JP2003258696A - サブバンド型適応中継方式及びその装置 - Google Patents

サブバンド型適応中継方式及びその装置

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JP2003258696A
JP2003258696A JP2002050643A JP2002050643A JP2003258696A JP 2003258696 A JP2003258696 A JP 2003258696A JP 2002050643 A JP2002050643 A JP 2002050643A JP 2002050643 A JP2002050643 A JP 2002050643A JP 2003258696 A JP2003258696 A JP 2003258696A
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signal
filter
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Taku Arazeki
卓 荒関
Kazufumi Imaichi
一史 今市
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NEC Corp
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NEC Corp
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置の構造が簡単でかつ小型化が容易であ
り、特性が良く、動作を安定させることが可能なサブバ
ンド型適応中継装置を提供する。 【解決手段】 帯域分割フィルタ42は入力端子41か
らの信号をk個の帯域に分割する。加算器43−1〜4
3−kは分割された信号と逐次適応フィルタ44−1〜
44−kで作られる推定値との差を求め、その差を出力
する。帯域合成フィルタ45は加算器43−1〜43−
kの出力を合成し、出力端子46を介して出力する。逐
次適応フィルタ44−1〜44−kは加算器43−1〜
43−kの出力を基に、それぞれの帯域に対応する回り
込み伝送路の特性及びマルチパス伝送路の特性を推定
し、親局1からの信号を予測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサブバンド型適応中
継方式及びその装置に関し、特にディジタル放送用信号
の中継に用いられる逐次適応型中継方式およびその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】国内地上ディジタル放送で採用されるO
FDM(Orthogonal Frequency
Division Multiplexing)方式に
おいては、マルチパスに強い、移動体受信にも利用でき
る、SFN(単一周波数ネットワーク)を構成すること
ができるという様々な特徴がある。
【0003】SFNに際しては、親局から中継局への配
信に放送波そのものを使う方法と、光ファイバ等の別回
線によって配信を行う方法とがある。コスト的には前者
の方法が望ましいが、中継局の送信アンテナから受信ア
ンテナへの回り込みによる性能劣化、特に回り込みのル
ープ利得が1以上になると、信号増大、発振という問題
が発生する。
【0004】また、親局から中継局までの間に反射があ
ると、マルチパス(テレビではゴースト)となる。これ
らの問題に対処するため、中継局にマルチパスや回り込
みをキャンセルするためのフィルタを設置する様々な方
式が提案されている。その手法の一つは、OFDM信号
に含まれるパイロット信号(SP)を再生し、それを基
にマルチパスや回り込み特性を推定し、フィルタ係数を
構築する方式であり、デシジョンフィードバック方式と
でも呼ぶべき方式である。もう一つの手法は、送信信号
の相関を求め、無相関化するようにフィルタ係数を求め
る適応型中継方式である。
【0005】前者の手法はOFDM復調が必要であるも
のの、比較的優れた性能のでることが検証されている。
後者の手法は原則的にはOFDM復調の必要がないとい
うメリットがあるため、構造が簡単になる可能性があ
