JP2007119709A - 芳香族ポリマーの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子量かつ分子量分布の狭い芳香族ポリマーの製造方法を提供すること。
【解決手段】下式(I)で表される芳香族化合物を、下式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体存在下に重縮合する芳香族ポリマーの製造方法。
Figure 2007119709

〔式中、Arは芳香環を含む二官能性の有機基である。Xはハロゲン原子等である。Yは酸素原子等であり、nは0または1である。Mは−B(OQ1)2等を表す。(ここにQ1は水素原子または炭化水素基)
P(R1)3 (II)
(式中、R1は下式(III)で表される基等であるである。)
−C(R2)3 (III)
(式中、R2は水素原子または置換されてもよい炭化水素基であり、3つのR2は同じでも異なっていてもよく、2つのR2が一緒になって環を形成してもよく、2つ以上のR2が水素原子であることはない。)
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリマーの製造方法に関する。
芳香族ポリマーは電気特性、光学特性、耐熱性、力学特性等の点で優れた特性を持ち、導電材料、光電変換材料、発光材料、非線形光学材料、電池用材料、電子部品材料、自動車用材料などの先端機能材料に有用であることが知られている。
その製造方法としては芳香族化合物の重縮合による製造方法が知られている。
Chem.Rev.102,1359(2002)
しかしながら上記の方法では、高分子量かつ狭い分子量分布の芳香族ポリマーを得るのが難しかった。
本発明の目的は、高分子量かつ分子量分布の狭い芳香族ポリマーの製造方法を提供することである。
即ち、本発明は、下式(I)で表される芳香族化合物を、下式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体存在下に重縮合することを特徴とする芳香族ポリマーの製造方法を提供するものである。
Figure 2007119709
〔式中、Arは芳香環を含む二官能性の有機基である。Xはハロゲン原子、ニトロ基または−SO3Qで示される基(ここにQは置換されていてもよい炭化水素基を表す)である。Yは酸素原子、硫黄原子、イミノ基、置換イミノ基、エテニレン基、置換エテニレン基またはエチニレン基であり、nは0または1である。Mは、水素原子、−B(OQ1)2、−Si(Q2)3、−Sn(Q3)3またはZ1(Z2)mを表す。(ここにQ1は水素原子または炭化水素基であり、2つのQ1は同じであっても異なってもよく、環を形成してもよく、Q2は炭化水素基であり、3つのQ2は同じであっても異なってもよく、Q3は炭化水素基であり、3つのQ3は同じであっても異なってもよい。Z1は金属原子または金属イオンであり、Z2はカウンターアニオンであり、mは0以上の整数である。)

