JP2007119551A - インクセット、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録ヘッドと、維持回復装置とを少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられるインクセットであって、該インクセットは、吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクAと、非吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクBとを組み合わせてなり、前記インクAにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HAと、前記インクBにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HBとが、HA≧HBの関係を満たすインクセットである。
【選択図】図3
Description
しかし、前記顔料インクは、染料インクに比べ、発色性や安定性に多くの課題が残されている。また、オフィス用プリンタの高画質化技術の向上に伴って、顔料インクにも、普通紙において染料インクと同等の印字品質、色相、彩度、光沢、保存性などが要求されるようになってきている。更に、印字品質の高画質化及び高速印字を達成するため、最近ではインクを小滴化する傾向にあり、これに伴って、ノズル径も小径化される方向にある。
これらの要求に対して、着色剤として顔料を使用し、かつノズル径の小径化されたインクジェット記録装置での吐出安定性を確保すること、また、インクのその他の特性との両立を図る試みが多数なされているが、未だ充分満足できる性能を有するものは提供されていないのが現状である。
また、印字動作前、又は印字動作中に、非印字領域に一定量全ノズルからインク排出を実施する空吐出を行うことによって、安定したインク噴射可能な状態を保持することも知られている。
しかし、これらの提案は、着色剤が顔料である場合には、いずれも顔料分散安定性や記録媒体に対する定着性及び発色性に劣るという問題がある。また、一般的に、インクの濡れ性を改良した低表面張力の水性インクでは、使用する界面活性剤の影響により、インクの起泡性が高く、泡立ちやすいことからインクの充填性、及び吐出安定性に悪影響を及ぼしてしまうという欠点がある。
また、特許文献6には、5〜15mPa・sの高粘度であり、信頼性を確保するため、初期の蒸発速度を調整し、かつ粘度調整剤として特定の化合物を添加したインクが提案されている。しかし、この提案では、用いる顔料の粒径の安定性については開示も示唆もなく、24時間放置後においても信頼性を有するとされているが、インクを吐出するヘッドの構成とノズル径の大きさによっては、長期放置した場合には、信頼性に劣るインク処方となる。
前記課題を解決するため、例えば、25℃におけるインク粘度が5〜20mPa・sで、かつ湿潤剤(水溶性有機溶剤)の含有量が10〜50質量%であり、かつポリマー微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを含有するインクジェットインクが提案されている(特許文献7参照)。
この提案の顔料インクは、温度に対する粘度変化が、従来の染料インクに比べて大きく、使用環境温度は15℃以下では、室温時の粘度に比べ、粘度が高くなる傾向にあることから、低温環境下においては適切な維持回復動作が必要となる。
また、前記インク中には、水溶性有機溶剤が10〜50質量%含有されているので、例えば、クリーニング等の維持回復動作により、ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段に連通した覆蓋手段内にインクが付着する。この覆蓋手段内に残存するインクが、ヘッドを覆蓋し、長期にわたってマシンが休止している間に、残存するインクに含まれる水溶性有機溶剤が、該水溶性有機溶剤の飽和水分量に到達するまで水分を吸湿し、インクメニスカス面にあるインクが一部局所的に増粘する。その結果、長期放置後の最初の吐出が乱れ、不吐出、噴射曲がりを引き起こしやすくなる傾向が強い。この現象は、インク滴を吐出する際に、用いる波形が粘度上昇の影響を大きく受け、インク滴量が5〜15pl相当の小滴を多く用いる印字モードにおいて特に顕著である。
<1> 多数のノズルを有する複数の記録ヘッドと、該記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段、及び前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段を有する維持回復装置と、を少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられるインクセットであって、
前記インクセットは、前記吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクAと、前記非吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクBとを組み合わせてなり、
前記インクAにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HAと、前記インクBにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HBとが、次式、HA≧HBの関係を満たすことを特徴とするインクセットである。
<2> 平衡水分量HBが、15質量%以上である前記<1>に記載のインクセットである。
<3> インクA及びインクBが湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤の温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量が、15質量%以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクセットである。
<4> 湿潤剤が、多価アルコール類を含有する前記<3>に記載のインクセットである。
<5> 多価アルコール類が、少なくとも2種の多価アルコールである前記<4>に記載のインクセットである。
<6> 多価アルコール類の1つがグリセリンであり、かつ該グリセリンの含有量が湿潤剤全体の20〜80質量%である前記<5>に記載のインクセットである。
<7> 湿潤剤のインクにおける合計含有量が10〜50質量%である前記<3>から<6>のいずれかに記載のインクセットである。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<9> 多数のノズルを有する複数の記録ヘッドと、該記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段、及び前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段を有する維持回復装置と、を少なくとも備えたインクジェット記録装置であって、
前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットの各インクに刺激を印加し、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出させて画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<10> 記録ヘッドが、インクセットにおける各インクをエネルギーの作用によりインク滴化して、吐出するヘッド部及び記録ユニットのいずれかを有する前記<9>に記載のインクジェット記録装置である。
