JP4715437B2 - 光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム及びこれを用いた光導波路 - Google Patents
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Description
一方、液状エポキシ樹脂に光重合開始剤を添加した光導波路形成用エポキシ樹脂は、感光・現像法によりコアパターンが形成可能であり、高透明、高耐熱性を有するものもあるが、材料が液状であることに起因した同様な課題があった。
以上のように、従来の光導波路形成用樹脂には、(1)高透明、(2)高耐熱性、(3)生産性の良さを兼ね備えたものはなかった。
すなわち本発明は、
(1)(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する光導波路形成用樹脂組成物であって、
(A)ベースポリマーが、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂であり、
(B)光重合性化合物が、(メタ)アクリレート、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物のいずれか1種以上であることを特徴とする光導波路形成用樹脂組成物、
(2)前記(B)成分に、下記一般式(I)で表されるフルオレン(メタ)アクリレートを含む上記(1)に記載の光導波路形成用樹脂組成物、
(3)前記(B)成分に、下記一般式(III)で表される(メタ)アクリレートを含む上記(1)又は(2)に記載の光導波路形成用樹脂組成物、
(4)前記(B)成分に、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物を含む上記(1)に記載の光導波路形成用樹脂組成物、
(5)(A)成分と(B)成分の総量に対して、(A)成分の含有量が5.0〜80.0質量%であり、(B)成分の含有量が20.0〜95.0質量%であり、かつ(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して(C)成分の含有量が0.1から10質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光導波路形成用樹脂組成物、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光導波路形成用樹脂組成物からなる光導波路形成用樹脂フィルム、
(7)前記光導波路形成用樹脂フィルムの硬化物の光伝搬損失が0.5dB/cm以下である上記(6)に記載の光導波路形成用樹脂フィルム、
(8)上記(7)に記載の光導波路形成用樹脂フィルムを、光導波路の下部クラッド、コア、及び上部クラッドの少なくとも1つに用いた光導波路、
(9)基板上に、光導波路形成用樹脂フィルムをラミネートし、下部クラッド層を形成する第1の工程と、該下部クラッド層より屈折率の高い光導波路形成用樹脂フィルムをラミネートし、コア層を形成する第2の工程と、該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する第3の工程と、コア層より屈折率の低い光導波路形成用樹脂フィルムをラミネートし、上部クラッド層を形成する第4の工程による光導波路の作製方法であって、第1の工程、第2の工程及び第4の工程で用いる光導波路形成用樹脂フィルムの少なくとも1つが、上記(7)又は(8)に記載の光導波路形成用樹脂フィルムである光導波路の作製方法、
を提供するものである。
ビスフェノールA若しくはビスフェノールA型エポキシ化合物若しくはそれらの誘導体としては、テトラブロモビスフェノールA若しくはテトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物等が好適に挙げられる。また、ビスフェノールF若しくはビスフェノールF型エポキシ化合物若しくはその誘導体としては、テトラブロモビスフェノールF若しくはテトラブロモビスフェノールF型エポキシ化合物等が好適に挙げられる。本発明の(A)ベースポリマーとしては、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂が好適に挙げられ、例えば、東都化成(株)製、商品名「フェノトートYP−70」として入手可能である。
本発明の光学材料用樹脂組成物からなる光学材料用樹脂フィルムを光導波路形成用樹脂フィルムとして用いて光導波路を形成する場合、後に詳述するように屈折率の高いコアフィルムと、屈折率の低いクラッドフィルムが必要となるが、本発明の光学材料用樹脂フィルムをコアフィルムとして用いる場合には、(B)成分である光重合性化合物は、高透明性、高耐熱性、(A)成分との相溶性に加え、高屈折率性を考慮して、フルオレン(メタ)アクリレートを構成成分として含むことが好ましい。特に、下記一般式(I)で表されるフルオレン(メタ)アクリレートを構成成分として含むことが好ましい。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
なお、(B)成分として、上述のフルオレン(メタ)アクリレートと分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を併用することもできる。
ここで用いる溶媒としては、該樹脂組成物を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。樹脂溶液中の樹脂分濃度は通常30〜80質量%であることが好ましい。
本発明の光導波路形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる基材は、光導波形成用樹脂フィルムを支持する支持体であって、その材料については特に限定されないが、後に光導波路形成用樹脂フィルムを剥離することが容易であり、かつ耐熱性及び耐溶剤性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適に挙げられる。該基材の厚みは5〜50μmであることが好ましい。5μm以上であると支持体としての強度が得やすいという利点があり、50μm以下であるとパターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターン形成可能であるという利点がある。以上の観点から、該基材の厚みは10〜40μmであることが好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。
