JP2007123757A - 積層型電子部品の製造方法および支持シートの製造装置 - Google Patents

積層型電子部品の製造方法および支持シートの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷後の乾燥工程での熱による支持シートの変形を抑制し、小型化や薄層化が進んだとしても、内部電極層および/または余白パターン層の積層ズレが生じにくく、シート間のデラミネーションや積層体の変形などを抑制し、製造歩留まりを向上させることができる積層型電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】長手方向に沿って細長い支持シート20の表面に、内部電極パターン層12aを印刷法により形成して所定の乾燥温度で乾燥させる工程を有する積層型電子部品の製造方法である。支持シート20の表面に内部電極パターン層12aを形成する前に、支持シート20を、最大張力が0.3N/cm以下、好ましくは0N/cmの状態で、乾燥温度と同等以上の熱処理温度で熱処理する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品を製造する方法と、その方法に用いる支持シートの製造装置に係り、さらに詳しくは、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造する際に、支持シート上に相互補完型のパターンを位置ずれが少なく重ねて印刷することができる方法および装置に関する。
たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造する際には、支持シートの表面に、剥離層を形成し、その上に、電極パターン層を印刷により形成することがある。あるいは、キャリアシートの表面にセラミックグリーンシートを形成し、その表面に、所定パターンの電極層を印刷により形成することがある。
その後に、電極パターン層の隙間部分に、電極パターン層と相互補完型のパターンである余白パターン層を、再度印刷法により形成することがある。余白パターン層が形成されない状態で、グリーンシートと電極層とを多数積層すると、電極層が存在しない部分と電極層が存在する部分との間に段差が生じ、それが原因で、シート間のデラミネーションや積層体の変形などが問題になる。そのため、最近では、下記の特許文献1〜4に示すように、積層数の増加および層間厚みの薄層化に対応するために、電極層が形成されていない余白パターン部分に、グリーンシートと同様な誘電体ペーストから成るパターン層を形成する方法が提案されている。
ところが、従来の印刷乾燥方法では、キャリアシートの表面のグリーンシートまたは剥離層に電極層を印刷して乾燥する際に、乾燥時の熱により、ポリエチレンテレフタレートから成るキャリアシートが、特に、その長手方向に沿って伸縮してしまうことがある。その原因は、キャリアシートが延伸成形されたフィルムであるためと考えられ、乾燥時の熱により長手方向に沿って収縮してしまうと考えられる。
そのため、次の工程において、設計寸法により、余白パターン層を印刷して形成しようとすると、余白パターン層が位置ズレして印刷されるおそれがあることが判明した。特に、電極パターン層のパターンが微細化すると共に薄層化することにより、印刷時の位置ズレは、その後の工程における積層工程後において、シート間のデラミネーションや積層体の変形などの問題を引き起こすことになる。
なお、下記の特許文献5には、乾燥炉入口における気流の動圧変化を測定し、乾燥ムラなどを防止した乾燥方法が開示されている。しかしながら、この文献5に示す方法では、乾燥室内部における熱による支持シートの変形を防止することはできず、印刷時の位置ズレや寸法ズレを防止することはできなかった。
また、下記の特許文献6および7に示すように、写真用支持体フィルムに対して、張力を印加した状態で熱処理する技術は知られている。しかしながら、これらの特許文献6および7に記載の技術では、内部電極パターン層および/または余白パターン層の積層ズレに関しては考慮されていない。また、これらの特許文献では、支持体フィルムに対して所定値以上の張力を加えた状態で熱処理するため、仮にその支持体フィルム上に内部電極パターン層を印刷したとしても、その印刷後の乾燥工程における熱変形を抑制することはできない。
特開昭56−94719号公報 特開平3−74820号公報 特開平9−106925号公報 特開2001−237140号公報 特開2004−144433号公報 特開2001−117198号公報 特開平10−10676号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、印刷後の乾燥工程での熱による支持シートの変形を抑制し、小型化や薄層化が進んだとしても、内部電極層および/または余白パターン層の積層ズレが生じにくく、シート間のデラミネーションや積層体の変形などを抑制し、製造歩留まりを向上させることができる積層型電子部品の製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、印刷後の乾燥工程での熱による支持シートの変形を抑制するための支持シートの製造装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、
長手方向に沿って細長い支持シートの表面に、内部電極パターン層を印刷法により形成して所定の乾燥温度で乾燥させる工程を有する積層型電子部品の製造方法において、
