JP2007107554A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な量のグリースを封入可能な構造、および軸受内部空間容積を明確にすることにより、メンテナンス周期を延伸した転がり軸受を提供する。
【解決手段】円筒ころ軸受41は、内輪42と、内輪42と軸方向幅が同一であって、外径面および端面に絶縁層が形成されている外輪43と、内輪42および外輪43の間に配置された転動体としての円筒ころ44と、円筒ころ44の間隔を保持する保持器45と、内輪42および外輪43の両端部に端面から突出しない密封部材としての密封シール46とを備える。そして、ころ軸受の軸受体積V3と、ころ軸受の内部空間容積C3とは、0.24≦C3/V3≦0.30の範囲内に設定する。
【選択図】図1
【解決手段】円筒ころ軸受41は、内輪42と、内輪42と軸方向幅が同一であって、外径面および端面に絶縁層が形成されている外輪43と、内輪42および外輪43の間に配置された転動体としての円筒ころ44と、円筒ころ44の間隔を保持する保持器45と、内輪42および外輪43の両端部に端面から突出しない密封部材としての密封シール46とを備える。そして、ころ軸受の軸受体積V3と、ころ軸受の内部空間容積C3とは、0.24≦C3/V3≦0.30の範囲内に設定する。
【選択図】図1
Description
この発明は、転がり軸受、特に、グリース潤滑において潤滑寿命の長寿命化が必要な転がり軸受に関するものである。
従来、鉄道車両主電動機に用いられる軸受は、円筒ころ軸受や深溝玉軸受が用いられている。例えば、図5に示すような円筒ころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪2および外輪3の間に配置された転動体としての円筒ころ4と、円筒ころ4の間隔を保持する保持器5とを備える。
また、鉄道車両主電動機に使用される円筒ころ軸受1は、電食による軸受の損傷を防止するために、外輪3の外径面および両端面に絶縁層3aが形成されている。絶縁層3aは、セラミックス等の絶縁物質を溶射すること等により形成する。
鉄道車両主電動機は屋外で使用されるため、軸受周辺構造でグリースポケットを形成するオープンタイプの軸受では、塵埃の混入によるグリースの劣化が懸念される。そこで、図1に示すような円筒ころ軸受41は、塵埃の混入によるグリースの劣化を防止し、メンテナンス周期を延伸するために密封式軸受とされる。
一方、図5に示したような従来の円筒ころ軸受1において、軸受体積V1と、内部空間容積C2とは、C1/V1≒0.2、ころ4のころ径A1と軸受厚み寸法T1とは、0.4≦A1/T1≦0.6の範囲内で設計されるのが一般的である。
なお、本明細書中「軸受体積」とは、軸受の内輪内径面と外輪外径面と内外輪の端面とで囲まれた部分の体積を指し、図5を例にとると、外輪3の外径寸法D1と、内輪2の内径寸法d1と、軸方向幅W1と、円周率πとを用いて以下の式で算出される。
また、本明細書中「内部空間容積」とは、内輪、外輪、および密封シールで囲まれた空間のうち、軸受回転時に転動体および保持器が通過しない静止空間の容積を指すものとする。
上記範囲内の円筒ころ軸受の場合、軸受内部空間容積C1が小さいので、鉄道車両主電動機用軸受に必要な軸受寿命を確保するのに適切な量のグリースを封入することができないという問題がある。また、この問題は、図6に示すような玉軸受にも当てはまる。
なお、図6に示す玉軸受11は、内輪12と、絶縁層13aを有する外輪13と、内輪12および外輪13の間に配置される玉14と、玉14の間隔を保持する保持器15とを備える。そして、軸受体積V2と、内部空間容積C2とは、C2/V2≒0.3、玉14の直径A2と軸受厚み寸法T2とは、0.4≦A2/T2≦0.6の範囲内で設計されるのが一般的である。
上記の問題を解決する手段として、内部空間容積に対するグリースの充填比率を引き上げることが考えられるが、この場合、軸受回転時、特に始動時においてグリースの攪拌抵抗が増大し、軸受の急激な温度上昇を招く恐れがあり、適切ではない。
そこで、密封式軸受において、軸受内部に適切な量のグリースを確保することができる円筒ころ軸受が、例えば、特開2003−13971号公報(特許文献1)や特開2004−346972号公報(特許文献2)に記載されている。
