JP2007087908A - 高周波電源装置および高周波電源の制御方法 - Google Patents

高周波電源装置および高周波電源の制御方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 従来の高周波電源装置では、負荷側電力を一定にする制御(PL制御)を行うと、反射係数の絶対値|Γ|が大きい領域で、プラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象が生じる場合があり、進行波電力を一定にする制御(PF制御)を用いると、反射係数の絶対値|Γ|が小さい領域でプラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象が生じる場合があった。
【解決手段】 反射係数演算部22によって演算された反射係数が、領域設定部23で設定された複数の内側領域のうち、いずれかの内側領域内に入った場合には、PL制御を行い、複数の外側領域のうち、いずれかの外側領域内から外側領域外に出た場合には、PF制御を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばプラズマエッチング、プラズマCVDを行うプラズマ処理装置等の負荷に電力を供給する高周波電源装置に関するものである。
負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置として、従来は高周波電源装置が出力する進行波電力を一定に制御する方法(以下、PF制御という)あるいは進行波電力から反射波電力を減じた負荷側電力を一定に制御する方法(以下、PL制御という)が用いられてきた。
図7は、PF制御を用いた従来の高周波電源装置50の構成及び高周波電源装置50と整合器3と負荷5との接続関係を示すブロック図である。
従来の高周波電源装置50は、伝送線路2及び整合器3及び負荷接続部4を介して、負荷5に高周波電力を供給するための電源装置であり、下記のように出力電力が制御される。
電圧制御可変減衰器13において、後述する誤差増幅器26の出力信号を指令値として、水晶発振器12から出力された所定の周波数の高周波信号のレベルを可変させて出力する。増幅部15では、AC/DC変換部14から供給された直流電力と電圧制御可変減衰器13から出力された高周波信号とを入力とし、電圧制御可変減衰器13から出力する高周波信号を増幅して進行波電力PFを出力する。電力検出部16では、増幅部15から出力された進行波電力PFを減衰させて取り出し、減衰進行波信号RFpfを出力する。その後、電力レベル変換器17にて、電力検出部16の出力を直流信号に変換した後規格化して出力する。誤差増幅器26では、電力レベル変換器17の出力信号の大きさが、出力電力設定信号の大きさと等しくなるように電圧制御可変減衰器13に指令値となる信号を出力する。このようにすることで進行波電力を一定に制御することができる。
整合器3は、整合器3の入力端301から伝送線路2を経由し高周波電源装置側を見た電源側インピーダンスZo(通常は50Ω)と、整合器3の入力端から負荷側を見た負荷側インピーダンスZL(整合器3及び負荷接続部4及び負荷5のインピーダンス)とを整合させることによって、高周波電源装置と負荷5との間をインピーダンス整合させる目的で用いられる装置である。
この整合器3は、内部に図示しない可変インピーダンス素子(例えば、可変コンデンサ、可変インダクタ等)を備えていて、高周波電源装置と負荷5との間がインピーダンス整合するように、上記の可変インピーダンス素子のインピーダンスを変化させる機能を有する。より具体的には、例えば高周波電源装置の出力端101から高周波電源装置側を見たインピーダンス(出力インピーダンス)が、例えば50Ωに設計され、高周波電源装置が、特性インピーダンス50Ωの伝送線路2でインピーダンス整合器3の入力端に接続されているとすると、インピーダンス整合器3は、当該インピーダンス整合器3の入力端から負荷側を見た負荷側インピーダンスZLを50Ωに変換するように可変インピーダンス素子のインピーダンスを変化させる。
負荷5は、加工部を備え、その加工部の内部に搬入したウエハ、液晶基板等の被加工物を加工(エッチング、CVD等)するための装置である。この負荷5は、被加工物を加工するために、加工部にプラズマ放電用ガスを導入し、そのプラズマ放電用ガスを高周波電源装置から供給する高周波電力(電圧)を用いて放電(以下、プラズマ放電という)させて、非プラズマ状態からプラズマ状態にしている。そして、プラズマを利用して被加工物を加工している。なお、このような放電を伴う負荷を放電負荷という。
図8は、PL制御を用いた従来の高周波電源装置51の構成及び高周波電源装置51と整合器3と負荷5との接続関係を示すブロック図である。
従来の高周波電源装置51は、伝送線路2及び整合器3及び負荷接続部4を介して、負荷5に高周波電力を供給するための電源装置であり、下記のように出力電力が制御される。なお、整合器3および負荷5は、図7と同様なので、説明を省略する。
電圧制御可変減衰器13において、後述する誤差増幅器26の出力信号を指令値として、水晶発振器12から出力された所定の周波数の高周波信号のレベルを可変させて出力する。増幅部15では、AC/DC変換部14から供給された直流電力と電圧制御可変減衰器13から出力された高周波信号とを入力とし、電圧制御可変減衰器13から出力する高周波信号を増幅して進行波電力PFを出力する。電力検出部16では、増幅部15から出力される進行波電力PFおよび反射波電力PRを減衰させて取り出し、減衰進行波信号RFpf及び減衰反射波信号RFprを出力する。その後、電力レベル変換器17にて、電力検出部16の出力を直流信号に変換した後規格化して出力する。その後、負荷側電力演算部18にて、負荷側電力(進行波電力−反射波電力)に対応した信号を求めて出力する。誤差増幅器26では、負荷側電力演算部18の出力信号の大きさが、出力電力設定信号の大きさと等しくなるように電圧制御可変減衰器13に指令値となる信号を出力する。このようにすることで負荷側電力を一定に制御することができる。
ところで、図7、図8に示した高周波電源装置50、51と負荷5との間がインピーダンス整合しているときは、高周波電源装置50、51から出力された高周波電力が効率よく負荷5に供給される。しかし、負荷5の内部インピーダンスがプラズマ放電の状態によって変動するために、負荷のインピーダンスは整合時に比べて、高インピーダンス又は低インピーダンスに変動する。
そうなると、高周波電源装置50、51と負荷5との間がインピーダンス整合していない状態になって、整合器の入力端301での反射係数が増加するために、高周波電源装置50、51から出力されて負荷5に向かう進行波電力の一部又は全部が反射して整合器3から高周波電源装置に向かう反射波電力PRが発生するので、高周波電力が効率よく負荷5に供給されない。
通常は、整合器3によってインピーダンス整合をさせるために、整合状態に戻るが、非整合状態から整合状態になるまでの間は、反射波電力が発生することになる。上記のような理由で発生した反射波電力PRは、高周波電源装置内に戻る。
次に、前述した高周波電源装置を含むシステムにおいて、高周波電源装置から高周波電力が出力されてからの動作について説明する。
(1)前述した高周波電源装置を含むシステムにおいて、高周波電源装置から負荷5に高周波電力が供給されて放電可能な状態になると、放電が開始される。この段階では、整合していないために反射波電力が多く、ほぼ全反射の状態である。すなわち、反射係数Γの絶対値|Γ|≒1の状態である。なお、反射係数Γとは、進行波に対する反射波の比(割合)のことをいい、式(1)で表される。また、反射係数Γの絶対値を|Γ|とし、位相角をθとすると、反射係数Γは、式(2)で表される。また、式(2)を変更すると、式(3)になり、この式(3)をまとめると、反射係数を「実数部+虚数部」の形式で表すこともできる。