前記支持シートの表面に内部電極パターン層を形成する前に、前記支持シートを、シートの長手方向の最大張力が0.3N/cm以下、好ましくは0N/cmの状態で、前記乾燥温度と同等以上の熱処理温度で熱処理することを特徴とする。
本発明において、支持シートの張力は、支持シートに加わる外力(N)を、その外力の方向と垂直な幅方向の単位寸法(cm)で割った値で示す。
本発明によれば、上記の条件で熱処理することにより、内部電極パターン層を印刷した後の乾燥工程での熱による支持シートの変形を、効果的に抑制することができる。そのため、支持シートの熱変形に基づく内部電極パターン層の位置ズレを最小限に抑制することができる。その結果、その後に、余白パターン層を、内部電極パターン層の余白部分に印刷する際に、位置ズレが生じることなく印刷することができる。
そのために、積層型電子部品の小型化や薄層化が進んだとしても、内部電極層および/または余白パターン層の積層ズレが生じにくく、シート間のデラミネーションや積層体の変形などを抑制し、製造歩留まりを向上させることができる。
支持シートは、特に限定されないが、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミドのうちのいずれかで構成してある。
本発明では、熱処理温度は、特に限定されないが、好ましくは、80〜150°C、さらに好ましくは、90〜130°Cである。熱処理温度が低すぎると、本発明の効果が少なく、高すぎると、熱処理時に支持シート自体が劣化してしまうおそれがある。
好ましくは、前記支持シートの表面に内部電極パターン層を形成した後に、前記電極パターン層が形成されていない余白パターン部分に、余白パターン層を形成する。あるいは、前記支持シートの表面に内部電極パターン層を形成する前に、余白パターン層を形成し、前記余白パターン層を形成する前に、前記支持シートを熱処理しても良い。
本発明に係る支持シートの製造装置は、
熱処理前の支持シートがロール状に巻回してある未処理ロールと、
前記未処理ロールから引き出された支持シートを、80〜150°Cの熱処理温度で熱処理するアニール炉と、
前記アニール炉内で前記支持シートを熱処理する際に、前記支持シートにおける最大張力が0.3N/cm以下となるように、前記アニール炉内で前記支持シートを移動させる移動機構と、
前記アニール炉内で熱処理された支持シートを巻き取る巻き取りロールと、を有する。
本発明に係る支持シートの製造装置を用いて支持シートを熱処理すれば、印刷後の乾燥工程での熱による支持シートの変形を抑制することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法により製造される積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2(A)〜図2(C)および図3(A)〜図3(C)は、グリーンシートと電極層との積層工程の一例を示す要部断面図、
図4は内部電極パターン層を印刷法により形成して所定の乾燥温度で乾燥させる工程を示す全体概略図、
図5は本発明の一実施形態に係る支持シートの製造装置の全体概略図、
図6は本発明の実施例および比較例に係る支持シートの変形を示すグラフである。
積層セラミックコンデンサの全体構成
まず、本発明に係る電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の一方の端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の他方の端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
本実施形態では、内部電極層12は、後で詳細に説明するように、転写法により形成される。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、特に好ましくは1.5μm以下に薄層化されている。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
(1)まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペースト(グリーンシート用ペースト)を準備する。
誘電体ペーストは、誘電体原料(セラミック粉体)と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.4μm以下、好ましくは0.1〜3.0μm程度の粉体として用いられる。なお、きわめて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダ樹脂を有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダ樹脂としては、本実施形態では、ポリビニルブチラール樹脂が用いられる。そのポリビニルブチラール樹脂の重合度は、1000以上1700以下であり、好ましくは1400〜1700である。また、樹脂のブチラール化度が64%より大きく78%より小さく、好ましくは64%より大きく70%以下であり、その残留アセチル基量が6%未満、好ましくは3%以下である。
ポリビニルブチラール樹脂の重合度は、たとえば原料であるポリビニルアセタール樹脂の重合度で測定されることができる。また、ブチラール化度は、たとえばJISK6728に準拠して測定されることができる。さらに、残留アセチル基量は、JISK6728に準拠して測定されることができる。
