JP4850535B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー及びその製造方法に関する。
近年、廃棄物低減や生産コスト低減等の目的のため、溶融混練工程、粉砕工程及び分級工程を有するトナーの製造工程で発生した粉体、例えば分級工程で除去された微粉を回収し、トナーの原料として再利用することが広く行われている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、いずれの方法も二軸押出機等の密閉式の混練機を使用した方法であり、オープンロール型混練機を使用した方法は報告されていない。
特開2003−98733号公報 特開平8−95296号公報 特開2004−101845号公報
回収した微粉(以下、回収微粉という)を再利用したトナーは、回収微粉の均一分散が不十分となり、画質や耐久性に劣り、特に、高速連続印字において、表面処理剤の埋め込みによる耐久性の劣化が生じ、カブリやトナー飛散といった画質劣化を生じやすい。特にトナーへのストレスの強い一成分現像方式で顕著である。また、従来広く使用されている二軸押出機に回収微粉を供給すると、回収微粉のスクリューへの噛み込み不良により、処理量が低下する。また、回収微粉が融着により押出機の供給口に堆積し、供給口の閉塞を招くこともある。特に、離型剤が大量に含有されている場合は、混練機からの熱の影響を受けやすく、供給口に融着堆積して閉塞を招く可能性が高くなり、原料供給が安定せず、トナー原料、特に着色剤の分散不良を生じる原因となる。
本発明の課題は、トナーの製造工程で発生した微粉を再利用して溶融混練工程に供しても、耐久性及び着色剤等の原料の分散性に優れたトナーを、生産性を低下させることなく、効率よく製造し得る方法及び該方法により得られるトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有してなるトナー原料組成物と回収微粉とを溶融混練する工程(I)、該工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程(II)、及び、該工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程(III)を含むトナーの製造方法であって、前記回収微粉が前記工程(III)で発生した微粉であり、前記工程(I)を、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用いて、前記トナー原料組成物の供給口とは異なる別の供給口から、前記回収微粉を該混練機に供給して行うトナーの製造方法に関する。
本発明の方法により、トナーの製造工程で発生した微粉を再利用して溶融混練工程に供しても、生産性を低下させることなく、効率よく、耐久性及び着色剤等の原料の分散性に優れたトナーを得ることができる。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも
工程(I):結着樹脂及び着色剤を含有してなるトナー原料組成物と回収微粉とを溶融混練する工程、
工程(II):工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程、及び
工程(III):工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程
を含むものであり、工程(I)の溶融混練工程を、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用いて行い、前記トナー原料組成物の供給口とは異なる別の供給口から、工程(III)で発生した回収微粉を該混練機に供給して行う点に1つの特徴を有する。
本発明の分級工程で得られる回収微粉には、粉砕工程を無機微粉末存在下で行うため、無機微粉末が含有される。この回収微粉は溶融混練工程でトナー原料組成物の供給口とは異なる別の供給口から供されて溶融混練され、続く粉砕工程では無機微粉末が核となり無機微粉末界面で粉砕されると考えられる。このため、分級工程で得られる分級粉の表面に無機微粉末が露出した状態となり、この分級粉の表面に存在する無機微粉末上に表面処理剤が添加されるため、高速連続印字での強いストレスによる表面処理剤の埋め込みが防止されるのではないかと推察される。
工程(I)は、結着樹脂及び着色剤を含有したトナー原料組成物を、回収微粉とともにオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程である。
結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエステル・ポリアミド、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂、これらの混合物等が挙げられ、これらの中では、定着性の観点から、ポリエステルが好ましい。