る。尚、これらの手法では、フィルタの係数をブロック
的に(通常、OFDMのシンボル毎に)更新する方式と
なっている。
【0006】しかしながら、これらの手法においては、
フィルタ特性の算出をブロック的に行っているため、装
置が複雑化し、小型化が難しいという欠点がある。一
方、ブロック的に係数を求める手法とは別に、標本点毎
に、受信信号から逐次適応フィルタによってマルチパス
や回り込み信号を消去する適応型中継方式が本願出願人
から提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の適応型
中継方式では、装置の構造が簡単で、小型化が容易にな
るものの、フィルタ出力が入力に戻るというループを描
いているために装置が不安定動作する恐れがあり、安定
化のための仕組みを組込むこと等も含めて解決すべき問
題がある。また、このため、特性的にも中継装置として
の用途に限界がある。
【0008】そこで、本発明の目的は上記の問題点を解
消し、装置の構造が簡単でかつ小型化が容易であり、特
性が良く、動作を安定させることができるサブバンド型
適応中継方式及びその装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるサブバンド
型適応中継方式は、ディジタル放送用信号を受信し、そ
の信号を増幅して送出するサブバンド型適応中継方式で
あって、電波の伝送路に回り込み及びマルチパスの反射
のうちの少なくとも一方がある場合に受信信号を帯域分
割し、その分割した各帯域において伝送路特性の推定と
前記反射の信号のキャンセルとを逐次適応フィルタで行
っている。
【0010】本発明によるサブバンド型適応中継装置
は、ディジタル放送用信号を受信し、その信号を増幅し
て送出するサブバンド型適応中継装置であって、電波の
伝送路に回り込み及びマルチパスの反射のうちの少なく
とも一方がある場合に受信信号を帯域分割する帯域分割
フィルタと、前記帯域分割フィルタで分割した各帯域に
おいてその帯域分割された信号と前記反射の信号の推定
値との差を求める複数の演算手段と、前記複数の演算手
段各々の出力を基に前記伝送路を推定しかつ前記反射の
信号の推定値を出力する逐次適応フィルタと、前記複数
の演算手段各々の出力信号を合成して全帯域の信号を生
成する帯域合成フィルタとを備えている。
【0011】本発明による他のサブバンド型適応中継装
置は、地上ディジタル放送波を受信し、その信号を増幅
して送出するサブバンド型適応中継装置であって、電波
の伝送路に回り込み及びマルチパスの反射のうちの少な
くとも一方がある場合に受信信号を帯域分割する第一の
帯域分割フィルタと、前記第一の帯域分割フィルタで分
割した各帯域においてその帯域分割された信号と前記反
射の信号の推定値との差を求める複数の演算手段と、前
記複数の演算手段各々の出力信号を合成して全帯域の信
号を生成する帯域合成フィルタと、前記帯域合成フィル
タの出力信号を帯域分割する第二の帯域分割フィルタ
と、前記第二の帯域分割フィルタで帯域分割された各帯
域においてその帯域分割された信号を基に伝送路を推定
しかつ前記反射の信号の推定値を出力する逐次適応フィ
ルタとを備えている。
【0012】すなわち、本発明のサブバンド型適応中継
装置は、上述した課題を解決するために、ディジタル放
送用の信号を受信し、その信号を増幅して送出する中継
装置において、受信信号を帯域分割し、各帯域において
伝送路の推定とマルチパスや回り込み信号の推定とを行
う逐次適応フィルタを持つことを特徴としている。
【0013】本発明のサブバンド型適応中継装置では、
上記のように、逐次適応フィルタを持つ構成とすること
で、装置の構造が簡単でかつ小型化が容易であり、しか
も安定して動作することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による
ディジタル放送用中継装置の構成を示すブロック図であ
る。図1において、本発明の一実施例によるディジタル
放送用中継装置は受信アンテナ3と、キャンセル装置4
と、電力増幅器(AMP)5と、送信アンテナ6とから
構成されている。
【0015】親局1から送られた放送波は伝送路2を通