<11> 記録ヘッドが、液室部と、流体抵抗部と、振動板と、ノズル部材とを有してなり、かつ前記記録ヘッドの少なくとも一部がシリコン及びニッケルのいずれかを含有する材料から形成されている前記<9>から<10>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<12> 記録ヘッドのノズル径が、30μm以下である前記<9>から<11>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<13> 前記<9>から<12>のいずれかに記載のインクジェット記録装置を用いたことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<14> 記録媒体上に前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
前記インクセットは、前記吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクAと、前記非吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクBとを組み合わせてなり、
前記インクAにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HAと、前記インクBにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HBとが、次式、HA≧HBの関係を満たすので、普通紙上での高速かつ高画質出力が可能であり、かつ長期に亘って信頼性に優れた安定なインク吐出を維持することができる。
更に、本発明のインクジェット記録装置によれば、吸引覆蓋手段(吸引キャップ)と非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)とを備えることにより、全てのキャップが吸引キャップである構成よりも信頼性確保のための維持動作に消費されるインク量が少なくなり、維持動作にかかる時間、インクの無駄を防ぐことができる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクジェット記録装置を用いているので、吐出安定性に優れ、長期信頼性が確保され、高品位な画像が記録できる。
本発明のインクセットは、記録ヘッドと、維持回復装置とを少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられ、
前記維持回復装置は、前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段(以下、「吸引キャップ」と称することもある)と、前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段(以下、「保湿キャップ」と称することもある)とを少なくとも有してなる。なお、インクジェット記録装置の詳細については、後述する。
前記インクAにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HAと、前記インクBにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HBとが、次式、HA≧HBの関係を満たす。前記HAがHBよりも小さいと、インクジェット記録装置本体を長期に休止した直後の吐出が乱れるといった不具合が生じることがある。
前記インクAにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HAは、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。なお、上限値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、30質量%であることが好ましい。
前記インクBにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HBは、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。なお、上限値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、30質量%であることが好ましい。
また、吸引覆蓋手段(吸引キャップ)に残存したインクに含まれる湿潤剤が、該湿潤剤の飽和水分量に到達するまで水分を吸湿する結果、インクメニスカス面にあるインクが一部局所的に増粘し、長期放置後の最初の吐出がこの増粘により乱れ、不吐出、噴射曲がりを引き起こしやすくなることを防ぐことができる。一方、前記インクBにおいて、前記インクAの平衡水分量HAと同等乃至は小さい平衡水分量HBで信頼性を保持することができるのは、非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)は、吸引力発生手段と連通していないので、保湿キャップ内にはインクが付着しないことが大きな理由の一つである。
前記インクの初期水分量は、一般的な方法として、ガスクロマトグラフィーによる揮発成分の定量、熱重量測定装置による質量変動より測定することができる。
前記湿潤剤の温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。なお、上限値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、30質量%であることが好ましい。
前記インクA及びインクBは、いずれも、上述した特性を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも水、着色剤、湿潤剤、樹脂エマルジョン、及び浸透剤を含有してなり、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるものが好適に用いられ、これらの中でも、前記湿潤剤の平衡水分量、種類、含有量、などが特に重要である。
前記湿潤剤としては、温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量は、15質量%以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多価アルコール類が好適である。
また、前記グリセリンと併用される湿潤剤としては、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール等のブタンジオールが好ましい。これら1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,3−ブタンジオールは、グリセリン同様に平衡水分量が高く、信頼性が高い上に、インクが紙に着弾した際の画素の広がりを均一にし、更には、着色剤を紙表面にとどめる効果も高いので好適である。前記グリセリンは、信頼性向上効果が高いが、多量に添加すると画質が悪くなり、また、水分蒸発後の粘度上昇が大きくなりすぎて、吐出安定性も悪くなる場合があるため、これらの混合質量比(ブタンジオール:グリセリン)は、1:4〜4:1が好ましく、1:3〜3:1がより好ましく、1:1〜3:1が特に好ましい。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリコール等が挙げられる。
前記着色剤としては、水分散性であり、顔料を含む水分散性着色剤が好適である。
前記水分散性着色剤としては、(1)表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、(2)ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン、(3)界面活性剤及び重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物のいずれかにより分散された顔料、などが挙げられる。
前記(1)は、一般的に、自己分散顔料と言われ、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
前記(2)は、一般的に、カプセル顔料と言われ、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆してやり、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散するようにしたものである。
