JP4408184B2 - チタン合金およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン合金およびその製造方法に関するものである。詳しくは、各種製品に利用できる、高強度チタン合金とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チタン合金は比強度や耐蝕性に優れるため、航空、軍事、宇宙、深海探査、化学プラントなどの分野で使用されてきた。最近では低ヤング率のチタン合金(例えば、β合金)が注目され、チタン合金の使用分野がさらに広がりつつある。例えば、生体適合品(例えば、人工骨等)、装身具(例えば、眼鏡のフレーム等)、スポーツ用品(例えば、ゴルフクラブ等)、スプリングなどに低ヤング率のチタン合金が使用されつつある。
このような低ヤング率のチタン合金に関する開示がなされた従来技術として、次の公報を挙げることができる。
【0003】
▲1▼特表平10−501719号公報、特開平6−233811号公報および特開平6−73475号公報
これらの公報には類似したチタン合金が開示されており、例えば、特表平10−501719号公報には、「(i)Tiと、(ii)Nb及びTaとからなる群から選択された金属を総和として約10〜20wt%または約35〜50wt%と、(iii)β安定剤として作用しかつ合金中でβ構造の変態速度を減ずるのに十分なZrと、かなる合金で少なくとも一部が形成され、低モジュラスで耐腐食性を有する歯科用デバイス。」が開示されている。そして、開示されているチタン合金は、比較的、高強度で低ヤング率である。
しかし、ヤング率が75GPa以下で引張強度が700MPa以上のチタン合金は、Ti−13Nb−13Zrが開示されているのみである。また、請求の範囲には、「Nb及びTaからなる群から選択された金属を総和としては約35〜50wt%」とあるが、それに相当する具体的な実施例は何ら開示されていない。しかも、本願発明の必須構成要素であるOについては、何ら開示されていない。ちなみに、Ti−13Nb−13Zr(wt%)は、at%でいうとTi−7.7Nb−7.8Zrとなる。
また、その公報によると、そこに開示されたチタン合金はα主体のマルテンサイト(六方最密充填)の均質構造を有するチタン合金でありβ−チタン合金とは構造が異なること、および通常のβ−チタン合金では容易に歪硬化し加工を困難にすることが記述されている。
後述するように、本願発明に係るチタン合金は、β−チタン合金であり、しかもその公報に記述されているような通常のβ−チタン合金と異なり、加工硬化は生じない。従って、その公報に開示されたチタン合金は、β−チタン合金と組織構造が異なることは勿論、本願発明に係るチタン合金とも全く相違するものである。
【0004】
▲2▼特開平8−299428号公報
この公報には、「2.5〜13wt%のZrと、20〜40wt%のNbと、4.5〜25wt%のTaおよび残量のTiとから実質的になり、NbとTaの合計量が35〜52wt%であり、Nb/Taの比率が2〜13であり、且つ約65GPaより低い弾性率をもつようにTi、Zr、TaおよびNbの相対比率が定められる、ヤング率65GPa以下の等方性の生体適合性チタン合金から形成される医療器具。」が開示されている。
しかし、この公報には、ヤング率が開示されているのみで、強度、加工性等につては何ら開示されていない。また、「合計量が0.5wt%よりも少ない、C、NおよびOよりなる群から選ばれる少なくとも一種の格子間元素を含有する」旨の記載もあるが、これをat%で言うと、約2.0%以下となる。また、その公報中に開示されている製造方法では、本発明のような、高強度で高弾性変形能のチタン合金を得ることは困難と考えられる。
【0005】
▲3▼特開平10−219375号公報
この公報には、「Nb及びTaを合計で20〜60wt%含み、残部がTiと不可避不純物からなるチタン合金。」と「更に、10wt%以下のMo、5wt%以下のZr又は5wt%以下のSnの一種以上を添加したチタン合金。」が開示されている。
しかし、この公報には、本願発明の必須構成要素であるOについては、何ら開示されていない。また、そこに開示されているチタン合金で高強度(例えば、1200MPa級)のものは、ヤング率も上昇している(例えば、115GPa程度)。従って、そのチタン合金は、本発明のような高強度で低ヤング率、高弾性変形能のものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、従来になく、高強度で高弾性変形能のチタン合金を提供することを目的とする。
また、そのチタン合金の製造に適した製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、所定量のVa族元素に加えて、従来の技術常識を覆す範囲の酸素あるいは窒素を含有させることにより、高強度で高弾性変形能のチタン合金が得られることを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。