ポリエステルは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で行うことができる。
ポリエステルの軟化点は、画像光沢や色再現の観点から、80〜170℃が好ましく、90〜165℃がより好ましく、100〜160℃がさらに好ましい。本発明において、ポリエステルは、軟化点が10℃以上異なる2種類のポリエステルからなることが好ましい。具体的には、耐オフセット性及び耐久性の観点から、軟化点が120〜170℃、好ましくは125〜165℃、より好ましくは130〜160℃である高軟化点ポリエステルと、低温定着性の観点から、軟化点が80〜120℃、好ましくは90〜115℃、より好ましくは100〜115℃である低軟化点ポリエステルの組み合わせが望ましい。
高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルとの重量比(高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステル)は、10/90〜90/10が好ましく、30/70〜70/30がより好ましい。
ポリエステルのガラス転移点は、50〜85℃が好ましく、55〜80℃がより好ましく、60〜75℃がさらに好ましい。酸価は、分散性の観点から、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜38mgKOH/gがより好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明により製造するトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
本発明においては、結着樹脂及び着色剤に加えて、さらに離型剤、荷電制御剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤をトナー原料として適宜配合してもよい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、アルコール系ワックス等のワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックスが挙げられ、これらのワックスは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。本発明においては、ポリエステルとの相溶性の観点から、カルナバワックスが好ましい。離型剤の配合量は、定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、4〜10重量部がより好ましい。
離型剤の融点は、定着性の観点から、50〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、70〜100℃がさらに好ましい。
荷電制御剤としては、負帯電性及び正帯電性のいずれのものも使用することができる。負帯電性荷電制御剤としては、例えば、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正帯電性荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。また、樹脂等の高分子タイプのものを使用することもできる。荷電制御剤の配合量は、帯電性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。
トナー原料組成物の混合は、結着樹脂、着色剤等の全ての原料を一度に混合する方法であっても、分割して混合する方法であってもよい。
トナー原料組成物の混合に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等が挙げられるが、分散性の観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
トナー原料組成物の溶融混練では、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用い、トナー原料組成物の混合物の供給口とは異なる別の供給口から、分級工程で発生した回収微粉を混練機に供給する。