有機ビヒクルに用いられる有機溶剤は、特に限定されず、たとえばテルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤が用いられる。本実施形態では、有機溶剤としては、好ましくは、アルコール系溶剤と芳香族系溶剤とを含み、アルコール系溶剤と芳香族系溶剤との合計質量を100質量部として、芳香族系溶剤が、10質量部以上20質量部以下含まれる。芳香族系溶剤の含有量が少なすぎると、シート表面粗さが増大する傾向にあり、多すぎると、ペースト濾過特性が悪化し、シート表面粗さも増大して悪化する。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが例示される。芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸ベンジルなどが例示される。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、帯電除剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されても良い。
この誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、たとえば図3(A)に示すように、第2支持シートとしてのキャリアシート30上に、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm程度の厚みで、グリーンシート10aを形成する。グリーンシート10aは、キャリアシート30に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100°Cであり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後のグリーンシート10aの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。乾燥後のグリーンシートの厚みは、3μm以下が好ましい。
(2)上記のキャリアシート30とは別に、図2(A)に示すように、第1支持シートとしてのキャリアシート20を準備し、その上に、剥離層22を形成し、その上に、所定パターンの電極パターン層12aを形成し、その前後に、その電極パターン層12aが形成されていない剥離層22の表面に、電極パターン層12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層24を形成する。
キャリアシート20および30としては、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコーンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシート20および30の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。これらのキャリアシート20および30の厚みは、同じでも異なっていても良い。
剥離層22は、好ましくは図3(A)に示すグリーンシート10aを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を含む。また、この剥離層22は、誘電体粒子以外に、バインダと、可塑剤と、離型剤とを含む。誘電体粒子の粒径は、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでも良いが、より小さいことが好ましい。
剥離層22の塗布方法としては、特に限定されないが、きわめて薄く形成する必要があるために、たとえばワイヤーバーコーターまたはダイコーターを用いる塗布方法が好ましい。
剥離層22のためのバインダとしては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンで構成される。剥離層22に含まれるバインダは、グリーンシート10aに含まれるバインダと同じでも異なっていても良いが同じであることが好ましい。
剥離層22のための可塑剤としては、特に限定されないが、たとえばフタル酸エステル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。剥離層22に含まれる可塑剤は、グリーンシート10aに含まれる可塑剤と同じでも異なっていても良い。
剥離層22のための剥離剤としては、特に限定されないが、たとえばパラフィン、ワックス、シリコーン油などが例示される。剥離層22に含まれる剥離剤は、グリーンシート10aに含まれる剥離剤と同じでも異なっていても良い。
バインダは、剥離層22中に、誘電体粒子100質量部に対して、好ましくは2.5〜200質量部、さらに好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは8〜30質量部程度で含まれる。
可塑剤は、剥離層22中に、バインダ100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部で含まれることが好ましい。
剥離剤は、剥離層22中に、バインダ100質量部に対して、0〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは5〜20質量部で含まれることが好ましい。
剥離層22をキャリアシート30の表面に形成した後、図2(A)に示すように、剥離層22の表面に、焼成後に内部電極層12を構成することになる電極パターン層12aを所定パターンで形成する。電極パターン層12aの厚さは、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜1.0μm程度である。電極パターン層12aは、単一の層で構成してあってもよく、あるいは2以上の組成の異なる複数の層で構成してあってもよい。
