JP3617394B2 - 前後輪駆動車両の制御装置 - Google Patents
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- B60K6/50—Architecture of the driveline characterised by arrangement or kind of transmission units
- B60K6/54—Transmission for changing ratio
- B60K6/543—Transmission for changing ratio the transmission being a continuously variable transmission
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前後輪のうちの一方の車輪を駆動する第1原動機と、他方の車輪を駆動する第2原動機とを備えた前後輪駆動車両において、それらの原動機を制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前輪および後輪の一方の車輪が第1原動機により変速機を介して駆動され、他方の車輪が第2原動機により駆動される形式の前後輪駆動車両が知られている。たとえば、特開平9−298802号公報に記載された前後輪駆動車両がそれであり、第1原動機として機能するエンジンの動作中に車両状態に応じて第2原動機として機能する電動機を作動させて車両の駆動力を付加するようになっている。このような従来の前後輪駆動車両は、エンジンにより駆動される一方の車輪の駆動力を補うために他方の車輪を駆動する電動機を作動させたり、制動要求時や障害物が検出された場合に電動機を作動させて制動時の車速上昇が抑制されたり障害物に接近することが抑制されて制動性能や運転性が改善されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の前後輪駆動車両においては、駆動力を補ったり或いは制動性能や運転性を改善するに過ぎず、車両が頻繁に発進および停止や低速走行を繰り返す渋滞走行についての配慮が何ら為されていない。したがって、渋滞走行時のエネルギ効率や燃費が十分に得られているとは言いがたく、それらエネルギ効率や燃費に限界があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、渋滞走行時において高いエネルギ効率や燃費が得られる前後輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、前後輪のうちの一方の車輪を変速機を介して駆動可能なエンジンと、該エンジンにより回転駆動される発電機と、電気エネルギを蓄えるための蓄電装置と、他方の車輪を駆動可能な電動機とを有する前後輪駆動車両の制御装置であって、(a) 前記前後輪駆動車両の渋滞走行を判定する渋滞走行判定手段と、(b) 運転者により加速操作が行われたか否かを判定する加速操作判定手段と、(c) その加速操作判定手段によって運転者により加速操作が行われたと判定された場合には、前記エンジンから前記変速機を介して一方の車輪に到る動力伝達経路を非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えるが、前記渋滞走行判定手段により渋滞走行が判定された場合は、前記動力伝達経路を解放して非動力伝達状態とする動力伝達経路解放制御手段と、(d) 前記加速操作判定手段によって運転者により加速操作が行われたことが判定された場合には、前記エンジンおよび前記電動機により前記前輪および後輪を共に駆動させるが、前記渋滞走行判定手段により渋滞走行が判定された場合は、前記エンジンによる一方の車輪の駆動から、前記電動機による他方の車輪の駆動へ切り換える原動機切換制御手段と、(e) 前記動力伝達経路の非動力伝達状態での電動機による前記渋滞走行中に運転者による加速操作が行われたことが判定されたことにより、前記動力伝達経路がそれに介挿された摩擦係合装置の係合によって非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられる際において、前記エンジンの吹上りを抑制するエンジン吹上り抑制手段とを、含み、 (f) 前記原動機切換制御手段は、前記動力伝達経路解放制御手段により前記動力伝達経路が動力伝達可能状態へ切り換えが開始されてから前記摩擦係合装置の係合作動時間程度に予め設定された所定時間が経過するまでは、前記エンジンおよび電動機により前後輪を駆動させ、該所定時間が経過した後は、専ら該エンジンにより一方の車輪を駆動させるとともに該電動機による他方の車輪の駆動を停止させ、且つ、前記エンジンにより回転駆動される発電機からの電気エネルギが供給される前記電動機により前記他方の車輪を駆動させることにある。
【0006】
【第1発明の効果】
このようにすれば、渋滞走行判定手段により渋滞走行が判定された場合は、動力伝達経路解放制御手段によってエンジンから変速機を介して一方の車輪に到る動力伝達経路が解放されて非動力伝達状態とされると同時に、原動機切換制御手段によってエンジンによる一方の車輪の駆動から電動機による他方の車輪の駆動へ切り換えられることから、エンジンが一方の車輪から切り離されるとともに専ら電動機により駆動される他方の車輪によって前後輪駆動車両が駆動されるので、渋滞走行時において高いエネルギ効率および燃費が得られる。また、加速操作判定手段によって運転者により加速操作が行われたと判定された場合には、動力伝達経路解放制御手段により前記動力伝達経路を非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられ、原動機切換制御手段によって前記エンジンおよび前記電動機により前記前輪および後輪を共に駆動させるので、専ら電動機により渋滞走行している状態で加速操作が行われた場合は、エンジンおよび電動機により前輪および後輪が駆動されるので、十分な駆動力が得られる。