JP2007121630A - 黒色トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境安定性及び耐久性に優れた黒色トナー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】結着樹脂及びカーボンブラックを含む黒色着色剤を含有した原料をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程(I)、該工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程(II)、及び該工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程(III)を有する黒色トナーの製造方法、並びに該製造方法により得られる黒色トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる黒色トナー及びその製造方法に関する。
フルカラープリンタの普及、技術の発展に伴い、高画質に対応したトナーの開発が望まれている。そこで、高画質化対応のために、粒度分布のシャープな粗粉砕物よりも比重の大きな流動性向上剤を添加しながら微粉砕することで粒度分布のシャープなトナーを製造する方法が報告されている(特許文献1参照)。
さらに、近年、高画質に加えて高速化が求められ、トナーの耐久性も要求されている。そこで、着色剤等の分散性を高めトナーの耐久性、画質を改良する方法として、オープンロール型混練機でトナー原料を溶融混練する方法が知られている(特許文献2、3参照)。
特開10-186721号公報 特開2004-20731号公報 特開2004-177714号公報
しかしながら、オープンロール型混練機は分散能力が高いため、カーボンブラックを含む黒色着色剤を使用した黒色トナーの製造においては、カーボンブラックの分散が過剰になり、高湿環境下において電荷が失われやすくカブリが発生しやすく環境安定性に欠けるという課題がある。
本発明の課題は、環境安定性及び耐久性に優れた黒色トナー及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、結着樹脂及びカーボンブラックを含む黒色着色剤を含有した原料をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程(I)、該工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程(II)、及び該工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程(III)を有する黒色トナーの製造方法、並びに該製造方法により得られる黒色トナーに関する。
本発明により、環境安定性及び耐久性に優れた黒色トナーが得られる。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも
工程(I):結着樹脂及びカーボンブラックを含む黒色着色剤を含有した原料をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程、
工程(II):工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程、
工程(III):工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程
を有するものである。
一般的に、カーボンブラックはストラクチャーと呼ばれるチェーン構造を有しており、トナー表面に摩擦帯電によって発生した電荷をストラクチャーを通じてトナー内部まで移行させることができるため、トナーに安定した導電性及び帯電性を付与する効果に優れていると言われている。しかし、オープンロール型混練機で溶融混練を行って得られる黒色トナーは、ストラクチャーが切断されて電荷がトナー内部へ移行できず、トナー表面に局在化してしまう傾向にあるため、トナーの帯電が外部環境の影響を受けやすくなる。これにより、カーボンブラックを含有した原料をオープンロール型混練きで溶融混練すると、黒色着色剤の分散性が向上する一方で、特に高湿環境下において電荷が失われやすくカブリが発生しやすいという課題が生じる。
しかしながら、本発明では、カーボンブラックを含有した原料をオープンロール型混練機を用いて溶融混練した後、無機微粉末の存在下で粉砕することにより、上記課題を解消することができる。これは、詳細な理由は不明なるも、混練物を無機微粉末の存在下で粉砕することにより、無機微粉末がトナー表面に強固に付着し、トナー表面が無機微粉末でコーティングされるため、カーボンブラックが直接外気にさらされにくくなり、電荷のリークを防ぐことができるためではないかと推定される。これに対し、トナー製造後に無機微粉末をトナー表面に外添するのみでは、無機微粉末がトナー表面上を移動しやすく、無機微粉末の移動によりトナー表面に露出したカーボンブラックが外気にさらされて電荷がリークされやすいものと推定される。
工程(I)は、結着樹脂及びカーボンブラックを含む黒色着色剤を含有した原料をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程である。
結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂の混合樹脂、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられるが、着色剤の分散性や透明性の観点から、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。結着樹脂中のポリエステルの含有量は、50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。なお、ハイブリッド樹脂としては、ポリエステル、ポリエステル・ポリアミド、ポリアミド等の縮重合系樹脂とビニル重合系樹脂等の付加重合系樹脂とが部分的に化学結合した樹脂が好ましく、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
