JP2007128028A - フレキシブル光導波路及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い屈曲性や強靭性を有し、しかも生産性に優れるフレキシブル光導波路及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】1つのコア層形成用樹脂フィルムと、2つのクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて作製されるフレキシブル光導波路であって、クラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成され、該基材フィルムがコア層に対してクラッド層の外側に配置されることを特徴とするフレキシブル光導波路及びその製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、屈曲性や強靭性、さらに生産性に優れたフレキシブル光導波路及びその製造方法に関するものである。
電子素子間や配線基板間の高速・高密度信号伝送において、従来の電気配線による伝送では、信号の相互干渉や減衰が障壁となり、高速・高密度化の限界が見え始めている。これを打ち破るため電子素子間や配線基板間を光で接続する技術、いわゆる光インタコネクションが検討されている。光路としては、素子や基板との結合の容易さ、取り扱い易さの観点から、柔軟性を備えたフレキシブル光導波路が好適と考えられる。
フレキシブル光導波路として、例えば特許文献1や特許文献2に高分子フィルム光導波路が提案されている。特許文献1における、高分子フィルムは、まずシリコン等の基板上に高分子の溶液等をスピンコート、ベークにより下部クラッド層を形成する。次いで、同様の方法によってコア層を形成後、Si含有ホトレジスト等でマスクパターンを形成し、ドライエッチングによってコアパターンを形成した後、下部クラッド層を形成した方法と同様の方法によって上部クラッド層を形成する。最後に基板から光導波路を剥がすことによってフィルム化した光導波路を作製している。このフィルム化した光導波路の製造方法においては、特に光導波路を剥がし易くするために、基板として熱酸化したシリコン基板を用い、光導波路形成後、フッ酸に浸漬することにより剥離する方法を示している。このフィルム光導波路では、上述のように下部クラッド、コア、上部クラッドの各層をスピンコート及びベークによって形成している。
しかしながら、上記方法では各層の形成に時間がかかるとともに、液状の材料を基板上に塗布し製膜する方法を用いて光導波路を作製するため、膜厚管理が煩雑であり、しかも基板上に塗布した樹脂が、硬化前は液状であるため、基板上で樹脂が流れてしまい、膜厚の均一性を保つことが困難であるなど、材料形態が液状であることに起因した課題があった。また、シリコンを基板に用いていることから10cm以上のサイズの光導波路を大量に製造するには向かない。さらに、上記製造方法に高真空プロセスであるドライエッチング工程を有しており、コア層が厚いマルチモード光導波路を作製するためには、非常に長い時間ドライエッチングを行う必要がある。
また、特許文献2に開示される製造方法では、凸型金型上に下部クラッドを形成し、この下部クラッドの上に銅が表面に蒸着された基板を接着する。続いて金型を除去し、金型の凸部跡にできた溝にコアを充填し、さらにコアを覆うように上部クラッドを形成する。最後に蒸着された銅を溶かし基板を除去してフレキシブル光導波路を得る。この製造方法においては、金型を利用するために、金型が高価なことや大面積化が困難なことが課題である。
特開平7-239422号公報 特許第3249340号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、高い屈曲性や強靭性を有し、しかも生産性に優れるフレキシブル光導波路及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記に記載の構成または方法により、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明は
(1)1つのコア層形成用樹脂フィルムと、2つのクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて作製されるフレキシブル光導波路であって、クラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成され、該基材フィルムがコア層に対してクラッド層の外側に配置されることを特徴とするフレキシブル光導波路、
(2)前記クラッド層形成用樹脂フィルムが、接着処理を施した基材フィルム上にクラッド層形成用樹脂が製膜されていることを特徴とする上記(1)に記載のフレキシブル光導波路、
(3)前記基材フィルムの最大伸び率が10〜300%であり、かつ厚さが5〜250μmである上記(1)又は(2)に記載のフレキシブル光導波路、
(4)クラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成された第1のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、クラッド層を形成する第1の工程と、該クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムをラミネートし、コア層を積層する第2の工程と、該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する第3の工程と、該コアパターンを少なくともクラッド層形成用樹脂を含む第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートによって埋め込む第4の工程と、第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、クラッド層を形成する第5の工程を有するフレキシブル光導波路の製造方法、
