JP2007084888A - チタン合金の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Va族元素の含有量が多いチタン合金の製造方法であって、組成変動や凝固偏析を従来よりも低減できる製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくともVa族元素を含む合金元素群と主な残部であるチタンとからなる所望の全体組成に調製された平均粒径が20μm〜1mmの均一な原料粉末を固めた粉末固化体を消耗電極1として真空アーク溶解を行う溶解工程と、溶解工程で溶解されてなる合金溶湯2を順次冷却して凝固させる凝固工程と、凝固工程で凝固させて得られた合金鋳塊3を均質化する熱処理を施す熱処理工程と、を備え、全体を100質量%としたときに前記合金元素群を合計で15〜60質量%含み、該合金元素群に含まれる元素およびTiの元素偏析量が0.9質量%以下であるチタン合金が得られることを特徴とする。
なお、「元素偏析量」とは、チタン合金の微小範囲で起こる各元素についての微視的な偏析量である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、組成変動や凝固偏析が少なく均質なチタン合金が得られるチタン合金の製造方法に関する。
チタン合金は比強度に優れるため、航空、軍事、宇宙、深海探査、レーシングカー等の分野で従来から使用されてきた。また、チタン合金は耐食性にも優れるため、腐食環境下にある化学プラントや海洋建築物などにも使用されてきた。さらに、その優れた耐アレルギー性から、医療用具や装身具にもチタン合金が使用されている。チタン合金の具体例としては、たとえば、Ti−5Al−2.5Sn(α合金)、Ti−6Al−4V(α−β合金)、Ti−13V−11Cr−3Al(β合金)等がある。
また、最近では、比強度や耐食性だけでなく、弾性にも優れる新たなチタン合金が開発されている。このようなチタン合金は、人工骨などの生体適合品、歯矯正用ワイヤーなどの医療用具、めがねのフレームなどの装身具、ゴルフクラブなどのスポーツ用品、スプリング等に使用されつつある。
上記のようなチタン合金は、溶製法により製造できる。溶製法としては、加熱方式の違いにより、電子ビーム溶解(EBM)法のほか、(消耗電極式)真空アーク溶解(VAR)法、プラズマビーム溶解(PBM)法、インダクションスカル溶解(ISM)法などが挙げられる。なかでもVAR法は、品質の高い鋳塊(インゴット)を高効率で製造できる方法である。
VAR法によりチタン合金インゴットを作製する場合には、図1に示すような装置を使用する。具体的には、真空または不活性ガス雰囲気に調整されたチャンバー11内で、溶融原料からなる消耗電極1と合金溶湯2の表面との間に直流アークを発生させ、その熱により消耗電極1が溶解される。溶解された合金溶湯が溜まってできた溶融プール2は、水冷銅るつぼ12にて下側から冷却されて凝固し、インゴット3が得られる。
VAR法によるチタン合金の製造では、通常、消耗電極としてスポンジチタンや合金元素の単なる混合物や固化体が用いられる(特許文献1および特許文献2参照)。特許文献1や特許文献2では、溶融プール2の深さを調整することで、合金元素の偏析を低減している。また、スポンジチタンをプレス成形したような消耗電極では、一回の溶解だけでは均質なチタン合金が得られず、得られたインゴットを繰り返し消耗電極として用いることで、比較的均質なチタン合金を得ている。
特開平05−214458号公報 特開平09−071827号公報
ところが、Va族元素の含有量が多いチタン合金を上記従来の方法で製造すると、Va族元素は高融点で高比重であるため、安定した溶解条件の設定が困難で溶け残りが生じやすい。そのため、Va族元素の濃度がチタン合金の部位によって大きく変動(たとえば合金鋳塊の中央部と外側部といった広範囲でみられる巨視的な組成変動)したり、合金元素や化合物相が偏析したり、など均質なチタン合金を製造することが困難である。このようなチタン合金の巨視的な不均質性は、加工や熱処理といった後工程を施しても簡単には解消されない。仮に、巨視的には均質であっても、チタン合金の微小範囲で生じる組成変動や微小部分における凝固偏析があると、特定の組成を有するチタン合金がもつ特異な特性が良好に発揮されないという問題がある。そのため、従来よりもさらに組成変動や凝固偏析が低減できる、均質なチタン合金の製造方法が求められている。
本発明は、上記問題点に鑑み、従来法を用いた場合よりも組成変動や凝固偏析をさらに低減できる、Va族元素の含有量が多いチタン合金の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、Va族元素を多く含むチタン合金であっても、適切な消耗電極を用いたVAR法で溶製し、さらに、得られた合金鋳塊に熱処理を施すことで、巨視的にも微視的にも均質なチタン合金が得られることを見出した。
