JP2007120840A - 吸収ヒートポンプ及び制御方法 - Google Patents

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島 弘 小
Masahiro Oka
雅 博 岡
Takashi Murakami
上 高 村
Hirofumi Sasaki
裕 文 佐々木
Naoki Onda
田 直 樹 恩
Tetsuya Iwata
田 哲 哉 岩
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Abstract

【課題】停止時における吸収溶液からの熱の廃棄による損失を填補することが出来る吸収ヒートポンプの提供。
【解決手段】吸収ヒートポンプ(101,102)において、熱媒体が循環する循環系(Lc)を介して再生器(1)と熱的に接続されている貯湯タンク(12)と、制御装置(コントロールユニット20)とを備え、該制御装置(20)は、吸収ヒートポンプの運転停止後に前記循環系(Lc)内で熱媒体を循環させ、該熱媒体を介して再生器(1)で加熱された吸収溶液が保有する熱量を貯湯タンク(12)に投入する制御を行う様に構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、大気が保有する熱量等の未利用エネルギーを低温熱源とする吸収ヒートポンプに関する。
従来技術に係るヒートポンプの例として、単効用増熱型ヒートポンプを図5で示す。
図5において、システム全体を符号50で示す単効用増熱型ヒートポンプは、例えば、燃料ガス供給ラインLfから燃料(例えば都市ガス)が投入される再生器1と、系外から例えば空気熱Qを取り入れて液相の冷媒を蒸発する蒸発器2と、吸収剤が気相の冷媒(冷媒蒸気)を吸収する吸収器3と、冷媒蒸気が凝縮する凝縮器4とを備えている。
吸収器3及び凝縮器4は冷却水ラインLwによって冷却される。即ち、冷却水ラインLwを流過する冷却水は、吸収器3及び凝縮器4によって熱が投入され、昇温される様に構成されており、昇温された冷却水は給湯等に供されている。
吸収器3と再生器1は、循環ポンプ5の介装された吸収溶液ラインL1、L2によって接続されている。吸収溶液ラインL1、L2には溶液熱交換器6が介装され、ラインL2の吸収溶液の熱をラインL1の吸収溶液に投与する様に構成されている。
さらに、再生器1には、精溜器11が装備されており、気相の冷媒(冷媒蒸気:例えばアンモニア蒸気)から吸収剤蒸気(例えば水蒸気)を分離するとともに、精溜器11の熱エネルギーを、溶液熱交換器6よりも吸収器3側の領域において、ラインL1を流れる吸収溶液に与え、吸収溶液を昇温(予熱)する様に構成されている。
精溜器11で発生した冷媒蒸気(アンモニア蒸気)はラインL3を介して凝縮器4に流入し、凝縮器4内で凝縮して液相のアンモニアになり、この液相のアンモニアはラインL4を経由して蒸発器2に流入する。
蒸発器2内の液相のアンモニアは蒸発器2で、例えば空気熱Qが与えられて蒸発して冷媒蒸気(アンモニア蒸気)となって、ラインL5を経由して吸収器3に流入する。吸収器3内で、冷媒蒸気は、再生器1から戻った吸収剤(水)の含有率の高い吸収溶液(アンモニア水溶液)に吸収される。そして、冷媒蒸気を吸収して吸収剤の含有率が低下した吸収溶液は、循環ポンプ5で再生器1に送られる。
図5の例では、蒸発器2内の液相冷媒は、大気からの熱エネルギー(空気熱)Qによって、気化(蒸発)するが、大気からの熱エネルギーのみならず、河川、下水などの未利用エネルギーを汲み上げて用いることも可能なように構成することも出来る。
ここで、吸収式ヒートポンプは、ガス焚き給湯機等に比べて、いわゆる「立ちあがり」が悪い。すなわち、ヒートポンプの起動から所望の温度の湯を供給するまでに時間が掛かるという問題がある。
ヒートポンプが所望の給湯温度が取り出せるようになるためには、常温の吸収溶液を冷媒が再生する温度まで加熱・昇温させなければならず、この加熱・昇温に時間が掛かるからである。すなわち、吸収ヒートポンプでは、吸収溶液を加熱している間は給湯することが出来ず、上水を直接加熱して給湯する給湯機に比較すると、吸収溶液を加熱する時間だけ給湯可能な状態になるまでの時間が掛かってしまうのである。