(5)前記第2のクラッド層形成用樹脂フィルムがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成されている上記(4)に記載のフレキシブル光導波路の製造方法、及び
(6)前記第1及び第2のクラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つが、接着処理を施した基材フィルム上にクラッド層形成用樹脂が製膜されていることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載のフレキシブル光導波路の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、高い屈曲性、強靭性を有し、かつ、取扱易く、生産性に優れるフレキシブル光導波路及びその製造方法を提供することができる。
本発明のフレキシブル光導波路は、高屈折率である1つのコア層形成用樹脂フィルムと、低屈折率である2つのクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて作製されるフレキシブル光導波路であり、クラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成され、該基材フィルムがコア層に対してクラッド層の外側に配置されることを特徴とする。これにより、基材フィルムの柔軟性や強靭性を付与したフレキシブル光導波路を得ることができる。また、フィルム状の光導波路形成用材料を用いることで、液状材料特有の生産性や大面積対応に関する課題を解決できる。さらに、クラッド層の外側に基材フィルムを設ける構造とすることで、クラッド層が外界にさらされることがなくなり、汚れや傷などの影響を受けなくなるため、光導波路としての扱い易さが向上する。
クラッド層の外側に配置される基材フィルムは、少なくともフレキシブル光導波路の片面に設けられていればよいが、両面に設ける対称構造とすることで反りの少ないフレキシブル光導波路を作製することができる。
ここで用いるクラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムは、光導波路に柔軟性及び強靭性を付与する支持体であって、その材料については特に限定されないが、柔軟性、強靭性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルファイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが好適に挙げられる。これら基材フィルムの中でも、柔軟性及び強靭性、実用的な耐熱性、クラッド層を硬化するための紫外光透過性、入手のしやすさの観点からポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルを用いるのが好ましい。さらに上記観点に加え、耐熱性が必要な場合には、ポリアミドやポリイミドを基材フィルムに用いるのが好ましい。
また、基材フィルムの最大伸び率は、フレキシブル光導波路としての柔軟性及び強靭性発現の観点から、10〜300%の範囲であることが好ましい。基材フィルムの最大伸び率が10%以上であると十分な柔軟性、強靭性を得ることができ、クラッド層及びコア層を形成する樹脂として比較的脆い材料も使用することができる。一方、基材フィルムの最大伸び率が300%以下であると、十分な強靭性が得られ、保護フィルムとしての機能を十分に発現し得る。以上の観点から、基材フィルムの最大伸び率は20〜200%の範囲であることがより好ましく、50〜150%の範囲であることが特に好ましい。
なお、ここで最大伸び率とは、JIS−K7127に基づき測定された引張最大荷重伸びを意味する。
次に、基材フィルムの厚さは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、5〜250μmであることが好ましい。基材フィルムの厚さが5μm以上であると強靭性が得易いという利点があり、250μm以下であると柔軟性が得られる。
強靭性と柔軟性を両立させる観点から、基材フィルムの厚さは6〜50μmの範囲がより好ましく、8〜25μmの範囲がさらに好ましく、10〜18μmの範囲が特に好ましい。
また、基材フィルム上には、電気配線を設けてもよく、この場合、予め電気配線を設けたものを基材フィルムとして用いることができる。あるいは、フレキシブル光導波路製造後に、基材フィルムに電気配線を形成することが可能である。
さらに、基材フィルムの表面には接着処理や帯電防止処理を施してもよい。特に基材フィルムのクラッド層樹脂との接着面には接着処理を施すことが好ましく、その反対面又は両面に帯電処理を施すことが好ましい。
上記クラッド層形成用樹脂フィルムとしては、接着処理を施した基材フィルム上にクラッド層形成用樹脂が製膜されていることが好ましい。これにより、クラッド層と基材フィルムの接着力を向上させ、クラッド層と基材フィルムの剥離不良を抑制できる。ここで接着処理とは、易接着樹脂コート、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト等によるマット加工などにより、基材フィルムとこの上に形成されるクラッド層樹脂との接着力を向上させる処理である。
本発明で用いるクラッド層形成用樹脂としては、コア層より低屈折率で、光又は熱により硬化する樹脂組成物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を使用することができる。
より好適には、クラッド層形成用樹脂が、(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する樹脂組成物により構成されることが好ましい。