ポリエステルの原料モノマーは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
ポリエステルの酸価は、5〜40mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜30mgKOH/gがさらに好ましい。
また、ポリエステルの軟化点は、70〜180℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが使用される。カーボンブラックの種類は特に限定されず、また、他の黒色着色剤を含有していてもかまわないが、カーボンブラックの含有量は、黒色着色剤中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。他の黒色着色剤としては、一般に黒色着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、アニリンブラック、ニグロシン染料、複合酸化物、チタンブラック、ペニレンブラック、ボーンブラック、マグネタイト等が挙げられる。
黒色着色剤の配合量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、色目や電荷調整のためにカラートナー用の着色剤を含有してもよい。
本発明においては、さらに、離型剤、荷電制御剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤、磁性体等の添加剤を原料として配合してもよい。
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して含有していてもよく、天然エステル系ワックスは遊離脂肪酸を除去した精製エステルワックスでもよい。本発明においては、ポリエステル樹脂との相溶性の観点から、天然エステル系ワックスが好ましい。
離型剤の融点は、低温定着性及び耐オフセット性の観点から、50〜120℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。
離型剤の配合量は、定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、2〜15重量部が好ましく、4〜10重量部がより好ましい。
結着樹脂、黒色着色剤等の原料は、ヘンシェルミキサー等により予備混合して、溶融混練に供するのが好ましい。
本発明において、原料の溶融混練には、オープンロール型混練機を用いる。オープンロール型混練機を用いることにより、混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、黒色着色剤を効率よく高分散させることができる。
本発明におけるオープンロール型混練機としては、少なくとも2本のロールを備え、溶融混練部がオープン型であるものをいい、少なくとも加熱ロールと冷却ロールとの2本のロールを備えた混練機を用いることが好ましい。かかるオープンロール型混練機は、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、オープンロール型混練機は、生産効率の観点から、連続式であるのが好ましい。
さらに、前記オープンロール型混練機において、2本のロールは並行に近接して配設されており、ロールの間隙は、0.01〜5mmが好ましく、0.05〜2mmがより好ましい。また、ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよい。
ロールの回転数、即ち周速度は、2〜100m/minであることが好ましい。冷却ロールの周速度は2〜100m/minが好ましく、10〜60m/minがより好ましく、15〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましく、2本のロールの周速度の比(冷却ロール/加熱ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
加熱ロール、特に原料投入側の温度は、結着樹脂の軟化点及び各々のワックスの融点のいずれの温度よりも高いことが好ましく、そのいずれかの高い方の温度よりも、0〜80℃高いことがより好ましく、5〜50℃高いことがさらに好ましい。また、冷却ロールの温度は、結着樹脂の軟化点及び各々のワックスの融点のいずれの温度よりも低いことが好ましく、そのいずれかの低い方の温度よりも、0〜80℃低いことがより好ましく、40〜80℃低いことがさらに好ましい。
加熱ロールと冷却ロールの温度の差は、60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
なお、ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
工程(II)は、工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程である。無機微粉末の存在下で粉砕を行うことにより、粉砕物同士の衝突により粉砕が進む一方で、粉砕物と無機微粉末との衝突が起こり、無機微粉末が粉砕物表面に付着する。
工程(I)で得られた混練物を冷却する温度は特に限定されず、混練物を粉砕可能な硬度に達するまで適宜冷却すればよい。
無機微粉末としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅及び酸化錫からなる群より選ばれた無機酸化物が好ましく、これらの中では、帯電性付与及び流動性付与の観点から、シリカが好ましい。
シリカ(SiO2)の微粉末は、乾式法および湿式法で製造されたもののいずれであってもよい。また、無水シリカのほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などを含有するものであってもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