ここで、吸収ヒートポンプを停止した場合には、加熱された吸収溶液(100℃〜220℃)は、時間を掛けて常温(大気温度)まで冷やされる。換言すれば、吸収溶液を加熱するのに用いられた熱が、吸収ヒートポンプの停止後に時間を掛けて廃棄される。そのため、加熱した吸収溶液の熱量が無駄になる。
そして、加熱された状態の吸収溶液(運転時の吸収溶液)が保有する熱量はかなり大きく、それを廃棄する事による損失はかなり大きい。
係る損失(加熱された吸収溶液の熱量を吸収ヒートポンプの停止後に廃棄することによる損失)を減少させる試みは従来から種々為されているが、有効な解決策は未だに提案されていない。
その他の従来技術としては、例えば、大気温度が低く大気熱交換用循環水が十分に加熱されない場合に凝縮熱により大気熱交換用循環水を加熱し、大気温度が高く大気熱交換用循環水が十分に冷却されない場合に気化熱により大気熱交換用循環水を冷却する吸収ヒートポンプシステムが提案されている(特許文献1)。
しかし、係る従来技術は気温が低い場合にも確実に暖房運転を実行し、気温が高くても確実に冷房運転を実行することを目的としており、上述した様に、加熱された吸収溶液の熱量を吸収ヒートポンプの停止後に廃棄することによる損失、という上述した問題を解消するものではない。
特開2005−77037号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、上述した様な損失(加熱された吸収溶液の熱量を吸収ヒートポンプの停止後に廃棄することによる損失)を填補することが出来る吸収ヒートポンプ及びその制御方法の提供を目的としている。
本発明の吸収ヒートポンプは、吸収溶液を加熱して冷媒蒸気を再生せしめる再生器(1)と、系外から熱エネルギー(例えば、空気熱Q)を取り入れて冷媒を蒸発する蒸発器(2)と、吸収剤が冷媒を吸収する吸収器(3)と、冷媒蒸気が凝縮する凝縮器(4)と、吸収器(3)及び凝縮器(4)を冷却する冷却水ライン(Lw)と、熱媒体が循環する循環系(Lc)を介して再生器(1)と熱的に接続されている貯湯タンク(12)と、制御装置(コントロールユニット20)とを備え、該制御装置(20)は、吸収ヒートポンプの運転停止後に前記循環系(Lc)内で熱媒体を循環させ、該熱媒体を介して再生器(1)で加熱された吸収溶液が保有する熱量を貯湯タンク(12)に投入する制御を行う様に構成されている(請求項1)。
前記循環系(Lc)内を循環する熱媒体の温度を計測する温度計測装置(温度センサ14)を有し、前記制御装置(20)は、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系(Lc)内で熱媒体を循環させ、前記温度計測装置(温度センサ14)で計測された前記熱媒体の温度が貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流する可能性がある温度(所定温度)となった場合に前記循環系(Lc)における熱媒体の循環を停止する制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
ここで、上述した「貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流する可能性がある温度(所定温度)」については、吸収ヒートポンプの仕様、使用条件、その他により、ケース・バイ・ケースで定まるものである。
そして、係る吸収ヒートポンプ(請求項2の吸収ヒートポンプ)を制御する本発明の制御方法においては、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系(Lc)内で熱媒体を循環させる工程(S2)と、温度計測装置(温度センサ14)により前記循環系(Lc)内を循環する熱媒体の温度を計測する工程(S3)と、前記温度計測装置(温度センサ14)で計測された前記熱媒体の温度が貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流する可能性がある温度(所定温度)以下となった場合に前記循環系(Lc)における熱媒体の循環を停止する工程(S5)、とを有していることを特徴としている(請求項4)。