電極パターン層12aは、電極ペーストを用いる厚膜形成方法により、剥離層22の表面に形成する。厚膜法の1種であるスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法により、剥離層22の表面に電極パターン層12aを形成するには、以下のようにして行う。
まず、電極ペーストを準備する。電極ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、あるいは焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、またはレジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。
電極ペーストを製造する際に用いる導体材料としては、NiやNi合金さらにはこれらの混合物を用いる。このような導体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導体材料の平均粒子径は、通常、0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1μm程度のものを用いればよい。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示されるが、特にポリビニルブチラールなどのブチラール系が好ましい。
バインダは、電極ペースト中に、導体材料(金属粉体)100質量部に対して、好ましくは8〜20質量部含まれる。溶剤としては、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等公知のものはいずれも使用可能である。溶剤含有量は、ペースト全体に対して、好ましくは20〜55質量%程度とする。
接着性の改善のために、電極ペーストには、可塑剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤は、電極ペースト中に、バインダ100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、さらに好ましくは10〜200質量部である。なお、可塑剤または粘着剤の添加量が多すぎると、電極パターン層12aの強度が著しく低下する傾向にある。また、電極パターン層12aの転写性を向上させるために、電極ペースト中に、可塑剤および/または粘着剤を添加して、電極ペーストの接着性および/または粘着性を向上させることが好ましい。
剥離層22の表面に、所定パターンの電極ペースト層を印刷法で形成した後、またはその前に、電極パターン層12aが形成されていない剥離層22の表面に、電極パターン層12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層24を形成する。
図2(A)に示す余白パターン層24は、余白パターン用ペーストを用いる印刷法などの厚膜形成方法により、剥離層22の表面に形成する事ができる。厚膜法の1種であるスクリーン印刷法により、剥離層22の表面に余白パターン層(図2(A))を形成する場合には、以下のようにして行う。
まず、余白パターン用ペーストを準備する。余白パターン用ペーストは、誘電体原料(セラミック粉末)と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
余白パターン用ペーストを製造する際に用いる誘電体材料としては、グリーンシート10aを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を用いて作製されるが、必ずしも同じである必要はない。余白パターン用ペーストには、誘電体粒子(セラミック粉末)が、ペースト全体に対して30〜50質量部、さらに好ましくは、40〜50質量部の割合で含まれる。セラミック粉末の含有割合が少なすぎるとペースト粘度が小さくなり印刷が困難にある。また、セラミック粉末の含有割合が多すぎると、印刷厚みを薄くすることが困難になる傾向にある。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、またはこれらの共重合体などが例示されるが、特にポリビニルブチラールなどのブチラール系が好ましい。
この余白パターン用ペーストに含まれるブチラール系バインダの重合度は、グリーンシート10aを形成するためのペーストに含まれるバインダの重合度と同等以上、好ましくは高く設定してある。例えば、グリーンシート用ペーストに含まれるバインダとしてのポリビニルブチラールの重合度が1000〜1700である場合に、余白パターン用ペーストに含まれるバインダは、1400以上、さらに好ましくは1700以上、特に好ましくは2400以上の重合度を持つポリビニルブチラールまたはポリビニルアセタールである。なかでも、重合度2000以上の重合度をもつポリビニルアセタールが好ましい。
余白パターン用ペーストのバインダが、ポリビニルブチラールである場合、そのブチラール化度が64〜74モル%の範囲にあるものが好ましい。また、ポリビニルアセタールである場合には、そのアセタール化度が66〜74モル%であることが好ましい。
バインダは、余白パターン用ペースト中に、誘電体材料100質量部に対して、好ましくは3〜10質量部含まれる。さらに好ましくは、4〜8質量部含まれる事が好ましい。