反射係数Γ=RFpr/RFpf ・・・・(1)
反射係数Γ=|Γ|・exp(jθ) ・・・・(2)
反射係数Γ=|Γ|・((cosθ)+j(sinθ)) ・・・・(3)
(2)整合器が反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その結果、最終的には、整合目標点に到達する。なお、整合目標点とは、ポーラーチャート上において、反射係数の絶対値|Γ|=0の位置、または反射係数の絶対値|Γ|が設定した許容範囲内(例えば、|Γ|≦0.1)の位置をいう。
(3)負荷の条件(電力供給量など)が変化すると、負荷のインピーダンスが変化して反射が増える場合がある。その場合は、再度、整合器によって整合動作が行われて整合目標点に到達する。以降はこの繰り返しである。
特開2005−077248号公報
前述したように、PF制御またはPL制御に関わらず、出力電力の制御は、電力検出部16の検出信号に基づいて行っている。そのために、精度良く制御を行うためには、電力検出部16の検出精度が良い必要があるが、電力検出部16の検出精度には下記(1)に示すような特性があるので、(2)および(3)に示すように各制御方法に特有の問題が生じる。
(1)電力検出部16の検出精度:
高周波電源装置の電力検出部16の検出感度は、結合度と方向性の2つの仕様で決定される。結合度は、高周波電力の減衰量を表す。方向性は、電力検出部16自身の入出力特性インピーダンス(主に構造によって決まる)と電力検出部16単体に負荷50Ωを繋いだときに、進行波電力PF、反射波電力PRの漏れの大きさで決まる値であり、この方向性によって電力検出部16の検出精度が決定される。
図9は、PF制御を行う場合に、「理想電力検出部」(検出値に全く誤差のない電力検出部)を使用した場合に得られる理想上の反射係数演算値(真円になる)と、「実電力検出部」の反射波電力検出値から演算した反射係数演算値の一例とをポーラーチャート上に表して比較した図である。なお、図9の円の中心が|Γ|=0(整合して反射無し)であり、円の最も外側が|Γ|=1(全反射)を表している。
(I)で示される軌跡は、反射係数の絶対値|Γ|=a(0<a<b<1)となる反射波電力の場合に、「理想電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値を示す。
(II)で示される軌跡は、反射係数の絶対値|Γ|=b(0<a<b<1)となる反射波電力の場合に、「理想電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値を示す。
(III)で示される軌跡は、反射係数の絶対値|Γ|=a(0<a<b<1)となる反射波電力の場合に、「実電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値を示す。
(IV)で示される軌跡は、反射係数の絶対値|Γ|=b(0<a<b<1)となる反射波電力の場合に、「実電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値を示す。
図9から分かるように、「理想電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値と、「実電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値とでは差異が生じる。すなわち、「実電力検出部」では、反射波電力の検出値に誤差があることを示している。また、反射係数の絶対値|Γ|が0から大きくなるに連れて、「理想電力検出部」で検出される反射波電力と、「実電力検出部」で検出される反射波電力との誤差が大きくなる。生じる誤差量は位相角θによって増減し、増減の傾向は|Γ|の値が増減しても同じ傾向を示す。
電力検出部16の方向性が槻ね−40dB以下であれば検出精度の誤差は、|Γ|=0で±2%、|Γ|=0.98で±7.8%と少ない。しかし、周波数が高くなったり、電力検出部16の通過電力量が大きくなると、方向性は−20dB程度を確保するのが限界である。方向性が−20dBの場合の誤差は、|Γ|=0で±20%、|Γ|=0.98で±78.1%と桁違いに大きくなる。
(2)反射係数の絶対値|Γ|が大きい領域での問題:
前述のPF制御方式の高周波電源装置の場合は、|Γ|が0から大きくなるに連れて反射波電力の検出信号に誤差が大きくなっても進行波電力PFを一定にする制御を行っているだけのため、反射波電力表示値に誤差が生じる程度の影響で済む。しかし、前述のPL制御方式の高周波電源装置の場合は、|Γ|が0から大きくなるに連れて反射波電力の検出信号の誤差が大きくなるので、ポーラーチャートの外周付近ではPL=PF−PRで表される式のPR分の量が変動し高周波電源装置はPL制御を行っているにもかかわらず、負荷への供給電力量が不安定となるので、負荷ヘの供給電力量が変動する。そのために、プラズマの状態が変化して負荷側インピーダンスZLが変動する。その結果、プラズマを維持できる状態でなくなることによって、プラズマの消滅現象が生じることがある。
また、負荷への供給電力量が不安定となって、負荷側インピーダンスZLが変動すると、整合器が整合させようとするが、負荷側インピーダンスZLが変動しているために、整合目標点が不安定になる場合がある。そうなると、整合器に設けられた可変インピーダンス素子の目標位置も不安定になり、正確に定まらないので、整合器に設けられた可変インピーダンス素子がハンチング現象を起こす場合がある。
したがって、反射係数の絶対値|Γ|が大きい領域では、PL制御は不向きであるので、PF制御の方が望ましい。
(3)反射係数の絶対値|Γ|が小さい領域での問題:
図10は、電力検出部16の整合目標点付近における反射波電力検出特性の一例を表す図である。
(V)で示される軌跡は、反射係数の絶対値|Γ|=m(mは整合目標点の許容範囲を示す反射係数)となる反射波電力の場合に、「理想電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値を示す。
(VI)で示される軌跡は、反射係数の絶対値|Γ|=mとなる反射波電力の場合に、「実電力検出部」を使用して得られる反射係数演算値を示す。
図10に示すように整合目標点付近では、進行波電力に比べ反射波電力の絶対量が少ないため、方向性による反射波電力検出値の誤差も小さい。そのために、PL制御方式の高周波電源装置において、PL=PF−PRで表される式のPR分の誤差量が少ないので、負荷に供給される電力量への影響が少なく、安定した電力量を負荷に供給できる。
負荷のインピーダンスは高周波電源装置から供給される電力によって変化するために、供給される電力量が安定していれば、整合器の整合動作と相まって、高速に整合を取ることができる。
一方、進行波電力一定制御方式の高周波電源装置の場合は、前述のように進行波電力PFを一定に制御しているため、反射波電力が増加すると、負荷への供給電力量が減少するので、プラズマの状態が変化して、負荷側インピーダンスZLが変動する。その結果、整合状態でなくなったり、プラズマを維持できる状態でなくなることによって、プラズマの消滅現象が生じることがある。
また、負荷への供給電力量が不安定となって、負荷側インピーダンスZLが変動すると、整合器が整合させようとするが、負荷側インピーダンスZLが変動しているために、整合目標点が不安定になる場合がある。そうなると、整合器に設けられた可変インピーダンス素子の目標位置も不安定になり、正確に定まらないので、整合器に設けられた可変インピーダンス素子がハンチング現象を起こす場合がある。このような整合過程でのハンチング現象が生じると、例えば、整合器に設けられた可変インピーダンス素子の一部分だけがインピーダンスを変化させるための動作(例えば回転動作)をするので、部分的に磨耗が進み、可変インピーダンス素子の寿命を短くする等の問題が生じる場合がある。