このようにして得られた基材上に設けられた光導波路形成用樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に貯蔵することができる。また、必要に応じて、光導波路形成用樹脂フィルムの上に保護フィルムを設けることもできる。なお、基材及び保護フィルムは、後に光導波路形成用樹脂フィルムの剥離を容易とするため、帯電防止処理等が施されていてもよい。
まず、下部クラッド層を形成する第1の工程については、保護フィルムが存在する場合には保護フィルムを剥離後、下部クラッドフィルムをFR−4基板やポリイミドなどの基板上に加熱圧着することにより積層する方法などが挙げられる。ここで、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。該フィルムの加熱温度は50〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm2)程度とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
次いで、下部クラッドフィルムを光又は加熱により硬化し、下部クラッドフィルムより屈折率の高いコアフィルムを同様な方法で積層する第2の工程を経て、コア層を形成する。
次いで、ウェット現像等で未露光部を除去して現像し、導波路パターンを形成する。ウェット現像の場合は、前記フィルムの組成に適した有機溶剤等の現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
有機溶剤系現像液としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、γ―ブチロラクトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量部の範囲で水を添加することが好ましい。また、必要に応じて2種類以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、バトル方式、高圧スプレー方式等のスプレー方式、ブラッシング、スクラッピング等が挙げられ、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.1から1000mJ/cm2程度の露光を行うことにより、光導波路パターンをさらに硬化して用いてもよい。
実施例1
第1表に示す配合にて、コア及びクラッド用樹脂を用意し、これらに溶剤としてメチルエチルケトンを全量に対して40質量部加え、コア用及びクラッド用樹脂ワニスを調合した。これをPETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「A−4100」)上にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA−4」)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分で溶剤乾燥させ光導波路形成用樹脂フィルムを得た。このときの光導波路形成用樹脂フィルムの厚さは、アプリケーターの間隙を調節することで、5〜100μmの間で任意に調整可能であり、本実施例では、硬化後の膜厚が、コアフィルム50μm、下部クラッド30μm、上部クラッド80μmとなるように調節した。なお、本実施例におけるコアフィルム及びクラッドフィルムの屈折率を、Metricon社製プリズムカプラ(Model2020)を用いて測定したところ(測定波長830nm)、コアフィルムの屈折率は1.586、クラッドフィルムの屈折率は1.537であった。
次いで、下部クラッド形成時と同様な条件にて上部クラッドを形成し、最後に160℃で加熱処理を行い、光導波路を作製した(図1(e))。
このように作製した光導波路の伝搬損失を、光源に855nmのLED((株)アドバンテスト製、Q81201)及び受光センサ((株)アドバンテスト製、Q82214)を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバ;GI−50/125マルチモードファイバ(NA=0.20)、出射ファイバ;SI−114/125(NA=0.22)、入射光;実効コア径26μm)により測定したところ、0.3dB/cmであった。さらに、作製した光導波路を最高到達温度265℃(260℃以上の保持時間15〜20秒)、窒素雰囲気下の条件で、はんだリフロー炉(古河電気工業(株)製、「サラマンダ」)中を3回通過させ、リフローによる損失劣化を測定したところ、リフローによる損失増加は見られなかった。本発明の光導波路形成用樹脂フィルムを用いて作製した光導波路が高耐熱性を有し、かつ低損失であることがわかる。
さらに、パターン形成性を確認したところ、線幅/線間が30/95μm、40/85μm、50/75μmの微細なパターンが形成が可能であった(第2表)。
*2 A−BPEF;フルオレンジアクリレート(新中村化学(株)社製)、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン
*3 EA−1020;ビスフェノールA型エポキシアクリレート(新中村化学(株)製)、ビスフェノールA型エポキシアクリレート
*4 KRM−2110;2官能脂環式エポキシ樹脂(旭電化工業(株)製)、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート
*5 2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール;東京化成工業(株)製
*6 4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;東京化成工業(株)製
*7 2−メルカプトベンゾイミダゾール;東京化成工業(株)製
*8 SP−170;トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩
実施例1において、第1表のコア用の(C)光重合開始剤を、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(1質量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(1質量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)に代え、またコアパターン露光時の紫外線照射量を400mJ/cm2に代えたこと以外は、実施例8と同様にしてフレキシブル光導波路を作製した。なお、このときのコア層の屈折率をMetricon社製プリズムカプラー(Model2010)を用いて測定したところ、1.582であった。
