JP2004147118A - 回り込みキャンセラ - Google Patents

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Abstract

【課題】回り込みキャンセラにおいて、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正し、高いキャンセル性能を実現する。
【解決手段】入力信号から回り込み信号の複製を減じる減算器31と、回り込み信号の複製を生成するFIRフィルタ32と、減算器31の出力からFIRフィルタ32の係数を生成するフィルタ係数生成部33dとを備え、フィルタ係数生成部33dでは、減算器31の出力をFFTして伝送路の周波数特性を算出した後、FFT3311における時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を補正し、補正された伝送路特性からキャンセル残差を算出し、これをIFFTした結果に基づきFIRフィルタ32の係数を更新する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上デジタル放送において放送波中継SFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)を実現する中継放送所に設置され、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号から推定した伝送路特性を用いて回り込みをキャンセルする回り込みキャンセラに係り、特に、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正し、高いキャンセル性能を実現する回り込みキャンセラに関する。
【0002】
【従来の技術】
OFDM伝送方式は、伝送するデジタルデータによって互いに直交する多数のキャリアを変調し、それらの変調波を多重して伝送する方式である。OFDM伝送方式においては、使用するキャリアの数を数百から数千と多くするとシンボル時間が極めて長くなることに加え、有効シンボル期間後部の信号の複製をガード期間信号として有効シンボル期間の前に付加することにより、遅延波の影響を受けにくいという特徴を有している。
【0003】
そしてこの特徴により、単一周波数による放送ネットワーク、すなわちSFNを構築できる可能性があることから、OFDM伝送方式は地上デジタル放送の伝送方式として注目されている。
【0004】
SFNの実現方法としては、光ファイバーやマイクロ波等の放送波とは別の回線を用いて、各々の中継放送所まで信号を伝送し、同一周波数で送信する方法が技術的に容易である。しかし、光ファイバーを用いる方法では回線コストが課題となり、マイクロ波を用いる方法では新たな周波数資源の確保が必要となる。
【0005】
そこで、コスト的に有利で、かつ、新たな周波数資源を必要としない放送波中継によるSFNの実現が望まれている。
【0006】
しかしながら、放送波中継SFNの実現にあたっては、送信アンテナから発射される電波が受信アンテナに回り込む現象のため、中継信号品質の劣化や増幅器の発振等の問題を引き起こすことが懸念されている。
【0007】
放送波中継SFNの回り込み対策としては、
(1)送受信アンテナを分離して配置し、山岳や建物等による遮蔽を利用して回り込みを低減する、
(2)送受信アンテナの指向特性を改善することにより回り込みを低減する、
(3)信号処理技術によって回り込みのキャンセルを行う、
等が考えられるが、山岳や建物の状況は様々であり、また、アンテナの指向特性改善による対策だけでは十分な回り込みの抑制が期待できないことから、(1)(2)に加えて、(3)の信号処理技術を用いた回り込みキャンセラを併用することが効果的である。
【0008】
このような信号処理技術としては、受信したOFDM信号から回り込み伝送路の周波数特性を推定し、推定した回り込み伝送路の周波数特性データをIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)して時間軸のインパルス応答データに変換し、そのインパルス応答データをフィルタ係数としてトランスバーサルフィルタに設定することで回り込みの複製信号を作成し、この複製信号を受信した信号から減算することで回り込みをキャンセルする手法が考案されている。(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)
以下、従来技術に関して、図面を用いて説明する。
【0009】
図3は、上記文献および本発明において前提としている伝送方式のパイロット信号配置を示す模式図であり、欧州の地上デジタル放送方式であるDVB−T(Digital Video Broadcasting − Terrestrial)方式や、日本の地上デジタル放送方式であるISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting − Terrestrial)方式が、これに該当する。
【0010】
図3中の白丸はデータキャリアであり、黒丸は分散的に配置されたパイロットキャリア(SP(Scattered Pilot))である。
【0011】
また図3において、横軸(周波数軸)のkはキャリアのインデックスを表わし、縦軸(時間軸)のnはシンボルのインデックスを表わす。このときSP信号は、次の(3)式を満たすインデックスk=kpのキャリアを用いて伝送される。(ただし、式中のmodは剰余演算を表わし、pは非負整数である。)
【0012】
【数3】
Figure 2004147118
また、SP信号は擬似ランダム符号系列に基づいて変調されており、その振幅及び位相は、配置されるキャリアのインデックスkのみによって決定され、シンボルのインデックスnには依存しない。