溶剤には、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等の公知のものはいずれも使用可能である。その溶剤含有量は、ペースト全体に対して50〜70質量部程度が好ましい。
また、余白パターン用ペーストには、分散剤、可塑剤および、または粘着剤、帯電除剤、といった各種添加剤が含有されても良い。
分散剤としては、特に限定はないが、たとえば、エステル系重合体、カルボン酸といった高分子材料が用いられ、その含有量は、セラミック粉末100質量部に対して、好ましくは0.25〜1.5質量部、さらに好ましくは0.5〜1.0質量部含有される事が好ましい。
可塑剤としては、特に限定はないが、例えば、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが用いられる。その含有量は、バインダ100質量部に対して、10〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部で含有される事が好ましい。
帯電除剤としては、特に限定はないが、例えば、イミダゾリン系帯電除剤などが用いられ、その含有量は、セラミック粉末100質量部に対して0.1〜0.75質量部、さらに好ましくは0.25〜0.5質量部で含有されることが好ましい。
この余白パターン用ペーストは、図2(A)に示すように、電極パターン層12a間の余白パターン部に印刷される。その後、電極パターン層12aおよび余白パターン層12aは、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120°Cであり、乾燥時間は、好ましくは0.5〜5分である。
(3)上記のキャリアシート20および30とは別に、図2(A)に示すように、第3支持シートとしてのキャリアシート26の表面に接着層28が形成してある接着層転写用シートを準備する。キャリアシート26は、キャリアシート20および30と同様なシートで構成される。
接着層28の組成は、離型剤を含まない以外は、剥離層22と同様である。すなわち、接着層28は、バインダと、可塑剤とを含む。接着層28には、グリーンシート10aを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を含ませても良いが、誘電体粒子の粒径よりも厚みが薄い接着層を形成する場合には、誘電体粒子を含ませない方がよい。また、接着層28に誘電体粒子を含ませる場合には、その誘電体粒子の粒径は、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径より小さいことが好ましい。
可塑剤は、接着層28中に、バインダ100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部で含まれることが好ましい。
接着層28は、さらに帯電除剤を含み、当該帯電除剤は、イミダゾリン系界面活性剤の中の1つを含み、帯電除剤の重量基準添加量は、バインダ(有機高分子材料)の重量基準添加量以下であることが好ましい。すなわち、帯電除剤は、接着層28中に、バインダ100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部で含まれることが好ましい。
接着層28の厚みは、0.02〜0.3μm程度が好ましく、しかもグリーンシートに含まれる誘電体粒子の平均粒径よりも薄いことが好ましい。また、接着層28の厚みが、グリーンシート10aの厚みの1/10以下であることが好ましい。
接着層28の厚みが薄すぎると、接着力が低下し、厚すぎると、その接着層の厚みに依存して焼結後の素子本体の内部に隙間ができやすく、その体積分の静電容量が著しく低下する傾向にある。
接着層28は、第3支持シートとしてのキャリアシート26の表面に、たとえばバーコーター法、ダイコータ法、リバースコーター法、ディップコーター法、キスコーター法などの方法により形成され、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは室温〜80°Cであり、乾燥時間は、好ましくは1〜5分である。
(4)図2(A)に示す電極パターン層12aおよび余白パターン層24の表面に、接着層を形成するために、本実施形態では、転写法を採用している。すなわち、図2(B)に示すように、キャリアシート26の接着層28を、電極パターン層12aおよび余白パターン層24の表面に押し付け、加熱加圧して、その後キャリアシート26を剥がす。これにより、図2(C)に示すように、接着層28を、電極パターン層12aおよび余白パターン層24の表面に転写する。なお、接着層28の転写は、図3(A)に示すグリーンシート10aの表面に対して行っても良い。
転写時の加熱温度は、40〜100°Cが好ましく、また、加圧力は、0.2〜15MPaが好ましい。加圧は、プレスによる加圧でも、カレンダローラによる加圧でも良いが、一対のローラにより行うことが好ましい。
その後に、電極パターン層12aを、図3(A)に示すキャリアシート30の表面に形成してあるグリーンシート10aの表面に接着する。そのために、図3(B)に示すように、キャリアシート20の電極パターン層12aおよび余白パターン層24を、接着層28を介して、グリーンシート10aの表面にキャリアシート20と共に押し付け、加熱加圧して、図3(C)に示すように、電極パターン層12aおよび余白パターン層24を、グリーンシート10aの表面に転写する。ただし、グリーンシート側のキャリアシート30が引き剥がされることから、グリーンシート10a側から見れば、グリーンシート10aが電極パターン層12aおよび余白パターン層24に接着層28を介して転写される。