ここで用いる(A)ベースポリマーはクラッド層を形成し、該クラッド層の強度を確保するためのものであり、該目的を達成し得るものであれば特に限定されず、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン等、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。これらのベースポリマーは1種単独でも、また2種以上を混合して用いてもよい。上記で例示したベースポリマーのうち、耐熱性が高いとの観点から、主鎖に芳香族骨格を有することが好ましく、特にフェノキシ樹脂が好ましい。また、3次元架橋し、耐熱性を向上できるとの観点からは、エポキシ樹脂、特に室温で固形のエポキシ樹脂が好ましい。さらに、後に詳述する(B)光重合性化合物との相溶性が、クラッド層形成用樹脂フィルムの透明性を確保するために重要であるが、この点からは上記フェノキシ樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が好ましい。なお、ここで(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂を意味するものである。
フェノキシ樹脂の中でも、ビスフェノールA又はビスフェノールA型エポキシ化合物若しくはそれらの誘導体、及びビスフェノールF又はビスフェノールF型エポキシ化合物若しくはそれらの誘導体を共重合成分の構成単位として含むものは、耐熱性、密着性及び溶解性に優れるため好ましい。ビスフェノールA又はビスフェノールA型エポキシ化合物の誘導体としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物等が好適に挙げられる。また、ビスフェノールF又はビスフェノールF型エポキシ化合物の誘導体としては、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールF型エポキシ化合物等が好適に挙げられる。ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂の具体例としては、東都化成(株)製「フェノトートYP−70」(商品名)が挙げられる。
室温で固形のエポキシ樹脂としては、例えば、東都化学(株)製「エポトートYD−7020、エポトートYD−7019、エポトートYD−7017」(いずれも商品名)、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1010、エピコート1009、エピコート1008」(いずれも商品名)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
(A)ベースポリマーの分子量については、フィルム形成性の点から、数平均分子量で5,000以上であることが好ましく、さらに10,000以上が好ましく、特に30,000以上であることが好ましい。数平均分子量の上限については、特に制限はないが、(B)光重合成化合物との相溶性や露光現像性の観点から、1,000,000以下であることが好ましく、さらには500,000以下、特には200,000以下であることが好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算した値である。
(A)ベースポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、10〜80質量%とすることが好ましい。この配合量が、10質量%以上であると光導波路形成に必要な50〜500μm程度の厚膜フィルムの形成が容易であるという利点があり、一方、80質量%以下であると、光硬化反応が十分に進行する。以上の観点から、(A)ベースポリマーの配合量は、20〜70質量%とすることがさらに好ましい。
次に、(B)光重合性化合物としては、紫外線等の光の照射によって重合するものであれば特に限定されず、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物や分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物などが挙げられる。
分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の2官能芳香族グリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の多官能芳香族グリシジルエーテル;ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂等の2官能脂肪族グリシジルエーテル;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の2官能脂環式グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂等の多官能脂肪族グリシジルエーテル;フタル酸ジグリシジルエステル等の2官能芳香族グリシジルエステル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の2官能脂環式グリシジルエステル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトリフルオロメチルアニリン等の2官能芳香族グリシジルアミン;N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール等の多官能芳香族グリシジルアミン;アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド等の2官能脂環式エポキシ樹脂;ジグリシジルヒダントイン等の2官能複素環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の多官能複素環式エポキシ樹脂;オルガノポリシロキサン型エポキシ樹脂等の2官能又は多官能ケイ素含有エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物は、通常その分子量が、100〜2000程度であり、さらに好ましくは150〜1000程度であり、
室温で液状のものが好適に用いられる。またこれらの化合物は、単独または2種類以上組み合わせて使用することができ、さらにその他の光重合性化合物と組み合わせて使用することもできる。なお、本発明における光重合性化合物の分子量は、GPC法又は質量分析法にて測定できる。