或いは、前記制御装置(20)は、吸収ヒートポンプの運転が停止してからの経過時間を計測する計時装置(タイマー、クロック等)を備えており、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系(Lc)内で熱媒体を循環させ、吸収ヒートポンプ停止後、貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流することなく再生器(1)内の吸収溶液が保有する熱量を効率良く回収出来る時間(所定時間)が経過した時に前記循環系(Lc)における熱媒体の循環を停止する制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
ここで、「吸収ヒートポンプ停止後、貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流することなく再生器(1)内の吸収溶液が保有する熱量を効率良く回収出来る時間(所定時間)」については、吸収ヒートポンプの仕様、使用条件、その他により、ケース・バイ・ケースで定まるものである。
そして、係る吸収ヒートポンプ(請求項3の吸収ヒートポンプ)を制御する本発明の制御方法においては、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系(Lc)内で熱媒体を循環させる工程(S12)と、計時装置(タイマー、クロック等)により吸収ヒートポンプの運転が停止してからの経過時間を計測する工程(S13)と、吸収ヒートポンプ停止後、貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流することなく再生器(1)内の吸収溶液が保有する熱量を効率良く回収出来る時間(所定時間)が経過した時に前記循環系(Lc)における熱媒体の循環を停止する工程(S15)と、を有することを特徴としている(請求項5)。
本発明においては、吸収剤として水を用い、冷媒としてアンモニアを用いても良いし、吸収剤を臭化リチウムとして冷媒を水にしても良いし、或いは、有機冷媒を用いる場合も包含される。
上述する構成を具備する本発明によれば、吸収ヒートポンプが停止した際に、(例えば熱媒体循環用ポンプ13を作動させて)熱媒体を循環系(Lc)内に循環させ、以って、再生器(1)で加熱された吸収溶液の熱量を貯湯タンク(12)で回収する。すなわち、再生器(1)で加熱された吸収溶液(100℃〜220℃)が保有する熱量は、循環系(Lc)内を循環する熱媒体へ投入され、貯湯タンク(12)内の温水へ投入される。
その結果、加熱された吸収溶液が保有している熱量は貯湯タンク(12)により貯えられるので、上述した損失(加熱された吸収溶液の熱量を吸収ヒートポンプの停止後に廃棄することによる損失)が無くなる。
そして、熱媒体の温度が貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流する可能性がある温度(所定温度)となった場合や(請求項2、4)、或いは、吸収ヒートポンプ停止後、貯湯タンク(12)から再生器(1)側へ熱が逆流することなく再生器(1)内の吸収溶液が保有する熱量を効率良く回収出来る時間(所定時間)が経過したならば(請求項3、5)、循環系(Lc)内における熱媒体の循環を停止するので、貯湯タンク(12)に投入した熱量が、再生器(1)側に逆流してしまうことか防止される。
貯湯タンク(12)内の温度が再生器(1)内の吸収溶液温度よりも高くなってしまった場合には、上述したのとは逆に、貯湯タンク(12)内の熱量が循環系(Lc)内における熱媒体に流れてしまい、循環系(Lc)内における熱媒体から再生器(1)内の吸収溶液に投入されてしまう(熱の逆流)が生じてしまうが、上述の様に構成された本発明(請求項2〜5)では、熱の逆流が生じる以前の段階で循環系(Lc)内における熱媒体の循環を停止するので、熱の逆流は生じ得ないのである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1のブロック図に基づいて第1実施形態を説明する。
