以下、本発明のアダプタの実施形態について図1〜図14を参照して説明する。
(実施形態1)
本実施形態のアダプタAは、図1及び図2に示すように、壁面等の施工面Xにおける床面Y近傍(図中にdで示す長さが約30cm)に設けられた埋め込みコンセント200と該コンセント200に接続可能なプラグ300との間に介装されるアダプタ部A1と、コード5によってアダプタ部A1に連結されて、アダプタ部A1内でのコンセント200とプラグ300との間の通電をオンオフするスイッチ部A2とを備えている。尚、以下の説明では、図2(a)の上方をアダプタAの上方とし、図2(a)の下方をアダプタAの下方とし、図2(a)の紙面手前方をアダプタAの前方とし、図2(a)の紙面奥方をアダプタAの後方とし、図2(a)の左右方向をアダプタAの幅方向とするが、これは説明の簡略化のためであって、アダプタの使用形態が上記の方向に限られることを意味するものではない。
アダプタ部A1は、図1(a)〜(c)に示すように、アダプタ本体1と、アダプタ本体1の後面から該後面の面方向に突出するとともに、前記後面の面方向に交差する(本実施形態では直交する)アダプタ本体1の幅方向(図1(a)における左右方向)において並行する一対の並行栓刃(以下、単に「栓刃」と称する)20,21と、アダプタ本体1の幅方向の両側面に設けられるとともに、一対の栓刃20,21と電気的に接続されるプラグ300用のコンセント部Cと、一対の栓刃20,21間に流れる電流値を検出し、該電流値が定格値を越えた際に検知信号を出力する過電流検知手段である過電流検知回路、及び検知信号を受け取った際に、電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせる報知手段である報知回路を有する回路ブロック4(図3参照)とを備えている。
最初に、アダプタ本体1に収納される部材について説明する。一対の栓刃20,21のうち一方の栓刃20は、導電性を有する金属板を打ち抜き加工することで形成されており、先部が基部よりも狭幅となった平板部20aと、平板部20aの下端面から延設された略L字状の端子部20bとを一体に備えている。また、他方の栓刃21は、導電性を有する金属板を打ち抜き加工した後に曲成することで形成されており、先部が基部よりも狭幅となった平板部21aと、平板部21aの下端面から延設された略L字状の端子部21bと、平板部21aの前端面からアダプタAの左方へ延設された取付部21cとを一体に備えている。
第1の端子板30は、導電性を有する金属板を打ち抜き加工した後に曲成することで形成されており、アダプタAの幅方向一端側(図5(a)における右端側)から挿入されるプラグの栓刃が接触接続される一対の刃受ばね30a,30aと、アダプタAの幅方向他端側(図5(a)における左端側)から挿入されるプラグの栓刃が接触接続される一対の刃受ばね30b,30bと、これら一対の刃受ばね間を連結する連結片30cと、連結片30cから後方に延設された端子片30dとを一体に備えている。
第2の端子板31は、導電性を有する金属板を打ち抜き加工した後に曲成することで形成されており、アダプタAの幅方向一端側(図5(a)における右端側)から挿入されるプラグの栓刃が接触接続される一対の刃受ばね31a,31aと、アダプタAの幅方向他端側(図5(a)における左端側)から挿入されるプラグの栓刃が接触接続される一対の刃受ばね31b,31bと、これら一対の刃受ばね間を連結する連結片31cとを一体に備えている。そして、この第2の端子板31の連結片31cにおける一対の刃受ばね31a,31a側の後面部には、栓刃21の取付部21cがかしめ固定や半田付けによって固定されて、図3に示すように、栓刃21と第2の端子板31とが電気的且つ機械的に接続される。
回路ブロック4は、所定の配線パターンが形成されたプリント基板40A,40Bと、プリント基板40Aに実装されたカレントトランス41を含む電子部品群から構成された過電流検知回路と、プリント基板40Bに実装された表示素子である発光ダイオード42、及びプリント基板40Aに実装された発音素子であるブザー43、並びに図示しない電子部品から構成された報知回路と、回路ブロック4上で直列に接続されて過電流検知回路に検出用の電流を引き込むための分流線を構成する接続線L1,L2と、動作電源を得るための接続線L3と、プリント基板40Aとプリント基板40Bとを電気的に接続する接続線47,48とを備えている。
プリント基板40Aは、図5(a)に示すように、アダプタAの幅方向を長手方向とする略矩形板状のものであって、その幅方向一端側(図5(a)における右端側)の縁部にプリント基板40A固定用の切欠部40aが形成されており、また幅方向他端側(図5(b)における左端側)には、プリント基板40Aをアダプタ本体1に取り付けるための取付ねじS1用のねじ挿通孔40bが貫設されている。そして、このプリント基板40Aには、過電流検知回路を構成するカレントトランス41を含む電子部品群と、報知回路の発光ダイオード42を除く電子部品群とが実装される。
プリント基板40Bは、略正方形状のものであって、接続線47,48によってプリント基板40Aの報知回路を構成する回路部と電気的に接続されるとともに、発光ダイオード42が実装されており、発光ダイオード42のアノード端子42aとカソード端子42bとは、上記接続線47,48に各別に接続されている。
過電流検知回路は、接続線L2が貫挿されるカレントトランス41を含む電子部品群をプリント基板40Aに実装してなり、例えば、接続線L1,L2に流れる電流の大きさをカレントトランス41により検出することによって、一対の栓刃20,21間に流れる電流値を検出する電流検出回路や、電流検出回路の出力と所定の閾値とを比較し、出力が閾値を越えた際に、電流値が所定の定格値(例えば15A)を越えたことを示す検知信号を出力する比較回路等を備えている。尚、このような電流検出回路や比較回路等の回路構成は、従来から周知のものを用いることが可能であるから、本実施形態では詳細な説明は省略する。また尚、過電流検知回路としては、カレントトランス41を用いるものに限られるものではなく、状況に応じて適宜変更してもよい。
報知回路は、プリント基板40Bに実装された発光ダイオード42と、プリント基板40Aに実装されたブザー43と、プリント基板40Aに実装された電子部品(図示せず)からなる制御回路等とで構成され、検知信号を受け取った際に、制御回路の指示によって発光ダイオード42及びブザー43に動作電源を供給し、発光ダイオード42を発光させるとともに、ブザー43から警報音を出力させることにより電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせるようになっている。尚、制御回路等の回路構成については、従来から周知のものを用いることが可能であるから、本実施形態では詳細な説明は省略する。