すなわち、本発明のチタン合金の製造方法は、少なくともVa族元素を含む合金元素群と主な残部であるチタン(Ti)とからなる所望の全体組成に調製された平均粒径が20μm〜1mmの均一な原料粉末を固めた粉末固化体を消耗電極として真空アーク溶解(VAR)を行う溶解工程と、該溶解工程で溶解されてなる合金溶湯を順次冷却して凝固させる凝固工程と、該凝固工程で凝固させて得られた合金鋳塊を均質化する熱処理を施す熱処理工程と、を備え、全体を100質量%としたときに前記合金元素群を合計で15〜60質量%含み、該合金元素群に含まれる元素およびTiの元素偏析量が0.9質量%以下であるチタン合金が得られることを特徴とする。
なお、本発明において「元素偏析量」とは、チタン合金の微小部分で起こる各元素についての微視的な偏析量である。たとえば、チタン合金の中央部の組成と外周部の組成とに差が生じるような、合金鋳塊の広範囲に生じる巨視的な組成の変動量ではない。そのため、前記元素偏析量は、たとえば、電子プローブマイクロアナライザ(electron probe microanalyser:EPMA)を用いた分析により得られた微小部分の元素濃度と、チタン合金の全体組成と、の差であるのが好ましい。また、前記元素偏析量の変動の周期は、50μm〜500μmであるのが好ましい。
さらに、前記凝固工程後に、該凝固工程で得られた前記合金鋳塊を消耗電極として真空アーク溶解を行う第二溶解工程と、該第二溶解工程で溶解した前記二次合金溶湯を順次冷却して凝固させる第二凝固工程と、を備えるのが望ましい。
本発明のチタン合金の製造方法によれば、Va族元素の含有量が15〜60質量%と多いチタン合金であっても、組成変動や凝固偏析が低減された均質なチタン合金を製造することができる。
本発明の製造方法は、従来のVAR法と異なり、消耗電極として、平均粒径が20μm〜1mmの均一な原料粉末を固めた粉末固化体を使用する。すなわち、本発明の製造方法は、スポンジチタンや合金元素の単なる混合物や固化体を溶解するものではない。本製造方法では、消耗電極が、平均粒径が20μm〜1mmの均一な原料粉末を固めた粉末固化体であり、従来の溶製法では溶け残りを生じやすいVa族元素が微細な粉末状で存在する。そのため、Va族元素は高融点であっても非常に溶けやすい状態にあり、原料粉末中に多量のVa族元素が存在しても、均質な合金溶湯が得られる。さらに、比較的小さな粉末を用いるため、元素偏析量の変動の周期を小さく抑えることができる。また、その溶解性も非常に安定しており、溶解速度や溶解条件などが合金溶湯の均質性に大きく影響することもない。得られた合金溶湯は、順次冷却され凝固するため、凝固してできた合金鋳塊は、合金溶湯の均質性を保ったまま、合金鋳塊の部位に関わらず均質な組織を形成する。
次に、前工程で得られた合金鋳塊に熱処理を施し、偏析を起こしやすいVa族元素等の合金元素群を均一に拡散させることにより、微小部分で生じる微視的な元素偏析が低減される。
すなわち、本発明のチタン合金の製造方法によれば、VAR法において用いられる原料粉末の平均粒径を最適化するとともに、得られた合金鋳塊に熱処理を施すことで、Va族元素の含有量に関わらず、元素偏析量で0.9質量%以下である微視的に均質なチタン合金が得られる。原料粉末の平均粒径が適切な範囲にないと、得られた合金鋳塊に熱処理を施しても上記の効果はない。また、適切な平均粒子径をもつ原料粉末からなる消耗電極を用いて作製した合金鋳塊であっても、熱処理を施さない限り、微視的にも均質なチタン合金は得られない。
さらに、VAR法による溶解を繰り返し行う(いわゆる二次溶解、二回溶解)ことで、合金鋳塊の巨視的な成分変動や凝固偏析がさらに低減される。
本発明のチタン合金の製造方法は、主として、溶解工程と、凝固工程と、熱処理工程と、を備え、全体を100質量%としたときに少なくともVa族元素を含む合金元素群を合計で15〜60質量%含む、均質なチタン合金が得られる。なお、本発明において、チタン合金とは、全体に占めるTi量が限定されるものではなく、合金元素群以外の主残部がTiであればよい。敢えていうならば、Tiが50原子%以上であるのが好ましい。
[溶解工程]
溶解工程では、原料粉末を固めた粉末固化体を消耗電極として真空アーク溶解(VAR)を行う。
原料粉末は、少なくともVa族元素を含む合金元素群と、主な残部であるTiと、からなる。合金元素群は、少なくともVa族元素を含むが、本発明におけるVa族元素は、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)のうちの1種あるいは複数種であればよい。前述のように、高融点で高比重であるVa族元素は、原料粉末中に多く含まれると、組成変動や凝固偏析の原因となる。そのため、本発明の製造方法では、Va族元素の含有量が多い場合に有効である。したがって、Va族元素は、チタン合金全体を100質量%としたときに、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上さらには30質量%以上、となるように原料粉末を調製するとよい。また、Va族元素は、チタン合金全体を100質量%としたときに、60質量%以下、55質量%以下さらには50質量%以下、となるように原料粉末を調製すると、さらに均質で所望の特性を十分に発揮することができるチタン合金を得ることができる。