また、分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルピリジン、ビニルフェノール等が挙げられるが、これらのうち透明性と耐熱性の観点から、(メタ)アクリレートが好ましく、1官能性のもの、2官能性のもの、3官能性以上のもののいずれも用いることができる。
1官能性(メタ)アクリレートとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等がある。
また、2官能性(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−フェニル−4−アクリロイルポリオキシエトキシ)フルオレン、ビスフェノールA型,フェノールノボラック型,クレゾールノボラック型,及びグリシジルエーテル型のエポキシ(メタ)アクリレート等がある。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
前記(B)光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、20〜90質量%とすることが好ましい。この配合量が、20質量%以上であると、ベースポリマーを絡み込んで硬化させることが容易にでき、一方、90質量%以下であると、十分な厚さのクラッド層を容易に形成することできる。以上の観点から、(B)光重合性化合物の配合量は30〜80質量%とすることがさらに好ましい。
次に(C)成分の光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えばエポキシ化合物の開始剤として、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスホニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロアンチモネート塩などのジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスホニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフロロヒドロキシアンチモネート塩などのトリアリールスルホニウム塩;トリフェニルセレノニウムヘキサフロロホスホニウム塩、トリフェニルセレノニウムホウフッ化塩、トリフェニルセレノニウムヘキサフロロアンチモネート塩などのトリアリルセレノニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩などのジアルキルフェナジルスルホニウム塩;4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフロロアンチモネートなどのジアルキル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム塩;α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトンなどのスルホン酸エステルなどが挙げられる。
また、分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物の開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。なお、コア層及びクラッド層の透明性を向上させる観点からは、上記化合物のうち、芳香族ケトン及びフォスフィンオキサイド類が好ましい。
これらの(C)光重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
(C)光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましい。0.1質量部以上であると、光感度が十分であり、一方10質量部以下であれば、光導波路の表面のみが選択的に硬化し、硬化が不十分となることがなく、また、光重合開始剤自身の吸収により伝搬損失が増大することもなく好適である。以上の観点から、(C)光重合開始剤の配合量は、1〜5質量部とすることがさらに好ましい。
また、このほかに必要に応じて、本発明のクラッド層形成用樹脂中には、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などのいわゆる添加剤を本発明の効果に悪影響を与えない割合で添加してもよい。
クラッド層形成用樹脂フィルムは(A)〜(C)成分を含有する樹脂組成物を溶媒に溶解して、前記基材フィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。ここで用いる溶媒としては、該樹脂組成物を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒又はこれらの混合溶媒を用いることができる。樹脂溶液中の固形分濃度は30〜80質量%程度であることが好ましい。
クラッド層の厚さに関しては、乾燥後の厚さで、5〜500μmの範囲が好ましい。5μm以上であると、光の閉じ込めに必要なクラッド厚さが確保でき、500μm以下であると、膜厚を均一に制御することが容易である。以上の観点から、該クラッド層の厚さは、さらに10μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
また、クラッド層の厚さは、最初に形成される下部クラッド層と、コアパターンを埋め込むための上部クラッド層において、同一であっても異なってもよいが、コアパターンを埋め込むために、上部クラッド層の厚さはコア層の厚さよりも厚くすることが好ましい。
また、クラッド層形成用樹脂フィルムの製造に際し、クラッド層形成用樹脂フィルムの保護やロール状に製造する際の巻き取り性を向上させるなどの目的で、必要に応じクラッド層形成用樹脂フィルムに保護フィルムを貼り合わせてもよい(図2参照)。保護フィルムとしては、基材フィルムとして例に挙げたものと同様なものが使用でき、必要に応じ離型処理や帯電防止処理がなされていてもよい。