【0013】
図4は、回り込みキャンセラ3a(3b、3c)を用いたSFN中継システムのモデルを示すブロック図である。図中の記号「*」は畳み込み演算を表す。また以降、特に断らない限り、信号や応答は複素数として扱うものとする。
【0014】
なお、図4中の受信部2は、RF(Radio Frequency:無線周波数)帯域の信号を基底帯域(以下、ベースバンド)の信号に変換し、送信部4は逆に、ベースバンドの信号をRF帯域に変換するが、以下では特に断らない限り、これら周波数変換に関しては言及しない。
【0015】
図4において、x(t)は親局信号、r(t)は受信部2の入力信号、s(t)は送信部4の入力信号、W_in(ω)は受信部2の伝達関数、W_out(ω)は送信部4の伝達関数、W_loop(ω)は回り込み伝送路6の伝達関数、W_fir(ω)は回り込みキャンセラ3a(3b、3c)内部のFIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタ32の伝達関数をそれぞれ表す。
【0016】
図4において、受信アンテナ1は、親局信号x(t)と回り込み伝送路6からの回り込み信号w_loop(t)*w_out(t)*s(t)との合成信号を受信し、その出力r(t)は受信部2に供給される。受信部2は、受信信号r(t)に対してフィルタリング、周波数変換、ゲイン調整等の処理を行うもので、その出力w_in(t)*r(t)は回り込みキャンセラ3a(3b、3c)内部の減算器31の第一の入力に供給される。
【0017】
回り込みキャンセラ3a(3b、3c)の内部において、減算器31は、受信部2の出力w_in(t)*r(t)からFIRフィルタ32の出力w_fir(t)*s(t)を減じるもので、その出力s(t)はFIRフィルタ32の第一の入力及びフィルタ係数生成部33a、(33b、33c)に供給されるとともに、回り込みキャンセラ3の出力として、送信部4に供給される。
【0018】
フィルタ係数生成部33a(33b、33c)は、減算器31の出力s(t)から伝送路の特性を推定し、フィルタ係数を生成するもので、その出力w_fir(t)はFIRフィルタ32の第二の入力に供給される。
【0019】
FIRフィルタ32は、減算器31の出力s(t)に対してフィルタ係数生成部33a(33b、33c)の出力w_fir(t)による畳み込み演算を行い、回り込み信号の複製w_fir(t)*s(t)を生成するもので、その出力は減算器31の第二の入力に供給される。
【0020】
送信部4は、減算器31の出力s(t)に対してフィルタリング、周波数変換、ゲイン調整等の処理を行い中継信号w_out(t)*s(t)を生成するもので、その出力は送信アンテナ5に供給される。
【0021】
送信アンテナ5は送信部4の出力w_out(t)*s(t)を放射するもので、その出力の一部が回り込み伝送路6を経由した後、回り込み信号w_loop(t)*w_out(t)*s(t)となって受信アンテナ1に回り込む。
【0022】
図5は、従来の回り込みキャンセラ3aの構成を示すブロック図である。
【0023】
図5のフィルタ係数生成部33aの内部において、伝送路特性推定部331は、減算器31の出力s(t)から伝送路特性F(ω)を推定するもので、その出力は残差算出回路332の第一の入力に供給される。
【0024】
伝送路特性推定部331の内部において、FFT(First Fourier Transform:高速フーリエ変換)回路3311は、減算器31の出力s(t)から有効シンボル期間長分の信号を切り出し、FFTすることにより、時間領域の信号であるs(t)を周波数領域の信号に変換するもので、その出力S(ω)は複素除算回路3313の第一の入力に供給される。
【0025】
SP発生回路3312は、FFT回路3311の出力S(ω)に同期して、その振幅と位相が既知である規定のSP信号を発生するもので、その出力Xp(ω)は複素除算回路3313の第二の入力に供給される。
【0026】
複素除算回路3313は、FFT回路3311の出力S(ω)に含まれる受信SP信号Sp(ω)をSP発生回路3312の出力Xp(ω)で除することにより、パイロットキャリアに対する伝送路特性Fp(ω)を求めるもので、その出力は補間回路3314に供給される。
【0027】
補間回路3314は、パイロットキャリアに対してのみ分散的に求められた伝送路特性Fp(ω)を補間し、信号帯域全体に対する伝送路特性F(ω)を推定するもので、その出力は伝送路特性推定部331の出力として、残差算出回路332に供給される。
【0028】
残差算出回路332は、伝送路特性推定部331の出力F(ω)からキャンセル残差E(ω)を算出するもので、その出力はIFFT回路333に供給される。
【0029】
IFFT回路333は、残差算出回路332の出力E(ω)をIFFTすることにより、周波数領域での残差E(ω)を時間領域での残差e(t)に変換するもので、その出力は係数更新回路334に供給される。
【0030】
係数更新回路334は、IFFT回路333の出力e(t)から、所定の係数更新式に基づいてフィルタ係数w_new(t)を算出するもので、その出力はフィルタ係数生成部33aの出力w_fir(t)としてFIRフィルタ32の第二の入力に供給される。
【0031】
次に、回り込みキャンセラ3aが回り込みを打ち消す条件について説明する。
【0032】
まず、伝送路特性推定部331の出力F(ω)は(4)式で表される。
【0033】
【数4】
Figure 2004147118
従って、減算器31によって回り込み信号が打ち消される条件は(5)式で表される。
【0034】
【数5】
Figure 2004147118
ここで、キャンセル残差E(ω)を(6)式のように定義する。
【0035】