特開2003−13971号公報(特許文献1)に記載されている円筒ころ軸受21は、図7に示すように、軸方向幅が長い内輪22と、外輪23と、内輪22および外輪23の間に配置された円筒ころ24と、円筒ころ24の間隔を保持する保持器25と、グリースを軸受内部に封入する断面形状がL字型の密封シール26とを備える。密封シール26は、芯金26aを絶縁性樹脂26bで覆っている。また、外輪23の外径面および両端面に絶縁層が形成されている。
また、特開2004−346972号公報(特許文献)に記載されている円筒ころ軸受31は、図8に示すように、内輪32と、外輪33と、内輪32および外輪33の間に配置された円筒ころ34と、円筒ころ34の間隔を保持する保持器35と、内輪32および外輪33の両端面からコの字型に突出する密封シール36とを備え、外輪33の外径面および両端面が絶縁材料37で覆われている。
特開2003−13971号公報
特開2004−346972号公報
上記の各公報に記載された円筒ころ軸受21,31は、いずれも密封シール26,36を軸受端面から突出させて軸方向幅を広げることにより、軸受内部に封入可能なグリース量を増やしている。
しかし、密封シール26,36の突出量が少ない場合には、結局、適切な量のグリース量を封入することはできないし、密封シール26,36の突出量が大きすぎる場合には、軸受中心部から遠い位置に充填されているグリースは、軸受の潤滑に全く寄与しないところ、上記の各公報には、密封シール26,36の適切な突出量についての記載がない。
さらに、図7,8に示すような円筒ころ軸受21,31は、密封シール26,36が特殊な形状となっているため、標準品を使用することができない。その結果、円筒ころ軸受21,31の製造コストの増大が懸念される。
そこで、本発明の目的は、適切な量のグリースを封入可能な構造、および軸受内部空間容積を明確にすることにより、メンテナンス周期を延伸した転がり軸受を提供することである。
この発明に係る転がり軸受は、内輪と、内輪と軸方向幅が同一の外輪と、内輪および外輪の間に配置されたころと、内輪および外輪の端面から突出しない密封部材とを備える。そして、ころ軸受の軸受体積Vと、ころ軸受の内部空間容積Cとは、0.24≦C/V≦0.30の関係を有する。
また、この発明の他の局面に係る転がり軸受は、内輪と、内輪と軸方向幅が同一の外輪と、内輪および外輪の間に配置された玉と、内輪および外輪の端面から突出しない密封部材とを備える。そして、玉軸受の軸受体積Vと、玉軸受の内部空間容積Cとは、0.32≦C/V≦0.40の関係を有する。
内部空間容積Cを上記の範囲に設定することにより、軸受内部に適切な量のグリースを封入することが可能となる。その結果、潤滑性能に優れ、メンテナンス周期を延伸した転がり軸受を得ることができる。また、内外輪の端面から突出しない密封部材には標準品を使用可能であるので、製品コストの上昇を抑えることができる。
好ましくは、外輪の外径面および端面には、絶縁層が形成されている。これにより、鉄道車両主電動機等に使用する場合であっても、電食による軸受の破損を防止することができる。
好ましくは、内輪の内径面および端面には、絶縁層が形成されている。内輪内径面は、外輪外径面と比較して溶射面積が小さいので、絶縁物質を内輪内径面に溶射することによって、溶射コストを削減することが可能となる。また、絶縁層が密封シールと軌道輪との接合部に干渉しないので、密封シールの固定方法を簡素なものとすることができる。
好ましくは、外輪は、その中央部に厚肉部と、その外縁部に内径面の肉厚を減じた薄肉部とを有する。これにより、さらに軸受内部空間が大きくなるので、より多くのグリースを封入することが可能となる。また、同量のグリースを封入する場合には、上記の転がり軸受と比較して、軸方向幅を削減することができるので、コンパクトな転がり軸受を得ることができる。
薄肉部は、例えば、肉厚の等しい円筒部である。または、薄肉部は、例えば、外輪の端面に向かって広がる円錐部である。上記のいずれの形状であっても、軸受内部空間を大きくすることが可能となる。また、外縁部を円錐形状とすることにより、外縁部のグリースが移動しやすくなるので、転がり軸受の潤滑性がさらに向上する。
この発明は、標準の密封シールを用いて十分な量のグリースを封入できる軸受内部空間を確保することができるので、潤滑性および絶縁性に優れた転がり軸受を得ることができる。