システム全体を符号101で示す吸収ヒートポンプは、例えば、燃料ガス供給ラインLfによって都市ガスが燃料として投入される再生器1と、系外から例えば空気熱Qを取り入れて液相冷媒(例えば液相のアンモニア)を蒸発する蒸発器2と、吸収剤(図示の例では水)が冷媒蒸気を吸収する吸収器3と、冷媒蒸気(例えばアンモニア蒸気)が凝縮する凝縮器4とを備えている。
尚、図示の例では、蒸発器2内の液相冷媒は、大気からの熱エネルギー(空気熱)Qによって、気化(蒸発)するが、大気からの熱エネルギーのみならず、河川、下水などの未利用エネルギーを汲み上げて用いることも可能なように構成することも出来る。
吸収器3と再生器1は、循環ポンプ5が介装された吸収溶液ラインL1、L2によって吸収溶液が循環する様に接続され、そのラインL1、ラインL2には溶液熱交換器6が介装されている。
溶液熱交換器6は、ラインL2の吸収溶液の熱をラインL1の吸収溶液に投与する様に構成されている。
さらに、再生器1には精溜器11が装備されており、再生器1で発生した冷媒蒸気(アンモニア蒸気)から吸収剤(水蒸気)を分離すると共に、精溜器11内の熱を、ラインL1における溶液熱交換器6よりも吸収器3側の領域を流れる吸収溶液に投入して、吸収溶液を昇温させる(予熱する)様に構成されている。
冷却水ラインLwは、凝縮器4及び吸収器3を冷却する様に配置されている。すなわち、冷却水ラインLwは上水道に連通しており、冷却水ラインLw内部には上水が流れ、冷却水ラインLwを流れる上水(冷却水)が凝縮器4、吸収器3の順に流過して、凝縮器4、吸収器3から熱を投与され、昇温される。そして、昇温された冷却水(温水)が給湯に供される。
再生器3で再生されて精溜器11で気相の吸収剤(水蒸気)から分離された冷媒蒸気(アンモニア蒸気)は、ラインL3を経由して凝縮器4に流入し、凝縮器4内で凝縮して液相のアンモニアになり、この液相のアンモニアはラインL4を経由して蒸発器2に流入する。
蒸発器2内の液相のアンモニアは、蒸発器2で空気熱Qが与えられて気化して冷媒蒸気(アンモニア蒸気)となり、冷媒蒸気はラインL5を経由して吸収器3に流入する。吸収器3内に流入した冷媒蒸気は、再生器1から戻った吸収剤(水)の含有率の高い吸収溶液(アンモニア水溶液)に吸収される。当該吸収溶液は吸収剤(水)の含有率が低下した状態で、循環ポンプ5により再生器1に送られる。
上述したように、蒸発器2では、大気からの熱エネルギー(空気熱)Q、或いは、河川、下水などの未利用エネルギー(図示せず)を汲み上げる。
ここで、再生器1において、都市ガス等、強制的に付加した熱量をQとすれば、給湯で得られる熱量Qは、Q=Q+Qで表される。
この様な構成にすれば、冷却水においては、蒸発器2及び吸収器3の両方から熱が供給されるので、効率μが1を越える。
ここで、効率μは、下式で与えられる。
μ=(給湯の熱量)/(都市ガス等の強制的に付加した熱量)
即ち、 μ=(Q+Q)/Q=1+Q/Q となるので、効率は必ず1を超えるのである。
図1の第1実施形態の吸収ヒートポンプ101においては、貯湯タンク12が設けられており、再生器1で加熱された吸収溶液の熱量を貯湯タンク12で回収出来るように構成されている。
再生器1で加熱された吸収溶液の熱量を貯湯タンク12で回収する具体的な態様としては、再生器1と貯等タンク12の双方へ連通している熱媒体循環系(以下、「循環系」と略記する)Lcを設ける。
この循環系Lcには、その内部を循環する熱媒体(例えば水)を、図示の例では反時計回りに循環させるための熱媒体循環用ポンプ(以降、熱媒体循環用ポンプを熱回収ポンプと言う)13が介装されている。ここで、熱媒体の循環方向については、図示の例ではポンプ13に表示されている。