ここにおいて、発光ダイオード42は、砲弾型の発光ダイオードであって、その光色としては、使用者の注意を引きやすい赤色のものを用いているが、赤色に限らず、橙色や黄色等、その他の光色のものであってもよい。
ブザー43は、例えば圧電型のものであって、厚み方向に分極された略円形状の圧電セラミックス薄板(圧電素子)43aと、略円形状の薄い金属板43bとを貼り合わせて構成され、圧電セラミックス薄板43aに接続線43cが接続されるとともに、金属板43bに接続線43dが接続されている。そして、ブザー43は、接続線43c,43dを用いてプリント基板40Aに実装されており、報知回路の制御回路によって、接続線43c,43d間に電圧が印加されることで、所定の警報音を出力する。尚、本実施形態では、発音素子として圧電型のブザー5を用いているが、この他の動作方式のブザー(例えば電磁ブザー等)を用いてもよく、また、音声によって警告を行うためにスピーカ等を用いてもよく、電気音響変換器であれば目的を達成できる。
ところで、この回路ブロック4のプリント基板40A,40Bは、図6(a),(b)に示すように、一のプリント基板40から分断されたものであって、プリント基板40において過電流検知回路の電子部品群と報知回路の発光ダイオード42を除く電子部品群とが実装された部位をプリント基板40Aとして用い、プリント基板40において発光ダイオード42が実装された部位をプリント基板40Bとして用いている。すなわち、プリント基板40に必要な部品を実装してから、プリント基板40を分断して各部品が実装されたプリント基板40Aとプリント基板40Bとを得るようにしているから、別々のプリント基板に、過電流検知回路を構成する電子部品等と発光ダイオードとを別個に実装する場合に比べて作業効率を向上できる。
一方、プリント基板40の分断を行う際には、例えば図6(c),(d)に示すように、予め分断する部分を示す分断線46を設けておき、各電子部品等の実装後にニッパー等を用いて分断する方法が考えられるが、このようなニッパーを用いての分断は非常に手間がかかる上に分断面が歪になりやすく、また分断時に誤って接続線47,48をニッパーで切断してしまうおそれがあった。
そのため、本実施形態のプリント基板40では、図6(a)に示すように、予め分断用のスリット44を設けて連結片45のみでプリント基板40A,40B間を連結するようにしてあり、連結片45を手等で折ることで容易にプリント基板40A,40Bの分断が行えるようにしている。また、連結片45は、分断し易いように他の部位よりも薄肉に形成してあり、さらに、孔部45a,45aを連結片45に貫設することによっても、分断を容易に行えるようにしている。
コード5は、アダプタ部A1とスイッチ部A2とを連結するために用いられ、一対の芯線5a,5bを備えている。そして、このコード5は、芯線5a,5bの一端側を栓刃20及び第1の端子板30にそれぞれ電気的に接続した状態で、芯線5a,5bの他端側がアダプタ本体1から外方へ引き出されて、スイッチ部A2のスイッチ装置8に接続される。
ブッシング6は、コード5の外周を覆って内部の芯線5a,5bの屈曲による断線を防止するためのもので、コード5を囲繞する筒部60と、筒部60の一端側に設けられたブッシング固定用の鍔部61とを一体に備えたゴム等の樹脂成形品からなる。
次に、これらの部材を収納するアダプタ本体1について説明する。アダプタ本体1は、図3に示すように、後面が開口した箱状のアダプタボディ10と、アダプタボディ10の後面開口を覆うアダプタカバー16とで構成されており、これらアダプタボディ10とアダプタカバー16は、ともに合成樹脂製のものであり、その幅寸法t1は、図1(a),(b)に示すように、埋め込みコンセント200等の連用形配線器具に用いられる一連用プレート201における幅寸法t2(一般的には70mm)と同じ大きさとしている。
アダプタボディ10は、上述したように後面が開口した箱状に形成されており、その内部は、図5(a)に示すように、上側の幅方向中央部の表示素子収納部11と、表示素子収納部11より下方の端子収納部12と、端子収納部12より下方の回路収納部13とに仕切られている。
ここにおいて、表示素子収納部11は、発光ダイオード42をプリント基板40Bとともに収納するための空間部であり、表示素子収納部11における幅方向の両内壁部11a,11aには、幅方向において対向する部位にプリント基板40Bの縁部が嵌入される溝部11b,11bが形成されている。また、アダプタボディ10において表示素子収納部11に対応する部位には、表示素子収納部11内に収納した発光ダイオード42の光をアダプタ部A1外方へ出射させる窓孔11cが形成されており、この窓孔11cは、アダプタボディ10の前面側及び上面側(つまりはアダプタ本体1の前面側及び上面側)の両側に開口した形状となっている。このようなアダプタボディ10の窓孔11cには、図1(a),(b)に示すように、ランプカバー15が取り付けられており、このランプカバー15は、例えば、透光性の樹脂を用いた樹脂成形品であって、窓孔11cの全面を覆うカバー部15aと、カバー部15aの後端面から後方へ突設された一対の取付爪15b,15bとを一体に備え、取付爪15b,15bを窓孔11cからアダプタボディ10内に差し入れて、表示素子収納部11の両内壁部11a,11aの後端面にそれぞれ引掛けることで、アダプタボディ10に固定される。また、取付爪15b,15bは、その上端面がプリント基板40Bに当接されており、これによりランプカバー15がアダプタボディ10の上側に移動しないように位置決めされる。
端子収納部12は、栓刃20、21、及び端子板30,31を収納するための空間部であり、隔壁12eによってアダプタボディ10の上下方向に2分されて、下側が第1の端子板30を収納する第1収納部12Aとして用いられ、上側が各栓刃20,21及び第2の端子板31を収納する第2収納部12Bとして用いられる。また、第1収納部12Aにおける長手方向両側壁部(アダプタボディ10の幅方向における両側壁部)には、アダプタボディ10の内外を連通する開口部12a,12bが形成されている。同様に、第2収納部12Bにおける長手方向両側壁部(アダプタボディ10の幅方向における両側壁部)には、アダプタボディ10の内外を連通する開口部12c,12dが形成されており、さらに、第2収納部12Bにおける短手方向(図5(a)における上下方向)の側壁部には、栓刃20を固定するための溝部12f,12gと、栓刃21を固定するための溝部12h,12iとがそれぞれ形成されている。
