JP5131114B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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Description
機器内部や機器間などの短距離で光信号を伝送するためには、フレキシブルなフィルム光導波路が望まれている。特に、携帯用小型機器の内部に光導波路を配線する場合には、省スペース化のために部品表面を這わせるようにして配線する場合も多く、小さな曲率半径で屈曲可能な、ポリマーフィルム光導波路が求められている。
GI構造を導波路でも作製できれば、従来のSI構造より、さらに高速な信号を伝搬させることが可能となる。
(1)(A)下部クラッド層形成用樹脂フィルムを硬化して下部クラッド層を形成する工程、(B)該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを積層し、コア層を形成する工程、(C)該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する工程、(D)上部クラッド層形成用樹脂フィルムをコアパターン及び下部クラッド層に積層する工程、及び(E)上部クラッド層形成用樹脂フィルムを硬化して上部クラッド層を形成する工程を有する光導波路の製造方法であって、上部クラッド層形成用樹脂フィルムが、クラッド層形成用フィルムと低弾性層形成用フィルムを積層した複合樹脂フィルムであることを特徴とする光導波路の製造方法、
(2)前記下部クラッド層形成用樹脂フィルムが前記クラッド層形成用フィルムと前記低弾性層形成用フィルムとをラミネートにより圧着した複合樹脂フィルムであり、前記工程(B)において、コア層形成用樹脂フィルムをクラッド層形成用フィルムに接するように積層する上記(1)に記載の光導波路の製造方法、
(3)(A)下部クラッド層形成用樹脂フィルムを硬化して下部クラッド層を形成する工程、(B)該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを積層し、コア層を形成する工程、(C)該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する工程、(D)上部クラッド層形成用樹脂フィルムをコアパターン及び下部クラッド層に積層する工程、及び(E)上部クラッド層形成用樹脂フィルムを硬化して上部クラッド層を形成する工程を有する光導波路の製造方法であって、上部クラッド層形成用樹脂フィルムが屈折率の異なる複数のクラッド層形成用フィルムを屈折率の高い順に積層した複合フィルムからなり、(D)工程において、該複合フィルムにおける屈折率の高い側をコアパターンに接するように積層することを特徴とする光導波路の製造方法、及び
(4)下部クラッド層形成用樹脂フィルムが屈折率の異なる複数のクラッド層形成用フィルムを屈折率の高い順に積層した複合フィルムからなり、前記(B)工程において、コア層形成用樹脂フィルムを該複合フィルムの屈折率の高い側に接するように積層することを特徴とする上記(3)に記載の光導波路の製造方法、
を提供するものである。
本発明の特徴は、上部クラッド層形成用樹脂フィルム、又は上部クラッド層形成用樹脂フィルム及び下部クラッド層形成用樹脂フィルムのいずれもが、クラッド層形成用フィルムと低弾性層形成用フィルムを積層した複合樹脂フィルムである点にある。このような複合フィルムを用いることで、通常では積層することが困難な薄層の機能層を光導波路に導入することを可能としたものである。
また、上部クラッド層形成用樹脂フィルム、又は上部クラッド層形成用樹脂フィルム及び下部クラッド層形成用樹脂フィルムを、屈折率の異なる複数のクラッド層形成用フィルムを屈折率の高い順に積層した複合フィルムとすることにより、GI型光導波路を容易に製造することを可能としたものである。
また、複合フィルムとして、段階的に屈折率の異なるフィルムを順次積層したものが好適に挙げられる。このようなフィルムを上部クラッド層や下部クラッド層、あるいはその両方に用い、高屈折率側をコア層に積層することによって、高速信号が伝搬可能なGI型光導波路を得ることができる。
また、ロールラミネータを用いて圧着する際には、ロールは加熱しても良く、室温〜100℃の範囲が好ましい。100℃以下であると、ロールラミネート時に樹脂層が過度に流動することがなく、必要とする膜厚が得られる。圧力は0.2〜0.9MPaが好ましい。ラミネート速度は0.1〜3m/minが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
なお、気泡残りを防止するとの観点からは、ロールラミネータを用いた方法がより好ましい。
このような複合フィルムについても、上記と同様に、支持体フィルム上に、各屈折率を有するクラッド層形成用フィルムを作製しておき、これを屈折率の高い順、あるいは低い順にラミネートすることで容易に得ることができる。なお、支持体フィルムは剥離を容易とするために離型処理されていることが好ましい。
これらの複合フィルムは、上部クラッド層形成用樹脂フィルムとして、また下部クラッド層形成用樹脂フィルムとして使用することができ、いずれか一方に使用することもできるが、GI用光導波路として使用する場合には、両者に用いられる。なお、上部クラッド層形成用樹脂フィルムと下部クラッド層形成用樹脂フィルムは、同一であってもよいし、異なるものを組み合わせてもよいが、製造工程の効率化の点からは、同一の樹脂フィルムを用いることが好ましい。
