JP2007116171A - 希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法 Download PDF

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【解決手段】R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面に、直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を形成することを特徴とする希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法。
【効果】本発明のSm2Co17系焼結磁石により、水素雰囲気中においても、水素脆性を引き起こさない、モーター等に使用できる希土類焼結磁石を得ることが可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、水素雰囲気に長時間晒されるモーター等に用いられるSm2Co17系磁石に関する。
希土類元素と遷移金属の金属間化合物においては、水素が結晶格子間に侵入する、即ち、合金中に水素を吸蔵、放出する特性を持っており、その特性はいろいろな分野で利用されている。その例としては、LaNi5に代表とされる水素吸蔵合金による水素電池が挙げられ、また、希土類焼結磁石においても、R2Fe14B系合金の粉砕方法として、更にR2Fe14B系ボンド磁石の製造方法(HDDR 特開平3−129702号公報)として利用されている。
しかしながら、合金中又は磁石中に水素を吸蔵、放出させた場合、水素脆性を引き起こしてしまう。そのため、水素雰囲気中において、希土類焼結磁石を用いたモーター等を使用した場合、希土類焼結磁石が水素脆化を引き起こし、素材にワレ、クラックもしくは粉化がおこるという問題が生じている。
現在、希土類焼結磁石には、R2Fe14B系、SmCo5系、Sm2Co17系等の種類がある。一般に、水素に対しては、2−17型結晶構造よりも1−5型結晶構造、1−5型結晶構造よりも2−7型結晶構造の方がプラトー圧が低い、即ち、レアアースリッチ(以下、Rリッチと称す)な合金の方が水素吸蔵されやすい傾向にあり、水素脆化しやすい。
2Fe14B系磁石は、磁石中にRリッチ相を有するため、0.1MPa以下の圧力の水素雰囲気下で、容易に水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が生じる。通常、R2Fe14B系磁石は、耐食性向上のためメッキ、樹脂コーティングなどの表面処理がなされているが、水素脆化を防止する手段とはなっていない。この問題を解決する方法として、R2Fe14B系磁石の表面処理膜に水素吸蔵合金を含有させる方法を提案した(特願平11−87119号)。この方法により作製されたR2Fe14B系磁石は、0.1MPa以下の圧力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こさないものの、それを超える圧力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が生じる場合がある。
SmCo5系磁石も、R2Fe14B系磁石と同様に、Rリッチ相を有すると共に、主相であるSmCo5相のプラトー圧が約0.3MPaである。このことから、0.3MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が生じる。
Sm2Co17系磁石は、主相が2−17相であり、R2Fe14B系、SmCo5系に比べRリッチではないことと、Rリッチ相を含有しないため、水素脆性を引き起こしにくい。しかしながら、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、他の希土類焼結磁石と同様に、水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が生じることがわかっている。
耐水素脆性を向上させるためには、Sm2Co17系磁石の表面にCo及び/又はCo、Fe中にSm23が微細に分散している層を存在させればよいことが分かっている(特願2000−231244号)。磁石表面にCo及び/又はCo、Fe中にSm23が微細に分散している層が存在していれば、3MPaを超える高圧水素雰囲気下においても水素脆性は起こさない。しかし、Sm2Co17系磁石及びCo及び/又はCo、Fe中にSm23が微細に分散している層は、硬く、欠け易いため、製品組み立て等取扱いの際、チッピング等を引き起こす場合がある。チッピング等を引き起こした希土類焼結磁石は、磁気特性には影響はないものの、耐水素脆性は大きく低下し、表面層のない場合と同等になってしまう。従って、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が起こるため、そのような雰囲気中では、使用することができない。
本発明は、このような問題を解決したSm2Co17系焼結磁石を提供するものである。即ち、従来の希土類焼結磁石の様に、水素雰囲気下で、水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が生じるという問題を解決するSm2Co17系焼結磁石を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、Sm2Co17系焼結磁石の表面に、直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を形成することにより、高圧の水素雰囲気中でも水素脆性を引き起こさず、このため、水素雰囲気に長時間晒されるモーター等に好適に用いられるSm2Co17系焼結磁石が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、前記問題を解決するものとして下記(1)〜(3)の希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法を提供する。
