従来より、負荷制御用として、図10に示すような構成の遠隔監視制御システムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。この遠隔監視制御システムでは、伝送制御装置1に接続された2線式の信号線Lsに複数台ずつの操作端末器2および制御端末器3が分岐接続(マルチドロップ接続)されている。各操作端末器2および各制御端末器3には、それぞれ固有のアドレスが設定され、伝送制御装置1はそれらのアドレスを用いて操作端末器2および制御端末器3を個別に認識する。操作端末器2はスイッチSを備え、制御端末器3には負荷Lが接続される。また、操作端末器2には負荷Lの動作状態を確認するための表示素子(発光ダイオード)よりなる確認灯2a,2bが設けられている。負荷Lはとくに制限されないが、照明負荷を用いることが多い。
伝送制御装置1は信号線Lsに対して、図11(a)に示すフォーマットの伝送信号Vsを送出する。すなわち、信号送出開始を示す同期信号SY、伝送信号Vsのモードを示すモードデータMD、操作端末器2や制御端末器3を各別に呼び出すためのアドレスデータAD、負荷Lを制御する制御データCD、伝送誤りを検出するためのチェックサムデータCS、操作端末器2や制御端末器3からの返送信号(監視データ)を受信するタイムスロットである信号返送期間WTよりなる双極性(±24V)の時分割多重信号であり、パルス幅変調によってデータが伝送されるようになっている(図11(b))。各操作端末器2および各制御端末器3では、信号線Lsを介して受信した伝送信号Vsにより伝送されたアドレスデータADがあらかじめ設定されているアドレスに一致すると、伝送信号Vsから制御データCDを取り込むとともに、伝送信号Vsの信号返送期間WTに監視データを電流モード信号(信号線Lsを適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号)として返送する。
伝送制御装置1から所望の操作端末器2や制御端末器3にデータを伝送する場合には、モードデータMDを制御モードとし、操作端末器2または制御端末器3のアドレスをアドレスデータADとする伝送信号Vsを送出し、この伝送信号Vsを信号線Lsに送出すれば、アドレスデータADに一致する操作端末器2または制御端末器3が制御データCDを受け取り、信号返送期間WTに監視データを返送する。伝送制御装置1では送出した制御データCDと信号返送期間WTに受信した監視データとの関係によって制御データCDが所望の操作端末器2または制御端末器3に伝送されたことを確認する。制御端末器3は受け取った制御データCDに従って負荷Lを制御するための負荷制御信号を出力し、操作端末器2では受け取った制御データCDに従って負荷Lの動作確認表示を行なうための監視信号を出力する。
一方、伝送制御装置1は常時はモードデータMDをダミーモードとした伝送信号Vsを一定時間間隔で送出しており、操作端末器2が伝送制御装置1に対して何らかの情報を伝送しようとするときには、ダミーモードの伝送信号Vsの同期信号SYに同期させて図11(c)のような割込信号を発生させる。このとき、操作端末器2は割込フラグを設定して伝送制御装置1との以後の情報授受に備える。伝送制御装置1では割込信号を受信すると、モードデータMDを割込ポーリングモードとしかつアドレスデータADの上位の半数のビット(アドレスデータADを8ビットとすれば上位4ビット)を順次増加させながら伝送信号を送出し、割込信号を発生した操作端末器2では、割込ポーリングモードの伝送信号のアドレスデータADの上位4ビットが操作端末器2に設定されているアドレスの上位4ビットに一致するときに、信号返送期間WTにアドレスの下位の半数のビットを伝送制御装置1に返送する。このように、伝送制御装置1は割込信号を発生した操作端末器2を16個ずつまとめて探すので、比較的短い時間で操作端末器2を発見することができる。