P(R1)3 (II)
(式中、R1は下式(III)で表される基または下式(IV)で表される基であり、3つのR1は同じでも異なっていてもよいが、3つのR1のうち少なくとも一つは下式(III)で表される基である。)
−C(R2)3 (III)
(式中、R2は水素原子または置換されてもよい炭化水素基であり、3つのR2は同じでも異なっていてもよく、2つのR2が一緒になって環を形成してもよく、2つ以上のR2が水素原子であることはない。)
Figure 2007119709
(式中、R3〜R7はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基、置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノカルボニル基または置換されてもよい炭化水素スルホニル基であり、R3またはR4のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、R3とR5、R5とR7、R4とR6、およびR6とR7がそれぞれ一緒になって環を形成してもよい。)
本発明により、高分子量かつ分子量分布の狭い芳香族ポリマーを製造する方法が提供される。本発明で得られる芳香族ポリマーは分子量分布が狭いことから高度に自己集積化したり、精密なレイヤー構造を形成したりする特性が期待され、電気特性、光学特性、耐熱性、力学特性等の点で優れた特性を持ち、導電材料、光電変換材料、発光材料、非線形光学材料、電池用材料、電子部品材料、自動車用材料などの先端機能材料に有用である。
本発明は、上記式(I)で表される芳香族化合物を、上記式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体存在下に重縮合する芳香族ポリマーの製造方法である。
上記式(I)におけるArは芳香環を含む二官能性の有機基である。該有機基の基本骨格として、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、アザジアゾール環の単環性芳香環;該単環性芳香環の中から互いに独立に選んだ2つ以上を縮環した縮環性芳香環;該単環性芳香環及び/又は該縮環性芳香環の中から互いに独立に選んだ2つ以上を、単結合、メチレン基、エチレン基、エテニレン基、エチニレン基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、スルホニル基で連結した多環性芳香環;該縮環性芳香環または該多環性芳香環の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基、スルホニル基で渡環した構造を1つ以上有する渡環性芳香環を挙げることができる。該縮環性芳香環において、縮環する単環性芳香環の数としては、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。該多環性芳香環において、連結する単環性芳香環及び/又は縮環性芳香環の数として、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。該渡環性芳香環において、渡環した単環性芳香環及び/又は縮環性芳香環の数として、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましく、1がさらに好ましい。
上記Arの芳香環を含む有機基の基本骨格において、単環性芳香環としては、
Figure 2007119709
縮環性芳香環としては、
Figure 2007119709
多環性芳香環としては、
Figure 2007119709
渡環性芳香環としては、
Figure 2007119709
を例示することができる。
上記Arの芳香環を含む有機基の基本骨格として、好ましくは1、2、7、8、9、11、12、13、14、18、19、22、23、26、27、28、29、36、37、38、39、40、41、42、43、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、59、60、68、69であり、より好ましくは1、2、7、9、18、22、36、38、39、43、48、49、51、52、53、55、57、60であり、さらに好ましくは、1、7、18、36、39、48、53、55、57、60であり、特に好ましくは、1、18、39、55、60である。
上記Arの芳香環を含む有機基の基本骨格の構成原子としては、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子のみからなる基本骨格が好ましく、水素原子、炭素原子、酸素原子のみからなる基本骨格がより好ましく、水素原子、炭素原子のみからなる基本骨格がさらに好ましい。
上記Arの芳香環を含む有機基における基本骨格において、水素原子の結合した芳香環上の炭素原子2つから、それぞれ水素原子を1つずつ取り除くことにより、芳香環を含む二官能性の有機基となる。
上記Arの芳香環を含む二官能性の有機基において、水素原子の結合した炭素原子に、炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基、炭化水素二置換アミノカルボニル基、炭化水素スルホニル基が置換してもよく、水素原子の結合した窒素原子に、炭化水素基が置換してもよく、炭素原子上の置換基、および窒素原子上の置換基が2つ以上存在する場合、それらから選ばれる2つの置換基が連結して環を形成してもよい。
前記の炭化水素基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素数1〜50程度のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数3〜50程度の環状飽和炭化水素基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素数2〜50程度のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素数6〜50程度のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素数7〜50程度のアラルキル基が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基である。
前記の炭化水素オキシ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基、炭化水素スルホニル基とは、オキシ基、メルカプト基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルホニル基のそれぞれに前記の炭化水素基1つが結合した基である。炭化水素二置換アミノ基、炭化水素二置換アミノカルボニル基とは、アミノ基、アミノカルボニル基に前記の炭化水素基2つが結合した基である。