【数6】
Figure 2004147118
そして、(4)式を変形すると(7)式が得られる。
【0036】
【数7】
Figure 2004147118
ここでモデルを簡略化し、受信部2の周波数特性が信号帯域内において平坦であると仮定すると、その伝達関数W_in(ω)は定数Dとなり、残差算出回路332内部において、(8)式に基づいて算出される。
【0037】
【数8】
Figure 2004147118
このとき、キャンセル残差E(ω)は(9)式で表される。
【0038】
【数9】
Figure 2004147118
さらに、係数更新回路334での係数更新式を(10)式で定義する。
【0039】
【数10】
Figure 2004147118
ただし、(10)式中のw_old(t)は更新前の係数、μは1以下の定数である。
【0040】
以上の構成によって、回り込みの伝達関数W_loop(ω)W_out(ω)とFIRフィルタ32の伝達関数W_fir(ω)との差分であるキャンセル残差E(ω)が、0に収束するようにフィードバック制御が動作し、回り込みキャンセラ3aの出力s(t)には、主波成分のみが出力される。
【0041】
ここで、FFT回路3311は、減算器31の出力s(t)から有効シンボル期間長の信号を切り出しFFTするが、切り出すタイミングが適切でない等の理由により、FFTにおける時刻に誤差が生じると、その変換結果であるS(ω)に時刻誤差に応じた位相回転が生じる。
【0042】
例えば、本来ならば時刻0となるべきサンプルが、時刻τとなるような時刻誤差をもっている場合、FFT回路3311の入力信号はs’(t)は(11)式で表される。
【0043】
【数11】
Figure 2004147118
そして、その変換結果S’(ω)は(12)式で表され、周波数に比例した位相回転を生じる。
【0044】
【数12】
Figure 2004147118
これまでにも、この位相回転の影響を補正し、高精度な伝送路特性の推定を可能とする手法が考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0045】
図6は、時刻誤差補正手法を適用した従来の回り込みキャンセラ3bの構成を示すブロック図である。尚、図6において図5と同一部分には同一符号を付して示す。回り込みキャンセラ3bは、前記の時刻誤差に起因する位相回転を補正するため、フィルタ係数生成部33b内部に時刻誤差補正部335bを備える点で、図5の回り込みキャンセラ3aと相違する。
【0046】
図6の時刻誤差補正部335bの内部において、極座標変換回路33501は、一般的に実部と虚部、すなわち直交座標で表される伝送路特性推定部331の出力F(ω)を、振幅r(ω)と位相θ(ω)とで表される極座標に変換するもので、振幅出力r(ω)は直交座標変換回路33505の第一の入力に供給され、位相出力θ(ω)は位相連続化回路33502に供給される。このとき一般的に、位相出力θ(ω)は±πのように値域の範囲が2πで表現されており、この範囲を超えるときに不連続が生じる。
【0047】
位相連続化回路33502は、極座標変換回路33501の位相出力θ(ω)から、隣接するキャリアとの位相差に対して所定の閾値を設定し、位相差がその閾値を超えて小さくなった場合は+πを、逆に閾値を超えて大きくなった場合は−πを超えたと判定し、補正を行うもので、その出力θ’(ω)は傾斜算出回路33503および傾斜除去回路の第一の入力に供給される。
【0048】
傾斜算出回路33503は、位相連続化回路33502の出力θ’(ω)に対して、低域通過フィルタによるフィルタリング処理、あるいは最小二乗法による直線近似処理を施すことによって、回り込みの影響による位相誤差成分を除去し、位相特性θ’(ω)の一次傾斜成分を抽出するもので、その出力αは傾斜除去回路33504の第二の入力に供給される。
【0049】
傾斜除去回路33504は、傾斜算出回路33503の出力に基づき、位相連続化回路33502の出力θ’を補正するもので、その出力θ”は直交座標変換回路33505の第二の入力に供給される。
【0050】
直交座標変換回路33505は、極座標変換回路33501の振幅出力r(ω)と傾斜除去回路33504の出力θ”(ω)とで表される複素数値を、実部と虚部とで表される直交座標に変換するもので、その出力F’(ω)は時刻誤差補正部335bの出力として、残差算出回路332に供給される。他の構成及び動作は、図5と同一であるので省略する。
【0051】
図7は、別の時刻誤差補正手法を適用した従来の回り込みキャンセラ3cの構成を示すブロック図である。尚、図7において図5と同一部分には同一符号を付して示す。
【0052】
図7において、伝送路特性推定部331の出力F(ω)は時間誤差補正部335cに供給されるが、時間誤差補正部335c内部において、群遅延特性算出回路33511及びキャリア位相回転処理回路33513の第一の入力に供給される。
【0053】
群遅延特性算出回路33511は、伝送路特性推定部331の出力F(ω)から、位相特性の周波数方向の微分値である群遅延特性を算出するもので、その出力GD(ω)は傾斜抽出回路33512に供給される。
【0054】
傾斜抽出回路33512は、群遅延特性算出回路33511の出力GD(ω)に対して、低域通過フィルタによるフィルタリング処理を施すことによって、回り込みの影響による位相誤差成分を除去した後、その結果を平均化することにより、位相特性の一次傾斜に相当する群遅延の定数値を抽出するもので、その出力GD_avはキャリア位相回転処理回路33513の第二の入力に供給される。
【0055】
キャリア位相回転処理回路33513は、傾斜抽出回路33512の出力GD_avに基づき、伝送路特性推定部331の出力F(ω)を補正するもので、その出力F’(ω)は時刻誤差補正部335cの出力として、残差算出回路332に供給される。他の構成及び動作は、図5と同一であるので省略する。