回路収納部13は、主に回路ブロック4を収納するための空間部であり、幅方向の一端側(図5(a)における右端側)には、回路ブロック4固定用のリブ13aが設けられ、幅方向の他端側(図5(a)における左端側)には、回路ブロック4取付用の取付ねじS1が螺着されるねじ孔13bを備えた円筒状のボス部13cが設けられている。また、回路収納部13の底壁部にあたるアダプタボディ10の前壁部には、ブザー43が嵌入される略円筒形状のリブ13dが設けられるとともに、アダプタボディ10の前壁部におけるリブ13dで囲まれた部位にはブザー43により出力される音をアダプタ本体1から外部へ伝搬するための孔等を備えたスピーカ部13eが設けられている。さらに、この回路収納部13における下壁部(アダプタボディ10の下壁部)の幅方向中央部には、スイッチ部A2のスイッチ装置8との接続に用いられるコード5引出し用の開口13fが形成されており、回路収納部13における開口13fの近傍には、コード5に被せるブッシング6の鍔部61が嵌入される溝部13gと、コード5の張力止め用のリブ13h,13iが設けられている。
尚、アダプタボディ10の前壁部における後面の四隅部には、アダプタカバー16をアダプタボディ10に結合するための組立ねじS2が螺着されるねじ孔14aを備えた円筒状のボス部14が一体に突設されている。
アダプタカバー16は、図3に示すように、前面が開口した箱状に形成されており、その幅方向における一方の側壁部には、アダプタボディ10の開口部12a,12cとそれぞれ連通してプラグの栓刃が挿入される一対の栓刃挿入孔17a,17bを構成する開口部16a,16cが形成されている。同様に、アダプタカバー16の幅方向における他方の側壁部には、図1(c)に示すように、アダプタボディ10の開口部12b,12dとそれぞれ連通してプラグの栓刃が挿入される一対の栓刃挿入孔18a,18bを構成する開口部16b,16dが形成されている。
また、アダプタカバー16の下壁部における幅方向中央部には、アダプタボディ10の開口13fとともに、コード5の引出しに用いられる開口16eが形成されている。尚、図3中には示されていないが、アダプタカバー16においても、アダプタボディ10と同様にブッシング6の鍔部61が嵌入される溝部が設けられている。
一方、アダプタカバー16の底壁部(アダプタ本体1の後壁部)には、アダプタボディ10に固定された栓刃20及び栓刃21をそれぞれ外方へ突出するための略矩形状の挿通孔16f,16gが形成されている。さらに、前記底壁部の四隅部において、アダプタボディ10のねじ孔14aに対応する部位には、アダプタカバー16をアダプタボディ10に結合するための組立ねじS2が挿通されるねじ挿通孔16hが設けられており、アダプタカバー16をアダプタボディ10に被せた際には、各ねじ挿通孔16hとねじ孔14aとがそれぞれ連通するようにしている。
アダプタ部A1は、上記の部材から構成されており、以下にアダプタ部A1の組み立て方法について簡単に説明する。
まず、栓刃20,21と端子板30,31とをアダプタボディ10の端子収納部12に収納するのであるが、この作業は、次のようにして行われる。すなわち、図5(a)に示すように、第1の端子板30を、端子収納部12の第1収納部12Aに、一方の刃受ばね30a,30aを開口部12aから、他方の刃受ばね30b,30bを開口部12bから外部に臨ませた状態で収納するとともに、上述したように栓刃21が固定された第2の端子板31を、端子収納部12の第2収納部12Bに、一方の刃受ばね31a,31aを開口部12cから、他方の刃受ばね31b,31bを開口部12dから外部に臨ませ、且つ、栓刃21の平板部21aの基部を溝部12h,12iに嵌入した状態で収納する。この後に、栓刃20の平板部20aの基部を第2収納部12Bの溝部12f,12gに嵌入することで、栓刃20をアダプタボディ10に固定する。このとき、栓刃20と第2の端子板31とが接触導通しないようにしてあり、栓刃20の平板部20aにおいて第2の端子板31と対向する部位には、図3に示すように、絶縁距離確保用の切欠20cが形成されている。
次に、回路ブロック4のブザー43を回路収納部13のリブ13dに嵌入することで、ブザー43をアダプタボディ10に固定し、回路ブロック4のプリント基板40Bを表示素子収納部11の溝部11b、11b間に嵌入することで、プリント基板40Bをアダプタボディ10に固定する。このとき、発光ダイオード42の光軸をアダプタ本体1の前方に対してやや上方に向けた状態で、発光ダイオード42を、ランプカバー15が取り付けられた窓孔11cからアダプタ本体1の外方へ臨ませる。また、コード5の芯線5aの一端側を栓刃20の端子部20bに、芯線5bの一端側を第1の端子板30の端子片30dにそれぞれ絡げて半田付け等により接続するとともに、コード5の芯線5a,5bの他端側を張力止め用のリブ13h,13i間の隙間を通してアダプタボディ10の開口13fから外部へ引き出し、且つコード5に被せておいたブッシング6の鍔部61を溝部13gに嵌入する。
この後に、回路ブロック4のプリント基板40Aを、プリント基板40Aの切欠部40aとリブ13aとを凹凸嵌合させるとともに、プリント基板40Aのねじ挿通孔40bを介して組立ねじS1をボス部13cのねじ孔13bに螺着することで、アダプタボディ10に固定する。そして、回路ブロック4の接続線L1を芯線5bの分岐用部位R(図5(a)参照)に、カレントトランス41を貫挿させた接続線L2を第1の端子板30の端子片30dに、接続線L3を栓刃21の端子部21bに、それぞれ半田付け等により接続する。
最後に、アダプタボディ10とアダプタカバー16とを結合するのであるが、この作業は、アダプタボディ10に固定した栓刃20,21をアダプタカバー16の挿通孔16f,16gからそれぞれ後方へ突出させるとともに、コード5をアダプタカバー16の開口16eからアダプタ本体1の外方へ引き出し、且つブッシング6の鍔部61をアダプタカバー16に設けた溝部(図示せず)に嵌入させた状態で、アダプタカバー16をアダプタボディ10に被せ、アダプタカバー16のねじ挿通孔16hを介して組立ねじS2をアダプタボディ10のボス部14のねじ孔14aにそれぞれ螺着することで行われる。
これにより、図1(a)〜(c)に示すようなアダプタ部A1が完成し、このアダプタ部A1では、アダプタボディ10の開口部12a,12cとアダプタカバー16の開口部16a,16cとからなる一対の栓刃挿入孔17a,17bと、各栓刃挿入孔17a,17bに対応して配置された各一対の刃受ばね30a,30a及び刃受ばね31a,31aとによって、プラグ300が接続されるコンセント部Cが構成され、同様に、アダプタボディ10の開口部12b,12dとアダプタカバー16の開口部16b,16dとからなる一対の栓刃挿入孔18a,18bと、各栓刃挿入孔18a,18bに対応して配置された各一対の刃受ばね30b,30b及び刃受ばね31b,31bとによって、プラグ300が接続されるコンセント部Cが構成されている。つまり、このアダプタ部A1は、後面にコンセント200に接続する一対の栓刃20,21を備えるとともに、幅方向における両側面に、プラグ300が接続されるコンセント部Cをそれぞれ備えているのである。
一方、スイッチ部A2は、図2(a),(b)に示すように、スイッチ装置8の操作によって、アダプタ部A1の一対の栓刃20,21とコンセント部Cとの間の通電をオンオフするためのものであり、アダプタ本体1とは別体のスイッチ本体7と、スイッチ本体7に収納されて、アダプタ部A1における一対の栓刃20,21からコンセント部C,Cへの通電をオンオフするスイッチ装置8とを備えている。