次に、本発明で使用するコア層形成用樹脂フィルムは、コア層がクラッド層より高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得る樹脂組成物を用いることができ、感光性樹脂組成物が好適である。具体的には、上記クラッド層形成用樹脂で用いたのと同様の樹脂組成物を用いることが好ましい。すなわち、前記(A)、(B)及び(C)成分を含有し、必要に応じて前記任意成分を含有する樹脂組成物である。
コア層形成用樹脂フィルムは、(A)〜(C)成分を含有する樹脂組成物を溶媒に溶解して基材に塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。ここで用いる溶媒としては、該樹脂組成物を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒又はこれらの混合溶媒を用いることができる。樹脂溶液中の固形分濃度は、通常30〜80質量%程度であることが好ましい。
コア層形成用樹脂フィルムの厚さについては特に限定されず、乾燥後のコア層の厚さが、通常は10〜100μmとなるように調整される。コア層の厚さが10μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバーとの結合において位置合わせトレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバーとの結合において、結合効率が向上するという利点がある。以上の観点から、該フィルムの厚さは、さらに30〜70μmの範囲であることが好ましい。
コア層形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる基材は、光導波路形成用フィルムを支持する支持体であって、その材料については特に限定されないが、後にコア層形成用樹脂フィルムを剥離することが容易であり、かつ、耐熱性及び耐溶剤性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適に挙げられる。該基材の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上であると、支持体としての強度が得やすいという利点があり、50μm以下であると、パターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターンが形成できるという利点がある。以上の観点から、該基材の厚さは10〜40μmの範囲であることがより好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。
また、露光用光線の透過率向上及びコアパターンの側壁荒れ低減のため、高透明タイプのフレキシブルな基材を用いるのが好ましい。高透明タイプの基材のヘイズ値は5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることが特に好ましい。なお、ヘイズ値はJIS K7105に準拠して測定したものであり、例えば、NDH−1001DP(日本電色工業(株)製)等の市販の濁度計などで測定可能である。このような基材としては、東洋紡績(株)製、商品名「コスモシャインA1517」や「コスモシャインA4100」として入手可能である。
なお、上記基材は、後にコア層形成用樹脂フィルムの剥離を容易とするため、離型処理、帯電防止処理等が施されていてもよい。
また、コア層形成用樹脂フィルムの製造に際し、コア層形成用樹脂フィルムの保護やロール状に製造する際の巻き取り性を向上させるなどの目的で、必要に応じコア層形成用樹脂フィルムに保護フィルムを貼り合わせてもよい(図3参照)。保護フィルムとしては、前記クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムとして例に挙げたものと同様なものが使用でき、必要に応じ離型処理や帯電防止処理がなされていてもよい。
以下、本発明のフレキシブル光導波路の製造方法について図1を参照しつつ詳述する。
まず、第1の工程としてクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成された第1のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、下部クラッド層2を形成する(図1(a)参照)。クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムの反対側に保護フィルムを設けている場合(図2参照)には該保護フィルム9を剥離後、クラッド層形成用樹脂フィルムを光または加熱により硬化し、クラッド層2を形成する。このとき、クラッド層形成用樹脂は接着処理を施した基材フィルム1上に製膜されていることが好ましい。一方、保護フィルム9は、クラッド層形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
次いで、第2の工程としてクラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムをラミネートし、コア層を積層する(図1(b)参照)。この第2の工程において、上述のクラッド層上に、コア層形成用樹脂フィルムを加熱圧着することにより、クラッド層より屈折率の高いコア層を積層する。ここで、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。ここでの加熱温度は50〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm2)程度とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。コア層形成用樹脂フィルムは、コア層と基材から構成されていれば取扱が容易で好ましく、また、コア層単独で構成されていてもよい。
なお、コア層形成用樹脂フィルムの基材の反対側に保護フィルム9を設けている場合(図3参照)には該保護フィルムを剥離後、コア層形成用樹脂フィルムをラミネートする。このとき、保護フィルム9及び基材4は、コア層形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