伝送制御装置1が割込信号を発生した操作端末器2のアドレスを獲得すると、モードデータMDを監視モードとし、獲得したアドレスデータADを持つ伝送信号を信号線Lsに送出するのであって、この伝送信号に対して操作端末器2は伝送しようとする情報を信号返送期間WTに返送するのである。最後に、伝送制御装置1は割込信号を発生した操作端末器2に対して割込リセットを指示する信号を送出し、操作端末器2の割込フラグを解除する。以上のようにして、操作端末器2から伝送制御装置1への情報伝送は、伝送制御装置1から操作端末器2への4回の信号伝送(ダミーモード、割込ポーリングモード、監視モード、割込リセット)によって完了する。伝送制御装置1が所望の制御端末器3の動作状態を知ろうとするときには、モードデータMDを監視データとした伝送信号を送出するだけでよい。
上述の動作を簡単にまとめる。まず、操作端末器2に対してスイッチによる入力データが発生すると、入力データに対応した監視データを伝送制御装置1に返送し、伝送制御装置1が制御端末器3に制御データCDを伝送すると、制御端末器3は負荷制御信号を出力して負荷Lを制御する。ここで、制御端末器3には負荷監視入力が与えられ、負荷監視入力に対応する監視データを伝送制御装置1に返送し、返送された監視データを操作端末器2に伝送する。この伝送信号によって操作端末器2では監視信号を出力する。監視出力は通常は確認灯の点灯・消灯に用いられる。また、操作端末器2は最大4回路のスイッチSを備え、制御端末器3は最大4回路の負荷Lが制御可能であって、操作端末器2および制御端末器3には各スイッチSや負荷Lを個別に認識するために2ビットの負荷番号が付加されている。以下では、上述した操作端末器2ないし制御端末器3のアドレスをチャンネルと呼び、チャンネルと負荷番号とをまとめてアドレスと呼ぶことにする。つまり、各スイッチSや各負荷Lに個別のアドレスが付与されていることになる。
ところで、この種の遠隔監視制御システムでは、スイッチSと負荷Lとのアドレスの対応関係を伝送制御装置1で管理しているから、伝送制御装置1において1回路のスイッチSのアドレスに対して複数回路の負荷Lのアドレスを対応付けておけば、1回路のスイッチSで複数回路の負荷Lを一括して制御することが可能である。このような一括制御にはグループ制御とパターン制御とがある。グループ制御では複数の負荷を同じ制御状態に制御し、パターン制御では複数の負荷をあらかじめ設定した制御状態に制御する。グループ制御やパターン制御を行なう一括制御用操作端末器4のスイッチSpには一括制御用として定められているアドレスが対応付けられるが、他の構成は他の操作端末器と同様のものである。
上述のように、一括制御(パターン制御又はグループ制御)を行なうためには伝送制御装置1において一括制御用操作端末器4のスイッチSpのアドレスに複数回路の負荷Lのアドレスを対応付けて登録しておく必要があり、この種の設定操作をパターン設定及びグループ設定と称している。なお、以下では、パターン制御用操作端末器4に設けたスイッチSpをパターンスイッチと呼び、グループ制御用操作端末器(図示せず)に設けたスイッチをグループスイッチと呼び、操作端末器2に設けたスイッチSを個別スイッチと呼ぶ。
上述のようなパターン設定及びグループ設定は、例えば、専用の端末器(設定端末器)5によって設定される。この設定端末器5は、各負荷Lに対応するアドレスを選択するキーと、選択されたアドレスに応じて画面を切り換えて表示する表示器と、選択された負荷を記憶する記憶手段とが可搬な器体に設けられてなり、信号線Lsに対して着脱可能に接続され、キーを操作して設定されるパターン制御やグループ制御のための関係データを信号線Lsを介して伝送制御装置1に伝送して設定させるものである。
特開平11−46387号公報
(実施形態1)
本実施形態の遠隔監視制御システムでは、従来例と同様に伝送制御装置1に接続された2線式の信号線Lsに複数台ずつの操作端末器2および制御端末器3が分岐接続(マルチドロップ接続)され、各操作端末器2および各制御端末器3にそれぞれ固有のアドレスが設定され、伝送制御装置1がそれらのアドレスを用いて操作端末器2および制御端末器3を個別に認識する。
