JP2007104570A - 回り込み波キャンセル方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】
回り込みキャンセラは、製造段階で生じる回り込みキャンセラ回路中の配線の線路長差や、部品の特性誤差等により、FIRフィルタで生成したキャンセル信号の遅延時間値、位相値、及び振幅値が設定値と一致せず、回り込み波、マルチパス波等の遅延波の除去が充分に発揮できない場合があった。本発明はこの不具合を解消することを目的とする。
【構成】
本発明は、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタの前、後、又は前及び後に、このFIRフィルタを構成する遅延器1つあたりの遅延時間よりも小さい遅延時間を生成することが可能な可変遅延器を挿入している。遅延時間、位相、振幅値の既定値とFIRフィルタが生成する遅延時間、位相、振幅値の誤差を検出することにより、補正された遅延波を生成することが可能となる。
【選択図】
図1

Description

本発明は、中継放送機、受信機等の装置において、回り込み波、マルチパス波等の遅延波をキャンセルする回り込みキャンセル方法に関する。
回り込み波、マルチパス波等の遅延波をキャンセルする装置(回り込みキャンセラ)では、受信信号(もしくは再送信信号)から回り込み波、マルチパス波等の遅延波の遅延時間、位相、および振幅に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値。遅延時間値、位相値、および振幅値をあらわす。)を推定し、推定した遅延プロファイル値を反映させて設定したタップ係数値でFIRフィルタ(トランスバーサルフィルタ、以下、全てのFIRフィルタはトランスバーサルフィルタである。)に、受信信号(もしくは再送信信号)を通過させて生成した回り込み波、マルチパス波等の遅延波の逆相波を、受信信号(もしくは再送信信号)に加算することで受信信号(もしくは再送信信号)から回り込み波、マルチパス波等の遅延波を除去している。
ところが、この回り込みキャンセラでは、製造段階で生じる回路中の配線の線路長差や部品の特性誤差等により、FIRフィルタに設定した遅延時間値、位相値、および振幅値と、実際にFIRフィルタで生成したキャンセル信号(遅延波の逆相波)の遅延時間値、位相値、および振幅値とがそれぞれ一致せず、遅延波を除去する能力が十分に発揮できない問題がある。
特開2005−86377号公報 特開2003−18062号公報
以上述べたように、回り込みキャンセラの遅延波を除去する能力を最適とするには、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタで生成するキャンセル信号の遅延時間値、位相値、および振幅値の補正が必要である。しかし、遅延時間値、位相値、および振幅値の誤差を補正するために回り込みキャンセラ製造後に個々に調整するのは調整時間、およびコスト面での負担が多い。
従って、本発明は、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した遅延時間値、位相値、および振幅値と、実際にFIRフィルタで生成したキャンセル信号の遅延時間値、位相値、および振幅値との誤差を自動で算出、および補正し、誤差を減少させて回り込みキャンセラの遅延波を除去する能力を最適とし、安定的な放送波中継による単一周波数ネットワーク(Single Frequency Network:SFN)の実現が可能な回り込みキャンセラの提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタの前、後、又は前及び後に、該FIRフィルタを構成する遅延器1つあたりの遅延時間よりも小さい遅延時間を生成することが可能な可変遅延器を挿入することを特徴とする。
また、前記回り込みキャンセラの信号出力の後(送信機の前)に、スイッチ、または可変減衰器を挿入し、スイッチの開放、短絡、または可変減衰器の減衰量を制御することが可能であることを特徴とする。
また、前記回り込みキャンセラにおいて、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタを回り込み波、マルチパス波等の遅延波の生成源として用い、FIRフィルタに設定した回り込み波、マルチパス波等の遅延波の遅延時間、位相、および振幅の規定値と、回り込みキャンセラに含まれる遅延波検出及びタップ係数算出部において検出したFIRフィルタにて生成している回り込み波、マルチパス波等の遅延波の遅延時間、位相、および振幅値との誤差を検出し、遅延時間、位相、および振幅の補正値を算出することが可能であることを特徴とする。
また、前記遅延時間の補正値により、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値の時間的な位置を補正すること、および可変遅延器の遅延時間を補正すること、を特徴とする。
また、前記位相、および振幅値の補正値により、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値を補正することを特徴とする。
また、前記遅延時間、位相、および振幅値の補正値により、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値の時間的な位置(遅延器番号)を移動、および可変遅延器の遅延時間を調整し、回り込みキャンセラのFIRフィルタのタップ係数値を補正することを特徴とする。
本発明によれば、回り込みキャンセラが生成するキャンセル波が、より最適なものに近づく。従って、回り込みキャンセラの遅延波を除去する能力が向上し、振幅の大きな回り込み波、マルチパス波等の遅延波が存在する中継放送局においても、回り込み波による発振や遅延波による劣化を抑制でき、安定的な放送波中継が可能な回り込みキャンセラを実現できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明による回り込みキャンセラの実施例を示すブロック図であり、受信アンテナ101で受信した無線周波数(RF)信号は、受信機103において図1に記載していない周波数変換器により中間周波数(IF)信号に変換され、帯域制限フィルタにより帯域制限されたIF信号(もしくは、このIF信号を更に周波数変換したベースバンド信号)を出力する。加算器105では、受信機103から回り込みキャンセラに供給されたIF信号(またはベースバンド信号)と、適応的にタップ係数値を変えるFIRフィルタ107が生成したキャンセル信号との加算結果を出力する。このFIRフィルタ107は、例えば図12または図13に示すように構成されている。
但し、加算器105においてIF信号で加算する場合は、可変遅延器109の前に図1に記載していない周波数変換器、A/D変換器、および直交復調器があり、FIRフィルタ107の後に図1に記載していない直交変調器とD/A変換器、および周波数変換器があるものとする。また、加算器105においてベースバンド信号で加算する場合は、加算器105の前に図1に記載していない周波数変換器、A/D変換器、および直交復調器があり、送信スイッチ111の後に図1に記載していない直交変調器、D/A変換器、周波数変換器があるものとする。
加算器105の出力は送信スイッチ111に入力されると共に、図1に記載していない分配器により可変遅延器109と回り込み波検出・タップ係数算出部117に供給される。
