JP2007097118A - 積層型lcフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 カットオフ周波数付近の急峻性を損なわず、高電圧パルスが印加された際は電流がグランド電位に流れる積層型LCフィルタを提供する。
【解決手段】積層体1の内部で誘電体層2a〜2i間に形成された信号側インダクタパターン3a〜3dを誘電体層2a〜2iの一部に設けた信号側貫通導体3g〜3iを介して電気的に接続して成る信号側インダクタ2と、積層体1の内部で信号側インダクタパターン3a〜3dと一部が誘電体層2a〜2iを介して対向するように誘電体層2a〜2i間に形成されたグランド側インダクタパターン4a〜4cを誘電体層2a〜2iの一部に設けたグランド側貫通導体4g,4hを介して電気的に接続して成るグランド側インダクタ4とを備え、同一誘電体層2a〜2i間で信号側インダクタパターン3a〜3dの一部とグランド側インダクタパターン4a〜4cの一部との間にバリスタ材料パターン8a〜8cを形成している。
【選択図】 図2

Description

本発明は電磁波ノイズを除去する機能を備えた積層型LCフィルタに関するものである。
従来から、電磁波ノイズを除去する機能を備えた積層型LCフィルタが多くの電子機器に用いられている。
このような積層型LCフィルタとしては、例えば、複数の誘電体層が積層された積層体の内部にコイル状に形成された信号側インダクタとグランド側インダクタとが一部を対向させるようにして交互に形成し、積層体の外部に、信号側インダクタの一端と電気的に接続する入力端子電極と、信号側インダクタの他端と電気的に接続する出力端子電極と、グランド側インダクタの一端と電気的に接続するグランド端子電極とを形成して成る積層LCフィルタが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
上記積層型LCフィルタの電気特性は、高周波側の信号成分において、信号側インダクタが得るインダクタンスにより形成されるインピーダンスの低い周波数帯域に加え、信号側インダクタとグランド側インダクタとの間に得られるキャパシタンスとグランド側インダクタに得られるインダクタンスとで直列共振してインピーダンスが極小化して信号側インダクタの途中でグランド電位へと流れることにより形成される複数の減衰極を有している。従って、このような積層型LCフィルタは、インピーダンスの低い周波数帯域と複数の減衰極との合成によって広い周波数帯域に減衰量の大きい減衰域が形成された電気特性を有することになり、種々の電気部品から発生する電磁波ノイズ等の高周波側の信号成分を大きく減衰させることが可能なローパスフィルタとして機能するものである。
しかしながら、高周波側の信号成分には、電磁波ノイズ以外に静電気等の高電圧パルスがあり、上記従来の積層型LCフィルタに高電圧パルスが入力端子電極に入力されると、誘電体層が破壊されて高周波側の信号であるにもかかわらず高周波パルスが減衰されずに出力端子電極から出力されてしまうという問題点があった。
そこで、高電圧パルスが出力されないように、例えば積層体にバリスタ材料から成るバリスタ層を1層乃至2層以上形成し、バリスタ層を介してグランド電位に接続されるグランド側短絡電極および入力端子電極に接続される入力側短絡電極を形成することによって、一定の高電圧パルスが入力端子電極に印加されると両短絡電極間のバリスタ層の抵抗値が急激に低下して電流がバリスタ層を介してグランド電位に流れるようにした積層型LCフィルタが考えられている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2000−341070号公報 特開2000−91868号公報
しかしながら、高誘電率の材料であるバリスタ材料を用いて1層乃至2層以上のバリスタ層を積層体に設けると、カットオフ周波数付近の急峻性が損なわれてしまうという問題点があった。
本発明は上記のような従来の積層型LCフィルタにおける問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、カットオフ周波数付近の急峻性を損なうことなく、高電圧パルスが印加された際、電流をグランド電位に効率よく流れるようにすることができる積層型LCフィルタを提供することにある。
本発明の積層型LCフィルタは、複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、該積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数の信号側インダクタパターンを電気的に接続してなる信号側インダクタと、前記積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数のグランド側インダクタパターンを電気的に接続してなるグランド側インダクタとを備える積層型LCフィルタにおいて、前記信号側インダクタは、前記グランド側インダクタパターンと同一の誘電体層間に配置される前記信号側インダクタパターンを含み、同一の誘電体層間に配置された信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの間にはバリスタ材料パターンが形成されていること特徴とするものである。
