JP2005248202A - 超弾性チタン合金の製造方法及びめがねフレーム - Google Patents

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Abstract

【課題】 高強度が得られ、かつ低剛性であって超弾性を示し、溶製法で製造が可能なチタン合金の製造方法及びこのチタン合金線材で製造され、装着性、フィット性にすぐれためがねフレームの提供。
【解決手段】 (Mo)+2/3×(V)+(Nb)/3.5+2/9×(Ta)+2.8×(Fe)+1.6×(Cr)で表されるMo当量が8以上12以下となるチタン合金にそのβ変態点からβ変態点以下100℃までの温度範囲に1分以上保持する超弾性及び低剛性のチタン合金の製造方法及びその合金からなる線材から成形しためがねフレーム。
【選択図】 図1

Description

本発明は超弾性を示しばね特性にすぐれ、医療分野やめがねフレーム等に利用され、低コストの製造法である溶製法による製造を前提とするチタン合金とその製造方法及びその合金により成形されるめがねフレームに関する。
鉄に比べ軽量かつ高強度で、耐食性や生体適合性に優れるという特徴を有するチタン合金は、その特徴を活かして人工骨や人工関節等の医療分野およびめがねフレームや腕時計等の装身具に広く利用されてきている。このような用途に利用する際には、人体への適合性が最重要の要求項目となるが、人体に対するニッケルアレルギーの問題が明らかになって以来、これらの分野にチタン合金を適用するに際し、より厳しい評価がされるようになり、各特性の要求水準が高くなってきている。特にこのような医療分野や装身具等の用途に使用される場合、人体組織に対する適合性だけでなく装着性の問題も大きな検討項目となることから、外力を加え変形させるのは容易だが、除荷するともとの形状に戻り、永久変形がしにくく、かつ軽量化が可能な材料、すなわち低剛性かつ高強度の特性を有するばね特性にすぐれた合金の開発が強く要求されるようになった。
この要求に対し、従来のチタン合金を改良した新規合金が特許で公開されている。例えば特開平6−73475号には、重量%で10〜20%あるいは35〜50%のニオブと重量で20%以下のジルコニウムを含有するチタン合金が開示されている。また、特開2001−247924号には30〜60質量%のバナジウム族元素を含有するチタン合金、及び該合金にジルコニウム、ハフニウム、スカンジウムからなる金属元素中の1種以上の元素を合計で20質量%以下含有する合金あるいはさらにこれらのチタン合金に0.08〜0.6質量%の酸素を含有する合金が開示されている。
特開平6−73475号公報 特開2001−247924号公報
また、非特許文献1にはβ型チタン合金であるTi-10V-2Fe-3Al合金について、初析αの量が0、すなわちβ変態点以上で最終処理された材料について0.2%耐力が引張り強さの約30%という低い値になる例が示されているが、本発明のようにβ変態点以下の温度で処理を行い、初析αがかなり存在する状態での低い応力レベルについての報告は例を見ない。
Phase Transformation and Tensile Properties of Ti-10V-2Fe-3Al:T.W.Duerig, G.T.Terlinde and J.C.Williams, Metallurgical Transactions A, Vol.11(1980), p.1987
しかしながら、前記公報に記載の合金には次の問題がある。
特開平6−73475号には、エージング処理により高強度化できる低剛性のチタン合金について記載されているが、この文献に記載の実施例を参照すると、得られる引張強さはエージング処理後においても、1000MPa未満である。また、冷間加工を行うことにより1000MPaを超える高強度を確保できることが記載されているが、冷間加工する場合でもエージング処理を実施した場合に可能な強度であって、熱処理なしに1000MPaを超える強度は達成できていない。また、実施例の記載からも明らかなようにエージング処理すると強度は向上するが、同時にヤング率も上昇してしまい、折角の得られていた低剛性という特徴が失われてしまうという問題がある。