して中継装置の受信アンテナ3に届く。伝送路の途中の
反射はマルチパス(ゴースト)となる。受信アンテナ3
で受信した信号はキャンセル装置4に入力され,キャン
セル装置4でマルチパスや回り込み信号をキャンセル
し、電力増幅器5で増幅した後に送信アンテナ6から電
波として送信される。
【0016】送信アンテナ6からの信号は、さらなる中
継用又は家庭の受信アンテナ8へ送られる。また、送信
信号及び受信信号の周波数が等しい場合には、送信アン
テナ6から出力された信号の一部は回り込み伝送路7を
介して中継装置の受信アンテナ3に入り込み、不要なフ
ィードバックループができ、回り込み信号となる。
【0017】図2は図1のキャンセル装置4の構成を示
すブロック図である。図2において、キャンセル装置4
は入力端子41と、帯域分割フィルタ42と、加算器4
3−1〜43−kと、逐次適応フィルタ(AF)44−
1〜44−kと、帯域合成フィルタ45と、出力端子4
6とから構成されている。
【0018】帯域分割フィルタ42は入力端子41から
の信号をk個の帯域に分割する。帯域分割された信号は
加算器43−1〜43−kに入力される。加算器43−
1〜43−kは逐次適応フィルタ44−1〜44−kで
作られる推定値との差を求め、その差を出力する。ここ
で、マルチパスや回り込み信号が打ち消される。尚、加
算器43−1〜43−kの代わりに減算器等の演算器を
用いることも可能であり、これに限定されない。
【0019】加算器43−1〜43−kの出力は帯域合
成フィルタ45に入力され、全帯域の信号が合成され、
出力端子46を介して出力される。また、加算器43−
1〜43−kの出力は逐次適応フィルタ44−1〜44
−kに入力される。
【0020】逐次適応フィルタ44−1〜44−kはそ
れぞれの帯域に対応する回り込み伝送路(出力端子46
から電力増幅器5、送信アンテナ6、廻り込み伝送路
7、受信アンテナ3、入力端子41までの経路)の特性
及びマルチパス伝送路(伝送路2における反射)の特性
を推定し、親局1からの信号を予測する。
【0021】加算器43−1〜43−kで入力信号から
推定値を引くことによって、回り込み信号がキャンセル
され、親局1からの信号はキャンセル装置4をそのまま
通過し、送信アンテナ6から送信されることになり、中
継装置として機能する。
【0022】図3は図2の逐次適応フィルタ44−1〜
44−kの構成例を示すブロック図である。図3におい
て、逐次適応フィルタ44−1〜44−kは送信信号の
入力端子441と、誤差信号の入力端子442と、送信
信号蓄積部443と、制御部444と、係数蓄積部44
5と、予測値の出力端子446とから構成されている。
尚、図3においては、逐次適応フィルタ44−1〜44
−kを逐次適応フィルタ44と表現している。
【0023】この図3を用いて受信信号の推定値を求め
る逐次適応フィルタ44−1〜44−kの動作について
説明する。逐次適応フィルタ44−1〜44−kの動作
はすべて同じなので、以下、k番目の帯域を例にとって
説明する。
【0024】k番目の帯域の信号にはkの番号をつけ
る。例えば、k番目の帯域のサンプリング時刻jにおけ
る送信信号をSk(j) とおく。送信出力信号Sk(j) は
送信信号蓄積装置443に蓄積される。逐次適応フィル
タ44−kのフィルタ係数Hk(1) ,Hk(2) ,…,H
k(n) ,…,Hk(N) は、係数蓄積部445に蓄積され
ている。
【0025】制御部444は送信信号蓄積部443から
過去に入力された送信信号Sk(j-n) と、係数蓄積部4
45からフィルタ係数Hk(n) とを入力し、両者の積を
求める。制御部444は全てのn(1≦n<N)に対し
て求めた全ての積の総和を求め、推定値として出力端子
446から出力する。
【0026】同時に、制御部444はフィルタ係数の修
正を行う。修正の方法はn番目の係数Hk(n) に対して
は、加算器43−kの出力Sk(j) に送信信号蓄積部4
43に記憶してある信号Sk(j-n) を乗じ、それに正の
小さな値修正係数αをさらに乗じてフィルタ係数Hk
(n) に加えた後、係数蓄積部445に再度入力する。
【0027】上記の動作を繰返すことによって、係数蓄
積部445のフィルタ係数は正しい値に徐々に近づく。