【0056】
【特許文献1】
特開2000−341238号公報
【特許文献2】
特開2000−295195号公報
【非特許文献1】
今村,外3名,「地上デジタル放送SFNにおける放送波中継用回り込みキャンセラの検討」,映像情報メディア学会誌,2000年11月,第54巻,第11号,p.1568−1575
【0057】
【発明が解決しようとする課題】
FFTにおける時刻誤差に起因する位相回転は、回り込み伝送路の周波数特性を算出する際に、誤差を生じる要因となるため、できる限り高精度に補正されることが望ましい。
【0058】
しかしながら、図6に示す回り込みキャンセラ3bでは、時刻誤差補正部335b内部の位相連続化回路33502において閾値を用いた判定と、それに基づく補正を行っており、その判定に誤りがあった場合、次段の傾斜算出回路33503における位相特性θ’(ω)の一次傾斜成分の抽出に誤差が生じ、その結果、時間誤差の補正が正確でなくなる。
【0059】
また、図7に示す回り込みキャンセラ3cでは、時刻誤差補正部335c内部の群遅延特性算出回路33511において、位相特性の周波数方向の微分値として群遅延特性を算出しているが、微分演算は一種の高域通過フィルタによるフィルタリング処理であり、回り込みの影響による位相誤差成分は高域成分であるため、次段の傾斜抽出回路33512における位相特性の一次傾斜成分の抽出に誤差が生じ、その結果、時間誤差の補正が正確でなくなる。
【0060】
このように、前述のような従来の回り込みキャンセラでは、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正することができず、キャンセル性能の劣化を引き起こす。
【0061】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、上記の問題を解決し、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正し、高いキャンセル性能を実現する回り込みキャンセラを提供することを目的とする。
【0062】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係わる回り込みキャンセラは、以下のように構成される。
【0063】
本発明の回り込みキャンセラは、受信信号を同一の周波数で再送信する場合に発生する送受信アンテナ間の回り込みを除去する回り込みキャンセラであって、入力信号から回り込み信号の複製を減じる減算器と、前記減算器の出力に対してフィルタリング処理を行うことにより、前記回り込み信号の複製を生成するフィルタ手段と、前記減算器の出力から回り込みの伝送路特性を推定し、前記フィルタ手段の係数を生成するフィルタ係数生成部とを具備して構成され、前記フィルタ係数生成部は、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)により、時間領域の信号である前記減算器の出力を周波数領域の信号へと変換し、前記減算器出力にて観測した伝送路特性を推定する伝送路特性推定部と、前記FFTにおける時刻誤差に起因して生じる前記伝送路特性の位相回転を補正する時刻誤差補正部と、前記時刻誤差補正部の出力からキャンセル残差を算出する残差算出手段と、前記残差算出手段の出力を時間領域の信号に変換する第一のIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)手段と、前記第一のIFFT手段の出力から、前記フィルタ手段の係数を生成する係数更新手段とを具備して構成され、前記時刻誤差補正部は、前記伝送路特性推定部の出力に所定の窓関数を乗じる窓がけ手段と、前記窓がけ手段の出力を時間領域の信号に変換する第二のIFFT手段と、前記第二のIFFT手段の出力から前記FFTにおける時刻誤差を推定する時刻誤差推定手段と、前記時刻誤差推定手段の出力に基づき、前記伝送路特性推定部の出力を補正する位相回転補正手段とを具備する構成を採る。
【0064】
本発明の回り込みキャンセラは、上記構成において、前記第二のIFFT手段の出力f_win(i)(iは0≦i≦M−1を満たす整数、ただしMは前記IFFT手段におけるIFFTのサイズ)の中で、その大きさが最大のもののインデックスをi_maxとし、f_win(i_max−1)の絶対値とf_win(i_max)の絶対値との比をr_left、f_win(i_max+1)の絶対値とf_win(i_max)の絶対値との比をr_rightとし、前記時刻誤差推定手段は、r_left及びr_rightの少なくとも一方から前記FFTにおける時刻誤差を推定する構成を採る。
【0065】
本発明の回り込みキャンセラは、上記構成において、前記時刻誤差推定手段は、f_win(i_max−1)の絶対値がf_win(i_max+1)の絶対値に比べて大きい場合は、r_leftからの推定値を前記FFTにおける時刻誤差の推定値とし、逆にf_win(i_max−1)の絶対値がf_win(i_max+1)の絶対値に比べて小さい場合は、r_rightからの推定値を前記FFTにおける時刻誤差の推定値とする構成を採る。
【0066】
本発明の回り込みキャンセラは、上記構成において、前記時刻誤差推定手段は、r_leftからの推定値とr_rightからの推定値との平均値を、前記FFTにおける時刻誤差の推定値とする構成を採る。
【0067】
本発明の回り込みキャンセラは、上記構成において、前記窓がけ手段が前記伝送路特性推定部の出力に乗じる窓関数はハニング(Hanning)窓関数であり、前記時刻誤差推定手段は、r_leftからの推定値τ’_leftを、(1)式に基づいて算出し、r_rightからの推定値τ’_rightを、(2)式に基づいて算出する構成を採る。