この転写時の加熱および加圧は、プレスによる加圧・加熱でも、カレンダローラによる加圧・加熱でも良いが、一対のローラにより行うことが好ましい。その加熱温度および加圧力は、接着層28を転写するときと同様である。
図2(A)〜図3(C)に示す工程により、単一のグリーンシート10a上に、単一層の所定パターンの電極パターン層12aが形成される。電極パターン層12aが形成されたグリーンシート10aは、必要な積層数となるまで、多数積層され、積層体を形成する。
(5)その後、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。このグリーンチップは、脱バインダ処理、焼成処理が行われ、そして、誘電体層を再酸化させるため、熱処理が行われる。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、
保持温度:200〜400℃、
保持時間:0.5〜20時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、
保持時間:0.5〜8時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8 Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層10の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層12が酸化する傾向にある。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
印刷乾燥装置
上述した積層セラミックコンデンサ2の製造方法において、図2(A)に示す支持シートとしてのキャリアシート20の剥離層22の表面に、電極パターン層12aを所定パターンで印刷法により形成する際に、図4に示す印刷乾燥装置40が使用される。
印刷乾燥装置40は、印刷領域42と、乾燥領域44とを有する。印刷領域42と乾燥領域44との間には、第1バッファ領域58が形成してある。支持シートとしてのキャリアシート20は、印刷領域42と乾燥領域44との間を掛け渡すように延びている。すなわち、供給ロール46から供給されるキャリアシート20は、最終的には、巻き取りロール72に巻き取られるようになっている。
印刷領域42では、供給ロール46から供給されるシート20が、ローラ47〜50を通過して、スクリーン印刷機(印刷手段)52へ送られる。スクリーン印刷機52では、シート20の表面のグリーンシートまたは剥離層に電極パターン層12aがスクリーン印刷される。なお、シート20の表面には、図2(A)に示すように、予め剥離層22が形成されている。
印刷機52で電極パターン層12aがスクリーン印刷されたシート20は、次に、検査部へ送られ、その後、ローラ56を通して、第1バッファ領域58へと送られる。ローラ56は、たとえばサクションローラであり、シート20の背面を真空引きにより吸着可能になっている。ローラ56は、回転と停止とを交互に繰り返し制御され、印刷機52での印刷が行われている間には、ローラ56は停止し、ローラ49がダンサーローラとして機能し、印刷時には、シート20には、その長手方向に沿って第1張力F1が作用するようになっている。
第1張力F1は、印刷の間に、シート20にしわなどが入らない程度の張力であり、具体的には、シート20の単位幅当たり、0.28〜0.83N/cmが好ましい。シート20の幅は、シートの長手方向と直交する方向であり、図4では、紙面と垂直な方向である。
サクションローラとして機能するローラ56と、ダンサーローラとして機能するローラ49とが、第1張力印加手段に相当する。また、ローラ56は、第1搬送手段にも相当する。
印刷が終わると、ローラ56が回転して、印刷機52の長さ分だけ、シート20をインデックス送り方向Di方向にインデックス送りする。ローラ56でインデックス送りされたシート20は、バッファ部58において、弛ませてあり、ローラ56および60の間に、折り返して垂れ下げられる。
乾燥領域44には、乾燥室62が設置してある。乾燥室62の内部には、図示省略してある乾燥用加熱手段が装着してある。乾燥用加熱手段としては、特に限定されないが、セラミックヒータ、乾燥用熱風吹き出し装置などが例示され、乾燥室の内部を所定の乾燥温度に維持するようになっている。乾燥室62の内部の乾燥温度は、好ましくは70〜100°Cである。
シート20は、本実施形態では、延伸成形されたPETフィルムで構成してあり、そのガラス転移温度Tgは、約78°Cである。そのガラス転移温度Tgと関連づけた乾燥温度は、{Tg−8}°C以上の温度で、しかも、{Tg+22}°C以下の温度であることが好ましい。
乾燥室62の内部で乾燥された電極パターン層12a付きのシート20は、その後に、EPC検出部64およびEPC駆動ローラ66を通過し、その後、ローラ67〜70を経て巻き取りロール72に巻き取られる。巻き取りロール72に巻き取られる際には、電極パターン層12aが外側に位置するようにシート20が巻き取られる。
EPC検出部64は、シート20の蛇行状態を検出し、その検出結果に基づき、EPC駆動ローラ66が、シート20の蛇行を補正する。ローラ67は、乾燥領域44におけるシート20に作用する長手方向の第2張力F2を検出する。検出された結果は、図示省略してある制御手段に送られ、その検出信号に基づき、巻き取りロール72の回転を制御し、シート20に作用する第2張力F2を一定に制御する。なお、ローラ70は、ダンサーローラとして機能し、ローラ70を水平移動させ、巻取部の抱き角を一定にする機能を有する。