送信スイッチ111は、補正値算出・補正値設定部127により制御され、回り込みキャンセラにおいて補正値算出、および補正値設定の際に送信スイッチ111は開放し、中継放送しない。回り込みキャンセラ稼働の際に送信スイッチ111は短絡し、中継放送する。
送信スイッチ111は、回り込みキャンセラが稼働した直後、もしくは図1に記載していない、送信スイッチ111とは別のスイッチの指示により、補正値算出、および補正値設定を再び行うときに開放し、補正値算出、および補正値設定が終了した後に短絡する。
可変遅延器109は、加算器105の出力を分配した信号が供給され、この信号をFIRフィルタ107で与えることが可能な最小の遅延時間T(FIRフィルタ107を構成する遅延器一つあたりの遅延時間T)よりも小さい時間sT/Mで可変して遅延させて出力し、FIRフィルタ107へ供給する。但し、Mは自然数であり、sは0≦s<Mを満足する非負整数である。ここでのsは遅延時間制御部125より与える。
ここで、遅延時間制御部125は、補正値算出・補正値設定部127から供給された微小遅延器の個数sを可変遅延器109に供給する。微小遅延器とは、FIRフィルタ107を構成する遅延器一つあたりの遅延時間TをM分割した時間U=T/Mだけ信号を遅延させる遅延器である。
FIRフィルタ107は、可変遅延器109より供給された信号と、遅延器番号・位相・振幅値制御部123より与えられた遅延器番号に対応するタップ係数値を畳み込んだ信号を生成し、加算器105へ供給する。
FIRフィルタ107の構成例を図12と13に示す。図12と13に示したFIRフィルタは、多数の遅延器と乗算器から構成されている。ここで、遅延器は入力された信号(複素数で表現された信号)を一定時間保持した後に出力する機能を持ち、図12と13のFIRフィルタを構成している全ての遅延器は全て同じ時間だけ信号(複素数で表現された信号)を遅延させる。また、乗算器は入力された二つの信号(複素数で表現された信号)の複素乗算結果を出力する機能を持ち、図12と13を構成している乗算器は複素信号と外部から与えられたタップ係数値(インパルス応答値)を複素乗算した結果を出力する。図12と13の構成は異なるが、図12と13のタップ係数値が同一のとき、同じ信号をそれぞれのFIRフィルタに入力した場合、同じ信号を出力する。回り込みキャンセラでは、ある遅延時間範囲に存在する多数の回り込み波、マルチパス波等の遅延波のキャンセル波(逆相波)の生成に、多数の遅延器、乗算器、および加算器により構成されたFIRフィルタ(図12、または13)を用いることが多く、タップ係数値の算出、および制御の問題から各遅延器の遅延時間は全て同一となっている。
遅延器番号・位相・振幅値制御部123は、補正値算出・補正値設定部127より供給された遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値を用いて、回り込み波検出・タップ係数算出部117から供給された遅延器番号と、その遅延器番号に対応するタップ係数値を補正し、補正した遅延器番号と、その遅延器番号に対応する補正したタップ係数値をFIRフィルタ107に設定する。また、補正値算出の際に、遅延器番号・位相・振幅値制御部123は、補正値算出・補正値設定部127から供給された遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値を用いて、補正値算出・補正値設定部127から供給された遅延器番号と、その遅延器番号に対応するタップ係数値を補正し、補正した遅延器番号と、その遅延器番号に対応する補正したタップ係数値をFIRフィルタ107に設定する。
回り込み波検出・タップ係数算出部117は、加算器105の出力を分配して供給された信号より、遅延プロファイル検出サブルーチン(例えば、図7,または8)を用いて遅延プロファイル算出し、遅延プロファイル値に基づいてタップ係数算出サブルーチン(例えば図10)により、全ての遅延器番号に対するタップ係数値を算出し、遅延器番号と、遅延器番号に対応するタップ係数値を遅延器番号・位相・振幅値制御部123に設定する。
また、回り込み波検出・タップ係数算出部117は、補正値算出・補正値設定部127から指定された遅延器番号と、その遅延器番号に対応するタップ係数値を補正値算出・補正値設定部127に供給する。
補正値算出・補正値設定部127は、送信スイッチ111、遅延時間制御部125、遅延器番号・位相・振幅値制御部123、および回り込み波検出・タップ係数算出部117を制御し、FIRフィルタ107の遅延器番号、位相値、および振幅値それぞれの補正値、並びに可変遅延器109の遅延器補正値を算出し、遅延器番号・位相・振幅値制御部123、および遅延時間制御部125へ補正値を設定する。
補正値算出・補正値設定部127により、補正値算出、および補正値設定が終了した後、送信スイッチ111が短絡され、中継放送が開始され、回り込みキャンセラが稼働状態となり、回り込み波、マルチパス等の遅延波をキャンセルする。
送信機113では、送信スイッチ111が短絡されているとき、図1に記載していない周波数変換器により、回り込みキャンセラ119の加算器105から供給されたIF信号(もしくはベースバンド信号)を無線周波数(RF)信号へ変換し、増幅器121へ供給する。
増幅器121では、送信機113から供給されたRF信号を増幅し、送信アンテナ115へ供給する。送信アンテナ115では、増幅器121から供給されたRF信号を無線送信する。
本実施形態の特徴の一つは、補正値算出・補正値設定部127が、送信スイッチ111、遅延時間制御部125、遅延器番号・位相・振幅値制御部123、および回り込み波検出・タップ係数算出部117を制御し、FIRフィルタ107の遅延器番号、位相値、および振幅値それぞれの補正値、並びに可変遅延器109の補正値を算出し、遅延器番号・位相・振幅値制御部123、および遅延時間制御部125へ補正値を設定する動作にある。そこでFIRフィルタ107の遅延器番号、位相値、および振幅値それぞれの補正値、並びに可変遅延器109の補正値を算出し、遅延器番号・位相・振幅値制御部123、および遅延時間制御部125へ補正値を設定する動作について原理から説明する。
この説明にあたり、まず、回り込みキャンセラの原理を示して回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した遅延器番号と、この遅延器番号に対応するタップ係数値(位相値と振幅値)と、実際にFIRフィルタが与える回り込み波の遅延器番号と位相値、振幅値との誤差が生じ、回り込みキャンセラの遅延波を除去能力が劣化する理由を明確にする。
その説明の後に、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した遅延器番号と、この遅延器番号に対応するタップ係数値(位相値と振幅値)と、実際にFIRフィルタが与える回り込み波の遅延器番号と位相値、振幅値との誤差を遅延プロファイル(インパルス)から算出し、その誤差から補正値を算出し、その補正値を設定する手順を説明する。
回り込みキャンセラの原理について、図11と数式を用いて説明する。図11は回り込みキャンセラのブロック図である。回り込みの伝送路特性を示す伝達関数をR(ω)、中継放送機の受信部と送信部(増幅器を含む)の伝達関数をそれぞれ、G(ω)とG(ω)とおく。ここでのωは各周波数を表す。また、上位局(親局、もしくは他の中継局)からの希望波のスペクトルをX(ω)、回り込みキャンセラのFIRフィルタの伝達関数をF(ω)、回り込みキャンセラの本線系信号の出力スペクトルをY(ω)としたとき、Y(ω)は(1)式で表される。