そのために、整合目標点付近での高周波電源装置の出力電力制御方式としては、PF制御よりも、PL制御の方が望ましい。
そのために、本出願人が特願2004−082028で提案したように、基準となる反射係数の絶対値(以下、基準反射係数絶対値という)を定め、基準反射係数絶対値よりも反射係数絶対値が大きい領域ではPF制御を行い、基準反射係数絶対値よりも反射係数絶対値が小さい領域ではPL制御を行うことが考えられる。例えば、反射係数絶対値が0.1以下の場合はPL制御を行い、反射係数絶対値が0.1超の場合はPF制御を行えばよい。
しかし、基準反射係数絶対値は明確に定められるものではなく、概略では、図11に示すように、PF制御に適した領域(以下、PF制御適合領域という)、PL制御に適した領域(以下、PL制御適合領域という)、及びPF制御適合領域とPL制御適合領域との中間にあたる中間領域が存在する。
図11は、中間領域をポーラーチャート上に示した図である。この図11において、斜線で塗りつぶした領域が中間領域であり、中間領域より外側がPF制御適合領域、中間領域より内側がPL制御適合領域を示す。この中間領域においては、外側になるほどPF制御に適する度合いが大きくなり、内側になるほどPL制御に適する度合いが大きくなるが、明確に基準反射係数絶対値を決めることができない領域である。このように明確な基準反射係数絶対値の基準はないが、PL制御は、PF制御にくらべて消費電力量が多いので、できるだけ基準反射係数絶対値を小さくして、電力消費量を少なくすることが望ましい。
ところで、反射係数の絶対値|Γ|が小さい領域には、僅かな条件変動、例えば、僅かな高周波電力の変動や、整合装置の微動が原因となって負荷のインピーダンスが急激に変動する領域が存在する場合がある(以下、この領域を変動領域という)。このような変動領域では、負荷のインピーダンスが急激に変動することに伴って高周波電源装置の反射波電力検出量も同時に増大する。その結果、負荷ヘの供給電力量が変動するために、反射係数の絶対値|Γ|が小さい領域と同様で、プラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象が生じる場合がある。したがって、変動領域での高周波電源装置の出力電力制御方式としては、PF制御よりもPL制御の方が望ましい。
基準反射係数絶対値よりも小さい領域に変動領域が存在すれば、変動領域に適したPL制御を行うことができる。ところが、上述したように、できるだけ基準反射係数絶対値を小さくすることが望ましいために、変動領域を考慮せずに基準反射係数絶対値を設定すると、変動領域の全部または一部が、基準反射係数絶対値よりも大きい領域に入ってしまうことがある。そうなると、変動領域での制御が上手くできないので、変動領域を考慮して基準反射係数絶対値を設定する必要がある。すなわち、ポーラーチャート上において、基準反射係数絶対値の内側の領域が、PL制御適合領域を含み、かつ変動領域を含むように、基準反射係数絶対値を設定する必要がある。
図12は、変動領域の一例をポーラーチャート上に示した図である。変動領域90は、領域全てがPL制御適合領域に含まれる変動領域の一例を示す。変動領域91は、領域の一部がPL制御適合領域に含まれ、その他の領域が中間領域に含まれる変動領域の一例を示す。変動領域92は、領域全てが中間領域に含まれる変動領域の一例を示す。
なお、図12は、図11と同様にPL制御適合領域、中間領域およびPF制御適合領域を示しているが、中間領域の斜線は描いていない。また、この図12では、ポーラーチャート上において、変動領域が中間領域よりも内側に存在する場合を示している。また、図12では、説明のために変動領域を円形で示したが、変動領域の大きさや形状は、一様ではなく状況によって異なる。
この図12を例にとって基準反射係数絶対値をどのように設定するかを説明する。
変動領域90だけが存在する場合は、変動領域90がPL制御適合領域に存在するために、基準反射係数絶対値の最小値は、PL制御適合領域と中間領域との境界値となる。基準反射係数絶対値の最適値が、境界値よりも大きい場合があるが、どの程度まで中間領域に入り込むのが最適かは、その状況によって異なるために、実際の稼動時や実験時に決定すればよい。
変動領域91が存在する場合は、変動領域91がPL制御適合領域だけでなく、中間領域にも存在するため、少なくとも変動領域91を含むように基準反射係数絶対値を設定する必要がある。また、変動領域92が存在する場合も、変動領域91の場合と同様に、少なくとも変動領域92を含むように基準反射係数絶対値を設定する必要がある。また、中間領域内において、基準反射係数絶対値をさらに大きくした方が最適値となる場合があるが、その状況によって異なるために、実際の稼動時や実験時に決定すればよい。
このように、ポーラーチャート上において、基準反射係数絶対値の内側の領域が、PL制御適合領域を含み、かつ変動領域を含むように、基準反射係数絶対値を設定する必要があるので、変動領域が存在しない場合に比べて、基準反射係数絶対値を大きく設定しなければならない場合がある。
図13は、図12に示した変動領域92が存在する場合の基準反射係数絶対値を示す図である。
変動領域92がない場合は、基準反射係数絶対値=S1とできる場合であっても、この図に示すように、変動領域92が存在すると、最低限、基準反射係数絶対値=S2とする必要があるために、変動領域92が存在しない場合に比べて、斜線で塗りつぶした領域だけPL制御を行う領域が拡大する。
拡大した領域の内、変動領域92はPL制御を行う方が良いので、拡大した領域から変動領域92を除いた領域では、PF制御を行う場合に比べて余分な消費電力が増加すると考えられる。
これまで説明したように、従来の高周波電源装置では、PL制御を用いると、反射係数の絶対値|Γ|が大きい領域で、プラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象が生じる場合があり問題であった。また、PF制御を用いると、反射係数の絶対値|Γ|が小さい領域でプラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象が生じる場合があり問題であった。
本発明は、上記事情のもとで考え出されたものであって、反射係数の絶対値|Γ|の広い領域に亘って、プラズマの消滅現象や整合過程でのハンチング現象を生じさせないようにし、さらに、変動領域が存在する場合であっても、余分な消費電力の増加をさせない高周波電源装置を提供することを目的としている。
第1の発明によって提供される高周波電源装置は、
負荷に供給する高周波電力の電力値が一定になるように制御する高周波電源装置において、
高周波電力の供給源となる高周波出力手段と、
前記高周波出力手段から負荷に向かう進行波および前記負荷側から高周波出力手段側に向かう反射波を検出する検出手段と、
前記電力検出手段によって検出した進行波および反射波に基づいて、進行波電力に対応する信号および反射波電力に対応する信号を求める電力信号出力手段と、
前記進行波電力に対応する信号から前記反射波電力に対応する信号を減じることによって負荷側電力に対応した信号を演算する負荷側電力演算手段と、
高周波電源装置の出力端で検出した高周波情報に基づいて、反射係数を演算する反射係数演算手段と、
反射係数に関する座標上に関係式によって定義される少なくとも1つの内側領域および前記内側領域の夫々と対をなす少なくとも1つの外側領域を設定する領域設定手段と、