また、フィルタ係数に1より僅かに小さい値を乗じる
か、あるいは0の値に近づくように加減算を行うことに
よって、過去の影響を徐々に消すことができる。つま
り、一旦、フィルタに乱れが生じても、その影響を消す
ことができる。
【0028】尚、各帯域でのサンプリング周波数は中継
装置の入力におけるサンプリング周波数よりも下げるこ
とができる。そのため、適応処理に必要な演算量を減ら
すことができる。つまり、帯域分割数がkで、元のサン
プリング周波数と各帯域におけるサンプリング周波数と
の比(間引き率)をDとすると、適応フィルタでの処理
量は、k/(D×D)となる。一例として、帯域分割数
を16、間引き率を8にすると、その処理量は、16/
8×8=1/4となる。したがって、帯域分割を導入す
ることによって、装置の小型化が可能になる。
【0029】伝送路2の反射の遅延時間から、一般には
タップ数として、100〜200程度にする必要がある
と思われるが、サブバンド型では、各帯域でのタップ数
は略1/Dにすればよい。
【0030】フィルタ係数の修正の具体例を示す。サン
プル時刻jにおいてk番目の帯域のn番目の係数Hk
(n) は、 Hk(n) ←Hk(n) +μ×Sk(j) ×Sk(j-n) というように修正される。ここで、μは小さな正の値で
あり、例えば、μ=0.01/P等の値が用いられる。
尚、PはSk(j-1) からSk(j-N) の二乗和を表す。こ
の式を用いると、信号電力にばらつきあるいは変動があ
っても、それに対応することができる。但し、このμの
最適値は実験的に求めることが多い。
【0031】図4は本発明の他の実施例によるキャンセ
ル装置の構成を示すブロック図である。図4において、
本発明の他の実施例によるキャンセル装置40は第二の
帯域分割フィルタ47を設け、各帯域の信号から一旦全
帯域の信号を合成した後に帯域を再度分割してキャンセ
ルを行うようにした以外は図2に示す本発明の一実施例
によるキャンセル装置4と同様の構成となっており、同
一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成
要素の動作は本発明の一実施例と同様である。
【0032】帯域分割フィルタ42は入力端子41から
の信号をk個の帯域に分割する。帯域分割された信号は
加算器43−1〜43−kに入力される。加算器43−
1〜43−kは逐次適応フィルタ44−1〜44−kで
作られる推定値との差を求め、その差を出力する。ここ
で、マルチパスや回り込み信号が打ち消される。尚、加
算器43−1〜43−kの代わりに減算器等の演算器を
用いることも可能であり、これに限定されない。
【0033】加算器43−1〜43−kの出力は帯域合
成フィルタ45に入力され、全帯域の信号が合成され、
出力端子46を介して出力される。また、帯域合成フィ
ルタ45の出力信号は第二の帯域分割フィルタ47によ
って、再度、k個の帯域に分割され、逐次適応フィルタ
44−1〜44−kに入力される。
【0034】逐次適応フィルタ44−1〜44−kはそ
れぞれの帯域に対応する伝送路(出力端子46から電力
増幅器5、送信アンテナ6、廻り込み伝送路7、受信ア
ンテナ3、入力端子41までの経路)の特性及びマルチ
パス伝送路(伝送路2における反射)の特性を推定し、
受信信号を予測する。
【0035】加算器43−1〜43−kが入力信号から
推定値を引くことによって、回り込み信号はキャンセル
され、親局1からの信号はそのままキャンセル装置4を
通過し、送信アンテナ6から送信されることになり、中
継装置として機能する。
【0036】以下、本発明について、その動作原理、さ
らに性能改善のための手法について具体的に説明する。
地上ディジタル放送のSFN中継システムの構成図は図
1の通りである。親局1からの受信信号にはマルチパス
反射及び伝送路雑音等が加わっている。
【0037】また、中継装置自体の出力からの回り込み
信号についても同様である。いずれの場合も、伝送路は
FIR(Finite Impulse Respon
se)フィルタで近似することができる。ここで、伝送
路2は親局1からのマルチパス伝送路を示す。その特性
を1+Mで表す。同様に、Fは回り込み伝送路7の特性
を表す。