次に、第3の工程として、コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する(図1(c)参照)。具体的には、ネガマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射する公知の光源が挙げられる。また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いることができる。
次いで、コア層形成用樹脂フィルムの基材が残っている場合には、基材を剥離し、ウェット現像等で未露光部を除去して現像し、導波路パターンを形成する(図1(d)参照)。ウェット現像の場合は、前記フィルムの組成に適した有機溶剤系現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
有機溶剤系現像液としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量部の範囲で水を添加することが好ましい。また、必要に応じて2種類以上の現像方法を併用してもよい。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、バトル方式、高圧スプレー方式等のスプレー方式、ブラッシング、スクラッピング等が挙げられ、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱または0.1〜1000mJ/cm2程度の露光を行うことにより、光導波路パターンをさらに硬化して用いてもよい。
この後、コアパターンを少なくともクラッド層形成用樹脂を含む第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートによって埋め込む第4の工程と、第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、クラッド層を形成する第5の工程を行う(図1(e)参照)。ラミネートは、クラッド層形成用樹脂フィルムがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムからなる場合には、クラッド層形成用樹脂をコアパターン側にする。このときのクラッド層の厚さは、前述のようにコア層の厚さより大きくすることが好ましい。硬化は、光または熱によって上記と同様に行う。
なお、クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムの反対側に保護フィルムを設けている場合(図2参照)には該保護フィルムを剥離後、クラッド層形成用樹脂フィルムを光または加熱により硬化し、クラッド層を形成する。このとき、クラッド層形成用樹脂は接着処理を施した基材フィルム上に製膜されていることが好ましい。一方、保護フィルムは、クラッド層形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
上述の製造方法によれば、従来の課題であったコアサイズの大きなマルチモードの光導波路の作製時間を大幅に短縮できる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
第1表に示す配合にて、コア層及びクラッド層用樹脂組成物を用意し、これに溶剤としてエチルセロソルブを全量に対して40質量部加え、コア層用及びクラッド層用樹脂ワニスを調合した。
Figure 2007128028
*1 フェノトートYP−70;東都化成(株)製、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂
*2 A−BPEF;新中村工業(株)製、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン
*3 EA−1020;新中村工業(株)製、ビスフェノールA型エポキシアクリレート
*4 KRM−2110;新中村工業(株)製、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート
*5 2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール;東京化成工業(株)製
*6 4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;東京化成工業(株)製
*7 2−メルカプトベンゾイミダゾール;東京化成工業(株)製
*8 SP−170;旭電化工業(株)製、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩
これをPETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「コスモシャインA1517」、厚さ16μm)にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA−4」)を用いて塗布し(クラッド層形成用樹脂フィルム:巻内の接着処理面を使用、コア層形成用樹脂フィルム:巻外の非処理面を使用)、80℃、10分、その後100℃、10分で溶剤を乾燥させ、コア層及びクラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このときのフィルムの厚さは、アプリケーターの間隙を調節することで、5〜100μmの間で任意に調整可能であり、本実施例では、硬化後の膜厚が、コア層40μm、下部クラッド層20μm、上部クラッド層70μmとなるように調節した。なお、本実施例で用いたPETフィルムの最大伸び率は、110%であった。