より好適には、クラッド層形成用樹脂が(a)ベースポリマー、(b)光重合性化合物及び(c)光重合開始剤を含有する樹脂組成物により構成されることが好ましい。
なお、上記屈折率の異なるクラッド層形成用樹脂組成物は、(a)〜(c)成分の種類、含有量等を適宜調整することで、製造することができる。
これらの(c)光重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、下部クラッド層形成用樹脂フィルムが複合フィルムからなる場合、例えばクラッド層形成用フィルムと低弾性層形成用フィルムをラミネートしたものからなる場合には、クラッド層形成用フィルム(下部クラッド層形成用)平均厚さは、乾燥後の平均厚さで、3〜20μmの範囲が好ましい。3μm以上であると、光の閉じ込めに必要なクラッド厚さが確保でき、20μm以下であると、低弾性層の効果を十分に発揮させることができ、十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、下部クラッド層形成用樹脂フィルムにおけるクラッド層形成用フィルムの厚さは、3〜10μmの範囲であることがより好ましい。
通常、上部クラッド層は、コアパターンを埋め込むように厚くされるが、本発明では、図3(E)に示すようにコアパターンの周囲を取り囲むように上部クラッド層を配することができるために、コアパターンを埋め込むほどの厚みは必要ない。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体などからなるゴムである。
共重合体モノマーとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリロニトリル等を挙げることができる。
これらのゴム成分の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましく、10万〜300万であることがより好ましく、30万〜300万であることがさらに好ましく、50万〜200万であることが特に好ましい。重量平均分子量が10万以上であれば、シート状、フィルム状での強度や可撓性が充分に得られ、タック性が増大することがない。一方、300万以下であれば、他の樹脂成分との相溶性が良好である。なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
なお、ここで、引張り弾性率とは以下の方法により測定したものをいう。
得られた硬化フィルム(幅10mm、長さ70mm)の引張り試験(つかみ具間距離50mm)を、引張り試験機((株)オリエンテック製 RTM−100)を用いて、温度25℃、引張り速度50mm/minで、JIS K 7127に準拠して行う。引張り弾性率は、引張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて、以下に示す式により算出する。
引張り弾性率(MPa)=直線上の2点間の応力の差(N)÷硬化フィルムの元の平均断面積(mm2)÷同じ2点間のひずみの差
この低弾性層により、機械的な引張り力が加わっても、その力が吸収されるため、コアの変形を小さくすることができ、光導波路の伝送特性の劣化を抑制することができる。なお、引張り降伏伸び率とは、フィルム引張り試験においてフィルムが降伏した時点での伸び率のことを意味するものであり、具体的には以下の方法により算出する。
引張り降伏伸び率は、以下に示す式により算出した。
引張り降伏伸び率(%)=(塑性変形開始時のつかみ具間距離(mm)−初期のつかみ具間距離(mm))÷初期のつかみ具間距離(mm)×100
なお、全光線透過率の測定は以下の方法により行う。
(全光線透過率)
得られた硬化フィルム(幅30mm、長さ30mm)の全光線透過率測定を、色度測定機(日本電色工業(株)製 300A)を用いて、温度25℃で、JIS K 7105に準拠して行う。
なお、本発明における硬化とは、熱又は活性光線あるいはその両方により、エポキシ基やエチレン性不飽和基などの重合性基が十分に反応し、フィルムが硬化した状態を指す。
コア層形成用樹脂組成物としては、コア層がクラッド層より高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得る樹脂組成物を用いることができ、感光性樹脂組成物が好適である。具体的には、上記下部クラッド層形成用樹脂組成物と同様の樹脂組成物を用いることが好ましい。すなわち、前記(a)、(b)及び(c)成分を含有し、必要に応じて前記任意成分を含有する樹脂組成物である。
コア層形成用樹脂フィルムの厚さについては、必要とするコア層の厚さに応じて適宜決定することができるが、乾燥後において、通常は5〜100μmとなるように調整される。コア層形成用樹脂フィルムの厚さが5μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバーとの結合において位置合わせトレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子または光ファイバーとの結合において、結合効率が向上するという利点がある。以上の観点から、コア層形成用樹脂フィルムの厚さは、さらに10〜70μmの範囲であることが好ましい。
なお、コア層形成用樹脂フィルムに用いられる支持体フィルムについては、上部及び下部クラッド層形成用樹脂フィルムに用いられる支持体フィルムと同様のものを用いることができる。