上記Arの芳香環を含む二官能性の有機基における置換基として、水素原子の結合した炭素原子には、炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基が好ましく、炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基がより好ましく、炭化水素基、炭化水素オキシ基がさらに好ましい。水素原子の結合した窒素原子には、炭化水素基が置換することが好ましい。
上記一般式(I)におけるXは、ハロゲン原子、ニトロ基または−SO3Qで示される基(ここにQは置換されていてもよい炭化水素基を表す)であり、ハロゲン原子、
−SO3Qで示される基(ここにQは置換されていてもよい炭化水素基を表す)が好ましい。
ここでいうハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
−SO3Qで示される基のQにおける置換されていてもよい炭化水素基としては、前記の炭化水素基があげられ、置換基としては例えばフッ素原子があげられる。
−SO3Qで示される基の具体例としては、メタンスルフォネート基、ベンゼンスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基があげられる。
Xとして、好ましくはハロゲン原子、−SO3Qで示される基であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−SO3Qで示される基であり、さらに好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルフォネート基である。
上記一般式(I)におけるYは、酸素原子、硫黄原子、イミノ基、置換イミノ基、エテニレン基、置換エテニレン基またはエチニレン基であり、nは0または1である。
ここに置換イミノ基は、―N(Q’)― (Q’は置換基を表す)で示される基であり、Q’としては、炭化水素基があげられる。炭化水素基の具体例としては前記のものがあげられる。
また置換エテニレン基は、―C(Q'’)=C(Q''')―(Q'’およびQ'''はそれぞれ独立に水素原子または置換基をあらわすが、Q'’およびQ'''の少なくとも1つは置換基である。)で示される基である。ここにQ'’およびQ'''における置換基としては、炭化水素基があげられる。炭化水素基の具体例としては前記のものがあげられる。
Yとして、好ましくは酸素原子、イミノ基、置換イミノ基、エチニレン基であり、より好ましくは酸素原子、イミノ基、置換イミノ基であり、さらに好ましくは酸素原子、イミノ基である。nとして、0が好ましい。
上記一般式(I)におけるMは、水素原子、−B(OQ1)2、−Si(Q2)3、−Sn(Q3)3またはZ1(Z2)mを表す。
−B(OQ1)2におけるQ1は水素原子または炭化水素基であり、2つのQ1は同じであっても異なってもよく、環を形成してもよい。Q1における炭化水素基としては、上記の炭化水素基が挙げられ、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基がさらに好ましい。環を形成する場合には、2つのQ3からなる二官能性の炭化水素基として、1,2−エチレン基、1,1,2,2−テトラメチル−1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−フェニレン基が好ましい。
−Si(Q2)3におけるQ2は炭化水素基であり、3つのQ2は同じであっても異なってもよい。Q2における炭化水素基としては、上記の炭化水素基が挙げられ、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基がさらに好ましい。
−Sn(Q3)3におけるQ3は炭化水素基であり、3つのQ3は同じであっても異なってもよい。Q3における炭化水素基としては、上記の炭化水素基が挙げられ、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基がさらに好ましい。
1(Z2)mにおけるZ1は金属原子または金属イオン、Z2はカウンターアニオン、mは0以上の整数である。Z1としては、具体例としてLi、Na、K,Rb、Cs、Be,Mg,Ca,Sr,Ba、Al,Ga,In,Tl,Pb、Sc、Ti、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Ag,Cd,La,Ce,Sm,Eu,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Hg等の原子またはイオンを挙げることができる。好ましくはLi、Na、K,Rb、Cs、Be,Mg,Ca,Sr,Ba、Al,Ga,In,Tl,Pb、Sc、Ti、Cu,Zn,Y,Zr,Ag,Hgであり、より好ましくはLi、Na、K,Rb、Cs、Be,Mg,Ca,In,Tl,Pb、Cu,Zn,Zr,Ag,Hgであり、さらに好ましくはLi、Na、K,Mg,Ca,Cu,Znである。
2としては、通常、ブレンステッド酸の共役塩基が使用され、具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が挙げられる。好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオンであり、より好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオンであり、さらに好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンである。
mは、上記一般式(I)で表される芳香族化合物として電気的に中性となるように決定される。なおMがZ1(Z2)mの場合、つまり上記一般式(I)で表される芳香族化合物がZ1(Z2)m−(Y)n−Ar−Xで表される場合において、Z1(Z2)m部分を+1価として、(Y)n−Ar−X部分を−1価としてみなし、Z1(Z2)m部分と(Y)n−Ar−X部分はイオン結合している方が好ましい。
上記一般式(I)におけるMとしては、ホウ素原子、ケイ素原子、スズ原子、金属原子を含む原子団であることが好ましく、ホウ素原子、スズ原子、マグネシウム原子、亜鉛原子を含む原子団であることがより好ましく、ホウ素原子を含む原子団であることが特に好ましい。
本発明において、上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体を用いる。
上記一般式(II)において、R1は上記一般式(III)で表される基または上記一般式(IV)で表される基であり、3つのR1は同じでも異なっていてもよく、3つのR1のうち少なくとも一つは下式(III)で表される基である。
上記一般式(III)において、R2は水素原子または置換されてもよい炭化水素基であり、3つのR2は同じでも異なっていてもよく、2つのR2が一緒になって環を形成してもよく、2つの以上のR2が水素原子であることはない。(即ちR2が一緒になって環を形成していない場合、少なくとも2つのR2は置換されてもよい炭化水素基である。)