前記(3)は、一般的に、界面活性剤分散顔料、樹脂分散顔料と呼ばれ、界面活性能を持つ化合物(ここでは界面活性剤や水溶性高分子化合物)により、顔料と水との界面を取り持つことで、顔料の分散を行っているものである。前記(2)との違いは、樹脂が水に溶けているか否かの点であり、顔料分散体の耐溶剤性や発色性に影響を与えている。
また、この形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。このような自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。
前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
このような界面活性剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、日本油脂(株)、日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、第一工業製薬(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成工業(株)などから容易に入手できる。
これら水溶性高分子化合物の重量平均分子量は3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000更に好ましい。
該市販品としては、例えば、ジョンソンポリマー(株)、ナガセケムテックス(株)、東亞合成(株)、三菱レーヨン(株)、住友精化(株)、JSR(株)、昭和高分子(株)、荒川化学工業(株)、日本触媒(株)、日本合成化学(株)、(株)クラレなどから容易に入手できる。
前記分散剤の添加量は、前記顔料を安定に分散させ、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で適宣添加することができ、両者の混合質量比(顔料:分散剤)は1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:3の範囲がより好ましい。
また、カラー顔料としては、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン、(チオ)インジゴイド、などが挙げられる。
前記キナクリドンとしては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42などが挙げられる。
前記アントラキノンとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、C.I.ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)、C.I.ピグメントレッド226(ピラントロンレッド)などが挙げられる。
前記ピレリンとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド123(ベルミリオン)、C.I.ピグメントレッド149(スカーレット)、C.I.ピグメントレッド179(マルーン)、C.I.ピグメントレッド190(レッド)、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)、C.I.ピグメントレッド224などが挙げられる。
前記チオインジゴイドとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド86、C.I.ピグメントレッド87、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38などが挙げられる。
前記複素環式イエローとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
その他の好適な着色顔料としては、The Colour Index、第三版(The SOCIETY Of Dyers and Colourists,1982)などに記載されている。
前記酸性染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、食用染料として知られているものなどが挙げられ、例えば、C.I.アシッド・イエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッド・レッド1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289;C.I.アシッド・ブルー9、29、45、92、249;C.I.アシッド・ブラック1、2、7、24、26、94;C.I.フード・イエロー2、3、4;C.I.フード・レッド7、9、14;C.I.フード・ブラック1、2、などが挙げられる。
これら染料の中でも、酸性染料及び直接性染料が特に好ましく用いることができる。
前記インク中には、画像定着性向上のために樹脂エマルジョンを添加する。ここで、前記樹脂エマルジョンとは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有してもよい。分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は、一般的には10〜70質量%程度が好ましい。
前記樹脂微粒子の粒径は、インクジェット記録装置に使用することを考慮すると、体積平均粒径で10〜1,000nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
前記分散相の樹脂微粒子成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられ、これらの中でも、定着性が良好である点からアクリルシリコーン樹脂が特に好ましい。
該市販品としては、例えば、例えば、マイクロジェルE−100、E−2002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業社製)、ジョンクリル775(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー社製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース社製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋ンキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素社製)などが挙げられる。
前記浸透剤としては、炭素数7〜11のポリオール化合物、又はグリコールエーテル化合物が用いられ、これらは、25℃の水中において0.1〜4.5質量%の溶解度を有する部分的に水溶性の化合物である。前記浸透剤を添加することによって、インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性及び周波数安定性が得られる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、多価アルコールアルキルエーテル化合物、多価アルコールアリールエーテル化合物などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
本発明のインクセットは、前記界面活性剤を添加することによって、記録紙への濡れ性を改善することができる。
前記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、などが挙げられる。本発明においては、着色剤の種類、湿潤剤や浸透剤の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択することが好ましい。これら界面活性剤は、1種を単独、又は2種以上を混合して用いることができる。