図1を参照して、この発明の一実施形態に係る円筒ころ軸受41を説明する。
円筒ころ軸受41は、内輪42と、内輪42と軸方向幅が同一であって、外径面および両端面に絶縁層が形成されている外輪43と、内輪42および外輪43の間に配置された転動体としての円筒ころ44と、円筒ころ44の間隔を保持する保持器45と、内輪42および外輪43の両端部に端面から突出しない密封部材としての密封シール46とを備える。また、絶縁層は、セラミックス等の絶縁物質を溶射することにより形成し、軸受内部空間には、グリースが充填されている。
さらに、ころ軸受の軸受体積V3と、ころ軸受の内部空間容積C3とは、0.24≦C3/V3≦0.30の範囲内に設定する。図1に示す実施形態では、内輪42および外輪43の軸方向幅を拡張することにより、上記範囲内の内部空間容積C3を得ている。
円筒ころ軸受41の内部空間容積C3を上記の範囲に設定することにより、軸受内部に適切な量のグリースを封入することが可能となる。その結果、潤滑性能に優れ、メンテナンス周期を延伸したころ軸受を得ることができる。
なお、C3/V3<0.24では、適切な量のグリースを封入するのに十分な内部空間容積C3を確保することができない。一方、C3/V3>0.30では、軸受中心部から遠い位置に充填されているグリースは軸受の潤滑に寄与しないので、潤滑性能の向上の観点からは無意味である。
また、内輪42と外輪43との軸方向幅を同一とすることにより、密封シール46に内輪42および外輪43の端面から突出しない標準品を使用することができる。これにより、製品のコストアップを抑制することが可能となると共に、軸受取り扱い時に密封シール46に加わる衝撃等を抑制することができる。
次に、図2を参照して、この発明の他の実施形態に係る円筒ころ軸受51を説明する。
円筒ころ軸受51は、軸方向幅が同一の内輪52および外輪53と、円筒ころ54と、保持器55と、密封シール56とを備える。また、上記実施形態と同様に、外輪53の外径面および両端面には絶縁層が形成されており、密封シール56には標準品が使用されており、ころ軸受の軸受体積V4と、ころ軸受の内部空間容積C4とは、0.24≦C4/V4≦0.30の範囲内に設定されている。
この円筒ころ軸受51は、内部空間容積C4を上記範囲内に設定するために、外輪32の中央部に厚肉部53aと、両外縁部に外輪53の内径面の肉厚を減じて薄肉部53bとを有する。また、薄肉部53bは、肉厚の等しい円筒部である。
上記構成とすることにより、図1に示したような円筒ころ軸受41と比較して、さらに軸受内部空間を大きくすることが可能となる。また、図1に示したような円筒ころ軸受41と同量のグリースを封入する場合には、軸方向幅を小さくすることができるので、コンパクトな円筒ころ軸受51を得ることができる。
次に、図3を参照して、この発明の他の実施形態に係る円筒ころ軸受61を説明する。
円筒ころ軸受61は、軸方向幅が同一の内輪62および外輪63と、円筒ころ64と、保持器65と、密封シール66とを備える。また、上記実施形態と同様に、外輪63の外径面および両端面には絶縁層が形成されており、密封シール66には標準品が使用されており、ころ軸受の軸受体積V5と、ころ軸受の内部空間容積C5とは、0.24≦C5/V5≦0.30の範囲内に設定されている。
この円筒ころ軸受61は、内部空間容積C5を上記範囲内に設定するために、外輪63の中央部に厚肉部63aと、その両外縁部に外輪63の内径面の肉厚を減じて薄肉部63bとを有する。また、薄肉部63bは、外輪63の端面に向かって広がる円錐部である。
上記構成とすることにより、図2に示したような円筒ころ軸受51と同様の効果を得られることに加えて、図2に示したような円筒ころ軸受51と比較して、外縁部に充填されたグリースが軸受中心部に移動しやすくなるので、円筒ころ軸受61の潤滑性能が向上する。
上記の各実施形態においては、外輪の外径面および端面に絶縁層を有する円筒ころ軸受の例を示したが、これに限ることなく、内輪の内径面および端面に絶縁層を形成することとしてもよい。内輪内径面は、外輪外径面と比較して溶射面積が小さいので、絶縁物質を内輪内径面に溶射することによって、溶射コストを削減することが可能となる。また、絶縁層が密封シールと軌道輪との接合部に干渉しなので、密封シールの固定方法を簡素なものとすることができる。