(チタン合金)
すなわち、本発明のチタン合金は、熱間加工を施したチタン合金であって、全体を100原子%(at%)としたときに、ニオブ(Nb)とタンタル(Ta)との合計が18〜27at%となる30at%以下のVa族元素と、15at%以下のジルコニウム(Zr)と、2.8〜6at%の酸素(O)と、残部がチタン(Ti)と不可避不純物とからなり、引張試験で真に永久伸びが0.2%に到達したときの応力として定義される引張弾性限強度が1200MPa以上で、かつ、弾性変形能が1.5%以上であることを特徴とする。
また、本発明の他のチタン合金は、上記本発明のチタン合金に、さらに冷間加工を施し、前記引張弾性限強度が1400MPa以上で、かつ、前記弾性変形能が1.9%以上であることを特徴とする。あるいは、上記本発明のチタン合金のいずれかに、さらに200℃〜500℃の時効処理を施して、さらに高強度としたことを特徴とする。
【0008】
発現メカニズム等の詳細は定かではないが、原子比率で、適量のVa族元素と、多量のOやNを含有させることで、著しく高強度で高弾性変形能のチタン合金が得られた。このように優れた特性は、Va族元素のみで得られるものではなく、従来の技術常識からすると非常識なレベルまでO、Nの含有許容量を高められたことにより得られたと考えられる。なお、酸素と窒素とは理論的に同様な効果があるため、本発明では酸素を代表例として説明する。
従来のチタン合金の場合(例えばTi−6Al−4V合金)、Oの含有量の上限は約1.0at%程度と考えられていた。そして、その範囲にO量を管理することも現実には非常に困難であった。しかし、本発明のチタン合金では、これを遙かに上回る1.5at%以上のOを含有している。その結果、O量の管理が容易になるのみならず、前述の優れた機械的特性を発現することが新たに解った。
【0009】
このように、本発明は、チタン合金のヤング率の増加を抑制しつつ、高強度化を図る際に、OならびにNが非常に有効な添加元素であることを初めて発見し、この発見により完成されたものである。この発見は、チタン合金の業界では画期的であり、学術的にも非常に有意義なものである。
本発明のチタン合金は、その優れた特性故に、各種製品に幅広く利用することができ、各種製品の機能向上や設計自由度拡大に大きな威力を発揮する。
ここで、OおよびNが合計で1.5at%未満では十分な高強度が得られず、6at%を超えるとチタン合金の靱性や延性の低下を招く。また、Va族元素が15at%未満では十分な弾性変形能を達成できないし、30at%を超えると材料偏析が生じ易くなり、十分な高強度が達成できず、比強度の低下等も招くため、好ましくない。
【0010】
(チタン合金の製造方法)
上記チタン合金は種々の製造方法により製造可能であると考えるが、本発明者はその製造に適した製造方法も併せて新たに開発した。
すなわち、本発明のチタン合金の製造方法は、Tiと全体を100at%としたときにNbとTaとの合計が18〜27at%となる30at%以下のVa族元素と15at%以下のZrと合計で2.8〜6at%のOとを含む原料粉末を混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合粉末を所定形状の成形体に成形する成形工程と、該成形工程で得られた成形体を加熱して焼結させる焼結工程と、該焼結工程で得られた焼結体を熱間加工して緻密化する熱間加工工程とを備えことを特徴とする。
また、本発明のチタン合金の製造方法は、上記熱間加工工程後に、さらに冷間加工を行う冷間加工工程を備えたことを特徴とする。
【0011】
いわゆる溶解法ではなく焼結法を用いることにより、多量のVa族元素やOを含む場合でも、マクロ的な偏析を避けて安定した品質のチタン合金を得ることができる。チタンの溶解に際して多くの工数やコスト、特殊な装置等を必要とすることもない。所望の形状に成形された成形体を焼結させるため、その後の加工工数低減が可能となる。そして、熱間加工工程で焼結工程後の焼結体を緻密化することにより、十分な高強度と低ヤング率との両立を図ることができる。
こうして、本発明の製造方法によれば、上記のチタン合金を効率良く製造することができる。
【0012】
ところで、上述した本発明のチタン合金およびその製造方法において、OとN量を合計で2.0〜5.0at%とするとより好ましい。また、Va族元素の中でもNbとTaとを合計で18〜27at%、さらには20〜25at%とすると、好適である。
Va族元素の中でもNbとTaとが好ましい理由は定かではないが、NbあるいはTaを主要構成元素とするβ相中に多量の酸素を含有させたとしても、粒界に酸素が偏析して脆化するこれまでの脆化メカニズムとは違う何らかの作用が働いているものと推察される。
【0013】