(1)R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面に、直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を形成することを特徴とする希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法、
(2)金属メッキ層と金属酸化物層及び/又は金属窒化物層との合計の厚さが1μm以上100μm以下であり、かつ金属酸化物層及び/又は金属窒化物層の厚さが0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする(1)記載の希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法、
(3)金属メッキの金属が、Cu、Ni、Co、Sn及びそれらの合金の少なくとも1種であることを特徴とする(1)又は(2)記載の希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法。
希土類焼結磁石における水素脆性は、希土類焼結磁石表面の水素分子が、金属の触媒作用により、解離し、水素原子となって、希土類焼結磁石体に侵入することにより引き起こされると推測されている。このことから、希土類焼結磁石表面の水素分子が、水素原子に解離さえしなければ、希土類焼結磁石は、水素脆性は起こさないと考えられる。即ち、希土類焼結磁石表面に水素分子を解離する触媒作用がなければ、水素脆性は引き起こされることはない。つまり、金属酸化物層及び/又は金属窒化物層は、切断及び/又は研磨して表面の加工仕上げ後の希土類焼結磁石体表面層や、金属メッキ層に比べ、水素分子を解離する触媒作用が非常に小さいため、高圧の水素雰囲気下でも水素脆性は引き起こされることはない。
本発明のSm2Co17系焼結磁石により、水素雰囲気中においても、水素脆性を引き起こさない、モーター等に使用できる希土類焼結磁石を得ることが可能となる。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明におけるSm2Co17系焼結磁石合金組成の主成分は、Sm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる。前記Sm以外の希土類金属としては、特に限定されるものではなく、Nd、Ce、Pr、Gdなどを挙げることができる。希土類元素中のSmの含有量が50重量%未満の場合や、希土類元素量が20重量%未満、30重量%を超える場合は、有効な磁気特性をもつことはできない。
本発明のSm2Co17系焼結磁石は、上記組成を有する希土類焼結磁石の表面に、直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を有することにより、水素脆性が生じることを効果的に防止する。
ここで、金属酸化物層、金属窒化物層は、上記磁石表面に各種気相メッキ法等で直接形成してもよく、まず金属メッキ層を形成した後、その上に各種気相メッキ法で形成してもよく、更には金属メッキ層を形成した後、この金属メッキ層の少なくとも表面を空気等の酸化性雰囲気や窒素雰囲気中で加熱するなどして酸化及び/又は窒化することにより形成してもよい。最後の場合、形成した金属メッキ層の全体を酸化及び/又は窒化してもよい。
この場合、金属メッキ層は、耐水素性を有していないが、機械強度の低く、チッピング等を引き起こしやすいSm2Co17系焼結磁石体自身の耐衝撃性を向上させるために施される。
また、金属メッキ層と金属酸化物層、金属窒化物層との合計の厚さは、1μm以上100μm以下であり、更に金属酸化物層及び/又は金属窒化物層の厚さが0.1μm以上100μm以下である。金属メッキ層と金属酸化物層、金属窒化物層との合計の厚さは、好ましくは1μm以上50μm以下であり、更に金属酸化物層及び/又は金属窒化物層の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。金属メッキ層と金属酸化物層、金属窒化物層との合計は、100μmを超える厚さでは、時間、コスト共にかかり、効率的な生産ができず、更に磁気特性に悪影響を及ぼす場合がある。また、1μm未満の厚さでは、焼結磁石体自身の耐衝撃性を向上させることはできないため、チッピング等を防ぐことはできず、更に金属メッキにムラができ易く、ピンホールが多くなるため、耐水素性の優れた金属酸化物層及び/又は金属窒化物層の形成が十分でなくなる場合がある。金属酸化物層及び/又は金属窒化物層は、100μmを超える厚さでは、磁石自身の水素脆性は防ぐものの、時間、コスト共にかかり、効率的な生産ができず、更にこの層自身の影響により磁気特性の劣化が生じるおそれがある。また、0.1μm未満の厚さでは、有効な耐水素脆性をもつことができない。
上記のような表面に直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を有する焼結磁石を製造する方法は、特に制限されないが、上記組成の合金を鋳造し、これを粉砕し、更に好ましくはこれを微粉砕し、次いで、磁場中成形、焼結、時効を順次行って焼結磁石とし、更に表面を加工仕上げした後、金属メッキを施し、酸化及び/又は窒化処理を行い、更に樹脂塗装を施すことによって製造する方法が好適に採用される。
即ち、まず、本発明のSm2Co17系磁石合金は、上記組成範囲の原料をアルゴン等の非酸化性雰囲気中において、高周波溶解により溶解、鋳造する。
次に、前記Sm2Co17系磁石合金を粗粉砕し、次いで平均粒径1〜10μm、好ましくは約5μmに微粉砕する。この粗粉砕は、例えば、不活性ガス雰囲気中で、ジョークラッシャー、ブラウンミル、ピンミル及び水素吸蔵等により行うことができる。また、前記微粉砕は、アルコール、ヘキサン等を溶媒に用いた湿式ボールミル、不活性ガス雰囲気中による乾式ボールミル、不活性ガス気流によるジェットミル等により行うことができる。
次に、前記微粉砕粉を、好ましくは10kOe以上の磁場を印可することが可能な磁場中プレス機等により、好ましくは500kg/cm2以上2000kg/cm2未満の圧力により圧縮成形する。続いて、得られた圧縮成形体を、熱処理炉により、アルゴンなどの非酸化性雰囲気ガス中で、1100〜1300℃、好ましくは1150〜1250℃において、0.5〜5時間、焼結、溶体化し、終了後、急冷を行う。