また本発明の積層型LCフィルタは、複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、該積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数の信号側インダクタパターンを電気的に接続してなる信号側インダクタと、前記積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数のグランド側インダクタパターンを電気的に接続してなるグランド側インダクタとを備える積層型LCフィルタにおいて、前記信号側インダクタは、前記グランド側インダクタパターンの一部と前記誘電体層を介して対向する部分を有する前記信号側インダクタパターンを含み、前記グランド側インダクタパターンと前記信号側インダクタパターンとの対向部分に介在される誘電体層には柱状のバリスタ材料ブロックが形成されていることを特徴とするものである。
本発明の第1の積層型LCフィルタによれば、同一誘電体層間に配置された信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの間にバリスタ材料パターンを形成したことから、従来のように1層乃至2層以上のバリスタ層を積層体に形成した場合に比し、誘電率の材料が特定部分に限定して局所的に形成されるので、信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとで構成するローパスフィルタの特性への影響が少なくなり、カットオフ周波数付近の急峻性を損なわずに高電圧が印加されたときの電流がグランド電位に流れるようにすることができる。
また本発明の第2の積層型LCフィルタによれば、信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとで挟まれる誘電体層の一部にバリスタ材料ブロックを形成したことから、従来のように1層乃至2層以上のバリスタ層を積層体に形成した場合に比し、高誘電率の材料が特定部分に限定して形成されるので、信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとで構成するローパスフィルタの特性への影響が少なくなり、カットオフ周波数付近の急峻性を損なわずに高電圧が印加されたときの電流がグランド電位に流れるようにすることができる。
以下に、本発明の積層型LCフィルタについて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の積層型LCフィルタの実施の形態の一例を示す外観斜視図であり、図2は図1の積層型LCフィルタの分解斜視図、図4は、本発明の積層型LCフィルタの等価回路図である。
これらの図に示す本発明の積層型LCフィルタは、積層体1、信号側インダクタ3、グランド側インダクタ4、入力端子電極5、出力端子電極6およびグランド端子電極7a,7bを備える。
積層体1は、長方形状の複数の誘電体層2a〜2iを積層してなる直方体状の誘電体部品である。積層体1を構成する誘電体層2a〜2iは、例えば、TiO−Nd−BaTiO等を主成分とする誘電体材料によって1層あたり5μm〜300μmの厚みで形成されている。
積層体1の内部に形成された信号側インダクタ3は、誘電体層2a〜2i間に形成された複数の信号側インダクタパターン3a〜3d、3s、3tを、誘電体層2b〜2fに設けた複数の信号側貫通導体3g〜3iを介して電気的に接続して構成され、信号側のインダクタ成分を形成するものである。
一方、積層体1の内部に形成されたグランド側インダクタ4は、誘電体層2c〜2h間に形成された複数のグランド側インダクタパターン4a〜4c、4sを、誘電体層2d〜2gに設けた複数のグランド側貫通導体4g,4hを介して電気的に接続して構成され、グランド側のインダクタ成分を形成するものである。
また、信号側インダクタパターン3a〜3cとグランド側インダクタパターン4a〜4cとは、誘電体層2c〜2gを介して部分的に対向するようにして配置されている。具体的には、信号側インダクタパターン3aの一部にグランド側インダクタパターン4a,4bの一部が、信号側インダクタパターン3bの一部にグランド側インダクタパターン4b,4cの一部が、信号側インダクタパターン3cの一部にグランド側インダクタパターン4cの一部がそれぞれ対向しており、この対向する領域において所定のキャパシタンスが得られるようになっている。このようにして図4に示す、バリスタ機能を備えたLCフィルタが構成されることとなる。
なお、信号側インダクタパターン3a〜3dおよびグランド側インダクタパターン4a〜4cは、Cu,AgまたはAg系合金を主成分とする導体材料などから成り、例えば、5μm〜25μmの厚みで形成される。また、信号側貫通導体3g〜3iおよびグランド側貫通導体4g,4hは、材料としては信号側インダクタパターン3a〜3dと同様の材料を用いることができ、例えば、直径が30μm〜100μmの円柱状に形成される。