なお、前記各元素の組成範囲を「x〜y原子%」という形式で示したが、これは特に断らない限り、下限値(x)および上限値(y)も含む意味である。これは、「x〜y重量%」と表示した場合も同様である。
また、本願でいう「高強度」とは、引張弾性限強度または引張強度が大きいことを意味する。「高弾性変形能」とは、引張弾性限強度内における試験片の伸びが大きいことを意味する。
ここで、「引張弾性限強度」とは、試験片への荷重の負荷と除荷とを徐々に繰り返して行う引張試験において、永久伸びが0.2%に到達したときに負荷していた応力を言う。
「引張強度」は、前記引張試験において、試験片の最終的な破断直前の荷重を、その試験片の平行部における試験前の断面積で除して求めた応力である。
また、本発明でいう「チタン合金」は、種々の形態を含むものであり、素材(例えば、鋳塊、スラブ、ビレット、焼結体、圧延品、鍛造品、線材、板材、棒材等)に限らず、それを加工したチタン合金部材(例えば、中間加工品、最終製品、それらの一部等)なども意味する(以下同様)。
【0014】
なお、本発明のチタン合金の機械的特性を表現する際に、縦弾性係数(ヤング率)を適宜用いる。その際、一般的なヤング率を用いることもあるが、適宜、平均ヤング率も用いる。「平均ヤング率」とは、厳密な意味でのヤング率の「平均」を指すものではなく、高弾性である本発明のチタン合金を代表するヤング率という意味である。具体的には、前記引張試験により得られた応力−歪み線図において、引張弾性限強度の1/2に相当する応力位置での曲線の傾き(接線の傾き)を、平均ヤング率とした(図1参照)。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
A.チタン合金
(1)組成
▲1▼本発明のチタン合金は、さらに、全体を100at%としたときに、Zrを15at%以下、Hfを10at%以下、Scを30at%以下含むと、好適である。
ZrとHfとScは、いずれもチタン合金の耐力を向上させ得る元素である。それらの合計が15at%を超えると、材料偏析が生じ易くなり強度や延性の向上が望めず、また、チタン合金の密度増大(比強度の低下)を招くため好ましくない。
ところで、ZrまたはHfを単独でチタン合金に含める場合は、それぞれ1〜10at%、さらには5〜10at%とし、Scの場合は1〜20at%、さらには5〜10at%、とするとより好ましい。
【0016】
▲2▼本発明のチタン合金は、さらに、全体を100at%としたときに、Snを13at%以下を含むと、好適である。
Snは、チタン合金の強度を向上させると共に低ヤング率化を図れ得る元素である。13at%を超えると、チタン合金の延性の低下を招くため、好ましくない。
【0017】
▲3▼本発明のチタン合金は、さらに、その高強度で低ヤング率、高弾性変形能を維持または向上させることができる範囲で、Zr、Hf、ScおよびSnの他に、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Al、C、Bを含むものでも良い。
例えば、CrとMnとFeとはそれぞれ30at%以下、Moは20at%以下、CoとNiはそれぞれ13at%以下とすると、好適である。
また、Alは0.5〜12at%、Cは0.2〜5.0at%、Bは0.2〜6.0at%とすると、好適である。
なお、これら組成に関しては、本発明の製造方法で使用する原料粉末についても同様に言えることである。
【0018】
(2)機械的特性
本発明のチタン合金に関する平均ヤング率と引張弾性限強度とについて、以下に図1A、Bを用いて詳述する。図1Aは、本発明に係るチタン合金の応力−歪み線図を模式的に示した図であり、図1Bは、従来のチタン合金(Ti−6Al−4V合金)の応力−歪み線図を模式的に示した図である。
図1Bに示すように、従来の金属材料では、引張応力の増加に比例して伸びが直線的に増加し(▲1▼’−▲1▼間)、そのヤング率は、その直線の傾きによって求められる。この弾性域(▲1▼’−▲1▼間)を超えて引張応力を加えると、従来の金属材料は塑性変形を始め、応力を除荷しても試験片の伸びは0に戻らず、永久伸びを生じる。通常、永久伸びが0.2%となる応力σpを0.2%耐力と称している(JIS Z 2241)。
この0.2%耐力は、応力−歪み線図上で、弾性変形域の直線(▲1▼’−▲1▼:立ち上がり部の接線)を0.2%伸び分だけ平行移動した直線(▲2▼’−▲2▼)と応力―歪み曲線との交点(位置▲2▼)における応力でもある。従来の金属材料の場合、通常、「伸びが0.2%程度を超えると、永久伸びになる」という経験則に基づき、0.2%耐力≒引張弾性限強度と考えれられている。逆に、この0.2%耐力以内であれば、応力と歪みとの関係は概ね直線的または弾性的であると考えられる。
【0019】