ここにおいて、スイッチ装置8は、波動スイッチ(シーソースイッチともいう)であって、コード5の芯線5a,5bの他端側がそれぞれかしめ固定される一対の端子部8a,8bと、これら端子部8a,8b間の通電をオンオフする接点機構(図示せず)と、接点機構を操作するための操作つまみ8cと、これらが収納される本体部8dとを備えている。
スイッチ本体7は、図4に示すように、前面が開口した長尺箱状のスイッチボディ70と、スイッチボディ70の前面開口を覆うスイッチカバー71とで構成されており、これらスイッチボディ70とスイッチカバー71は、ともに合成樹脂製のものである。
スイッチボディ70は、上述したように前面が開口した長尺箱状に形成されており、その長手方向一端側(図5(b)における下端側)の側壁部の幅方向中央部には、コード5引出し用の開口70aが形成されており、開口70aの近傍には、コード5に被せるブッシング6の鍔部61が嵌入される溝部70bと、コード5の張力止め用のリブ70cが設けられている。また、スイッチボディ70の底壁部における長手方向一端側(図5(b)における下端側)には、スイッチボディ70とスイッチカバー71とを結合するための組立ねじS3が挿通されるねじ挿通孔70dを有する円筒状のボス部70eが一体に突設されており、また、上記底壁部における長手方向他端側(図5(b)における上端側)には、スイッチ部A2を壁面等の施工面に設けたフックやねじ等に引掛けるためのだるま孔70fが貫設されている。
スイッチカバー71は、図4に示すように、後面が開口した長尺箱状に形成されており、その長手方向一端側の側壁部には、スイッチボディ70の開口70aとともに、コード5の引出しに用いられる開口71aが形成されている。また、図4中には示されていないが、スイッチカバー71には、スイッチボディ70と同様にブッシング6の鍔部61が嵌入される溝部と、コード5の張力止め用のリブとが設けられている。さらに、スイッチボディ70のねじ挿通孔70dに対応するスイッチカバー71の部位には、ねじ挿通孔70dを挿通した組立ねじS3が螺着されるねじ孔(図示せず)が設けられている。
一方、スイッチカバー71の前面には、図4に示すように、凹部71bが設けられており、この凹部71bの底面には、スイッチ装置8の操作つまみ8cを外方へ突出させる開口部71cが形成されている。ここで、図2(b)に示すように、凹部71bの深さ寸法t3(つまり、スイッチカバー71の前面と凹部71bの底面との間の長さ寸法)は、開口部71cから操作つまみ8cを突出させた際に、操作つまみ8cがスイッチカバー71の前面よりも面方向に突出しないような大きさに設定されている。さらに、この凹部71bは、スイッチカバー71の幅方向における両側壁部が開口した形状に形成されている。
スイッチ部A2は、上記の部材から構成されており、以下にスイッチ部A2の組み立て方法について簡単に説明する。
まず、スイッチ装置8をスイッチボディ70に収納するのであるが、このときスイッチ装置8の操作つまみ8cの揺動軸方向をスイッチボディ70の長手方向に沿わせた状態とすることで、スイッチ本体7の幅方向が操作つまみ8cの揺動軸方向に交差する方向となるようにしておく。この後に、コード5の芯線5aの他端側をスイッチ装置8の端子部8aに、芯線5bの他端側を端子部8bにそれぞれかしめ固定するとともに、コード5の芯線5a,5bの一端側をスイッチボディ70の開口70aから外部へ引き出し、且つコード5に被せておいたブッシング6の鍔部61を溝部70bに嵌入する。
この後に、スイッチボディ70とスイッチカバー71とを結合するのであるが、この作業は、スイッチボディ70に収納したスイッチ装置8の操作つまみ8cをスイッチカバー71の開口部71cから外方へ突出させるとともに、コード5をスイッチカバー71の開口71aからスイッチ本体7の外方へ引き出し、且つブッシング6の鍔部61をスイッチカバー71に設けた溝部(図示せず)に嵌入させた状態で、スイッチカバー71をスイッチボディ70に被せ、スイッチボディ70のねじ挿通孔70dを介して組立ねじS3をスイッチカバー71のねじ孔(図示せず)にそれぞれ螺着することで行われ、これにより、図2(a),(b)に示すようなスイッチ部A2が完成する。尚、このスイッチ部A2では、スイッチボディ70の張力止め用のリブ70cと、スイッチカバーの張力止め用のリブとによって、コード5の芯線5a,5bがそれぞれ狭持され、これによりコード5の張力止めがなされている。
以上説明したように、本実施形態のアダプタAは、上述したアダプタ部A1と、スイッチ部A2とを備えており、アダプタ部A1は、図1(a)〜(c)に示すような埋め込みコンセント200に一対の栓刃20,21を用いて接続されるとともに、コンセント部Cにプラグ300が接続された状態で使用される。また、スイッチ部A2は、壁面等の施工面Xに取り付けられた状態で使用される。
そして、この状態では、コンセント200、栓刃20、コード5の芯線5a、スイッチ装置8の端子部8a、スイッチ装置8の接点機構、スイッチ装置8の端子部8b、コード5の芯線5b、第1の端子板30、プラグ300、第2の端子板31、栓刃21、コンセント200の経路が構成されているので、スイッチ装置8の操作つまみ8cを操作することによって、コード5の芯線5a,5b間の通電、すなわち、アダプタ部A1における栓刃20と、第1の端子板30との間の通電がオンオフされることになり、これによりコンセント200からプラグ300へ電力供給のオンオフを行うことができるようになっている。
ここにおいて、スイッチ装置8をオンとしているときに、栓刃20,21間に流れる電流値が定格値以下である場合には、過電流検知回路は検知信号を出力しないが、前記電流値が定格値を越えた場合には、過電流検知回路が、前記電流値が定格値を越えたことを検知して、過電流検知回路から検知信号が出力される。この検知信号は、報知回路に入力され、報知回路は、検知信号を受け取ると、発光ダイオード42及びブザー43に動作電源を供給し、これにより発光ダイオード42が発光して、電流値が定格値を越えたことを使用者に視覚的に報知するとともに、ブザー43が所定の警報音を出力して、電流値が定格値を越えたことを使用者に聴覚的にも報知するのである。このように視覚及び聴覚の2通りの報知を行うことで、使用者に異常が生じていることを気づかせ易くしている。
しかも、このように電流値が定格値を越えたことが報知された際には、使用者は、アダプタ部A1をコンセント200から外さなくても、スイッチ部A2のスイッチ装置8を操作することによって、コンセント200とプラグ300との間の通電をオンオフすることができるから、異常時に素早い対応が可能になる。