操作端末器2は、図2に示すように複数(4つ)のスイッチSを有しスイッチSが操作されたときに操作信号を出力する操作部21と、スイッチSに対応した負荷Lの状態、例えば照明負荷Lが点灯しているときに点灯し且つ消灯しているときに消灯する第1の表示素子(例えば、赤色の発光ダイオード)22aと照明負荷Lが点灯しているときに消灯し且つ消灯しているときに点灯する第2の表示素子(緑色の発光ダイオード)22bを有する表示部22と、信号線Lsを介して伝送制御装置1との間で伝送信号を授受するための伝送信号送受信部23と、電気的に書換可能な半導体メモリ(EEPROMなど)からなり各スイッチSに設定されたアドレスを記憶するアドレス記憶部24と、図示しないワイヤレスアドレス設定器との間で光ワイヤレス信号を送受信する光ワイヤレス信号送受信部25と、マイコンからなり各部を制御する制御部20と、制御部20の制御の下でブザーを鳴動するブザー鳴動部26とを備える。制御部20においては、光ワイヤレス信号送受信部25で受信した光ワイヤレス信号に含まれるデータ(アドレスデータ)をアドレス記憶部24に書き込むとともにアドレス記憶部24に書き込まれているアドレスデータを読み出して光ワイヤレス信号送受信部25から光ワイヤレス信号で送信させる機能を有しており、ワイヤレスアドレス設定器を使って操作端末器2の各スイッチSに固有のアドレスを設定することができるようになっている。
制御端末器3は、図3に示すように交流電源から複数の負荷Lへの給電路を個別に開閉するリレー部31と、信号線Lsを介して伝送制御装置1との間で伝送信号を授受するための伝送信号送受信部32と、電気的に書換可能な半導体メモリ(EEPROMなど)からなり各負荷Lに設定されたアドレスを記憶するアドレス記憶部33と、図示しないワイヤレスアドレス設定器との間で光ワイヤレス信号を送受信する光ワイヤレス信号送受信部34と、マイコンからなり各部を制御する制御部30と、制御部30の制御の下でブザーを鳴動するブザー鳴動部35とを備える。制御部30においては、操作端末器2の制御部20と同様に光ワイヤレス信号送受信部34で受信した光ワイヤレス信号に含まれるデータ(アドレスデータ)をアドレス記憶部33に書き込むとともにアドレス記憶部33に書き込まれているアドレスデータを読み出して光ワイヤレス信号送受信部34から光ワイヤレス信号で送信させる機能を有しており、ワイヤレスアドレス設定器を使って制御端末器3のリレー部31に接続されている各負荷L毎のアドレスを設定することができるようになっている。
伝送制御装置1は、図4に示すようにマイコンよりなる制御部10を備え、制御部10はフラッシュメモリ11に書き込まれたプログラムに従って動作する。また、制御部10には伝送信号送受信部12を介して信号線Lsが接続される。さらに、関係データを保持するためのフラッシュメモリ13、負荷Lの動作状態などを格納するRAM14を備える。さらに、信号線Lsの短絡を検出して表示するために信号線短絡検出/表示部15が設けられる。制御部10はマイコンよりなるから、クロック信号を発生するための発振回路16、電源投入時に初期化するためのリセット回路17、電源回路17も備えている。
図5は伝送制御装置1に対して任意のアドレスの検索を要求する検索要求データを伝送するアドレス検索装置6のブロック図を示している。このアドレス検索装置6は、ブザー鳴動部27を除いて操作端末器2と共通の構成、すなわち、従来の操作端末器2と全く同一の構成を有しており、制御部60、操作部61と、表示部62、伝送信号送受信部63、アドレス記憶部64、光ワイヤレス信号送受信部65を備えている。伝送制御装置1との間で伝送信号を授受するため、操作端末器2や制御端末器3に設定される通常のアドレスとは異なった特有のアドレス(以下、検索要求用アドレスと呼ぶ。)がアドレス検索装置6に設定される。この検索要求用アドレスはワイヤレスアドレス設定器を使って設定され、アドレス記憶部64に記憶される。
次に、図1の流れ図を参照して本実施形態におけるアドレス検索の手順を説明する。