信号側インダクタ3を構成する信号側インダクタパターン3a〜3d、3s、3tの配置及び形状は、具体的には次のようになっている。信号側インダクタパターン3aは、誘電体層2fと2gとの間に配置されており、概略矩形状のパターン形状をなし、その一端が積層体の一方端面(図では左側奥)まで導出されている。かかる信号側インダクタパターン3aの導出側の末端が信号側インダクタ3の一端3mとなっている。また、信号側インダクタパターン3bは、誘電体層2dと2eとの間に配置されており、概略矩形状の軌跡に沿って略1ターンのパターンを有している。また、信号側インダクタパターン3cは、誘電体層2bと2cとの間に配置されており、信号側インダクタパターン3bと同様に概略矩形状の軌跡に沿って約1ターンのパターンを有している。インダクタパターン3dは、誘電体層2aと2bとの間に配置されており、信号側インダクタパターン3aと同様に概略矩形状のパターン形状をなし、その一端が積層体の他方端面(図では右側手前)まで導出されている。信号側インダクタパターン3sは、誘電体層2eと2fとの間に配置され、概略矩形状のパターンと概略矩形状のパターンから突き出た突起部とから成り、全体で概略T字形状となっている。信号側インダクタパターン3tは、誘電体層2cと2dとの間に配置され、概略矩形状のパターンと概略矩形状のパターンから突き出た突起部とから成り、全体で概略T字形状をなしている。
また、グランド側インダクタ4を構成するグランド側インダクタパターン4a〜4c、4sの配置及び形状は、具体的には次のようになっている。グランド側インダクタパターン4aは、誘電体層2gと2hとの間に配置されており、概略矩形状のパターンをなし、その一端が積層体の別の一方端(図では左側手前)へ導出され、他端が積層体の別の他方端(図では右側奥)へ導出されている。かかるグランド側インダクタパターン4aの導出側のそれぞれの末端がグランド側インダクタ4の一端4m、他端4nとなっている。なお、グランド側インダクタパターン4aには、グランド側貫通導体4gと接続するための突起部が設けられている。また、グランド側インダクタパターン4bは、誘電体層2eと2fとの間に配置されており、概略矩形状の軌跡に沿って略1ターンのパターンを有している。また、グランド側インダクタパターン4cは、誘電体層2cと2dとの間に配置されており、概略矩形状の軌跡に沿って略1ターンのパターンを有している。また、グランド側インダクタパターン4sは、概略矩形状のパターンと概略矩形状のパターンから突き出た突起部とから成り、全体で概略T字形状をなしている。
上記の如く信号側インダクタパターン3a〜3d、3s、3t及びグランド側インダクタパターン4a〜4c、4sを積層体内部に配置させることにより、信号側インダクタパターン3sとグランド側インダクタパターン4bとが同一誘電体層間に配置され、信号側インダクタパターン3bとグランド側インダクタパターン4sとが同一誘電体層間に配置され、信号側インダクタパターン3tとグランド側インダクタパターン4cとが同一誘電体層間に配置されることになる。また、同一誘電体層間に配置された信号側インダクタパターン3sとグランド側インダクタパターン4sとは、互いに所定の間隙を設けた状態で同一誘電体層上に平面的に配置されている。信号側インダクタパターン3bとグランド側インダクタパターン4s及び信号側インダクタパターン3tとグランド側インダクタパターン4cについても同様に、互いに所定の間隙を設けた状態で同一誘電体層上に平面的に配置されている。これら同一誘電体層間に配置された信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの間隙は、例えば、50μm〜0.3mmである。
一方、積層体1の表面に形成された入力端子電極5は、信号側インダクタの一端3mと電気的に接続されており、同じく積層体1の表面に形成された出力端子電極6は、信号側インダクタの他端3pと電気的に接続されている。また、入力端子電極5は積層体1の対向する距離が長いほうの一対の側面のうちの一方の側面を少なくとも含むように形成され、出力端子電極6は他方の側面を少なくとも含むように形成される。入力端子電極5および出力端子電極6は、Cu,AgまたはAg系合金を主成分とする導電体材料などから成り、その厚みは、例えば10μm〜70μmに設定される。
積層体1の表面に形成されグランド端子電極7a,7bは、グランド側インダクタの一端4m,4nと電気的に接続されている。また、グランド端子電極7aは積層体1の対向する距離が短い方の一対の側面のうちの一方の側面を少なくとも含むように形成されており、グランド端子電極7bは他方の側面を少なくとも含むように形成されている。