続いて、アルゴン雰囲気中、700〜900℃、好ましくは750〜850℃の温度で、5〜40時間保持し、−1.0℃/分の降温速度で400℃以下まで徐冷する時効処理を施し、切断及び/又は研磨して表面の加工仕上げを行う。この際、特に限定されるものではないが、希土類焼結磁石体に面取りがなされていることが望ましい。
この表面加工仕上げ後、前記希土類焼結磁石体に金属メッキを形成する。前記金属メッキの金属は、Cu、Ni、Co、Sn及びそれらの合金の少なくとも1種からなり、メッキ厚さは、1〜100μm、特に1〜50μmが好ましい。この金属メッキを施す前処理として、特に限定されるものではないが、前記希土類焼結磁石体をアルカリ脱脂、酸洗浄、水洗することが望ましい。メッキの成膜方法としては、特に限定されるものではないが、電解メッキ法が望ましい。また、前記希土類焼結磁石体をメッキ液に浸漬する方法は、バレル法又は引っ掛け治具法のいずれでもよく、希土類焼結磁石体の寸法及び形状によって適当に選択される。
なお、電解メッキ液としては、公知の組成のメッキ液を使用し、そのメッキ液に応じた公知の条件でメッキすることができるが、特にpH2〜12のメッキ液が好適である。
上記方法により、金属メッキを形成した後、その金属メッキ表面に、金属、好ましくは上記金属メッキ層上層の金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を形成する。従って、金属酸化物、金属窒化物としては、Cu、Ni、Co、Sn又はこれらの合金の酸化物、窒化物が好ましい。その方法としては、特に限定されるものではないが、真空蒸着、イオンスパッタリング、イオンプレーティング法等の気相メッキ法、化学的な方法、大気下、酸素分圧調整下、窒素下及び窒素加圧下などの雰囲気における熱処理、電解の処理等が挙げられる。ちなみに、上記金属の酸化物層及び/又は金属窒化物層は、0.1〜100μmの厚さがあることが好ましく、更に好ましくは0.1〜20μmである。
次いで、このように処理された希土類焼結磁石体表面に樹脂塗装(吹き付け塗装、電着塗装、粉体塗装或いはディッピング塗装等のいわゆる樹脂塗装)を施すこともできる。樹脂塗装による皮膜は、耐水素性を有していないが、希土類焼結磁石が用いられたモーターなどが使用される雰囲気により耐酸性を有する必要があることや、輸送中やモーターなどに希土類焼結磁石が組み込まれる際、表面層に傷をつけないため成されることとなる。なお、樹脂塗装の樹脂は、特に限定されるものではないが、アクリル系、エポキシ系、フェノール系、シリコーン系、ポリエステル系及び、ポリウレタン系樹脂等が望ましい。また、樹脂塗装は、吹き付け塗装、電着塗装、粉体塗装或いは、ディッピング塗装等のいわゆる樹脂塗装法であり、樹脂塗装の厚さは、1μm以上3mm以下であって、好ましくは10μm以上1mm以下であるのが望ましい。1μm未満の厚さでは、均一に塗装するのが難しく、更に輸送中やモーターなどに希土類焼結磁石が組み込まれる際、表面層を防護する効果が得られにくく、また、3mmを超える厚さの樹脂塗装は、時間、コスト共にかかり効率的な生産ができない場合がある。
次に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜3]
Sm2Co17系磁石合金は、Sm:18.0重量%、Ce:7.0重量%、Fe:14.0重量%、Cu:4.5重量%、Zr:2.5重量%、残部Coの組成になるように配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、鋳型鋳造することにより作製した。
次に、前記Sm2Co17系磁石合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミルで約500μm以下に粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径約5μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕粉を、磁場中プレス機により15kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で、1170℃、2時間焼結した後、アルゴン雰囲気中、1155℃、1時間溶体化処理を行った。溶体化処理終了後、急冷し、得られたそれぞれの焼結体を、アルゴン雰囲気中、800℃、10時間保持し、400℃まで〜1.0℃/分の降温速度で徐冷を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石から、5×5×5mmに磁石を切り出した。
次に、前記焼結磁石に電解Niメッキを15μm施した。この場合、塩化Ni40g/L、硫酸Ni270g/L、ホウ酸30g/Lで調整したメッキ浴を用い、浴温度50℃、電流密度2.0A/dm2の条件でメッキを施した。その後、600℃、24時間、空気中の熱処理を施し、室温まで徐冷し、更にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装し、水素ガス試験用試料を得た。ここで得られた水素ガス試験用試料は、走査型電子顕微鏡により組織観察、Vibrating Sample Magnetometer(以下、VSMと称す)により磁気特性の測定を行った。
前記水素ガス試験用試料を、それぞれ耐圧容器に入れ、水素、3MPa、25℃、3日[実施例1]、5MPa、25℃、3日[実施例2]、10MPa、25℃、3日[実施例3]の条件で水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁石は、外観を目視で観察し、更にVSMにより磁気特性の測定を行った。
また、図1に、実施例1における、希土類焼結磁石をNiメッキ12μm被覆後、600℃、24時間、空気中で熱処理を施した磁石の表面近傍の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。表面に約10μm程度のNi酸化物層が見られる。
[実施例4〜6]
実施例1と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石から実施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出した。前記磁石に対し、実施例1と同様な条件で、電解Niメッキを15μm施し、その後、500℃、2時間、空気中の熱処理を施し、室温まで徐冷し、更にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装し、水素ガス試験用試料を得た。ここで得られた水素ガス試験用試料は、走査型電子顕微鏡により組織観察、VSMにより磁気特性の測定を行った。