まず、検索対称のアドレス(以下、検索アドレスと呼ぶ。)をワイヤレスアドレス設定器を使って光ワイヤレス信号によりアドレス検索装置6に送信する。アドレス検索装置6においては、光ワイヤレス信号送受信部65で受信した光ワイヤレス信号から制御部60が検索アドレスを取得してアドレス記憶部64に記憶する。そして、スイッチが操作されて操作部61から操作信号が入力されると、ダミーモードの伝送信号Vsの同期信号SYに同期させて制御部60が伝送信号送受信部63から割込信号を信号線Lsに送出させる(R1)。このとき、アドレス検索装置6の制御部63は割込フラグを設定して伝送制御装置1との以後の情報授受に備える。伝送制御装置1では、伝送信号送受信部12で割込信号を受信すると、制御部10がモードデータMDを割込ポーリングモードとして割込信号の発生元のアドレスを検索する(T1)。アドレス検索装置6では、割込ポーリングモードの伝送信号のアドレスデータADがアドレス記憶部64に記憶している検索要求用アドレスに一致するときに、制御部60が伝送信号送受信部63を制御して信号返送期間WTに当該検索要求用アドレスを伝送制御装置1に返送する(R2)。
ここで、本実施形態の遠隔監視制御システムにおいては、個別制御、調光制御、パターン制御、グループ制御の4通りの制御が選択可能であって、操作端末器2並びに制御端末器3に設定される固有のアドレスには各端末器2,3が何れの制御用のものであるかを識別する符号が含まれている。さらに、個別制御用のアドレスには0ch〜63chの64通りのチャンネルと4つの負荷番号の組み合わせからなる256通りのアドレス、調光制御用には0ch〜15chの16通りのアドレス、パターン制御用には0ch〜15chの16通りのチャンネルと4つ若しくは3つのパターン番号の組み合わせからなる72通りのアドレス、グループ制御用のアドレスには0ch〜31chのチャンネルと4つ若しくは3つのグループ番号の組み合わせからなる127通りのアドレスがそれぞれ設定可能であって、これらチャンネル若しくはチャンネルと負荷番号やパターン番号、グループ番号の組み合わせ(以下、回路番号と呼ぶ。)と制御内容識別用の符号とで伝送信号を授受するためのアドレスが構成されている。したがって、検索要求用アドレスを受け取った伝送制御装置1の制御部10では、アドレス検索装置6に対して検索アドレスの種類(制御内容識別用の符号)を知らせるように要求する制御データを生成し、モードデータMDを検索モードとし、検索要求用アドレスをアドレスデータADに持つ伝送信号を伝送信号送受信部12から信号線Lsに送出する(T2)。この伝送信号に対してアドレス検索装置6の制御部60は、アドレス記憶部64に記憶している検索アドレスに含まれる制御内容識別用の符号を信号返送期間WTに返送する(R3)。
さらに、アドレス検索装置6から制御内容識別用の符号を受け取った伝送制御装置1の制御部10は、検索アドレスに含まれる回路番号を知らせるように要求する制御データを生成し、モードデータMDを検索モードとし、検索要求用アドレスをアドレスデータADに持つ伝送信号を伝送信号送受信部12から信号線Lsに送出する(T3)。この伝送信号に対してアドレス検索装置6の制御部60がアドレス記憶部64に記憶している検索アドレスの回路番号を信号返送期間WTに返送すれば(R4)、伝送制御装置1の制御部10において制御内容識別用の符号と回路番号からなる検索アドレスを獲得することができる。そして、検索アドレスを獲得した伝送制御装置1の制御部10は、検索対象の端末器2,3に対してブザーを鳴動させて応答させるための制御データ(応答要求データ)を生成し、モードデータをMDを制御モードとし、獲得した検索アドレスをアドレスデータADとする伝送信号Vsを伝送信号送受信部12から信号線Lsに送出させる(T4)。アドレスデータADに一致する操作端末器2または制御端末器3が応答要求データを受け取ると、当該端末器2または3の制御部20または30はブザー鳴動部27,35を制御してブザーを鳴動させる。なお、アドレス検索装置6でスイッチが操作されたときに伝送制御装置1から当該端末器2または3に対して制御データが伝送されてブザーの鳴動が停止される。
而して、上述のようにアドレス検索装置6から伝送制御装置1に検索対象の端末器2または3のアドレス(検索アドレス)を伝送すれば、伝送制御装置1が制御データ(応答要求データ)を生成して検索アドレス宛に伝送し、応答要求データの宛先アドレスが自己のアドレスと一致した操作端末器2あるいは制御端末器3が応答手段(ブザー鳴動部27,35)によって音響(ブザー音)により応答するので、ブザー音を頼りに操作端末器2や制御端末器3の設置場所を容易に探し出すことができる。