【0068】
これらの構成によれば、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正し、高い回り込みキャンセル性能を実現することができる。
【0069】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、フィルタ係数生成部において減算器の出力をFFTして伝送路の周波数特性を算出した後、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を補正し、補正された伝送路特性からキャンセル残差を算出し、これをIFFTした結果に基づきFIRフィルタの係数を更新することにより、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正することである。
【0070】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0071】
図4との対応部分に同一符号を付して示す図1は、本発明の実施の形態に係る回り込みキャンセラ3dを用いたSFN中継システムのモデルを示すブロック図である。図中の記号「*」は畳み込み演算を表す。また以降、特に断らない限り、信号や応答は複素数として扱うものとする。
【0072】
なお、図1中の受信部2は、RF(Radio Frequency:無線周波数)帯域の信号を基底帯域(以下、ベースバンド)の信号に変換し、送信部4は逆に、ベースバンドの信号をRF帯域に変換するが、これらの周波数変換は、本発明に対して本質的な影響を与えるものではないので、以下では特に断らない限り、これら周波数変換に関しては言及しない。
【0073】
図1において、x(t)は親局信号、r(t)は受信部2の入力信号、s(t)は送信部4の入力信号、W_in(ω)は受信部2の伝達関数、W_out(ω)は送信部4の伝達関数、W_loop(ω)は回り込み伝送路6の伝達関数、W_fir(ω)は回り込みキャンセラ3d内部のFIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタ32の伝達関数をそれぞれ表す。
【0074】
図1において、受信アンテナ1は、親局信号x(t)と回り込み伝送路6からの回り込み信号w_loop(t)*w_out(t)*s(t)との合成信号を受信し、その出力r(t)は受信部2に供給される。受信部2は、受信信号r(t)に対してフィルタリング、周波数変換、ゲイン調整等の処理を行うもので、その出力w_in(t)*r(t)は回り込みキャンセラ3d内部の減算器31の第一の入力に供給される。
【0075】
回り込みキャンセラ3dの内部において、減算器31は、受信部2の出力w_in(t)*r(t)からFIRフィルタ32の出力w_fir(t)*s(t)を減じるもので、その出力s(t)はFIRフィルタ32の第一の入力及びフィルタ係数生成部33dに供給されるとともに、回り込みキャンセラ3dの出力として、送信部4に供給される。
【0076】
フィルタ係数生成部33dは、減算器31の出力s(t)から伝送路の特性を推定し、フィルタ係数を生成するもので、その出力w_fir(t)はFIRフィルタ32の第二の入力に供給される。
【0077】
FIRフィルタ32は、減算器31の出力s(t)に対してフィルタ係数生成部33dの出力w_fir(t)による畳み込み演算を行い、回り込み信号の複製w_fir(t)*s(t)を生成するもので、その出力は減算器31の第二の入力に供給される。
【0078】
送信部4は、減算器31の出力s(t)に対してフィルタリング、周波数変換、ゲイン調整等の処理を行い中継信号w_out(t)*s(t)を生成するもので、その出力は送信アンテナ5に供給される。
【0079】
送信アンテナ5は送信部4の出力w_out(t)*s(t)を放射するもので、その出力の一部が回り込み伝送路6を経由した後、回り込み信号w_loop(t)*w_out(t)*s(t)となって受信アンテナ1に回り込む。
【0080】
図2は、本発明の実施の形態に係る回り込みキャンセラ3dの構成を示すブロック図である。
【0081】
図2において、減算器31は、受信部2の出力w_in(t)*r(t)からFIRフィルタ32の出力w_fir(t)*s(t)を減じるもので、その出力s(t)はFIRフィルタ32の第1の入力及びフィルタ係数生成部33dに供給されるとともに、回り込みキャンセラ3dの出力として、送信部4に供給される。
【0082】
フィルタ係数生成部33dは、減算器31の出力s(t)から伝送路の特性を推定し、フィルタ係数を生成するもので、その出力w_fir(t)はFIRフィルタ32の第2の入力に供給される。
【0083】
FIRフィルタ32は、減算器31の出力s(t)に対してフィルタ係数生成部33dの出力w_fir(t)による畳み込み演算を行い、回り込み信号の複製w_fir(t)*s(t)を生成するもので、その出力は減算器31の第2の入力に供給される。
【0084】
以下では、この回り込みキャンセラ3d内部のフィルタ係数生成部33dの構成及び動作について説明する。
【0085】
図2のフィルタ係数生成部33dの内部において、伝送路特性推定部331は、減算器31の出力s(t)から伝送路特性F(ω)を推定するもので、その出力は時刻誤差補正部335dに供給される。
【0086】
伝送路特性推定部331の内部において、FFT(First Fourier Transform:高速フーリエ変換)回路3311は、減算器31の出力s(t)から有効シンボル期間長分の信号を切り出し、FFTすることにより、時間領域の信号であるs(t)を周波数領域の信号に変換するもので、その出力S(ω)は複素除算回路3313の第一の入力に供給される。