さらに、エンジン吹上り抑制手段により、電動機による渋滞走行中で加速操作されたことにより前記動力伝達経路がそれに介挿された摩擦係合装置の係合によって非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられてエンジンの出力が伝達され始める際の過渡期においてエンジンの吹き上がりが好適に抑制される。また、原動機切換制御手段は、前記動力伝達経路解放制御手段により前記動力伝達経路が動力伝達可能状態へ切り換えが開始されてから前記摩擦係合装置の係合作動時間程度に予め設定された所定時間が経過するまでは、前記エンジンおよび電動機により前後輪を駆動させ、その所定時間が経過した後は、専ら該エンジンにより一方の車輪を駆動させるとともに該電動機による他方の車輪の駆動を停止させることから、動力伝達経路に介挿された摩擦係合装置の係合により動力伝達可能状態へ切り換えるに際して、その摩擦係合装置の係合過渡期間に動力が十分に伝わらない所定時間経過前の状態において電動機により他方の車輪が駆動され、それからアシストトルクが出力させられるので、加速操作時の違和感が解消されて良好な加速応答性が得られる。また、原動機切換制御手段がエンジンにより回転駆動される発電機からの電気エネルギが供給される電動機によって前記他方の車輪を駆動させることから、蓄電装置の容量に拘らず渋滞走行できる効果がある。
【0010】
ここで、好適には、電力が貯えられる蓄電装置と、その蓄電装置の蓄電量が予め設定された判断基準値以下であるか否かを判定する蓄電量判定手段とが備えられ、その蓄電量判定手段によりその蓄電装置の蓄電量が判断基準値以上であると判定された場合には、その蓄電装置に貯えられた電力が前記電動機に供給されるとともに、その蓄電装置の蓄電量が判断基準値より少ないと判定された場合には、前記第1原動機により駆動される発電機から出力される電力がその電動機に供給されるものである。このようにすれば、渋滞走行時において第1原動機により駆動される発電機から出力される電力がその電動機に供給されることにより他方の車輪が回転駆動されるので、蓄電装置に貯えられた蓄電量により渋滞走行しようとするときに蓄電装置の蓄電量が不足状態となった場合でも渋滞走行できる利点がある。
【0011】
また、好適には、前記動力伝達経路がそれに介挿された摩擦係合装置の係合によって非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられる際において、たとえばエンジンが駆動する発電機の電気負荷を一時的に大きくすることにより、或いはそれに加えて一時的にスロットル弁開度を所定量減少させるエンジン吹上り抑制手段が設けられているので、上記摩擦係合装置の係合過渡期間にエンジンが吹き上がることが好適に抑制される。
【0012】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明が適用された4輪駆動車両すなわち前後輪駆動車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。この前後輪駆動車両は、内燃機関および電動機を原動機として備えた所謂ハイブリッド車両であって、前輪系を第1原動機を備えた第1駆動装置すなわち主駆動装置10にて駆動し、後輪系を第2原動機を備えた第2駆動装置すなわち副駆動装置12にて駆動する形式の駆動装置である。
【0014】
上記主駆動装置10は、空気および燃料の混合気が燃焼させられることにより作動させられる内燃機関であるエンジン14と、第1電動機および発電機として選択的に機能するモータジェネレータMG1(以下、MG1という)と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置18と、変速比が連続的に変化させられる無段変速機20とを同心に備えている。上記エンジン14および/またはMG1は第1原動機すなわち主原動機として機能している。上記エンジン14は、その吸気配管の吸入空気量を制御するスロットル弁19の開度θTHを変化させるためにそのスロットル弁19を駆動するスロットルアクチュエータ21を備えている。
【0015】
上記遊星歯車装置18は、機械的に力を合成し或いは分配する合成分配機構であって、共通の軸心まわりに独立して回転可能に設けられた3つの回転要素、すなわち上記エンジン14にダンパ装置22を介して連結されたサンギヤ24と、第1クラッチC1を介して無段変速機20の入力軸26に連結され且つ上記MG1の出力軸が連結されたキャリヤ28と、第2クラッチC2を介して無段変速機20の入力軸26に連結され且つブレーキB1を介して非回転部材たとえばハウジング30に連結されるリングギヤ32とを備えている。上記キャリヤ28は、サンギヤ24およびリングギヤ32とかみ合い且つ相互にかみ合う1対のピニオン(遊星歯車)34および36を、それらの自転可能に支持している。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、ブレーキB1は、いずれも互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより係合させられたり、その押圧解除により解放されたりする油圧式摩擦係合装置である。
【0016】
上記遊星歯車装置18とそのキャリヤ28に連結されたMG1は、エンジン14の作動状態すなわちサンギヤ24の回転状態においてMG1の発電量を制御することすなわちMG1の回転駆動トルクである反力が逐次大きくなるようにキャリヤ28に発生させられることにより、リングギヤ32の回転数を滑らかに増加させて車両の滑らかな発進加速を可能とする電気トルコン(ETC)装置を構成している。このとき、遊星歯車装置18のギヤ比ρ(サンギヤ24の歯数/リングギヤ32の歯数)がたとえば一般的な値である0.5とすると、リングギヤ32のトルク:キャリヤ28のトルク:サンギヤ24のトルク=1/ρ:(1−ρ)/ρ:1の関係から、エンジン14のトルクが1/ρ倍たとえば2倍に増幅されて無段変速機20へ伝達されるので、トルク増幅モードと称される。
