乗用車やバス等)1に搭載されて、車両1の後輪8L、8Rを駆動する。ここで、後輪8Lは、車両1の進行方向Lに向かって左側の後輪であり、後輪8Rは、車両1の進行方向Lに向かって右側の後輪である。以下、後輪8Lを左側後輪8Lといい、後輪8Rを右側後輪8Rという。
駆動装置100は、第1動力発生手段として第1電動機10L(M1)を備え、また、第2動力発生手段として第2電動機10R(M2)を備える。第1電動機10Lは主として左側後輪8Lを駆動し、第2電動機10Rは主として右側後輪8Rを駆動する。また、第1電動機10Lと第2電動機10Rとの間には、この実施形態に係る動力伝達手段である動力伝達装置110が設けられている。そして、この実施形態に係る駆動装置100では、左側後輪8Lと右側後輪8Rとの間に駆動力差を設ける場合、運転条件に応じて、第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち一方の駆動力が動力伝達装置110を介して他方に伝達される。この実施形態に係る駆動装置100の詳細な構成については後述する。
この実施形態において、車両1は、駆動装置100に加え、さらに左側前輪9L、右側前輪9Rを駆動する前輪用駆動装置200を備える。前輪用駆動装置200は、主として電動機として機能する第1電動機/発電機(MG1)202と、主として発電機として機能する第2電動機/発電機(MG2)203と、内燃機関204と、動力分割機構205と、差動装置(前輪用差動装置)206とを備える、いわゆるハイブリッド駆動装置である。前輪用駆動装置200は、内燃機関204の出力と電動機202の出力とを、例えば遊星歯車列で構成される動力分割機構205によって合成し、差動装置206を介して左側前輪9Lと右側前輪9Rとに伝達する。
この実施形態に係る駆動装置100及び前輪用駆動装置200は、車両1に搭載されるECU(Electronic Control Unit)50によって制御される。ECU50は、駆動装置100が備える第1及び第2電動機10L、10Rの出力や、前輪用駆動装置200が備える第1及び第2電動機/発電機202、203及び内燃機関204の出力を制御する。この実施形態において、アクセル5により駆動装置100や前輪用駆動装置200の出力が制御される。アクセル5の開度は、アクセル開度センサ44により検出されて、ECU50へ取り込まれる。そして、アクセル開度センサ44からの信号によって第1及び第2電動機10L、10R、内燃機関204及び第1電動機/発電機202の出力が制御される。また、ECU50は、第2電動機/発電機203の発電状態や、第1電動機/発電機202による電力の回生等も制御する。
第1及び第2電動機10L、10R、第1電動機/発電機202、第2電動機/発電機203は、インバータ2に接続されている。インバータ2には、例えばニッケル−水素電池や鉛蓄電池等の車載電源3が接続されており、必要に応じてインバータ2を介して第1及び第2電動機10L、10R等へ供給される。第1及び第2電動機10L、10R、第1電動機/発電機202、第2電動機/発電機203は、ECU50からの指令によってインバータ2を制御することで制御される。
第1及び第2電動機10L、10R、第1電動機/発電機202が駆動力を発生する場合、車載電源3や第2電動機/発電機203によって生み出された電力等を、インバータ2を介して第1及び第2電動機10L、10R、第1電動機/発電機202へ供給される。また、例えば車両1の制動時や減速時には、第1電動機/発電機202が発電機として機能して回生発電を行い、これによって回収したエネルギーを車載電源3に蓄える。車両1の要求制動力や要求減速力によっては、第1及び第2電動機10L、10Rも発電機として機能させて回生発電を行う。これは、ブレーキ信号やアクセルオフ等の信号に基づいて、ECU50がインバータ2を制御することにより実現される。次に、この実施形態に係る駆動装置100の構成をより詳細に説明する。
図2は、実施形態1に係る駆動装置の構成を示す説明図である。図2中の矢印Lは、駆動装置100を搭載する車両1の進行方向を示す(以下の図においても矢印Lが車両の進行方向を示す)。この実施形態に係る駆動装置100は、第1及び第2電動機10L、10Rと、動力伝達装置110とを含んで構成される。動力伝達装置110は、第1動力伝達機構11Lと第2動力伝達機構11Rとを含んで構成される。この実施形態では、第1動力伝達機構11L及び第2動力伝達機構11Rは、ギヤとクラッチとを組み合わせて構成されるが、ベルトとプーリーや、これらとギヤとチェーンとスプロケットとを組み合わせて構成してもよい。
第1電動機10LのローターRlには第1の駆動軸25Lが取り付けられており、第1電動機が発生する出力は第1の駆動軸25Lに伝達されて左側後輪8Lを直接駆動する。また、第2電動機10RのローターRrには第2の駆動軸25Rが取り付けられており、第2電動機が発生する出力は第2の駆動軸25Lに伝達されて右側後輪8Rを直接駆動する。
このように、この実施形態に係る駆動装置100では、第1電動機10Lによって直接左側後輪8Lを、第2電動機10Rによって直接右側後輪8Rを駆動する。なお、第1電動機10Lと左側後輪8Lとの間、及び第2電動機10Rと右側後輪8Rとの間にそれぞれ減速機構を設けて、第1及び第2電動機10L、10Rのトルクを増加させて左側及び右側後輪8L、8Rに伝達してもよい。一般に、電動機は小型化するとトルクが低下するが、減速機構を設けることによって電動機のトルクを増加させることができる。その結果、第1及び第2電動機10L、10Rを小型化できるので、駆動装置100を小型化することができる。
第1電動機10Lは、左側後輪8Lの反対側に、第1出力軸12Lが設けられている。第1出力軸12Lには、第1出力ギヤ13L及び第1入力ギヤ14Lが取り付けられている。また、第2電動機10Rは、右側後輪8Rの反対側に、第2出力軸12Rが設けられている。第2出力軸12Lには、第2出力ギヤ13R及び第2入力ギヤ14Rが取り付けられている。
第1出力軸12Lが備える第1出力ギヤ13Lは、必要に応じて、第1電動機10Lの出力の一部を第1動力伝達機構11Lに出力する。第1動力伝達機構11Lに伝達された第1電動機10Lの出力の一部は、第2出力軸12Rに取り付けられる第2入力ギヤ14Rへ伝達される。そして、第2電動機10Rの第2出力軸12Rを介して、第2電動機10Rに取り付けられる第2の駆動軸25Rへ伝達される。また、第2出力軸12Rが備える第2出力ギヤ13Rは、必要に応じて第2電動機10Rの出力の一部を第2動力伝達機構11Rに出力する。第2動力伝達機構11Rに伝達された第2電動機10Rの出力の一部は、第1出力軸12Lに取り付けられる第1入力ギヤ14Lへ伝達される。そして、第1電動機10Lの第1出力軸12Lを介して、第1電動機10Lに取り付けられる第1の駆動軸25Lへ伝達される。
第1動力伝達機構11Lは、第1電動機10Lの第1出力軸12Lと第2電動機10Rの第2出力軸12Rとの間に設けられる。そして、第1電動機10Lが発生する駆動力の大きさを調整して第2電動機10Rに取り付けられる第2の駆動軸25Rへ伝達する。第2動力伝達機構11Rは、第1電動機10Lの第1出力軸12Lと第2電動機10Rの第2出力軸12Rとの間に設けられる。そして、第2電動機10Rが発生する駆動力の大きさを調整して第1電動機10Lに取り付けられる第1の駆動軸25Lへ伝達する。次に、第1及び第2動力伝達機構11L、11Rの構成を説明する。
第1動力伝達機構11Lは、第1出力伝達軸15Lと、第1入力ギヤ16Lと、第1出力ギヤ17Lと、第1クラッチ(伝達駆動力調整手段)18Lとを含んで構成される。第2動力伝達機構11Rは、第2出力伝達軸15Rと、第2入力ギヤ16Rと、第2出力ギヤ17Rと、第2クラッチ(伝達駆動力調整手段)18Rとを含んで構成される。
第1、第2入力ギヤ16L、16R及び第1、第2出力ギヤ17L、17Rは、それぞれ第1、第2出力伝達軸15L、15Rの両端部に取り付けられている。第1、第2クラッチ18L、18Rは、第1、第2入力ギヤ16L、16Rと、第1、第2出力ギヤ17L、17Rとの間に設けられて、第1、第2入力ギヤ16L、16Rと第1、第2出力ギヤ17L、17Rとの間を断続する。また、第1クラッチ18L又は第2クラッチ18Rの圧着力を調整することにより、第1動力伝達機構11L又は第2動力伝達機構11Rを介して第1の駆動軸25L又は第2の駆動軸25Rに伝達される第1電動機10L又は第2電動機10Rの出力の大きさを調整する。なお、第1及び第2クラッチ18L、18Rの圧着力は、ECU50が備える駆動力配分制御装置30によって制御される。
第1動力伝達機構11Lの第1入力ギヤ16Lは、第1電動機10Lの第1出力ギヤ13Lと噛み合っており、第1動力伝達機構11Lの第1出力ギヤ17Lは、第2電動機10Rの第2入力ギヤ14Rと噛み合っている。ここで、第1電動機10Lの第1出力ギヤ13Lの歯数は、第1動力伝達機構11Lの第1入力ギヤ16Lの歯数よりも多く、第1動力伝達機構11Lの第1出力ギヤ17Lの歯数と第2電動機10Rの第2入力ギヤ14Rの歯数とは等しい。すなわち、第1電動機10Lの回転数は、第1電動機10Lの第1出力ギヤ13Lと第1動力伝達機構11Lの第1入力ギヤ16Lとで増速されて、第1動力伝達機構11Lの第1出力伝達軸15Lに入力される。