【0087】
SP発生回路3312は、FFT回路3311の出力S(ω)に同期して、その振幅と位相が既知である規定のSP信号を発生するもので、その出力Xp(ω)は複素除算回路3313の第二の入力に供給される。
【0088】
複素除算回路3313は、FFT回路3311の出力S(ω)に含まれる受信SP信号Sp(ω)をSP発生回路3312の出力Xp(ω)で除することにより、パイロットキャリアに対する伝送路特性Fp(ω)を求めるもので、その出力は補間回路3314に供給される。
【0089】
補間回路3314は、パイロットキャリアに対してのみ分散的に求められた伝送路特性Fp(ω)を補間し、信号帯域全体に対する伝送路特性F(ω)を推定するもので、その出力は伝送路特性推定部331の出力として、時刻誤差補正部335dに供給される。
【0090】
時刻誤差補正部335dは、FFT回路3311における時刻誤差に起因して生じる伝送路特性F(ω)の位相回転を補正するもので、その出力F’(ω)は、残差算出回路332に供給される。
【0091】
残差算出回路332は、時刻誤差補正部335dの出力F’(ω)からキャンセル残差E(ω)を算出するもので、その出力はIFFT回路333に供給される。
【0092】
IFFT回路333は、残差算出回路332の出力E(ω)をIFFTすることにより、周波数領域での残差E(ω)を時間領域での残差e(t)に変換するもので、その出力は係数更新回路334に供給される。
【0093】
係数更新回路334は、IFFT回路333の出力e(t)から、所定の係数更新式に基づいてフィルタ係数w_new(t)を算出するもので、その出力はフィルタ係数生成部33dの出力w_fir(t)としてFIRフィルタ32の第二の入力に供給される。
【0094】
次に、回り込みキャンセラ3dが回り込みを打ち消す条件について説明する。
【0095】
まず、FFT回路3311における時刻誤差をτとすると、伝送路特性推定部331の出力F(ω)は(13)式で表される。
【0096】
【数13】
Figure 2004147118
従って、減算器31によって回り込み信号が打ち消される条件は(14)式で表される。
【0097】
【数14】
Figure 2004147118
ここで、キャンセル残差E(ω)を(15)式のように定義する。
【0098】
【数15】
Figure 2004147118
そして、(13)式を変形すると(16)式が得られる。(16)式右辺第二項の分母は、FFT回路3311における時刻誤差τに起因して生じる伝送路特性F(ω)の位相回転を補正したもの、すなわち時刻誤差補正部335dの出力F’(ω)である。
【0099】
【数16】
Figure 2004147118
ここでモデルを簡略化し、受信部2の周波数特性が信号帯域内において平坦であると仮定すると、その伝達関数W_in(ω)は定数Dとなり、残差算出回路332内部において、(17)式に基づいて算出される。
【0100】
【数17】
Figure 2004147118
このとき、キャンセル残差E(ω)は(18)式で表される。
【0101】
【数18】
Figure 2004147118
さらに、係数更新回路334での係数更新式を(19)式で定義する。
【0102】
【数19】
Figure 2004147118
ただし、(19)式中のw_old(t)は更新前の係数、μは1以下の定数である。
【0103】
以上の構成によって、回り込みの伝達関数W_loop(ω)W_out(ω)とFIRフィルタ32の伝達関数W_fir(ω)との差分であるキャンセル残差E(ω)が、0に収束するようにフィードバック制御が動作し、回り込みキャンセラ3dの出力s(t)には、主波成分のみが出力される。
【0104】
次に、フィルタ係数生成部33d内部の時刻誤差補正部335dの構成について説明する。
【0105】
時間誤差補正部335d内部において、伝送路特性推定部331から供給されるF(ω)は、窓がけ回路33521及び位相回転補正回路33524の第一の入力に供給される。
【0106】
窓がけ回路33521は、伝送路特性推定部331の出力F(ω)に対して窓関数W_win(ω)を乗じるもので、その出力F_win(ω)はIFFT回路33522に供給される。
【0107】
IFFT回路33522は、窓がけ回路33521の出力F_win(ω)をIFFTすることにより、周波数応答をインパルス応答に変換するもので、その出力f_win(t)は時刻誤差推定回路33523に供給される。
【0108】
時刻誤差推定回路33523は、IFFT回路33522の出力f_win(t)からFFT回路3311における時刻誤差を推定するもので、その出力τ’は位相回転補正回路33524の第二の入力に供給される。
【0109】
位相回転補正回路33524は、時刻誤差の推定値τ’に基づき、伝送路特性F(ω)の位相回転を補正するもので、その出力F’(ω)は、時刻誤差補正部335dの出力として、残差算出回路332に供給される。
【0110】
次に、フィルタ係数生成部33d内部の時刻誤差補正部335dの動作原理について説明する。ここでは、窓がけ回路33521で乗じる窓関数としてハニング(Hanning)窓関数を使用する場合を例にとり説明する。
【0111】
伝送路特性推定部331の出力F(ω)は、周波数領域においてOFDMのキャリア間隔でサンプリングされたものであり、周波数領域でのサンプリングのインデックスをk(kは0≦k≦N−1を満たす整数、ただしNはFFT回路3311におけるFFTのサイズ)として、F(ω)=F(k)と表わすことができる。
【0112】
ここで、回り込み等が存在しない状況を考え、FFTにおける時刻誤差をτとすると、F(k)は(20)式で表わされる。
【0113】
【数20】
Figure 2004147118