【0017】
また、上記無段変速機20は、入力軸26および出力軸38にそれぞれ設けられた有効径が可変の1対の可変プーリ40および42と、それら1対の可変プーリ40および42に巻き掛けられた無端環状の伝動ベルト44とを備えている。それら1対の可変プーリ40および42は、入力軸26および出力軸38にそれぞれ固定された固定回転体46および48と、その固定回転体46および48との間にV溝を形成するように入力軸26および出力軸38に対して軸心方向に移動可能且つ軸心まわりに相対回転不能に取付られた可動回転体50および52と、それら可動回転体50および52に推力を付与して可変プーリ40および42の掛かり径すなわち有効径を変化させることにより変速比γ(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を変更する1対の油圧シリンダ54および56とを備えている。
【0018】
上記無段変速機20の出力軸38から出力されたトルクは、減速装置58、差動歯車装置60、および1対の車軸62、64を介して1対の前輪66、68へ伝達されるようになっている。なお、本実施例では、前輪66、68の舵角を変更する操舵装置が省略されている。
【0019】
前記副駆動装置12は、副原動機、第2原動機或いは発電機として機能するリヤモータジェネレータMG2(以下、MG2という)を備え、そのMG2から出力されたトルクは、減速装置72、差動歯車装置74、および1対の車軸76、78を介して1対の後輪80、82へ伝達されるようになっている。
【0020】
図2は、本実施例の前後輪駆動車両に設けられた制御装置の構成を説明する図である。エンジン制御装置100、変速制御装置102、ハイブリッド制御装置104、蓄電制御装置106、ブレーキ制御装置108は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々の制御を実行する。また、上記の制御装置は、相互に通信可能に接続されており、所定の制御装置から必要な信号が要求されると、他の制御装置からその所定の制御装置へ適宜送信されるようになっている。
【0021】
エンジン制御装置100は、エンジン14のエンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために図示しない燃料噴射弁を制御し、点火時期制御のために図示しないイグナイタを制御し、予め設定された関係から実際のアクセルペダル96の操作量Accに応じたスロットル弁開度θTHとするためにスロットルアクチュエータ21を制御する。上記変速制御装置102は、たとえば、無段変速機20の伝動ベルト44の張力が必要かつ十分な値となるように予め設定された関係から、実際の変速比γおよび伝達トルクすなわちエンジン14およびMG1の出力トルクに基づいて、ベルト張力圧を調圧する調圧弁を制御し、伝動ベルト44の張力を最適な値とするとともに、エンジン14が最小燃費率曲線或いは最適曲線に沿って作動するように予め記憶された関係から、実際の車速Vおよびエンジン負荷たとえばスロットル開度θとして表現されるスロットル弁開度θTH或いはアクセルペダル96の操作量ACCに基づいて目標変速比γm を決定し、実際の変速比γがその目標変速比γm と一致するように無段変速機20の変速比γを制御する。
【0022】
上記ハイブリッド制御装置104は、電池などから成る蓄電装置112からMG1に供給される駆動電流或いはそのMG1から蓄電装置112へ出力される発電電流を制御するインバータ114を制御するための第1MG制御装置116と、蓄電装置112からMG2へ供給される駆動電流或いはそのMG2から蓄電装置112へ出力される発電電流を制御するインバータ118を制御するための第2MG制御装置120とを含み、シフトレバー98の操作位置PSH、スロットル開度θ(スロットル弁開度或いはアクセルペダル96の操作量ACC)、車速V、蓄電装置112の蓄電量SOCに基づいて、たとえば図3に示す複数の運転モードのうちからいずれか1つの選択を行うとともに、スロットル開度θ、ブレーキペダル94の操作量BF に基づいて、MG1或いはMG2の発電に必要なトルクにより制動力を発生させるトルク回生制動モード、或いはエンジン14の回転抵抗トルクにより制動力を発生させるエンジンブレーキモードを選択する。
【0023】
シフトレバー98がBレンジ或いはDレンジへ操作された場合、たとえば比較的低負荷の発進或いは低速走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2およびブレーキB1が共に解放されることにより、専らMG1により車両が駆動される。なお、このモータ走行モードにおいて、蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回った不足状態となった場合や、駆動力をさらに必要とするためにエンジン14を始動させる場合には、上記ETCモード或いは直結モードへ切り換えられて、それまでの走行を維持しながらMG1或いはMG2が駆動され、そのMG1或いはMG2により蓄電装置112が充電される。
【0024】