【0038】親局信号をX、回り込み信号をY、中継装
置の出力信号をSと簡単に表記した場合、回り込みに対
処するための補正フィルタをTとすると、中継装置にお
いて各信号は、 (X(1+M)+SF)T=S というように関係付けられる。ここで、 T=1/(1−M−F) になると、中継装置の出力Sが親局信号Xと等しくな
る。
【0039】以上のような理由で、回り込み伝送路やマ
ルチパスをFIRで表現することができる場合には、図
2あるいは図4に示すように、適応フィルタをIIR
(Infinite Implse Respons
e)フィルタとして配置すると良いことが判る。これら
の図では帯域が分割されているが、帯域が一つであると
みなすと分かり易い。また、このフィルタは、理想的に
はマルチパス、回り込みの両方の特性を打ち消すことが
できる能力を持っている。尚、以上の説明で、親局信号
をXとしたが、図1及び図2においては、表記を容易に
するために、親局信号が伝送路2を経由して届いた信号
をX(j) と表現している。
【0040】キャンセル装置4,40はIIRフィルタ
で構成されているが、回り込み信号に対しては中継装置
の送信信号Sを入力としたFIRフィルタの係数を最適
化する(回り込み伝送路の特性Fに近づける)問題に帰
着する。そのため、理論的には回り込み量が多くても対
応することができる。とはいっても、フィルタHと加算
器とでループを描いている適応型IIRフィルタである
ため、回り込み量が多い場合には不安定になる要素が極
めて大きい。また、親局信号Xが雑音として作用するた
め、システム同定という観点からは収束性にきわめて強
い制限が生じる。さらに、マルチパスに対しては、キャ
ンセル装置4,40はマルチパスの含まれる伝送路の逆
特性として求めることになる。
【0041】中継装置においては親局信号Xと回り込み
信号Yとを分離することができないため、デシジョンフ
ィードバックを用いない回り込みキャンセルにおいては
親局信号Xそのものを推測することができない。つま
り、出力信号Sを親局信号Xに近づけるという規範は使
えない。したがって、その代わりとして、受信信号(X
+Y)と予測信号Zとの差Eの電力を最小にするように
フィルタの係数を修正する最小二乗法を用いる。そのた
め、親局信号Xが外乱として作用することになる。
【0042】また、OFDM信号は白色雑音ではなく、
帯域の制限された(その帯域の中では略フラットな周波
数特性となっているが)信号であり、信号の存在しない
帯域では特性を求めることができない。通常のシステム
同定問題ではあまり問題とならないこともあるが、回り
込みキャンセル装置のようにループを描き、あるいはそ
のループゲインが1以上になることもあると、帯域外で
一旦雑音が発生すると、成長を開始して動作不安定とな
る恐れがある。よって、従来の逐次適応型回り込みキャ
ンセラでは、ループの中に帯域外成分に対しては若干の
ロス(数dBでよい)を与えるための安定化フィルタを
挿入することによって収束特性を改善している。
【0043】これに対し、本発明においては、帯域分割
することによって、上記の不安定さをかなり改善するこ
とができ、従来、必要であった安定化フィルタが不要に
なる。本発明では安定化フィルタが無くても、回り込み
ループの利得が1以上ある場合でも、安定に収束させる
ことができる。また、本発明ではキャンセル特性も良く
なる。
【0044】逐次適応型フィルタにおいてはフィルタ係
数が正しくない方向へ修正されることが確率的にあり得
るが、あるいは上述したように入力信号が白色雑音では
ないこともあり、フィルタ係数が常に正しい方向へ動い
ているとは限らない。そのため、フィルタ係数にリーク
作用を加え、過去の影響を徐々に消すことは実際上有効
である。その方法として、係数の修正毎に係数に1より
ほんの僅か小さな値(0.999999等)を乗じる
か、またはある小さな正の定数を定め、フィルタ係数が
正であればこの定数を減じ、負であればこの定数を加算
する方法がある。いずれにしても過去の影響を徐々に消
すことによって、適応フィルタの安定性をより増すこと
ができる。
【0045】本発明によるサブバンド型においては、安
定度がかなり改善されるものの、OFDM信号の存在し
ない帯域、あるいは過渡帯域においては、依然として係