一方、ハニング窓関数W_win(k)は(21)式で表わされる。
【0114】
【数21】
Figure 2004147118
従って、これらの乗算結果である窓がけ回路33521の出力F_win(k)は(22)式で表わされる。
【0115】
【数22】
Figure 2004147118
インパルス応答、すなわちIFFT回路33522の出力f_win(t)は、時間領域においてサンプリングされたものであり、時間領域でのサンプリングのインデックスをi(iは0≦i≦M−1を満たす整数、ただしMはIFFT回路33522におけるIFFTのサイズ)として、f_win(t)=f_win(i)と表わすことができる。
【0116】
このf_win(i)は(23)式で表わされ、
【0117】
【数23】
Figure 2004147118
さらに式変形すると、(24)式となる。
【0118】
【数24】
Figure 2004147118
以下では、時刻誤差推定回路33523内部での演算処理について説明する。
【0119】
ここで、f_win(i)の中で、その大きさが最大のもののインデックスをi_maxとし、f_win(i_max−1)の絶対値とf_win(i_max)の絶対値との比をr_leftとし、(22)式を用いて計算すると、(25)式が得られる。
【0120】
【数25】
Figure 2004147118
ここで、FFTサイズNが十分大きければ、(26)式の近似を用いることができる。
【0121】
【数26】
Figure 2004147118
これを(25)式に代入すると、(27)式となる。
【0122】
【数27】
Figure 2004147118
これをτについて解くと(28)式となり、時刻誤差の推定値τ’_leftが得られる。
【0123】
【数28】
Figure 2004147118
同様に、(29)式のようにf_win(i_max+1)の絶対値とf_win(i_max)の絶対値との比をr_rightとする。
【0124】
【数29】
Figure 2004147118
これにより、(30)式より、時刻誤差の推定値τ’_rightが得られる。
【0125】
【数30】
Figure 2004147118
ここで、f_win(i_max−1)の絶対値がf_win(i_max+1)の絶対値に比べて大きい場合は、推定値τ’として(28)式のτ’_leftを採用し、逆にf_win(i_max−1)の絶対値がf_win(i_max+1)の絶対値に比べて小さい場合は、推定値τ’として(30)式のτ’_rightを採用することにより、雑音等の外乱による推定誤差を抑えることができる。
【0126】
また推定値τ’として、(28)式のτ’_leftと(30)式のτ’_rightとの平均値を採用することによっても、雑音等の外乱による推定誤差を抑えることができる。
【0127】
位相回転補正回路33524内部では、時刻誤差の推定値τ’を用いて、(31)式により伝送路特性F(k)の位相回転を補正し、F’(k)を得る。
【0128】
【数31】
Figure 2004147118
以上の説明では、回り込み等が存在しない状況を考え、F(k)を(20)式で表わしたが、回り込みが存在する場合は、(20)式のDが定数ではなくなり、インパルス応答f_win(i)に複数の極大値が存在するようになる。しかし、この場合も複数の極大値の内で最大のもののインデックスをi_maxとすれば、上記の演算で時刻誤差を推定することが可能である。
【0129】
このように、本実施の形態の回り込みキャンセラによれば、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を、高精度に補正することが可能となる。
【0130】
なお、本発明の実施の形態においては、窓がけ回路33521で乗じる窓関数としてハニング(Hanning)窓を使用する場合を例にとり説明したが、(28)式や(30)式の推定式を変更することにより、ハミング(Hamming)窓関数等、他の窓関数を使用することも可能である。
【0131】
また、本発明の実施の形態においては、信号帯域内に分散的に配置されたパイロットキャリアを含む伝送方式を例にとり説明したが、伝送路特性推定部331の内部処理を適宜変更することにより、全キャリアの振幅と位相が既知であるパイロットシンボルが存在する伝送方式等、他の種類の伝送方式に対しても適用可能である。
【0132】
また、本発明の実施の形態においては、時刻誤差補正部335dにて処理する伝送路特性F(k)は、周波数領域においてOFDMのキャリア間隔でサンプリングされたものであるとして説明したが、3キャリア間隔、6キャリア間隔、12キャリア間隔等、間引かれたものであっても、同じ原理を適用可能である。
【0133】
また、本発明の実施の形態においては、受信部2で周波数変換を行った後の信号において回り込みをキャンセルしているが、受信部2で周波数変換を行う前の信号において回り込みをキャンセルする等、いずれの周波数の信号において回り込みをキャンセルしてもよく、上位概念において本発明と同じ原理に基づいている限り、これらの変形は容易に構成できる。
【0134】
また、図には示していないが、回り込みキャンセラにおいて使用しているデジタル信号処理のためのAD(Analog to Ditigal:アナログ−デジタル)変換器ならびにDA(Digital to Analog:デジタル−アナログ)変換器の挿入位置は、本発明の原理とは無関係であり、AD変換器ならびにDA変換器の挿入位置に関わらず同じ原理を適用することができることは言うまでもない。
【0135】