さらに循環系Lcには、再生器1内の吸収溶液と熱交換を行う第1の熱交換器Ex1と、貯湯タンク12内に蓄えられた温水と熱交換を行う第2の熱交換器Ex2とが設けられている。
なお、図1において、符号14で示すのは、循環系Lcを流れる熱媒体の温度を計測する温度センサである。
吸収ヒートポンプ101は、制御信号ラインLoを介して、制御手段であるコントロールユニット20と接続されている。そのコントロールユニット20は前記温度センサ14と入力信号ラインLiで接続されている。
コントロールユニット20は、図示しない信号伝達ラインを介して伝達される情報に基いて吸収ヒートポンプ101が停止した旨を検知した際には、再生器1で加熱された吸収溶液の熱量を貯湯タンク12で回収する必要が生じたことを判断し、熱回収ポンプ13を作動させて、熱媒体を循環系Lc内に循環させる様に構成されている。
熱回収ポンプ13が作動して、熱媒体が循環系Lc内を循環すると、再生器1で加熱された吸収溶液が保有する熱量は、第1の熱交換器Ex1を介して熱媒体へ投入される。そして、熱媒体へ投入された熱量は、第2の熱交換器Ex2を介して貯湯タンク12内の温水へ投入される。
その結果、加熱された吸収溶液が保有している熱量は貯湯タンク12に貯えられるので、上述した従来技術における損失(加熱された吸収溶液の熱量を吸収ヒートポンプの停止後に廃棄することによる損失)が無くなる。
第1実施形態の吸収ヒートポンプ101は、図示しない給湯ラインから、直接貯湯タンク12内に給湯することが可能である。そして、図示はされていないが、吸収ヒートポンプ101で加熱される以前の上水を、直接、貯湯タンク12へ供給することも出来る。
ここで、再生器1で加熱された吸収溶液の熱量は、常時、貯湯タンク12内の温水へ投入される訳ではない。
再生器1で加熱された吸収溶液の熱量が利用されることなく廃棄されてしまうのは、吸収ヒートポンプ101を停止した直後であるので、図示の実施形態においても、吸収ヒートポンプを停止した直後に、再生器1で加熱された吸収溶液の熱量をタンク12内の温水へ投入している。
換言すれば、循環系Lc内で熱媒体を常時循環した場合には、貯湯タンク12内の温度が再生器1内の吸収溶液温度よりも高くなり、貯湯タンク12内の熱量が循環系Lc内を流れる熱媒体を介して再生器1内の吸収溶液に投入されてしまう、いわゆる「熱の逆流」が生じてしまうのである。
以下、図2のフローチャートをも参照して、図1の実施形態において、再生器1で加熱された吸収溶液が保有する熱量を、循環系Lcを介して貯湯タンク12内の温水へ供給する制御について説明する。
図2において、先ず、ステップS1では、例えば、吸収ヒートポンプ101の図示しない制御盤から停止信号が発信されたことを検知する。
そしてステップS2で、熱回収ポンプ13を駆動することにより、循環系Lc内の熱媒体を循環させて、再生器1内の吸収溶液の熱量を貯湯タンク12内の温水へ投入させる。
次のステップS3では、循環系Lcに介装された温度センサ14により、熱媒体の温度を計測する。
吸収ヒートポンプ停止から長時間が経過すると、貯湯タンク12内の温水温度の方が、再生器1内の吸収溶液温度よりも高温になる。その様な状態では、貯湯タンク12内の温水から、循環系Lcを流れる熱媒体を介して、再生器1内の吸収溶液に熱が投入されてしまう(熱の逆流)。その様な「熱の逆流」が生じるのを防ぐため、ステップS4以下の工程が行われる。
ステップS4では、コントロールユニット20は、熱媒体の温度が熱の逆流が生じる温度(所定温度:吸収ヒートポンプ101毎にケース・バイ・ケースで決定される)よりも低くなるか否かを監視しており、所定温度以下になったならば(ステップS4がYES)、ステップS5に進む。一方、熱媒体の温度が所定温度よりも高温であれば(ステップS4がNO)、ステップS4のループを繰り返す。
ここで、所定温度は、貯湯タンク12から再生器1側へ熱が逆流しない温度であり、吸収ヒートポンプの使用、運転条件、設置箇所の気候その他により、ケース・バイ・ケースで定まる。
ステップS5では、コントロールユニット20は熱回収ポンプ13を停止させた後、制御を終了する。