なお、参考に、Ti、Nb、Taの密度および融点を記す。Ti:密度4.50[g/cm3 ]、融点1660℃。Nb:密度8.57[g/cm3 ]、融点2468℃。Ta:密度16.65[g/cm3 ]、融点2996℃。
Va族元素の合金元素毎の含有量に特に限定はないが、たとえば、原料粉末を100質量%としたときに、Nb:10〜45質量%、Ta:0〜30質量%、V:0〜7質量%、で調製されるとよい。
また、合金元素群には、Va族元素以外にIVa族元素(ジルコニウム(Zr)やハフニウム(Hf))やスカンジウム(Sc)のうちの1種あるいは複数種を含んでもよい。これらの合金元素は、チタン合金の弾性や強度、靱性などの向上に有効である。IVa族元素やScは、チタン合金全体を100質量%としたときに、それらの合計が20質量%以下、さらには2〜15質量%となるように原料粉末が調製されるとよい。これらの元素の含有量が過少では、その効果が少ない。また、含有量が過多になると、凝固偏析が生じやすくなるため、望ましくない。なお、Zr、HfまたはScは、Va族元素の作用と共通する部分が多いため、所定の範囲内でVa族元素と置換してもよい。
IVa族元素やScの合金元素毎の含有量に特に限定はないが、たとえば、Zrであれば、原料粉末を100質量%としたときに、2〜10質量%、で調製されるとよい。
また、合金元素群として、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)の1種以上を含んでもよい。これらの元素は、チタン合金の強度や熱間鍛造性の向上に有効な元素である。CrやMoは、チタン合金全体を100質量%としたときに、合計で1〜20質量%さらには3〜15質量%となるように原料粉末が調製されるのが好ましい。これらの元素の含有量が過少では、その効果が少ない。特に、CrやMoの含有量が過多になると、凝固偏析が生じやすくなるため、好ましくない。Mn、Fe、CoやNiは、チタン合金全体を100質量%としたときに、10質量%以下、さらには2〜7質量%となるように原料粉末が調製されるのが好ましい。これらの元素の含有量が過少では効果が少なく、含有量が過多になると、Tiと金属間化合物を形成して得られるチタン合金の延性が低下するためである。
また、原料粉末は、酸素(O)、炭素(C)または窒素(N)を含んでもよい。これらの元素は、いずれも侵入型の固溶強化元素であり、チタン合金のα層を安定にし、強度向上に有効な元素である。これらの元素は、チタン合金全体を100質量%としたときに、Oであれば0.08〜0.6質量%さらには0.15〜0.45質量%、Cであれば0.05〜1.0質量%さらには0.1〜0.8質量%、Nであれば0.05〜0.8質量%さらには0.1〜0.6質量%、となるように原料粉末が調製されるのが好ましい。含有量が過少では、効果が少なく、過多となるとチタン合金の脆化を招くので好ましくない。
その他、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、などを含んでもよい。すなわち、原料粉末は、製造するチタン合金の特性に応じて、TiやVa族元素の他、チタン合金の合金元素として通常用いられるZr、Hf、Sc、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Sn、Al、O、C、N、B、等を適宜調製すればよい。
原料粉末は、素粉末(純金属粉末)を混合してなる混合素粉末でもよいし、素粉末および合金粉末を混合してなる混合粉末でもよいし、2種以上の合金粉末を混合した混合粉末でもよいし、1種の合金粉末のみで所望の全体組成が構成されてもよい。本発明においては、原料粉末として混合素粉末を用いるのが好ましい。混合素粉末を調製する際には素粉末を混合するため、組成調整が容易であり、各元素粉末が均一に分散した粉末固化体が容易に得られるからである。
なお、単一元素からなる素粉末としては、Nb、Ta、Zr等のそれぞれの素粉末はもちろんのこと、Ti素粉末であれば、その粒子の表面に酸化被膜(TiO2 )が形成されている場合も含む。本発明のチタン合金の製造方法によれば、原料粉末が含有する酸素量にかかわらず、微視的に均質なチタン合金を得ることができる。
原料粉末を混合する際には、V型混合機、ボールミルおよび振動ミル、高エネルギーボールミル(たとえばアトライタ)等を使用できる。原料粉末の均質性は、原料粉末を固めた粉末固化体の均質性に繋がるため、原料粉末は均一に混合されるのがよい。