ただし、前記一般式(I)中、R1は、炭化水素基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
前記炭化水素基としては、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基が挙げられる。
前記炭化水素基としては、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基が挙げられる。
ただし、前記一般式(IV)中、R4は、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。前記炭化水素基としては、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基が挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどを用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
が挙げられ、具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン、下記一般式(VIII)で表される化合物、下記一般式(IX)で表される化合物、などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、サーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93,FC−95,FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(いずれも住友スリーエム社製);メガファックF−470、F−1405、F474(いずれも大日本インク化学工業社製);ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製);エフトップEF−351、352、801、802(いずれもジェムコ社製)、などが挙げられる。
前記防黴剤として1,2−ベンズイソチアゾリン3−オンを用いると、保存安定性及び吐出安定性等の信頼性を確保しつつ、防黴効果に優れるインクが提供できる。この場合、前記湿潤剤との組み合わせにおいて、従来は菌や黴の発生を抑制することが難しいとされる添加量であっても充分に効果を発揮させることができ、防黴剤の添加量を抑制することによって、粒子の凝集やインクの増粘といった現象を防止することができるので、長期間に渡ってインクの性能を発揮させることが可能になる。
前記1,2−ベンズイソチアゾリン3−オンの含有量は、前記インク全量の0.01〜0.04質量%が好ましい。前記含有量が0.01質量%未満であると、防黴性がやや低下することがあり、0.04質量%を超えると、インクを長期間保管(例えば、室温の場合で2年、50〜60℃の場合で1〜3ヶ月)したときに粒子の凝集が生じたり、インク粘度が初期粘度の50〜100%増になるなどの長期保存安定性の問題が発生し、初期のプリント性能を維持できなくなることがある。
前記アミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
前記アミノプロパンジオール誘導体は、水溶性の有機塩基性化合物であり、例えば、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられ、これらの中でも、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド、などが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、などが挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、などが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、などが挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、などが挙げられる。
前記インクの表面張力としては、20℃で、25〜55mN/mが好ましい。前記表面張力が、25mN/m未満であると、紙上での滲みが顕著になり、安定した噴射が得られないことがあり、55mN/mを超えると、紙へのインク浸透が十分に起らず、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記インクのpHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクセットにおける各インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、プラスチックケース、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドと、維持回復装置とを少なくとも備えてなり、更に必要に応じて刺激発生手段、制御手段等のその他の手段を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクジェット記録装置を用いて行われる。
以下、本発明のインクジェット記録装置の説明を通じて、本発明の前記インクジェット記録方法の詳細についても明らかにする。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
また、前記記録ヘッドは、液室部と、流体抵抗部と、振動板と、ノズル部材とを有してなり、かつ前記記録ヘッドの少なくとも一部がシリコン及びニッケルのいずれかを含有する材料から形成されていることが好ましい。
前記記録ヘッドのノズル径は30μm以下が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記記録ヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
前記維持回復装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2005−170035号公報などに記載されたものを用いることができる。
無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが特に好ましい。
前記2ヘッドタイプでは、第1ヘッド及び第2ヘッドのいずれか一方が吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、他方が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図10の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
なお、図10の2ヘッドタイプにおいて、フルカラー記録を行う場合には、合計4つのノズル列に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びブラック(Bk)の各色のインクをそれぞれ充填する必要がある。
このインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着した用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備え、更に、装置本体1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなったカートリッジ装填部6を有し、このカートリッジ装填部6の上面に操作キーや表示器などの操作部7を配置している。カートリッジ装填部6には、液体補充手段としての液体保管用タンクであるメインタンク(以下、「インクカートリッジ」という)10が交換可能に装着され、また、開閉可能な前カバー8を有している。