第1クラッチ18Lは摩擦力によって出力を伝達するため、出力側の回転数よりも入力側の回転数の方を高くする必要があるが、この構成により第1クラッチ18Lの入力側の回転数を出力側よりも高くすることができる。これによって、第1電動機10Lの出力を、確実に第2電動機10Rへ伝達することができる。
上記構成により、第1電動機10Lの第1出力軸12Lから出力された第1電動機10Lの駆動力は、第1出力軸12Lに取り付けられる第1出力ギヤ13L、第1動力伝達機構11Lの第1入力ギヤ16L、第1クラッチ18L、第1出力ギヤ17Lを通って第2電動機10Rの第2入力ギヤ14Rに入力される。そして、第2入力ギヤ14Rが取り付けられる第2出力軸12Lを介して第2電動機10Rに取り付けられる第2の駆動軸25Rへ伝達される。
第2動力伝達機構11Rの第2入力ギヤ16Rは、第2電動機10Rの第2出力ギヤ13Rと噛み合っており、第2動力伝達機構11Rの第2出力ギヤ17Rは、第1電動機10Lの第1入力ギヤ14Lと噛み合っている。ここで、第2電動機10Rの第2出力ギヤ13Rの歯数は、第2動力伝達機構11Rの第2入力ギヤ16Rの歯数よりも多く、第2動力伝達機構11Rの第2出力ギヤ17Rの歯数と第1電動機10Lの第1入力ギヤ14Lの歯数とは等しい。
すなわち、第2電動機10Rの回転数は、第2電動機10Rの第2出力ギヤ13Rと第2動力伝達機構11Rの第2入力ギヤ16Rとで増速されて、第2動力伝達機構11Rの第2出力伝達軸15Rに入力される。これによって、第2電動機10Rの回転数は、第2電動機10Rの第2出力ギヤ13Rと第2動力伝達機構11Rの第2入力ギヤ16Rとで増速されて、第2動力伝達機構11Rの第2出力伝達軸15Rに入力され、第2クラッチ18Rを介して第2出力ギヤ17Rへ出力される。
上記構成により、第2電動機10Rの第2出力軸12Rから出力された第2電動機10Rの出力は、第2出力軸12Rに取り付けられる第2出力ギヤ13R、第2動力伝達機構11Rの第2入力ギヤ16R、第2クラッチ18R、第2出力ギヤ17Rを通って第1電動機10Lの第1入力ギヤ14Lに入力される。そして、第1入力ギヤ14Lが取り付けられる第1出力軸12Rを介して、第1電動機10Lに取り付けられる第1の駆動軸25Lへ伝達される。
図3は、実施形態1に係る他の駆動装置の構成を示す説明図である。この駆動装置100'が備える動力伝達装置110'は、第1動力伝達機構11L'と、第2動力伝達機構11R'とを備える。上記第1動力伝達機構11Lでは、第1電動機10Lの回転数を、第1電動機10Lの第1出力ギヤ13Lと第1動力伝達機構11Lの第1入力ギヤ16Lとで増速して、第1動力伝達機構11Lの第1出力伝達軸15Lに入力する。すなわち、第1動力伝達機構11Lの入力側で、第1電動機10Lの回転数を増速する。
この動力伝達装置110'が備える第1動力伝達機構11L'では、第1動力伝達機構11L'の第1入力ギヤ16Lの歯数を、第1電動機10Lの第1出力ギヤ13Lの歯数と等しくし、第1動力伝達機構11L'の第1出力ギヤ17Lの歯数を、第2電動機10Rの第2入力ギヤ14Rの歯数よりも多くする。このような構成によって、第1電動機10Lの回転数は、第1動力伝達機構11L'の第1出力ギヤ17Lと第2電動機10Rの第2入力ギヤ14Rとで増速されて、第2電動機10Rの第2出力軸12Rへ入力される。このように、第1動力伝達機構11L'の出力側で、第1電動機10Lの回転数を増速してもよい。なお、第2動力伝達機構11R'も、第1動力伝達機構11L'と同様の構成である。
この実施形態に係る駆動装置100は、左側後輪8Lを第1電動機10Lで、右側後輪8Rを第2電動機10Rでそれぞれ独立に駆動する。これによって、例えば、車両1の旋回中に、左側後輪8Lの駆動力と右側後輪8Rの駆動力とに差を与えて、旋回性能を向上させたり、旋回中の安定性を確保したりすることができる。
ここで、第1電動機10L又は第2電動機10Rの出力が限界に達すると、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに駆動力差を与える前後において左側後輪8L及び右側後輪8Rの総駆動力を略一定としたまま、前記駆動力差を与えることはできない。すなわち、第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち出力が限界に達していない方の出力を低減することでしか、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに駆動力差を与えることができないため、前記駆動力差を与える前後において左側後輪8L及び右側後輪8Rの総駆動力を略一定とすることができない。
この実施形態において、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに駆動力差を与える際に、第1電動機10L又は第2電動機10Rの出力が限界に達している場合は、駆動装置100が次のように動作する。すなわち、第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち出力が限界に達していない方の出力を増加させる。そして、出力の増加分を、動力伝達装置110を構成する第1動力伝達機構11L又は第2動力伝達機構11Rを介して第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち出力が限界に達している方で駆動される駆動軸へ伝達する。
これによって、第1電動機10L又は第2電動機10Rの出力が限界に達していても、第1の駆動軸25Lに取り付けられる左側後輪8Lと第2の駆動軸25Rに取り付けられる右側後輪8Rとに駆動力差を与える前後において、左側後輪8L及び右側後輪8Rの総駆動力を略一定としたまま、前記駆動力差を与えることができる。
ここで、駆動装置100が備える動力伝達装置110は、第1電動機10Lの出力を調整して第2の駆動軸25Rへ伝達すること、又は第2電動機10Rの出力を調整して第1の駆動軸25Lへ伝達することのうち一方を選択して実行する。これによって、出力の増加分を、動力伝達装置110を介して第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち出力が限界に達している方で駆動される駆動軸へ、確実に伝達できる。次に、この実施形態に係る駆動力配分制御装置30について説明する。
図4は、実施形態1に係る駆動力配分制御装置の構成を示す概念図である。図4に示すように、駆動力配分制御装置30は、ECU50に組み込まれて構成されている。ECU50は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)50pと、記憶部50mと、入力及び出力ポート55、56と、入力及び出力インターフェイス57、58とから構成される。
なお、ECU50とは別個に、この実施形態に係る駆動力配分制御装置30を用意し、これをECU50に接続してもよい。そして、この実施形態に係る内燃機関の始動制御を実現するにあたっては、ECU50が備える駆動装置100に対する制御機能を、前記駆動力配分制御装置30が利用できるように構成してもよい。
駆動力配分制御装置30は、運転条件判定部31と、駆動力配分部32と、駆動力制御部33とを含んで構成される。これらが、この実施形態に係る内燃機関の始動制御を実行する部分となる。この実施形態において、駆動力配分制御装置30は、ECU50を構成するCPU50pの一部として構成される。この他に、CPU50pには、駆動装置100の電気系統の制御を司る電気系統制御部53eと、駆動装置100の内燃機関4の制御を司る内燃機関制御部53hとが含まれている。
CPU50pと、記憶部50mとは、バス541〜543を介して、入力ポート55及び出力ポート56を介して接続される。これにより、運転条件判定部31と、駆動力配分部32と、駆動力制御部33とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成される。また、駆動力配分制御装置30は、ECU50が有する駆動装置100の運転制御データを取得し、これを利用することができる。また、駆動力配分制御装置30は、この実施形態に係る駆動力配分制御をECU50が予め備えている運転制御ルーチンに割り込ませたりすることができる。
入力ポート55には、入力インターフェイス57が接続されている。入力インターフェイス57には、ヨーセンサ41、車速センサ42、操舵角度センサ43その他の、駆動装置100の運転制御に必要な情報を取得するセンサ類が接続されている。これらのセンサ類から出力される信号は、入力インターフェイス57内のA/Dコンバータ57aやディジタル入力バッファ57dにより、CPU50pが利用できる信号に変換されて入力ポート55へ送られる。これにより、CPU50pは、駆動装置100の運転制御や、この実施形態に係る駆動力配分制御に必要な情報を取得することができる。
出力ポート56には、出力インターフェイス58が接続されている。出力インターフェイス58には、第1電動機10L、第2電動機10R、第1クラッチ18L、第2クラッチ18Rその他の、駆動力配分制御に必要な制御対象が接続されている。出力インターフェイス58は、制御回路581、582等を備えており、CPU50pで演算された制御信号に基づき、前記制御対象を動作させる。このような構成により、前記センサ類からの出力信号に基づき、ECU50が備えるCPU50pは、内燃機関4を制御することができる。