下部クラッド層形成用樹脂フィルムがクラッド層形成用フィルム単独からなり、基材1としてフィルムを使用する場合は、あらかじめ作製しておいたクラッド層形成用樹脂フィルムをそのまま用いることができる。すなわち、クラッド層形成用樹脂と基材としての支持体フィルムから構成された下部クラッド層形成用樹脂フィルムの下部クラッド層形成用樹脂を硬化し、下部クラッド層10を形成するものである。このとき、上記支持体フィルム11が、図3(A)に示す下部クラッド層10の基材1となる。
この下部クラッド層10は、後述するコア層との密着性の観点から、コア層積層側の表面において段差がなく平坦であることが好ましい。また、クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることにより、クラッド層10の表面平坦性を確保することができる。
ここで接着処理とは、易接着樹脂コート、コロナ処理、サンドブラスト等によるマット加工などにより、支持体フィルムとこの上に形成されるクラッド層樹脂との接着力を向上させる処理である。
一方、保護フィルムは、クラッド層形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
また、基材1としてフィルムを用いることで、光導波路に柔軟性および強靭性を付与させることができる。フィルムの材料としては、特に限定されないが、柔軟性、強靭性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルファイド、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが好適に挙げられる。
フィルムの厚さは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、5〜250μmであることが好ましい。5μm以上であると強靭性が得易いという利点があり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。
また、光導波路を作成後、基材1を剥離してもよい。
コア層の積層方法については、クラッド層10上にコア層形成用樹脂フィルムを、ロールラミネータを用いて圧着しコア層を形成することが好ましい(図3(B)参照)。ここで、圧着する際、ロールは加熱しても良く、室温〜100℃の範囲が好ましい。100℃を超えると、コア層が、ロールラミネート時に流動し、必要とする膜厚が得られないためである。圧力は0.2〜0.9MPaが好ましい。ラミネート速度は0.1〜3m/minが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
これらの塩基は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜14であることが好ましい。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤などを混入させてもよい。
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、アルカリ性準水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.1〜1000mJ/cm2程度の露光を行うことにより、コアパターン50をさらに硬化して用いてもよい。
硬化は、活性光線によって上記と同様に行う。活性光線の光源としては、(C)工程で用いられるものと同様のものを用いることができる。
上記支持体フィルム21を剥離後、クラッド層形成用フィルム12及び低弾性層形成用フィルムを光又は加熱により硬化し、上部クラッド層60及び低弾性層70を形成する。
なお、保護フィルムとしての役割をも果たす支持体フィルム21は、低弾性層形成用フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
比屈折率差(%)=[(コア部の屈折率)2−(クラッド層の屈折率)2]/[2×(コア部の屈折率)2]×100
上記支持体フィルム41−1を剥離後、クラッド層形成用樹脂フィルム42−1〜42−3を光又は加熱により硬化し、上部クラッド層を形成する。
なお、保護フィルムとしての役割をも果たす支持体フィルム41−1は、低弾性層形成用フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
(評価方法)
1.光伝搬損失
実施例で得られた光導波路(導波路長10cm)の光伝搬損失を、光源に波長850nmの光を中心波長とするVCSEL(EXFO社製FLS−300−01−VCL)、受光センサ((株)アドバンテスト製Q82214)、入射ファイバー(GI−50/125マルチモードファイバー、NA=0.20)及び出射ファイバー(SI−114/125、NA=0.22)を用いて、カットバック法(測定導波路長10、5、3、2cm)により測定した。
2.屈曲耐久試験
実施例で得られた光導波路(導波路長10cm)の屈曲耐久試験を、屈曲耐久試験機((株)大昌電子製)を用い、曲げ角度0〜180°、曲げ半径2mm、曲げ速度2回/秒の条件で屈曲耐久試験を行い、硬化フィルムの破断の有無を観察した。
(コア層形成用樹脂フィルムおよび下部クラッド層形成用樹脂フィルムの作製)