フレーム21を構成する左右の側板21A,21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ23を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって図3で矢示方向(キャリッジ走査方向:主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、インクの液滴(インク滴)を吐出するための液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなる複数の記録ヘッド34を複数のノズルを主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
ここで、記録ヘッド34は、例えば、イエロー(Y)の液滴を吐出する記録ヘッド34y、マゼンタ(M)の液滴を吐出する記録ヘッド34m、シアン(C)の液滴を吐出する記録ヘッド34c、ブラック(Bk)の液滴を吐出する記録ヘッド34bとで構成している。なお、「記録ヘッド34」というときは色を区別しないものとする。なお、ヘッド構成は、これらの例に限るものではなく、1つ又は複数の色の液滴を吐出する1つ又は複数のノズル列を有する記録ヘッドを1つ又は複数用いて構成することもできる。
また、キャリッジ33には、各記録ヘッド34にそれぞれ各色のインクを供給するための各色のサブタンク35y,35m,35c,35k(色を区別しない場合は「サブタンク35」という)を搭載している。このサブタンク35には各色のインク供給チューブ37を介して、前述した各色のインクカートリッジ10(各色を区別する場合には、「インクカートリッジ10y,10m,10c,10k」と称する)からインクを供給するようにしている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側で搬送するための搬送部として、用紙42を静電吸着して搬送するための搬送ベルト51と、給紙部からガイド45を介して送られる用紙42を搬送ベルト51との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ52と、略鉛直上方に送られる用紙42を略90°方向転換させて搬送ベルト51上に倣わせるための搬送ガイド53と、押さえ部材54で搬送ベルト51側に付勢
された先端加圧コロ55と、を備えている。また、搬送ベルト51表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド54による印写領域に対応してガイド部材61を配置している。このガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ57とテンションローラ58)の接線よりも記録ヘッド34側に突出している。これにより、搬送ベルト51は印写領域ではガイド部材61の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
また、装置本体1の背面部には両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット81は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ52と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット81の上面には手差し給紙部82を設けている。
このサブシステム91には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下、「キャップ」と称することもある)92a〜92d(区別しないときは、「キャップ92」と称することもある)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94及びこの空吐出受け94に一体形成され、ワイパーブレード93に付着したインクを除去するための清掃部材であるワイパークリーナ95と、ワイパーブレード93のクリーニング時にワイパーブレード93をワイパークリーナ95側に押し付けるクリーナ手段を構成するクリーナコロ96などを備えている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ52との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド53で案内されて先端加圧コロ55で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33はサブシステム91側に移動されて、キャップ部材92で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材92で記録ヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という)、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
このサブシステム91のフレーム(維持装置フレーム)111には、キャップ保持機構である2つのキャップホルダ112A,112Bと、清浄化手段としての弾性体を含むワイピング部材であるワイパーブレード93と、キャリッジロック115とがそれぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード93とキャップホルダ112Aとの間には空吐出受け94が配置され、ワイパーブレード93のクリーニングを行うために、フレーム111の外側からワイパーブレード93を空吐出受け94の清掃部材であるワイパークリーナ95側に押し付けるための清掃部材であるクリーナコロ96を含むクリーナ手段であるワイパークリーナ118が揺動可能に保持されている。
キャップホルダ112A,112B(区別しないときは「キャップホルダ112」という)には、それぞれ、2つの記録ヘッド34のノズル面をそれぞれキャッピングする2つのキャップ92aと92b、キャップ92cと92dを保持している。
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ112Aに保持したキャップ92aには可撓性チューブ119を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)120を接続し、その他のキャップ92b,92c,92dはチュービングポンプ120を接続していない。即ち、キャップ92aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップ(以下、「吸引用キャップ」と称することもある)とし、その他のキャップ92b,92c,92dはいずれも単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッド34の回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド34を吸引用キャップ92aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
ここで、キャップ92はキャップカム122A,122Bにより昇降させられる。ワイパーブレード93はワイパーカム124により昇降させられ、下降時にワイパークリーナ118が進出して、このワイパークリーナ118のクリーナコロ96と空吐出受け94のワイパークリーナ95とに挟まれながら下降することで、ワイパーブレード93に付着したインクが空吐出受け94内に掻き落とされる。
そして、チュービングポンプ120及びカム軸121を回転駆動するために、モータ131の回転をモータ軸131aに設けたモータギヤ132に、チュービングポンプ120のポンプ軸120aに設けたポンプギヤ133を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ133と一体の中間ギヤ134に中間ギヤ135を介して一方向クラッチ137付きの中間ギヤ136を噛み合わせ、この中間ギヤ136と同軸の中間ギヤ138に中間ギヤ139を介してカム軸121に固定したカムギヤ140を噛み合わせている。なお、クラッチ137付きの中間ギヤ136,138の回転軸である中間軸141はフレーム111にて回転可能に保持している。