原料粉末は、各粉末の平均粒径が同一である必要はないが、平均粒径が20μm〜1mmの均一な原料粉末である必要がある。原料粉末の平均粒径がこの範囲にあれば、高融点であるVa族元素の粉末でも瞬時に溶けて、溶け残りを生じることがない。また、たとえば粒径が1mmを超える大きな粉末を用いると、いくら混合により原料粉末全体を均一に混合しても、粒子の大きさの影響で、微小な範囲はもちろん、巨視的な範囲でも不均質性が生じる。原料粉末として上記範囲内にある微粉末を用いることにより、原料粉末の均質性はもとより、原料粉末を固めた粉末固化体、ひいてはVAR法により得られる合金溶湯、合金鋳塊の均質性が高まり、得られるチタン合金の組成変動距離(元素偏析量の変動の周期;後述)を小さくできる。
また、原料粉末の平均粒径は、本来、微細なほど望ましいが、微細な粒子は、入手困難で高コストである。さらに、凝集して二次粒子を形成することもあるため、原料粉末の均質性が低下する虞がある。また、Ti粉末に関していえば、微細な粒子である程、酸化被膜の単位体積当たりの面積が大きくなり、酸素の含有量が増加して脆化するなど、チタン合金の特性に影響を及ぼす。したがって、原料粉末の平均粒径は、20μm以上さらには45μ以上、1mm以下さらには150μm以下であれば、入手性、コスト、取り扱い性の面でも好ましい。
また、原料粉末は、平均粒径の異なる粉末を混合してもよい。ただし、原料粉末の均質性を確保する上で、使用する粉末の平均粒径は近い方が望ましい。単に平均粒径が類似しているだけでなく、粒径分布も類似している方がよい。さらには、粒径分布の幅が狭い方がよい。なお、本明細書の平均粒径とは、メジアン径である。メジアン径とは、粒子の累積が50%に相当する粒子径を意味する。
原料粉末の形状に限定はないが、略球状、特に不規則な形状が好ましく、成形性に優れる。このような形状の粉末は、各種アトマイズ粉末、各種水素化粉末を使用できる。チタン合金粉末であれば、ガスアトマイズ法、回転電極法(REP法)、プラズマ回転電極法(PREP法)等により製造可能である。また、チタン合金粉末は、インゴットやリサイクル材の水素粉砕やメカニカルアロイング等によっても製造可能である。
上記の原料粉末を固めた粉末固化体は、VARによる溶解の消耗電極として用いられる。粉末固化体としては、原料粉末を加圧して成形した粉末成形体であってもよいが、粉末成形体を加熱して焼結させた粉末焼結体であるのが好ましい。粉末成形体を焼結することで、内在する気孔のほとんどを独立気孔とすることができ、焼結体に吸着される水分などが低減されるとともに、各合金元素とTiとの合金化が進行する。したがって、粉末焼結体であれば、VARによる溶解条件が安定化し、この粉末焼結体が溶解した合金溶湯は均質性が高い。なお、粉末焼結体の相対密度(理論密度に対する嵩密度の割合)は、80%以上であるのが好ましい。
粉末成形体は、金型成形、冷間静水圧プレス成形(CIP成形)、ゴム静水圧プレス成形(RIP成形)等を用いて成形されるのがよい。粉末成形体は、強度や成形コストの面から、その相対密度が50%以上、65%以上さらには80%以上であり、90%以下さらには85%以下が好ましい。
粉末焼結体は、粉末成形体を加熱して焼結させてもよいし、原料粉末を熱間静水圧プレス成形(HIP成形)等により焼結させてもよい。焼結は、真空中または不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温度および時間は、各成分元素が拡散しやすい範囲(たとえば、1200〜1600℃で0.5〜16時間)で行うとよい。HIP成形であれば、拡散が容易で原料粉末の変形抵抗が小さく、容器と反応しにくい条件、たとえば、成形圧力:50〜200MPa、加熱温度:900〜1300℃、加熱時間:1〜10時間、で行うのがよい。
粉末固化体の形状は、VARの消耗電極として用いられる際に、その装置に適した形状であればよい。具体的には、棒状または柱状の横長形状であるのが好ましく、長尺である程、溶解速度や凝固速度の調整が容易である。粉末固化体を複数個結合させて作製してもよい。
真空アーク溶解(VAR)は、粉末固化体(原料粉末)を消耗電極として、消耗電極と合金溶湯(溶解した粉末固化体の溶湯)との間に高電圧を印加しアークを発生させて、粉末固化体を溶解する。
図1に、本発明のチタン合金の製造方法で、溶解工程においてVARによる溶解を行える消耗電極式真空アーク溶解装置の一例を示す。消耗電極式真空アーク溶解装置10は、主として、気密性のあるチャンバー11と、チャンバー11の下部に配設された水冷可能な銅製のるつぼ12と、チャンバー11に設けた電極端子13と、電極端子13およびるつぼ12に接続された直流高圧電源と、からなる。溶融原料である粉末固化体は、電極端子13に固定され、消耗電極1となる。直流高圧電源の負極は、電極端子13(消耗電極1)に接続される。一方、正極は、るつぼ12に接続される。チャンバー11は、るつぼ12により上部空間と下部空間とに区画されている。上部空間は、真空ポンプに連結され、真空雰囲気に調整可能となっている。下部空間は、冷却水の流路となる。