なお、本実施形態においては各端末器2,3に応答手段たるブザー鳴動部27,35を新たに設ける必要があるが、操作端末器2についてはブザー鳴動部27の代わりに従来から備えている表示部22を応答手段に利用することも可能である。例えば、ワイヤレスアドレス設定器から何れかの端末器2,3を経由して伝送制御装置1にアドレス検索モードへの移行要求を行い、この移行要求に応じて伝送制御装置1が全ての操作端末器2に対して表示部22の表示素子22a,22bを消灯させる制御データを伝送し、その後、ワイヤレスアドレス設定器から何れかの端末器2,3を経由して伝送制御装置1に検索アドレスを送れば、伝送制御装置1が検索アドレスに対してのみ表示部22の表示素子22a,22bを点灯させる制御データを伝送し、この制御データを受け取った操作端末器2、すなわち、検索対象の操作端末器2においてのみ表示部22の表示素子22a,22bが点灯することになる。但し、システム全体をアドレス検索モードに移行させている間は通常の制御が行えないので、通常の制御モードのままで何れの端末器2,3も割込信号を発生していない空き時間に検索アドレスの伝送や応答要求データの伝送を行うこでアドレスの検索中でも通常の制御が行えるようにしてもよい。この場合、通常の制御による表示部22の表示と区別するために、何れかの表示素子22a,22bを周期的に点滅させることが望ましい。
ところで、従来例で説明したパターン設定及びグループ設定用の設定端末器5では、システムに接続されていないアドレスの制御端末器3に対応する負荷Lもパターン制御やグループ制御の対象として設定することが可能になっている。しかしながら、実際にシステムに接続されていない制御端末器3の負荷Lをパターン制御やグループ制御の対象として設定した場合、パターン制御あるいはグループ制御時に伝送制御装置1から対称となる制御端末器3のアドレスをアクセスしても動作状態が返信されないためにアクセスが繰り返されることになり、そのために制御に要する時間が長くかかったり、あるいは、制御端末器3からの返信がされなければ一括制御用操作端末器4に対して負荷Lの動作状態を知らせるための制御データが伝送されないので実際の制御状態と操作端末器4における表示とが一致しないという問題が生じる。
そこで本実施形態においては、伝送制御装置1に設定されている一括制御(パターン制御やグループ制御)の関係データの中から削除する関係データを選択するとともに選択された当該削除対象の関係データを伝送制御装置1に伝送して削除させる機能を設定端末器5に持たせている。以下、図面を参照して詳細に説明する。
図6は本実施形態における設定端末器5を示すブロック図である。但し、本設定端末器5は、複数台の操作端末器2の集合体に相当するセレクタスイッチ装置に組み合わせられたものであり、以下の説明においてはセレクタスイッチ装置5と言う。
セレクタスイッチ装置5は図6に示すように基本的には端末機能部50と表示操作機能部51とからなり、端末機能部50は主として伝送制御装置1との間の伝送信号Vsの授受を行なう機能を有している。
すなわち、端末機能部50は、マイクロプロセッサを内蔵した専用の集積回路よりなる信号処理部52を備える。信号処理部52は送受信回路53を通して信号線Lsに接続される。信号処理部52は表示操作機能部51によってデュアルポートRAM54に設定された関係データ及びアドレスデータを用いて伝送制御装置1との間で伝送信号Vsを授受する。関係データは、個別制御、グループ制御、パターン制御、調光制御の制御方法、並びにグループ制御におけるグループ表示方式とグループ制御方式を区別し、アドレスデータは伝送制御装置1との間で伝送信号Vsを授受する際のアドレスとして用いられる。つまり、表示操作機能部51から与えられる関係データ及びアドレスデータに基づいて各種の操作端末器2に相当する動作が可能になっているのであり、デュアルポートRAM54はアドレス設定手段として機能することになる。端末機能部50の上述の動作は表示操作機能部51のプログラムメモリ55に格納され且つ表示操作機能部51からRAM56に転送されたシステム(動作)プログラムに従って行われ、また伝送制御装置1や表示操作機能部51との間で授受するデータはRAM56に一時的に格納することができるようになっている。なお、信号処理部52はマイクロプロセッサを内蔵しているから、動作用のクロック信号を発生するための発振回路57も備えている。