上記一般式(IV)において、R3〜R7はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基、置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノカルボニル基、置換されてもよい炭化水素スルホニル基、好ましくは水素原子または置換されてもよい炭化水素基であり、R3またはR4のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、R3とR5、R5とR7、R4とR6、およびR6とR7がそれぞれ一緒になって環を形成してもよい。
上記一般式(III)のR2の置換されてもよい炭化水素基における炭化水素基とは、上記一般式(I)のArの芳香環を含む二官能性有機基の置換基における炭化水素基と具体例および好ましい例は同じである。
上記一般式(III)の基として、t−ブチル基、3−エチル−3−ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましく、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がより好ましく、t−ブチル基、シクロヘキシル基がさらに好ましい。
上記一般式(IV)のR3〜R7の置換されてもよい炭化水素基の炭化水素基とは、上記一般式(I)のArの芳香環を含む二官能性有機基の置換基における炭化水素基と具体例は同じである。該炭化水素基として、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基が好ましく、炭素原子数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。置換基としては、上記Arの芳香環を含む二官能性の有機基の炭化水素基において、水素原子の結合した炭素原子に置換してもよい基として例示したものと具体例は同じである。該置換基として、炭素原子数1〜12の炭化水素基、炭素原子数1〜12の炭化水素オキシ基、炭素原子数2〜12の炭化水素二置換アミノ基、炭素原子数1〜12の炭化水素メルカプト基が好ましく、炭素原子数1〜8の炭化水素基、炭素原子数1〜8の炭化水素オキシ基、炭素原子数2〜8の炭化水素二置換アミノ基がより好ましく、炭素原子数1〜6の炭化水素基、炭素原子数1〜6の炭化水素オキシ基がさらに好ましい。

またR3〜R7の置換されてもよい炭化水素オキシ基における炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノ基における炭化水素二置換アミノ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基における炭化水素メルカプト基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基における炭化水素カルボニル基、置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基における炭化水素オキシカルボニル基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノカルボニル基における炭化水素二置換アミノカルボニル基または置換されてもよい炭化水素スルホニル基における炭化水素スルホニル基とは、上記一般式(I)のArの芳香環を含む二官能性有機基の置換基におけるそれらと同じ定義であり、好ましい例および具体例も同じである。これらに置換してよい置換基としては、前記の置換されてもよい炭化水素基における置換してよい置換基と同じ定義であり、好ましい例および具体例も同じである。

上記一般式(IV)のR3〜R7としては、水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素二置換アミノ基が好ましく、水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基がより好ましく、水素原子、置換されてもよい炭化水素基がさらに好ましい。
上記一般式(IV)の基として、2−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2、6−ジイソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2−フェニルフェニル基、2、6−ジフェニルフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、2、6−ジイソプロポキシフェニル基、2−t−ブトキシフェニル基、2−フェノキシフェニル基、2、6−ジフェノキシフェニル基、2−(2−メチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル基、2−(2−エチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエチルフェニル)フェニル基、2−(2−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブチルフェニル)フェニル基、2−(2−メトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメトキシフェニル)フェニル基、2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)フェニル基、2−(2−エトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエトキシフェニル)フェニル基、2−(2−イソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジイソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−t−ブトキシフェニル)フェニル基等が挙げられる。好ましくは、2−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2−フェニルフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、2−t−ブトキシフェニル基、2−フェニノキシフェニル基、2−(2−メチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル基、2−(2−エチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエチルフェニル)フェニル基、2−(2−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブチルフェニル)フェニル基、2−(2−メトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメトキシフェニル)フェニル基、2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)フェニル基、2−(2−エトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエトキシフェニル)フェニル基、2−(2−イソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジイソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−t−ブトキシフェニル)フェニル基であり、より好ましくは2−(2−メチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル基、2−(2−エチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエチルフェニル)フェニル基、2−(2−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブチルフェニル)フェニル基、2−(2−メトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメトキシフェニル)フェニル基、2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)フェニル基、2−(2−エトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエトキシフェニル)フェニル基、2−(2−イソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジイソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−t−ブトキシフェニル)フェニル基であり、さらに好ましくは2−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)フェニル基、2−(2−t−ブチルフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジメトキシフェニル)フェニル基、2−(2−エトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジエトキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−ジイソプロポキシフェニル)フェニル基、2−(2,6−t−ブトキシフェニル)フェニル基である。
上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体は、例えば、該ホスフィン化合物とパラジウム(0)・ジベンジリデンアセトン錯体のような可溶化したPd(0)錯体を混合することにより製造することができ、また、該ホスフィン化合物存在下にパラジウム(II)の酢酸塩や塩化物を還元してパラジウム(0)を発生させて製造することができる。該パラジウム錯体の製法として、Chem.Rev.102,1359(2002)およびその参照文献に記載されている方法が例示される。
このホスフィン化合物を含むパラジウム錯体は、単離せずに、重縮合に用いてもよいし、単離して用いてもよい。
該ホスフィン化合物の使用量に限定はないが、パラジウム(0)に対する該ホスフィン化合物の使用量(モル比)として0.5〜10が好ましく、0.8〜5がより好ましく、0.9〜3がさらに好ましい。
該錯体の使用量として制限はないが、上記一般式(I)で表される芳香族化合物に対するPdの使用量として、好ましくは0.0001〜10モル%であり、より好ましくは0.001〜5モル%であり、さらに好ましくは0.01〜5モル%である。
本発明において、上記一般式(I)で表される芳香族化合物を、上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体存在下に重縮合する際に、下式(V)で表される芳香族化合物を共存させることが、得られた芳香族ポリマーの分子量分布を狭くする点で好ましい。