このような構成の積層型LCフィルタ10において、その電気特性は、高周波側の信号成分において、信号側インダクタ3が得るインダクタンスにより形成されるインピーダンスの高い周波数帯域に加え、信号側インダクタ3とグランド側インダクタ4との間に得られるキャパシタンスとグランド側インダクタに得られるインダクタンス4とで直列共振してインピーダンスが極小化して信号側インダクタ3の途中でグランド端子電極7a,7bへと流れることにより形成される複数の減衰極を有している。従って、このような積層型LCフィルタ10は、インピーダンスの低い周波数帯域と複数の減衰極との合成によって広い周波数帯域に減衰量の大きい減衰域が形成された電気特性を有しているので、種々の電気部品から発生する電磁波ノイズ等の高周波側の信号成分を大きく減衰させることが可能なローパスフィルタとして機能するようになっている。
そして、本発明の第1の積層型LCフィルタ10は、同一誘電体層間に配置された信号側インダクタパターン3sとグランド側インダクタパターン4b、信号側インダクタパターン3bとグランド側インダクタパターン4s、信号側インダクタパターン3tとグランド側インダクタパターン4cの間にバリスタ材料パターン8a〜8cを形成したものとなっている。具体的には、同一誘電体層間に配置された信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの間に設けられた間隙を埋めるようにしてバリスタ材料パターン8a〜8cがそれぞれ形成されている。かかるバリスタ材料パターンは略矩形状のパターンから成り、その厚みは例えば、5μm〜50μmに設定される。
誘電体材料の誘電率は70程度であるのに比べてバリスタ材料の誘電率は400程度であり、バリスタ材料の存在によりローパスフィルタの特性が損なわれやすいが、本発明の第1の積層型LCフィルタによれば、高誘電率の材料が特定部分に限定して形成されるので、信号側インダクタパターン3a〜3dとグランド側インダクタパターン4a〜4cとで構成するローパスフィルタの特性への影響が少なくなり、カットオフ周波数付近の急峻性を損なわずに高電圧が印加されたときの電流がグランド電位に流れるようにすることができる。すなわち、信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとは、一部が誘電体層を介して対向することにより容量成分を形成するが、従来技術のように信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとが誘電率の高い1層乃至2層以上のバリスタ層を介して対向されると、容量成分が大きく変動してしまい、所望のフィルタ特性を得ることが困難となる。これに対し、本発明の第1の積層型LCフィルタによれば、信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの積層方向の対向部分にはバリスタ材料が介在されない構造となっているため、容量成分が大きく変動することなく、所望のフィルタ特性を得ることが容易となる。
図5は、誘電体層2dの平面図であり、信号側インダクタパターン3t及びグランド側インダクタパターン4cのバリスタ材料パターン8cの下に位置する部分を点線で示している。同図に示す如く、バリスタ材料パターン8cは、信号側インダクタパターン3t及びグランド側インダクタパターン4cの一部と重なるようにして形成されている。これにより、バリスタ材料パターン8cと信号側インダクタパターン3t及びグランド側インダクタパターン4cとの接続を確実なものとすることができ、バリスタ特性のばらつきを抑えることができる。なお、誘電体層2e、2f上に形成されているバリスタ材料パターン8b、8aについても同様に、信号側インダクタパターン及びグランド側インダクタパターンの一部と重なるようにして形成されている。
また、本発明の第1の積層型LCフィルタによれば、従来技術に比し、バリスタ特性の調整自由度を高くすることができる。すなわち、バリスタ材料パターンの形状(厚み、平面形状)の変更、同一誘電体層間に配される信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとのギャップの変更等によってもバリスタ特性の調整を行うことが可能となり、設計自由度の高い積層型LCフィルタとすることができる。具体的には、図6の誘電体層2dの平面図に示す如く、バリスタ材料パターン8cにスリット11を設けたり、信号側インダクタパターン3tとグランド側インダクタパターン4cとのギャップWを変更することによってバリスタ特性を調整することができる。
また本発明の第1の積層型LCフィルタによれば、バリスタ材料パターン8a〜8cが複数形成されていることから、バリスタ材料パターンに流れる電流のインダクタンスを合成したものはバリスタ材料パターンを一つだけ形成したものに比べて小さくすることができるので、より高周波の高電圧パルスが印加されたときにおいても電流をグランド電位に流れるようにすることができる。なお、本実施形態においては、同一誘電体層間に配置された信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの間の全てにおいてバリスタ材料パターンを形成している。