また、比較的中負荷走行または高負荷走行では直結モードが選択され、第1クラッチC1および第2クラッチC2が共に係合させられ且つブレーキB1が解放されることにより遊星歯車装置18が一体的に回転させられ、専らエンジン14によりまたはそのエンジン14およびMG1により車両が駆動されたり、或いは専らエンジン14により車両が駆動されると同時にMG1により蓄電装置112の充電が行われる。この直結モードでは、サンギヤ24の回転数即ちエンジン回転数NE (rpm )とキャリヤ部材28の回転数すなわちMG1の回転数NMG(rpm )とリングギヤ32の回転数即ち無段変速機20の入力軸26の回転速度NIN(rpm )とは同じ値であるから、二次元平面内において3本の回転数軸(縦軸)すなわちサンギヤ回転数軸S、リングギヤ回転数軸R、およびキャリヤ回転数軸Cと変速比軸(横軸)とから描かれる図4の共線図では、たとえば1点鎖線に示されるものとなる。なお、図4において、上記サンギヤ回転数軸Sとキャリヤ回転数軸Cとの間隔は1に対応し、リングギヤ回転数軸Rとキャリヤ回転数軸Cとの間隔はダブルピニオン型遊星歯車装置18のギヤ比ρに対応している。
【0025】
また、たとえば発進加速走行では、ETCモードすなわちトルク増幅モードが選択され、第2クラッチC2が係合させられ且つ第1クラッチC1およびブレーキB1が共に解放された状態でMG1の発電量(回生量)すなわちそのMG1の反力(MG1を回転させる駆動トルク)が徐々に増加させられることにより、エンジン14が所定の回転数に維持された状態で車両が滑らかに零発進させられる。このようにエンジン14によって車両およびMG1が駆動される場合には、エンジン14のトルクが1/ρ倍たとえばρ=0.5とすると2倍に増幅されて無段変速機20へ伝達される。すなわち、MG1の回転数NMGが図4のA点(負の回転速度すなわち発電状態)である場合には、無段変速機20の入力軸回転数NINは零であるため車両は停止しているが、図4の破線に示すように、そのMG1の発電量が増加させられてその回転数NMGがその正側のB点へ変化させられることにともなって無段変速機20の入力軸回転数NINが増加させられて、車両が発進させられるのである。
【0026】
シフトレバー98がNレンジ或いはPレンジへ操作された場合、基本的にはニュートラルモード1または2が選択され、第1クラッチC1、第2クラッチC2、およびブレーキB1が共に解放され、遊星歯車装置18において動力伝達経路が解放される。この状態において、蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回った不足状態となった場合などにおいては、充電・エンジン始動モードとされ、ブレーキB1が係合させられた状態で、MG1によりエンジン14が始動させられる。シフトレバー98がRレンジへ操作された場合、たとえば軽負荷後進走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられるとともに第2クラッチC2およびブレーキB1が共に解放されることにより、専らMG1により車両が後進走行させられる。しかし、たとえば中負荷或いは高負荷後進走行ではフリクション走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2が解放されるとともに、ブレーキB1がスリップ係合させられる。これにより、車両を後進させる駆動力としてMG1の出力トルクにエンジン14の出力トルクが加えられる。
【0027】
また、前記ハイブリッド制御装置104は、前輪66、68の駆動力に従った車両の発進時或いは急加速時において、車両の駆動力を一時的に高めるために、所定の駆動力配分比に従ってMG2を作動させ、後輪80、82からも駆動力を発生させる高μ路アシスト制御や、凍結路、圧雪路のような低摩擦係数路(低μ路)における発進走行時において、車両の発進能力を高めるために、MG2により後輪80、82を駆動させると同時に、たとえば無段変速機20の変速比γを低くさせて前輪66、68の駆動力を低下させる低μ路アシスト制御を実行する。
【0028】
蓄電制御装置106は、電池、コンデンサなどの蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値SOCO を下回った場合には、MG1或いはMG2により発電された電気エネルギで蓄電装置112を充電あるいは蓄電するが、蓄電量SOCが予め設定された上限値SOCU を上まわった場合には、そのMG1或いはMG2からの電気エネルギで充電することを禁止する。
【0029】
ブレーキ制御装置108は、たとえばTRC制御、ABS制御、VSC制御などを実行し、低μ路などにおける発進走行時、制動時、旋回時の車両の安定性を高めたり或いは牽引力を高めるために、油圧ブレーキ制御回路を介して各車輪66、68、80、82に設けられたホイールブレーキ66WB、68WB、80WB、82WBを制御する。たとえば、各車輪に設けられた回転センサからの信号に基づいて、車輪車速(車輪回転速度に基づいて換算される車体速度)たとえば右前輪車輪車速VFR、左前輪車輪車速VFL、右後輪車輪車速VRR、左後輪車輪車速VRL、前輪車速〔=(VFR+VFL)/2〕、後輪車速〔=(VRR+VRL)/2〕、および車体車速(VFR、VFL、VRR、VRLのうちの最も遅い速度)を算出する一方で、たとえば主駆動輪である前輪車速と非駆動輪である後輪車速との差であるスリップ速度ΔVが予め設定された制御開始判断基準値ΔV1 を越えると、前輪にスリップ判定をし、且つスリップ率RS 〔=(ΔV/VF )×100%〕が予め設定された目標スリップ率RS1内に入るようにMG1の出力トルクを低下させると同時にホイールブレーキ66WB、68WBを用いて前輪66、68の駆動力を低下させる。
【0030】
図5は、上記ハイブリッド制御装置104などの制御機能の要部を説明する機能ブロック線図であって、渋滞走行時における原動機の切換制御を示している。
【0031】