混練機への回収微粉の供給方法は、回収微粉を予め結着樹脂、着色剤等のトナー原料と混合して供給する方法、それらのトナー原料とは別に独立して供給する方法があるが、前者の方法では、トナー原料のみを混合する場合と同程度に混合するためには、攪拌時間を長くする等の生産性が低下する混合条件に変更しなければならないことが多い。さらに、攪拌時間の長時間化は、混合機内の温度の上昇により、トナー原料が攪拌羽根や混合機の内壁に融着し混合装置に損害を与えたり、原料供給の不安定性から生じるトナー原料、特に、着色剤の分散不良が生じたりする原因となる。しかしながら、本発明ではトナー原料とは別に回収微粉を混練機に供給するため、回収微粉の使用により混合条件を変更する必要もなく、生産性よくトナーを製造することができる。さらに、回収微粉をトナー原料とは別に混練機に供給することにより、回収微粉を使用しない場合と比べて、回収微粉の使用量を処理量に加算することができる。すなわち、混練機へのトナー原料組成物と回収微粉の単位時間あたりの総供給量を、トナー原料組成物のみを混練機に供給する場合と比べてトナー原料組成物の単位時間あたりに供給可能な量の上限値よりも多くすることができる。この効果に加え、回収微粉には無機微粉末が含有されているため、回収微粉の流動性が向上し、混練機への供給が容易になるという効果も奏する。二軸押出機等の密閉式の混練機では、混練部の容量が限られているため原料の供給量の増加は困難であり、また回収微粉、特に離型剤を含有した回収微粉は溶融しやすく、回収微粉を単独で供給すると供給口の閉塞を招く可能性も高く、又、回収微粉は粒径が小さいため凝集しやすく作業性に劣ることが問題であったが、本発明では特定の方法でオープンロール型混練機を使用しているため、生産性及び作業性の高い混練を連続して行うことができる。
本発明に用いられる回収微粉は、分級工程で発生した微粉であり、分級工程の下限分級において除去された微粉であることが好ましい。かかる回収微粉は、再度溶融混練し、チップ化して使用してもよいが、回収微粉をそのまま再利用することが好ましい。これは、本発明の分級工程で得られる回収微粉は、その表面に無機微粉末が付着しているため、流動性が高く、供給口への堆積が低減されるため、混練機への安定した供給を行うことができるためである。
溶融混練工程に供する回収微粉の粒径は、ロールからの落下を防止する観点から、105μm以下であることが好ましく、63μm以下がより好ましい。なお、本発明においては、溶融混練工程に供する回収微粉の体積中位粒径(D50)が10μm以下の微粉は、粒径105μm以下の粒径とする。回収微粉の体積中位粒径(D50)は、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
回収微粉は、樹脂の分子鎖切断によるトナーの軟化点低下を低減し、着色剤や離型剤等の内添剤の再凝集を防止する観点から、溶融に近い状態で、混練シェアを抑えてトナー原料組成物と混ぜ合わせることが好ましい。従って、回収微粉を供給する供給口は、トナー原料組成物の供給口より混練物排出口側で、かつ混練機の混練有効長をLとするとき、トナー原料組成物の供給口から混練物排出口側に向かって好ましくは0.3L〜0.7L、より好ましくは0.35L〜0.65L、さらに好ましくは0.4L〜0.6Lの範囲に位置する供給口であることが望ましい。さらに、混練物排出口に最も近い供給口は、溶融混合を十分に行う観点から、混練機の混練有効部において、供給口側端部から0.5L〜0.75Lの範囲に設置されていることが好ましい。
単位時間あたりの回収微粉の供給量は、分散性及び生産性の観点から、トナー原料組成物100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。
トナー原料組成物の混合物は、1箇所の供給口から混練機に供給してもよく、複数の供給口から分割して混練機に供給してもよいが、操作の簡便性及び装置の簡略化の観点からは、1箇所の供給口から混練機に供給することが好ましい。
本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の供給口、即ちトナー原料組成物の供給口と回収微粉の供給口を、それぞれ1個ずつ、少なくとも2個の供給口と混練物排出口とを有するものである。
連続式オープンロール型混練機とは、溶融混練部がオープン型であるものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロール、好ましくは、加熱ロールと冷却ロールとの2本のロールを備えた混練機であることが望ましい。
2本のロールは並行に配置されていてもよいが、より混練シェアを緩やかにして樹脂の分子切断等を防止しつつトナー原料組成物と回収微粉とを溶融混練する観点及び回収微粉のロール上での滞留時間を長くして均一に分散させる観点から、混練物排出口側端部のロール隙間は、供給口側端部のロール間隙よりも広くなるように配置されていることが好ましく、具体的には、混練物供給口側端部のロール隙間は、0.1〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましく、0.15〜0.8mmさらに好ましく、混練物排出口側端部のロール隙間は、0.1〜2mmが好ましく、0.3〜1.5mmがより好ましく、0.5〜1mmがさらに好ましい。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高めるために、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