紫外線露光機((株)オーク製作所製、EXM−1172)にて紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射し、下部クラッド層形成用樹脂フィルムを光硬化した(図1(a)参照)。次に、このクラッド層上に、真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件にてコア層形成用樹脂フィルムをラミネートした(図1(b)参照)。続いて幅40μmのホトマスク(ネガ型)を介し、上記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射した後(図1(c)参照)、エチルセロソルブとN,N−ジメチルアセトアミドの8対2質量比混合溶剤にて、コアパターンを現像した(図1(d)参照)。現像液の洗浄には、メタノール及び水を用いた。次いで、同様なラミネート条件にて上部クラッド形成用樹脂フィルムをラミネートし、紫外線照射及び110℃で加熱処理を行い、フレキシブル光導波路を作製した(図1(e)参照)。
なお、コア層及びクラッド層の屈折率をMetricon社製プリズムカプラー(Model2010)で測定したところ、波長850nmにて、コア層が1.584、クラッド層が1.537であった。
このように作製したフレキシブル光導波路の伝搬損失を、光源に855nmのLED((株)アドバンテスト製、Q81201)及び受光センサ((株)アドバンテスト製、Q82214)を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバー;GI−50/125マルチモードファイバー(NA=0.20)、出射ファイバー;SI−114/125(NA=0.22)、入射光;実効コア径26μm)により測定したところ、0.3dB/cmであった。
また、長さ5cmのフレキシブル光導波路を、半径2mmの棒に巻きつけ屈曲性、強靭性を調べたところ、光導波路の割れやクラッド層と基材フィルム、またはクラッド層とコア層で界面剥離は生じず、高い屈曲性、強靭性を有していることがわかった。
さらに、得られたフレキシブル光導波路(導波路長5cm)の360°曲げ試験を行った。半径2mmの棒に1周巻きつけ、上記と同様の光源及び受光素子を用いて挿入損失値を測定し、巻きつけない場合の挿入損失値に対する増加分を調べた。その結果、損失値の増加分は0.1dB未満であり、良好な特性を示した。
また、得られたフレキシブル光導波路(導波路長5cm)の繰り返し曲げ試験を行った。屈曲耐久試験機(大昌電子(株)製)を用い、曲率半径5mm、屈曲速度約1秒の条件で繰り返し折り曲げ試験を行った。100万回実施後のフレキシブル光導波路の挿入損失値を上記と同様の光源及び受光素子を用いて測定し、試験前の挿入損失値に対する増加分を調べた。その結果、損失値の増加分は0.05dB未満であり、良好な特性を示した。
実施例2
実施例1において、第1表のコア用の(C)光重合開始剤を、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(1質量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(1質量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)に代え、またコアパターン露光時の紫外線照射量を400mJ/cm2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして光導波路を作製した。このときのコア層の屈折率を、Metricon社製プリズムカプラー(Model2010)を用いて測定したところ、1.582であった。
実施例1と同様にフレキシブル光導波路の伝搬損失を測定したところ、0.1dB/cmであり、本実施例における開始剤を使用した場合、非常に高い透明性を有することがわかった。
さらに、得られたフレキシブル光導波路(長さ5cm)の360°曲げ試験を、実施例1と同様に行った。その結果、損失値の増加分は0.1dB未満であり、良好な特性を示した。
また、得られたフレキシブル光導波路(長さ5cm)の繰り返し折り曲げ試験を、実施例1と同様に行った。その結果、損失値の増加分は0.05dB未満であり、良好な特性を示した。
実施例3
第2表に示す配合にて、コア層及びクラッド層用樹脂組成物を用意し、これに溶剤としてエチルセロソルブを全量に対して40質量部加え、コア層用及びクラッド層用樹脂ワニスを調合した。
Figure 2007128028
*1〜*4及び*8 前出
*9 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製
*10 1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製
*11 SP−100;芳香族系化合物、旭電化工業(株)製
クラッド層形成用ワニスをポリアミドフィルム(東レ(株)製、商品名「ミクトロン」、厚さ12μm)のコロナ処理面に、コア形成用ワニスをPETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「コスモシャインA1517」、厚さ16μm)の非処理面にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA−4」)を用い塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分で溶剤乾燥させコア層及びクラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このときのフィルムの厚さは、アプリケーターの間隙を調節することで、5〜100μmの間で任意に調整可能であり、本実施例では、硬化後の膜厚が、コア層40μm、下部クラッド層20μm、上部クラッド層70μmとなるように調節した。
紫外線露光機((株)オーク製作所製、EXM−1172)にて紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射し、下部クラッド層形成用樹脂フィルムを光硬化した(図1(a)参照)。次に、このクラッド層上に、真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件にてコア層形成用樹脂フィルムをラミネートした(図1(b)参照)。続いて幅40μmのホトマスク(ネガ型)を介し、上記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を400mJ/cm2照射した後(図1(c)参照)、エチルセロソルブとN,N−ジメチルアセトアミドの8対2質量比混合溶剤にて、コアパターンを現像した(図1(d)参照)。現像液の洗浄には、メタノール及び水を用いた。次いで、同様なラミネート条件にて上部クラッド形成用樹脂フィルムをラミネートし、アイグラフィックス(株)製、「アイドルフィン3000」にて紫外線(波長405nm)を3000mJ/cm2照射し、その後160℃で加熱処理を行い、フレキシブル光導波路を作製した(図1(e)参照)。