なお、本実施形態において使用している信号側インダクタパターン3s、3t及びグランド側インダクタパターン4sは、他の信号側インダクタパターン及びグランド側インダクタパターンよりもインダクタ成分への寄与率は小さく設定されており、このような補助的なパターンを設けることにより、バリスタ材料パターン8a〜8cを形成する位置の自由度の向上を図っている。これによって、例えば、積層型LCフィルタ10の小型化や電気的特性の向上に供することができる。
次に上述した積層型LCフィルタ10の製造方法について説明する。
先ず、積層体1に対応する未焼結の積層体を作製する。未焼結の積層体は、長方形状の複数の誘電体層2a〜2iに対応する複数の誘電体セラミックグリーンシートが積層されたものであり、内部に、信号側インダクタパターン3a〜3c,3s,3t、グランド側インダクタパターン4a〜4c,4sに対応する内部導体ペーストパターン、信号側貫通導体3g,3hおよびグランド側貫通導体4g,4hに対応する充填導体、バリスタ材料パターン8a〜8cに対応するバリスタ材料ペーストパターンが配置されたものである。
誘電体セラミックグリーンシートは、BaTiO,TiOおよびNd等の金属酸化物の粉末に適当な有機溶剤および有機バインダ等を添加・混合して誘電体セラミックスラリーを作製し、この誘電体セラミックスラリーを例えばドクターブレード法等によって所定形状・所定厚みに複数形成することができる。
内部導体ペーストパターンは、誘電体セラミックグリーンシート上に導体ペーストを例えばスクリーン印刷法等により所定形状・所定厚みに塗布して形成される。バリスタ材料パターンについても同様の方法を用いて形成される。この場合において、バリスタ材料パターンは、予め形成された内部導体パターンと一部が重なるような配置で塗布する方法を用いれば、内部導体ペーストパターンとバリスタ材料パターンとが接触した構成とすることができる。なお、充填導体は、誘電体セラミックグリーンシートの所定箇所に所定形状の貫通孔を例えば金型等を用いて打ち抜き形成し、この貫通孔に内部導体ペーストパターンと同様の方法を用いて、条件を適宜設定することにより充填して形成される。
前記導体ペーストは、Cu,AgまたはAg系合金を主成分とする導体材料の粉末に適当な有機溶剤および有機バインダ等を添加・混合することにより作製する。また、バリスタ材料ペーストは、ZnO,Bi,MnO,CoOおよびSiO等の粉末を混合し、最大温度400℃〜500℃で予備焼成して得られたこれらの共晶体を粉砕して1μm以下の粉砕粉とし、この粉砕粉を最大温度950℃以上で焼成した後に再度粉砕して平均粒径が0.2μm〜0.5μmのバリスタ材料粉末を作製し、このバリスタ材料粉末に適当な有機溶剤および有機バインダ等を添加・混合することにより作製する。
次に、未焼結の積層体を最大温度930℃〜970℃で焼成することにより脱バイ・焼結させて積層体1を作製した後、この積層体1の表面に入力端子電極5,出力端子電極6およびグランド端子電極7を形成することにより本発明の積層型LCフィルタが製造される。入力端子電極5、出力端子電極6およびグランド端子電極7は、積層体1の表面にCu,AgまたはAg系合金を主成分とする外部導体ペーストを例えばスクリーン印刷法等により塗布して形成される。なお、外部導体ペーストとして、内部導体ペーストを代用することも可能である。
また、入力端子電極5,出力端子電極6およびグランド端子電極7の表面には、NiおよびSn等の金属膜をめっき処理により形成しておくのが好ましい。
次に、図3に本発明の第2の積層型LCフィルタの実施の形態の一例を図2と同様の分解斜視図で示す。なお、図2と同様の箇所には同じ符号を用いて重複する説明は省く。図3において、本発明の第2の積層型LCフィルタ20によれば、信号側インダクタパターン3a〜3dとグランド側インダクタパターン4a〜4cとで挟まれる誘電体層2b〜2gの一部にバリスタ材料ブロック9a,9bを形成することにより、図4に示す等価回路図が構成されている。
バリスタ材料ブロック9aは、バリスタ材料から成る複数の円柱部材により構成され、信号側インダクタパターン3bとグランド側インダクタパターン4bとが誘電体層2eを介して対向している部分に対応する箇所に形成されている。
バリスタ材料ブロック9bも9aと同様に、バリスタ材料から成る複数の円柱部材により構成され、信号側インダクタパターン3cとグランド側インダクタパターン4cとが誘電体層2cを介して対向している部分に対応する箇所に形成されている。
なお、バリスタ材料ブロックは、信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの誘電体層を介した対向部分に、バリスタ材料により柱状に形成されたものであればよく、例えば、複数の円柱部材同士が連結されたものであってもよい。