加熱ロール、特に供給口側の温度は、結着樹脂の軟化点及び離型剤の融点のいずれの温度よりも高いことが好ましく、そのいずれかの高い方の温度よりも、0〜80℃高いことがより好ましく、5〜50℃高いことがさらに好ましい。ここで、複数の結着樹脂を含有するトナーの製造においては、結着樹脂の軟化点とは、各結着樹脂の軟化点と重量比を乗じて和をとったときの軟化点である。また、冷却ロール、特に供給口側の温度は、結着樹脂の軟化点の温度よりも低いことが好ましく、離型剤の融点付近、具体的には融点±15℃の範囲内であることがより好ましく、融点±10℃の範囲内であることがさらに好ましい。
加熱ロールの回転数、即ち周速度は、2〜100m/minであることが好ましい。冷却ロールの周速度は2〜100m/minが好ましく、10〜60m/minがより好ましく、15〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましく、2本のロールの周速度の比(冷却ロール/加熱ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程である。無機微粉末の存在下で粉砕を行うことにより、粉砕物同士の衝突により粉砕が進む一方で、粉砕物と無機微粉末との衝突が起こり、無機微粉末が粉砕物表面に付着する。
工程(I)で得られた混練物を冷却する温度は特に限定されず、混練物を粉砕可能な硬度に達するまで適宜冷却すればよい。
無機微粉末としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅及び酸化錫等からなる群より選ばれた無機酸化物が好ましく、これらの中では、帯電性付与及び流動性付与の観点から、シリカが好ましい。また、これらは単独でも又は2種類以上組み合わせても用いることができる。
シリカ(SiO2)の微粉末は、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれであってもよい。また、無水シリカのほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などを含有するものであってもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
また、無機微粉末の表面には疎水化処理が施されていてもよく、シリカは疎水化処理剤により処理されていることが好ましい。疎水化処理の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)等のシランカップリング剤、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル処理剤等が挙げられ、これらの中では、シランカップリング剤が好ましい。疎水化処理剤による処理量は、無機微粉末の表面積あたり、1〜7mg/m2が好ましい。
無機微粉末の平均粒径は、流動性を付与する観点から、8〜100nmが好ましく、8〜50nmがより好ましく、8〜20nmがさらに好ましい。なお、ここでの平均粒径は、個数平均粒径である。
工程(II)における冷却した混練物の粉砕は、一度に行っても、複数回に分けて行ってもよいが、粉砕効率及び生産効率の観点から、粗粉砕と微粉砕とを含むことが好ましく、予め粒径を最大径が好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下となるまで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物をさらに目的のトナー粒径を考慮して微粉砕することが好ましい。ここで、最大径が3mm以下とは、全てのトナー粒子が目開き3mmのふるいを通過することを意味する。同様に、最大径が2mm以下とは、全てのトナー粒子が目開き2mmのふるいを通過することを意味する。
粉砕工程を粗粉砕と微粉砕に分けて行う場合、無機微粉末は、いずれの粉砕工程で存在させてもよいが、無機微粉末のトナー表面での分散性及び無機微粉末の回収微粉表面での分散性の観点から、微粉砕工程を無機微粉末の存在下で行うことが好ましい。
工程(II)における無機微粉末の存在量は、適度な流動性付与効果を得る観点から、工程(I)で得られた混練物又は粗粉砕物100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、0.5〜8重量部がより好ましく、0.5〜7重量部がさらに好ましい。