図5において、渋滞走行判定手段128は、前記前後輪駆動車両の渋滞走行を、たとえば20km/h程度の所定車速VX1以下における所定スロットル開度θX1以下の走行であって単位時間内における停止および発進回数Nが所定値NX1以上であることに基づいて判定する。上記渋滞走行判定手段128により渋滞走行が判定された場合は、動力伝達経路解放制御手段130は、クラッチC1およびC2を解放することにより、エンジン14から遊星歯車装置18および無段変速機20を介して前後輪のうちの一方である前輪66、68に到る前輪動力伝達経路を解放して非動力伝達状態とする。同時に、原動機切換制御手段132は、エンジン14による前輪66、68の駆動から、MG2による後輪80、82の駆動へ切り換え、渋滞走行時には専らMG2によって車両を駆動させる。
【0032】
加速操作判定手段134は、高付加走行状態が選択されたか否かすなわち運転者による加速操作が行われたか否かを、たとえばスロットル開度θが前回の制御サイクル時の値θtxから増加しているか否かに基づいて判定する。この加速操作判定手段134により加速操作が判定された場合には、上記動力伝達経路解放制御手段130は、クラッチC1およびC2を係合させることにより前記動力伝達経路を非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えるとともに、前記原動機切換制御手段132は、エンジン14およびMG2により前輪66、68および後輪80、82を共に駆動させる。このとき、上記原動機切換制御手段132は、動力伝達経路解放制御手段130により動力伝達経路が動力伝達可能状態へ切り換えが開始されてからクラッチC1およびC2の係合作動時間程度に予め設定された所定時間t1 が経過するまでは、4輪駆動開始時の蹴出しトルクを速やかに発生させるために、MG2によりアクセル開度に応じた高いトルクで後輪80、82を駆動し、加速応答性が高められる。特に後進では、加速操作時ブレーキB1がすべり係合させられるので、もたつき感が防止される。
【0033】
蓄電量判定手段136は、蓄電装置112の蓄電量(充電残量)SOCが予め設定された判断基準値SOCO 以下であるか否かを判定する。この蓄電量判定手段136により蓄電装置112の蓄電量SOCが判断基準値SOCO 以上であると判定される場合には、前記渋滞走行において、蓄電装置112に貯えられた電力がMG2に供給されるが、蓄電装置112の蓄電量SOCが判断基準値SOCO より少ないと判定される場合には、エンジン14により駆動されるMG1から出力される電力がMG2に供給される。
【0034】
エンジン吹上り抑制手段138は、前記前輪動力伝達経路がそれに介挿された油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1或いはC2の係合によって非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられる際において、たとえばエンジン14が駆動するMG1(発電機)の電気負荷を一時的に大きくすることにより、或いはそれに加えて一時的にスロットル弁開度θTHを所定量減少させ、上記クラッチC1或いはC2の係合過渡期間にエンジン14が吹き上がることを抑制する。このエンジン14の吹き上がりは、たとえば上記前輪動力伝達経路が非動力伝達状態とされているモータ走行において、アクセルペダル96が踏み込まれることによってクラッチC1および/またはC2が係合されて上記前輪動力伝達経路が動力伝達可能状態とされる係合過渡期間において、アクセル操作量Accに応じた大きさの出力トルクがエンジン14から伝達されると、未だ過渡期間で係合トルクが零から上昇中のクラッチC1および/またはC2が滑ってエンジン回転速度が一時的に上昇する現象である。
【0035】
図6は、上記ハイブリッド制御装置104などの制御機能の要部、すなわち渋滞走行時原動機切換制御ルーチンを説明するフローチャートである。ステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、車速Vがたとえば20km/h以下に予め設定された渋滞速度判断基準値VX1以下の低速走行であるか否かが判断される。このSA1の判断が肯定された場合は、SA2において、スロットル開度θが予め設定されたスロットル開度判断基準値θX1以下の低開度走行であるか否かが判断される。このSA2の判断が肯定された場合は、SA3において、単位時間当たりの発進停止回数Nが予め設定された判断基準値NX1よりも大きいか否かが判断される。これらSA1、SA2、SA3は、車両の渋滞走行を判定するものであるので、前記渋滞走行判定手段128に対応している。
【0036】
上記SA1、SA2、SA3の判断のいずれか1つが否定される場合は通常の走行制御モードが実行される。しかし、上記SA1、SA2、SA3の判断が共に肯定された場合には、車両の渋滞走行状態であるので、前記蓄電量判定手段136に対応するSA4において、蓄電装置112の充電残量SOCが予め設定された判断基準値SOCO よりも少ないか否かが判断される。このSA4の判断が肯定される場合は、前記動力伝達経路解放制御手段130に対応するSA5において、クラッチC1およびC2が解放され且つブレーキB1が係合させられることにより、エンジン14から遊星歯車装置18および無段変速機20を介して前輪66、68までの前輪動力伝達経路が解放されてそれが非動力伝達状態とされる。同時に、前記原動機切換制御手段132に対応するSA6において、エンジン14により回転駆動されるMG1から出力される電気エネルギがMG2へ供給されることにより後輪80、82が駆動され、車両は専ら後輪80、82により駆動される。
【0037】