記憶部50mには、この実施形態に係る駆動力配分制御の処理手順を含むコンピュータプログラムや制御マップ、あるいはこの実施形態に係る駆動力配分制御に用いる、制御データマップ等が格納されている。ここで、記憶部50mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、CPU50pへ既に記録されているコンピュータプログラムと組み合わせによって、この実施形態に係る駆動力配分制御の処理手順を実現できるものであってもよい。また、この駆動力配分制御装置30は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、運転条件判定部31、駆動力配分部32及び駆動力制御部33の機能を実現するものであってもよい。次に、この実施形態に係る駆動力配分制御を説明する。次の説明では、適宜図1、図2、図4を参照されたい。
図5は、実施形態1に係る駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。図6は、実施形態1に係る駆動力配分制御における電動機の出力の流れを示す説明図である。図7は、実施形態1に係る駆動力配分制御に用いるクラッチの制御マップ例を示す説明図である。図8は、駆動力配分制御における駆動力の配分例を示す説明図である。
この実施形態に係る駆動力配分制御は、上記駆動力配分制御装置30によって実現できる。ここで、駆動力配分制御とは、左右の駆動輪、前後の駆動輪又は前後左右の駆動輪において、車両の走行条件等に応じてそれぞれの駆動輪の駆動力を変化させる制御をいう。この実施形態においては、駆動装置100の左側後輪8Lと右側後輪8Rとの間で駆動力配分制御を実行する。
この実施形態に係る駆動力配分制御を実行するにあたり、この実施形態に係る駆動力配分制御装置30(図4)の運転条件判定部31は、駆動力配分制御を実行する条件にあるか否かを判定する(ステップS101)。駆動力配分制御は、例えば、次のような状況下において、次に説明するように実行される。
例えば、車両1が旋回中である場合、カーブの外側における駆動輪の駆動力を増加するとともに、カーブの内側における駆動輪の駆動力を減少させる。これによって、車両1の旋回性能を向上させることができる。また、例えば、一方の駆動輪が雪や氷によって滑った場合、滑りが発生した駆動輪の駆動力を減少させるとともに、滑りの発生していない駆動輪の駆動力を増加させる。これによって、滑りが発生した駆動輪が空転することによって失われる駆動力を抑制できるので、車両1が備える第1及び第2電動機10L、10Rの出力の損失を抑制して、確実に車両1を進行させることができる。
次の説明では、車両1が旋回中である場合に、カーブの外側における駆動輪の駆動力を増加させる場合を例として説明する。より具体的には、車両1が左旋回をする場合において、右側後輪8Rを左側後輪8Lの駆動力Ftlの駆動力Ftrよりも大きくする場合を説明する。また、動力伝達装置110等の駆動損失や摩擦損失等はないものとして説明するが、実際には、これらを考慮して制御する。
運転条件判定部31は、例えば、ヨーセンサ41及び操舵角度センサ43から取得した旋回加速度の大きさと操舵角度の大きさとから、車両1が旋回中であって、カーブ外側における駆動輪の駆動力を増加させる条件であるか否かを判定する。そして、運転条件判定部31は、カーブ外側における駆動輪の駆動力を増加させる条件である場合に、駆動力配分制御を実行する条件にあると判定する(ステップS101:Yes)。
運転条件判定部31が、駆動力配分制御を実行する条件にあると判定した場合(ステップS101:Yes)、駆動力配分制御に移行する。なお、運転条件判定部31が、駆動力配分制御を実行する条件にはないと判定した場合(ステップS101:No)、STARTに戻り、駆動力配分制御装置30は、車両1の運転条件の監視を継続する。
駆動力配分制御を実行する場合(ステップS101:Yes)、駆動力配分制御装置30が備える駆動力配分部32は、駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_dを計算する(ステップS102)。ここで、要求総駆動力Ft_dは、左側後輪8Lの必要駆動力と右側後輪8Rの必要駆動力との和である。要求総駆動力Ft_dは、例えば、アクセル開度センサ44の出力値に基づいて求めることができる。
ここで、要求総駆動力Ft_dが、この実施形態に係る駆動装置100が発生することのできる最大総駆動力Ft_maxを上回った場合、駆動装置100が発生することのできる最大総駆動力Ft_maxで駆動力配分制御を実行する。要求総駆動力Ft_dが最大総駆動力Ft_maxを上回った場合、直ちに駆動力配分制御を中止すると、車両の挙動が不安定になるおそれがあるからである。要求総駆動力Ft_dが最大総駆動力Ft_maxを上回った場合には、最大総駆動力Ft_maxで駆動力配分制御を実行することで、車両の挙動が不安定になるおそれを低減できる。
ここで、最大総駆動力Ft_maxは、第1電動機10Lの最大出力(第1最大出力)Fml_maxと、第2電動機10Rの最大出力(第2最大出力)Fmr_maxとの和(Fml_max+Fmr_max)である。実際には、伝達効率や摩擦損失等が存在するため、最大総駆動力Ft_maxは(Fml_max+Fmr_max)よりも小さくなる。
駆動力配分部32が駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_dを計算したら、駆動力配分部32は、駆動装置100に要求される要求駆動力差ΔFt_dを求める(ステップS103)。この要求駆動力差ΔFt_dは、左側後輪8Lの必要駆動力と右側後輪8Rの必要駆動力との差である。左側後輪8Lと右側後輪8Rとにこの要求駆動力差ΔFt_dを与えて左側後輪8Lと右側後輪8Rとを駆動する。これによって、車両1の旋回中においては、カーブ外側の駆動輪により多くの駆動力を配分して、車両1の旋回性能を向上させることができる。
要求駆動力差ΔFt_dは、車両1の旋回に必要なヨーモーメント(以下要求ヨーモーメントという)から求めることができる。駆動力配分部32は、操舵量を検出する操舵角度センサ43及び車速センサ42からの出力を取得する。そして、駆動力配分部32は、車両1が旋回する際の目標ヨーモーメントを算出し、その算出された目標ヨーモーメントと、ヨーセンサ41から出力されたヨーモーメントとの偏差を、要求ヨーモーメントとする。そして、要求駆動力差ΔFt_dは、前記要求ヨーモーメントを発生できるように決定される。
要求総駆動力Ft_d及び要求駆動力差ΔFt_dを求めたら、駆動力配分部32は、これらを発生するために必要な第1電動機10Lの要求出力(第1要求出力)Fml_d及び第2電動機10Rの要求出力(第2要求出力)Fmr_dを計算する(ステップS104)。第1要求出力Fml_d及び第2要求出力Fmr_dは、下記の式(1)、式(2)を連立して解き、式(3)、式(4)のように求めることができる。なお、Fml_d>Fmr_dである。
Fml_d+Fmr_d=Ft_d・・・(1)
Fml_d−Fmr_d=ΔFt_d・・・(2)
Fml_d=(Ft_d−ΔFt_d)/2・・・(3)
Fmr_d=(Ft_d+ΔFt_d)/2・・・(4)
次に、駆動力配分部32は、第1要求出力Fml_dが第1電動機の最大出力(第1最大出力)Fml_maxよりも大きいか否か、又は第2要求出力Fmr_dが第2電動機の最大出力(第2最大出力)Fmr_maxよりも大きいか否かを判定する(ステップS105)。なお、この実施形態では、第1最大出力Fml_maxと第2最大出力Fmr_maxとは、ともに等しいものとする。
Fml_d≦Fml_maxかつFmr_d≦Fmr_maxである場合(ステップS105:No)、第1電動機10Lと第2電動機10Rとは、それぞれ第1要求出力Fml_dと第2要求出力Fmr_dとを発生することができる。したがって、駆動力配分部32は、第1電動機10Lの発生出力(第1発生出力)Fmlを第1要求出力Fml_dとし、また、第2電動機10Rの発生出力(第2発生出力)Fmrを第2要求出力Fmr_dとする(ステップS106)。
そして、駆動力配分制御装置30が備える駆動力制御部33は、ステップS104で決定された第1及び第2発生出力Fml、Fmrとなるように、第1及び第2電動機10L、10Rの出力を制御して、駆動装置100を駆動する(ステップS107)。なお、この場合には、駆動装置100が備える動力伝達装置110の第1及び第2動力伝達機構11L、11Rの第1クラッチ18L及び第2クラッチ18Rは開放される。
Fml_d>Fml_max又はFmr_d>Fmr_maxである場合(ステップS105:Yes)、第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち、要求される出力が発生可能な最大出力上回った電動機は、第1要求出力Fml_d又は第2要求出力Fmr_dを発生することはできない。ここで、この実施形態では右旋回を対象としているので、Fmr_d>Fmr_maxであり、第2電動機10Rが第2要求出力Fmr_dを発生することができない状態である。
そこで、この実施形態に係る駆動力配分制御では、要求出力に対して出力に余裕のある電動機の出力の一部を、動力伝達装置110を介して、要求出力が最大出力を上回った電動機に伝達する。これによって、要求出力が最大出力を上回った電動機で駆動される駆動輪を、当該駆動輪に要求される駆動力で駆動することができる。その結果、駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_d及び要求駆動力差ΔFt_dで、駆動装置100を駆動することができる。