ところが、図1Aの応力−歪み線図からも解るように、このような従来の概念は、本発明のチタン合金には当てはまらない。理由は定かではないが、本発明のチタン合金の場合、弾性変形域において応力―歪み線図が直線とはならず、上に凸な曲線(▲1▼’−▲2▼)となり、除荷すると同曲線▲1▼−▲1▼’に沿って伸びが0に戻ったり、▲2▼−▲2▼’に沿って永久伸びを生じたりする。
このように、本発明のチタン合金では、弾性変形域(▲1▼’−▲1▼)ですら、応力と歪みとが直線的な関係になく、応力が増加すれば、急激に歪みが増加する。除荷した場合も同様であり、応力と歪みとが直線的な関係になく、応力が減少すれば、急激に歪みが減少する。このような特徴が本発明のチタン合金の高弾性変形能として発現していると思われる。
【0020】
ところで、本発明のチタン合金の場合、図1Aからも解るように、応力が増加するほど応力−歪み線図上の接線の傾きが減少している。このように、弾性変形域において、応力と歪みとが直線的に変化しないため、従来の方法で本発明のチタン合金のヤング率を定義することは適切ではない。同様に、本発明のチタン合金の場合、応力と歪みとが直線的に変化しないため、従来と同様の方法で0.2%耐力(σp’)≒引張弾性限強度と評価することも適切ではない。つまり、従来の方法により求まる0.2%耐力では、本来の引張弾性限強度よりも著しく小さい値となってしまい、もはや、0.2%耐力≒引張弾性限強度と考えることはできない。
そこで、本来の定義に戻って、本発明のチタン合金の引張弾性限強度(σe)を前述したように求め(図1A中の▲2▼位置)、そのヤング率として、前述の平均ヤング率を導入することとした。
【0021】
なお、図1Aおよび図1B中、σtは引張強度であり、εeは本発明のチタン合金の引張弾性限強度(σe)における歪みであり、εpは従来の金属材料の0.2%耐力(σp)における歪みである。
このように本発明のチタン合金は、引張弾性限強度を1100MPa以上、1200MPa以上、1300MPa以上、1400MPa以上、1500MPa以上さらには1600MPa以上とすることができる。また、このような高強度を維持しながら、弾性変形能を1.5%以上、2%以上、2.5%以上確保することができる。そして、両者を適宜組合わせることもできる。
さらに、本発明のチタン合金は、伸びを3%以上、5%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、12%以上、15%以上とすることもできる。なお、本願明細書で「伸び」とは、塑性変形後の破断伸びを意味している。
【0022】
(3)冷間加工性
本発明のチタン合金は、優れた冷間加工性を備える。そして、その冷間加工を施すことにより、チタン合金の機械的特性が向上する。つまり、冷間加工をチタン合金に施すと、その内部に加工弾性歪みが与えられる。この導入された加工弾性歪みがチタン合金のさらなる高強度化、高弾性能を促進し得るのである。
この加工弾性歪みを十分にチタン合金の構成組織内に導入する上で、上述した適量のVa族元素とOとNとが重要となる。特に、O、Nが加工弾性歪みの導入に重要な役割を果していることが解っている。つまり、多量のVa族元素を単独で添加したチタン合金では、その構成組織内に加工弾性歪みを十分に導入させることは困難である。そのVa族元素に加えて、適量のO、Nをチタン合金に含めることで、チタン合金への十分な加工弾性歪みの導入が可能となり、その蓄積によってチタン合金のさらなる高強度化と高弾性変形能化との両立が可能となる。
【0023】
さらに、本発明のチタン合金は、冷間加工により全くといって良い程、加工硬化を生じないことも解っている。このように、本発明のチタン合金は、従来のチタン合金では考えられない程に驚異的な冷間加工性を示し、しかもその冷間加工によって加工硬化せずに機械的特性の向上が望める。よって、その詳細は明かでないとしても、本発明のチタン合金が従来のチタン合金と全く別構造をしていることは明かである。
そして、本発明のチタン合金では、その冷間加工率を10%、30%、50%、70%、90%さらに99%とすることもできる。また、冷間加工を施すことで、(平均)ヤング率を90GPa以下、85GPa以下、80GPa以下、75GPa以下とすることができる。さらに、冷間加工を施すことで、引張弾性限強度を1110MPa以上、1200MPa以上、1300MPa以上、1400MPa以上、1500MPa以上さらには1600MPa以上とすることができる。
これらは適宜組合わせることが可能で、例えば、冷間加工率10%以上の冷間加工を施し引張弾性限強度が1100MPa以上のチタン合金を得ることもできる。
【0024】
ここで、「冷間」とは、チタン合金の再結晶温度(再結晶を起す最低の温度)よりも十分低温であることを意味する。再結晶温度は、組成により変化するが、概ね600℃程度であり、本発明のチタン合金は、通常、常温〜300℃の範囲で冷間加工されると良い。
また、冷間加工率X%は、次式により定義される。