次いで、前記加速操作判定手段134に対応するSA7において、運転者のアクセルペダル96による加速操作が行われたか否かが、たとえばスロットル開度θが予め設定された判断基準値θX2を越えたか否かに基づいて、或いは前回の値より大きくなったか否かに基づいて判断される。このSA7の判断が否定される場合は前記SA4以下が繰り返し実行されるが、肯定される場合は、前記動力伝達経路解放制御手段130、原動機切換制御手段132、およびエンジン吹上り抑制手段138に対応するSA8において、前進の場合には、クラッチC1および/またはC2が係合されて前輪動力伝達経路が動力伝達可能状態とされると同時に、アクセル開度θに応じてETCモード或いは直結モードが選択される。また、後進の場合には、クラッチC1が係合されるとともにブレーキB1が滑らかに係合されることにより上記前輪動力伝達経路が成立させられて動力伝達可能状態とされると同時に、フリクション走行モードが選択される。これにより、少なくともエンジン14により前輪66、68が駆動される。また、上記クラッチC1および/またはC2が係合されて前輪動力伝達経路が動力伝達可能状態とされると同時にまたはそれに先立って、たとえば蓄電装置112に対する充電量が最大とされてMG1の電気負荷が一時的に大きくされることにより、或いはそれに加えてスロットルアクチュエータ21により一時的にスロットル弁開度θTHが所定量減少させられることにより、クラッチC1および/またはC2の係合過渡期間におけるエンジン14の吹き上がりが抑制される。
【0038】
続くSA9では、上記前輪動力伝達経路を動力伝達可能状態へ切り換える作動が開始されてからの経過時間、すなわちクラッチC1および/またはC2の係合が指令されてからの経過時間tELが、上記クラッチC1および/またはC2の係合作動時間に対応する所定の判断基準時間t1 より小さいか否かが判断される。当初はこのSA9の判断が肯定されるので、前記原動機切換制御手段132に対応するSA10において、上記SA8の少なくともエンジン14による前輪66、68の駆動に加えて、MG2による後輪80、82の駆動が行われて加速操作量に対応した大きな駆動力が得られるように後輪80、82からアシストトルクが出力されるので、4輪駆動状態とされる。これにより、係合過渡期間内に駆動力が十分に伝達されない違和感、すなわち加速操作により4輪駆動が開始される際のもたつき感が好適に防止され、加速応答性が得られるようになっている。上記SA10が実行された後はSA9以下が繰り返し実行されるが、SA9の判断が否定されると、SA11において通常走行制御モードが実行され、経過時間tELが判断基準時間t1 を超えた場合は、専らエンジン14により前輪66、68が駆動される。
【0039】
前記SA4の判断が否定される場合すなわち蓄電装置112が充電不足状態ではない場合は、前記動力伝達経路解放制御手段130に対応するSA12においてクラッチC1およびC2が解放され、前記SA5と同様にして前輪動力伝達経路が解放される。その後、前記原動機切換制御手段132に対応するSA13において、エンジン14が停止させられた状態で蓄電装置112に貯えられた電気エネルギがMG2へ供給され、専らMG2が後輪80、82を駆動することにより渋滞走行が行われる。次いで、前記渋滞走行判定手段128に対応するSA14において、単位時間当たりの発進停止回数Nが予め設定された判断基準値NX2より大きいか否かが判断される。但し、NX2は発進停止回数Nが多い程、早期に規定値SOCO までの蓄電量SOC低下が予想されるため、蓄電装置112からの供給時のSOCに応じた値に設定されたものである。このSA14の判断が肯定される場合は蓄電装置112の使用が制限される状態であるので、前記SA6以下が実行されることにより、エンジン14によりMG1が作動させられ、そのMG1から発生させられた電気エネルギに基づいてMG2が後輪80、82を駆動することにより渋滞走行が行われる。
【0040】
しかし、上記SA14の判断が否定される場合は、前記加速操作判定手段134に対応するSA15において、加速操作が行われたか否かがSA7と同様にして判断される。当初はこのSA15の判断が否定されるので、SA13以下が繰り返し実行される。しかし、SA15の判断が肯定されると、前述と同様に、SA8以下が実行される。
【0041】
上述のように、本実施例によれば、渋滞走行判定手段128(SA1、SA2、SA3)により車両の渋滞走行が判定された場合は、動力伝達経路解放制御手段130(SA5、SA12)によってエンジン14から遊星歯車装置18および無段変速機20を介して前輪66、68に到る動力伝達経路が解放されて非動力伝達状態とされると同時に、原動機切換制御手段132(SA6、SA13)によってエンジン14或いはMG1による前輪66、68の駆動から専らMG2による後輪80、82の駆動へ切り換えられることから、エンジン14或いはMG1が前輪66、68から切り離されるとともに専らMG2により直接的に駆動される後輪80、82によって前後輪駆動車両が駆動されるので、渋滞走行時において高いエネルギ効率および燃費が得られる。上記前輪動力伝達経路は伝達効率を低下させる機械的な動力損失を有する遊星歯車装置18および無段変速機20が介挿されているので、MG2により直接的に後輪80、82を駆動する方が損失が小さく、燃費が改善されるのである。また、極低速ではMG2に大きな出力トルク(駆動トルク)を出させることができ、特にMG1の少ない出力でMG2を駆動する場合には、一層低燃費が得られる。
【0042】
また、本実施例によれば、運転者による加速操作が行われたか否かを判定する加速操作判定手段134(SA7、SA15)が設けられ、その加速操作判定手段134により運転者の加速操作が判定された場合には、動力伝達経路解放制御手段130(SA8)により、前記前輪動力伝達経路が非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられるとともに、原動機切換制御手段132(SA8、SA10)により、少なくともエンジン14による前輪66、68の駆動に加えて、判断基準時間t1 が経過するまではMG2による後輪80、82のアシスト駆動が行われて4輪駆動状態とされる。すなわち、専らMG2により駆動される後輪80、82によって渋滞走行している状態で加速操作が行われた場合は、すくなくともエンジン14を作動させるETCモード或いは直結モードにより前輪66、68が駆動されるとともに、MG2により後輪80、82がアシスト駆動されるので、十分な駆動力が得られる。