Fml_d>Fml_max又はFmr_d>Fmr_maxである場合(ステップS105:Yes)、駆動力配分部32は、不足出力Fm_iを計算する(ステップS108)。この実施形態では、上述したように、右側後輪8Rの駆動力(第2駆動力)Ftrを左側後輪8Lの駆動力(第1駆動力)Ftlよりも大きくする(Ftr>Ftl)。したがって、この例においては、第2要求出力Fmr_dが、第2電動機10Rの最大出力(第2最大出力)Fmr_maxを上回っている。このため、上記不足出力Fm_iは、Fmr_d−Fmr_maxで求めることができる。なお、第1要求出力Fml_dは、第1電動機10Lの最大出力Fml_maxよりも小さく、第1電動機10Lの出力は、第1要求出力Fml_dに対して余裕がある。
この実施形態に係る駆動力配分制御においては、動力伝達装置110を介して上記不足出力Fm_iを第2の駆動軸25Rに伝達し、第2電動機10Rとともに右側後輪8Rを駆動する。したがって、上記不足出力Fm_iが、動力伝達装置110を介して第2の駆動軸25Rに伝達される出力(伝達出力)Fmtとなる。
次に、駆動力配分部32は、要求出力に対して出力に余裕のある電動機(この実施形態では、第1電動機10L)の、現在における要求出力Fml_dに、上記伝達出力Fmtを加算する(ステップS109)。そして、(Fml_d+Fmt)を、要求出力に対して出力に余裕のある電動機である第1電動機10Lの、新たな要求出力Fml_d_nとする(Fml_d_n←(Fml_d+Fmt))。
次に、駆動力配分部32は、第1電動機10Lの発生出力(第1発生出力)Fmlを、ステップS109で計算した第1電動機10Lの新たな要求出力Fml_d_n(=Fml_d+Fmt)に決定する(Fml=Fml_d_n:ステップS110)。また、駆動力配分部32は、第2電動機10Rの発生出力(第2発生出力)Fmrを、第2電動機10Rの最大出力Fmr_maxとする(Fmr=Fmr_max:ステップS110)。
駆動力制御部33は、ステップS110で決定された第1及び第2発生出力Fml、Fmrとなるように、第1又は第2電動機10L、10Rの出力を制御する(ステップS111)。同時に、駆動力制御部33は、動力伝達装置110が備える第1動力伝達機構11Lの第1クラッチ18Lを係合するとともに、その圧着力を調整する(ステップS111)。すなわち、クラッチ18Lは半係合の状態となる。これによって、第1電動機10Lの出力の一部を、動力伝達装置110が備える第1動力伝達機構11Lを介して、第2電動機10Rに取り付けられる第2の駆動軸25Rへ伝達し、右側後輪8Rを駆動することができる。
第2電動機10Rへ伝達する出力は、上記伝達出力Fmt(すなわち上記不足出力Fm_i)である。駆動力制御部33は、第2電動機10Rへ伝達出力Fmtが伝達されるように第1クラッチ18Lの圧着力(クラッチ圧着力)Pを調整する。この実施形態においては、クラッチ圧着力Pは、増速軸−定速軸間の回転数差ΔNと伝達出力Fmtとに応じて変更される。ここで、増速軸−定速軸間の回転数差ΔNは、第1動力伝達機構11L又は第2動力伝達機構11Rの増速側(すなわち第1又は第2入力ギヤ16L、16R側)と定速側(すなわち第1又は第2出力ギヤ17L、17R)との回転数差である。
クラッチ圧着力Pと、回転数差ΔN及び伝達出力Fmtとの関係は、実験や解析により予め求めておく。図7に示す制御マップ60には、実験や解析により予め求めた、前記回転数差ΔN及び前記伝達出力Fmtに対するクラッチ圧着力Pが記述されている。なお、制御マップ60は、ECU50の記憶部50mに格納されている。ここで、この制御マップ60では、クラッチ圧着力Pは、前記回転数差ΔNが増加するにしたがって小さくなり、前記伝達出力Fmtの増加とともに大きくなるように記述されている。
これによって、要求出力に対して出力に余裕のない電動機(この実施形態では、第2電動機10R)によって駆動される駆動軸(この実施形態では第2の駆動軸25R)に、上記伝達出力Fmtが与えられる(ステップS112、図6)。その結果、要求出力が最大出力を上回った電動機(第2電動機10R)で駆動される駆動軸(第2の駆動軸25R)に取り付けられる駆動輪(右側後輪8R)を、要求される要求駆動力(第2要求駆動力Fmr_d)で駆動することができる。また、出力に余裕のある電動機(第1電動機10L)で駆動される駆動軸(第1の駆動軸25L)に取り付けられる駆動輪(左側後輪8L)を、要求される駆動力(第2要求駆動力Fml_d)で駆動することができる。
これによって、駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_d及び要求駆動力差ΔFt_dで、駆動装置100を駆動することができる。その結果、右側後輪8Rの駆動力(第2駆動力)はFtr(=Fmr_d)となり、左側後輪8Lの駆動力(第1駆動力)はFtl(=Fml_d)となる。
次に、図8を用いて、この実施形態に係る駆動力配分制御及び従来の駆動力配分制御について、数値を用いてより具体的に説明する。図8は、第1及び第2電動機10L、10Rの発生出力Fml、Fmrの制御例を示しており、図8中のNo.は、制御例を識別するためのものである。図8中の数値は、出力の値(出力値)を示している。この駆動力配分制御においては、第1電動機10Lの最大出力(第1最大出力)Fml_max及び第2電動機10Rの最大出力(第2最大出力)Fmr_maxはともに等しく、その値は10である。
図8中に示すNo.1の制御例は、要求総駆動力Ft_dは16、要求駆動力差ΔFt_dは0なので、車両1が直進時の制御である。このときの第1要求出力Fml_d及び第2要求出力Fmr_dは、それぞれ8であり、また不足出力Fm_iは0である。上記制御手順で説明したように、かかる場合には、Fml_d≦Fml_maxかつFmr_d≦Fmr_maxとなるので(ステップS103:No)、第1電動機10Lの発生出力(第1発生出力)Fmlは第1要求出力Fml_d、すなわち8となり、また、第2電動機10Rの発生出力(第2発生出力)Fmrは第2要求出力Fmr_d、すなわち8となる。そして、左側後輪8Lの駆動力(第1駆動力)Ftlは8、右側後輪8Rの駆動力(第2駆動力)Ftrは8、総駆動力Ft(=Ftl+Ftr)は16となる。
図8中に示すNo.2の制御例は、車両1が右旋回中の制御である。このときの要求総駆動力Ft_dは16、要求駆動力差ΔFt_dは4である。第1要求出力Fml_dは6、第2要求出力Fmr_dは10となり、また不足出力Fm_iは0である。上記制御手順で説明したように、かかる場合には、Fml_d≦Fml_maxかつFmr_d≦Fmr_maxとなるので(ステップS103:No)、第1発生出力Fmlは第1要求出力Fml_d、すなわち6となり、また、第2発生出力Fmrは第2要求出力Fmr_d、すなわち10となる。そして、第1駆動力Ftlは6、第2駆動力Ftrは10、総駆動力Ftは16、駆動力差ΔFtは4となる。
図8中に示すNo.3の制御例は、車両1が右旋回中における従来の制御である。このときの要求総駆動力Ft_dは16、要求駆動力差ΔFt_dは6である。第1要求出力Fml_dは5、第2要求出力Fmr_dは11となる。そして、第2電動機10Rの最大出力Fmr_maxは10なので、第2電動機10Rに1の不足出力Fm_iが発生する。
従来の制御においては、出力に余裕のある電動機の出力の一部を、動力伝達装置110を介して、要求出力が最大出力を上回った電動機に伝達することはできない。このため、第1発生出力Fmlは第1要求出力Fml_d、すなわち5となり、また、第2発生出力Fmrは、第2電動機10Rの最大出力Fmr_max(すなわち出力値は10)となる。その結果、第1駆動力Ftlは5、第2駆動力Ftrは10、総駆動力Ftは15となる。また、第1電動機10Lから第2電動機10Rに取り付けられる第2の駆動軸25Rに伝達される伝達出力Fmtは0である。
このように、総駆動力Ftが要求総駆動力Ft_dよりも小さくなるため、駆動力配分制御時には駆動力の変化が発生し、ドライバビリティに影響を与えてしまう。また、総駆動力Ftと要求総駆動力Ft_dとを等しくしようとすれば、第1発生出力Fmlを6とする必要があるが、かかる場合、駆動力差ΔFtが4となり、要求駆動力差ΔFt_dを発生することができない。
図8中に示すNo.4の制御例は、この実施形態に係る駆動力配分制御によって車両1が右旋回中の制御を実行したものである。このときの要求総駆動力Ft_dは16、要求駆動力差ΔFt_dは6である。第1要求出力Fml_dは5、第2要求出力Fmr_dは11となる。そして、第2電動機10Rの最大出力Fmr_maxは1なので、第2電動機10Rに1の不足出力Fm_iが発生する。上記制御手順で説明したように、かかる場合には、Fmr_d>Fmr_maxとなる(ステップS103:Yes)。
この場合、現在における第1要求出力Fml_d(出力値5)に不足出力Fm_i(出力値1)を加算した値を、新たな第1電動機10Lの要求出力Fml_dとする。したがって、新たな第1電動機10Lの要求出力Fml_dは6となり、これが第1発生出力Fmlとなる。また、第2発生出力Fmrは、第2電動機10Rの最大出力Fmr_max(すなわち出力値10)となる。