以上述べたように本実施形態のアダプタAによれば、一対の栓刃20,21間に流れる電流値を検出し、該電流値が定格値を越えた際に検知信号を出力する過電流検知回路と、検知信号を受け取った際に、発光ダイオード42の発光と、ブザー43の発音とによって視覚的及び聴覚的に、電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせる報知回路とを備えるから、ブレーカがトリップ動作する前に、アダプタAに流れる電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせることができ、これにより、コンセント等の配線器具や、アダプタ自身、さらには負荷として接続される機器等に異常発熱が生じたりすることを早期に防止できて、これら配線器具等を安全に使用することができる。
また、このアダプタAでは、図1(a)に示すように、コンセント200に接続されるアダプタ部A1のアダプタ本体1の幅寸法t1を、連用形配線器具に用いられる一連用プレート201における幅寸法t2と略等しくしているから、図7(a),(b)に示す比較例のようにアダプタ本体1の幅寸法t1を幅寸法t2よりも小さくしている場合とは異なり、アダプタ部A1にプラグ300を接続する際に一連用プレート201にプラグ300の栓刃が当たって一連用プレート201に傷が入ったり、一連用プレート201が邪魔になってプラグ300をアダプタ部A1に正しく接続できなくなったり、プラグ300をアダプタ部A1に接続した際にアダプタ部A1がコンセント200から外れてしまう等のプラグの接続時の不具合を防止できる。
さらに、図1(c)に示すように、アダプタ本体1の幅方向の側面において、一対の栓刃20,21に近接する位置にコンセント部Cを設けているから、コンセント部Cにプラグ300を接続する際等に一対の栓刃20,21にかかるモーメント(主に一対の栓刃20,21の突出方向を回転軸方向とするモーメント)を低減できて、栓刃20,21の変形や、アダプタ本体1等の破損を防止することができる。尚、コンセント部Cを設ける位置としては、コンセント部Cの一対の栓刃挿入孔18a,18b間の中間部位を通るセンターラインCL1(図1(c)参照)と、栓刃20,21の幅方向(図1(c)における上下方向)における中間部位を通るセンターラインCL2(図1(c)参照)とが一致する位置が、一対の栓刃20,21の突出方向を回転軸方向とするモーメントを最も低減できるため好ましい。
加えて、アダプタ本体1では、上述したように、表示素子である発光ダイオード42の光をアダプタ本体1の外方に出射する窓孔11cが、アダプタ本体1の前面側及び上面側の両側に開口した形状となっているから、図8(a),(b)に示す比較例のように窓孔11cの形状をアダプタ本体1の前面にのみ開口するような円形状のものとしている場合とは異なり、アダプタ本体1から上方に向かう発光ダイオード42の光の量が増え、図1(c)に示すように、施工面Xにおける床面Y近傍に設けられた埋め込みコンセント200にアダプタ部A1を接続した状態でも、発光ダイオード42の光が見易くなり、これにより使用者への報知を確実に行える。
一方、本実施形態のアダプタAは、波動スイッチからなるスイッチ装置8の操作つまみ8cを、アダプタ本体1とは別体のスイッチ本体7に設けているから、アダプタ部A1のアダプタ本体1が図1(c)に示すように、施工面Xにおける床面Y近傍に設置されていても、スイッチ部A2のスイッチ本体7を、施工面Xにおいて操作しやすい高さ位置に設置することが可能になり、これによりアダプタ本体1にスイッチ装置8の操作つまみ8cを設ける場合に比べて、かがみこんだりしなくてもスイッチ装置8の操作を行えるから、スイッチ装置8の操作がし易くなる。
また、スイッチ装置8の操作つまみ8cを、スイッチ本体7の前面から面方向に突出しないように凹設された凹部71bの底面に設けているから、使用者の身体等が操作つまみ8cに当たって、予期せずにスイッチ装置8の操作が行われてしまうことを防止できる。しかも、凹部71bは、図2(a),(b)に示すように、操作つまみ8cの揺動軸方向に交差する方向(本実施形態ではスイッチ本体7の幅方向)における両側壁部が開口しているから、図9(a),(b)及び図10(b)に示す比較例のように凹部71bに幅方向における両側壁部71d,71dがある場合とは異なり、操作つまみ8cを指Fで操作する際に、図10(a)に示すように、両側壁部が邪魔になることがなくなって、操作つまみ8cの操作性を向上できる。
尚、アダプタ部A1のアダプタ本体1の幅寸法t1は、一連用プレート201の幅寸法t2と等しい大きさに限られるものではなく、t2以上の大きさであれば、上述した効果を得ることができるが、t1をt2と等しい大きさとするほうが、アダプタ部A1をコンパクトにできるため好ましい。
また尚、本実施形態のアダプタ部A1は、幅方向における両側面にコンセント部Cを備えるものであるから、アダプタ本体1の幅寸法t1を一連用プレート201の幅寸法t2と等しくしているが、アダプタ本体1に幅方向における一方の側面にのみコンセント部Cを設けたものであってもよく、この場合は、アダプタ本体1における一対の栓刃20,21間の中間位置からコンセント部Cが設けられた側面までの間の長さ寸法を、一連用プレート201における幅寸法の半分以上の大きさとすれば、同様に、プラグの接続時の不具合を防止できる。さらにアダプタ部A1に設けるコンセント部Cの数としては、上記の例のように幅方向の側面に1つずつの計2つに限られるものではなく、幅方向の側面に2つずつ計4つ設けるようにしてもよく、適宜変更すればよい。
(実施形態2)
本実施形態のアダプタBは、上記実施形態1のアダプタAとは異なり、アダプタ部とスイッチ部とを一体としていることに特徴がある。尚、上記実施形態1のアダプタAと同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また尚、以下の説明では、図11(a)の上方をアダプタBの上方とし、図11(a)の下方をアダプタBの下方とし、図11(a)の紙面手前方をアダプタBの前方とし、図11(a)の紙面奥方をアダプタBの後方とし、図11(a)の左右方向をアダプタBの幅方向とするが、これは説明の簡略化のためであって、アダプタBの使用形態が上記の方向に限られることを意味するものではない。
アダプタBは、図11(a)〜(c)に示すように、壁面等の施工面Xにおける床面Y近傍(図中にdで示す長さが約30cm)に設けられた埋め込みコンセント200と該コンセント200に接続可能なプラグ300との間に介装されるものであって、アダプタ本体100と、アダプタ本体100の後面から該後面の面方向に突出するとともに、前記後面の面方向に交差する(本実施形態では直交する)アダプタ本体100の幅方向(図11(a)における左右方向)において並行する一対の栓刃20,21と、アダプタ本体100の幅方向の両側面に設けられるとともに、一対の栓刃20,21と電気的に接続されるプラグ300用のコンセント部Cと、一対の栓刃20,21間に流れる電流値を検出し、該電流値が定格値を越えた際に検知信号を出力する過電流検知手段となる過電流検知回路、及び検知信号を受け取った際に、電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせる報知手段となる報知回路を有する回路ブロック4と、一対の栓刃20,21からコンセント部Cへの通電をオンオフするスイッチ装置80とを備えている。