表示操作機能部51は、多数の絵素(ドット)をマトリクス状に配列した液晶表示器よりなるメイン表示部58と、キャラクタ表示用の液晶表示器よりなる複数のサブ表示部59と、いわゆるメンブレンスイッチからなる多数のスイッチを有するスイッチ操作部70と、表示操作処理部81とを備える。メイン表示部58は表示用ドライバ回路79を通して表示内容が制御され、同様にサブ表示部59は表示用ドライバ回路80を通して表示内容が制御される。表示操作処理部81はマイクロコンピュータを主構成とし、プログラムメモリ55に格納されたシステム(動作)プログラムに従って動作し、メイン表示部58やサブ表示部59等の動作を制御するとともに、スイッチ入力回路82を介してスイッチ操作部70の操作状態を監視するものである。ここで、上述した関係データやアドレスデータは、スイッチ操作部70のキースイッチの操作によってデュアルポートRAM54に格納されるのであり、スイッチ操作部70が有する多数のキースイッチのうちの何れのキースイッチを操作したときにデュアルポートRAM54のどのデータを採用するかは、表示操作処理部81により決定される。なお、スイッチ操作部70のスイッチには、モード選択手段として機能するキースイッチが含まれており、このキースイッチの操作により表示操作機能部51をパターンやグループの設定モードとして動作させるか、操作モードとして機能させるかを選択できるようにしてある。
つまり、設定モードでは表示操作処理部81の制御下で関係データやアドレスデータを設定し、操作モードではスイッチ操作部70の各キースイッチの操作に応じて負荷Lを制御する。ここで、設定モードで設定される関係データやアドレスデータは一旦フラッシュメモリからなるデータメモリ71に格納される。
なお、72は表示操作処理部81が各種の作業を行う際に一時的にデータを保存するための作業用RAMである。さらに、表示操作処理部81にはブザー回路73を介して圧電ブザー74が接続され、スイッチ操作部70のキースイッチが操作された場合や何らかの誤操作があった場合にはブザー回路73により圧電ブザー74を鳴動させてスイッチ操作による入力を受け付けたことや誤操作があったことを音で報知する。
表示操作処理部81はマイクロコンピュータを主構成とするから、動作用のクロック信号を発生するための発振回路75、電源投入時に初期化するためのリセット回路76も備えている。なお、セレクタスイッチ装置5は通常の操作端末器2に比べてかなり大きい電力を必要とするから、内部電源を信号線Lsから得るのではなく、別途に給電される商用電源の交流100Vをトランス77で降圧(約7V)し、電源回路78にて整流し且つ電圧安定化することによって例えば5Vの内部電源を得ている。
上述のように構成されるセレクタスイッチ装置5においては、スイッチ操作部70のキースイッチを操作してパターン制御やグループ制御のための関係データを含む関係データやアドレスデータを設定した後、当該関係データやアドレスデータを信号線Lsを介して伝送制御装置1に転送するのである。但し、関係データやアドレスデータの具体的な設定手順についての説明は省略する。ここで本実施形態のセレクタスイッチ装置5では、負荷Lの制御が可能な状態(操作モード)において伝送制御装置1に関係データやアドレスデータを転送可能とするためのデータ転送手順を備えている。つまり、負荷Lを制御する際の空き時間に上記データ転送を行うことで動作モードの切換を不要にしているのである。
次に、上記データ転送手順について説明する。関係データを含む関係データは図7、図8に示す手順で転送される。この手順は、関係データの転送を開始する前処理、実際に関係データを転送する転送処理、関係データの転送を終了する後処理の3つの処理に分けることができる。伝送制御装置1は動作を開始すると、まず、関係データの転送を行なっていないことを示すために転送状態を転送なしに設定する(S1)。つまり、従来構成において負荷Lを制御する動作モードと同様の状態になり、ダミーモードの伝送信号を信号線Lsに繰り返し送出することになる。割込信号が発生しなければ(S2)、データ転送中か否かを判断し(S3)、データ転送中でなければそのままダミーモードによる伝送信号を繰り返して発生する(S4)。