X=(加工前後の断面積の変化量:S0−S)/(加工前の初期断面積:S0)×100%、(S0:冷間加工前の断面積、S:冷間加工後の断面積)
【0025】
(4)熱処理特性
本発明のチタン合金に、200℃〜500℃で10分から100時間(適切な時間を選定すればこの時間に制限されることはない)の時効処理(熱処理)を行うと、好適である。時効処理以前に冷間加工が施されていると、時効の際に析出サイトが増加し、微細な析出相が多く分散されるため、一層好ましい。本発明のチタン合金に時効処理を施すと2000MPa級の超強力チタン合金が得られる。
【0026】
B.チタン合金の製造方法
(1)原料粉末
原料粉末は、Tiと、全体を100at%としたときに15〜30at%のVa族元素と、合計で1.5〜6at%のOとNとの1種以上と、を含むものである。
この原料粉末は、素粉末を混合した混合粉末でも、所望の組成をもつ合金粉末からなるものでも良い。Ti、Va族元素およびO、N以外の組成については前述した通りである。
原料粉末として、例えばスポンジ粉末、水素化脱水素粉末、水素化粉末、アトマイズ粉末などを使用できる。粉末の粒子形状や粒径(粒径分布)などは、特に限定されるものではなく、市販の粉末を用いることができる。もっとも、その平均粒径が100μm以下、さらには45μm(#325)以下であると、緻密な焼結体が得られて好ましい。
【0027】
また、前記原料粉末は、高酸素、高窒素Ti粉末と前記Va族元素を含む合金元素粉末とを混合する混合工程により得られる混合粉末であると、好ましい。
高酸素Ti粉末を用いるとことにより、O量、N量の管理が容易となり、チタン合金へ多量のO、Nを含有させ易くなる。
例えば、高酸素Ti粉末は、Ti粉末を酸化雰囲気で熱処理する酸化工程により得られる。
混合工程は、V型混合機、ボールミル及び振動ミル、高エネルギーボールミル(例えば、アトライター)等を使用して行える。
【0028】
(2)成形工程
成形工程には、例えば、金型成形、CIP成形(冷間静水圧プレス成形)、RIP成形(ゴム静水圧プレス成形)等を用いて行える。もっとも、この成形工程が、前記原料粉末をCIP成形する工程であると、緻密な成形体を比較的容易に得られるので、好ましい。
成形体の形状は、製品の最終的な形状でも良いし、ビレット形状等でもよい。
【0029】
(3)焼結工程
成形体を焼結させる場合は、真空又は不活性ガスの雰囲気でなされることが好ましい。また、焼結温度は、該合金の融点以下で、しかも成分元素が十分に拡散する温度域で行われることが好ましい。例えば、その温度範囲は1200℃〜1600℃、さらには1200〜1500℃であると好ましい。その焼結時間は2〜18時間、さらには、4〜16時間であると好ましい。
【0030】
(4)熱間加工工程
熱間加工を行うことにより、焼結合金の空孔等を低減して組織を緻密化させることができる。熱間加工工程は、例えば、熱間鍛造、熱間スェージ、熱間押出し等により行える。熱間加工は、大気中、不活性ガス中等のどの雰囲気中で行っても良い。設備の管理上、大気中で行うと経済的であり好ましい。
本発明の製造方法でいう熱間加工は、焼結体の緻密化のために行うものであるが、製品成形と兼ねて行っても良い。
【0031】
(5)冷間加工工程
前述したように、本発明に係るチタン合金は、優れた冷間加工性を有し、冷間加工が施されることで、その機械的特性が向上するものである。従って、本発明の製造方法は、さらに、前記熱間加工工程後に、冷間加工を行う冷間加工工程を備えることが好ましい。
この冷間加工工程は、冷間鍛造、冷間スェージ、ダイス伸線、引き抜き等により行える。また、この冷間加工工を製品成形と兼ねて行っても良い。
なお、本発明の製造方法では、熱処理を必ずしも必要としないが、高強度で低ヤング率、高弾性変形能を維持できる範囲で適宜熱処理を行なっても良い。
【0032】
C.チタン合金の用途
本発明のチタン合金は、高強度で高弾性変形能であるため、その特性にマッチする製品に幅広く利用できる。また、優れた冷間加工性も備えるため、冷間加工製品に本発明のチタン合金を利用すると、加工割れ等が著しく低減され、歩留りが向上する。また、従来のチタン合金では、形状的に切削加工を必要とする製品でも、本発明のチタン合金によれば、冷間鍛造等により成形可能となり、チタン製品の量産化、低コスト化を図る上でも非常に有効である。
例えば、本発明のチタン合金は、産業機械、自動車、バイク、自転車、家電品、航空宇宙機器、船舶、装身具、スポーツ・レジャ用品、生体関連品、医療器材、玩具等に利用できる。
【0033】
自動車の(コイル)スプリングを例にとると、本発明のチタン合金は従来のバネ鋼に対してヤング率が1/3から1/5となり、しかも、弾性変形能は5倍以上あるため、巻き数を1/3から1/5に低下させることができる。さらに、本発明のチタン合金は、通常スプリングに用いられる鋼に対して、比重が70%程度しかないために、大幅な軽量化が実現できる。