数が完全には求まらないという問題は残っている。尚、
帯域分割のためのフィルタが理想遮断特性ではないこ
と、また若干ながら雑音も存在するため、本来、OFD
M信号の無いはずの帯域は比較的安定に動作するといえ
る。
【0046】そのため、不安定さは主に境界付近の帯域
に残ることになる。この不安定さは各帯域の逐次適応フ
ィルタに略同じ係数が作られていることを用いて、特性
を改善することが可能である。つまり、実際のディジタ
ル放送に用いる周波数帯はGHzの領域にあり、1チャ
ンネル分の帯域、例えば6MHzの間ではインパルス応
答に殆ど変化は無いといえる。したがって、OFDM信
号の存在する帯域の逐次適応フィルタで作られた係数
を、境界付近の帯域の逐次適応フィルタの係数として用
いることによって、動作を安定化させることができる。
【0047】図5は分割された帯域間のフィルタ係数の
複写の例を示す図である。図5において、OFDM信号
は帯域0〜4にあり、帯域6,7には存在せず、帯域4
で作られた係数を帯域5,6に複写することを示してい
る。尚、ここでは、係数の複写を用いたが、複写ではな
く、その値に近づくようなリーク作用にしてもよい。
【0048】回り込みあるいはマルチパスの反射による
遅延時間が長い環境では、タップ数を大きくしなければ
ならない。この場合、二つの問題が発生する。一つ目の
問題は長遅延になると、信号の周波数特性に細かいリッ
プルを生じ、OFDM復調で用いられるSP(パイロッ
ト信号)による振幅補正がうまく動作しなくなることで
ある。もう一つの問題は適応フィルタが正しい係数に変
化している途中で長遅延に対応するタップの僅かの雑音
成分が周波数特性の細かいリップルになり、SPによる
振幅補正が効かない恐れが出ることである。但し、後者
の問題は係数が正しい値に近づくことによって、その影
響が小さくなる。
【0049】以上のことから、長遅延に対応するタップ
では係数の中の誤差ができるだけ小さくなるようにしな
ければならない。そのため、長遅延に対応するのタップ
においては、一度に行われる修正量が少なくなるように
設定することが有効である。サブバンド型は演算量を削
減することができるため、タップ数を増やすことが比較
的容易になる。
【0050】上述した本発明の一実施例及び他の実施例
の説明では、OFDM放送方式に基づく説明を中心に行
っているが、逐次適応フィルタを使う場合には、対象と
する信号に対して特に制限がないため、OFDM以外の
信号の場合でも帯域が制限されている場合には本発明を
有効に使用することができる。また、受信信号と送信信
号との周波数が異なるため、回り込み伝送路7がないシ
ステムの場合でもマルチパスの影響の打ち消しのために
有効である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ディジタ
ル放送用信号を受信し、その信号を増幅して送出する中
継方式において、電波の伝送路に回り込み及びマルチパ
スの反射のうちの少なくとも一方がある場合に受信信号
を帯域分割し、その分割した各帯域において伝送路特性
の推定と反射の信号のキャンセルとを逐次適応フィルタ
で行うことによって、装置の構造が簡単でかつ小型化が
容易であり、特性が良く、動作を安定させることができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるディジタル放送用中継
装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のキャンセル装置の構成を示すブロック図
である。
【図3】図2の逐次適応フィルタの構成例を示すブロッ
ク図である。
【図4】本発明の他の実施例によるキャンセル装置の構
成を示すブロック図である。
【図5】分割された帯域間のフィルタ係数の複写の例を
示す図である。
【符号の説明】
1 親局 2 伝送路 3 受信アンテナ 4,40 キャンセル装置 5 電力増幅器 6 送信アンテナ 7 回り込み伝送路 8 次段の中継局または受信装置の受信アンテナ 41 入力端子 42 帯域分割フィルタ 43−1〜43−k 加算器 44−1〜44−k 逐次適応フィルタ 45 帯域合成フィルタ 46 出力端子 47 第二の帯域分割フィルタ 441 送信信号の入力端子 442 誤差信号の入力端子 443 送信信号蓄積部 444 制御部 445 係数蓄積部 446 予測値の出力端子