最初に、アダプタ本体100に収納される部材について説明する。尚、アダプタ本体100には、図12に示すように、一対の栓刃20,21と、第1の端子板30と、第2の端子板31と、回路ブロック4と、スイッチ装置80とが収納されるのであるが、一対の栓刃20,21と、第1の端子板30と、第2の端子板31と、回路ブロック4とについては、上記実施形態1で述べたものと同様のものであるから説明を省略し、スイッチ装置80についてのみ説明する。
スイッチ装置80は、図12に示すように、波動スイッチ(シーソースイッチともいう)であって、電気的に接続された一対の端子部81a,81bと、図示しない接点機構により通電がオンオフされる一対の端子部82a,82bと、前記接点機構を操作するための操作つまみ83と、これらが収納される本体部84とを備えている。ここにおいて、スイッチ装置80の端子部81aは接続線90を用いて栓刃21に接続され、端子部82aは接続線91を用いて栓刃20に接続され、端子部82bは接続線92を用いて第1の端子板30に接続されている。
次に、これらの部材を収納するアダプタ本体100について説明する。アダプタ本体100は、図12に示すように、後面が開口した箱状のアダプタボディ110と、アダプタボディ110の後面開口を覆うアダプタカバー117とで構成されており、これらアダプタボディ110とアダプタカバー117は、ともに合成樹脂製のものであり、その幅寸法t4は、図11(a)に示すように、埋め込みコンセント200等の連用形配線器具に用いられる一連用プレート201における幅寸法t2(一般的には70mm)と同じ大きさとしている。
アダプタボディ110は、上述したように後面が開口した箱状に形成されており、その内部は、図13に示すように、上側の幅方向中央部の表示素子収納部111と、表示素子収納部111より下方の端子収納部112と、端子収納部112より下方のスイッチ収納部113と、スイッチ収納部113より下方の回路収納部114とに仕切られている。
ここにおいて、表示素子収納部111は、発光ダイオード42をプリント基板40Bとともに収納するための空間部であり、表示素子収納部111における幅方向の両内壁部111a,111aには、幅方向において対向する部位にプリント基板40Bの縁部が嵌入される溝部111b,111bが形成されており、また、アダプタボディ110において表示素子収納部111に対応する部位には、表示素子収納部111内に収納した発光ダイオード42の光をアダプタ本体100から外方へ出射させる窓孔111cが形成されており、この窓孔111cは、アダプタボディ110の前面側及び上面側(つまりはアダプタ本体100の前面側及び上面側)の両側に開口した形状となっている。
このようなアダプタボディ110の窓孔111cには、図11(a),(b)に示すように、ランプカバー115が取り付けられており、このランプカバー115は、例えば、透光性の樹脂を用いた樹脂成形品であって、窓孔111cの全面を覆うカバー部115aと、カバー部115aの後端面から後方へ突設された一対の取付爪115b,115bとを一体に備え、取付爪115b,115bを窓孔111cからアダプタボディ110内に差し入れて、表示素子収納部111の底面にそれぞれ引掛けることで、アダプタボディ110に固定される。
端子収納部112は、栓刃20、21、及び端子板30,31を収納するための空間部であり、隔壁112eによってアダプタボディ110の上下方向に2分されて、下側が第1の端子板30を収納する第1収納部112Aとして用いられ、上側が各栓刃20,21及び第2の端子板31を収納する第2収納部112Bとして用いられる。また、第1収納部112Aにおける長手方向両側壁部(アダプタボディ110の幅方向における両側壁部)には、アダプタボディ100の内外を連通する開口部112a,112bが形成されている。同様に、第2収納部112Bにおける長手方向両側壁部(アダプタボディ110の幅方向における両側壁部)には、アダプタボディ110の内外を連通する開口部112c,112dが形成されており、さらに、第2収納部112Bにおける短手方向(図13における上下方向)の側壁部には、栓刃20を固定するための溝部112f,112gと、栓刃21を固定するための溝部112h,112iとが形成されている。
スイッチ収納部113は、スイッチ装置80を収納するための空間部であり、このスイッチ収納部113に対応するアダプタボディ110の前面には、凹部110bが設けられており、この凹部110bの底部には、スイッチ収納部113に収納されたスイッチ装置80の操作つまみ83をアダプタボディ110の前面側へ突出させる開口部110cが形成されている。尚、図11(c)に示すように、この凹部110bの深さ寸法(つまりは、アダプタボディ110の前面と凹部110bの底面との間の長さ寸法)は、開口部110cから操作つまみ83を突出させた際に、操作つまみ83がアダプタボディ110の前面よりも面方向に突出しないような大きさに設定されている。
回路収納部114は、主に回路ブロック4を収納するための空間部であり、幅方向の一端側(図13における右側)には、回路ブロック4固定用のリブ114aが設けられ、幅方向の他端側(図13における左側)には、回路ブロック4取付用の取付ねじS1が螺着されるねじ孔114bを備えた円筒状のボス部114cが設けられている。また、回路収納部114の底壁部にあたるアダプタボディ110の前壁部には、ブザー43が嵌入される略円筒形状のリブ114dが設けられるとともに、アダプタボディ110の前壁部におけるリブ114dで囲まれた部位にはブザー43により出力される音をアダプタ本体100から外部へ伝搬するための孔等を備えたスピーカ部114eが設けられている。
尚、アダプタボディ110の前壁部における後面の四隅部には、アダプタカバー117をアダプタボディ110に結合するための組立ねじS2が螺着されるねじ孔116aを備えた円筒状のボス部116が一体に突設されている。
アダプタカバー117は、図12に示すように、前面が開口した箱状に形成されており、その幅方向における一方の側壁部には、アダプタボディ110の開口部112a,112cとそれぞれ連通してプラグの栓刃が挿入される一対の栓刃挿入孔118a,118bを構成する開口部117a,117cが形成されている。同様に、アダプタカバー117の幅方向における他方の側壁部には、図11(c)に示すように、アダプタボディ110の開口部112b,112dとそれぞれ連通してプラグの栓刃が挿入される一対の栓刃挿入孔119a,119bを構成する開口部117b,117dが形成されている。