第1及び第2電動機10L、10Rは、前記第1及び第2発生出力Fml、Fmrで駆動される。そして、第1電動機10Lの出力のうち、不足出力Fm_i分は、動力伝達装置110(図2参照)を介して第2電動機10Rに伝達されて、第2電動機10Rの出力とともに右側後輪8Rに伝えられる。すなわち、この制御例において、不足出力Fm_iが、動力伝達装置110(図2参照)を介して第1電動機10Lから第2電動機10Rの第2の駆動軸25Rに伝達される出力(伝達出力)Fmtとなる。
その結果、第1駆動力Ftlは5、第2駆動力Ftrは11、総駆動力Ftは16、駆動力差ΔFtは6となる。これによって、要求総駆動力Ft_dと総駆動力Ftとが等しくなるので、駆動力配分制御時には駆動力の変化はほとんど発生せず、ドライバビリティに与える影響を極小にできる。また、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに、要求されている駆動力差を与えることができる。
図8中に示すNo.5の制御例は、この実施形態に係る駆動力配分制御の他の制御例によって車両1が右旋回中の制御を実行したものである。このときの要求総駆動力Ft_dは16、要求駆動力差ΔFt_dは6であり、第1要求出力Fml_dは5、第2要求出力Fmr_dは11、第2電動機10Rに1の不足出力Fm_iが発生する点は、上記No.4の制御例と同様である。
No.5の制御においては、第1駆動力Ftlが第1要求出力Fml_dで、第2駆動力Ftrが第2要求出力Fmr_dで駆動されるように、第1発生出力Fmlと、第2発生出力Fmrと、伝達出力Fmtとを分配する。この例では、第1発生出力Fmlを8、第2発生出力Fmrを8、伝達出力Fmtを3に分配する。これによって、第1及び第2電動機10L、10Rは、前記第1及び第2発生出力Fml、Fmrで駆動される。そして、第1電動機10Lには、第1電動機10Lから伝達出力Fmtが、動力伝達装置110(図2参照)を介して伝達される。
その結果、第1駆動力Ftlは5、第2駆動力Ftrは11、総駆動力Ftは16、駆動力差ΔFtは6となる。これによって、要求総駆動力Ft_dと総駆動力Ftとが等しくなるので、駆動力配分制御時には駆動力の変化はほとんど発生せず、ドライバビリティに与える影響を極小にできる。また、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに、要求されている駆動力差を与えることができる。
ここで、No.4の制御例とNo.5の制御例では、ともに左側後輪8Lと右側後輪8Rとに、要求されている駆動力差を与えることができ、かつ要求総駆動力Ft_dと総駆動力Ftとを等しくできる。ここで、No.4の制御例においては、伝達出力Fmtが1であるのに対し、No.5の制御例では、伝達出力Fmtが3である。したがって、No.4の制御例の方が、第1動力伝達機構11Lの第1クラッチ18Lの負担を小さくできるという利点がある。なお、車両1の運転条件や、第1、第2電動機10L、10Rの運転効率等によって、No.4の制御例とNo.5の制御例とを使い分けてもよい。
図8中に示すNo.6の制御例は、駆動力配分制御実行する際に、要求総駆動力Ft_dが、最大発生出力Fm_maxを上回った場合の制御である。上述したこの実施形態に係る駆動力配分制御の手順においては、Ft_d>Fm_maxとなった場合、駆動力配分制御を中止したが、駆動力配分制御時発生する駆動力の変化が許容できる範囲内であれば、次に説明するNo.6の制御例のようにしてもよい。
No.6の制御例は、車両1が右旋回中における制御例である。このときの要求総駆動力Ft_dは21、要求駆動力差ΔFt_dは7であり、第1要求出力Fml_dは7、第2要求出力Fmr_dは14、第2電動機10Rに4の不足出力Fm_iが発生する。この場合、Ft_d>Fm_maxなので、第1電動機10Lの要求出力Fml_dをFml_max(出力値10)、第1電動機10Lの要求出力Fmr_dをFmr_max(出力値10)とする。そして、第1発生出力FmlをFml_max(出力値10)とし、第1発生出力FmrをFmr_max(出力値10)とする。
第1及び第2電動機10L、10Rは、前記第1及び第2発生出力Fml、Fmrで駆動される。この制御においては、第1駆動力Ftlを第1要求出力Fml_dの大きさで駆動する。このため、第2電動機に伝達する伝達出力Fmtは、第1発生出力Fml(Fml_max)から第1要求出力Fml_dを減算した値(Fml−Fml_d)となる。すなわち、伝達出力Fmtは3となる。
これによって、伝達出力Fmtが、動力伝達装置110(図2参照)を介して第2電動機10Rに伝達されて、第2電動機10Rの出力とともに右側後輪8Rに伝えられる。その結果、第1駆動力Ftlは7、第2駆動力Ftrは13、総駆動力Ftは20となる。このように、総駆動力Ft及び駆動力差ΔFtは、要求総駆動力Ft_d及び要求駆動力差ΔFt_dよりも小さくなるため、駆動力配分制御時には駆動力の変化が発生し、ドライバビリティに影響を与えるおそれがある。しかし、駆動力の変化が許容できる範囲であれば、No.6の制御例のように駆動力配分制御を実行し、車両1の旋回性能の向上を図るようにしてもよい。なお、駆動力の変化が許容できない場合には、駆動力配分制御は中止することが好ましい。
(変形例1)
図9は、実施形態1の変形例に係る駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。図10は、実施形態1の変形例に係る駆動力配分制御に用いるクラッチの制御マップ例を示す説明図である。この駆動力配分制御は、車両1の旋回中におけるヨーレートにより、第1クラッチ18L又は第2クラッチ18Rの圧着力、第1、第2電動機10L、10Rの出力を制御する点に特徴がある。この変形例に係る駆動力配分制御は、上記駆動力配分制御装置30によって実現できる。次の説明では、車両1が旋回中である場合に、カーブの外側における駆動輪の駆動力を増加させる場合を例として説明する。より具体的には、車両1が左旋回をする場合において、右側後輪8Rを左側後輪8Lの駆動力Ftlの駆動力Ftrよりも大きくする場合を説明する。また、この変形例に係る駆動力配分制御は、上記駆動装置100(図2参照)、及び上記駆動力配分制御装置30(図4参照)を用いて実現できる。
この変形例に係る駆動力配分制御を実行するにあたり、この実施形態に係る駆動力配分制御装置30(図4)の運転条件判定部31は、駆動力配分制御を実行する条件にあるか否かを判定する(ステップS201)。運転条件判定部31は、例えば、ヨーセンサ41及び操舵角度センサ43から取得した旋回加速度の大きさと操舵角度の大きさとから、車両1が旋回中であって、カーブ外側における駆動輪の駆動力を増加させる条件であるか否かを判定する。そして、運転条件判定部31は、カーブ外側における駆動輪の駆動力を増加させる条件である場合に、駆動力配分制御を実行する条件にあると判定する(ステップS201:Yes)。
運転条件判定部31が、駆動力配分制御を実行する条件にあると判定した場合(ステップS201:Yes)、駆動力配分制御に移行する。なお、運転条件判定部31が、駆動力配分制御を実行する条件にはないと判定した場合(ステップS201:No)、STARTに戻り、駆動力配分制御装置30は、車両1の運転条件の監視を継続する。
駆動力配分制御を実行する場合(ステップS201:Yes)、駆動力配分制御装置30が備える駆動力配分部32は、駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_dを計算する(ステップS202)。要求総駆動力Ft_dが、この実施形態に係る駆動装置100が発生することのできる最大総駆動力Ft_maxを上回った場合には、上述したように駆動装置100が発生することのできる最大総駆動力Ft_maxで駆動力配分制御を実行する。これによって、車両の挙動が不安定になるおそれを低減できる。
Ft_d≦Ft_maxである場合(ステップS203:No)、運転条件判定部31は駆動力配分制御を実行する。これを受けて、駆動力配分部32は、駆動装置100に要求される要求駆動力差ΔFt_dを求める(ステップS203)。この要求駆動力差ΔFt_dは上述した通りであり、上述した要求ヨーモーメントから求めることができる。
駆動力配分制御装置30が備える駆動力制御部33は、ステップS203で決定された要求駆動力差ΔFt_dを発生するように、第1及び第2電動機10L、10Rの出力を制御して、駆動装置100を駆動する(ステップS204)。なお、この場合には、駆動装置100の第1及び第2動力伝達装置110の第1クラッチ18L及び第2クラッチ18Rは開放される。
次に、駆動力配分制御装置30が備える運転条件判定部31は、現在の第1発生出力Fmlが第1最大出力Fml_maxよりも大きいか否か、又は現在の第2発生出力Fmrが第2最大出力Fmr_maxよりも大きいか否かを判定する(ステップS205)。Fml>Fml_max又はFmr>Fmr_maxである場合(ステップS205:Yes)、第1電動機10L又は第2電動機10Rは、第1要求出力Fml_d又は第2要求出力Fmr_dを発生することはできない。なお、この実施形態では右旋回を対象としているので、Fmr_d>Fmr_maxであり、第2電動機10Rが要求されている第2要求出力Fmr_dを発生することができない状態である。