フロントページの続き Fターム(参考) 5C056 FA05 GA11 HA01 HA04 5K022 DD01 DD11 DD21 DD39 5K046 AA05 BB03 EE43 EF26 5K072 AA02 AA19 BB14 BB25 CC31 DD16 DD17 EE13 GG14 GG27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディジタル放送用信号を受信し、その信
    号を増幅して送出するサブバンド型適応中継方式であっ
    て、電波の伝送路に回り込み及びマルチパスの反射のう
    ちの少なくとも一方がある場合に受信信号を帯域分割
    し、その分割した各帯域において伝送路特性の推定と前
    記反射の信号のキャンセルとを逐次適応フィルタで行う
    ことを特徴とするサブバンド型適応中継方式。
  2. 【請求項2】 信号通過帯域と信号の無い帯域との境界
    付近の帯域において、前記逐次適応フィルタの係数を通
    過帯域に設けられた逐次適応フィルタの係数を基に生成
    することを特徴とする請求項1記載のサブバンド型適応
    中継方式。
  3. 【請求項3】 前記逐次適応フィルタにおいて、長遅延
    に対応するフィルタ係数に対してその修正量を少なくす
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のサブ
    バンド型適応中継方式。
  4. 【請求項4】 ディジタル放送用信号を受信し、その信
    号を増幅して送出するサブバンド型適応中継装置であっ
    て、電波の伝送路に回り込み及びマルチパスの反射のう
    ちの少なくとも一方がある場合に受信信号を帯域分割す
    る帯域分割フィルタと、前記帯域分割フィルタで分割し
    た各帯域においてその帯域分割された信号と前記反射の
    信号の推定値との差を求める複数の演算手段と、前記複
    数の演算手段各々の出力を基に前記伝送路を推定しかつ
    前記反射の信号の推定値を出力する逐次適応フィルタ
    と、前記複数の演算手段各々の出力信号を合成して全帯
    域の信号を生成する帯域合成フィルタとを有することを
    特徴とするサブバンド型適応中継装置。
  5. 【請求項5】 地上ディジタル放送波を受信し、その信
    号を増幅して送出するサブバンド型適応中継装置であっ
    て、電波の伝送路に回り込み及びマルチパスの反射のう
    ちの少なくとも一方がある場合に受信信号を帯域分割す
    る第一の帯域分割フィルタと、前記第一の帯域分割フィ
    ルタで分割した各帯域においてその帯域分割された信号
    と前記反射の信号の推定値との差を求める複数の演算手
    段と、前記複数の演算手段各々の出力信号を合成して全
    帯域の信号を生成する帯域合成フィルタと、前記帯域合
    成フィルタの出力信号を帯域分割する第二の帯域分割フ
    ィルタと、前記第二の帯域分割フィルタで帯域分割され
    た各帯域においてその帯域分割された信号を基に伝送路
    を推定しかつ前記反射の信号の推定値を出力する逐次適
    応フィルタとを有することを特徴とするサブバンド型適
    応中継装置。
  6. 【請求項6】 信号通過帯域と信号の無い帯域との境界
    付近の帯域において、前記逐次適応フィルタの係数を通
    過帯域に設けられた逐次適応フィルタの係数を基に生成
    することを特徴とする請求項4または請求項5記載のサ
    ブバンド型適応中継装置。
  7. 【請求項7】 前記逐次適応フィルタにおいて、長遅延
    に対応するフィルタ係数に対してその修正量を少なくす
    ることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか記
    載のサブバンド型適応中継装置。
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