前記反射係数演算手段で演算された反射係数が前記内側領域のうち、いずれかの内側領域内に入った場合には、前記負荷側電力に対応した信号を電力信号として出力し、前記反射係数演算手段で演算された反射係数が予め設定した少なくとも1つの外側領域のうち、いずれかの外側領域内から外側領域外に出た場合には、前記進行波電力に対応する信号を電力信号として出力する制御対象切替手段と、
前記制御対象切替手段から出力される電力信号が、出力電力設定値に対応した信号と等しくなるように前記高周波出力手段の出力を制御する制御手段と
を備えたことを特徴としている。
なお、「高周波電源装置の出力端で検出した高周波情報」とは、進行波、反射波、電流、電圧、負荷側インピーダンスなど、高周波電源装置の出力端で検出した高周波に関する情報または検出した情報に基づいて求めた情報であって、その情報に基づいて反射係数を求めることができる情報をいう。
第2の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記対をなす内側領域と外側領域との関係において、前記外側領域が前記内側領域を含むことを特徴としている。
第3の発明によって提供される高周波電源装置は、
いずれかの前記外側領域といずれかの前記内側領域とが重なった場合、その重なった領域は、内側領域とすることを特徴としている。
第4の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記内側領域の個数が1つの場合は、この1つの内側領域が反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定され、前記内側領域の個数が複数個の場合は、1つの内側領域が反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定され、他の内側領域は反射係数に関する座標の座標原点を含まないように設定されることを特徴としている。
第5の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定された内側領域が、円形の領域であることを特徴としている。
第6の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記内側領域の境界は、前記検出手段で検出する反射波の検出誤差量を考慮して設定されるものであり、検出誤差量が大きい部分ほど座標原点に近くなるように設定されることを特徴としている。
第7の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定された内側領域が、楕円形の領域であることを特徴としている。
第8の発明によって提供される高周波電源の制御方法は、
負荷に供給する高周波電力の電力値が一定になるように制御する高周波電源の制御方法において、
反射係数に関する座標上に関係式によって定義される少なくとも1つの内側領域および前記内側領域の夫々と対をなす少なくとも1つの外側領域を設定しておき、
出力する進行波電力および負荷側から反射される反射波電力を検出するとともに、高周波電源装置の出力端における反射係数を演算し、
前記演算した反射係数が、いずれかの前記内側領域内に入った場合には、進行波電力から反射波電力を減じた負荷側電力を一定にする制御を行い、いずれかの前記外側領域内から外側領域外に出た場合には、進行波電力を一定にする制御を行うことを特徴としている。
第1の発明によれば、反射係数の絶対値が大きい領域ではPF制御、また、反射係数の絶対値が小さい領域ではPL制御にすることができるので、反射係数の絶対値が大きい場合と小さい場合に、それぞれ適切な制御方法を選択できる。そのために、従来技術で課題となっていた、反射係数の絶対値|Γ|が大きい領域で生じる問題と、反射係数の絶対値|Γ|が小さい領域で生じる問題とを解消できる。
すなわち、反射係数の絶対値が大きい領域では、PF制御を行うことによって、プラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象の回避を図ることができる。また、整合目標点付近のように、反射係数の絶対値が小さい領域では、PL制御を行うことによって、プラズマの消滅現象や整合過程でハンチング現象の回避を図ることができるので、ポーラーチャートの広範囲に亘って、すなわち、反射係数の絶対値|Γ|の広い領域に亘って、適切な電力制御を行うことができる。
さらに、整合過程でのハンチングの回避やプラズマの消滅の回避は、整合するまでに要する時間の低減に繋がる。整合するまでに要する時間が低減されると、整合過程における整合器の駆動部分の動作量が従来に比べて低減する。そのために、整合器の駆動部分の消耗が低減し長寿命化を図ることができる。例えば、整合器に設けられた可変コンデンサや可変インダクタの軸と軸受けとの摺動部分の磨耗が従来に比べて低減するので、可変コンデンサや可変インダクタの長寿命化を図ることができる。
さらに、整合するまでに要する時間が低減されるので、ウエハ、液晶基板等の被加工物の処理時間を短縮することができる。したがって、生産性の向上が図れるだけでなく、電力の消費量も低減することができる。
さらに、整合するまでに要する時間が低減されるので、非整合状態時に発生しやすい異常放電も減少する。そのために、異常放電によって発生するウエハへのダメージも低減することができる。
さらに、変動領域が存在した場合でも、変動領域専用の領域を設けて、変動領域に適したPL制御を行わせることができる。そのために、ポーラーチャートの中心(原点)を含むように設けられる領域は、変動領域の存在を考慮することなく、領域を定めることができる。すなわち、変動領域がポーラーチャートの中心(原点)を含むように設けられる領域の外側に存在する場合であっても、変動領域が含まれるように領域を拡大する必要がない。そのために、PF制御にくらべて消費電力量が多いPL制御が適用される領域を可能な限り小さくすることができる。したがって、適切な制御方法を選択しつつ、消費電力を少なくすることができる。
また、領域設定手段で設定される内側領域および外側領域の設定データは、関係式によって定義するので、検出部に生じる誤差量に合わせて最適な領域を設定することができる。例えば、検出部に生じる誤差量が大きいところでは、領域の境界値を、ポーラーチャートの中心に近づけるような関係式を定義すればよい。
第8の発明の効果は、第1の発明の効果と同様である。
第2の発明によれば、内側領域よりも外側領域の方を大きくしている。そのために、PL制御からPF制御への切り替え基準値と、PF制御からPL制御への切り替え基準値とが異なるので、反射係数が内側領域の境界付近で変動しても、PL制御とPF制御とが交互に目まぐるしく切り替わる、いわゆるハンチング現象を防止することができ、より安定した電力制御を行うことができる。
なお、複数の領域があると、領域が重なる場合がある。第3の発明によれば、このような領域が重なった場合において、どのように制御するのかを定めるために、いずれかの前記外側領域といずれかの前記内側領域とが重なった場合について規定している。
また、第4の発明は、変動領域がポーラーチャートの中心(原点)を含むように設けられる領域の外側に存在する場合にだけ、複数個の領域を設ければよいことを示すものである。すなわち、ポーラーチャートの中心(原点)を含むように設けられる領域は、必ず設けられ、必要に応じて、他の領域を設ければよいことを示している。この第4の発明によれば、上述したように、ポーラーチャートの中心(原点)を含むように設けられる領域は、変動領域の存在を考慮することなく、領域を定めることができる。
第5の発明によれば、ポーラーチャートの中心(原点)を含むように設けられる領域を円形の領域にしているので、反射係数の絶対値|Γ|が大きさで生じる問題を解消するために設ける領域の設定が簡易化できる。また、円形領域にすると、領域内に入ったか否か、領域外に出たか否かを判定しやすくなるので制御が簡易化できる。