Figure 2007104570

この(1)式をY(ω)について整理すると(2)式となる。

Figure 2007104570

ここで、FIRフィルタが生成する回り込み波の逆相波の加算により回り込み波を除去する条件は、(3)式となる。

Figure 2007104570

(2)式において(3)式の条件を満たすには、回り込み波の伝達関数と、FIRフィルタの伝達関数とを一致させることとなるので、回り込みキャンセラにおける回り込み波を除去する条件は(4)式となる。

Figure 2007104570
ここで、回り込みキャンセラにおいて、回り込み波、マルチパス波等の遅延波を検出し、タップ係数値を算出する方法について説明する。回り込みキャンセラでは、複数回(もしくは1回)観測して得たY(ω)を逆数化し、逆フーリエ変換することで、遅延プロファイル(インパルス応答)を算出し、遅延時間零以外の遅延時間に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)をFIRフィルタのタップ係数値に反映させることで実現している。
具体的には、回り込みキャンセラでは、受信(再送信)時間信号y(t)を一定周期間隔Tで標本化して得た離散時間信号

Figure 2007104570

を離散フーリエ変換(DFT、またはFFT)

Figure 2007104570

することで、離散スペクトルY(k)(0≦k<N)として得、Y(k)の振幅値(または電力値)の平均値(もしくはY(k)から抽出したパイロットから既知のパイロットX(k)を除算した結果)を用いて回り込み波、マルチパス波等の遅延波の伝達関数を求め、逆離散フーリエ変換(IDFT、またはIFFT)することにより、遅延プロファイルを得ている。
ここで、前述の(2)式を離散表現すると、

Figure 2007104570

となる。回り込みキャンセラにおいて、FIRフィルタから信号を出力していないとき(すなわち、タップ係数値を全て零

Figure 2007104570

としているとき)、

Figure 2007104570

であることから、(7)式は

Figure 2007104570

となる。受信部、送信部の特性も含めた回り込み波の伝達関数を

Figure 2007104570

とするとき、

Figure 2007104570

となり、Y(k)の逆数よりX(k)の影響を除去して求まる遅延プロファイルは

Figure 2007104570

となる。但し、

Figure 2007104570

である(Y(k)の振幅値(電力値)を用いて遅延プロファイルを求める方法については、例えば本発明者等の発明である特開2004−80668を参照のこと)。
このインパルス応答のうち、遅延時間が零以外の遅延時間に対応する遅延プロファイル値

Figure 2007104570

をFIRフィルタのタップ係数値に反映させる。インパルス応答値のタップ係数値への反映は、例えば、

Figure 2007104570

で与えられる適応的タップ係数更新によりなされる。但し、
Figure 2007104570
は更新前のタップ係数値であり、μは0<μ≦1.0を満足する更新係数であり、LはL≦Nを満足するFIRフィルタのタップ長である。適応的タップ係数更新については例えば本発明者等の発明である特開2005―86377を参照のこと。
ここで、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値μ=1.0としたとき、タップ係数値の初期値は(8)式より

Figure 2007104570

であることから、

Figure 2007104570

となる。
FIRフィルタのタップ係数値は、複素数値により設定するので、

Figure 2007104570

すなわち、

Figure 2007104570
Figure 2007104570

をタップ係数値として設定するが、記述の簡単のため(20)、(21)式の代わりに(18)式、もしくは(19)式の表示を以後用いることとする。このとき、FIRフィルタの伝達関数は、(22)式となる。