Figure 2007119709

(式中、Araは芳香環を含む単官能性の有機基である。Xaはハロゲン原子または−SO3aで示される基(ここにQaは置換されていてもよい炭化水素基を表す)である。)
上記一般式(V)におけるAraは芳香環を含む単官能性の有機基である。該有機基の基本骨格としては、上記一般式(I)のArにおける芳香環を含む有機基の基本骨格と、具体例および好ましい例は同じである。
上記Araの芳香環を含む有機基における基本骨格において、水素原子の結合した芳香環上の炭素原子1つから、水素原子を1つ取り除くことにより、芳香環を含む単官能性の有機基となる。
上記Araの芳香環を含む単官能性の有機基において、水素原子の結合した炭素原子に、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基、炭化水素二置換アミノカルボニル基、炭化水素スルホニル基が置換してもよく、水素原子の結合した窒素原子に、炭化水素基が置換してもよく、それら2つの置換基が連結して環を形成してもよい。
前記の炭化水素基とは、上記一般式(I)のArの芳香環を含む二官能性有機基の置換基における炭化水素基と具体例および好ましい例は同じである。
前記の炭化水素オキシ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基、炭化水素スルホニル基とは、オキシ基、メルカプト基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルホニル基に前記の炭化水素基1つが結合した基である。炭化水素二置換アミノ基、炭化水素二置換アミノカルボニル基とは、アミノ基、アミノカルボニル基に前記の炭化水素基2つが結合した基である。
即ち、前記の炭化水素オキシ基は、Q4-O−(Q4は炭化水素基を表す。)で表される基であり、炭化水素メルカプト基は、Q5-S−(Q5は炭化水素基を表す。)で表される基であり、
炭化水素カルボニル基は、Q6-C(=O)−(Q6は炭化水素基を表す。)で表される基であり、炭化水素オキシカルボニル基はQ7-OC(=O)−(Q7は炭化水素基を表す。)で表される基であり、炭化水素スルホニル基は、Q8-SO2−(Q8は炭化水素基を表す。)で表される基である。
炭化水素二置換アミノ基は、(Q92N−(Q9は炭化水素基を表す。2個のQ9は同一であっても異なっていてもよい。)で表される基であり、炭化水素二置換アミノカルボニル基は、(Q102N(C=O)−(Q10は炭化水素基を表す。2個のQ7は同一であっても異なっていてもよい。)で表される基である。
これらに含まれる炭化水素基の具体例および好ましい例は上記一般式(I)のArの芳香環を含む二官能性有機基の置換基における炭化水素基におけるそれらと同じである。
上記Araの芳香環を含む単官能性の有機基における置換基として、水素原子の結合した炭素原子には、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基が好ましく、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基がより好ましく、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、炭化水素基、炭化水素オキシ基がさらに好ましい。水素原子の結合した窒素原子には、炭化水素基が置換することが好ましい。
上記一般式(V)におけるXaは、ハロゲン原子または−SO3aで示される基(ここにQaは置換されていてもよい炭化水素基を表す)である。ここでいうハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
−SO3aで示される基のQaにおける置換されていてもよい炭化水素基としては、前記の炭化水素基があげられ、置換基としては例えばフッ素原子があげられる。
−SO3aで示される基の具体例としては、メタンスルフォネート基、ベンゼンスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基があげられる。
aとして、好ましくはハロゲン原子、−SO3aで示される基であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−SO3aで示される基であり、さらに好ましくは臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルフォネート基である。
上記一般式(V)で表される芳香族化合物の使用量として制限はないが、上記一般式(I)で表される芳香族化合物に対する使用下限量として、好ましくは0.0001モル%であり、より好ましくは0.001モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%である。該使用上限量として、好ましくは1000000モル%であり、より好ましくは1000モル%であり、さらに好ましくは100モル%である。
本発明において、上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体と上記一般式(V)で表される芳香族化合物を予め反応させた後に、上記一般式(I)で表される芳香族化合物に接触させて重縮合に用いることが得られた芳香族ポリマーの分子量分布を狭くする点でより好ましい。
式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体に含まれるパラジウム原子に対する、式(V)で表される芳香族化合物の使用量としては、反応性の観点から、1モル倍以上であることが好ましい。また、式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体と式(V)で表される芳香族化合物を反応させた後に、得られたパラジウム錯体化合物を単離する場合には、2モル倍以上であることが好ましく、10モル倍以上であることがより好ましく、30モル倍以上であることがさらに好ましい。そのモル比の上限は特に限定されないが、単離操作の利便性の観点から、200モル倍以下であることが好ましく、100モル倍以下であることがより好ましい。
式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体と式(V)で表される芳香族化合物を反応させた後に、得られたパラジウム錯体化合物を単離した後に、上記一般式(I)で表される芳香族化合物に接触させて重縮合に用いることが、得られた芳香族ポリマーの、構造を制御する点、および分子量分布を狭くする点でより好ましい。
上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体と上記一般式(V)で表される芳香族化合物を反応させる方法に特に限定はない。例えばJ. Am. Chem. Soc. 126,1184 (2004)に記載されるように不活性ガス雰囲気下に混合することで得ることが出来る。
上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体と上記一般式(V)で表される芳香族化合物を反応させることで、下式(VI)のパラジウム錯体化合物または下式(VI)のパラジウム錯体化合物を含む組成物が生じていると推定される。下式(VI)のパラジウム錯体化合物を単離して使用してもよい。
Figure 2007119709
(式中、R1、Ara、Xaは、前記のそれらと同じ定義である。)
上記一般式(VI)のパラジウム錯体化合物を単離して使用する場合、上記一般式(VI)のパラジウム錯体化合物の使用量として制限はないが、上記一般式(I)で表される芳香族化合物に対するPdの使用量として、好ましくは0.0001〜10モル%であり、より好ましくは0.001〜5モル%であり、さらに好ましくは0.01〜5モル%である。
本発明において、該芳香族化合物を該錯体存在下に重縮合する際の反応条件としては、Chem.Rev.102,1359(2002)およびその参照文献に記載されている、パラジウム触媒を用いる種々の芳香族カップリングの反応条件を用いることができる。特に、上記一般式(I)におけるMが−B(OQ1)2である芳香族化合物を用いる反応は、Chem.Rev.95,2457(1995)およびその参照文献に記載される鈴木カップリングと呼ばれる代表的な反応であり、代表例として以下に説明する。
この場合においては、塩基を用いることが望ましく、具体例としては、カウンターカチオンとしてリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンとする、水酸化物塩、炭酸塩、リン酸塩、フッ化物塩が挙げられる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムが好ましい。
該塩基の使用量としては限定はないが、上記一般式(I)で表される芳香族化合物に対する該塩基の使用量として、好ましくは0.01〜1000モル倍量であり、より好ましくは0.1〜100モル倍量であり、さらに好ましくは1〜30モル倍量である。
鈴木カップリングを用いた重縮合は、反応溶媒中で行なうことが望ましい。該反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状および環状の脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;水が挙げられる。反応溶媒としては、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エーテル類、ニトロ化合物類または水が好ましい。これらの反応溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。
該反応溶媒の使用量は、通常、上記一般式(I)で表される芳香族化合物1gに対して、0.01〜10,000mLで使用するが、好ましくは0.1〜1,000mLであり、より好ましくは1〜200mLである。
鈴木カップリングを用いた重縮合の反応温度は、通常、―100℃〜200℃であり、好ましくは―50℃〜150℃であり、より好ましくは―20℃〜100℃である。該反応の時間は、通常、0.1分間〜1,000時間であり、好ましくは1分間〜500時間であり、より好ましくは10分間〜200時間である。
鈴木カップリングを用いた重縮合の後処理としては、反応終了後に、水層が分離している場合は分液し、得られた油層を必要に応じて塩酸水溶液や水で洗浄し、有機溶媒を蒸発させるか、または貧溶媒を加えて沈殿させた後にろ過、洗浄、乾燥することにより芳香族ポリマーを単離することが好ましい。
本発明の上記一般式(I)で表される芳香族化合物の重縮合において、上記一般式(V)で表される芳香族化合物を共存させる場合、または上記一般式(II)で表されるホスフィン化合物含むパラジウム錯体と上記一般式(V)で表される芳香族化合物を予め反応させて用いる場合、生成する芳香族ポリマーは下記一般式(VII)で表される構造となりうる。上記一般式(V)で表される芳香族化合物より重合が開始され、上記一般式(I)で表される芳香族化合物が連鎖的に重縮合して生成すると推定している。そのために、分子量分布のより狭い芳香族ポリマーを得ることが可能となる。上記一般式(V)で表される芳香族化合物のAraに官能基を持たせると、開始末端構造に官能基をもつ芳香族ポリマーが得られる。また上記一般式(V)で表される芳香族化合物を複数の開始点をもつ化合物に替えると、複数に分岐した芳香族ポリマーが得られる。

Figure 2007119709

(式中、Ara、Ar、Xは、前記のそれらと同じ定義であり、iは繰り返し構造Arの数平均重合度である。)

上記一般式(VII)で表される芳香族ポリマーは、重合副反応や後処理反応により、Xが水素原子に置換されることがある。また該重合終了後に、下記一般式(VIII)の芳香族化合物を添加することにより、下記一般式(IX)で表される芳香族ポリマーを得ることができる。

Figure 2007119709

(式中、Mb、Yb、nbは上記のM、Y、nと同じ定義であり、Arbは上記のAraと同じ定義である。)

Figure 2007119709

(式中、Ara、Ar、Arb、iは前記のそれらと同じ定義である。)