また、検出部で生じる誤差量は位相角によって異なるので、ポーラーチャートの中心を円の中心とする円形領域よりも、誤差量を考慮して領域を定めた方が、精度を向上させることができる。そのために、第6の発明によれば、検出誤差量が大きい部分ほど、領域の境界を座標原点に近くなるように設定することによって、精度を向上させるようにしている。第5の発明のように円形領域にして設定の簡易化および制御の簡易化を図るか、または、第6の発明のように誤差量を考慮して精度の向上を図るかは、状況によって選択すればよい。
第7の発明によれば、楕円形の領域としているので、誤差量を考慮しつつ、設定の簡易化および制御の簡易化を図ることができる。もちろん、第5の発明のように円形領域にした方が、設定の簡易化および制御の簡易化に関しては勝っているが、第7の発明でも、実用的なレベルで設定の簡易化および制御の簡易化を行うことができる。
以下、本発明の詳細を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る高周波電源装置1の構成及び高周波電源装置1と整合器3と負荷5との接続関係を示すブロック図である。
本発明に係る高周波電源装置1は、内部の増幅部15から出力する高周波電力(進行波電力)を伝送線路2(例えば、同軸ケーブル)及び整合器3及び負荷接続部4(例えば、電磁波が漏れないように遮蔽された銅板)を介して負荷5に供給するための電源装置であり、出力する進行波電力あるいは負荷側電力をフィードバックして出力電力設定値に等しくなるように制御する。
なお、高周波電源装置1の増幅部15から出力されて負荷5に向かう高周波電力を進行波電力PFという。反対に負荷側から高周波電源装置に向かう高周波電力を反射波電力PRという。また、一般にこの種の高周波電源装置では、数百kHz以上の周波数の高周波電力を出力している。
ON/OFF制御部11は、ON信号またはOFF信号を入力とし、ON信号が入力された場合に、後述する水晶発振器12から高周波信号が出力されるように制御する。
水晶発振器12は、所定の周波数の高周波信号を出力する。なお、ここで言う高周波信号とは、正弦波信号に限らず、例えば、矩形波信号、三角波信号等も含む。
電圧制御可変減衰器13は、水晶発振器12から出力された高周波信号と後述する誤差増幅器26の出力信号とを入力とし、誤差増幅器26の出力信号を指令値として、入力した高周波信号のレベルを可変させて出力する。これにより、増幅部15から出力する進行波電力の出力レベルを可変させる。
AC/DC変換部14は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して、後述する増幅部15に供給する。
増幅部15は、AC/DC変換部14から供給される直流電力と電圧制御可変減衰器13から出力された高周波信号とを入力とし、電圧制御可変減衰器13から出力する高周波信号を増幅して進行波電力PFを出力する。よって、後述する誤差増幅器26の出力によって、増幅部15の出力レベルが制御されることになる。なお、増幅部15から出力された進行波電力は、高周波電源装置の出力端としての高周波電力出力コネクタ101に接続された伝送線路2を介して、高周波電源装置の外部に出力される。
なお、増幅部15、ON/OFF制御部11、水晶発振器12、電圧制御可変減衰器13、及びAC/DC変換部14で構成される部分は、本発明の高周波出力手段の一例である。
電力検出部16は、高周波電源装置1の出力端(図面上では、増幅部15と後述する電流電圧検出部20との間の伝送線路上)に設けられ、増幅部15から負荷に向かう進行波及び高周波電源装置の外部から戻ってくる反射波を減衰させて取り出し、減衰進行波信号RFpf及び減衰反射波信号RFprを出力する。この電力検出部16には、例えば、方向性結合器等が用いられる。また、電力検出部16は、本発明の検出手段の一例である。
なお、高周波電源装置1の出力端とは、図面上の出力端101だけでなく、増幅部15と高周波電源装置の出力端101との間、さらに伝送線路2上も、実質的に同等なので、本明細書では、これらの位置をまとめて高周波電源装置の出力端とする。
電力レベル変換器17は、電力検出部16から出力される減衰進行波信号RFpfおよび減衰反射波信号RFprを直流信号に変換した後規格化して、進行波電力に対応する進行波電力信号Vpfおよび反射波電力に対応する反射波電力信号Vprとして出力する。なお、電力レベル変換器17は、本発明の電力信号出力手段の一例である。
負荷側電力演算部18は、進行波電力信号Vpfから反射波電力信号Vprを減じることによって、負荷側電力に対応した負荷側電力信号Vplを求めて出力する。上記の関係を演算式で表すと式(4)となる。なお、負荷側電力演算部18は、本発明の負荷側電力演算手段の一例である。
Vpl=Vpf−Vpr ・・・・・(4)
電流電圧検出部20は、高周波電源装置1の出力端(図面上では、電力検出部16と高周波電源装置の出力端101との間の伝送線路上)に設けられ、高周波電流Iと高周波電圧Eとを検出して出力するものである。なお、電流電圧検出部20から負荷側を見た負荷側インピーダンスZL’と整合器3の入力端から負荷側を見た負荷側インピーダンスZLとは、同一又は略同一であるため、実用上、ZL=ZL’とみなす。また、前述した電力検出部16から負荷側を見たインピーダンスも、負荷側インピーダンスZL’とする。
図2は、電流電圧検出部20の回路構成例を示したものである。
図2において、電流電圧検出部20は、電流を検出する電流検出部202と、電圧を検出する電圧検出部203とから構成されている。
電流検出部202は、電力検出部16と高周波電源装置の出力端101との間に設けられたカレントトランスCTと、カレントトランスCTの2次側コイルの両端間に設けられた抵抗R1によって構成されている。そのために、電力検出部16と高周波電源装置の出力端101との間の伝送線路201上の電流に対応した電圧が、抵抗R1の一端(アース側)と他端(アースと反対側)との間に生じる。そして、抵抗R1の他端での電圧を検出し、検出した電圧を高周波電流Iに対応する信号として出力する。便宜上、この信号を高周波電流Iとする。
電圧検出部203は、電力検出部16と高周波電源装置の出力端101との間の伝送線路とアース(GND)との間に設けられていて、コンデンサC1及びコンデンサC2によって構成されている。そのために、電力検出部16と高周波電源装置の出力端101との間の伝送線路201上の電圧がコンデンサによって分圧される。そして、コンデンサC1とコンデンサC2との接続点から、分圧した電圧を高周波電圧Eに対応する信号として出力する。便宜上、この信号を高周波電圧Eとする。
なお、図2に示した例では、電圧検出部203を2つのコンデンサを用いた構成にしているが、この構成に限定されるものではなく、抵抗やインダクタやトランス(変圧器)を用いた構成にしてもよい。
再度、図1に戻って説明を行う。
負荷インピーダンス演算部21は、電流電圧検出部20から出力する高周波電流Iと高周波電圧Eを用いて電流電圧検出部20から負荷側を見た負荷側インピーダンスZL’を演算して、演算結果を出力するものである。具体的な演算方法としては、先ず高周波電流Iの絶対値|I|、高周波電圧Eの絶対値|E|、及び高周波電流Iと高周波電圧Eとの位相差θieを求め、その後、式(5)によって負荷側インピーダンスZL’の絶対値|ZL’|を演算する。なお、高周波電流I、高周波電圧Eは、電流電圧検出部20において分圧等がされているので、そのことを考慮して演算される。
|ZL’|=|ZL|=|V|/|I| ・・・・・(5)
次に、負荷側インピーダンスZL’の抵抗分をRi、リアクタンス分をXi とし、Z1’=Ri +jXi とおくと、Ri及びXiは式(6)、式(7)で与えられる。