前記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様に、3MPa、25℃、3日[実施例4]、5MPa、25℃、3日[実施例5]、10MPa、25℃、3日[実施例6]の条件で水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁石は、外観を目視で観察し、更にVSMにより磁気特性の測定を行った。
また、図2に、実施例4における、希土類焼結磁石をNiメッキ12μm被覆後、500℃、2時間、空気中で熱処理を施した磁石の表面近傍の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。表面に約1μm程度のNi酸化物層が見られる。
[比較例1〜3]
実施例1と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石から実施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、更にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装し、水素ガス試験用試料を得た。ここで得られた水素ガス試験用試料は、VSMにより磁気特性の測定を行った。前記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様に、3MPa、25℃、3日[比較例1]、5MPa、25℃、3日[比較例2]、10MPa、25℃、3日[比較例3]の条件で水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁石は、外観を目視で観察した。
[比較例4〜6]
実施例1と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石から実施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出した。前記磁石に対し、実施例1と同様な条件で電解Niメッキを15μm施し、更にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装し、水素ガス試験用試料を得た。ここで得られた水素ガス試験用試料は、走査型電子顕微鏡により組織観察、VSMにより磁気特性の測定を行った。前記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様に、3MPa、25℃、3日[比較例4]、5MPa、25℃、3日[比較例5]、10MPa、25℃、3日[比較例6]の条件で水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁石は、外観を目視で観察した。
また、図3に、比較例4における、希土類焼結磁石をNiメッキ12μm被覆した磁石の表面近傍の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。図1、2と異なり、表面にNi酸化物層などは見られない。
表1〜3に、熱処理条件、水素ガス試験条件、水素ガス試験後の外観を示した。これらより、実施例1〜6は、水素ガス試験において変化がなかったことに対し、比較例1〜3及び4〜6は、粉々に粉砕されていた。このことから、実施例1〜6は、水素脆性を引き起こさなかったことは明らかである。
表4に、表面処理前、及び水素ガス試験前後の磁石の磁気特性を示した。表面処理前、及び水素ガス試験前後で、実施例3、6は、ほとんど磁気特性の変化はなかった。このことは、実施例3、6において、表面処理による磁気特性の劣化、及び、水素脆性がなかったことを示している。比較例1、2及び3は、水素処理により粉砕されてしまったため、水素処理後の磁気特性は、測定不能であった。
以上、表1、2、3及び4から、比較例1〜6では、表面処理により磁気特性が明らかに劣化した、又は、耐水素性の向上が見られなかったことがわかる。それに対し、実施例1〜6では、表面処理により磁気特性が劣化することなく、耐水素性が向上したことを示している。
実施例1における、希土類焼結磁石をNiメッキ12μm被覆後、600℃、24時間、空気中で熱処理を施した磁石の表面近傍の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。 実施例4における、希土類焼結磁石をNiメッキ12μm被覆後、500℃、2時間、空気中で熱処理を施した磁石の表面近傍の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。 比較例4における、希土類焼結磁石をNiメッキ12μm被覆した磁石の表面近傍の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。

Claims (3)

  1. R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面に、直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を形成することを特徴とする希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法。
  2. 金属メッキ層と金属酸化物層及び/又は金属窒化物層との合計の厚さが1μm以上100μm以下であり、かつ金属酸化物層及び/又は金属窒化物層の厚さが0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法。
  3. 金属メッキの金属が、Cu、Ni、Co、Sn及びそれらの合金の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類焼結磁石の水素脆化の防止方法。
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