【0043】
また、本実施例によれば、原動機切換制御手段132(SA8、SA10)は、動力伝達経路解放制御手段130(SA8)により前輪動力伝達経路が動力伝達可能状態へ切り換える作動が開始されてからの経過時間tELが所定時間t1 を経過するまでは、エンジン14により前輪66、68が駆動されると同時にMG2により後輪80、82が駆動され、上記所定時間t1 を経過した後は専らMG1により前輪66、68を駆動させる。また、上記所定時間t1 を経過するまでは、MG2からアシストトルクが出力させられる。このため、前輪動力伝達経路に介挿された摩擦係合装置すなわちクラッチC1或いはC2の係合により動力伝達可能状態へ切り換えるに際して、その摩擦係合装置の係合過渡期間に動力が十分に伝わらない状態において、MG2により後輪80、82からアシストトルクが出力させられるので、加速操作時の違和感が解消されて良好な加速応答性が得られる。
【0044】
また、本実施例によれば、渋滞走行時においては、エンジン14により駆動されるMG1(発電機)から出力される電力がMG2へ供給されて後輪80、82が駆動されることにより車両が前進或いは後進させられるものであることから、渋滞走行時において蓄電装置112の容量状態に拘らず渋滞走行できる利点がある。
【0045】
また、本実施例によれば、渋滞走行時においては、蓄電装置112の蓄電量SOCが十分である場合にはその蓄電装置112に貯えられた電力がMG2へ供給されるとともに、その蓄電装置112の蓄電量SOCが不十分である場合には、エンジン14により駆動されるMG1から出力される電力がMG2へ供給されて後輪80、82が回転駆動されるので、蓄電装置に貯えられた蓄電量により渋滞走行しようとするときに蓄電装置112の蓄電量SOCが不足状態となった場合でも渋滞走行できる利点がある。
【0046】
また、本実施例によれば、エンジン14により車両が駆動されている状態で前記動力伝達経路解放制御手段130により前輪動力伝達経路が解放される際において、たとえば蓄電装置112に対する充電量を最大としてMG1の電気負荷を一時的に大きくすることにより、或いはそれに加えてスロットルアクチュエータ21により一時的にスロットル弁開度θTHを所定量減少させるエンジン吹上り抑制手段138が設けられているので、前輪動力伝達経路が解放される際にエンジン14の吹き上がりが好適に抑制される。
【0047】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図7は、4輪駆動車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図であって、エンジン14からトルクが入力されるサンギヤ24にMG1が直結されている点、無段変速機20の入力軸26と遊星歯車装置18のリングギヤ32およびキャリヤ28との間にそれぞれ設けられていたクラッチC1およびC2に代えて遊星歯車装置18のキャリヤ28とエンジン14との間にクラッチC3が設けられている点において相違する。本実施例において、上記クラッチC3およびブレーキB1が共に解放させられるとエンジン14から前輪66、68に至る動力伝達経路が解放されて非動力伝達状態とされるが、クラッチC3およびブレーキB1のいずれか一方が係合させられると動力伝達可能状態とされる。上記クラッチC3が係合させられ且つブレーキB1が解放させられると、遊星歯車装置18を構成する要素が一体的に回転させられるので、車両の前進状態とされる。また、上記ブレーキB1が係合させられ且つクラッチC3が解放させられると、サンギヤ24に対してキャリヤ28が逆回転させられるので、車両が後進状態とされる。したがって、本実施例の遊星歯車装置18は前後進切換装置として機能している。
【0049】
図8は、上記の動力伝達装置を備えた車両において、ハイブリッド制御装置104などの制御機能の要部すなわち渋滞走行時原動機切換制御ルーチンを説明するフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、前輪動力伝達経路が非動力伝達状態とされるためにクラッチC3およびブレーキB1が解放され(動力伝達経路解放制御手段130に対応するSB5、SB12)、その前輪動力伝達経路が動力伝達可能状態とされるためにクラッチC3およびブレーキB1の一方が係合される(動力伝達経路解放制御手段130に対応するSB8)点において図6の実施例と相違するが、他は同様である。すなわち図8のSB1乃至SB15の作動は、図6のSA1乃至SA15にそれぞれ対応している。
【0050】
本実施例においても、前述の実施例と同様の効果が得られる。たとえば、渋滞走行判定手段128(SB1、SB2、SB3)により車両の渋滞走行が判定された場合は、動力伝達経路解放制御手段130(SB5、SB12)によってエンジン14から遊星歯車装置18および無段変速機20を介して前輪66、68に到る動力伝達経路が解放されて非動力伝達状態とされると同時に、原動機切換制御手段132(SB6、SB13)によってエンジン14或いはMG1による前輪66、68の駆動から専らMG2による後輪80、82の駆動へ切り換えられることから、エンジン14或いはMG1が前輪66、68から切り離されるとともに専らMG2により直接的に駆動される後輪80、82によって前後輪駆動車両が駆動されるので、渋滞走行時において高いエネルギ効率および燃費が得られる。
【0051】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0052】