本実施形態では、ローラ60は、サクションローラとして機能し、シート20を背面から吸着してスリップを防止している。ローラ60とロール72とが、第2張力印加手段として機能する。また、ローラ67が、第2張力検出手段として機能する。巻き取りロール72がローラ60と同期して回転し、その回転を制御することで、乾燥領域44では、シート20は、一定な第2張力F2が印加された状態で、停止することなく連続的に連続送り方向Dcへと送られる。
第2張力は、乾燥領域、特に乾燥室62の内部を通過するシート20の長手方向の収縮を防止できる張力に設定されることが好ましい。シート20の組成、シート20の幅、乾燥室62の内部の乾燥温度などに応じて、シート20の熱変形を抑制することができる最適な第2張力は変化する。本実施形態では、単位幅当たりの第2張力F2は、好ましくは、0.16〜1.22N/cmである。しかしながら、本発明では、後述するように、熱処理済のキャリアシート20を用いているため、その範囲外の張力であっても、乾燥室62でのシート20の熱変形を極力防止することができる。
本実施形態では、ローラ67により実際に作用する第2張力F2を検出し、その張力F2が、上記の範囲内の数値で一定になるように、ロール72を制御して、張力F2を制御する。
印刷領域42におけるインデックス送り方向Diと、乾燥領域44における連続送り方向Dcとは、同一方向であるが、印刷領域42では、インデックス送りされ、乾燥領域44では、連続送りされる。このために、これらの領域の間に第1バッファ領域58が具備してある。第1バッファ領域58を設けることで、印刷と乾燥とを連続的に行うことが可能になり、作業効率が向上する。
支持シートの製造装置
本実施形態では、図4に示す供給ロール46に巻回してあるキャリアシート(支持シート)20は、図5に示す支持シートの製造装置100により製造される。図5に示す支持シートの製造装置100は、熱処理前のキャリアシート20aがロール状に巻回してある未処理ロール46aを有する。未処理ロール46aに巻回してあるキャリアシート20aは、たとえば二軸延伸加工により形成されたPETフィルムである。
未処理ロール46aから巻き解されたキャリアシート20aは、粘着ローラ80を通して、表面および裏面に付着しているゴミなどが除去される。粘着ローラ80を通してゴミなどが除去されたキャリアシート20aは、ローラ81,ダンサーローラ82およびニップローラ83を通して、アニール炉84へ送り込まれる。
アニール炉84の内部では、金属ベルト、ゴムベルトなどの表面平滑性に優れたベルトコンベア(移動機構)86により、キャリアシート20aが搬送される。キャリアシート20aは、アニール炉84の内部において、キャリアシート20aに加わる最大張力が、搬送方向(長手方向)および幅方向の双方において、所定以下(好ましくは0N/cm近傍)となるように搬送される。アニール炉84の内部では、キャリアシート20aを、80〜150°Cの熱処理温度で熱処理する。
熱処理のための熱源としては、特に限定されず、パネルヒータ、ハロゲンランプ、その他のヒータ、温度調節空気送風装置などが用いられる。
ベルトコンベア86によるキャリアシート20aの搬送速度は、好ましくは1〜5m/minであり、キャリアシート20aのアニール炉84内での熱処理時間は、好ましくは3〜0.6分である。
アニール炉84にて熱処理された熱処理済キャリアシート20は、テンデンシーローラ88、ニップローラ89、粘着ローラ90、テンションピックアップローラ92、EPC検出部94およびEPC駆動ローラ96を介して、巻き取りロール46bに巻き取られる。EPC検出部94およびEPC駆動ローラ96は、図4に示すEPC検出部64およびEPC駆動ローラ66と同様な働きをする。
テンションピックアップローラ92は、巻き取りロール46bにおける巻き取り張力を検出し、巻き取りロール46bの回転を制御することで、巻き取り張力を制御する。巻き取りロール46bは、図4に示す供給ロール46となり、そこから、熱処理済のキャリアシート20が、印刷領域42および乾燥領域44へと送られる。
本発明に係る支持シートの製造装置100、およびそれを用いた積層セラミックコンデンサの製造方法では、乾燥室62において、シート20が加熱されたとしても、シート20が長手方向(搬送方向)および幅方向の双方において、熱変形が抑制される。その結果、シート20の上に印刷された電極パターン層12aの印刷パターンの乾燥後の位置ズレが生じにくくなる。
そのため、シート20上で、最初に印刷した電極パターン層12aの印刷パターンの上に、図2(A)に示すように、別の印刷パターンである余白パターン層24を印刷法により形成する場合において、パターン相互の位置ズレが生じにくくなる。
したがって、この方法を用いて、シート20の表面に電極パターン層12aのパターンまたは余白パターン層24を形成し、図1に示す積層セラミックコンデンサを製造することにより、小型化や薄層化が進んだ積層セラミックコンデンサ2を容易に製造することができる。すなわち、小型化や薄層化が進んだとしても、内部電極層および/または余白パターン層の積層ズレが生じにくく、シート間のデラミネーションや積層体の変形などを抑制し、静電容量などの特性のばらつきを抑制することができる。また、本実施形態では、積層ズレなどの欠陥が少なくなることから、積層セラミックコンデンサの製造歩留まりを向上させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、支持シートとしてのキャリアシート20に対して熱処理を行ったが、本発明では、その他のキャリアシート26および30に対しても熱処理を行っても良い。