また、装身具として眼鏡フレームを例にとると、本発明のチタン合金は従来のチタン合金より低ヤング率であるため、蔓部分等が撓み易くなり、顔によくフィットし、また、衝撃吸収性や形状の復元性にも優れる。さらに、高強度で冷間加工性に優れるため、細線材から眼鏡フレーム等への成形も容易であり、歩留りの向上も図れる。また、その細線材から眼鏡フレームによれば、眼鏡のフィット性、軽量性、装着感等がより一層向上する。
【0034】
また、スポーツ・レジャ用品として、ゴルフクラブを例にとり説明すると、例えば、ゴルフクラブのシャフトが本発明のチタン合金からなる場合、そのシャフトはしなり易くなり、ゴルフボールへ伝達される弾性エネルギーが増して、ゴルフボールの飛距離の向上が期待できる。また、ゴルフクラブのヘッド、特にフェース部分が本発明のチタン合金からなる場合、その低ヤング率と高強度による薄肉化とによりヘッドの固有振動数が従来のチタン合金に比べて著しく低減し、そのヘッドを備えるゴルフクラブによれば、ゴルフボールの飛距離を相当伸ばすことができると、期待される。なお、ゴルフクラブに関する理論は、例えば、特公平7−98077号公報や国際公開WO98/46312号公報等に開示されている。
【0035】
その他、本発明のチタン合金によれば、その優れた特性により、ゴルフクラブの打感等も向上させることが可能であり、ゴルフクラブの設計自由度を著しく拡大させることができる。
また、医療分野では、人工骨、人工関節、人工移植片、骨の固定具等の生体内に配設されるものや医療器械の機能部材(カテーテル、鉗子、弁等)等に本発明のチタン合金を利用できる。例えば、人工骨が本発明のチタン合金からなる場合、その人工骨は人骨に近い低ヤング率をもち、人骨との均衡が図られて生体適合性に優れると共に、骨として十分な高強度を有する。
また、本発明のチタン合金は、制振材にも適する。E=ρV2 (E:ヤング率、ρ:材料密度、V:材料内を伝わる音速)の関係式から解るように、ヤング率を低下させることにより、その材料内を伝わる音速を低減できるからである。
【0036】
その他、本発明のチタン合金は、例えば、素材(線材、棒材、角材、板材、箔材、繊維、織物等)、携帯品(時計(腕時計)、バレッタ(髪飾り)、ネックレス、ブレスレット、イアリング、ピアス、指輪、ネクタイピン、ブローチ、カフスボタン、バックル付きベルト、ライター、万年筆のペン先、万年筆用クリップ、キーホルダー、鍵、ボールペン、シャープペンシル等)、携帯情報端末(携帯電話、携帯レコーダ、モバイルパソコン等のケース等)、エンジンバルブ用のスプリング、サスペンションスプリング、バンパー、ガスケット、ダイアフラム、ベローズ、ホース、ホースバンド、ピンセット、釣り竿、釣り針、縫い針、ミシン針、注射針、スパイク、金属ブラシ、椅子、ソファー、ベッド、クラッチ、バット、各種ワイヤ類、各種バインダ類、書類等クリップ、クッション材、各種メタルシール、エキスパンダー、トランポリン、各種健康運動機器、車椅子、介護機器、リハビリ機器、ブラジャー、コルセット、カメラボディー、シャッター部品、暗幕、カーテン、ブラインド、気球、飛行船、テント、各種メンブラン、ヘルメット、魚網、茶濾し、傘、消防服、防弾チョッキ、燃料タンク等の各種容器類、タイヤの内張り、タイヤの補強材、自転車のシャシー、ボルト、定規、各種トーションバー、ゼンマイ、動力伝動ベルト(CVTのフープ等)等の各種分野の各種製品に利用することができる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(第1実施例)
本発明の製造方法を用いて、第1実施例であるチタン合金を製造した。本実施例は、次に述べる試料No.1−1〜1−10よりなる。これらの試料では、Va族元素の割合を一定としてO量のみ変更した。つまり、Ti−20.2Nb−3.4Ta−3.4Zr−xO(at%:xは変数)とした。なお、本実施例は、熱間加工工程後に本発明でいう冷間加工工程を行わなかった場合である。
先ず、原料粉末として、市販の水素化・脱水素Ti粉末(−#325)とNb粉末(−#325)とTa粉末(−#325)とZr粉末(−#325)とを用意した。Nb粉末、Ta粉末およびZr粉末が本発明でいう合金元素粉末に相当する。
【0038】
次に、前記Ti粉末を大気中で熱処理して所定のO量を含有した高酸素Ti粉末を製造した(酸化工程)。このときの熱処理条件は、200℃および400℃にて30分〜128時間の大気中加熱である。この高酸素Ti粉末とNb粉末、Ta粉末およびZr粉末とを、前記組成割合(at%)および表1に示す酸素割合(at%)となるように配合し混合して所望の混合粉末を得た(混合工程)。この混合粉末を圧力4ton/cm2でCIP成形(冷間静水圧成形)して、φ40×80mmの円柱形状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を1×10−5torrの真空中で1300℃×16時間加熱して焼結させ、焼結体とした(焼結工程)。