そこで、この実施形態に係る駆動力配分制御では、要求出力に対して出力に余裕のある電動機の出力の一部を、動力伝達装置110を介して、要求出力が最大出力を上回った電動機に伝達する。これによって、要求出力が最大出力を上回った電動機で駆動される駆動輪を、当該駆動輪に要求される駆動力で駆動することができる。その結果、駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_d及び要求駆動力差ΔFt_dで、駆動装置100を駆動することができる。
Fml_d>Fml_max又はFmr_d>Fmr_maxである場合(ステップS205:Yes)、駆動力制御部33は、動力伝達装置110が備える第1動力伝達機構11Lの第1クラッチ18L(又は第2動力伝達機構11Rの第2クラッチ18L)を係合するとともに、その圧着力を調整する(ステップS206)。すなわち、第1クラッチ18L(又は第2クラッチ18R)は半係合の状態となる。
第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力は、図10に示す制御マップ61によって制御される。制御マップ61は、ECU50の記憶部50mに格納されている。第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力は、第1クラッチ18L(又は第2クラッチ18R)の圧着力Pと、増速軸−定速軸間の回転数差ΔNとに応じて変更される。すなわち、第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力は、動力伝達装置110における第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力損失の大きさに応じて調整される。ここで、増速軸−定速軸間の回転数差ΔNは、第1動力伝達機構11L又は第2動力伝達機構11Rの増速側(すなわち第1又は第2入力ギヤ16L、16R側)と定速側(すなわち第1又は第2出力ギヤ17L、17R)との回転数差である。
この変形例で用いる制御マップ61では、増速軸−定速軸間の回転数差ΔN、及び第1又は第2クラッチ18L、18Rの圧着力Pが決定されると、第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力(この実施形態ではトルク)が決定される。ここで、この制御マップ61では、第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力は、増速軸−定速軸間の回転数差ΔNの増加とともに大きくなり、また、第1クラッチ18L(又は第2クラッチ18R)の圧着力(クラッチ圧着力)Pの増加とともに大きくなるように記述されている。
駆動力配分部32は、前記回転数差ΔN及びクラッチ圧着力Pを取得し、前記制御マップ61に与える。駆動力配分部32は、その回転数差ΔN及びクラッチ圧着力Pにおける第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力増加量(この変形例ではトルク増加量)Tを取得する。そして、駆動力制御部33は、この出力増加量Tだけ、第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力を制御する(ステップS207)。なお、この実施形態では、第1電動機10Lの出力が制御される。
これによって、第1電動機10Lの出力の一部を、動力伝達装置110が備える第1動力伝達機構11Lを介して、第2電動機10Rに取り付けられる第2の駆動軸25Rへ伝達し、右側後輪8Rを駆動することができる。また、第1又は第2クラッチ18L、18Rの滑り損失分を考慮して第1電動機10L(又は第2電動機10R)の出力が制御されるので、出力が限界となった電動機によって駆動される駆動軸に対して、確実に必要な出力を伝達できる。その結果、駆動輪間における駆動力差を適切に制御することができる。
次に、運転条件判定部31は、第1クラッチ18Lの圧着力及び第1電動機10Lの出力を制御した後における駆動力差ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS208)。駆動力差ΔFtは、ヨーセンサ41から出力されたヨーモーメントから求めることができる。ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内である場合(ステップS208:Yes)、要求駆動力差ΔFt_dで車両1が旋回しているので、第1クラッチ18Lの圧着力、第1電動機10L、第2電動機10Rの出力が維持される。
ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内でない場合(ステップS208:No)、駆動力制御部33は、動力伝達装置110が備える第1動力伝達機構11Lの第1クラッチ18Lの圧着力を変更する(ステップS209)。駆動力配分部32は、前記回転数差ΔN及びクラッチ圧着力Pを取得し、前記制御マップ61に与える。そして、駆動力配分部32は、その回転数差ΔN及びクラッチ圧着力Pにおける第1電動機10Lの出力増加量Tを取得する。駆動力制御部33は、この出力増加量Tだけ、第1電動機10Lの出力を制御する(ステップS210)。そして、ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内となるまで(ステップS208:No)、上記ステップS209、ステップS210が繰り返される。
Fml≦Fml_maxかつFmr≦Fmr_maxである場合(ステップS205:No)、運転条件判定部31は、駆動力差ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS211)。ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内である場合(ステップS211:Yes)、要求駆動力差ΔFt_dで車両1が旋回しているので、第1電動機10L、第2電動機10Rの出力が維持される。
ΔFtが要求駆動力差ΔFt_dの許容範囲内でない場合(ステップS211:No)、駆動力制御部33は、第1又は第2電動機10L、10Rの出力を制御する(ステップS212)。この場合、第1又は第2電動機10L、10Rの出力を変更したので、ステップS205に戻り、運転条件判定部31は、Fml_d>Fml_max又はFmr_d>Fmr_maxであるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、上述した手順を実行する。
上記手順によって、要求出力が最大出力を上回った電動機で駆動される駆動輪を、当該駆動輪に要求される駆動力で駆動することができる。その結果、駆動装置100に要求される要求総駆動力Ft_d及び要求駆動力差ΔFt_dで、駆動装置100を駆動することができる。
上述した実施形態1及びその変形例に係る駆動力配分制御においては、車両1の旋回中において、左側後輪8Lと右側後輪8Rとの間(すなわち第1の駆動軸25Lと第2の駆動軸25Rとの間)で駆動力差を設ける例を説明した。しかし、次に説明するように、車両1の直進時においても、一方の電動機の出力を他方の電動機で駆動される駆動軸へ伝達してもよい。
例えば、駆動装置100が備える一方の電動機の故障等により、当該電動機で駆動される駆動軸の駆動力が低下した場合には、正常に動作している電動機の出力を、動力伝達装置110を介して、故障した電動機によって駆動される駆動軸へ伝達する。このときには、正常に動作している電動機によって駆動される駆動軸の駆動力と、故障した電動機によって駆動される駆動軸の駆動力とが同じ大きさになるように、動力伝達装置110の第1又は第2クラッチ18L、18Rの圧着力を調整する。これによって、駆動装置100が備える電動機の一方に故障等の不具合が発生した場合にも、正常な他方の電動機を用いて車両1の走行を継続することができる。
(変形例2)
図11は、実施形態1に係る駆動装置の異なる配置例を示す説明図である。この変形例においては、いわゆる4輪駆動の車両1aの前輪と後輪との間で駆動力の配分を実行する場合における駆動装置100の配置を説明する。なお、駆動装置100の構成は、実施形態1で説明したものと同様である(図2参照)。上記実施形態では、駆動装置100を左側後輪と右側後輪との間に配置して、例えば旋回時等に両者の左側後輪の駆動力と右側後輪の駆動力との間で駆動力を変化させた。この変形例においては、車両1aの前輪9L、9Rと後輪8L、8Rとの間に駆動装置100を配置し、前輪9L、9Rの駆動力と後輪8L、8Rの駆動力とを変化させる。
駆動装置100が備える第1電動機10Lの第1出力軸12Lは、後輪用差動装置207に連結され、第2電動機10Rの第2出力軸12Rは、前輪用差動装置206に連結される。第1電動機10Lの出力と第2電動機10Rの出力とを別個に制御することによって、車両1aの前輪9L、9Rの駆動力と後輪8L、8Rの駆動力とを変化させることができる。これによって、車両1aの前輪9L、9Rと後輪8L、8Rとの間において、駆動力配分制御をすることができる。