合金鋳塊を作製する際には、まず、粉末固化体を電極端子13に固定してるつぼ12内に吊り下げ、消耗電極1を準備する。そして、Tiの酸化を抑制するために、チャンバー11内を真空(たとえば10-3〜10-4Pa)とする。消耗電極1とるつぼ12との間に直流高電圧(たとえば5000〜8000V)を印加すると、消耗電極1の下端部と、るつぼ12との間でアーク放電が生じ、アーク電流が流れる。このとき、消耗電極1が加熱され、粉末固化体は溶解する。粉末固化体は溶解すると、溶滴となって滴下し、るつぼ12に合金溶湯が溜まって溶融プール2を形成する。溶融プール2の湯面は、粉末固化体の連続的な溶解とともに上昇し、アーク放電は消耗電極1の下端部と湯面との間で連続的に生じる。このとき、主に溶融プール2の下部は、るつぼ12により冷却されるため、順次凝固し(凝固工程)、合金鋳塊3が得られる。
このようなVAR法は、たとえば電子ビーム溶解(EBM)法に比べ、溶解速度が速く、大型のインゴットの作製が容易である。ところが、一般に、溶解速度が速いと、得られる合金鋳塊に成分変動や凝固偏析が生じやすいため、上記の二次溶解または二回以上繰り返しの溶解(三次溶解、四次溶解、…)が行われる。しかしながら、本発明の製造方法では、前述のように最適化された消耗電極を用いるため、1度の溶解であっても、成分変動や偏析の少ない合金鋳塊が得られる。また、VAR法は、Tiの蒸発が少ないため、生産性やTiの原料の歩留まりが向上する。さらに、消費電力が少ない点も有利である。
[凝固工程]
凝固工程は、溶解工程で溶解されてなる合金溶湯を順次冷却して凝固させる工程である。上述のように、溶解工程のVAR法により溶解され、るつぼ12に溜められた合金溶湯(溶融プール2)は、るつぼ12により冷却され、凝固して合金鋳塊3となる(図1)。凝固工程では、溶解から凝固までが短時間に行われるため、粉末固化体の均質性が、合金溶湯の均質性へ継承されると考えられる。既に説明したように、特定の平均粒径をもつ均一な原料粉末を固めた粉末固化体の均質性は高いため、得られる合金溶湯も均質性が高い。
凝固工程における金属溶湯の凝固速度に特に限定はないが、200kg/hr以上、300kg/hr以上さらには500kg/hr以上が好ましい。凝固速度が速い程、均質な合金鋳塊を得ることができるし、工業的な生産性が向上するからである。VAR法では、溶解した合金溶湯が順次凝固するため、溶解速度と凝固速度とがほぼ等しい。したがって、均質な合金鋳塊を得るには、溶解工程における溶解速度を上記範囲に調整するとよい。なお、「溶解速度」は単位時間当たりの溶解処理量、「凝固速度」は単位時間当たりの凝固処理量、である。
本発明のチタン合金の製造方法は、さらに、凝固工程後に、凝固工程で得られた合金鋳塊を消耗電極として真空アーク溶解を行う第二溶解工程と、第二溶解工程で溶解した二次合金溶湯を順次冷却して凝固させる第二凝固工程と、を備えてもよい。すなわち、既に述べた二次溶解を行ってもよい。この場合、(第一)溶解工程で得られた合金鋳塊を上下反転させた状態で消耗電極として再溶解させると、より均質な合金鋳塊が形成されやすい。
[熱処理工程]
熱処理工程は、凝固工程で凝固させて得られた合金鋳塊を均質化する熱処理を施す工程である。これまで説明したように、溶解工程および凝固工程だけでも、巨視的には非常に均質なチタン合金(合金鋳塊)が得られるが、組成や組織を均質化する熱処理(いわゆる均質化処理)を施すと、微小部分における偏析が低減され、微視的にも均質化されて均質性がより一層高いチタン合金が得られる。具体的には、合金元素群に含まれる元素およびTiの元素偏析量が0.9質量%以下であるチタン合金である。特に、主としてNb、Ta、Zrを含むチタン合金であれば、ZrおよびTaの偏析量が0.5質量%以下、NbおよびTiの元素偏析量が0.9質量%以下であるのが好ましい。
ここで、元素偏析量とは、既に説明したように、微小部分における各元素についての微視的な偏析量を指す。そのため、元素偏析量を求めるには、チタン合金の微小部分を単位に元素量を分析可能な装置により組成を分析する必要がある。したがって、元素偏析量は、EPMA(エレクトロンプローブマイクロアナライザ)を用いた分析により得られる元素濃度から求めるのが好ましい。EPMA分析により得られた特定の元素の元素濃度と、チタン合金の全体組成における特定元素の元素濃度と、の差(絶対値)を元素偏析量とすることができる。「チタン合金の全体組成」とは、たとえば、各種分析により得られるチタン合金の全体組成であるが、本発明においては、目標組成と、得られたチタン合金の組成と、がほぼ同一であるため、全体組成としてチタン合金の目標組成を用いてもよい。具体的には、たとえば、EPMAの線分析によれば、チタン合金を構成する各元素の濃度分布は、通常、分析部位全体の平均化した全体組成(平均組成)を中心とした波形として表れる。そのため、EPMA分析における全体組成からの変動量が最大のものが、最大元素偏析量となる。本発明のチタン合金の製造方法によれば、最大元素偏析量を0.9質量%以下とすることができる。