混練物を粗粉砕する工程には、アトマイザー、ロートプレックス等を用いることができる。
粗粉砕物を微粉砕する工程に用いる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル等のジェット式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機等が挙げられるが、粉砕性の観点から、ジェット式粉砕機が好ましい。
本発明に用いられる流動層式ジェットミルとしては、例えば、下方部分に複数のジェットノズルが対向するように配置された粉砕室を少なくとも有し、ジェットノズルから噴出する高速のガス噴流により、粉砕容器内に供給された粒子の流動層が形成され、流動層において、粒子の加速、相互衝突が繰り返されることにより、粒子が微粉砕される構造・原理を有する、粉砕機が挙げられる。
上記構造を有するジェットミルにおいて、ジェットノズルの本数は特に限定されないが、風量、流量、流速のバランスや粒子の衝突効率等の観点から、複数、好ましくは3〜4本のジェットノズルが、対向して配置されていることが好ましい。
さらに、粉砕室の上方部分には粉砕により小粒径化され、上昇した小粒径の粒子を捕集する分級ロータが設けられている。粒度分布は、かかる分級ロータの回転数により容易に調整することができる。分級ロータによる分級により、粉砕物(上限分級粉)が得られる。
分級ロータは、鉛直方向に対して縦向き、横向きのいずれに配置されていてもよいが、分級性能の観点から、縦向きに配置されていることが好ましい。
複数のジェットノズルが備えられ、さらに分級ロータを有する流動層式ジェットミルの具体例としては、特開昭60-166547号公報、特開2002-35631号公報に開示された粉砕機が挙げられる。
本発明において好適に用いられる流動層式ジェットミルとしては、ホソカワミクロン社製の「TFG」シリーズ、ホソカワミクロン社製の「AFG」シリーズ等が挙げられる。
また、気流式ジェットミルとしては、例えば、ベンチュリノズルと該ベンチュリノズルと対向するように配置した衝突部材とを備えた衝突式ジェットミル等が挙げられる。
本発明において好適に用いられる気流式ジェットミルとしては、日本ニューマチック社製の「IDS」シリーズ等が挙げられる。
なお、無機微粉末の存在下で粉砕物を粉砕する方法としては、粉砕前に予め混練物や粗粉砕物を無機微粉末と混合する方法、粉砕機への供給時に両者を合わせ同時に両者を粉砕機に供給する方法、それぞれ別の供給口から粉砕機に供給する方法等、特に限定されないが、本発明では、無機微粉末の付着性の観点から、予め混練物又は粗粉砕物と無機微粉末とを混合する方法が好ましい。
混練物又は粗粉砕物と無機微粉末との混合は、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌可能な混合機によって行うことができるが、分散性の観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
続いて、工程(II)により得られた粉砕物を工程(III)に供する。
工程(III)は、工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程である。
工程(III)で用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられるが、本発明においては、微粉を除去する能力の観点から、ケーシング内に鉛直方向に配置された駆動軸を中心軸とする分級ロータと、該分級ロータと同一の駆動軸を中心軸とし、該分級ロータの外周の分級ゾーンに該分級ロータの外周とは間隔を空けて配置された不動の螺旋状案内羽根とを有する分級機であることが好ましい。かかる構造を有する分級機の具体例としては、特開平11-216425号公報の図2、特開2004-78063号公報の図6に図示された分級機や、ホソカワミクロン社製の「TSP」シリーズ等の市販品等が挙げられるが、以下に分級機構の概略を説明する。
分級機のケーシング内に供給された粉砕物は、螺旋状案内羽根に誘導されながら分級ロータ外周の分級ゾーンを下降する。分級ロータ内部と分級ゾーンは、分級ロータの外周面に設けられた分級羽根を介して連通しており、粉砕物が下降する際に、分級空気に乗った微粉は分級羽根を介して分級ロータ内部に吸引され、微粉排出口から排出される。一方、分級空気流に乗らなかった粗粉は重力により、分級ゾーンを下降し、粗粉排出口から排出される。
さらに、工程(III)で用いる分級機は、1つのケーシング内で同一の駆動軸を中心軸とする2個の分級ロータを有するものであることが好ましく、分級ロータは各々独立して同方向に回転することが好ましい。分級ロータを上下2段に備えた分級機の具体例としては、特開2001-293438号公報の図1に図示された分級機や、ホソカワミクロン社製の「TTSP」シリーズ等の市販品等が挙げられる。