車両1aの前輪9L、9Rと後輪8L、8Rとの間において、駆動力配分制御をするにあたって、第1電動機10Lの出力又は第2電動機10Rの出力の一方が限界に達した場合には、上記実施形態に係る駆動力配分制御によって、出力に余裕のある電動機の出力を、駆動装置100が備える動力伝達装置110を介して出力が限界に達した電動機に伝達する。このときには、駆動装置100の総駆動力を略一定とする。これによって、第1電動機10Lの出力又は第2電動機10Rの出力の一方が限界に達した場合でも、駆動装置100の総駆動力を変化させることなく、車両1aの前輪9L、9Rと後輪8L、8Rとの間において駆動力を変化させることができる。
以上、実施形態1及びその変形例では、第1動力発生手段の出力軸と第2動力発生手段の出力軸との間に、第1動力発生手段の出力を調整して第2の駆動軸へ伝達し、また、第2動力発生手段の出力を調整して第1の駆動軸へ伝達する動力伝達手段を設ける。これによって、第1動力発生手段又は第2動力発生手段の出力が限界に達していても、第1の駆動軸と第2の駆動軸とに駆動力さを与える前後において第1の駆動軸及び第2の駆動軸の総駆動力を略一定としたまま、前記駆動力差を与えることができる。なお、この実施形態及びその変形例と同様の構成を備えるものは、この実施形態及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。また、この実施形態及びその変形例で開示した構成は、以下の実施形態に対して適宜適用できる。
(実施形態2)
実施形態2は、第1動力発生手段と第2動力発生手段との間に設けられて、一方の回転数を増速して他方に伝達するものであって、変速比(増速比)を変化させることが可能である点に特徴がある。なお、実施形態2も、車両の左右輪、前後輪、あるいは左右前後輪の間で駆動力を調整する際に適用できる。次の説明においては、車両の右側駆動輪と左側駆動輪との間で駆動力を調整する場合を説明する。
図12は、実施形態2に係る駆動装置の構成を示す説明図である。この駆動装置100bは、第1及び第2電動機10L、10Rと、動力伝達手段である動力伝達装置110bとを含んで構成される。動力伝達装置110bは、変速比を変更可能な変速手段として、いわゆるトロイダル式の無段階変速装置20を備える。これは、円盤とパワーローラーとの接触点を変化させ、回転半径を無段階に変化させることで変速比を変更するものである。無段階変速装置20は、左側後輪8Lに連結されてこれを駆動する第1の駆動軸25Lと、右側後輪8Rに連結されてこれを駆動する第2の駆動軸25Rとを備えている。
第1の駆動軸25Lの左側後輪8Lとは反対側には、第1円盤21Lが取り付けられており、また、第2の駆動軸25Rの左側後輪8Rとは反対側には、第2円盤21Rが取り付けられている。第1及び第2円盤21L、21Rは略円錐台形状であり、凹状の曲面で構成された傾斜部を有している。第1及び第2円盤21L、21Rの回転軸を通り、かつ前記回転軸と平行な平面における前記傾斜部の断面形状は、円の弧の一部となっている。
第1円盤21Lと第2円盤21Rとは、傾斜部が向かい合うように対向配置されている。第1円盤21Lの傾斜部と第2円盤21Rの傾斜部との間には、出力伝達部材であるパワーローラー22A、22Bが設けられている。パワーローラー22A、22Bの外周部は、第1円盤21Lの傾斜部及び第2円盤21Rの傾斜部と接触して、第1円盤21Lと第2円盤21Rとの間で駆動力を伝達する。
パワーローラー22A、22Bには、駆動力配分制御装置30で制御されるパワーローラー駆動用アクチュエータ23A、23Bが取り付けられている。そして、パワーローラー22A、22Bを、第1及び第2駆動軸25L、25Rと直交する軸の周りに回転運動させる(図10の矢印K1、K2の方向)。これによって、パワーローラー22A、22Bと、第1、第2円盤21L、21Rの傾斜部との接触部分は、第1、第2円盤21L、21Rの傾斜部に沿って移動する。
パワーローラー22A、22Bを図12中の矢印K1方向に移動させると、第2円盤21Rの回転数よりも第1円盤21Lの回転数の方が大きくなる。すなわち、第2円盤21Rの回転数を増速して第1円盤21Lに伝達することができる。また、パワーローラー22A、22Bを図12中の矢印K2方向に移動させると、第1円盤21Lの回転数よりも第2円盤21Rの回転数の方が大きくなる。すなわち、第1円盤21Lの回転数を増速して第2円盤21Rに伝達することができる。
第1電動機10Lの第1出力軸12Lには、第1出力ギヤ13Lが取り付けられている。第1出力ギヤ13Lは、動力伝達装置110bの第1の駆動軸25Lに取り付けられる第1カウンターギヤ24Lと噛み合って、第1カウンターギヤ24L及び第1の駆動軸25Lを介して、第1電動機10Lの出力を左側後輪8Lに伝達し、これを駆動する。また、第2電動機10Rの第2出力軸12Rには、第2出力ギヤ13Rが取り付けられている。第2出力ギヤ13Rは、動力伝達装置110bの第2の駆動軸25Rに取り付けられる第2カウンターギヤ24Rと噛み合って、第2カウンターギヤ24R及び第2の駆動軸25Rを介して、第2電動機10Rの出力を左側後輪8Rに伝達し、これを駆動する。
この駆動装置100bにおいて、一方の電動機の出力を他方に伝達する場合、駆動力配分制御装置30によってパワーローラー駆動用アクチュエータ23A、23Bを作動させ、パワーローラー22A、22Bと第1、第2円盤21L、21Rとの接触部分を移動させる。このようにすると、第1円盤21Lの回転数と第2円盤21Rの回転数とが異なるため、一方の電動機から他方の電動機へ出力を伝達することができる。
例えば、パワーローラー22A、22Bを、図12の矢印K2方向に動かすと、上述したように、第1円盤21Lの回転数を増速して第2円盤21Rに伝達することができる。これによって、第1電動機10Lの出力を第2の駆動軸25Rに伝達することができる。また、パワーローラー22A、22Bを、図12の矢印K1方向に動かすと、上述したように、第2円盤21Rの回転数を増速して第1円盤21Lに伝達することができる。これによって、第2電動機10Rの出力を第1の駆動軸25Lに伝達することができる。すなわち、無段階変速装置20の変速比(増速比)を変更することによって、一方の電動機の出力を他方の電動機によって駆動される駆動軸へ伝達できる。ここで、無段階変速装置20の変速比とは、第1円盤21Lに対する第2円盤21Rの変速比、あるいは第2円盤21Rに対する第1円盤21Lの変速比をいう。
なお、パワーローラー22A、22Bを中立の位置に保持すれば、第1円盤21Lの回転数と第2円盤21Rの回転数との差は生じない。このため、第1電動機10Lの出力は第2の駆動軸25Rには伝達されず、また、第2電動機10Rの出力は第1の駆動軸25Lには伝達されない。ここで、パワーローラー22A、22Bの中立の位置とは、例えば、車両が直進時の場合には、無段階変速装置20の変速比が1となる位置である。
ここで、駆動装置100bが備える動力伝達装置110bは、第1電動機10Lの出力を調整して第2の駆動軸25Rへ伝達すること、又は第2電動機10Rの出力を調整して第1の駆動軸25Lへ伝達することのうち一方を選択して実行する。これによって、出力の増加分を、動力伝達装置110を介して第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち出力が限界に達している方で駆動される駆動軸へ、確実に伝達できる。
このような構成によって、左側後輪8Lと右側後輪8Rとの間に駆動力差を与える場合において、一方の電動機の出力が限界に達した場合には、出力に余裕のある電動機の出力を、動力伝達装置110bを介して、出力が限界に達した電動機によって駆動される駆動軸へ伝達できる。これによって、第1電動機10L又は第2電動機10Rの出力が限界に達していても、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに駆動力差を与える前後において左側後輪8L及び右側後輪8Rの総駆動力を略一定としたまま、前記駆動力差を与えることができる。
上記実施形態1に係る駆動装置100(図2)では、第1及び第2クラッチ18L、18Rの圧着力を調整することにより、一方の電動機の出力を他方の電動機によって駆動される駆動軸へ伝達した。しかし、この実施形態に係る駆動装置100bでは、無段階変速装置20の変速比を調整するのみで、一方の電動機の出力を他方の電動機によって駆動される駆動軸へ伝達できる。これによって、クラッチの圧着力を制御する場合と比較して、伝達する出力の制御が簡易になる。また、第1の駆動軸25Lと第2の駆動軸25Rとの回転数差に応じて無段階変速装置20の変速比を変化させることができるので、一方の電動機の出力を他方に伝達できる前記回転数差の範囲が広がる。
(変形例)
実施形態2の変形例は、上記実施形態2とほぼ同様の構成であるが、トロイダル式の無段階変速装置に代えて、変速手段にベルト式の無段階変速装置を用いる点が異なる。他の構成は実施形態2と同様である。
図13は、実施形態2の変形例に係る駆動装置の構成を示す説明図である。図14は、実施形態2の変形例に係る駆動装置が備える無段階変速装置を示す説明図である。この変形例に係る駆動装置100cは、第1及び第2電動機10L、10Rと、動力伝達手段である動力伝達装置110cとを含んで構成される。動力伝達装置110cは、変速比を変更可能な変速手段として、いわゆるベルト式の無段階変速装置(ベルト式無段階変速装置)6を備える。ベルト式無段階変速装置6は、第2電動機10Rの第2出力軸12Rに取り付けられる第1プーリーセット70と、中間軸75に取り付けられる第2プーリーセット71と、第1プーリーセット70と第2プーリーセット71とに掛けられるベルト74とを含んで構成される。
