JP2005282669A - 転がり軸受用密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安定した異物の侵入防止効果を得ることができる転がり軸受用密封装置を提供する。
【解決手段】 この転がり軸受用密封装置7は、軸方向内側に向かって延びて内輪3における軸方向端部の径方向外側で軸方向に対して垂直に設けられる側面31aに摺接する内側摺接リップ92aを有するシールリップ9と、内輪3とともに回転して内外輪間に形成される環状開口部Aへの異物の侵入を補助的に防ぐスリンガ10とを備えている。このスリンガ10に、内輪3における軸方向端部の径方向内側に形成される周溝32に内嵌された状態で軸方向に延びる円筒部10aと、円筒部10aの軸方向外側端部から内輪3の軸方向端面に沿って径方向外側に延びるフランジ部10bとを設けた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、シールリップを内輪に摺接させた状態で、内外輪間の環状開口部を密封する転がり軸受用密封装置に関するものである。
従来より、自動車のオルタネータなどに用いられる転がり軸受には、発電部から発生するブラシ粉などの異物が軸受内部に侵入するのを防ぐ密封装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
図3に示すように、特許文献1に記載の転がり軸受100は、回転軸101に外嵌される内輪102と、外輪103と、玉104と、保持器105とを備えており、この内外輪間に形成される環状開口部Aが、密封装置106によって密封されている。この密封装置106は、外輪103に固定されるシール本体107と、このシール本体107の内周部に設けられるシールリップ108と、回転軸101に外嵌されるスリンガ109とを有している。
シールリップ108には、軸方向内側に延びる円環状の内側摺接リップ108aが設けられており、この内側摺接リップ108aが内輪102における軸方向端部の径方向外側に形成された摺接溝110の側面110aに摺接している。スリンガ109は、回転軸101に圧入によって内嵌された状態で軸方向軸受側に延びる円筒部111と、円筒部111の延設端部から内輪102の軸方向端面に沿って径方向外側に延びるフランジ部112とを有している。そして、このスリンガ109は、回転軸101が回転することでフランジ部112が回転し、環状開口部Aへの異物の侵入を補助的に防いでいる。
特開平10−26143号公報(第1図)
ところが、従来の密封装置106は、スリンガ109の円筒部111が圧入によって回転軸101に外嵌されるので、組み付け時に円筒部111に若干の変形が生じてフランジ部112が軸方向に倒れ易く、フランジ部112が軸受100の軸方向端面に対して平行に配置されないことがある。つまり、フランジ部112と環状開口部Aとの間隔にバラツキが発生し、安定した異物の侵入防止効果が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、安定した異物の侵入防止効果を得ることができる転がり軸受用密封装置を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受用密封装置は、軸方向内側に向かって延びて内輪の軸方向端部かつ径方向外側で軸方向に対して垂直に設けられる側面に摺接する内側摺接リップを有するシールリップと、軸受の軸方向端部で前記内輪とともに回転して内外輪間に形成される環状開口部への異物の侵入を補助的に防ぐスリンガとを備えている転がり軸受用密封装置において、前記スリンガは、前記内輪における軸方向端部の径方向内側に形成される周溝に内嵌された状態で軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部の延設端部から前記内輪の軸方向端面に沿って径方向外側に延びるフランジ部とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、内輪における軸方向端部の径方向内側に形成される周溝に円筒部が内嵌され、その円筒部の軸方向外側端部からフランジ部が内輪の軸方向端面に沿って径方向外側に延びているので、円筒部とフランジ部との互いの角度が直角に保持される。従って、フランジ部を軸受の軸方向端面に対して平行に配置することができるので、フランジ部と環状開口部との間隔にバラツキが発生するのを防ぐことができる。
また、上記の転がり軸受用密封装置において、前記シールリップには、軸方向外側に延びて前記フランジ部における軸方向内側の側面に摺接する外側摺接リップが設けられているのが好ましい。
この場合には、内側摺接リップに加えて外側摺接リップが設けられるので、環状開口部の密封性がより一層向上する。
また、上記の転がり軸受用密封装置において、前記シールリップと内輪とフランジ部とで囲われる環状空間にグリースが充填され、前記内側摺接リップと前記外側摺接リップとによって当該グリースが密封されているのが好ましい。
この場合には、環状空間にグリースが充填されるとともに、そのグリースが内側摺接リップと外側摺接リップとによって密封されるので、環状開口部の密封性がさらに向上する。
本発明によれば、安定した異物の侵入防止効果を得ることができる転がり軸受用密封装置を構成することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる転がり軸受用密封装置を示す断面図であり、図2は、図1における要部の拡大図である。
図に示すように、本実施形態にかかる転がり軸受としての玉軸受1は、回転軸2に外嵌された内輪3と、外輪4と、転動体としての玉5と、保持器6とを備えており、この内外輪間の環状開口部Aが、密封装置7によって密封されている。
内輪3には、軸方向端部の径方向外側で軸方向に対して垂直に設けられる側面31aを有する摺接溝31と、軸方向端部の径方向内側に形成される周溝32とが設けられている。外輪4には、軸方向端部の径方向内側で軸方向に対して垂直に設けられる側面41aを有する係止溝41が形成されている。