なお、従来の方法によりVa族元素を多く含むチタン合金を製造すると、元素偏析量(変動量)は1.0質量%以上、元素の種類によっては3.0質量%以上であった。チタン合金は、1.0質量%の偏析であっても性質が変化するため、所望の特性をもつチタン合金が得られない。一方、本発明の製造方法により得られたチタン合金は、元素偏析量を0.9質量%以下に収めることができため、所望の特性を有するチタン合金が得られる。この際、元素偏析量の変動(波形)の周期(すなわち組成変動距離)は、500μm以下、50μm〜400μmさらには50μm〜200μmであるのが好ましい。熱処理工程は、50μm〜500μm程度の微小範囲で見られる不均一性を低減するものである。
熱処理工程は、原料粉末の組成や溶解条件にもよるが、各元素が拡散する程度の温度と時間で行えばよい。たとえば、真空中にて、900〜1400℃で0.5〜200時間行われるのがよい。最適な条件で熱処理されたチタン合金は、より一層均質化される。具体的には、主としてNb、Ta、Zrを含むチタン合金であれば、真空中にて、1200℃〜1350℃で8〜24時間行われるのが望ましい。
以上、本発明のチタン合金の製造方法の実施形態を説明したが、本発明のチタン合金の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に本発明のチタン合金の製造方法の実施例を比較例とともに図1〜図5を用いて説明する。
[チタン合金インゴットの作製]
[試料No.1]
平均粒径が20〜100μmのTi粉末(酸素0.3質量%含有)、平均粒径が20〜100μmのNb粉末、平均粒径が20〜100μmのTa粉末、平均粒径が20〜100μmのZr粉末を準備した。Ti−36Nb−2Ta−3Zr(単位は質量%)を目標組成として、各素粉末を配合した。各素粉末は、ボールミルを用い、均一に分散するように十分混合して、所望の全体組成に調製された原料粉末を得た。
得られた原料粉末をゴム型に充填し、成形圧力270MPaでCIP成形して、φ160mm×250mmの円柱状の粉末成形体を得た。この粉末焼結体を、真空雰囲気(3×10-3Pa)の加熱炉中で、1350℃で12時間加熱して焼結させた。得られた粉末焼結体を軸方向に4個溶接して、φ160mm×1000mmの円柱状の消耗電極を作製した。
この粉末焼結体を、既に説明した消耗電極式真空アーク溶解装置10(図1)の所定の位置に配置し、VAR法による溶解を2回(一次溶解および二次溶解)行った。一次溶解は、真空中(5×10-3Pa)にて、印加電力8kA×80Vとし、溶解速度を500kg/hrに調整し、φ180mm×700mmの円柱状の消耗電極用インゴットを得た。二次溶解は、一次溶解で得られたインゴットを消耗電極として用い、真空中(5×10-3Pa)にて、印加電力12kA×80Vとし、溶解速度を700kg/hrに調整し、φ220mm×500mmの円柱状のチタン合金インゴット(重量100kg)を得た。このチタン合金インゴットをNo.1−0とする。
次に、No.1−0のインゴットに対して、均質化熱処理を施した。熱処理条件は、1300℃で16時間とした。得られたチタン合金インゴットをNo.1−1とする。
No.1−1のインゴットに対して、熱間鍛伸の後に熱間圧延して、φ9.5mmのコイル材とした。得られたコイル材をNo.1−2とする。
さらに、No.1−2のコイル材に対して、冷間伸線して冷間伸線材とした。得られた線材をNo.1−3とする。
[試料No.2]
Ti粉末を、平均粒径が20〜100μmのTi粉末(酸素0.5質量%含有)に変更した他は、試料No.1と同様にしてチタン合金インゴット(No.2−0)、コイル材(No.2−2)および線材(No.2−3)を作製した。
[試料No.3]
原料粉末を、合金ブリケット(10mm〜15mm塊状)とした他は、試料No.1と同様にしてチタン合金インゴット(No.3−0)を作製した。
[試料No.4]
熱処理を行わない他は、試料No.1と同様にしてコイル材(No.4−2)および線材(No.4−3)を作製した。
表1に、各試料の消耗電極の形態ならびに施した加工プロセスを示す。
Figure 2007084888
[評価1]