図3に示す積層型LCフィルタにおいても、従来技術のように1層乃至2層以上のバリスタ層を形成する場合に比し、高誘電率の材料が特定部分に限定して形成されるので、信号側インダクタパターン3a〜3dとグランド側インダクタパターン4a〜4cとで構成するローパスフィルタの特性への影響が少なくなり、カットオフ周波数付近の急峻性を損なわずに高電圧が印加されたときの電流がグランド電位に流れるようにすることができる。また、本発明の第1の積層型LCフィルタと同様に、バリスタ特性の調整自由度を高くすることができる。すなわち、バリスタ材料ブロック本数や形状の変更等によってもバリスタ特性の調整を行うことが可能となり、設計自由度の高い積層型LCフィルタとすることができる。
なお、バリスタ材料ブロック9a,9bは、バリスタ材料ペーストを充填導体を形成する方法を用いて充填して形成することができる。
また、バリスタ材料ブロック9a,9bが複数形成されていることから、バリスタ材料ブロック9a,9bに流れる電流のインダクタンスを合成したものはバリスタ材料ブロックを一つだけ形成したものに比べて小さくすることができるので、より高周波の高電圧パルスが印加されたときにおいても電流をグランド電位に流れるようにすることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良等が可能である。
例えば、上述した第2の積層型LCフィルタの実施の形態の例においては、信号側インダクタパターン3a〜3dとグランド側インダクタパターン4a〜4cとの間にバリスタ材料ブロック9a,9bを形成した例を示しているが、例えば、信号側インダクタ3と電気的に接続する信号側補助電極を形成し、この信号側補助電極とグランド側インダクタパターン4a〜4cとで挟まれる誘電体層2a〜2iの一部、または、グランド側インダクタ4と電気的に接続するグランド側補助電極を形成し、このグランド側補助電極と信号側インダクタパターン3a〜3dとで挟まれる誘電体層の一部にバリスタ材料ブロックを形成してもよい。この場合においても、バリスタ材料ブロック形成する位置の自由度が広がるので、積層型LCフィルタの小型化、または特性の向上を図ることができる。
本発明の積層型LCフィルタの実施の形態の一例を示す外観斜視図である。 本発明の第1の積層型LCフィルタの実施の形態の一例を示す分解斜視図である。 本発明の第2の積層型LCフィルタの実施の形態の一例を示す分解斜視図である。 本発明の積層型LCフィルタの等価回路図である。 本発明の第1の積層型LCフィルタに使用される誘電体層の平面図である。 本発明の第1の積層型LCフィルタの変形例である。
符号の説明
1・・・積層体
2a〜2i・・・誘電体層
3・・・信号側インダクタ
3a〜3d、3t、3s・・・信号側インダクタパターン
3g〜3i・・・信号側貫通導体
4・・・グランド側インダクタ
4a〜4c、4s・・・グランド側インダクタパターン
4g,4h・・・グランド側貫通導体
5・・・入力端子電極
6・・・出力端子電極
7a,7b・・・グランド端子電極
8a〜8c・・・バリスタ材料パターン
10,20・・・積層型LCフィルタ

Claims (2)

  1. 複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、
    該積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数の信号側インダクタパターンを電気的に接続してなる信号側インダクタと、
    前記積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数のグランド側インダクタパターンを電気的に接続してなるグランド側インダクタとを備える積層型LCフィルタにおいて、
    前記信号側インダクタは、前記グランド側インダクタパターンと同一の誘電体層間に配置される前記信号側インダクタパターンを含み、
    同一の誘電体層間に配置された信号側インダクタパターンとグランド側インダクタパターンとの間にはバリスタ材料パターンが形成されていること特徴とする積層型LCフィルタ。
  2. 複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、
    該積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数の信号側インダクタパターンを電気的に接続してなる信号側インダクタと、
    前記積層体の内部で前記誘電体層間に形成された複数のグランド側インダクタパターンを電気的に接続してなるグランド側インダクタとを備える積層型LCフィルタにおいて、
    前記信号側インダクタは、前記グランド側インダクタパターンの一部と前記誘電体層を介して対向する部分を有する前記信号側インダクタパターンを含み、
    前記グランド側インダクタパターンと前記信号側インダクタパターンとの対向部分に介在される誘電体層には柱状のバリスタ材料ブロックが形成されていることを特徴とする積層型LCフィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102074342A (zh) * 2010-12-13 2011-05-25 深圳顺络电子股份有限公司 一种精确制作叠层元件的方法

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