Figure 2007104570
従って、(7)式において、(11)式の回り込み波が存在するとき、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに(18)式のタップ係数値を設定し、(22)式の伝達関数を実現すると

Figure 2007104570

となり、回り込み波が除去されることがわかる。
2回目以降のFIRフィルタのタップ係数値更新は、(16)式を用いて、より精度の高い回り込み波、マルチパス波等の遅延波の除去、もしくは回り込み波、マルチパス波等の遅延波の変動等に対応して除去するために一定時間間隔でタップ係数値を更新する。以上が回り込みキャンセラの回り込み波、マルチパス波等の遅延波を除去する方法の概略となる。
ところが、回り込みキャンセラを回路で実現すると、回路中の配線の線路長差や部品の特性誤差等により、FIRフィルタで生成したキャンセル波(回り込み波、マルチパス波等の遅延波の逆相波)の遅延時間値、位相値、および振幅値が設定値と一致せず、回り込み波、マルチパス波等の遅延波の除去能力が十分に発揮できない。すなわち、図4のように回り込みキャンセラのFIRフィルタの前、もしくは後、もしくは前及び後に遅延器、移相器、および減衰器が挿入されていると考えることができる。このときの遅延器、移相器、および減衰器が与えている値をそれぞれΔτ、φ、およびρ(ρ<1.0)とおくと、(1)式、(2)式、および(4)式はそれぞれ(24)式、(25)式、(26)式となる。

Figure 2007104570

Figure 2007104570

Figure 2007104570

これらの(25)式、(26)式に対応する離散表現された伝達関数はそれぞれ(27)式、(28)式となる。

Figure 2007104570

Figure 2007104570
(11)式の回り込み波が存在するとき、受信信号(再送信信号)から求まる遅延プロファイル(インパルス応答)により得られる理想的なFIRフィルタのタップ係数値は(18)式であるが、(27)式において(18)式のタップ係数値を与えたとき、実際にFIRフィルタが与える伝達関数は(29)式