なお、コア層及びクラッド層の屈折率をMetricon社製プリズムカプラー(Model2010)で測定したところ、波長850nmにて、コア層が1.582、クラッド層が1.539であった。
このように作製したフレキシブル光導波路の伝搬損失を、光源に855nmのLED((株)アドバンテスト製、Q81201)及び受光センサ((株)アドバンテスト製、Q82214)を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバー;GI−50/125マルチモードファイバー(NA=0.20)、出射ファイバー;SI−114/125(NA=0.22)、入射光;実効コア径26μm)により測定したところ、0.1dB/cmであり、極めて損失が小さいことがわかった。
また、作製したフレキシブル光導波路を最高到達温度265℃(260℃以上の保持時間15〜20秒)、窒素雰囲気下の条件で、はんだリフロー炉(古河電気工業(株)製、「サラマンダ」)中を3回通過させ、リフローによる損失増加を測定したところ、リフローによる損失増加は0.1dB/cm未満であり、基材フィルムにポリアミドを用いた場合、フレキシブル光導波路が高い耐熱性を有していることがわかった。
さらに、半径2mmの棒に巻きつけ屈曲性、強靭性を調べたところ、光導波路の割れやクラッド層と基材フィルム、またはクラッド層とコア層で界面剥離は生じず、高い屈曲性、強靭性を有していることがわかった。
また、得られたフレキシブル光導波路の360°曲げ試験を、実施例1と同様に行った。その結果、損失値の増加分は0.1dB未満であり、良好な特性を示した。
さらに、得られたフレキシブル光導波路の繰り返し折り曲げ試験を、実施例1と同様に行った。その結果、損失値の増加分は0.05dB未満であり、良好な特性を示した。
実施例4
実施例1において、クラッド形成用樹脂フィルムをPETフィルムの巻外(非処理面)に塗布したこと以外は、実施例1と同様にフレキシブル光導波路を作製した。この場合、半径2mmの棒に巻きつけたところ、クラッド層と基材フィルムの界面で若干の剥離とフレキシブル光導波路にクラックが生じたが、実用的には十分な程度の屈曲性及び強靭性を示した。
本発明のフレキシブル光導波路は、高い屈曲性、強靭性を有する。また、本発明によれば、生産性良くフレキシブル光導波路を製造することが可能である。
本発明のフレキシブル光導波路の製造方法を説明する図である。 本発明のフレキシブル光導波路の製造に用いるクラッド形成用樹脂フィルムを説明する図である。 本発明のフレキシブル光導波路の製造に用いるコア形成用樹脂フィルムを説明する図である。
符号の説明
1、8;基材フィルム
2;下部クラッド層
3;コア層
4;基材(コア層形成用)
5;ホトマスク
6;コアパターン
7;上部クラッド層
9:保護フィルム

Claims (6)

  1. 1つのコア層形成用樹脂フィルムと、2つのクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて作製されるフレキシブル光導波路であって、クラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成され、該基材フィルムがコア層に対してクラッド層の外側に配置されることを特徴とするフレキシブル光導波路。
  2. 前記クラッド層形成用樹脂フィルムが、接着処理を施した基材フィルム上にクラッド層形成用樹脂が製膜されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル光導波路。
  3. 前記基材フィルムの最大伸び率が10〜300%であり、かつ厚さが5〜250μmである請求項1又は2に記載のフレキシブル光導波路。
  4. クラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成された第1のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、クラッド層を形成する第1の工程と、該クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムをラミネートし、コア層を積層する第2の工程と、該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する第3の工程と、該コアパターンを少なくともクラッド層形成用樹脂を含む第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートによって埋め込む第4の工程と、第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、クラッド層を形成する第5の工程を有するフレキシブル光導波路の製造方法。
  5. 前記第2のクラッド層形成用樹脂フィルムがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成されている請求項4に記載のフレキシブル光導波路の製造方法。
  6. 前記第1及び第2のクラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つが、接着処理を施した基材フィルム上にクラッド層形成用樹脂が製膜されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のフレキシブル光導波路の製造方法。
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