第1表に示す配合にて、コア層およびクラッド層形成用樹脂組成物を用意し、これに溶剤としてエチルセロソルブを溶剤以外の成分100質量部に対して40質量部加え、コア層用およびクラッド層形成用樹脂ワニスを調合した。なお、第1表に示す配合において、(A)ベースポリマー及び(B)光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対する質量%であり、(C)光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対する割合(質量部)である。
*2 A−BPEF;新中村化学工業(株)製、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン
*3 EA−1020;新中村化学工業(株)製、ビスフェノールA型エポキシアクリレート
*4 KRM−2110;新中村化学工業(株)製、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート
*5 2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール;東京化成工業(株)製
*6 4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;東京化成工業(株)製
*7 2−メルカプトベンゾイミダゾール;東京化成工業(株)製
*8 SP−170;旭電化工業(株)製、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩
(複合フィルム1の作製)
(1)上部クラッド層形成用フィルムの作製
上部クラッド層形成用樹脂ワニスとして、製造例1の下部クラッド層形成用樹脂ワニスと同様のものを用い、PETフィルム(帝人(株)製、商品名「ピューレックスA53」、厚さ25μm)にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA−4」)を用いて塗布し(巻内の処理面使用)、下部クラッド層形成時と同様の条件で乾燥し、上部クラッド層形成用フィルムを得た。このときのフィルムの厚さは、アプリケーターの間隙を調節することで、5〜100μmの間で任意に調整可能であり、本製造例では、硬化後の膜厚が10μmとなるように調節した。
低弾性層形成用樹脂組成物として、(株)日本ゼオン製「DN631」60質量部、東都化成(株)製「YD−8125」12.25質量部、大日本インキ化学工業(株)製「LF−4871」7.75質量部、共栄社化学(株)製「TMP―A」20質量部、四国化成工業(株)「2PZ−CN」0.3質量部、チバスペシャルティケミカルズ(株)製「イルガキュア2959」1.0質量部、チバスペシャルティケミカルズ(株)製「イルガキュア819」1.0質量部を用意し、これに溶剤としてシクロヘキサノンを40質量部加え、低弾性層形成用樹脂ワニスを調合した。
得られた低弾性層形成用樹脂ワニスを、PETフィルム(帝人(株)製、商品名「ピューレックスA53」、厚さ25μm)にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA−4」)を用いて塗布し(巻外の非処理面使用)、80℃、10分、その後100℃、10分で溶剤を乾燥させ、低弾性層形成用フィルムを得た。このときのフィルムの厚さは、アプリケーターの間隙を調節することで、5〜100μmの間で任意に調整可能であり、本製造例では、硬化後の膜厚が70μmとなるように調節した。
上記(1)で得られた上部クラッド層形成用フィルムと上記(2)で得られた低弾性層形成用フィルムを、真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件にてラミネートした。
(複合フィルム2の作製)
製造例2において、「YD−8125」を23.7質量部、「LF−4871」を16.3質量部とし、「TMP−A」「イルガキュア2959」「イルガキュア819」を用いなかったこと以外は、製造例2と同様にして複合フィルム2を得た。
(光導波路の作製)
紫外線露光機((株)大日本スクリーン製、MAP−1200)にて紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射し、上記製造例1で得られたクラッド層形成用樹脂フィルムを光硬化して下部クラッド層3を形成した。
次に、この下部クラッド層上に、ロールラミネータ((株)日立化成工業製、HLM−1500)を用い圧力0.4MPa、温度50℃、ラミネート速度0.2m/minの条件で、上記製造例1で得られたコア層形成用樹脂フィルムをラミネートした。
続いて幅40μmのフォトマスク(ネガ型)を介し、上記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射した後、エチルセロソルブとN,N−ジメチルアセトアミドの8対2質量比混合溶剤にて、コアパターンを現像した。現像液の洗浄には、メタノールおよび水を用いた。
次いで、製造例2で作製した複合フィルム1の上部クラッド層側のPETフィルムを除去した後、上部クラッド層がコアパターン側になるように重ねた。真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件にてラミネートした。上記と同様の方法および条件で紫外線照射し、その後110℃で加熱処理を行って上部クラッド層5及び低弾性層6を形成した。
なお、コア層およびクラッド層の屈折率をMetricon社製プリズムカプラー(Model2010)で測定したところ、波長850nmにて、コア層が1.584、クラッド層が1.537であった。