Figure 2007104570

となる。すなわち、回り込み波、マルチパス波等の遅延波を除去するためにFIRフィルタが与えるべき理想的な伝達関数が(28)式に変わっていることが、回り込みキャンセラが回り込み波、マルチパス波等の遅延波の除去能力を十分に発揮できない要因となる。
以上に述べたように、製造段階で生じる回り込みキャンセラ回路中の配線の線路長差や部品の特性誤差等による遅延時間誤差が存在する場合、(18)式のタップ係数値を設定しても、回り込み波は除去されないことは明らかであるが、(16)式の適応的タップ係数更新方法により更新が進むにつれて回り込み波は除去される。しかし、設定タップ係数値に対応する伝達関数とFIRフィルタで実際に生成されている伝達関数との誤差が、回り込みキャンセラの回り込み波、マルチパス波等の遅延波の除去能力を劣化させている。
以上を踏まえ、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した遅延器番号と、この遅延器番号に対応するタップ係数値(位相値、振幅値に相当する値)と、実際にFIRフィルタが与える回り込み波の遅延器番号と位相値、振幅値との誤差を遅延プロファイル(インパルス)から算出し、その誤差から補正値を算出し、その補正値を設定する手順を説明する。
<補正値算出手順>
まず、補正値を算出する手順について図5、および6を用いて説明する。補正値を算出する際、補正値算出・補正値設定部127は、送信スイッチ111を開放し(501)、中継装置において受信のみ開始し、送信は開始しないようにする(502)。
ステップ502後、以下のステップ503を実行する。補正値算出・補正値設定部127は、可変遅延器109へ与える微小遅延器の個数s(初回はs=0)を遅延時間制御部125に供給する。
遅延時間制御部125は、補正値算出・補正値設定部127より供給された微小遅延器の個数s(初期値はs=0)を可変遅延器109に供給する。可変遅延器109では、加算器105の出力を分配して供給された信号を、sに対応した遅延時間sUだけ遅延させて出力し、FIRフィルタ107に供給する。
また、補正値算出・補正値設定部127は、予め定めておいた遅延器番号(但し、遅延器番号零は除く)n(初期値はn=R)と、その遅延器番号に対応するタップ係数に予め定めておいた非零タップ係数値Cを、回り込み波検出・タップ係数算出部117に供給する。
回り込み波検出・タップ係数算出部117は、補正値算出・補正値設定部127より供給された遅延器番号nと、その遅延器番号に対応する非零タップ係数値Cを、遅延器番号・位相・振幅制御部123に供給する。
遅延器番号・位相・振幅制御部123は、回り込み波検出・タップ係数算出部117より供給された遅延器番号nと、その遅延器番号に対応する非零タップ係数値Cを、補正値算出・補正値設定部127より供給された遅延器番号補正値、位相・振幅値補正値Wにより補正した値A=C・WをFIRフィルタ107に供給する。但し、補正値算出の初回では、遅延器番号補正値は零、位相・振幅値補正値Wは1である。
FIRフィルタ107では、可変遅延器109より供給された信号と遅延器番号・位相・振幅制御部123より供給された遅延器番号と、その遅延器番号に対応する非零タップ係数値を畳み込んだ結果を加算器105に供給する。これにより、FIRフィルタ107は回り込み波を生成する(ここまでステップ503)。
この状態で、回り込み波検出・タップ係数算出部117は、遅延プロファイル検出サブルーチン(例えば、図7、または8)により遅延プロファイルを算出し、遅延プロファイル算出結果を補正値算出・補正値設定部127に供給する(504)。
補正値算出・補正値設定部127は、回り込み波検出・タップ係数算出部117から供給された遅延プロファイルの最大振幅値|B|を検出し、保持する(505)。
また、補正値算出・補正値設定部127は、遅延プロファイルの最大振幅値|B|と予めFIRフィルタ107に与えたタップ係数値Aの振幅値|A|の差|B|−|A|が、−e<|B|−|A|<eの範囲内か否かを判定する(506)。
ステップ506において、−e<|B|−|A|<eの条件を満たさない場合は、位相・振幅値補正値W=|A|/|B|として(507)、ステップ503から505を再び実行する。
ステップ506において、−e<|B|−|A|<eの条件を満たす場合は、位相・振幅値補正値Wをそのまま保持して、補正値算出・補正値設定部127は、|B|に対応する複素数値B、および遅延器番号H、並びに遅延器番号H−1、H+1における振幅値をそれぞれ|B|、|B|として保持する(508)。
次に補正値算出・補正値設定部127は、|B|、|B|、および|B|を用いて、
=(|B|/|B|)+(|B|/|B|)を算出し、|B−|>|B+|ならばQ=|B|/|B|を、|B|>|B|でなければQ=|B|/|B|を算出する(509)。
次に補正値算出・補正値設定部127は、|Bmax|に|B|、BmaxにB、HmaxにH、smaxにs、QmaxにQ、QminにQを保持する(510)。
次に補正値算出・補正値設定部127はsの値に1を加算しsに保持した後、遅延時間制御部125へsを供給し、遅延時間制御部125は可変遅延器109にsを供給し、可変遅延器109は加算器105から分配して供給された信号をsUだけ遅延し、FIRフィルタ107へ供給する(601)。
ここで、ステップ602を実行する。補正値算出・補正値設定部127は、予め定めておいた遅延器番号(但し、遅延器番号零は除く)nと、その遅延器番号に対応するタップ係数に予め定めておいた非零タップ係数値Cを、回り込み波検出・タップ係数算出部117に供給する。
回り込み波検出・タップ係数算出部117は、補正値算出・補正値設定部127より供給された遅延器番号nと、その遅延器番号に対応する非零タップ係数値Cを、遅延器番号・位相・振幅制御部123に供給する。
遅延器番号・位相・振幅制御部123は、回り込み波検出・タップ係数算出部117より供給された遅延器番号nと、その遅延器番号に対応する非零タップ係数値Cを、補正値算出・補正値設定部127より供給された遅延器番号補正値(補正値算出の際は零)、位相・振幅値補正値Wにより補正した値A=C・WをFIRフィルタ107に供給する(ステップ602ここまで)。
この状態で、回り込み波検出・タップ係数算出部117は、遅延プロファイル検出サブルーチン(例えば、図7、または8)により遅延プロファイルを算出し、遅延プロファイル算出結果を補正値算出・補正値設定部127に供給する(603)。
補正値算出・補正値設定部127は、回り込み波検出・タップ係数算出部117から供給された遅延プロファイルから遅延器番号零を除いた遅延器番号に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)の中から最大振幅値|B|を検出し、保持する(604)。
補正値算出・補正値設定部127は、|B|に対応する複素数値B、および遅延器番号H、並びに遅延器番号H−1、H+1における振幅値をそれぞれ|B|、|B|として保持する(605)。
次に補正値算出・補正値設定部127は、|B|、|B|、および|B|を用いて、
=(|B|/|B|)+(|B|/|B|)を算出し、|B−|>|B+|ならばQ=|B|/|B|を、|B|>|B|でなければQ=|B|/|B|を算出する(606)。
次に補正値算出・補正値設定部127は、Q≧Qmax、かつQ≦Qminの条件を満たす場合はQmaxにQ、QminにQ、|Bmax|に|B|、BmaxにB、HmaxにH、smaxにsを保持する(607)。
次に補正値算出・補正値設定部127は、s=M−1か否か判断する(608)。s=M−1の条件を満たす場合は次のステップ609に進み、s=M−1の条件を満たさない場合はステップ601から607を再び実行する。但し、MはTの分割数であり、Mは自然数である。
s=M−1の条件を満たした場合、補正値算出・補正値設定部127は、可変遅延器設定値としてsmaxを、遅延器番号補正値としてZ=Hmax−Rを、位相・振幅値補正値としてGad=W・C/Bmaxを保持記憶し(609)、補正値算出手順を終了する。
補正値算出手順を終了した後、補正値算出・補正値設定部127は、可変遅延器補正値smaxを遅延時間制御部125に設定し、遅延器番号補正値Zと、位相・振幅値補正値
Gadを遅延器番号・位相・振幅値制御部123に設定する。
ここまで述べた補正値算出手順としては、図5から6に示した手順の代りに図19から20に示した手順を用いても良い。
可変遅延器設定値smaxを遅延時間制御部125に設定し、遅延器番号補正値Zと、位相・振幅値補正値Gadを遅延器番号・位相・振幅値制御部123に設定した後、回り込みキャンセラ119では、キャンセル動作を開始する。このキャンセル動作について図9を用いて説明する。
<補正値を用いた回り込みキャンセル動作>
ステップ901では、補正値算出・補正値設定部127は、回り込み波検出・タップ係数算出部117に全ての遅延器番号n(0≦n<L+Z)に対応するタップ係数値f(n)を零とするように設定する。
回り込み波検出・タップ係数算出部117は、全ての遅延器番号n(0≦n<L+Z)に対応するタップ係数係数値f(n)を仮タップ係数値g(n)として遅延器番号・位相・振幅値制御部123に供給する。
遅延器番号・位相・振幅値制御部123は、回り込み波検出・タップ係数算出部117より供給された仮タップ係数値g(n)(0≦n<L+Z)を遅延器番号補正値Zと、位相・振幅値補正値Gadにより補正したタップ係数値f(n−Z)=Gad・g(n)(Z≦n<L+Z)をFIRフィルタ107に設定する(ステップ901ここまで)。
遅延時間制御部125は、補正値算出・補正値設定部127より設定された可変遅延器補正値smaxを可変遅延器109に設定する(902)。
この段階で、補正値算出・補正値設定部127は、送信スイッチ111を短絡し、中継放送を開始(送信を開始)する(904)。
また、補正値算出・補正値設定部127は、回り込み波検出・タップ係数算出部117を制御し、遅延プロファイル検出サブルーチン(例えば図7、もしくは8)により遅延プロファイルを算出し、遅延プロファイル算出結果をタップ係数値算出サブルーチンへ供給する(905)。
回り込み波検出・タップ係数算出部117のタップ係数値算出サブルーチン(例えば、図10)は、遅延プロファイル検出サブルーチンより供給された遅延プロファイル算出結果より、全ての遅延器番号に対応する仮タップ係数値g(n)を算出し、遅延器番号・位相・振幅値制御部123へ供給する(906)。
遅延器番号・位相・振幅値制御部123では、回り込み波検出・タップ係数算出部117より供給された仮タップ係数値g(n)(0≦n<L)を遅延器番号補正値Zと、位相・振幅値補正値Gadにより補正したタップ係数値f(n−Z)=Gad・g(n)(Z≦n<L+Z)を算出し(907)、FIRフィルタ107に設定する(908)。
以降、ステップ905から908を繰り返す。
以上、補正値算出手順、および補正値を利用した回り込みキャンセル手順について説明した。
ここで、補正値算出手順、および補正値を利用した回り込みキャンセル動作により誤差が補正される理由について、数式を用いて詳細に説明する。回り込みキャンセラ回路中の配線の線路長差や部品の特性誤差等による遅延時間誤差ΔnTが存在する場合、