また、カム軸121にはホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ用カム142を設け、このサブシステム91に設けた図示しないホームポジションセンサにてキャップ92が最下端に来たときにホームポジションレバー(不図示)を作動させ、センサが開状態になってモータ131(ポンプ120以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ92(キャップホルダ112)の位置に関係なく上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ92のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、記録ヘッド34がキャッピングされる。
次に、キャップ92の保持機構及び昇降機構(上下動機構)の詳細について図9を参照して説明する。なお、図9はキャップ保持昇降機構部の側面説明図である。
キャップ92Aは両端部に設けたガイドピン150aをホルダ151の図示を省略しているガイド溝に上下動可能に、底面に設けたガイド軸150bをホルダ151に上下動可能に挿通して、ホルダ151に対して上下動可能に装着している。キャップ92Aとキャップホルダ151との間に介装したスプリング152,152はキャップ92a,92bを上方向(キャッピング時にノズル面側に押圧する方向)に付勢している。
スライダ153は、前後端に設けたガイドピン154,155をフレーム111に形成したガイド溝156に摺動可能に嵌め合わせることで、スライダ153及びホルダ151及びキャップ92A全体が上下動できる構成としている。
更に、吸引用キャップ92aにはスライダ153及びホルダ151を挿通して、キャップ92aの短手方向に対してキャップ中央位置の下方からチューブ119を這い回して接続している。
なお、キャップ92c,92d(これらを併せて「キャップ92B」と称することがある)を保持するキャップホルダ112B及びこれを上下動させる構成も上記と同様であるので説明を省略する。ただし、キャップ92c,92dにはチューブ119は接続されない。このように、1つの駆動源であるモータ131を駆動することによって1つの軸であるカム軸121が回転し、このカム軸121の回転によってカム軸121に固定したカム122A,122Bが回転して、キャップ92A及びキャップ92Bが上下動する構成としている。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記インクセットを用いて形成された画像を有してなる。前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
−表面処理したカーボンブラック顔料分散液の調製−
CTAB比表面積が150m2/g、DBP吸油量が100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗し、乾燥させて、顔料濃度20質量%となるよう純水中に分散させて、表面処理したカーボンブラック顔料分散液を調製した。
−表面処理したイエロー顔料分散液−
イエロー顔料としてのC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理して、カルボン酸基を導入したイエロー顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜で脱塩濃縮して、顔料濃度15質量%のイエロー顔料分散液を調製した。
−表面処理したマゼンタ顔料の調製−
調製例2において、C.I.ピグメントイエロー128を、C.I.ピグメントレッド122に変えた以外は、調製例2と同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した。得られた表面改質したマゼンタ顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散できた。
−表面処理したシアン顔料の調製−
調製例2において、C.I.ピグメントイエロー128を、C.I.ピグメントシアン15:3に変えた以外は、調製例2と同様にして、シアン顔料分散液を調製した。得られた表面改質したシアン顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散できた。
−ポリマー分散液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを調製した。
−銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
上記合成例1で作製したポリマー分散液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いて、メチルエチルケトン及び水を留去し、シアン色のポリマー微粒子分散体を調製した。
−ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例5において、銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントレッド122に変えた以外は、調製例5と同様にして、マゼンタ色のポリマー微粒子分散体を調製した。
−モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例5において、銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変えた以外は、調製例5と同様にして、黄色のポリマー微粒子分散体を調製した。
−カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例5において、銅フタロシアニン顔料をカーボンブラックに変えた以外は、調製例5と同様にして、黒色のポリマー微粒子分散体を調製した。
−アクリルシリコーン系樹脂エマルジョンの合成−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、アクアロンRN−20(第一工業製薬株式会社製)10g、過硫酸カリウム1g、及び純水286gを仕込み、65℃に昇温した。次に、メタクリル酸メチル150g、アクリル酸2エチルヘキシル100g、アクリル酸20g、ヘキシルトリメトキシシラン40g、アクアロンRN−20(第一工業製薬株式会社製)を10g、過硫酸カリウムを4g、及び純水398.3gの混合溶液を3時間かけてフラスコ内に滴下した。80℃で更に3時間加熱熟成した後冷却し、水酸化カリウムでpHを7〜8となるよう調整して、アクリルシリコーン系樹脂エマルジョンを合成した。
得られたアクリルシリコーン系樹脂エマルジョンについて、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社)で体積平均粒子径(D50)を求めたところ、148nmであった。
−ブラックインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、ブラックインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例1のカーボンブラック分散体・・・10.0質量部
・アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン(ナノクリルSBCX−2821、東洋インキ製造株式会社製)・・・5.0質量部
・1,2−ヘキサンジオール・・・18.0質量部
・グリセリン・・・6.0質量部
・2−ピロリドン・・・2.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、エアープロダクツ社製)・・・1.0質量部
・イオン交換水・・・55.0質量部
−イエローインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、イエローインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例2のイエロー顔料分散体・・・6.0質量部