また、本発明の方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、その他の積層型電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
熱処理前のキャリアシートとしては、リンテック(株)社製のシリコーン処理またはアルキド処理した延伸成形PETフィルムを用いた。そのシートの幅は、150mmであり、厚みは、38μmであった。
そのキャリアシートに対して、搬送方向(MD)の最大張力が0.22N/cmの状態で、熱処理(アニール)を行った。熱処理温度は、140°Cであり、熱処理時間は、3分であった。
熱処理(アニール)済のキャリアシートを十分に室温まで冷却(アニール時、ロールに巻き取られた際には冷却されている)し、24時間放置した後、そのキャリアシートを、電極パターン層の印刷後の乾燥温度である75°Cに1分間、加熱した後に取り出した。そのキャリアシートにおける搬送方向(MD)および幅方向(TD)の熱変形を測定した。
すなわち、印刷乾燥温度である75°Cに加熱する前のキャリアシートにおけるMDおよびTD方向の寸法に対して、75°Cに加熱した後のキャリアシートにおけるMDおよびTD方向の寸法の変化率(%)を求めた。結果を図6に示す。
比較例1
熱処理(アニール)を行わない以外は実施例1と同様な延伸成形PETフィルムを用いて、75°Cに加熱した前後のキャリアシートにおけるMDおよびTD方向の寸法の変化率(%)を求めた。結果を図6に示す。
評価
図6に示すように、比較例1に比べて、実施例1によれば、印刷後の乾燥温度においても、MDおよびTD方向の寸法の変化率(%)が少なく、印刷後の乾燥工程での熱による支持シートの変形を抑制できることが確認できた。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法により製造される積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2(A)〜図2(C)は、グリーンシートと電極層との積層工程の一例を示す要部断面図である。 図3(A)〜図3(C)は、図2(C)の続きの工程を示す要部断面図である。 図4は内部電極パターン層を印刷法により形成して所定の乾燥温度で乾燥させる工程を示す全体概略図である。 図5は本発明の一実施形態に係る支持シートの製造装置の全体概略図である。 図6は本発明の実施例および比較例に係る支持シートの変形を示すグラフである。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
12… 内部電極層
12a… 電極層
20… キャリアシート(第1支持シート;熱処理済)
20a… 未処理のキャリアシート
22… 剥離層
24… 余白パターン層
26… キャリアシート(第3支持シート)
28… 接着層
30… キャリアシート(第2支持シート)
40… 印刷乾燥装置
42… 印刷領域
44… 乾燥領域
46… 供給ロール
46a… 未処理ロール
46b… 巻き取りロール
52… スクリーン印刷機
62… 乾燥室
84… アニール炉
86… ローラコンベア
100… 支持シートの製造装置

Claims (6)

  1. 長手方向に沿って細長い支持シートの表面に、内部電極パターン層を印刷法により形成して所定の乾燥温度で乾燥させる工程を有する積層型電子部品の製造方法において、
    前記支持シートの表面に内部電極パターン層を形成する前に、前記支持シートを、シートの長手方向の最大張力が0.3N/cm以下の状態で、前記乾燥温度と同等以上の熱処理温度で熱処理することを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  2. 前記支持シートが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミドのうちのいずれかで構成してある請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
  3. 前記熱処理温度が、80〜150°Cである請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
  4. 前記支持シートの表面に内部電極パターン層を形成した後に、前記電極パターン層が形成されていない余白パターン部分に、余白パターン層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  5. 前記支持シートの表面に内部電極パターン層を形成する前に、余白パターン層を形成する工程を有し、
    前記余白パターン層を形成する前に、前記支持シートを熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  6. 熱処理前の支持シートがロール状に巻回してある未処理ロールと、
    前記未処理ロールから引き出された支持シートを、80〜150°Cの熱処理温度で熱処理するアニール炉と、
    前記アニール炉内で前記支持シートを熱処理する際に、前記支持シートにおける最大張力が0.3N/cm以下となるように、前記アニール炉内で前記支持シートを移動させる移動機構と、
    前記アニール炉内で熱処理された支持シートを巻き取る巻き取りロールと、を有する支持シートの製造装置。
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