Figure 2007104570

として表現できる。この(30)式中のrTはFIRフィルタ107の遅延器番号の移動により補正できる遅延時間誤差であり、mUは可変遅延器109により

Figure 2007104570

を付加してTとすることでFIRフィルタ107の遅延器番号の移動により補正できる遅延時間誤差であり、εは−U/2<ε<U/2を満たす遅延時間誤差である。但し、rとmは自然数である。
すなわち、遅延時間誤差ΔnTは、可変遅延器109により(31)式の遅延を付加することで、

Figure 2007104570

とでき、FIRフィルタ107の遅延器番号を(r+1)だけ前に移動することで遅延時間が補正できることとなる。
この(32)式の(r+1)は図6のステップ609では遅延器番号補正値Z=Hmax−Rとして算出する。また、(32)式の(T−mU)は図6のステップ609では可変遅延器設定値smaxとして算出している。
ここで、ステップ501から610により、可変遅延器設定値、遅延器番号補正設定値、および位相・振幅補正設定値が算出できる理由ついて、数式を用いて詳細に説明する。補正値算出手順を表した図5のステップ501から509では、FIRフィルタ107への設定タップ係数値の振幅値と実際にFIRフィルタが与えている回り込み波の振幅値の誤差を位相・振幅補正値Wにより少なくしている(ステップ507)とともに、可変遅延器109においてs=0のときの最大振幅値|B|と、対応する複素数値B、および遅延器番号H、並びに遅延器番号H−1、H+1それぞれに対応する振幅値|B|、|B|が保持される(ステップ508)。この後、ステップ601から610で本来の補正値算出が実行される。
遅延時間誤差ΔnTが存在するとき、FIRフィルタ107の遅延器番号nに設定するタップ係数値をA=C・W=a+jbとする(ステップ602)。すなわち

Figure 2007104570

とすると(図14)、実際の遅延プロファイルは回り込みキャンセラ回路中の線路長、および部品の特性により図15のようになる。しかし、回り込み波検出・タップ係数算出部117の時間分解能がTに制限されていることから、図16のように遅延プロファイルが推定される。図16に示すように、遅延プロファイルd(n)ではrTだけ遅延した遅延器番号n+rにFIRフィルタ107で生成した実際の回り込み波の遅延プロファイル値(インパルス応答値)がステップ603と604により検出される。すなわち、(34)式に示すように、遅延プロファイル値が得られる。

Figure 2007104570
ここで、可変遅延器109を用いてTよりも小さい遅延時間sU(0≦s<M)を付加(ステップ601から608の繰り返し)して、図17に示したように

Figure 2007104570

とできた場合、d(n)(0≦n<N)において遅延器番号(n+r+1)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)のみが値を持つ(もしくは、遅延器番号(n+r+1)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)が最大、かつ遅延器番号(n+r)と(n+r+2)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)がほぼ等しい)。
一方、可変遅延器109を用いてTよりも小さい遅延時間sU(0≦s<M)を付加(ステップ601から608の繰り返し)して、図18に示したように