試料No.1−0、No.2−0、No.3−0について、蛍光X線による組成分析を行った。組成分析には、直径方向横断面から切り出した分析試験片(20mm×20mm×10mm)を用いた。分析試験片は、チタン合金インゴットの上部、中央部、下部、の軸方向に位置が異なる3カ所から切り出し、それぞれについて分析を行った。結果を表2に示す。なお、表中の数値の単位は質量%である。
Figure 2007084888
消耗電極として焼結体を用いて作製されたNo.1−0およびNo.2−0のチタン合金インゴットは、部位によらず安定した組成を示した。その組成は、目標組成とほぼ一致した。また、No.1−0とNo.2−0とでは、原料粉末に用いたTi粉末の酸素含有量が異なるが、酸素含有量の多少に関わらず、チタン合金インゴットの組成変動は小さかった。一方、No.3−0のチタン合金インゴットの組成は、目標組成から大きくはずれた。No.3−0は、消耗電極としてブリケットを用いたため、部位によって組成変動が大きく、VAR法による溶解を2回行っても均質なチタン合金インゴットを得られなかった。
つまり、VAR法の消耗電極として焼結体を用いれば、得られるチタン合金インゴットの巨視的な組成変動や凝固偏析が低減された。
[評価2]
No.1−0、1−1、1−2、No.2−2、No.4−2の各試料について、EPMA分析を行った。EPMA分析は、全ての微小部分に対して偏析量を求めるのではなく、偏析が最も大きく表れると予測される各試料の中心部(最終凝固部)を直径方向横断面から切り出した分析試験片について、長さ3mmの範囲で線分析を行い、最大元素偏析量を計算により求めた。EPMA分析結果の一部を図2〜図5に示す。また、EPMA分析結果より算出したTi、Nb、Ta、Zrの最大元素偏析量を表3に示す。なお、図の各グラフの縦軸および表中の数値の単位は質量%である。
Figure 2007084888
ここで、図2のEPMA分析結果から、Taの最大元素偏析量CMAX は、
MAX =( H ×(Lに対応するTaの濃度)/L)/2
から求めた。ここで、Hは、EPMA分析で得られた波形のうち、同一周期内の山での値と谷での値との差であって、差が最大のものである。Lは、キャリブレジョン用スケール長である。組成変動距離は、たとえば、図2のDで示される長さである。他の元素についても同様である。
図2はNo.1−0、図3はNo.1−1のEPMA分析結果である。No.1−0は、[評価1]でも述べたように、巨視的な組成変動が低減されており、図2からも、組成変動距離は50μm〜500μmであることがわかった。しかしながら、Ti、Nb、Ta、Zrの各組成に大きな変動が見られ、微視的な凝固偏析が生じていた。
No.1−0に熱処理を施したNo.1−1では、各元素の変動は小さく、No.1−0よりも微視的に均質な状態であることがわかった(図3)。すなわち、熱処理により微視的な凝固偏析が低減されることが確認できた。
また、表3は、No.1−2、No.2−2、No.4−2の各コイル材の元素偏析量を示す。No.1−2およびNo.2−2では、TiとNbの元素偏析量は0.9質量%以下、TaとZrの元素偏析量は0.5質量%以下、に低減された。一方、熱処理の施されていないNo.4−2では、1.0質量%以上の元素偏析が生じた。
すなわち、VAR法の消耗電極として焼結体を用いて作製されたチタン合金インゴットを熱処理することにより、微視的な組成変動や凝固偏析が低減された。
[評価3]
No.1−2、No.2−2、No.4−2の各コイル材およびNo.1−3、No.2−3、No.4−3の各線材から引張試験片を作製し、機械的特性を測定した。結果を表4および表5に示す。
Figure 2007084888
Figure 2007084888
目標組成がTi−36Nb−2Ta−3Zrのチタン合金は、高強度で低弾性な材料である。No.1−2およびNo.2−2の各コイル材は微視的な組成変動や凝固偏析が低減され、元素偏析量が0.9質量%以下であるため、所望の特性を十分発揮することができるコイル材であった。具体的には、No.1−2および2−2の各コイル材は、引張強度が800MPaを超え高強度であって、縦弾性係数(ヤング率)が50〜70GPa程度で低剛性であった。また、No.1−2および2−2の各コイル材を冷間伸線したNo.1−3および2−3の各線材は、さらに高強度、低剛性化して、特性がさらに向上した。
一方、No.4−2のコイル材は、No.1−2および2−2と同様の目標組成をもちながら、引張強度が800MPa以下で低いものであった。つまり、適切な熱処理が施されていないNo.4の各試料は、微視的な組成変動や凝固偏析が存在し、熱間圧延をする程度では十分に均質化されなかったと考えられる。
本発明のチタン合金の製造方法によれば、低ヤング率、高弾性変形能、高強度であるチタン合金を効率よく製造することができる。得られるチタン合金は、その特性に適合する製品に幅広く利用される。たとえば、産業機械、自動車、バイク、自転車、家電品、航空宇宙機器、船舶、装身具、スポーツ・レジャー用品、生体関連品、医療器材、玩具などに利用される。