以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
実施例1
50 ml ナスフラスコをアルゴン置換し、フェニルボロン酸ピナコールエステル() 0.200 g (0.980 mmol)、1,4-ジブロモベンゼン()0.236 g (1.00 mmol)、アントラセン 0.049 g (0.275 mmol)、乾燥 THF 15.3 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液 9.8 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。200 ml 三つ口フラスコも同様にアルゴン置換し、Pd2(ジベンゾイルアセトン)3 4.5 mg (0.00491 mmol, 0.5 mol%)、乾燥 THF 4.3 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液約 10 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。そこへ窒素気流下で 2.25 mg/ml に調節した トリ−t−ブチルホスフィン のTHF 溶液 1.1 ml (0.0122 mmol, 1.2 mol%) をシリンジで加えた。更に三つ口フラスコの方へ原料の混合液をカヌーラで加え 60 ℃ で 3 時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーを用いて検量線から転化率と収率を求めた。フェニルボロン酸ピナコールエステルの転化率は96%であり、4−ブロモジフェニル()と4,4’−ターフェニル()の総収率は73%であり、の生成モル比は4/96であった。
比較例1
ホスフィン化合物をトリ−t−ブチルホスフィンから1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンに替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。フェニルボロン酸ピナコールエステルの転化率は98%であり、の総収率は85%であり、の生成モル比は40/60であった。
本反応を下記スキーム1に示す。パラジウムが分子内移動すればが生成し、パラジウムが脱離すればが生成すると考えている。したがっての生成モル比が小さいほどパラジウムの分子内移動の割合が大きくなるといえる。の生成モル比につき、比較例1において1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用いたときには40/60であったが、実施例1においてトリ−t−ブチルホスフィンを用いたときは4/96となった。本結果から、トリ−t−ブチルホスフィンとパラジウムからなる触媒では主にパラジウムが分子内移動したことを示している。したがって、Macromolecules 37,1169(2004)に記載されるように、本触媒は触媒移動型連鎖重縮合となり、分子量分布の狭い芳香族ポリマーが得られうる。

Figure 2007119709
実施例2
実施例1の実験では、もしパラジウムとの反応性がよりもが十分に大きい場合には、パラジウム脱離からでも主としてが生成する可能性がある。この可能性を同時に見極められるよう、下記スキーム2に示す実験を行った。
50 ml ナスフラスコをアルゴン置換し、t−ブチルフェニルボロン酸ピナコールエステル()0.264 g (1.02 mmol)、1,4-ジブロモベンゼン()0.236 g (1.00 mmol)、4-ブロモビフェニル()0.235 g (1.01 mmol)、オクチルベンゼン 0.061 g (0.359 mmol)、乾燥 THF 15.0 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液 10.0 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。100 ml ナスフラスコも同様にアルゴン置換し、Pd2(ジベンゾイルアセトン)3 4.6 mg (0.00503 mmol, 0.5 mol%)、乾燥 THF 5.0 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液約 10 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。そこへ窒素気流下で 2.30 mg/ml に調節した トリ−t−ブチルホスフィン のTHF 溶液 1.05 ml (0.0119 mmol, 1.2 mol%) をシリンジで加えた。更に100 ml ナスフラスコの方へ原料の混合液をカヌーラで加え 60 ℃ で 3 時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーを用いて検量線から転化率と収率を求めた。
の転化率は100%であり、に対して4−ブロモ−4’−t−ブチル−p−ターフェニル()、4,4’ ’−ジ−t−ブチル−p−ターフェニル()、4−t−ブチル−p−ターフェニル()の総収率は99%であった。/()の生成モル比は51/49であり、の反応性はほぼ同じことからパラジウムは分子内移動しているといえる。本条件下ではの生成モル比がパラジウムの分子内移動の割合を表し、の生成モル比は2/98であった。

Figure 2007119709
実施例3
50 ml ナスフラスコをアルゴン置換し、t−ブチルフェニルボロン酸ピナコールエステル ()0.261 g (1.00 mmol)、1,4-ジブロモベンゼン()0.238 g (1.01 mmol)、4-ブロモビフェニル()0.234 g (1.00 mmol)、オクチルベンゼン 0.266 g (1.56 mmol)、乾燥 THF 15.0 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液 10.0 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。100 ml ナスフラスコも同様にアルゴン置換し、Pd2(ジベンゾイルアセトン)3 4.6 mg (0.00503 mmol, 0.5 mol%)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル 4.9 mg (0.0118 mmol, 1.2 mol%)、乾燥 THF 5.0 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液約 10 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。100 ml ナスフラスコの方へ原料の混合液をカヌーラで加え 60 ℃ で 3 時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーを用いて検量線から転化率と収率を求めた。
の転化率は73%であり、に対しての総収率は99%であり、/()の生成モル比は47/53であった。本条件下でパラジウムの分子内移動の割合を表すの生成モル比は2/98であった。
実施例4
50 ml ナスフラスコをアルゴン置換し、t−ブチルフェニルボロン酸ピナコールエステル() 0.260 g (1.00 mmol)、1,4-ジブロモベンゼン()0.239 g (1.01 mmol)、4-ブロモビフェニル()0.234 g (1.00 mmol)、オクチルベンゼン 0.127 g (0.743 mmol)、乾燥 THF 15.0 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液 10.0 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。100 ml ナスフラスコも同様にアルゴン置換し、Pd2(ジベンゾイルアセトン)3 4.6 mg (0.00503 mmol, 0.5 mol%)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−i−プロポキシ−1,1’−ビフェニル 5.6 mg (0.0120 mmol, 1.2 mol%)、乾燥 THF 5.0 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液約 10 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。100 ml ナスフラスコの方へ原料の混合液をカヌーラで加え 60 ℃ で 3 時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーを用いて検量線から転化率と収率を求めた。
の転化率は61%であり、に対しての総収率は85%であり、/()の生成モル比は46/54であった。本条件下でパラジウムの分子内移動の割合を表すの生成モル比は1/99であった。
実施例5
(i) P(tBu)3Pd(Ph)Brの合成:公知の方法に従い、不活性ガス雰囲気下、ビス(トリ-t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)とブロモベンゼンを反応させることにより、P(tBu3)Pd(Ph)Brを合成した(参考文献:J. Am. Chem. Soc. 126, 1184 (2004))。
(ii) 4-ブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンボロン酸の合成:公知の合成法に従い、1,4-ジブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンから、4-ブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンボロン酸を合成した(参考文献:Macromol. Chem. Phys. 195, 1933 (1994))。4-ブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンボロン酸は重合に用いる前に、クロロホルム−ヘキサンより再結晶して用いた。