Figure 2007104570

となった場合、mU+εだけ遅延時間誤差が残留するため、d(n)(0≦n<N)において遅延器番号(n+r+1)の位置だけでなく、他の遅延器番号に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)が現れ、遅延器番号(n+r)と(n+r+2)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)は等しくない。
遅延器番号(n+r)と(n+r+2)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)は、それぞれ|B|、|B|として保持し、可変遅延器109が与える遅延sにより変化する|B|、|B|の大小関係については、|B|、|B|、および|B|の関数Q、およびQ(ステップ606)により評価する。Qが最大、かつQが最小になるとき、遅延時間誤差が最も小さくなることはQ、Qを求めるステップ606より明らかである。そこで、Qが最大、かつQが最小となるsを保持する(ステップ607)。
従って、ステップ601から608に従い、可変遅延器109により微小遅延器Uを一つずつ付加し(0≦s<Mの範囲でsUの遅延時間を付加し)、回り込みキャンセラの遅延波検出・タップ係数値算出部117で、d(n)(0≦n<N)を観察し、遅延器番号(n+r)と(n+r+2)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)の差が最小となる可変遅延器の設定遅延時間smaxU((37)式)を探す。

Figure 2007104570
探し出したsmaxUを可変遅延器109により常に付加することで、遅延時間誤差は

Figure 2007104570

となる。ここで、(m+s)=Mであるとき、(m+s)U=Tとなり、d(n)(0≦n<N)の、遅延器番号(n+r)と(n+r+2)に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)の振幅値の差が最小となるので、(m+smax)=Mである。
可変遅延器109によりsmaxUが付加されているときの最大振幅値|Bmax|に対応する遅延器番号Hmaxはr+1となる。すなわち、回り込みキャンセラ回路中の線路長誤差、および部品の特性誤差による遅延時間誤差と、可変遅延器109が付加した遅延時間により、全体で遅延器番号が(r+1)だけ遅延している。
従って、所望の遅延時間でタップ係数値を出力したいのであれば、可変遅延器109の微小遅延器個数をsmaxに固定し、FIRフィルタ107のタップ係数値に対応する遅延器番号を(r+1)だけ前に設定すれば良い。すなわち、設定しようとしている遅延器番号nと対応するタップ係数値

Figure 2007104570



Figure 2007104570

として(r+1)だけ前に設定する(ステップ907。但し、ステップ907では遅延器番号補正前のタップ係数値をg(n)としてある。)。この場合には、遅延時間0から(r+1)Tまでの遅延時間に対応するタップ係数値は設定不可能となるが、実際の回り込み波の遅延時間は、中継装置の本線系に挿入される帯域通過フィルタ等による遅延のため、0から(r+1)Tまでの遅延時間よりも大きくなるのが一般的であるため問題にならない。
ここまで、可変遅延器109による遅延の設定、およびFIRフィルタ107の遅延器番号の移動により、遅延時間誤差を最小とする可変遅延器番号算出、および設定、並びに遅延器番号補正値算出、および設定について説明した。ここで、残りの補正値である位相・振幅補正値の算出と、設定について説明する。
位相・振幅補正値の算出は、FIRフィルタの遅延器番号nに対応するタップ係数への設定値を

Figure 2007104570

(すなわちA=C・W)としたとき、遅延波検出・タップ係数算出部において得た遅延プロファイルd(n)のn+(r+1)における検出値が

Figure 2007104570

であることから、

Figure 2007104570

なる減衰量を持つ減衰器が挿入されていることと等価である。但し、可変遅延器109における微小遅延器の個数はsmaxであるとする。従って、FIRフィルタに与えたタップ係数値f(n)=A=W・C=a+jbと遅延プロファイルに現れた遅延プロファイル値(インパルス応答値)の遅延器番号零を除いた遅延器番号に対応する遅延プロファイル値(インパルス応答値)の最大振幅値|Bmax|に対応するB=d(n+(r+1))=a+jbを用いて(43)式により、位相・振幅補正値を求め、設定したいタップ係数値をFIRフィルタのタップ係数値として与える際、設定したいタップ係数値に次の(44)式のGadを常に乗じておけば良い。