この焼結体を700〜1150℃の大気中で熱間鍛造して(熱間加工工程)、φ10mmの丸棒を得た。こうして得た各試料について、後述の各種測定を行い、その結果を表1に併せて示した。
【0039】
(第2実施例)
本実施例は、第1実施例の各試料に、さらに冷間加工率90%の冷間加工を施し、試料No.2−1〜2−10としたものである。従って、Nb、TaおよびZrの組成割合は前述の通りである。また、本実施例の場合、熱間加工工程以前の工程は第1実施例と同様であるので、熱間加工工程以降について説明する。
熱間加工工程後のφ10mmの丸棒を、冷間スェージ機によりその丸棒に冷間スェージ加工を行い(冷間加工工程)、φ4mmの丸棒を製作した。こうして得た各試料について、後述の各種測定を行い、その結果を表2に示した。
【0040】
(第3実施例)
本発明の製造方法を用いて、第3実施例であるチタン合金を製造した。本実施例は、次に述べる試料No.3−1〜3−10よりなる。これらの試料では、Va族元素の割合を一定としてO量のみ変更した。つまり、Ti−8.9Nb−11.4Ta−5.3Zr−2.7V−xO(at%:xは変数)とした。なお、本実施例は、熱間加工工程後に本発明でいう冷間加工工程を行わなかった場合である。
先ず、原料粉末として、市販の水素化・脱水素Ti粉末(−#325)とNb粉末(−#325)とTa粉末(−#325)とZr粉末(−#325)、V粉末(−#325)とを用意した。Nb粉末、Ta粉末、Zr粉末およびV粉末が本発明でいう合金元素粉末に相当する。
【0041】
次に、前記Ti粉末を大気中で熱処理して所定のO量を含有した高酸素Ti粉末を製造した(酸化工程)。このときの熱処理条件は、200℃および400℃にて30分〜128時間の大気中加熱である。この高酸素Ti粉末とNb粉末、Ta粉末およびZr粉末とを、前記組成割合(at%)および表1に示す酸素割合(at%)となるように配合し混合して所望の混合粉末を得た(混合工程)。
この混合粉末を圧力4ton/cm2でCIP成形(冷間静水圧成形)して、φ40×80mmの円柱形状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を1×10−5torrの真空中で1300℃×16時間加熱して焼結させ、焼結体とした(焼結工程)。
この焼結体を700〜1150℃の大気中で熱間鍛造して(熱間加工工程)、φ10mmの丸棒を得た。こうして得た各試料について、後述の各種測定を行い、その結果を表3に併せて示した。
【0042】
(第4実施例)
本実施例は、第3実施例の各試料にさらに冷間加工率90%の冷間加工を施し、試料No.4−1〜4−10としたものである。従って、Nb、Ta、ZrおよびVの組成割合は前述の通りである。また、本実施例の場合、熱間加工工程以前の各工程は第3実施例と同様であり、冷間加工工程は第2実施例と同様である。得られた各試料について、後述の各種測定を行い、その結果を表4に示した。
【0043】
(第5実施例)
本実施例は、第2実施例の試料No.2−5に、400℃×12時間の時効処理を施して、試料No.5−5としたものである。この試料について、後述の各種測定を行い、その結果を表5に示した。
【0044】
(各試料の測定)
ヤング率は、歪みゲージ法を用いて測定した。引張特性は、インストロン(メーカ名)試験機を用いて引張試験を行い、荷重−歪み線図から求めた。
【0045】
【表1】
Figure 0004408184
【0046】
【表2】
Figure 0004408184
【0047】
【表3】
Figure 0004408184
【0048】
【表4】
Figure 0004408184
【0049】
【表5】
Figure 0004408184
(各供試材の評価)
▲1▼強度およびヤング率
本発明の何れのチタン合金も、引張強さが1000MPa以上である。特に、冷間加工を施すと、一層高強度化することが解る。また、何れのチタン合金も、ヤング率が90GPa以下と低ヤング率であり、冷間加工を施すことにより、一層低ヤング率化することも解る。
▲2▼絞りおよび伸び
本発明のチタン合金は、最低でも約10%の絞りが得られている。また、何れのチタン合金も、伸びが5%を超え、高い伸びが得られており、実施例の各試料は高延性であることが解る。
▲3▼弾性変形能
本発明のチタン合金は、冷間加工を施すと、弾性変形能が2%を超え、高い弾性変形能が得られていることが解る。
【0050】
(酸素量について)
冷間加工したチタン合金(実施例2)を例にとり、機械的性質に及ぼす酸素量の影響を以下に総括する。
ヤング率は58GPaから最大でも約75GPa増加が認められるものの、ヤング率に及ぼす酸素量の影響は鈍く、チタン合金としては低い値を示している。