また、無機微粉末の表面には疎水化処理が施されていてもよく、シリカは疎水化処理剤により処理されていることが好ましい。疎水化処理の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)等のシランカップリング剤、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル処理剤等が挙げられ、これらの中では、シランカップリング剤が好ましい。疎水化処理剤による処理量は、無機微粉末の表面積あたり、1〜7mg/m2が好ましい。
無機微粉末の平均粒径は、流動性を付与する観点から、8〜40nmが好ましく、8〜20nmがより好ましい。なお、ここでの平均粒径は、個数平均粒径である。
工程(II)における無機微粉末の存在量は、適度な流動付与効果を得る観点から、工程(I)で得られた混練物100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1.0〜7.0重量部がより好ましく、2.0〜6.5重量部がさらに好ましい。
工程(II)における冷却した混練物の粉砕は、一度に行っても、複数回に分けて行ってもよいが、粉砕効率及び生産効率の観点から、粗粉砕と微粉砕とを含むことが好ましく、予め粒径を最大径が好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下となるまで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物をさらに目的のトナー粒径を考慮して微粉砕することが好ましい。ここで、最大径が3mm以下とは、全てのトナー粒子が目開き3mmのふるいを通過することを意味する。同様に、最大径が2mm以下とは、全てのトナー粒子が目開き2mmのふるいを通過することを意味する。
粉砕工程を粗粉砕と微粉砕に分けて行う場合、無機微粉末は、いずれの粉砕工程で存在させてもよいが、無機微粉末のトナー表面での分散性の観点から、微粉砕工程を無機微粉末の存在下で行うことが好ましい。
混練物を粗粉砕する工程には、アトマイザー、ロートプレックス等を用いることができる。
粗粉砕物を微粉砕する工程に用いる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル等のジェット式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機等が挙げられるが、本発明の特定粒径にワックスを分散させた効果がより顕著に発揮される点で、ジェット式粉砕機が好ましい。
本発明に用いられる流動層式ジェットミルとしては、例えば、下方部分に複数のジェットノズルが対向するように配置された粉砕室を少なくとも有し、ジェットノズルから噴出する高速のガス噴流により、粉砕容器内に供給された粒子の流動層が形成され、流動層において、粒子の加速、相互衝突が繰り返されることにより、粒子が微粉砕される構造・原理を有する、粉砕機が挙げられる。
上記構造を有するジェットミルにおいて、ジェットノズルの本数は特に限定されないが、風量、流量、流速のバランスや粒子の衝突効率等の観点から、複数、好ましくは3〜4本のジェットノズルが、対向して配置されていることが好ましい。
さらに、粉砕室の上方部分には粉砕により小粒径化され、上昇した小粒径の粒子を捕集する分級ロータが設けられている。粒度分布は、かかる分級ロータの回転数により容易に調整することができる。分級ロータによる分級により、粉砕物(上限分級粉)が得られる。
分級ロータは、鉛直方向に対して縦向き、横向きのいずれに配置されていてもよいが、分級性能の観点から、縦向きに配置されていることが好ましい。
複数のジェットノズルが備えられ、さらに分級ロータを有する流動層式ジェットミルの具体例としては、特開昭60-166547号公報、特開2002-35631号公報に開示された粉砕機が挙げられる。
本発明において好適に用いられる流動層式ジェットミルとしては、ホソカワミクロン社製の「TFG」シリーズ、ホソカワミクロン社製の「AFG」シリーズ等が挙げられる。
また、気流式ジェットミルとしては、例えば、ベンチュリノズルと該ベンチュリノズルと対向するように配置した衝突部材とを備えた衝突式ジェットミル等が挙げられる。
本発明において好適に用いられる気流式ジェットミルとしては、日本ニューマチック社製の「IDS」シリーズ等が挙げられる。
なお、無機微粉末の存在下で粉砕物を粉砕する方法としては、粉砕前に予め混練物や粗粉砕物を無機微粉末と混合する方法、粉砕機への供給時に両者を合わせ同時に両者を粉砕機に供給する方法、それぞれ別の供給口から粉砕機に供給する方法等、特に限定されないが、本発明では、無機微粉末の付着性の観点から、予め混練物又は粗粉砕物と無機微粉末とを混合する方法が好ましい。
混練物又は粗粉砕物と無機微粉末との混合は、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌可能な混合機によって行うことができる。
続いて、工程(II)により得られた粉砕物を工程(III)に供する。
工程(III)は、工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程である。
工程(III)で用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられるが、本発明においては、微粉を除去する能力の観点から、ケーシング内に鉛直方向に配置された駆動軸を中心軸とする分級ロータと、該分級ロータと同一の駆動軸を中心軸とし、該分級ロータの外周の分級ゾーンに該分級ロータの外周とは間隔を空けて配置された不動の螺旋状案内羽根とを有する分級機であることが好ましい。かかる構造を有する分級機の具体例としては、特開平11-216425号公報の図2、特開2004-78063号公報の図6に図示された分級機や、ホソカワミクロン社製の「TSP」シリーズ等の市販品等が挙げられるが、以下に分級機構の概略を説明する。