一方、アダプタカバー117の底壁部(アダプタ本体100の後壁部)には、アダプタボディ110に固定された栓刃20及び栓刃21をそれぞれ外方へ突出するための略矩形状の挿通孔117f,117gが形成されている。さらに、前記底壁部の四隅部において、アダプタボディ110のねじ孔116aに対応する部位には、アダプタカバー117をアダプタボディ110に結合するための組立ねじS2が挿通されるねじ挿通孔117hが設けられており、アダプタカバー117をアダプタボディ110に被せた際には、各ねじ挿通孔117hとねじ孔116aとがそれぞれ連通するようにしている。
加えて、アダプタカバー117には、その後面(つまりはアダプタ本体100の後面)において、アダプタBを施工面Xに設けられた埋め込みコンセント200に接続した際に施工面Xと対向する部位である下端側に、図11(c)に示すように、施工面Xと当接する一対の突起部117i,117iが一体に突設されている。
アダプタBは、上記の部材から構成されており、以下にアダプタBの組み立て方法について簡単に説明する。
まず、栓刃20,21と端子板30,31とをアダプタボディ110の端子収納部112に収納するのであるが、この作業は、次のようにして行われる。すなわち、図13に示すように、第1の端子板30を、端子収納部112の第1収納部112Aに、一方の刃受ばね30a,30aを開口部112aから、他方の刃受ばね30b,30bを開口部112bから外部に臨ませた状態で収納するとともに、上述したように栓刃21が固定された第2の端子板31を、端子収納部112の第2収納部112Bに、一方の刃受ばね31a,31aを開口部112cから、他方の刃受ばね31b,31bを開口部112dから外部に臨ませ、且つ、栓刃21の平板部21aの基部を溝部112h,112iに嵌入した状態で収納する。この後に、栓刃20の平板部20aの基部を第2収納部112Bの溝部112f,112gに嵌入することで、栓刃20をアダプタボディ110に固定する。このとき、栓刃20と第2の端子板31とが接触導通しないようにしてあり、栓刃20の平板部20aにおいて第2の端子板31と対向する部位には、図12に示すように、絶縁距離確保用の切欠20cが形成されている。
次に、スイッチ装置80をスイッチ収納部113に、スイッチ装置80の操作つまみ83をアダプタボディ110の開口部110cから外方へ突出させた状態で収納する。そして、スイッチ装置80の端子部81aに一端が接続された接続線90の他端を栓刃21の端子部21bに絡げて半田付けし、スイッチ装置80の端子部82aに一端が接続された接続線91の他端を栓刃20の端子部20bに絡げて半田付けし、スイッチ装置80の端子部82bに一端が接続された接続線92の他端を第1の端子板30の端子片30dに絡げて半田付けし、これにより、端子部81aと栓刃21、端子部82aと栓刃20、端子部82bと第1の端子板30とがそれぞれ電気的に接続される。
この後に、回路ブロック4のブザー43を回路収納部113のリブ113dに嵌入することで、ブザー43をアダプタボディ110に固定し、回路ブロック4のプリント基板40Bを表示素子収納部111の溝部111b、111b間に嵌入することで、プリント基板40Bをアダプタボディ110に固定する。このとき、発光ダイオード42の光軸をアダプタ本体100の前方に対してやや上方に向けた状態で、発光ダイオード42を、ランプカバー115が取り付けられた窓孔111cからアダプタ本体100の外方へ臨ませる。
また、回路ブロック4のプリント基板40Aを、プリント基板40Aの切欠部40aとリブ114aとを凹凸嵌合させるとともに、プリント基板40Aのねじ挿通孔40bを介して組立ねじS1をボス部114cのねじ孔114bに螺着することで、アダプタボディ110に固定する。そして、回路ブロック4の接続線L1を接続線92の分岐用部位R(図12参照)に、カレントトランス41に貫挿された接続線L2を第1の端子板30の端子片30dに、接続線L3を栓刃21の端子部21bと電気的に接続されたスイッチ装置80の端子部81bに、それぞれ半田付け等により接続する。
最後に、アダプタボディ110とアダプタカバー117とを結合するのであるが、この作業は、アダプタボディ110に固定した栓刃20,21をアダプタカバー117の挿通孔117f,117gからそれぞれ後方へ突出させた状態で、アダプタカバー117をアダプタボディ110に被せ、アダプタカバー117のねじ挿通孔117hを介して組立ねじS2をアダプタボディ110のボス部116のねじ孔116aにそれぞれ螺着することで行われる。
これにより、図11(a)〜(c)に示すようなアダプタBが完成し、このアダプタBでは、アダプタボディ110の開口部112a,112cとアダプタカバー117の開口部117a,117cとからなる一対の栓刃挿入孔118a,118bと、各栓刃挿入孔118a,118bに対応して配置された各一対の刃受ばね30a,30a及び刃受ばね31a,31aとによって、プラグ300が接続されるコンセント部Cが構成され、同様に、アダプタボディ110の開口部112b,112dとアダプタカバー117の開口部117b,117dとからなる一対の栓刃挿入孔119a,119bと、各栓刃挿入孔119a,119bに対応して配置された各一対の刃受ばね30b,30b及び刃受ばね31b,31bとによって、プラグ300が接続されるコンセント部Cが構成されている。つまり、このアダプタBは、後面にコンセント200に接続する一対の栓刃20,21を備えるとともに、幅方向における両側面に、プラグ300が接続されるコンセント部Cをそれぞれ備えているのである。
以上説明したアダプタBは、図11(a)〜(c)に示すような埋め込みコンセント200に一対の栓刃20,21を用いて接続されるとともに、コンセント部Cにプラグ300が接続された状態で使用される。
そして、この状態では、コンセント200、栓刃20、接続線91、スイッチ装置80の端子部82a、スイッチ装置80の接点機構、スイッチ装置80の端子部82b、接続線92、第1の端子板30、プラグ300、第2の端子板31、栓刃21、コンセント200の経路が構成されているので、スイッチ装置80の操作つまみ83を操作することによって、接続線91,92間の通電、すなわち、栓刃20と、第1の端子板30との間の通電がオンオフされることになり、これによりコンセント200からプラグ300へ電力供給のオンオフを行うことができるようになっている。
ここにおいて、スイッチ装置80をオンとしているときに、栓刃20,21間に流れる電流値が定格値以下である場合には、過電流検知回路は検知信号を出力しないが、前記電流値が定格値を越えた場合には、過電流検知回路が、前記電流値が定格値を越えたことを検知して、過電流検知回路から検知信号が出力される。この検知信号は、報知回路に入力され、報知回路は、検知信号を受け取ると、発光ダイオード42及びブザー43に動作電源を供給し、これにより発光ダイオード42が発光して、電流値が定格値を越えたことを使用者に視覚的に報知するとともに、ブザー43が所定の警報音を出力して、電流値が定格値を越えたことを使用者に聴覚的にも報知するのである。このように視覚及び聴覚の2通りの報知を行うことで、使用者に異常が生じていることを気づかせ易くしている。