Figure 2007104570

この位相・振幅補正値Gadは遅延器番号nに対応するタップ係数値だけでなく、全ての遅延器番号(0≦n<L)に対応するタップ係数値に対して用いることができる。
ここで述べた実施例では、遅延器番号nに対応するタップ係数値に対してのみ位相・振幅補正値を求め、全ての遅延器番号に対する位相・振幅補正値としたが、全ての遅延器番号nに対して同様の処理をして補正値を算出し、それぞれの遅延器番号に対応する位相・振幅補正値としても良い。
以上に述べた、FIRフィルタの遅延時間誤差、位相誤差、振幅誤差の検出、および補正原理に基づく補正処理方法を以下にまとめる。まず、中継装置にて中継放送を開始する前に、上位局からの放送を受信し、回り込みキャンセラで補正値を算出する。このとき、回り込みキャンセラの本線系信号出力の後段に挿入されたスイッチ(再送信スイッチ)の開放、または可変減衰器により減衰量を大きくし、送信(再送信)を停止した上で、次に述べる手順(補正値算出手順1、もしくは2)により補正値を得て、補正値利用手順により遅延波キャンセル動作を開始する。
ここまで示した実施例では、FIRフィルタを構成している遅延器一つあたりの遅延時間をTとしたとき、可変遅延器で設定可能な遅延時間の1微小遅延器UはU=T/Mとしている。但し、MはM≧1を満たす自然数である。ここまで示した実施例では、Mを自然数としたが、本発明においてMは自然数に限定するものではない。
従って、補正値算出し、補正値を利用する本発明の回り込みキャンセラの遅延波キャンセル能力は、従来の回り込みキャンセラに比べて改善される。
可変遅延器の微小遅延器Uの遅延時間が小さいほど回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが生成する回り込み波の遅延時間誤差が小さくなるため、より安定的な回り込みキャンセラを実現できる。しかし、可変遅延器の微小遅延器Uを小さくすればするほど、補正処理における繰り返し処理が多くなるので、ある程度の分割数Mにとどめ、可変遅延器の微小遅延器Uよりも更に小さい遅延時間を設定可能な可変遅延器を別途用意して同様に処理することで、更なる性能向上が可能である。
図2、および3はともに、本発明による回り込みキャンセラの実施例構成ブロック線図を示している。図2、および3における可変遅延器は、FIRフィルタを構成する遅延器一つあたりの遅延時間よりも小さい遅延時間を設定できる。補正処理手順、補正値を利用した回り込みキャンセル動作は、図1と同じである。
本発明の実施例1 本発明の実施例2 本発明の実施例3 従来の回り込みキャンセラ 本発明の補正値算出手順の例1 本発明の補正値算出手順の例1 本発明の補正値算出手順で用いる遅延プロファイルの検出サブルーチンの例1 本発明の補正値算出手順で用いる遅延プロファイルの検出サブルーチンの例2 本発明の補正値利用手順。回り込みキャンセラ動作。 本発明の補正値利用手順。回り込みキャンセラ動作。 従来の回り込みキャンセラ FIRフィルタの構成例1 FIRフィルタの構成例2 FIRフィルタの設定タップ係数値 実際の遅延プロファイル 回り込みキャンセラの回り込み波検出部で推定される遅延プロファイル 回り込みキャンセラの回り込み波検出部で推定される遅延プロファイル。可変遅延器にて、smaxUを付加してε=0のとき。 回り込みキャンセラの回り込み波検出部で推定される遅延プロファイル。可変遅延器にてsmaxUを付加してε≠0のとき 本発明の補正値算出手順の例2 本発明の補正値算出手順の例2
符号の説明
101…受信アンテナ
103…受信機
105…加算器
107…FIRフィルタ
109…可変遅延器
111…送信スイッチ
113…送信機
115…送信アンテナ
117…回り込み波検出・タップ係数算出部
119…回り込みキャンセラ
121…パワーアンプ
123…遅延器番号・位相・振幅値制御部
125…遅延時間制御部
127…補正値算出・補正値設定部
201…受信アンテナ
203…受信機
205…加算器
207…可変遅延器
209…FIRフィルタ
211…送信機
213…パワーアンプ
215…送信アンテナ
217…回り込み波検出・タップ係数算出部
219…送信スイッチ
221…回り込みキャンセラ
223…遅延時間制御部
225…遅延器番号・位相・振幅値制御部
227…補正値算出・補正値設定部
301…受信アンテナ
303…受信器
305…加算器
307…可変遅延器
309…FIRフィルタ
311…可変遅延器
313…送信機
315…パワーアンプ
317…送信アンテナ
319…回り込み波検出・タップ係数算出部
321…回り込みキャンセラ
323…送信スイッチ
325…遅延時間制御部
327…遅延時間制御部
329…遅延器番号・位相・振幅制御部
331…補正値算出・補正値設定部
401…受信アンテナ
403…受信機
405…加算器
407…送信機
409…パワーアンプ
411…送信アンテナ
413…減衰器
415…移相器
417…遅延器
419…回り込み波検出・タップ係数算出部
421…FIRフィルタ
423…回り込みキャンセラ
1101…受信アンテナ
1103…受信機
1105…加算器
1107…FIRフィルタ
1109…送信機
1111…パワーアンプ
1113…送信アンテナ
1115…回り込み波検出・タップ係数算出部
1117…回り込みキャンセラ
1401…回り込み波
1501…希望波
1503…回り込み波
1601…希望波
1603、1605、1607、1609、1611、1613…検出回り込み波
1701…希望波
1703…検出回り込み波
1801…希望波
1803、1805、1807、1809、1811、1813、1815…検出回り込み波














Claims (6)

  1. 回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタ(トランスバーサルフィルタ、以降すべてのFIRフィルタはトランスバーサル型とする。)の前、後、又は前及び後に、該FIRフィルタを構成する遅延器1つあたりの遅延時間よりも小さい遅延時間を生成することが可能な可変遅延器を挿入することを特徴とする回り込みキャンセラ。
  2. 前記回り込みキャンセラの信号出力の後(送信機の前)に、スイッチ、または可変減衰器を挿入し、スイッチの開放、短絡、または可変減衰器の減衰量を制御することが可能であることを特徴とする回り込みキャンセラ。
  3. 前記回り込みキャンセラにおいて、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタを回り込み波、マルチパス波等の遅延波の生成源として用い、FIRフィルタに設定した回り込み波、マルチパス波等の遅延波の遅延時間、位相、および振幅の規定値と、回り込みキャンセラに含まれる遅延波検出及びタップ係数算出部において検出したFIRフィルタにて生成している回り込み波、マルチパス波等の遅延波の遅延時間、位相、および振幅値との誤差を検出し、遅延時間、位相、および振幅の補正値を算出することが可能であることを特徴とする請求項1及び2に記載の回り込みキャンセラ。
  4. 前記遅延時間の補正値により、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値の時間的な位置(遅延器番号)を補正すること、および可変遅延器の遅延時間を補正すること、を特徴とする請求項3に記載の回り込みキャンセラ。
  5. 前記位相、および振幅値の補正値により、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値を補正することを特徴とする、請求項3に記載の回り込みキャンセラ。
  6. 前記遅延時間、位相、および振幅値の補正値により、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタのタップ係数値の時間的な位置(遅延器番号)を移動、および可変遅延器の遅延時間を補正し、回り込みキャンセラのFIRフィルタのタップ係数値を補正することを特徴とする、請求項3に記載の回り込みキャンセラ。














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