分級機のケーシング内に供給された粉砕物は、螺旋状案内羽根に誘導されながら分級ロータ外周の分級ゾーンを下降する。分級ロータ内部と分級ゾーンは、分級ロータの外周面に設けられた分級羽根を介して連通しており、粉砕物が下降する際に、分級空気に乗った微粉は分級羽根を介して分級ロータ内部に吸引され、微粉排出口から排出される。一方、分級空気流に乗らなかった粗粉は重力により、分級ゾーンを下降し、粗粉排出口から排出される。
さらに、工程(III)で用いる分級機は、1つのケーシング内で同一の駆動軸を中心軸とする2個の分級ロータを有するものであることが好ましく、分級ロータは各々独立して同方向に回転することが好ましい。分級ロータを上下2段に備えた分級機の具体例としては、特開2001-293438号公報の図1に図示された分級機や、ホソカワミクロン社製の「TTSP」シリーズ等の市販品等が挙げられる。
分級ロータが上下2段に備えられている場合には、両者における分級空気の吸引速度、分級ロータの回転速度等をそれぞれ調整することにより、より精度の高い分級が可能となり、より好ましい。
例えば、上段の分級ロータの回転数と下段の分級ロータの回転数の比(上段の分級ロータの回転数/下段の分級ロータの回転数)は、乱流を防止する観点から、1/1.05〜1.05/1が好ましく、1/1がより好ましい。
また、上段の分級エア吸引口から導入されるエア流量と下段の分級エア吸引口から導入されるエア流量は、分級精度やトナーの収率の観点から、ほぼ等しいことが好ましい。
なお、工程(III)で用いる分級機は、主として微粉を除去する微粉側分級(下限分級)に用いることが好ましい。なお、分級工程により除去された微粉は、再分級により必要な部分を再捕集するため、工程(III)に供してもよい。
本発明により得られるトナーの体積中位粒径をDv50、個数中位粒径をDp50とするとき、ドット周辺のトナー散りの観点から、(1.4×Dv50)μm以上の粒径を有する粒子の含有量は、トナー中、7体積%以下が好ましく、6体積%以下がより好ましく、5体積%以下がさらに好ましい。また、流動性及び帯電性低下の防止の観点から、粒径が〔0.6×個数中位粒径(Dp50)〕μm以下の粒子の含有量は、トナー中、6個数%以下が好ましく、5個数%以下がより好ましく、4個数%以下がさらに好ましい。本発明により、このような粒度分布のシャープなトナーも効率よく製造することができる。
また、トナーの体積中位粒径(Dv50)は、本発明による生産性の高さがより顕著に発揮される観点から、3〜7μmが好ましく、3.5〜6.5μmがより好ましく、4〜6μmがさらに好ましい。
本発明の黒色トナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、またはキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔外添剤の平均粒径〕
下記式より求める。
平均粒径(μm)=6/(ρ×比表面積(m2/g))
式中、ρは外添剤の比重であり、比表面積は疎水化処理前の原体の、窒素吸着法により求められたBET比表面積である。シリカの比重は2.2であり、酸化チタンの比重は4.2である。
なお、上記式は、粒径Rの球と仮定して、
BET比表面積=S×(1/m)
m(粒子の重さ)=4/3×π×(R/2)3×密度
S(表面積)=4π(R/2)2
から得られる式である。
〔トナーの粒度分布〕
コールターカウンター「コールターマルチサイザーII」(ベックマンコールター社製)を用い、下記の方法に従って、トナーの粒度分布を求める。
(1)分散液の調製:分散液(エマルゲン 109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液)5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液(アイソトンII(ベックマンコールター社製))25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子の粒径を測定する。
(4)測定値から、体積中位粒径(Dv50、μm)、個数中位粒径(Dp50、μm)、(1.4×Dv50)μm以上の粒径を有する粒子の含有量(体積%)及び(0.6×Dp50)μm以下の粒径を有する粒子の含有量(個数%)を求める。
樹脂製造例
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン 568g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン 792g、テレフタル酸 640g、及びオクチル酸錫 10gを窒素気流下、210℃にて攪拌しつつ反応させた。軟化点により重合度を追跡し、軟化点が110℃に達した時点で反応を終了した。得られた樹脂を樹脂Aとする。樹脂Aのガラス転移点は68℃、酸価は5mgKOH/gであった。
実施例1及び比較例1
樹脂A 100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)5重量部、離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、融点:83℃)6重量部及び負帯電性荷電制御剤「T-77」(保土谷化学工業社製)1重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、得られた混合物を連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山(株)製)により混練し、混練物を得た。
なお、使用した連続式二本オープンロール型混練機は、ロール外径が0.14m、有効ロール長が0.8mのものであり、運転条件は、高回転側ロール(前ロール)の回転数が75r/min、低回転側ロール(後ロール)の回転数が50r/min、ロール間隙が0.1mmであった。ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、高回転ロールの原料投入側の温度を150℃、混練物排出側の温度を130℃、低回転ロールの原料投入側の温度を35℃及び混練物排出側の温度を30℃に設定した。また、原料混合物の供給速度は10kg/時であった。