Ri=|ZL’|・cos(θie)=|ZL|・cos(θie) ・・・(6)
Xi=|ZL’|・sin(θie)=|ZL|・sin(θie) ・・・(7)
反射係数演算部22は、負荷インピーダンス演算部21から出力される負荷側インピーダンスZL’の抵抗分Riとリアクタンス分Xiとから、反射係数Γを「実数部+虚数部」の形式で表したときの実数部u1と虚数部v1とを演算する。具体的には、反射係数Γは、特性インピーダンスをZ0として、式(8)で表される。そのため、この式(8)を解くことにより、反射係数Γを式(9)の形式で表したときの実数部u1と虚数部v1とを演算することができる。
Γ=(ZL’−Z0)/(ZL’+Z0)
=(ZL−Z0)/(ZL+Z0) ・・・・・(8)
Γ=u1+jv1 ・・・(9)
このように反射係数Γを「実数部+虚数部」の形式で表した場合、実数部をu軸(横軸)、虚数部をv軸(縦軸)としたuv座標上に反射係数Γを表すことができる。すなわち、uv座標の原点(u1=0,v1=0)をポーラーチャートの中心として、ポーラーチャート上にuv座標を重ねて表示させることができる。なお、式(8)を変形すると、式(10)のように、反射係数Γと特性インピーダンスZ0から負荷側インピーダンスZL’を求める式が得られる。また、反射係数演算部22は、本発明の反射係数演算手段の一例である。
ZL’=ZL=Z0・((1+Γ)/(1−Γ)) ・・・・・(10)
領域設定部23は、反射係数ΓによってPF制御するかPL制御するかを定めるための基準となる領域を定義する関係式を設定するものである。この領域は、反射係数Γを「実数部+虚数部」の形式で表して、uv座標上での関係式を用いて定義される。なお、領域設定部23は、本発明の記憶手段の一例である。
図3は、領域設定部23で設定されている領域の設定データの一例を示すものである。また、図4は、図3で設定している関係式uv座標上に図示したものである。
図3において、内側領域の関係式は、後述する内側領域の境界を定める関係式であり、内側領域は、この関係式で定められた境界の内側の領域を示す。外側領域の関係式は、後述する外側領域の境界を定める関係式であり、外側領域は、この関係式で定められた境界の内側の領域のうち、内部にある内側領域を除くものである。すなわち、内側領域を取り囲むように外側領域を設けている(考え方としては、外側領域が内側領域を含むが、後述するように、外側領域と内側領域とが重なった場合、その重なった領域は内側領域とするので、実質上、上記のように、外側領域は内部にある内側領域を除くものとなる)。
なお、図3、図4では、領域1〜領域3の3つの領域を示しているが、領域の数は限定されるものではない。また、領域1は、PL制御およびPF制御のどちらの制御方式にするかを決めるための基本的な領域であるので、必ず設けられる。しかし、変動領域は、存在しない場合がある。この場合は、変動領域に対応した領域2〜領域3のような領域は、領域設定部23で設定されない。また、領域の大きさ等は一例であって、実際には、その状況に応じて適切な値が設定される。
ところで、前述したように、ポーラーチャートの中心付近(uv座標の原点付近)と変動領域は、PL制御に適した領域である。そこで、反射係数Γ(具体的には反射係数演算部22から出力された反射係数Γ)が、これらの領域内に入るとPL制御にするために、ポーラーチャートの中心付近領域(中心を含む)および変動領域に相当する領域に「内側領域」という特別な領域を設ける。基本的には反射係数Γが、内側領域内に入るとPL制御を行い、内側領域外に出るとPF制御を行うようにする。しかし、反射係数Γが内側領域の境界付近で変動すると、PL制御とPF制御とが交互に目まぐるしく切り替わる、いわゆるハンチング現象を引き起こしてしまう。
そこで、このハンチング現象を防止するために、内側領域の外側に「外側領域」という特別な領域を設け、反射係数Γが、領域設定部23で設定されたいずれかの領域の内側領域の外部から内部に入った場合にはPL制御を行い、反射係数Γが、領域設定部23で設定されたいずれかの領域の外側領域の内部から外部に出た場合にはPF制御を行うようにする。このように制御を行うと、PL制御からPF制御への切り替え基準値と、PF制御からPL制御への切り替え基準値とが異なるので、ハンチング現象を防止することができる。
次に、内側領域および外側領域の設定方法について説明する。
まず、ポーラーチャートの中心付近(uv座標の原点付近)の領域1について説明する。
図9および図10で説明したように、検出部で生じる誤差量の関係から、反射係数の絶対値が大きい場合はPF制御、小さい場合はPL制御が好ましい。そのために概略的には、基準反射係数絶対値を定め、基準反射係数絶対値よりも反射係数絶対値が小さい領域を内側領域とし、その外側に外側領域を設定すればよい。すなわち、内側領域および外側領域は、ポーラーチャートの中心を円の中心とする円形領域とすればよい。この場合、領域1は、円を表す関係式で設定すればよい。
しかし、図9で説明したように、検出部で生じる誤差量は位相角によって異なるので、ポーラーチャートの中心を円の中心とする円形領域よりも、誤差量を考慮して領域を定めた方が好ましい。そのために、検出部で生じる誤差量が図9のような場合は、円形領域よりも図4の領域1のような略楕円形の領域にするのが好ましい。
すなわち、図9の場合は、位相角が約135度のときに誤差量が最大となっているので、図4に示すように、領域1の位相角が約135度の部分の境界は、誤差量の影響を受け難くするために、他の箇所に比べて反射係数の絶対値が小さくなる方向に変形されている。また、他の部分でも、生じる誤差量に応じて領域の境界を変形するとよいが、生じる誤差量は、位相角によって変化しているので均一ではない。そのために、領域1は歪んだ円形状になるが、制御を簡単にするために、形状が似ている楕円形の領域としているのである。
また、上記のように領域1を楕円形とした場合、誤差量の大小関係によって、楕円形の中心がポーラーチャートの中心からずれてしまう。そのために、図3および図4に示すように、領域1の楕円形の中心は、はuv座標の原点からずれている。もちろん、設定の簡易化、制御の簡易化を目的として、楕円形領域よりも円形領域を採用してもよい。
次に、変動領域に関する内側領域および外側領域の設定方法を図4で示した領域2を例にして説明する。
領域2の内側領域は、上述したように変動領域に相当する領域とする。このように設定することによって、上述したように、反射係数演算部22から出力された反射係数Γが内側領域に入った場合に、変動領域に入ったと見なすことができるので、PL制御に切り替えるか否かの判定が可能になる。ところが、変動領域というのは、明確に領域が定まっているものではなく、実際の稼動時や実験時の状況によっても異なる。そのために、変動領域の設定は、領域を大まかに推測して行わざるを得ない。換言すれば、変動領域の設定は、精度よく行うことができない。
そこで、変動領域に相当する内側領域の設定は、精度を上げる代わりに、設定を簡単にし、且つ、制御が簡単にできるようにして、利便性を高めた方が効果的である。そのために、図4に示すように、uv座標上で設定される領域を四角形にすると、反射係数演算部22から出力された反射係数Γが内側領域に入ったか否かを判定し易く、かつ設定が簡単になって好ましい。もちろん、領域2、領域3のような変動領域も、領域1と同様に、円形領域、楕円形領域等の他の形状の領域にしてもよい。
なお、領域2、領域3のような変動領域が存在する場合、これらの変動領域を含むように、領域1を設定してもよい。すなわち、領域1を図3、図4よりも大きな領域にしてもよい。このようにすると、設定が簡易化され、かつ制御も簡単になる。しかし、PL制御は、PF制御にくらべて消費電力量が多いので、省電力化の面から考えると、変動領域が存在した場合は、図3、図4に示したように、変動領域専用の領域を設けて、PF制御にくらべて消費電力量が多いPL制御が適用される領域を可能な限り小さくした方が好ましい。