Figure 2007119709

(iii) 4-ブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンボロン酸の重合:不活性ガス雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、4-ブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンボロン酸 172mg(0.5mmol)、テトラヒドロフラン 15mL、オクチルベンゼン(内部標準物質、100μL)を仕込み、溶解した後に、2M Na2CO3aq. 10mLを仕込んだ。15〜20℃にて攪拌下、ダイヤフラムポンプを用いて、脱気、不活性ガス置換した。別途、アルゴングローブボックスにて、PtBu3Pd(Ph)Br 11.6mg(0.025mmol、5mol%)をテトラヒドロフラン5mLに溶解した黄色溶液を不活性ガス雰囲気下で、上記モノマー溶液中へ一括仕込みし、室温にて30min保温した。室温にて無色透明の水層を分液した後、油層中へ2規定塩酸 5mLを加え攪拌することにより、芳香族ポリマーを析出させた。析出した芳香族ポリマーをろ取、メタノール、水で洗浄、減圧乾燥することで白色の粉末として芳香族ポリマーを得た。収量90mg、収率82%。
該芳香族ポリマーの分子量につき、GPC(東ソー製:HLC-8220GPCシステム(RI検出器))により、TSKgel SuperHM-H(18cm)(東ソー製)3本を直列につなげたカラムを用いて、テトラヒドロフランを展開溶媒として、0.5mL/minの流速で流し、40℃で測定した。ポリスチレン換算の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnはそれぞれ、Mn=1.1×10^4、Mw=1.6×10^4、Mw/Mn=1.5であった。
1H-NMR(CHCl3-d)分析から、末端構造の2,6−位の水素原子(δ7.66、2H)、繰り返し構造10のメチル基の水素原子(δ0.90、6H)、末端構造11のメチル基の水素原子(δ0.98、6H)が観測され、それらの面積比から計算した各構造のモル比は9:10:11=4.4:90.9:4.7となった。末端構造と末端構造11がほぼ同量であることから、末端構造から重合が開始され、繰り返し構造10が連鎖的に成長し、末端構造12の臭素原子が水素原子に置換されて末端構造11となったと推定される。

Figure 2007119709
比較例2
Figure 2007119709

1,4-ジブロモ-2,5-ジブトキシベンゼンの重合:不活性ガス雰囲気下、200mL三口フラスコに1,4-ジブロモ-2,5-ジブトキシベンゼン 1.04g(2.73mmol)、2,2'-ビピリジル 1.03g(6.57mmol)、市販脱水テトラヒドロフラン 95mLを仕込み、攪拌溶解した後に、アルゴンガスをバブリングし脱気した。60℃に昇温した中へ、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0) 1.65g(6.01mmol)を仕込み、60℃で3時間保温した後に、室温まで冷却し、メタノール 81g/蒸留水 105g/25%アンモニア水 11gの混合溶液を攪拌した中へ滴下し、芳香族ポリマーを沈殿化させた。芳香族ポリマーをろ取し、メタノール/蒸留水の混合溶液で洗浄し、減圧乾燥することにより、粗芳香族ポリマーを得た。得られた粗芳香族ポリマーをトルエンに溶解し、不溶分をラジオライトでプレコートしたろ過器でろ別した後に、アルミナカラムに通液し、5%塩酸水溶液、4%アンモニア水で順次洗浄した後、濃縮し、メタノール中へ滴下して芳香族ポリマーを沈殿化した。芳香族ポリマーをろ取し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより、芳香族ポリマーを得た。収量376mg、収率62%。
該芳香族ポリマーの分子量につき、実施例5と同様にして測定し、ポリスチレン換算の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnはそれぞれ、Mn=2.6×10^4、Mw=6.9×10^4、Mw/Mn=2.6であった。
実施例6
50 ml ナスフラスコをアルゴン置換し、フェニルボロン酸ピナコールエステル() 0.205 g (1.004 mmol)、2,7-ジブロモ-9,9-ジオクチルフルオレン(13)0.549 g (1.00 mmol)、オクチルベンゼン 0.128 g (0.675 mmol)、乾燥 THF 15ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液 10 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。100 ml 三つ口フラスコも同様にアルゴン置換し、Pd2(ジベンゾイルアセトン)3 4.6 mg (0.00503 mmol, 0.5 mol%)、乾燥 THF 5 ml と 2 M 炭酸ナトリウム水溶液 10 ml を加え、攪拌しながらダイヤフラムポンプを用いて脱気した後に窒素置換した。そこへ窒素気流下で 2.78 mg/ml に調節した トリ−t−ブチルホスフィン のTHF 溶液 0.87 ml (0.0120 mmol, 1.2 mol%) をシリンジで加えた。更に三つ口フラスコの方へ原料の混合液をカヌーラで加え 60 ℃ で 3 時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーを用いて検量線から転化率と収率を求めた。フェニルボロン酸ピナコールエステルの転化率は83%であり、2-ブロモ-7-フェニル-9,9-ジオクチルフルオレン(14)と2,7-ジフェニル-9,9-ジオクチルフルオレン(15)の総収率は93%であり、1415の生成モル比は1/99であった。
Figure 2007119709
実施例7
2-ブロモ-9,9-ジオクチルフルオレン-7-ボロン酸ピナコールエステルの重合:不活性ガス雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、2-ブロモ-9,9-ジオクチルフルオレン-7-ボロン酸ピナコールエステル149mg(0.25mmol)、テトラヒドロフラン 8mLを仕込み、溶解した後に、2M Na2CO3aq. 5mLを仕込んだ。15〜20℃にて攪拌下、ダイヤフラムポンプを用いて、脱気、不活性ガス置換した。別途、P(tBu3)Pd(Ph)Br 5.8mg(0.025mmol、5mol%)をテトラヒドロフラン2mLに溶解した黄色溶液を不活性ガス雰囲気下で、上記モノマー溶液中へ一括仕込みし、室温にて30min保温した。室温にて水層を分液した後、油層中へ2規定塩酸 5mL、メタノール20mlを加え攪拌した。析出した芳香族ポリマーをろ取、メタノール、水で洗浄、減圧乾燥することで黄色の粉末として芳香族ポリマーを得た。収量83mg、収率85%。
Figure 2007119709