ついで、得られた混練物を空気中で冷却したのち、ロートプレックス(ホソカワミクロン社製)にて目開き2mmのスクリーンを使用して粗粉砕し、最大径2mm以下の粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物100重量部に対し、表1に示す無機微粉末をヘンシェルミキサーにて混合し、得られた混合物をカウンタージェットミル「400AFG」(ホソカワミクロン社製)にて粉砕圧0.8MPaで微粉砕し、微粉砕物(上限分級粉)を得た。
さらに、微粉砕物(上限分級粉)を分級機「TTSP」(ホソカワミクロン社製)により下限分級(微粉除去)し、トナーを得た。得られたトナーの粒度分布を表1に示す。さらに、得られたトナー100重量部に、表1に示す外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーで外添した。
実施例2
カウンタージェットミル「400AFG」による粉砕圧を0.6MPaに変更し、表1に示す粒度分布のトナーを得た以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
実施例3
カウンタージェットミル「400AFG」の代わりに、衝突版式ジェットミル「I-5」(日本ニューマチック社製)を使用し、分級機として、「TTSP」の代わりにディスパージョンセパレータ「IDS」(日本ニューマチック社製)を使用した以外は、実施例1と同様にトナーを得た。
比較例2
混練機としてオープンロール型混練機の代わりにロール内加熱温度100℃の二軸混練機を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。さらに、得られたトナー100重量部に、表1に示す外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーで外添した。
試験例1
25℃、相対湿度50%の環境下又は25℃、相対湿度80%の環境下で、トナーを実装した「MicroLine 9300PS」(沖データ社製、解像度:1200dpi×600dpi)を、12時間放置した後、印字率0%の白紙を印刷した。印刷後、感光体ドラム上に残存したトナーをメンディングテープに移しとった。かかるメンディングテープと未使用のメンディングテープとをそれぞれ白紙に貼り付け、両者の画像濃度を反射式濃度計「X-Rite938」(X-Rite社製)(C光源、視野角2℃、レスポンスEモード)にて測定し、その差を求めた。結果を表1に示す。
試験例2
「MicroLine 9300PS」(沖データ社製、解像度:1200dpi×600dpi)にトナーを実装し、印字率5%の画像を24000枚連続して印刷し、フィルミングに起因するスジが発生しているか否かを目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐久性を評価した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
○:スジが発生していない
×:スジが発生
Figure 2007121630
以上の結果より、実施例のトナーはいずれも、湿度条件にかかわらず、カブリが低減されており、耐久性にも優れることが分かる。これに対し、比較例1では、同じ無機微粉末を使用していても、粉砕時に添加していないために、カーボンブラックが過剰に分散し、高湿下でのカブリの発生が顕著であり、比較例2では、オープンロール型混練機を使用しないために、カブリは問題ないものの、内添剤の分散が不十分であるため、耐久性が低下している。
本発明により得られる黒色トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる。

Claims (5)

  1. 結着樹脂及びカーボンブラックを含む黒色着色剤を含有した原料をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程(I)、該工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程(II)、及び該工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程(III)を有する黒色トナーの製造方法。
  2. 工程(II)が、工程(I)で得られた混練物を冷却し、最大径が3mm以下に粗粉砕した後、さらに無機微粉末の存在下、ジェット式粉砕機を用いて微粉砕する工程である請求項1記載の黒色トナーの製造方法。
  3. 工程(III)において、ケーシング内に鉛直方向に配置された駆動軸を中心軸とする分級ロータと、該分級ロータと同一の駆動軸を中心軸とし、該分級ロータの外周の分級ゾーンに該分級ロータの外周とは間隔を空けて配置された不動の螺旋状案内羽根とを有する分級機を用いて工程(II)で得られた粉砕物を分級する請求項1又は2記載の黒色トナーの製造方法。
  4. 得られるトナーの体積中位粒径をDv50、個数中位粒径をDp50とするとき、Dv50が3〜7μmであり、体積粒度分布における(1.4×Dv50)μm以上の粒子の含有量が7体積%以下であり、個数粒度分布における(0.6×Dp50)μm以下の粒子の含有量が6個数%以下である請求項1〜3いずれか記載の黒色トナーの製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の製造方法により得られる黒色トナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009222956A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Ricoh Co Ltd 電子写真用フルカラートナーの製造方法
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