しかも、このように電流値が定格値を越えたことが報知された際には、使用者は、アダプタBをコンセント200から外さなくても、スイッチ装置80を操作することによって、コンセント200とプラグ300との間の通電をオンオフすることができるから、異常時に素早い対応が可能になる。
以上述べたように本実施形態のアダプタBによれば、上記実施形態1のアダプタAと同様に、一対の栓刃20,21間に流れる電流値を検出し、該電流値が定格値を越えた際に検知信号を出力する過電流検知回路と、検知信号を受け取った際に、発光ダイオード42の発光と、ブザー43の発音とによって視覚的及び聴覚的に、電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせる報知回路とを備えるから、ブレーカがトリップ動作する前に、アダプタAに流れる電流値が定格値を越えたことを使用者に知らせることができ、これにより、コンセント等の配線器具や、アダプタ自身、さらには負荷として接続される機器等に異常発熱が生じたりすることを早期に防止できて、これら配線器具等を安全に使用することができる。
また、図11(a)に示すように、コンセント200に接続されるアダプタBのアダプタ本体100の幅寸法t4を、連用形配線器具に用いられる一連用プレート201における幅寸法t2と略等しくしているから、アダプタBにプラグ300を接続する際に一連用プレート201にプラグ300の栓刃が当たって一連用プレート201に傷が入ったり、一連用プレート201が邪魔になってプラグ300をアダプタBに正しく接続できなくなったり、プラグ300をアダプタBに接続した際にアダプタBがコンセント200から外れてしまう等のプラグの接続時の不具合を防止できる。
さらに、図11(c)に示すように、アダプタ本体100の幅方向の側面において、一対の栓刃20,21に近接する位置にコンセント部Cを設けているから、コンセント部Cにプラグ300を接続する際等に一対の栓刃20,21にかかるモーメント(主に一対の栓刃20,21の突出方向を回転軸方向とするモーメント)を低減できて、栓刃20,21の変形や、アダプタ本体100等の破損を防止することができる。尚、コンセント部Cを設ける位置としては、コンセント部Cの一対の栓刃挿入孔119a,119b間の中間部位を通るセンターラインCL1(図11(c)参照)と、栓刃20,21の幅方向(図11(c)における上下方向)における中間部位を通るセンターラインCL2(図11(c)参照)とが一致する位置が、一対の栓刃20,21の突出方向を回転軸方向とするモーメントを最も低減できるため好ましい。
加えて、表示素子である発光ダイオード42の光をアダプタ本体100の外方に出射する窓孔111cが、アダプタ本体100の前面側及び上面側の両側に開口した形状となっているから、アダプタ本体100から上方に向かう発光ダイオード42の光の量が増え、図11(c)に示すように、施工面Xにおける床面Y近傍に設けられた埋め込みコンセント200にアダプタBを接続した状態でも、発光ダイオード42の光が見易くなり、これにより使用者への報知を確実に行える。
一方、本実施形態のアダプタBは、波動スイッチからなるスイッチ装置80の操作つまみ83を、アダプタ本体100の前面から面方向に突出しないように凹設された凹部110bの底面に設けているから、使用者の身体等が操作つまみ83に当たって、予期せずにスイッチ装置80の操作が行われてしまうことを防止できる。しかも、アダプタ本体100の前面において、一対の栓刃20,21に近接する位置に操作つまみ83を設けているから、操作つまみ83を指Fで押し操作する際に一対の栓刃20,21にかかるモーメント(主にアダプタ本体100の幅方向を回転軸方向とするモーメント)を低減でき、これにより操作つまみ83の操作時にアダプタ本体100が傾きにくくなってコンセント200に接続した栓刃20,21が一部露出したりすることを抑制できる。尚、操作つまみ83を設ける位置としては、操作つまみ83の上下方向における中間部位を通るセンターラインCL3(図11(c)参照)と、上記のセンターラインCL2(図11(c)参照)とが一致する位置が、アダプタ本体100の幅方向を回転軸方向とするモーメントを最も低減できるため好ましい。
しかし、上記のように操作つまみ83を配置することで、操作つまみ83の操作時にアダプタ本体100が傾きにくくしたとしても、使用者が操作つまみ83を操作する力が強いと、図14に示すように、アダプタ本体100が傾いて、コンセント200に接続された栓刃20,21が一部露出してしまうおそれがある。
そのため、本実施形態のアダプタBでは、上述したように、アダプタカバー117に施工面Xと当接する突起部117i,117iを設けている。つまり、アダプタBを施工面Xに設けられた埋め込みコンセント200に接続した際には、図11(c)に示すように、アダプタカバー117に設けた突起部117i,117iが施工面Xと当接するから、操作つまみ83の操作時に栓刃20,21にはモーメント(主にアダプタ本体の幅方向を回転軸方向とするモーメント)がかからなくなり、これにより操作つまみ83の操作時にアダプタ本体100が傾くことがなくなってコンセント200に接続した栓刃20,21が一部露出することを確実に防止できるようにしている。また、このような突起部117i,117iを設けたことによって、アダプタBをコンセント200に接続した際に、アダプタ本体100の設置状態が安定し、これにより、操作つまみ83の操作が行い易くなる。
尚、アダプタBのアダプタ本体100の幅寸法t4は、一連用プレート201の幅寸法t2と等しい大きさに限られるものではなく、t2以上の大きさであれば、上述した効果を得ることができるが、t4をt2と等しい大きさとするほうが、アダプタBをコンパクトにできるため好ましい。
また尚、本実施形態のアダプタBは、幅方向における両側面にコンセント部Cを備えるものであるから、アダプタ本体100の幅寸法t4を一連用プレート201の幅寸法t2と等しくしているが、アダプタ本体100の幅方向における一方の側面にのみコンセント部Cを設けたものであってもよく、この場合は、アダプタ本体100における一対の栓刃20,21間の中間位置からコンセント部Cが設けられた側面までの間の長さ寸法を、一連用プレート201における幅寸法の半分以上の大きさとすれば、同様に、プラグの接続時の不具合を防止できる。さらにアダプタBに設けるコンセント部Cの数としては、上記の例のように幅方向の側面に1つずつの計2つに限られるものではなく、幅方向の側面に2つずつ計4つ設けるようにしてもよく、適宜変更すればよい。