上記評価方法にて評価したところ、光伝搬損失は0.07dB/cmであり、屈曲耐久試験の結果、10万回後も破断しなかった。
製造例2で作製した複合フィルム1に代えて、製造例3で作製した複合フィルム2を用いたこと以外は実施例1と同様にして光導波路を作成した。
上記評価方法にて評価したところ、光伝搬損失は0.07dB/cmであり、屈曲耐久試験の結果、10万回後も破断しなかった。
実施例1において、製造例2で作製した複合フィルム1に代えて、複合フィルム1を構成する上部クラッド層形成用フィルム及び低弾性層形成用フィルムをそれぞれ別々に積層したこと以外は実施例1と同様にして、光導波路を作成した。
すなわち、実施例1と同様の方法で、下部クラッド層3及びコア部を設け、該下部クラッド層及びコア部上に、製造例2(1)で作製した上部クラッド層形成用フィルムを、真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件にてラミネートした。該上部クラッド層上に、製造例2(2)で作製した低弾性層形成用フィルムを、上記と同様の条件でラミネートした。次いで、実施例1と同様の方法および条件で紫外線照射し、その後110℃で加熱処理を行って上部クラッド層5及び低弾性層6を形成した。
この方法にて作製した光導波路は、コアパターンと上部クラッド層、上部クラッド層と低弾性層の間に空隙が発生した。また、上記評価方法にて評価したところ、光伝搬損失は3dB/cm以上であり、屈曲耐久試験の結果、1万回以下で破断した。
10;下部クラッド層
11、21、51;支持体フィルム
12;クラッド層形成用フィルム
22;低弾性層形成用フィルム
30;複合フィルム1
40;複合フィルム2
41−1、41−3;支持体フィルム
42−1;クラッド層形成用フィルム(低屈折率)
42−2;クラッド層形成用フィルム(中屈折率)
42−3;クラッド層形成用フィルム(高屈折率)
50;コアパターン
52;コア層形成用樹脂フィルム
53;コア層
60;上部クラッド層
70;低弾性層
R;ロールラミネータ
M;マスクパターン
Claims (10)
- (A)下部クラッド層形成用樹脂フィルムを硬化して下部クラッド層を形成する工程、(B)該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを積層し、コア層を形成する工程、(C)該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する工程、(D)上部クラッド層形成用樹脂フィルムをコアパターン及び下部クラッド層に積層する工程、及び(E)上部クラッド層形成用樹脂フィルムを硬化して上部クラッド層を形成する工程を有する光導波路の製造方法であって、
前記上部クラッド層形成用樹脂フィルムが、クラッド層形成用フィルムと低弾性層形成用フィルムとをラミネートにより圧着して積層した複合樹脂フィルムであり、前記工程(D)において、当該複合樹脂フィルムのクラッド層形成用フィルムがコアパターン及び下部クラッド層に接するように、当該複合樹脂フィルムである前記上部クラッド層形成用樹脂フィルムをコアパターン及び下部クラッド層に積層し、
前記低弾性層形成用フィルムを構成する樹脂組成物がゴム成分を含有する、光導波路の製造方法。 - 前記低弾性層形成用フィルムを構成する樹脂組成物を硬化してなる厚さ110μmの硬化フィルムの25℃での引張り弾性率が20〜700MPaである、請求項1に記載の光導波路の製造方法。
- 前記低弾性層形成用フィルムを構成する樹脂組成物を硬化してなる厚さ110μmの硬化フィルムの引張り降伏伸び率が7〜200%である、請求項1又は2に記載の光導波路の製造方法。
- 前記ゴム成分が、アクリルゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムの少なくとも1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記ゴム成分が、反応性官能基を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記下部クラッド層形成用樹脂フィルムが、クラッド層形成用フィルムと低弾性層形成用フィルムを積層した複合樹脂フィルムである請求項1〜5のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記下部クラッド層形成用樹脂フィルムが前記クラッド層形成用フィルムと前記低弾性層形成用フィルムとをラミネートにより圧着した複合樹脂フィルムであり、前記工程(B)において、コア層形成用樹脂フィルムを当該複合樹脂フィルムである前記クラッド層形成用フィルムに接するように積層する請求項6に記載の光導波路の製造方法。
- 上部クラッド層の平均厚さが3〜20μmである請求項1〜7のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記低弾性層形成用フィルムの平均厚さが5〜100μmである請求項1〜8のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記クラッド層形成用フィルムが、前記低弾性層形成用フィルムより屈折率の高い材料からなる請求項1〜9のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
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