一方、前処理では、関係データを伝送制御装置1に転送しようとするセレクタスイッチ装置5が割込信号を発生するから、ステップS2において割込信号が検出される。割込信号が検出されると、セレクタスイッチ装置5を特定して割込要求を判別する(S5)。この処理は負荷Lを制御する場合と同様である。関係データを転送する際には、伝送制御装置1に対してセレクタスイッチ装置5からデータ転送要求があるから(S6)、関係データの転送中であることを示すために転送状態を転送ありに設定する(S7)。なお、ステップS6においてデータ転送要求がなければ、通常の負荷Lの制御を意味するから要求に応じて負荷Lを制御する(S8)。
伝送制御装置1とセレクタスイッチ装置5との間の信号の授受は、具体的には図8に示すように行なわれる。すなわち、セレクタスイッチ装置5が割込信号を発生し(R1 )、これに対して伝送制御装置1は割込フラグを設定して割込ポーリングを行ない(T1)、セレクタスイッチ装置5からアドレスの返信を待つ(R2 )。伝送制御装置1はセレクタスイッチ装置5のアドレスを獲得するとセレクタスイッチ装置5からの要求内容を監視する(T2 )。セレクタスイッチ装置5では伝送制御装置1からの要求内容の監視に対して関係データの受信を要求し(R3 )、要求内容を受け取った伝送制御装置1は割込フラグを解除する(T3 )。また、伝送制御装置1では、関係データを授受するために関係データを格納する256バイトのアドレス領域を確保する。なお、本実施形態では256バイトを1ベージと呼んで単位化しており、伝送制御装置1では1ページのアドレス領域を確保することになる。1ページのアドレス領域が確保されると、関係データの登録のためのアドレス領域をセレクタスイッチ装置5に通知し(T4 )、関係データの送信開始を指示する(T5 )。送信を指示した後にはセレクタスイッチ装置5からの関係データの転送状態を監視し(T6 )、セレクタスイッチ装置5において関係データの転送が可能である(つまり、転送ありである)旨の通知が返送されると(R4 )、転送処理に移行する。
転送処理では、伝送制御装置1にセレクタスイッチ装置5からの関係データが転送される(S9)。ここで、通常が1回で伝送できない程度の量であれば一部だけが転送され、関係データの転送が終了していなければ(S10)、端末器から割込信号が再び発生し、上述の処理を繰り返して関係データの転送を行なう。具体的には、伝送制御装置1はセレクタスイッチ装置5から何バイトのデータが送信されてくるのかを監視し(T7 )、バイトカウンタを返信させる(R5 )。その後、関係データの監視を行ない(T81)、セレクタスイッチ装置5からバイトカウンタで指定されたバイト数の関係データを転送させる(R61)。ここで、関係データは一度に全部を転送せずに複数に分割され、バイトカウンタで指定されたバイト数の関係データの転送が終了するまで、セレクタスイッチ装置5から伝送制御装置1への転送が繰り返される(T81〜T8n,R61〜R6n)。最後に、伝送制御装置1からセレクタスイッチ装置5に対して関係データのチェックサムを要求し(T9 )、チェックサムが返信されると(R7 )、伝送誤りの有無を検出する。このようにしてセレクタスイッチ装置5から伝送制御装置1に対して分割して転送された関係データの内容に従って、伝送制御装置1ではパターン制御やグループ制御の対応関係(テーブル)を設定するのである。
後処理は、転送状態を転送なしに設定する処理であって(S11)、伝送制御装置1では関係データの設定が完了した後に、端末器の転送状態を監視し(T10)、転送が完了したことを確認する(R8 )。その後、データ送信終了指示を送出して(T11)、関係データの転送に関するすべての処理が完了したことをセレクタスイッチ装置5に通知する。
上述のような手順によって、負荷Lの制御が可能な状態において負荷Lへの制御データを生成していない空き時間に、パターン制御やグループ制御のための関係データをセレクタスイッチ装置5から伝送制御装置1に転送することができるのである。