次に図3、図4に示す領域1と領域3のように複数の領域が重なった場合について説明する。前述したように、ポーラーチャートの中心付近と変動領域は、PL制御に適した領域である。図3、図4に示した例の場合、領域1の内側領域は、ポーラーチャートの中心付近であるためPL制御に適しており、領域2および領域3の内側領域は、変動領域に相当するので、PL制御に適している。それぞれの領域が重ならず単独で存在する場合は、前述した方法で制御をすればよいが、図3、図4に示す領域1と領域3のように、複数の領域が重なった場合は、ある領域の内側領域の中に、他の領域の外側領域が入り込む形になる。
このような場合は、上述した方法では、PL制御またはPF制御のどちらを選択すればよいのか判定できない。そこで、このように内側領域と外側領域とが重なった場合は、内側領域と見なすようにすればよい。
図5は、複数の領域が重なった場合の内側領域および外側領域を説明する図である。この図5は、上記の考え方を図4に適応したものであるが、目盛等を省略している。このように、図4に示す領域1と領域3の2つの領域が合体して、1つの領域になったと見なせばよい。
再度、図1に戻って説明を行う。
領域判定部24は、反射係数演算部22から出力する反射係数Γの実数部u1および虚数部v1によって、適した制御方法を選択する。具体的には、反射係数演算部22から出力する反射係数Γが、領域設定部23で設定されたいずれかの領域の内側領域の外部から内部に入った場合に、後述するスイッチ回路25に対してPL制御に用いる負荷側電力信号Vplを出力するように指令する。また、反射係数Γが、領域設定部23で設定されたいずれかの領域の外側領域の内部から外部に出た場合に、スイッチ回路25に対してPF制御に用いる進行波電力信号Vpfを出力するように指令する。
なお、初期状態である高周波電力の出力開始時には、例えば、次のようにすればよい。
(a)反射係数Γが、領域設定部23で設定されたいずれかの領域の内側領域の内部である場合は、スイッチ回路25に対して負荷側電力信号Vplを出力するように指令する。
(b)反射係数Γが、反射係数Γが、領域設定部23で設定されたいずれかの領域の内側領域の外部である場合に、スイッチ回路25に対して進行波電力信号Vpfを出力するように指令する。
スイッチ回路25は、電力レベル変換器17から出力される進行波電力信号Vpfと負荷側電力演算部18から出力される負荷側電力信号Vplとを入力とし、領域判定部24の指令に基づいて進行波電力信号Vpfと負荷側電力信号Vplのどちらかを出力するように内部のスイッチを切り替える。なお、領域判定部24およびスイッチ回路25で構成される部分は、本発明の制御対象切替手段の一例である。
誤差増幅器26は、電力レベル変換器17から出力される進行波電力信号Vpfあるいは負荷側電力演算部18から出力される負荷側電力信号Vplと、出力電力設定値に対応した出力電力設定信号Vsetとを入力し、進行波電力信号Vpfあるいは負荷側電力信号Vplの大きさが、出力電力設定信号Vsetの大きさと等しくなるように電圧制御可変減衰器13に指令値となる電力制御信号Vpcを出力する。上記の関係を演算式で表すと式(11)または式(12)となる。なお、誤差増幅器26は、本発明の制御手段の一例である。
Vpc∝(Vset−Vpf) ・・・・・(11)
Vpc∝(Vset−Vpl) ・・・・・(12)
前述したように、電圧制御可変減衰器13は、水晶発振器12から出力された高周波信号と後述する誤差増幅器26の出力信号とを入力とし、誤差増幅器26の出力信号を指令値として、入力した高周波信号のレベルを可変させて出力するので、増幅部15の出力を制御することができる。
次に、本発明に係る高周波電源装置を含むシステムにおいて、高周波電源装置から高周波電力が出力されてからの動作を図6を参照して説明する。
図6は、本発明に係る高周波電源装置を含むシステムの整合動作過程における反射係数の変化の一例をポーラーチャート上に表した図である。なお、この図6は、図5で説明したポーラーチャート上に、反射係数の変化を表したものである。
(1)図6のP1:
前述した高周波電源装置を含むシステムにおいて、高周波電源装置から負荷5に高周波電力が供給されて放電可能な状態になると、放電が開始される。この段階では、整合していないために反射波電力が多く、ほぼ全反射の状態である。すなわち、反射係数Γの絶対値|Γ|≒1の状態である。このときの反射係数は、全ての領域の外にあるので、PF制御にて制御される。なお、図6は、ポーラーチャートの中心付近だけを拡大表示しているため、本来のP1の位置は、別の位置にある。その意味で、P1からP2に向かう線を点線で表している。
(2)図6のP2:
整合器3が、反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P2で示される位置に達するが、この時点での反射係数は、全ての領域の外にあるので、PF制御にて制御される。
(3)図6のP3:
整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P3で示される位置に達して、領域2の外側領域内に入るが、この時点では、PF制御にて制御されたままである。
(4)図6のP4:
整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P4で示される位置に達して、領域2の内側領域内に入ると、PL制御に切り替える。
(5)図6のP5:
整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P5で示される位置に達して、領域2の内側領域外に出るが、この時点では、PL制御にて制御されたままである。
(6)図6のP6:
整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P6で示される位置に達して、領域2の外側領域外に出ると、PF制御に切り替える。
(7)図6のP7:
整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P7で示される位置に達して、領域1の外側領域内に入るが、この時点では、PF制御にて制御されたままである。
(8)図6のP8:
整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、P8で示される位置に達して、領域1の内側領域内に入ると、PL制御に切り替える。その後も整合器が、さらに反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その結果、最終的には、整合目標点に到達し、整合状態になる。
(9)図6のP9:
整合状態の間は、PL制御を行うが、負荷の条件(電力供給量など)が変化すると、負荷のインピーダンスが変化して反射が増える場合がある。この場合に、P9で示される位置に達して、領域1の内側領域外に出るが、この時点では、PL制御にて制御されたままである。なお、このP9で示される位置では、図5で説明したように、領域1と領域3の2つの領域が合体して、1つの領域になったと見なしているので、実質的には、P9で示される位置は、領域3の内側領域から外側領域に出た位置である。
(10)図6のP10:
さらに反射波電力が増加し、P10で示される位置に達して、領域3の外側領域外に出ると、PF制御に切り替える。
(11)図6のP11:
さらに反射波電力が増加し、P11で示される位置に達する。この時点での反射係数は、全ての領域の外にあるので、PF制御にて制御されたままである。