実施例1と同様カットバック法により測定した光導波路の伝搬損失は、0.1dB/cmであり、本実施例における開始剤を使用した場合、非常に高い透明性を有することがわかった。また、実施例1と同様にリフローによる損失劣化を測定したところ、損失増加は0.1dB/cm未満であり、作製した光導波路が高い耐熱性を有していることを確認した。
実施例1において、フェノトートYP−70をフェノトートYP−50(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成(株)製)に替えたこと以外は実施例1と同様に光導波路を作製した。伝搬損失は0.3dB/cmであり、リフローでの損失増加も見られなかったが、実施例1で形成可能であった線幅30μm、線間95μm及び線幅50μm、線間75μmのパターンは形成できず(第2表)、線幅30μm、線間95μmのパターンではクラッド/コア界面密着力不足によるコア剥離が、線幅50μm、線間75μmのパターンでは、未露光部の溶解性が低いことに起因した線間の現像残りが生じた。
第1表に示すコア用樹脂と同組成の樹脂組成物を用意し、これに溶剤としてメチルエチルケトンを全量に対して40質量部加えて樹脂ワニスを調合した。これをPETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「A−4100」)上にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA−4」)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分で溶剤乾燥させ光学材料用樹脂フィルムを得た。このときの光学材料用樹脂フィルムの厚さは、アプリケーターの間隙を調節することで、5〜100μmの間で任意に調整可能であり、本実施例では、硬化後の膜厚が10μmとなるように調節した。
真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、該光学材料用樹脂フィルムをシリコン基板上に、圧力0.5MPa、温度50℃、加圧時間30秒の条件にてラミネートした。
該樹脂フィルムの屈折率及び複屈折をMetricon社製プリズムカプラ(Model12020)を用いて測定した。その結果を第3表に示す。高い屈折率を有しながらも複屈折がなく、優れた光学材料である。
厚さを70μmとしたこと以外は実施例2と同様にして、光学材料用樹脂フィルムを得た。実施例3と同様にして、該光学材料用樹脂フィルムをシリコン基板上にラミネートし、日立製作所製分光光度計(型式U−3410)を用いて、光線透過率を測定した。400〜800nmの可視領域において90%以上の透過率を有しており、透明性に優れた光学材料である。
第1表に示すクラッド用樹脂と同組成の樹脂組成物を用意し、実施例3と同様にして、厚さ10μmの光学材料用樹脂フィルムを得た。実施例3と同様にして、該光学材料用樹脂フィルムをシリコン基板上にラミネートし、屈折率及び複屈折を測定した。その結果を第4表に示す。各測定波長において、複屈折が小さく、優れた光学材料である。
厚さを70μmとしたこと以外は実施例5と同様にして、光学材料用樹脂フィルムを得た。実施例5と同様にして、該光学材料用樹脂フィルムをシリコン基板上にラミネートし、日立製作所製分光光度計(型式U−3410)を用いて、光線透過率を測定した。400〜800nmの可視領域において90%以上の透過率を有しており、透明性に優れた光学材料である。
2.基板
3.コア層
4.基材(コア層形成用)
5.フォトマスク
6.コアパターン
7.上部クラッド層
Claims (9)
- (A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する光導波路形成用樹脂組成物であって、
(A)ベースポリマーが、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂であり、
(B)光重合性化合物が、(メタ)アクリレート、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物のいずれか1種以上であることを特徴とする光導波路形成用樹脂組成物。 - 前記(B)成分に、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物を含む請求項1に記載の光導波路形成用樹脂組成物。
- (A)成分と(B)成分の総量に対して、(A)成分の含有量が5.0〜80.0質量%であり、(B)成分の含有量が20.0〜95.0質量%であり、かつ(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して(C)成分の含有量が0.1から10質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路形成用樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光導波路形成用樹脂組成物からなる光導波路形成用樹脂フィルム。
- 前記光導波路形成用樹脂フィルムの硬化物の光伝搬損失が0.5dB/cm以下である請求項6に記載の光導波路形成用樹脂フィルム。
- 請求項7に記載の光導波路形成用樹脂フィルムを、光導波路の下部クラッド、コア、及び上部クラッドの少なくとも1つに用いた光導波路。
- 基板上に、光導波路形成用樹脂フィルムをラミネートし、下部クラッド層を形成する第1の工程と、該下部クラッド層より屈折率の高い光導波路形成用樹脂フィルムをラミネートし、コア層を形成する第2の工程と、該コア層を露光現像し、光導波路のコアパターンを形成する第3の工程と、コア層より屈折率の低い光導波路形成用樹脂フィルムをラミネートし、上部クラッド層を形成する第4の工程による光導波路の作製方法であって、第1の工程、第2の工程及び第4の工程で用いる光導波路形成用樹脂フィルムの少なくとも1つが、請求項7又は8に記載の光導波路形成用樹脂フィルムである光導波路の作製方法。
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