上述したように本実施形態では、関係データを複数に分割し、セレクタスイッチ装置5から伝送制御装置1に複数回で関係データを転送している。これは、1回で同じ容量の関係データを転送すると転送処理の時間が長くなり、負荷Lを通常に制御できない期間が生じる可能性があるからであって、上述のように負荷Lの制御のために用いられていない空き時間を利用するように関係データを分割して転送することにより、負荷Lを制御できない期間を生じることなく関係データを転送することができる。実際に、負荷Lの制御は短時間の処理であり、負荷Lの制御に用いていない多くの空き時間が存在するから、関係データを1バイトずつに分割して空き時間に順次転送すれば、負荷Lの制御を妨げることなく関係データの転送が可能になる。また、関係データを分割して転送するために、伝送制御装置1では、転送状態に関するデータを保持するのであって、転送ありか転送なしかによって、未転送の関係データが残っているか否かを認識することができるのである。その結果、転送状態が転送ありである期間に、負荷Lの制御が要求されたときには、負荷Lの制御を関係データの転送に優先して処理し、負荷Lの制御を処理した後に、再び関係データの転送を継続することで、負荷Lの制御を妨げることなく関係データを転送することができるのである。
なお、セレクタスイッチ装置5と伝送制御装置1との間で転送されるデータのフォーマトは図9のようなものであって、上述した1ページのアドレス領域にこの形のデータが下位側から順次格納されるようになっている。つまり、このデータはバイトカウンタBC、データの識別用のヘッダHD、端末器間でデータを伝送する際の送信先アドレスSA、端末器間でデータを伝送する際の送信元アドレスDA、転送データDT1〜DTn、チェックサムSUMよりなり、バイトカウンタBCはアドレス領域の00Hに格納され、ヘッダHDはアドレス領域の01Hに格納されるというようにして上記データがアドレス領域に格納される。ただし、上述のような関係データを伝送する際には、バイナリカウンタBCと転送データDT1〜DTn とチェックサムSUMとだけが用いられる。
ここで、セレクタスイッチ装置5では、設定モードにおいてキースイッチの操作により選択した関係データの削除を要求する命令(コマンド)が搭載されており、割込信号を発生させ、伝送制御装置1による割り込み処理を経て、伝送信号Vsの返信待機期間WTに関係データの削除を要求する命令を伝送制御装置1に返信し、この命令を受け取った伝送制御装置1から削除対象の関係データの送信要求が伝送信号VSによって行われ、当該伝送信号Vsの返信待機期間WTに削除対象の関係データを伝送制御装置1に返信すれば、伝送制御装置1において制御部10がフラッシュメモリ13に格納されている関係データの中から削除対象の関係データのみを削除するのである。
上述のように、実際には負荷が存在しないアドレスが一括制御用の関係データに誤って設定されたとしても、設定端末器(セレクタスイッチ装置5)によって当該関係データを削除することができるから、制御端末器3に対する伝送制御装置1の不要なアクセスが無くなって制御に要する時間に無駄が無くなり、しかもパターン制御やグループ制御の状態表示と実際の制御状態との不一致も無くなるのである。但し、関係データの削除を要求する命令(コマンド)をセレクタスイッチ装置5に搭載する代わりに、本来設定モードでのみ有効であるキースイッチ、例えば、任意のアドレスの範囲をパターン制御やグループ制御の対象から除外するためのキースイッチが操作モードで操作されたときに割込信号を発生させ、上述の手順で伝送制御装置1から削除対象の関係データの返送を要求し、セレクタスイッチ装置5から伝送信号Vsの返信待機期間WTに削除対象の関係データを伝送制御装置1に返信し、伝送制御装置1において制御部10がフラッシュメモリ13に格納されている関係データの中から削除対象の関係データのみを削除するようにしてもよい。この場合、伝送制御装置に対して関係データを削除させるための機能(命令)を設定端末器(セレクタスイッチ装置5)に搭載する必要がないから、従来の設定端末器(セレクタスイッチ装置5)をそのまま利用することができてシステム全体のコストダウンが図れるという利点がある。