分級ロータが上下2段に備えられている場合には、両者における分級空気の吸引速度、分級ロータの回転速度等をそれぞれ調整することにより、より精度の高い分級が可能となり、より好ましい。
例えば、上段の分級ロータの回転数と下段の分級ロータの回転数の比(上段の分級ロータの回転数/下段の分級ロータの回転数)は、乱流を防止する観点から、1/1.05〜1.05/1が好ましく、1/1がより好ましい。
また、上段の分級エア吸引口から導入されるエア流量と下段の分級エア吸引口から導入されるエア流量は、分級精度やトナーの収率の観点から、ほぼ等しいことが好ましい。
なお、工程(III)で用いる分級機は、主として微粉を除去する微粉側分級(下限分級)に用いることが好ましい。なお、分級工程により除去された微粉は、再分級により必要な部分を再捕集するため、工程(III)に供してもよい。
さらに、本発明は、トナーの流動性や帯電制御の観点から、工程(III)により得られた分級物を表面処理する工程(IV)を含むことが好ましい。
表面処理は、疎水性シリカ等の流動性向上剤等の外添剤をトナー表面に外添する方法が好ましい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子や前述の無機微粒子が使用できる。
本発明により得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。
本発明により得られたトナーは、現像方法に限定されず使用することができ、一成分現像用トナー及び二成分現像用トナーのいずれにも用いることができるが、本発明により得られるトナーは耐久性に優れることから、ストレスの強い一成分現像方式において好適に使用できる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔粗粉砕物の粒径〕
目的の粒径に対応した目開きXμmの篩を用意し、試料50gを篩の上に置いて篩分けする。篩上に残存した粗粉砕物が30重量%(15g)未満であるものをXμmの粒径とする。
〔回収微粉の体積中位粒径(D50)〕
トナーの体積中位粒径(D50)と同様の方法により測定する。
〔無機微粉末及び外添剤の個数平均粒径〕
下記式より求める。
個数平均粒径(nm)=6/(ρ×比表面積(m2/g))×1000
式中、ρは無機微粉末又は外添剤の比重であり、比表面積は原体の、外添剤の場合は疎水化処理前の原体の、窒素吸着法により求められたBET比表面積である。シリカの比重は2.2であり、酸化チタンの比重は4.2である。
なお、上記式は、粒径Rの球と仮定して、
BET比表面積=S×(1/m)
m(粒子の重さ)=4/3×π×(R/2)3×密度
S(表面積)=4π(R/2)2
から得られる式である。
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3308g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン341g、フマル酸792g、ハイドロキノン5g及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで5時間かけて昇温して反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、無水トリメリット酸480gを投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は155.8℃、ガラス転移点は64.7℃、酸価は33.2mgKOH/gであった。
樹脂製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂Bを得た。樹脂Bの軟化点は111.4℃、ガラス転移点は68.5℃、酸価は3.2mgKOH/gであった。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
参考例1
樹脂A60重量部、樹脂B40重量部、着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー15:3,大日精化社製)3重量部、離型剤「カルナバワックス」(加藤洋行社製、融点:83℃)6重量部及び荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリエント化学工業社製)3重量部をヘンシェルミキサーにより予備混合して得られたトナー原料組成物を、連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山(株)製)に供給して溶融混練を行った。