該芳香族ポリマーの分子量につき、実施例5と同様にして測定し、ポリスチレン換算の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnはそれぞれ、Mn=1.8×10^4、Mw=2.4×10^4、Mw/Mn=1.3であった。
このように、本発明の製造方法によれば、高分子量(典型的には数平均分子量が10,000以上)でありながら分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が狭い(典型的には1.0以上、1.5以下)芳香族ポリマーを得ることができる。
なかでも、繰返し単位として、縮環性または渡環性芳香環の水素原子の結合した芳香環上の炭素原子2つから、それぞれ水素原子一つずつ取り除くことにより表される二官能性の有機基をモノマーとして用いた場合には、重縮合時の分子内移動の割合が高まり、更に分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が狭い(典型的には1.0以上、1.3以下)芳香族ポリマーを得ることができる。縮環性または渡環性芳香環としては、渡環性芳香環が好ましく、フルオレン環がより好ましい。

Claims (9)

  1. 下式(I)で表される芳香族化合物を、下式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体存在下に重縮合することを特徴とする芳香族ポリマーの製造方法。

    Figure 2007119709
    (式中、Arは芳香環を含む二官能性の有機基である。Xはハロゲン原子、ニトロ基または−SO3Qで示される基(ここにQは置換されていてもよい炭化水素基を表す)である。Yは酸素原子、硫黄原子、イミノ基、置換イミノ基、エテニレン基、置換エテニレン基またはエチニレン基であり、nは0または1である。Mは、水素原子、−B(OQ1)2、−Si(Q2)3、−Sn(Q3)3またはZ1(Z2)mを表す。(ここにQ1は水素原子または炭化水素基であり、2つのQ1は同じであっても異なってもよく、環を形成してもよく、Q2は炭化水素基であり、3つのQ2は同じであっても異なってもよく、Q3は炭化水素基であり、3つのQ3は同じであっても異なってもよい。Z1は金属原子または金属イオンであり、Z2はカウンターアニオンであり、mは0以上の整数である。)

    P(R1)3 (II)
    (式中、R1は下式(III)で表される基または下式(IV)で表される基であり、3つのR1は同じでも異なっていてもよいが、3つのR1のうち少なくとも一つは下式(III)で表される基である。)

    −C(R2)3 (III)
    (式中、R2は水素原子または置換されてもよい炭化水素基であり、3つのR2は同じでも異なっていてもよく、2つのR2が一緒になって環を形成してもよく、2つ以上のR2が水素原子であることはない。)

    Figure 2007119709
    (式中、R3〜R7はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素二置換アミノ基、炭化水素メルカプト基、炭化水素カルボニル基、炭化水素オキシカルボニル基、炭化水素二置換アミノカルボニル基または炭化水素スルホニル基であり、R3またはR4のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、R3とR5、R5とR7、R4とR6、およびR6とR7がそれぞれ一緒になって環を形成してもよい。)
  2. 式(IV)におけるR3〜R7がそれぞれ独立に水素原子または置換されてもよい炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリマーの製造方法。
  3. 前記式(I)で表される芳香族化合物を、前記式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体存在下に重縮合する際に、下式(V)で表される芳香族化合物を共存させることを特徴とする請求項1または2記載の芳香族ポリマーの製造方法。
    Figure 2007119709

    (式中、Araは芳香環を含む単官能性の有機基である。Xaはハロゲン原子または−SO3aで示される基(ここにQaは置換されていてもよい炭化水素基を表す)である。)
  4. 前記式(II)で表されるホスフィン化合物を含むパラジウム錯体と前記式(V)で表される芳香族化合物を予め反応させた後に、前記式(I)で表される芳香族化合物に接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリマーの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造された芳香族ポリマー。
  6. 数平均分子量が10,000以上であり、かつ分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0以上1.5以下であることを特徴とする、請求項5に記載の芳香族ポリマー。
  7. 繰返し単位として、縮環性芳香環または渡環性芳香環の水素原子の結合した芳香環上の炭素原子2つから、それぞれ水素原子一つずつ取り除くことにより表される二官能性の有機基を含み、数平均分子量が10,000以上であり、かつ分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0以上1.3以下であることを特徴とする芳香族ポリマー。
  8. 二官能性の有機基が、渡環性芳香環の水素原子の結合した芳香環上の炭素原子2つから、それぞれ水素原子一つずつ取り除くことにより表される二官能性の有機基であることを特徴とする請求項7記載の芳香族ポリマー。
  9. 渡環性芳香環がフルオレン環であることを特徴とする請求項8記載の芳香族ポリマー。
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