・1,5−ペンタンジオール・・・30.0質量部
・グリセリン・・・7.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量部
・界面活性剤(FS−300、DuPont社製)・・・1.5質量部
・イオン交換水・・・53.5質量部
−マゼンタインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、マゼンタインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例3のマゼンタ顔料分散体・・・7.0質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・18.0質量部
・グリセリン・・・6.0質量部
・N−メチル−2−ピロリドン・・・3.0質量部
・アクリル系樹脂エマルジョン(プライマルAC−61、ローム・アンド・ハース社製)・・・5質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量部
・界面活性剤:R−(OCH2CH2)nOH・・・1.0質量部
ただし、式中、RはC12H25であり、Rは分岐してもよい。nは9である。
・イオン交換水・・・58.0質量部
−シアンインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、シアンインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例4のシアン顔料分散体・・・6.0質量部
・1,2−ペンタンジオール・・・20.0質量部
・グリセリン・・・5.0質量部
・界面活性剤(EP−7025、日本触媒株式会社製)・・・1.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量部
・イオン交換水・・・66.0質量部
−ブラックインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、ブラックインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例8のカーボンブラック顔料ポリマー分散体・・・10.0質量部
・トリエチレングリコール・・・15.0質量部
・グリセリン・・・7.0質量部
・2−ピロリドン・・・2.0質量部
・界面活性剤(ユニセーフA−LY、日本油脂株式会社製)・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量部
・イオン交換水・・・63.0質量部
−シアンインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、シアンインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例5のシアン顔料ポリマー分散体・・・5.0質量部
・1,5−ペンタンジオール・・・16.0質量部
・グリセリン・・・6.0質量部
・N−メチル−2−ピロリドン・・・5.0質量部
・界面活性剤(FZ−2203、日本ユニカー株式会社製)・・・2.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量部
・イオン交換水・・・64.0質量部
−マゼンタインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、マゼンタインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例6のマゼンタ顔料ポリマー分散体・・・6.0質量部
・上記合成例2のアクリルシリコーン系樹脂エマルジョン・・・3.0質量部
・1,3−ブタンジオール・・・20.0質量部
・グリセリン・・・5.0質量部
・界面活性剤(EP−9050、日本触媒株式会社製)・・・2.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・3.0質量部
・イオン交換水・・・61.0質量部
−イエローインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行って、イエローインクを作製した。
<インク組成>
・上記調製例7のイエロー顔料ポリマー分散体・・・5.0質量部
・上記合成例2のアクリルシリコーン系樹脂エマルジョン・・・2.0質量部
・ジエチレングリコール・・・20.0質量部
・グリセリン・・・6.0質量部
・N−メチル−2−ピロリドン・・・3.0質量部
・界面活性剤(FSO−100、DuPont社製)・・・2.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量部
・イオン交換水・・・60.0質量部
−ブラックインクの作製−
製造例5において、トリエチレングリコールを、ジエチレングリコールに変えた以外は、製造例5と同様にして、ブラックインクを作製した。
−シアンインクの作製−
製造例6において、1,5−ペンタンジオールを、1,3−ブタンジオールに変えた以外は、製造例6と同様にして、シアンインクを作製した。
−マゼンタインクの作製−
製造例7において、1,3−ブタンジオールを、1,6−ヘキサンジオールに変えた以外は、製造例7と同様にして、マゼンタインクを作製した。
−イエローインクの作製−
製造例8において、ジエチレングリコールを、1,3−ブタンジオールに変えた以外は、製造例8と同様にして、イエローインクを作製した。
−ブラックインクの作製−
製造例1において、1,2−ヘキサンジオールを、ジプロピレングリコールに変えた以外は、製造例1と同様にして、ブラックインクを作製した。
−シアンインクの作製−
製造例6において、1,5−ペンタンジオールを、1,2−ブタンジオールに変えた以外は、製造例6と同様にして、シアンインクを作製した。
−マゼンタインクの作製−
製造例3において、3−メチル−1,3−ブタンジオールを、3−メチルペンタン−1,5−ジオールに変えた以外は、製造例3と同様にして、マゼンタインクを作製した。
−イエローインクの作製−
製造例8において、ジエチレングリコールを、2,3−ブタンジオールに変えた以外は、製造例8と同様にして、イエローインクを作製した。
−ブラックインクの作製−
製造例1において、1,2−ヘキサンジオールを、3−エチルチオ−1,2−プロパンジオールに変えた以外は、製造例1と同様にして、ブラックインクを作製した。
−シアンインクの作製−
製造例6において、1,5−ペンタンジオールを、チオジプロパノールに変えた以外は、製造例6と同様にして、シアンインクを作製した。
−マゼンタインクの作製−
製造例7において、1,3−ブタンジオールを、チオジプロパノールに変えた以外は、製造例7と同様にして、マゼンタインクを作製した。
−イエローインクの作製−
製造例2において、1,5−ペンタンジオールを、3−メチルチオ−1,2−プロパンジオールに変えた以外は、製造例2と同様にして、イエローインクを作製した。
−インクセットの調製−
下記の評価機A、B、及びCに対応させて、表1〜表3に示す組み合わせの、実施例1〜11及び比較例1〜4の各インクセットを調製した。
なお、表中のインクAは吸引キャップ側のヘッド、インクBは保湿キャップ側のヘッドに対応する。
記録ヘッドとして、図11に示すような第1ヘッド、第2ヘッド、第3ヘッド、及び第4ヘッドからなる4ヘッドタイプを用い、各ヘッドのA列とB列とで同じインクを使用し、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2〜第4ヘッドが保湿キャップで覆蓋されており、図5〜図9に示すような維持回復装置を備えたインクジェット記録装置である。