一方、強度の向上は著しく、最大で1700MPaを示す材料が得られた。延性は、絞りが高酸素材でも約10%の絞りを有していることがわかる。伸びは酸素量が4.5at%増加しても全く低下せず、10%近い値を示している。この結果、弾性変形能は、酸素量が増加してもほとんど変化せず、2%以上の高弾性変形能を有していることがわかる。
【0051】
通常のチタン合金は、酸素量を0.7at%以下、最大でも1.0at%以下に抑えるように製造される。酸素量が増加すると、強度向上は得られるものの、伸びの低下を招くからである。特に高強度材では、酸素の管理がかなり厳しくされるのが常識である。
にも拘らず、本発明のチタン合金の場合、酸素量を増加せても高延性が得られた。つまり、チタン合金の延性が低下しなかった。この現象はチタン合金としては、特異なこととして考えられる。ヤング率の変化に対しても、前述したように鈍く、このことが1700MPa級でも2%以上の高弾性変形能が得られた理由であると思われる。
【0052】
【発明の効果】
本発明のチタン合金は、適量のVa族元素に加えて、従来では考えられない程の多量のOやNを含んでいるにも拘らず、脆化するようなことがなく、冷間加工を行っても加工硬化を殆ど起さず、高強度で低ヤング率、高弾性変形能、高延性である。従って、本発明のチタン合金は、その特性に応じた各種製品に幅広く利用でき、冷間加工性にも優れるため、各種製品への応用も容易である。
そして、本発明の製造方法によれば、このようなチタン合金が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張弾性限強度と平均ヤング率とを説明する図であり、図1Aは本発明に係るチタン合金の応力−歪み線図を模式的に示した図であり、図1Bは従来のチタン合金の応力−歪み線図を模式的に示した図である。

Claims (12)

  1. 熱間加工を施したチタン合金であって、全体を100原子%(at%)としたときに、
    ニオブ(Nb)とタンタル(Ta)との合計が18〜27at%となる30at%以下のVa族元素と、
    15at%以下のジルコニウム(Zr)と、
    2.8〜6at%の酸素(O)と、
    残部がチタン(Ti)と不可避不純物とからなり、
    引張試験で真に永久伸びが0.2%に到達したときの応力として定義される引張弾性限強度が1200MPa以上で、かつ、弾性変形能が1.5%以上であることを特徴とするチタン合金。
  2. 前記Va族元素中のNbとTaとの合計は20〜25at%である請求項1記載のチタン合金。
  3. 前記Zrは1〜10at%である請求項1に記載のチタン合金。
  4. 加える応力が0から前記引張弾性限強度までの範囲にある弾性変形域内で、前記引張試験により得られた応力−歪み線図上の接線の傾きが応力の増加に伴って減少する特性を示す請求項1に記載のチタン合金。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のチタン合金に、さらに冷間加工を施し、前記引張弾性限強度が1400MPa以上で、かつ、前記弾性変形能が1.9%以上であることを特徴とするチタン合金。
  6. さらに、伸びが3%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のチタン合金。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のチタン合金に、さらに200℃〜500℃の時効処理を施して、さらに高強度としたことを特徴とするチタン合金。
  8. Tiと全体を100at%としたときにNbとTaとの合計が18〜27at%となる30at%以下のVa族元素と15at%以下のZrと合計で2.8〜6at%のOとを含む原料粉末を混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合粉末を所定形状の成形体に成形する成形工程と、該成形工程で得られた成形体を加熱して焼結させる焼結工程と、該焼結工程で得られた焼結体を熱間加工して緻密化する熱間加工工程とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のチタン合金の製造方法。
  9. 請求項8記載のチタン合金の製造方法における前記熱間加工工程後に、さらに冷間加工を行う冷間加工工程を備えたことを特徴とする請求項に記載のチタン合金の製造方法。
  10. 前記混合工程は、高酸素Ti粉末と前記Va族元素を含む合金元素粉末とを混合する工程である請求項8に記載のチタン合金の製造方法。
  11. 前記高酸素Ti粉末は、Ti粉末を酸化雰囲気で熱処理する酸化工程により得られる粉末である請求項10記載のチタン合金の製造方法。
  12. 前記成形工程は、前記原料粉末を冷間静水圧プレス(CIP)成形する工程である請求項8記載のチタン合金の製造方法。
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