たとえば、前述の実施例の前後輪駆動車両では、前輪66、68をエンジン14およびMG1を備えた主駆動装置10が駆動し、後輪80、82をMG2を備えた副駆動装置12が駆動する形式であったが、後輪80、82を主駆動装置10が駆動し、前輪66、68を副駆動装置12が駆動する形式であってもよい。
【0053】
前述の実施例において、渋滞走行判定手段128は、所定車速VX1以下における所定スロットル開度θX1以下の低負荷走行であって単位時間内における停止および発進回数Nが所定値NX1以上であることに基づいて車両の渋滞走行を判定していたが、たとえば人工衛星からの電波を利用したカーナビ(車両走行位置検出表示装置)から出力される車両の位置を示す位置信号或いはその変化に基づいて渋滞を判定するものであってもよい。また、都市における渋滞情報に基づいて事前及び現地で判断してもよい。
【0054】
また、前述の実施例において、図6のSA6では、MG1から出力される電力の一部を用いて蓄電装置112を充電しつつ、他の一部の電力でMG2により駆動される後輪80、82にて走行するものであってもよい。
【0055】
また、前述の実施例において、図6のSA14では、単位時間当たりの発進停止回数Nが予め設定された判断基準値NX2を越えたか否かが判断されていたが、SA4の判断が否定されてからの合計の発進停止回数NT が、蓄電装置112の充電を必要とする時期を示す予め設定された判定値を越えたことを判断するようにしてもよい。
【0056】
また、前述の実施例では、図6のSA15の判断が否定されるとSA13以下が実行されていたが、SA3或いはSA4以下が実行されるようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置を備えた4輪駆動車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の4輪駆動車両に設けられた制御装置を説明する図である。
【図3】図2のハイブリッド制御装置により選択される制御モードを示す図表である。
【図4】図2のハイブリッド制御装置により制御されるETCモードにおける遊星歯車装置の作動を説明する共線図である。
【図5】図2のハイブリッド制御装置などの制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図6】図2のハイブリッド制御装置などの制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施例における4輪駆動車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。
【図8】図7の実施例の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
MG1:モータジェネレータ(第1原動機)
MG2:リヤモータジェネレータ(第2原動機)
14:エンジン(第1原動機)
20:無段変速機
66、68:前輪
80、82:後輪(車輪)
112:蓄電装置
128:渋滞走行判定手段
130:動力伝達経路解放制御手段
132:原動機切換制御手段
134:加速操作判定手段
136:蓄電量判定手段
Claims (3)
- 前後輪のうちの一方の車輪を変速機を介して駆動可能なエンジンと、該エンジンにより回転駆動される発電機と、電気エネルギを蓄えるための蓄電装置と、他方の車輪を駆動可能な電動機とを有する前後輪駆動車両の制御装置であって、
前記前後輪駆動車両の渋滞走行を判定する渋滞走行判定手段と、
運転者により加速操作が行われたか否かを判定する加速操作判定手段と、
該加速操作判定手段によって運転者により加速操作が行われたと判定された場合には、前記エンジンから前記変速機を介して一方の車輪に到る動力伝達経路を非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えるが、前記渋滞走行判定手段により渋滞走行が判定された場合は、前記動力伝達経路を解放して非動力伝達状態とする動力伝達経路解放制御手段と、
前記加速操作判定手段によって運転者により加速操作が行われたことが判定された場合には、前記エンジンおよび前記電動機により前記前輪および後輪を共に駆動させるが、前記渋滞走行判定手段により渋滞走行が判定された場合は、前記エンジンによる一方の車輪の駆動から、前記電動機による他方の車輪の駆動へ切り換える原動機切換制御手段と、
前記動力伝達経路の非動力伝達状態での電動機による前記渋滞走行中に運転者による加速操作が行われたことが判定されたことにより、前記動力伝達経路がそれに介挿された摩擦係合装置の係合によって非動力伝達状態から動力伝達可能状態へ切り換えられる際において、前記エンジンの吹上りを抑制するエンジン吹上り抑制手段と
を、含み、
前記原動機切換制御手段は、前記動力伝達経路解放制御手段により前記動力伝達経路が動力伝達可能状態へ切り換えが開始されてから前記摩擦係合装置の係合作動時間程度に予め設定された所定時間が経過するまでは、前記エンジンおよび電動機により前後輪を駆動させ、該所定時間が経過した後は、専ら該エンジンにより一方の車輪を駆動させるとともに該電動機による他方の車輪の駆動を停止させ、且つ、
前記エンジンにより回転駆動される発電機からの電気エネルギが供給される前記電動機により前記他方の車輪を駆動させることを特徴とする前後輪駆動車両の制御装置。 - 前記エンジン吹上り抑制手段は、前記電動機を発電機として機能させてその電気負荷を一時的に大きくすることにより前記摩擦係合装置の係合過渡期間にエンジン
が吹き上がることを抑制するものである請求項1の前後輪駆動車両の制御装置。 - 前記エンジン吹上り抑制手段は、前記エンジンのスロットル弁開度を一時的に所定量減少させることにより前記摩擦係合装置の係合過渡期間にエンジンが吹き上がることを抑制するものである請求項1の前後輪駆動車両の制御装置。
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