熱回収ポンプ13を停止させれば、循環系Lc内を熱媒体が流れることは無くなり、貯湯タンク12側から再生器1側に熱が逆流することが防止される。
すなわち、第1実施形態では、循環系Lcに介装された温度センサ14が熱媒体の温度を監視しており、熱媒体の温度が所定値以下になったことを検知し、熱回収ポンプ13を停止させることにより、貯湯タンク12側からの熱の逆流を防止することが出来る。
次に、図3を参照して、第1実施形態の変形例を説明する。図3の第1実施形態の変形例は、構成は図1と同様であるが、制御が異なっている。
図2で示す制御では、循環系Lcを流れる熱媒体の温度を温度センサ14で計測して、貯湯タンク12から再生器1側へ熱が逆流する恐れがある温度(所定温度)になると、循環系Lcにおける熱媒体の循環を停止させる。
ここで、貯湯タンク12から再生器1側へ熱が逆流することなく、再生器1内の加熱された吸収溶液から熱が効率良く回収出来る時間は、経験則で求めることが出来る。従って、吸収ヒートポンプ101の停止後、当該時間(再生器1内の加熱された吸収溶液から熱が効率良く回収出来る時間)が経過するまで、循環系Lc内で熱媒体を循環させれば、貯湯タンク12から再生器1側へ熱が逆流することなく、再生器1で加熱された吸収溶液が保有する熱量が貯湯タンク12内の温水へ効率的に供給される。
図3で示す変形例では、その様な見地から、循環系Lc内で熱媒体を循環させるか否かを、吸収ヒートポンプの停止してからの経過時間により判断している。
以下、図3を参照して説明する。
先ず、ステップS11では、例えば、吸収ヒートポンプの図示しない制御盤から停止信号が発信されたことを検知する。
そして、熱回収ポンプ13を駆動することにより、循環系Lc内の熱媒体を循環させて、再生器1内の吸収溶液の熱量を貯湯タンク12内の温水へ投入させる(ステップS12)。
次に、熱回収ポンプ13を駆動し、循環系Lc内の熱媒体を循環させた状態で、コントロールユニット20に内蔵した図示しないタイマーによって、吸収ヒートポンプ101を停止した時点からの計時を行う(ステップS13)。
次のステップS14で、コントロールユニット20は、計時開始後、所定時間が経過したかを判断する。即ち、吸収ヒートポンプ101の停止後、所定時間が経過したか否かを判断する。ここで所定時間とは、貯湯タンク12から再生器1側へ熱が逆流することなく、熱が効率良く回収出来る時間であり、吸収ヒートポンプの使用、運転条件、設置箇所の気候その他により、ケース・バイ・ケースで定まる。
所定時間が経過していれば(ステップS14のYES)、次のステップS15に進む。一方、所定時間が経過していなければ(ステップS13のNO)、ステップS14が「NO」のループを繰り返す。
ステップS15では、熱回収ポンプ13を停止させて、制御を終了する。
図3の制御を行う場合は、図1における温度センサ14は不要となる。その代わり、図1で示すコントロールユニット20において、図示しない計時手段(例えば、タイマー、クロック等)を設け、吸収ヒートポンプ101停止後の経過時間を計測する。
次に、図4を参照して、第2実施形態の吸収ヒートポンプ102を説明する。
図4の第2実施形態の吸収ヒートポンプ102は、再生器を高温再生器1Hと低温再生器1Lに分けて構成した実施形態である。
すなわち、高温再生器1Hで発生した冷媒蒸気が保有する熱量により、低温再生器1Lにおいて冷媒蒸気を発生させる二重効用タイプとなっている。
ここで、高温再生器1Hには、図1の再生器1に装備された精溜器11は装備されていない。例えば、冷媒がアンモニアで吸収剤が水の場合には、精溜器11が必要である。そして、図1の第1実施形態において、例えば冷媒が水で吸収剤が臭化リチウムである場合には、精溜器11は不要である。
図4において、吸収溶液循環ラインL1、L21、L22には、第1の溶液熱交換器61と第2の溶液熱交換器62とが介装されている。第1の熱交換器61では、ラインL21の吸収溶液の熱がラインL1の吸収溶液に投与される。第2の熱交換器62では、ラインL22の吸収溶液の熱がラインL1の吸収溶液に投与される。