(12)以降は、これまで説明した制御と同様であり、整合器が、反射波電力を減少させるように整合動作を行う。その過程で、反射係数がいずれかの領域内に入ると、その状態に応じてPL制御かPF制御のどちらかが選択される。
これまで説明したような方法で制御方式を切り替えることによって、反射係数の絶対値|Γ|の広い領域に亘って、プラズマの消滅現象や整合過程でのハンチング現象を生じさせないようにできる。また、変動領域が存在する場合であっても、余分な消費電力を増加させないことができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施例では、反射係数の具体例として、反射係数演算部22から出力された反射係数Γとしているが、式(1)で示したように減衰進行波信号RFpfと減衰反射波信号RFprとから求めてもよい。
また、複数の変動領域が存在する場合、本来ならば、領域設定部23に設定する領域として、複数の変動領域に対応する複数の領域が必要である。しかし、複数の変動領域が隣接して存在している場合や複数の変動領域が近くに存在している場合は、設定の簡素化、制御の簡易化を目的として、隣接する変動領域または近くにある変動領域を1つとして見なして、領域設定部23に設定する領域を1つにまとめてもよい。
また、整合器3等の外部装置から、反射係数Γや負荷側インピーダンスZLを入力してもよい。
図1は、本発明に係る高周波電源装置1の構成及び高周波電源装置1と整合器3と負荷5との接続関係を示すブロック図である。 図2は、電流電圧検出部20の回路構成例を示したものである。 図3は、領域設定部で設定された領域の設定データの一例を示すものである。 図4は、図3で設定している領域をポーラーチャート上に図示したものである。 図5は、複数の領域が重なった場合の内側領域および外側領域を説明する図である。 図6は、本発明に係る高周波電源装置を含むシステムの整合動作過程における反射係数の変化の一例をポーラーチャート上に表した図である。 図7は、PF制御を用いた従来の高周波電源装置50の構成及び高周波電源装置50と整合器3と負荷5との接続関係を示すブロック図である。 図8は、PL制御を用いた従来の高周波電源装置51の構成及び高周波電源装置51と整合器3と負荷5との接続関係を示すブロック図である。 図9は、PF制御を行う場合に、「理想電力検出部」(検出値に全く誤差のない電力検出部)を使用した場合に得られる理想上の反射係数演算値(真円になる)と、「実電力検出部」の反射波電力検出値から演算した反射係数演算値とをポーラーチャート上に表して比較した図である。 図10は、電力検出部16の整合目標点付近における反射波電力検出特性を表す図である。 図11は、中間領域をポーラーチャート上に示した図である。 図12は、変動領域の一例をポーラーチャート上に示した図である。 図13は、図12に示した変動領域92が存在する場合の基準反射係数絶対値を示す図である。
符号の説明
1 本発明に係る高周波電源装置
2 伝送線路
3 整合器
4 負荷接続部
5 負荷
11 ON/OFF制御部
12 水晶発振器
13 電圧制御可変減衰器
14 AC/DC変換部
15 増幅部
16 電力検出部
17 電力レベル変換器
18 負荷側電力演算部
20 電流電圧検出部
202 電流検出部
203 電圧検出部
21 負荷インピーダンス演算部
22 反射係数演算部
23 領域設定部
24 領域判定部
25 スイッチ回路
26 誤差増幅器

Claims (8)

  1. 負荷に供給する高周波電力の電力値が一定になるように制御する高周波電源装置において、
    高周波電力の供給源となる高周波出力手段と、
    前記高周波出力手段から負荷に向かう進行波および前記負荷側から高周波出力手段側に向かう反射波を検出する検出手段と、
    前記電力検出手段によって検出した進行波および反射波に基づいて、進行波電力に対応する信号および反射波電力に対応する信号を求める電力信号出力手段と、
    前記進行波電力に対応する信号から前記反射波電力に対応する信号を減じることによって負荷側電力に対応した信号を演算する負荷側電力演算手段と、
    高周波電源装置の出力端で検出した高周波情報に基づいて、反射係数を演算する反射係数演算手段と、
    反射係数に関する座標上に関係式によって定義される少なくとも1つの内側領域および前記内側領域の夫々と対をなす少なくとも1つの外側領域を設定する領域設定手段と、
    前記反射係数演算手段で演算された反射係数が前記内側領域のうち、いずれかの内側領域内に入った場合には、前記負荷側電力に対応した信号を電力信号として出力し、前記反射係数演算手段で演算された反射係数が予め設定した少なくとも1つの外側領域のうち、いずれかの外側領域内から外側領域外に出た場合には、前記進行波電力に対応する信号を電力信号として出力する制御対象切替手段と、
    前記制御対象切替手段から出力される電力信号が、出力電力設定値に対応した信号と等しくなるように前記高周波出力手段の出力を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする高周波電源装置。
  2. 前記対をなす内側領域と外側領域との関係において、前記外側領域が前記内側領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の高周波電源装置。
  3. いずれかの前記外側領域といずれかの前記内側領域とが重なった場合、その重なった領域は、内側領域とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波電源装置。
  4. 前記内側領域の個数が1つの場合は、この1つの内側領域が反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定され、前記内側領域の個数が複数個の場合は、1つの内側領域が反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定され、他の内側領域は反射係数に関する座標の座標原点を含まないように設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高周波電源装置。
  5. 前記反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定された内側領域が、円形の領域であることを特徴とする請求項4に記載の高周波電源装置。
  6. 前記内側領域の境界は、前記検出手段で検出する反射波の検出誤差量を考慮して設定されるものであり、検出誤差量が大きい部分ほど座標原点に近くなるように設定されることを特徴とする請求項4に記載の高周波電源装置。
  7. 前記反射係数に関する座標の座標原点を含むように設定された内側領域が、楕円形の領域であることを特徴とする請求項4に記載の高周波電源装置。
  8. 負荷に供給する高周波電力の電力値が一定になるように制御する高周波電源の制御方法において、
    反射係数に関する座標上に関係式によって定義される少なくとも1つの内側領域および前記内側領域の夫々と対をなす少なくとも1つの外側領域を設定しておき、
    出力する進行波電力および負荷側から反射される反射波電力を検出するとともに、高周波電源装置の出力端における反射係数を演算し、
    前記演算した反射係数が、いずれかの前記内側領域内に入った場合には、進行波電力から反射波電力を減じた負荷側電力を一定にする制御を行い、いずれかの前記外側領域内から外側領域外に出た場合には、進行波電力を一定にする制御を行うことを特徴とする高周波電源の制御方法。

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