また、上記の各実施形態においては、円筒ころ軸受の例を示したが、これに限ることなく、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、深溝玉軸受、4点接触玉軸受、アンギュラ玉軸受等、転動体がころであるか玉であるかを問わず、あらゆる転がり軸受に適用することができる。
例えば、図4に示すように、内輪72と、絶縁層を有する外輪73と、転動体として玉74と、保持器75と、密封シール76とを有する玉軸受71の場合、適切な量のグリースを封入可能とするために、内部空間容積をC5、軸受体積をV5とすると、0.32≦C5/V5≦0.40の範囲内に設定する。
さらに、内部空間容積C4を上記の範囲内に設定する手段としては、図1に示すように内輪72および外輪73の軸方向幅を拡張してもよいし、図2および図3に示すように外輪73に薄肉部を設けてもよい。
上記の玉軸受71において、数値範囲の上限値、下限値の意義は図1に示す円筒ころ軸受41の場合と同様であるが、具体的な値が異なるのは、転動体としてころ44を使用するか、玉74を使用するかの違いに起因する。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、鉄道車両主電動機等に使用される転がり軸受に有利に利用される。
1,21,31,41,51,61 円筒ころ軸受、11,71 玉軸受、2,12,22,32,42,52,62,72 内輪、3,13,23,33,43,53,63,73 外輪、43a,53a 厚肉部、43b、43b 薄肉部、4,24,34,44,54,64 円筒ころ、14,74 玉、5,15,25,35,45,55,65 保持器、26,36,46,56,66,76 密封シール。
Claims (7)
- 内輪と、
前記内輪と軸方向幅が同一の外輪と、
前記内輪および前記外輪の間に配置されたころと、
前記内輪および前記外輪の端面から突出しない密封部材とを備えるころ軸受であって、
前記ころ軸受の軸受体積Vと、前記ころ軸受の内部空間容積Cとは、
0.24≦C/V≦0.30の関係を有する、転がり軸受。 - 内輪と、
前記内輪と軸方向幅が同一の外輪と、
前記内輪および前記外輪の間に配置された玉と、
前記内輪および前記外輪の端面から突出しない密封部材とを備える玉軸受であって、
前記玉軸受の軸受体積Vと、前記玉軸受の内部空間容積Cとは、
0.32≦C/V≦0.40の関係を有する、転がり軸受。 - 前記外輪の外径面および端面には、絶縁層が形成されている、請求項1または2に記載の転がり軸受。
- 前記内輪の内径面および端面には、絶縁層が形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の転がり軸受。
- 前記外輪は、その中央部に厚肉部と、その外縁部に内径面の肉厚を減じた薄肉部とを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受。
- 前記薄肉部は、肉厚の等しい円筒部である、請求項5に記載の転がり軸受。
- 前記薄肉部は、前記外輪の端面に向かって広がる円錐部である、請求項5に記載の転がり軸受。
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JP2013087842A (ja) * | 2011-10-17 | 2013-05-13 | Nsk Ltd | ロールネック用密封型円すいころ軸受 |
CN103925294A (zh) * | 2014-04-16 | 2014-07-16 | 李之悦 | 滚动导卫总成上连接辊轴和导辊的轴承结构 |
JP2014231902A (ja) * | 2013-01-31 | 2014-12-11 | 日本精工株式会社 | 円筒ころ軸受 |
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- 2005-10-11 JP JP2005296262A patent/JP2007107554A/ja not_active Withdrawn
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