その他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同様であり、制御についても、図2、図3で説明した何れの制御をも実行可能である。
なお、図4では図示されていないが、例えば冷媒がアンモニアで吸収剤が水の場合には、高温再生器1Hに精溜器(図1の符号11)を設け、冷媒蒸気から吸収剤を分離するように構成する。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
本発明の第1実施形態の全体構成を示したブロック図。 第1実施形態に係る一制御方法を説明する制御フローチャート。 第1実施形態に係る他の制御方法を説明する制御フローチャート。 本発明の第2実施形態の全体構成を示したブロック図。 従来技術の吸収ヒートポンプの全体構成を示したブロック図。
符号の説明
1・・・再生器
1H・・・高温再生器
1L・・・低温再生器
2・・・蒸発器
3・・・吸収器
4・・・凝縮機
5・・・循環ポンプ
6・・・溶液熱交換器
11・・・精溜器
12・・・貯湯タンク
13・・・熱媒体循環用ポンプ/熱回収ポンプ
14・・・温度センサ
L1、L2・・・吸収溶液ライン
Lf・・・燃料ガス供給ライン
Lc・・・熱媒体循環系/循環系

Claims (5)

  1. 吸収溶液を加熱して冷媒蒸気を再生せしめる再生器と、系外から熱エネルギーを取り入れて冷媒を蒸発する蒸発器と、吸収剤が冷媒を吸収する吸収器と、冷媒蒸気が凝縮する凝縮器と、吸収器及び凝縮器を冷却する冷却水ラインと、熱媒体が循環する循環系を介して再生器と熱的に接続されている貯湯タンクと、制御装置とを備え、該制御装置は、吸収ヒートポンプの運転停止後に前記循環系内で熱媒体を循環させ、該熱媒体を介して再生器で加熱された吸収溶液が保有する熱量を貯湯タンクに投入する制御を行う様に構成されていることを特徴とする吸収ヒートポンプ。
  2. 前記循環系内を循環する熱媒体の温度を計測する温度計測装置を有し、前記制御装置は、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系内で熱媒体を循環させ、前記温度計測装置で計測された前記熱媒体の温度が貯湯タンクから再生器側へ熱が逆流する可能性がある温度となった場合に前記循環系における熱媒体の循環を停止する制御を行う様に構成されている請求項1の吸収ヒートポンプ。
  3. 前記制御装置は、吸収ヒートポンプの運転が停止してからの経過時間を計測する計時装置を備えており、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系内で熱媒体を循環させ、吸収ヒートポンプ停止後、貯湯タンクから再生器側へ熱が逆流することなく再生器内の吸収溶液が保有する熱量を効率良く回収出来る時間が経過した時に前記循環系における熱媒体の循環を停止する制御を行う様に構成されている請求項1の吸収ヒートポンプ。
  4. 請求項2の吸収ヒートポンプを制御する制御方法において、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系内で熱媒体を循環させる工程と、温度計測装置により前記循環系内を循環する熱媒体の温度を計測する工程と、前記温度計測装置で計測された前記熱媒体の温度が貯湯タンクから再生器側へ熱が逆流する可能性がある温度となった場合に前記循環系における熱媒体の循環を停止する工程、とを有していることを特徴とする吸収ヒートポンプの制御方法。
  5. 請求項3の吸収ヒートポンプを制御する制御方法において、吸収ヒートポンプの運転が停止したならば前記循環系内で熱媒体を循環させる工程と、計時装置により吸収ヒートポンプの運転が停止してからの経過時間を計測する工程と、吸収ヒートポンプ停止後、貯湯タンクから再生器側へ熱が逆流することなく再生器内の吸収溶液が保有する熱量を効率良く回収出来る時間が経過した時に前記循環系における熱媒体の循環を停止する工程、とを有することを特徴とする吸収ヒートポンプの制御方法。
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