具体的には、自動車の(コイル)スプリング、装身具では眼鏡フレーム、スポーツ・レジャー用品ではゴルフクラブ、医療分野では、人工骨、人工関節、人工移植片、骨の固定具、歯科矯正ワイヤ、人工歯根などの生体に配設されるものや医療器械の機能部材(カテーテル、鉗子、弁など)等に利用できる。
その他、各種素材(線材、棒材、角材、板材、箔材、繊維、織物など)、携帯品(時計(腕時計)、バレッタ(髪飾り)、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ピアス、指輪、ネクタイピン、ブローチ、カフスボタン、バックル付きベルト、ライター、万年筆のペン先、万年筆用クリップ、キーホルダー、鍵、ボールペン、シャープペンシル等)、携帯情報端末(携帯電話、携帯レコーダ、モバイルパソコン等のケース等)、エンジンバルブ用のスプリング、サスペンションスプリング、バンパー、ガスケット、ダイアフラム、ベローズ、ホース、ホースバンド、ピンセット、釣り竿、釣り針、縫い針、ミシン針、注射針、スパイク、金属ブラシ、椅子、ソファー、ベッド、クラッチ、バット、各種ワイヤ類、各種バインダ類、クリップ類、クッション材、各種メタルシール、エキスパンダー、トランポリン、各種健康運動機器、車椅子、介護機器、リハビリ機器、ブラジャー、コルセット、カメラボディー、シャッター部品、暗幕、カーテン、ブラインド、気球、飛行船、テント、各種メンブラン、ヘルメット、魚網、茶濾し、傘、消防服、防弾チョッキ、燃料タンク等の各種容器類、タイヤの内張り、タイヤの補強材、自転車のシャシー、ボルト、定規、各種トーションバー、ゼンマイ、動力伝動ベルト(CVTのフープ等)等の各種分野の各種製品に利用することができる。
消耗電極式真空アーク溶解装置の概要を示す模式図である。 試料No.1−0のEPMA分析結果を示すとともに、偏析量の算出方法を説明するグラフである。 試料No.1−1のEPMA分析結果を示すグラフである。 試料No.1−2のEPMA分析結果を示すグラフである。 試料No.4−2のEPMA分析結果を示すグラフである。
符号の説明
1:消耗電極(粉末固化体)
2:溶融プール(溶融合金)
3:合金鋳塊

Claims (10)

  1. 少なくともVa族元素を含む合金元素群と主な残部であるチタン(Ti)とからなる所望の全体組成に調製された平均粒径が20μm〜1mmの均一な原料粉末を固めた粉末固化体を消耗電極として真空アーク溶解を行う溶解工程と、
    該溶解工程で溶解されてなる合金溶湯を順次冷却して凝固させる凝固工程と、
    該凝固工程で凝固させて得られた合金鋳塊を均質化する熱処理を施す熱処理工程と、
    を備え、全体を100質量%としたときに前記合金元素群を合計で15〜60質量%含み、該合金元素群に含まれる元素およびTiの元素偏析量が0.9質量%以下であるチタン合金が得られることを特徴とするチタン合金の製造方法。
  2. 前記原料粉末の平均粒径は、45μm〜150μmである請求項1記載のチタン合金の製造方法。
  3. 前記粉末固化体は、前記原料粉末を加圧して成形した粉末成形体を加熱して焼結させた粉末焼結体である請求項1または2記載のチタン合金の製造方法。
  4. 前記元素偏析量は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いた分析により得られた微小部分の元素濃度と、チタン合金の全体組成と、の差である請求項1記載のチタン合金の製造方法。
  5. 前記元素偏析量の変動の周期は、50μm〜500μmである請求項4記載のチタン合金の製造方法。
  6. 前記熱処理工程は、真空中にて、900℃〜1400℃で0.5〜200時間行う請求項1記載のチタン合金の製造方法。
  7. さらに、前記凝固工程後に、該凝固工程で得られた前記合金鋳塊を消耗電極として真空アーク溶解を行う第二溶解工程と、該第二溶解工程で溶解した前記二次合金溶湯を順次冷却して凝固させる第二凝固工程と、を備える請求項1記載のチタン合金の製造方法。
  8. 前記合金元素群は、チタン合金全体を100質量%としたときに30〜60質量%含まれる請求項1記載のチタン合金の製造方法。
  9. 前記合金元素群は、チタン合金全体を100質量%としたときにジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)およびスカンジウム(Sc)のうちの1種以上の元素を合計で20質量%以下含む請求項8記載のチタン合金の製造方法。
  10. 前記合金元素群は、ジルコニウム(Zr)とタンタル(Ta)とニオブ(Nb)とからなり、ZrおよびTaの偏析量が0.5質量%以下、NbおよびTiの元素偏析量が0.9質量%以下である請求項9記載のチタン合金の製造方法。
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