なお、使用した連続式二本オープンロール型混練機は、ロール外径が320mm、全長1800mm、混練有効長(L)が1500mmのものであり、各ロールには複数の螺旋状の溝が刻んである。また、混練有効部の原料供給口側端部から、0.013Lに原料の供給口Xを、0.51Lに供給口Yを、1.01Lに混練物排出口(溶融混練物の切り出し口)を、それぞれ有する。運転条件は、加熱ロールの回転数が73m/min、冷却ロールの回転数が49m/min、ロールは0.2mmの間隙を空けて並行に配置した。ロール内は中心で2分割されており、ロール内の加熱及び冷却媒体(オイル、エッソサーモオイル500)の設定温度は、加熱ロールの供給口側の温度を145℃、混練物排出側の温度を100℃、冷却ロールの供給口側の温度を75℃及び混練物排出側の温度を35℃に設定した。トナー原料組成物は、供給口Xから100kg/hで供給した。
得られた溶融混練物を冷却し、粉砕機「アトマイザー」(東京アトマイザー社製)により、粒径が250μm程度になるように粗粉砕した。得られた粗粉砕物100重量部と疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、個数平均粒径:16nm、疎水化処理剤:DMDS)1.2重量部とを、150L容のヘンシェルミキサーを用いて、840r/minで120秒間混合した。得られた混合物を、流動層式ジェットミル「400型TFG」(ホソカワミクロン社製、ノズル数:3本、ノズル径:9mm、ノズル距離(3本のノズルの先端を結ぶ円の直径):280mm、粉砕圧:0.8MPa)を用いて、回転数を4220r/minで微粉砕した。なお、粉砕機そのものは、ロードセル(計量器)に乗っており、粉砕され、粗粉が除去されて所定の粒度になった粉砕上限分級粉が分級ロータ中央から系外に排出される。排出された粉体の量がロードセルで管理され、減少した分量に相当する原料混合物が補給される仕組みとなっており、この補給分量が粉砕フィード量となる。次いでロータ型分級機「100型TTSP」(ホソカワミクロン社製)にて微粉を除去する下限分級を行った。
得られた分級物100重量部に対して、疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、個数平均粒径:16nm、疎水化処理剤:DMDS)0.2重量部を、150L容のヘンシェルミキサーを用いて、1500r/minで120秒間混合(表面処理)し、軟化点が128℃、体積中位粒径(D50)が6.2μmのシアントナーを得た。なお、下限分級により除去された微粉(以下、シアン微粉Aという)を別途回収した。シアン微粉Aの体積中位粒径(D50)は、4.1μmであった。
実施例1(参考例)
0.51Lに設置された供給口(供給口Y)から、トナー原料組成物100重量部に対して参考例1で回収したシアン微粉A20重量部を20kg/hで供給した以外は、参考例1と同様にしてシアントナーを得た。
実施例2
連続式二本オープンロール型混練機において、供給口側の端部のロール間隙が0.20mm、混練物排出口側の端部のロール間隙が0.80mmとなるように、ロールを配置した以外は、実施例1と同様にしてシアントナーを得た。
比較例1
参考例1の粉砕工程において、粗粉砕物を疎水性シリカの非存在下で微粉砕し、その後の下限分級により除去された微粉(以下、シアン微粉Bという)を別途回収した。シアン微粉Bの体積中位粒径(D50)は、4.3μmであった。
シアン微粉Aの代わりに、シアン微粉Bを回収微粉として供給し、粗粉砕物を疎水性シリカの非存在下で微粉砕した以外は、実施例2と同様にしてシアントナーを得た。
比較例2
参考例1において回収したシアン微粉Aを供給口Yから混練機に供給せず、供給口Xから供給した以外は、実施例2と同様にしてシアントナーを得た。
参考例2
オープンロール型混練機の代わりに、二軸押出機「PCM-45型」(池貝社製)を使用して、混練部のバレル温度を100℃、スクリュー回転数を200r/minに設定して溶融混練し、トナー原料組成物を50kg/hで供給した以外は、参考例1と同様にしてシアントナーを得た。
比較例3
オープンロール型混練機の代わりに、二軸押出機「PCM-45型」(池貝社製)を使用して溶融混練した。
なお、使用した二軸押出機には、トナー原料組成物の供給口とは別に、回収微粉用の供給口を押出方向に沿って設置した(2つの供給口の距離:800mm)。運転条件は、参考例2と同じバレル温度、スクリュー回転数に設定し、トナー原料組成物及び回収微粉を十分に噛み込ませるために、トナー原料組成物をトナー原料組成物の供給口から40kg/h、回収微粉を回収微粉用の供給口から3kg/hで供給した以外は、参考例1と同様にしてシアントナーを得た。
試験例1〔耐久性〕