第2プーリーセット71が取り付けられる中間軸75には、中間軸ギヤ76が取り付けられている。中間軸ギヤ76は中間ギヤ78と噛み合い、また、中間ギヤ78は第1電動機10Lの第1出力軸12Lに取り付けられる第1電動機ギヤ77と噛み合う。これによって、第2電動機10Rからベルト式無段階変速装置6に入力された出力は、中間軸75、中間軸ギヤ76、中間ギヤ78、第1電動機ギヤ77、を介して第1電動機10Lの第1出力軸を介して、第1の駆動軸25Lに伝達される。また、第1電動機の出力は、第1出力軸12L、第1電動機ギヤ77、中間ギヤ78、中間軸ギヤ76、中間軸75、ベルト式無段階変速装置6、第2電動機10Rの第2出力軸を介して、第2の駆動軸25Rに伝達される。
ベルト式無段階変速装置6の第1プーリーセット70は、円錐台形状のプーリー70a、50bが、傾斜面が向かい合うように対向配置されて構成される。また、第2プーリーセット71は、円錐台形状のプーリー71a、51bが、傾斜面が向かい合うように対向配置されて構成される。第1プーリーセット70には、駆動力配分制御装置30によって制御される第1アクチュエータ72が取り付けられており、プーリー70a、50bの間隔を調整する。また、第2プーリーセット71には、駆動力配分制御装置30によって制御される第2アクチュエータ73が取り付けられており、プーリー71a、51bの間隔を調整する。
ベルト式無段階変速装置6では、ベルト74が、第1プーリーセット70を構成するプーリー70a、50b、及び第2プーリーセット71を構成するプーリー71a、51bに挟まれて動力を伝達する。このため、第1プーリーセット70を構成するプーリー70a、50bの間隔、及び第2プーリーセット71を構成するプーリー71a、51bの間隔が変化すると、第1プーリーセット70の回転軸ZAからベルト74までの距離RA、及び第2プーリーセット71の回転軸ZBからベルト74までの距離RBが変化する。したがって、ベルト式無段階変速装置6では、第1プーリーセット70及び第2プーリーセット71の間隔を調整することによって変速比を調整することができる。ここで、変速比は、第1プーリーセット70に対する第2プーリーセット71の変速比、あるいは第2プーリーセット71に対する第1プーリーセット70の変速比である。
この駆動装置100cにおいて、一方の電動機の出力を他方に伝達する場合、駆動力配分制御装置30によって第1プーリーセット70を構成するプーリー70a、50bの間隔、及び第2プーリーセット71を構成するプーリー71a、51bの間隔を調整する。これによって、ベルト式無段階変速装置6の変速比が変更され、その結果、第1電動機10Lの回転数と第2電動機10Rの回転数とに差が発生する。その結果、一方の電動機の出力を、他方の電動機へ伝達することができる。
ここで、駆動装置100cが備える動力伝達装置110cは、第1電動機10Lの出力を調整して第2の駆動軸25Rへ伝達すること、又は第2電動機10Rの出力を調整して第1の駆動軸25Lへ伝達することのうち一方を選択して実行する。これによって、出力の増加分を、動力伝達装置110を介して第1電動機10L又は第2電動機10Rのうち出力が限界に達している方で駆動される駆動軸へ、確実に伝達できる。
このような構成によって、左側後輪8Lと右側後輪8Rとの間に駆動力差を与える場合において、一方の電動機の出力が限界に達した場合には、出力に余裕のある電動機の出力を、動力伝達装置110cを介して、出力が限界に達した電動機によって駆動される駆動軸へ伝達できる。これによって、第1電動機10L又は第2電動機10Rの出力が限界に達していても、左側後輪8Lと右側後輪8Rとに駆動力差を与える前後において左側後輪8L及び右側後輪8Rの総駆動力を略一定としたまま、前記駆動力差を与えることができる。
この実施形態に係る駆動装置100cでは、ベルト式無段階変速装置6の変速比を調整するのみで、一方の電動機の出力を他方の電動機によって駆動される駆動軸へ伝達できる。これによって、クラッチの圧着力を制御する場合と比較して、伝達する出力の制御が簡易になる。また、第1の駆動軸25Lと第2の駆動軸25Rとの回転数差に応じてベルト式無段階変速装置6の変速比を変化させることができるので、一方の電動機の出力を他方に伝達できる前記回転数差の範囲が広がる。
以上、実施形態2及びその変形例では、第1動力発生手段の出力軸と第2動力発生手段の出力軸との間に、第1動力発生手段の出力を調整して第2の駆動軸へ伝達し、また、第2動力発生手段の出力を調整して第1の駆動軸へ伝達する動力伝達手段を設ける。そして、動力伝達手段を、変速比を変更できる変速手段で構成する。これによって、第1動力発生手段又は第2動力発生手段の出力が限界に達していても、第1の駆動軸と第2の駆動軸とに駆動力さを与える前後において第1の駆動軸及び第2の駆動軸の総駆動力を略一定としたまま、前記駆動力差を与えることができる。また、変速比を変更できる変速手段を用いることで、クラッチが不要になるので、動力伝達手段によって伝達する出力の制御が簡易になる。さらに、第1の駆動軸と第2の駆動軸との回転数差に応じて変速手段の変速比を変化させることができるので、一方の電動機の出力を他方に伝達できる前記回転数差の範囲が広がる。なお、この実施形態及びその変形例と同様の構成を備えるものは、この実施形態及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。
ここで、上述した実施形態1、実施形態2及びこれらの変形例では、さらに次の発明が開示される。この発明は、第1の駆動軸を駆動する第1動力発生手段の出力の大きさを調整して前記第2の駆動軸へ伝達し、また、第2の駆動軸を駆動する第2動力発生手段の出力の大きさを調整して前記第1の駆動軸へ伝達することを特徴とする動力伝達装置である。
この動力伝達装置は、第1動力発生手段の出力を調整して第2の駆動軸へ伝達し、また、第2動力発生手段の出力を調整して第1の駆動軸へ伝達する。これによって、異なる動力発生手段で駆動される複数の駆動輪間に駆動力差を与えるにあたって、第1動力発生手段又は第2動力発生手段の出力が限界に達していても、総駆動力を維持しつつ、必要な駆動力差を与えることができる。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記動力伝達手段は、前記第1動力発生手段の出力を調整して前記第2の駆動軸へ伝達すること、又は前記第2動力発生手段の出力を調整して前記第1の駆動軸へ伝達することのうち一方を選択して実行することを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記第1の駆動軸における駆動力と前記第2の駆動軸における駆動力とに差を設ける場合であり、かつ、前記第1動力発生手段又は前記第2動力発生手段のうちいずれか一方の出力が限界であり、かつ他方の出力に余裕がある場合には、出力に余裕のある方の少なくとも一部の出力を、出力が限界である方によって駆動される駆動軸に伝達することを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記第1動力発生手段の出力軸と前記第2動力発生手段の出力軸との間に設けられて、前記第1動力発生手段の出力を調整して前記第2の駆動軸へ伝達する第1動力伝達機構と、前記第1動力発生手段の出力軸と前記第2動力発生手段の出力軸との間に設けられて、前記第2動力発生手段の出力を調整して前記第1の駆動軸へ伝達する第2動力伝達機構と、を含んで構成されることを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記第1動力伝達機構及び前記第2動力伝達機構はそれぞれクラッチを備えており、前記クラッチの圧着力を調整することによって、前記第1動力発生手段から前記第2の駆動軸へ伝達される出力、又は前記第2動力発生手段から前記第1の駆動軸へ伝達される出力を調整することを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記第1動力伝達機構は、前記第1動力発生手段の出力軸の回転数を増速して前記第2の駆動軸へ伝え、また、前記第2動力伝達機構は、前記第2動力発生手段の出力軸の回転数を増速して前記第1の駆動軸へ伝えることを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記第1動力発生手段から前記第2の駆動軸へ伝達される出力、又は前記第2動力発生手段から前記第1の駆動軸へ伝達される出力は、前記クラッチの圧着力、及び前記第1動力伝達機構又は前記第2動力伝達機構における増速側と定速側との回転数差に応じて調整されることを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記第1動力発生手段の出力軸と前記第2動力発生手段の出力軸との間に、前記第1動力発生手段の出力軸の回転数を増速して前記第2の駆動軸へ伝え、また、前記第2動力発生手段の第2出力軸の回転数を増速して前記第1の駆動軸へ伝える変速手段を備え、前記変速手段は、その変速比を変更することができることを特徴とする動力伝達装置である。
また、次の発明は、前記発明に係る動力伝達装置において、前記変速手段の変速比を変化させることにより、前記第1動力発生手段から前記第2の駆動軸へ伝達される出力、又は前記第2動力発生手段から前記第1の駆動軸へ伝達される出力を調整することを特徴とする動力伝達装置である。