最後に、本発明の実施の形態においては、各々の構成要素が個別のハードウェアとして固有の機能を具現化するものとして説明したが、このような実現方法は本発明の原理とは無関係であり、本発明の構成要素の一部あるいは全体を、DSP(Digital Signal Processor)等の汎用ハードウェア上で実行されるソフトウェアとして具現化してもよいことは言うまでもない。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、FFTにおける時刻誤差に起因して生じる周波数特性の位相回転を高精度に補正し、高い回り込みキャンセル性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る回り込みキャンセラを用いたSFN中継システムの、原理的構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態に係る回り込みキャンセラの構成を示すブロック図
【図3】パイロット信号配置例を示す模式図
【図4】従来の回り込みキャンセラを用いたSFN中継システムの、原理的構成の一例を示すブロック図
【図5】従来の回り込みキャンセラの第一の構成例を示すブロック図
【図6】従来の回り込みキャンセラの第二の構成例を示すブロック図
【図7】従来の回り込みキャンセラの第三の構成例を示すブロック図
【符号の説明】
1 受信アンテナ
2 受信部
3a、3b、3c、3d 回り込みキャンセラ
4 送信部
5 送信アンテナ
6 回り込み伝送路
31 減算器
32 FIRフィルタ
33a、33b、33c、33d フィルタ係数生成部
331 伝送路特性推定部
3311 FFT回路
3312 SP発生回路
3313 複素除算回路
3314 補間回路
332 残差算出回路
333 IFFT回路
334 係数更新回路
335d 時刻誤差補正部
33521 窓がけ回路
33522 IFFT回路
33523 時刻誤差推定回路
33524 位相回転補正回路

Claims (5)

  1. 受信信号を同一の周波数で再送信する場合に発生する送受信アンテナ間の回り込みを除去する回り込みキャンセラであって、
    入力信号から回り込み信号の複製を減じる減算器と、
    前記減算器の出力に対してフィルタリング処理を行うことにより、前記回り込み信号の複製を生成するフィルタ手段と、
    前記減算器の出力から回り込みの伝送路特性を推定し、前記フィルタ手段の係数を生成するフィルタ係数生成部とを備え、
    前記フィルタ係数生成部は、
    FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)により、時間領域の信号である前記減算器の出力を周波数領域の信号へと変換し、前記減算器出力にて観測した伝送路特性を推定する伝送路特性推定部と、
    前記FFTにおける時刻誤差に起因して生じる前記伝送路特性の位相回転を補正する時刻誤差補正部と、
    前記時刻誤差補正部の出力からキャンセル残差を算出する残差算出手段と、
    前記残差算出手段の出力を時間領域の信号に変換する第一のIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)手段と、前記第一のIFFT手段の出力から、前記フィルタ手段の係数を生成する係数更新手段とを備え、
    前記時刻誤差補正部は、
    前記伝送路特性推定部の出力に所定の窓関数を乗じる窓がけ手段と、
    前記窓がけ手段の出力を時間領域の信号に変換する第二のIFFT手段と、
    前記第二のIFFT手段の出力から前記FFTにおける時刻誤差を推定する時刻誤差推定手段と、
    前記時刻誤差推定手段の出力に基づき、前記伝送路特性推定部の出力を補正する位相回転補正手段とを備える
    ことを特徴とする回り込みキャンセラ。
  2. 前記第二のIFFT手段の出力f_win(i)(iは0≦i≦M−1を満たす整数、ただしMは前記IFFT手段におけるIFFTのサイズ)の中で、その大きさが最大のもののインデックスをi_maxとし、f_win(i_max−1)の絶対値とf_win(i_max)の絶対値との比をr_left、f_win(i_max+1)の絶対値とf_win(i_max)の絶対値との比をr_rightとし、
    前記時刻誤差推定手段は、r_left及びr_rightの少なくとも一方から前記FFTにおける時刻誤差を推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の回り込みキャンセラ。
  3. 前記時刻誤差推定手段は、f_win(i_max−1)の絶対値がf_win(i_max+1)の絶対値に比べて大きい場合は、r_leftからの推定値を前記FFTにおける時刻誤差の推定値とし、逆にf_win(i_max−1)の絶対値がf_win(i_max+1)の絶対値に比べて小さい場合は、r_rightからの推定値を前記FFTにおける時刻誤差の推定値とする
    ことを特徴とする請求項2記載の回り込みキャンセラ。
  4. 前記時刻誤差推定手段は、r_leftからの推定値とr_rightからの推定値との平均値を、前記FFTにおける時刻誤差の推定値とする
    ことを特徴とする請求項2記載の回り込みキャンセラ。
  5. 前記窓がけ手段が前記伝送路特性推定部の出力に乗じる窓関数はハニング(Hanning)窓関数であり、
    前記時刻誤差推定手段は、r_leftからの推定値τ’_leftを
    Figure 2004147118
    に基づいて算出し、r_rightからの推定値τ’_rightを
    Figure 2004147118
    に基づいて算出する
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の回り込みキャンセラ。
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