非磁性一成分現像装置「MICROLINE 100」(沖データ社製、感光体:負帯電性有機感光体)にトナーを実装し、印字率5%のチャートを50,000枚印刷した。印刷後、感光体ドラム表面への残留トナーの融着の発生状況とプリントアウトした画像への影響を目視で観察し、以下の評価基準に従って、耐久性(耐フィルミング性)を評価した。結果を表1に示す。
〔耐久性の評価基準〕
◎:トナー融着は未発生
○:トナー融着が感光体上に1〜2箇所確認されるが、画像への影響は無い
△:トナー融着が感光体上に3〜5箇所確認されるが、画像への影響は無い
×:トナー融着が感光体上に6箇所以上確認され、画像に欠陥が生じている
試験例2〔分散性〕
水スライドグラス(厚さ1mm、幅26mm、長さ76mm)上にトナー0.1gを拡散して乗せた後、軽く振って、粒子単位での観察が可能な程度に、過剰のトナーを除去した。スライドグラスを150℃のホットプレート上に乗せ、20秒間放置した後、スライドグラス上のトナーを、光学顕微鏡を用いて600倍の倍率で観察した。トナー中の原料の分散性を着色剤に注目し、参考例1で得られたトナーを基準にして以下の評価基準により評価した。結果を表1に示す。
〔分散性の評価基準〕
◎:参考例1のトナーより着色剤が均一に分散している
○:参考例1のトナーと同程度に着色剤が分散している
△:参考例1のトナーより着色剤の凝集体が若干多く見られるが、印字画像へ影響はない
×:参考例1のトナーより着色剤の凝集体が多く、印字画像でも濁りが見られる
Figure 0004850535
以上の結果より、本発明の製造方法で得られる実施例1及び2のトナーは、回収微粉を使用しているにも関わらず、生産性の向上を図りつつ、回収微粉を使用していない参考例1のトナーと同等もしくはそれ以上の耐久性、分散性及び熱物性を備えていることが分かる。また、本発明のトナーの製造法は、無機微粉末存在下で粉砕・分級工程を行うため、粉砕工程の生産性も高まり、高い生産性が維持できていることが分かる。特に実施例2では、オープンロール型混練機において、供給口側の端部のロール間隙より混練物排出口側の端部のロール間隙を広くしているため、混練シェアを緩やかにして樹脂の分子切断等を防止しつつトナー原料組成物と回収微粉とを溶融混練することができ、耐久性、分散性及び熱物性に優れたトナーを得ることが出来たことが分かる。一方、粉砕工程において無機微粉末を使用しない方法において回収微粉を使用した比較例1では、耐久性に劣り生産性も悪く、比較例2では軟化点は参考例1のシアントナーに比べて、118℃とかなり低くなっていた。これは、シアン微粉が他の原料と共に、切り出し口から最も遠い供給口(供給口X)から供給されたため、混練機から長時間混練シェアを受け続けたため、樹脂の分子切断が生じ耐久性が低下したものと推測される。比較例3では、二軸押出機への供給量を、混合原料を十分に噛み込ませるために、43kg/hまで低下させたため、生産性が著しく低下しており、二軸押出機を使用しているため混練シェア低下による耐久性及び分散性の低下が目立つ。
本発明により得られるトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (4)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有してなるトナー原料組成物と回収微粉とを溶融混練する工程(I)、該工程(I)で得られた混練物を冷却し、無機微粉末の存在下、粉砕する工程(II)、及び、該工程(II)で得られた粉砕物を分級する工程(III)を含むトナーの製造方法であって、前記回収微粉が前記工程(III)で発生した微粉であり、前記工程(I)を、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機であって、2本のロールを備え、混練物排出口側の端部のロール間隙が供給口側の端部のロール間隙よりも広い連続式オープンロール型混練機を用いて、前記トナー原料組成物の供給口とは異なる別の供給口から、前記回収微粉を該混練機に供給して行うトナーの製造方法。
  2. さらに、工程(III)で得られた分級物を表面処理する工程(IV)を含む、請求項1記載のトナーの製造方法。
  3. 前記無機微粉末が、個数平均粒径が8〜100nmの無機酸化物である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記トナー原料組成物の供給口より混練物排出口側で、かつ前記混練機の混練有効長をLとするとき、前記トナー原料組成物の供給口から混練物排出口側に向かって0.3L〜0.7Lの範囲に位置する供給口から前記回収微粉を供給する請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
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