密封装置7は、外輪4の係止溝41に固定されて径方向内側に延びる環状のシール本体8と、シール本体8の径方向内側の内周部に設けられる環状のシールリップ9と、内外輪の軸方向端部で内輪3とともに回転して環状開口部Aへの異物の侵入を補助的に防止する円環状のスリンガ10とを有している。なお、本実施形態におけるスリンガ10は、玉軸受1の軸方向一方(図の右側)のみに設けられている。
シール本体8は、例えばニトリルゴムから構成されており、径方向に延びた金属からなる環状の芯金81が埋設されている。そして、このシール本体8は、径方向外側の側面を係止溝41の側面41aに当接させるとともに、径方向外側の最外周部を係止溝41における径方向外側の底面41bに弾接させることによってシール本体8が外輪4に固定されている。
シールリップ9は、シール本体8から径方向外側に延びる基部91と、基部91から軸方向内側に延びる内側リップ92と、基部91から軸方向外側に延びる外側リップ93とを有している。
スリンガ10は、周溝32に圧入によって内嵌された状態で軸方向に延びる円筒部10aと、円筒部10aの軸方向外側端部から内輪3の軸方向端面に沿って径方向外側に延びるフランジ部10bとを有している。
内側リップ92は、径方向内側の基部91から摺接溝31の側面31aに向かって延びて当該側面31aに摺接する内側摺接リップ92aと、内側摺接リップ92aの径方向外側の基部91から摺接溝31の側面31aに向かって延びる内側補助リップ92bと、内側補助リップ92bの径方向外側の基部91から軸方向内側に延びる軸方向リップ92cとを有している。
外側リップ93は、基部91における内側摺接リップ92aの径方向位置とほぼ同位置で軸方向外側に延びる第1外側リップ93aと、基部91における内側補助リップ92bの径方向位置とほぼ同位置で軸方向外側に延びる第2外側リップ93bとを有しており、本実施形態では、基部91における軸方向リップ92cの径方向位置とほぼ同位置でフランジ部10bの軸方向内側の側面10cに向かって延びて当該側面10cに摺接する外側摺接リップ93cが設けられている。
内側リップ92は、内側摺接リップ92aのみが常時摺接溝31の側面31aに摺接しており、内側補助リップ92bは、使用当初において摺接溝31の側面31aに摺接していない。この内側補助リップ92bは、内側摺接リップ92aが使用によって摩耗した後で初めて摺接溝31の側面31aに摺接するようになっている。また、内側摺接リップ92aは、内輪3の回転時に潤滑剤としてのグリースが介在されて摺接しており、軸方向リップ92cは、内輪3の外周面3aとの間でラビリンスシールを構成している。
外側リップ93は、外側摺接リップ93cのみが常時フランジ部10bの側面10cに摺接しており、第1外側リップ93a及び第2外側リップ93bは、フランジ部10bに摺接していない。この第1外側リップ93a及び第2外側リップは、フランジ部10bの側面10cとの間でラビリンスシールを構成している。また、シールリップ9と内輪3とフランジ部10bとに囲われる環状空間にはグリースGが充填されており、内側摺接リップ92aと外側摺接リップと93cとによって当該グリースGが密封されている。
上記のように構成された転がり軸受用密封装置7によれば、内輪3における軸方向端部の径方向内側に形成される周溝32に円筒部10aが内嵌され、その円筒部10aの軸方向外側端部からフランジ部10bが内輪3の軸方向端面に沿って径方向外側に延びているので、円筒部10aとフランジ部10bとの互いの角度が直角に保持される。従って、フランジ部10bを軸受の軸方向端面に対して平行に配置することができるので、フランジ部10bと環状開口部Aとの間隔にバラツキが発生するのを防ぐことができる。また、シールリップ9には、内側摺接リップ92aに加えて外側摺接リップ93cが設けられるので、環状開口部Aの密封性がより一層向上する。また、シールリップ9と内輪3とフランジ部10bとに囲われる環状空間にはグリースGが充填されるとともに、そのグリースGが内側摺接リップ92aと外側摺接リップ93cとによって密封されるので、環状開口部Aの密封性がさらに向上する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、外側摺接リップ93cは、基部91の径方向内側に設けられてもよく、フランジ部10bの軸方向内側の側面10cと摺接すれば基部91の径方向の位置を限定するものではない。また、スリンガ10は、玉軸受1の軸方向両端部に設けられてもよい。さらに、密封装置7は玉軸受以外に、円筒、円錐、針状ころ軸受などにも適用可能である。
本発明の実施形態にかかる転がり軸受用密封装置を示す断面図である。 図1の要部拡大図である。 従来の転がり軸受用密封装置を示す断面図である。
符号の説明
1 玉軸受(転がり軸受)
3 内輪
7 転がり軸受用密封装置
9 シールリップ
10 スリンガ
10a 円筒部
10b フランジ部
31a 側面
32 周溝
92a 内側摺接リップ
93c 外側摺接リップ
A 環状開口部
G グリース

Claims (3)

  1. 軸方向内側に向かって延びて内輪における軸方向端部の径方向外側で軸方向に対して垂直に設けられる側面に摺接する内側摺接リップを有するシールリップと、軸受の軸方向端部で前記内輪とともに回転して内外輪間に形成される環状開口部への異物の侵入を補助的に防ぐスリンガとを備えている転がり軸受用密封装置において、
    前記スリンガは、前記内輪における軸方向端部の径方向内側に形成される周溝に内嵌された状態で軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部の軸方向外側端部から前記内輪の軸方向端面に沿って径方向外側に延びるフランジ部とを備えていることを特徴とする転がり軸受用密封装置。
  2. 前記シールリップには、軸方向外側に延びて前記フランジ部における軸方向内側の側面に摺接する外側摺接リップが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用密封装置。
  3. 前記シールリップと内輪とフランジ部とで囲われる環状空間にグリースが充填され、前記内側摺接リップと前記外側摺接リップとによって当該グリースが密封されていることを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受用密封装置。
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