記録ヘッドとして、図11に示すような第1ヘッド、第2ヘッド、第3ヘッド、及び第4ヘッドからなる4ヘッドタイプを用い、第1ヘッド及び第4ヘッドではA列とB列とで異なるインクを使用し、第2ヘッド及び第3ヘッドではA列とB列とで同じインクを使用し、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2〜第4ヘッドが保湿キャップで覆蓋されており、図5〜図9に示すような維持回復装置を備えたインクジェット記録装置である。
記録ヘッドとして、図10に示すような第1ヘッド及び第2ヘッドからなる2ヘッドタイプを用い、各ヘッドのA列とB列とで異なるインクを使用し、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2ヘッドが保湿キャップで覆蓋されており、図5〜図9に示すような維持回復装置を備えたインクジェット記録装置である。
表1〜表3に示す各インクセットのインクについて、まず、インクに含有される初期の水分量を熱分析装置(TG/DTA)により測定した。次に、室内温度を23℃一定に調整した室内において、体積約15Lのデシケータ内で、直径3cmのシャーレにインクを1g採取し、塩化ナトリウム飽和水溶液により、デシケータ−内の湿度を76%RHに保持し、インク中の水分量が平衡になった時点で、インクの質量を測定した。初期の水分量から、蒸発したのは水のみであるという仮定の元に、平衡時のインク全質量に対する水分量として算出し、インクの平衡水分量を算出した。それぞれの結果を表4〜表6に示す。なお、平衡水分量の単位は質量%である。
上記評価機A〜Cを用い、普通紙(マイペーパー、株式会社NBSリコー製)上に印字を行った。印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各インクを100%dutyで印字した。
印字条件は、記録密度は360dpi、ワンパス印字とした。なお、実施例及び比較例の各インクセットにて、評価(1)を実施した後、後述する評価(2)を実施した。
間欠印写としては、上記チャートを20枚連続で印写後、20分間吐出を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1,000枚印写後、もう1枚同チャートを印写した時の5%チャートベタ部の筋、白抜け、及び噴射乱れの有無を目視観察し、下記基準で評価した。それぞれの結果を表7〜表9に示す。
〔評価基準〕
〇:ベタ部に筋、白抜け、噴射乱れが無い
△:若干、ベタ部に筋、白抜け、噴射乱れが認められる
×:1スキャン目に筋、白抜け、噴射乱れが認められる
環境1(温度23℃、相対湿度50%)、環境2(温度10℃、相対湿度15%)、及び環境3(温度27℃、相対湿度80%)において、上記評価機A〜Cを用い、普通紙(マイペーパー、株式会社NBSリコー製)上に印字を行った。印字パターンとしては、標準テストパターンJ6チャート(社団法人 日本電子工業振興協会製)を用い、記録密度は360dpi、ワンパス印字で連続印字500枚後、20時間放置した後に放置前と同じ印字を実施して、画像ベタ部の筋、白抜け、及び噴射乱れの有無を目視観察し、下記基準で評価した。それぞれの結果を表10〜表18に示す。
〔評価基準〕
〇:ベタ部に筋、白抜け、噴射乱れが無い
△:若干、ベタ部に筋、白抜け、噴射乱れが認められる
×:1スキャン目に筋、白抜け、噴射乱れが認められる
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 前面
5 上面
6 インクカートリッジ装填部
10 メインタンク(インクカートリッジ)
21 フレーム
23 供給ポンプユニット
25 本体側ホルダ
26 固定リブ
31 ガイドロッド
32 ステー
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
35 サブタンク
37 インク供給チューブ
41 用紙積載部(底板)
42 用紙
43 給紙コロ
44 分離パッド
45 ガイド
51 搬送ベルト
52 カウンタローラ
53 搬送ガイド
54 押さえ部材
55 先端加圧コロ
56 帯電ローラ
57 搬送ローラ
58 テンションローラ
61 ガイド部材
72 排紙ローラ
73 排紙コロ
81 両面給紙ユニット
82 手差し給紙部
91 維持回復装置
92 キャップ部材
93 ワイパーブレード
94 空吐出受け
95 ワイパークリーナ
96 クリーナコロ
98 空吐出受け
111 フレーム
112 キャップホルダ
115 キャリッジロック
119 チューブ
120 チュービングポンプ
121 カム軸
122 キャップカム
125 キャリッジロックカム
126 コロ
128 クリーナカム
131 モータ
132 モータギヤ
133 ポンプギヤ
134 中間ギヤ
135 中間ギヤ
136 中間ギヤ
137 クラッチ
138 中間ギヤ
140 カムギヤ
141 中間軸
142 ホームポジションセンサ用カム
151 ホルダ
152 スプリング
153 スライダ
154 ガイドピン
155 ガイドピン
156 ガイド溝
157 カムピン
Claims (10)
- 多数のノズルを有する複数の記録ヘッドと、該記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段、及び前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段を有する維持回復装置と、を少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられるインクセットであって、
前記インクセットは、前記吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクAと、前記非吸引覆蓋手段を有する記録ヘッドに搭載される少なくとも1種のインクBとを組み合わせてなり、
前記インクAにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HAと、前記インクBにおける温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量HBとが、次式、HA≧HBの関係を満たすことを特徴とするインクセット。 - 平衡水分量HBが、15質量%以上である請求項1に記載のインクセット。
- インクA及びインクBが湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤の温度23℃、相対湿度76%の環境下での平衡水分量が、15質量%以上である請求項1から2のいずれかに記載のインクセット。
- 湿潤剤が、多価アルコール類を含有する請求項3に記載のインクセット。
- 多価アルコール類が、少なくとも2種の多価アルコールである請求項4に記載のインクセット。
- 多価アルコール類の1つがグリセリンであり、かつ該グリセリンの含有量が湿潤剤全体の20〜80質量%である請求項5に記載のインクセット。
- 湿潤剤のインクにおける合計含有量が、10〜50質量%である請求項3から6のいずれかに記載のインクセット。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 多数のノズルを有する複数の記録ヘッドと、該記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段、及び前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段を有する維持回復装置と、を少なくとも備えたインクジェット記録装置であって、
請求項1から7のいずれかに記載のインクセットの各インクに刺激を印加し、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出させて画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項9に記載のインクジェット記録装置を用いたことを特徴とするインクジェット記録方法。
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