また、アルミニウムや酸素等の元素を添加すると高強度化することは可能であるが、これらの元素を特開平6−73475号の合金に単純に添加すると、冷間加工性が低下し、細径の線材を製造することが難しくなったり、ヤング率が上昇してめがねフレームとして使用する際に装着性が低下するという問題があった。
また、特開2001−247924号には、強度については一部の合金において1000MPa以上の引張弾性強度を有する合金の記載がされているが、この文献に記載の発明は、請求の範囲に明確な記載はないものの、実施例の記載から明らかなように、実質的に焼結による製造を前提とする発明となっている。この文献の実施例には30%以上のNbを含有する合金が多数記載されているが、本発明者らが実験により確認した結果、そのような多量のNb含有合金を溶製法で製造した場合には、成分が均一なインゴットを製造することが難しく、強度等の特性が均一となる材料を溶製法で製造することは困難であることが判明した。焼結法に限定された場合、溶製法による製造に比べコストが大幅に高くなり、低コスト化が困難になるという問題がある。
本発明は1.5%以上という大きな弾性伸びを示し、その結果としてヤング率が低く、750MPa以上の高強度を容易に達成することができさらに冷間加工により1000MPaを超える強度をも達成でき、装身具等に適用した場合に高い装着性を維持しつつ軽量の製品を製造することが可能となり、かつ溶製法による製造が可能な低剛性、高強度のばね特性にすぐれたチタン合金を提供し、かつその合金を用いて軽量で装着性が向上しためがねフレームを製造可能にすることを目的とする。
本発明者等は前記した課題を解決するために、高強度、低剛性、超弾性特性のすべてについて優れた特性が得られ、かつ溶製法による製造が可能な成分範囲および製造方法を見出すために鋭意研究を行った結果、次の知見を得て本発明を完成したものである。
(1)チタン合金は常温での母相の結晶構造により大きく3種類に分類される。すなわち、ちょう密六方晶(HCP)であるα相を母相とするα型合金、体心立方晶(BCC)であるβ相とα相とが共存するα+β型合金、体心立方晶(BCC)であるβ相を母相とするβ型合金の3種類である。β型合金の中で、常温での応力負荷により応力誘起マルテンサイト変態を生じるものがあり、これを特に Near β型合金と呼んでいる。本発明はこのNear β型合金に関するものである。
(2)チタン合金は80〜110GPa程度のヤング率を有しているのが普通であるが、Nb、Mo等を適量添加すると、降伏応力以下の低い応力で応力誘起変態により熱弾性マルテンサイトが生じて見掛け上の歪みが生じ、応力除去時には逆変態により元の母相に戻るため、ヤング率を低下することができる。この点では前記特開2001−247924号の発明でも同じであるが、この発明のように焼結による製造を前提の場合Nbの多量添加も容易であるが、本発明ではNbの含有率を30%以上にすることなく、溶製法でも製造が容易な合金で超弾性特性を付与することにより低剛性を実現することが可能であることを見出した。また、後述のアルミニウム、酸素の添加効果により、引張り強さ1000MPa以上の高強度を達成でき、熱弾性マルテンサイトの生成により得られる低剛性と両立させることができる。
(3)さらに、本発明では(1)式のMo当量が8以上11以下となるNear β型チタン合金に、その合金のβ変態点からβ変態点以下100℃までの温度範囲で1分以上保持することにより、β結晶粒内に平均粒径が50μm以下の微細な亜結晶が形成され、亜結晶が形成されることにより応力誘起マルテンサイト変態が低応力段階から順次平均して起こり、その結果見かけ上の弾性伸びが大きくなり超弾性が生じることを見出した。
(4)また、冷間加工およびその後β変態点からβ変態点以下150℃までの温度で1分以上保持することにより、亜結晶がさらに微細化し弾性伸びがさらに大きくなることを見出した。
(5)上記の方法で製造された超弾性チタン合金を冷間加工及びあるいは、200℃以上でかつ加熱保持温度以下の温度に加熱保持することにより、加工強化及びあるいは微細なα相の時効析出により高強度化が可能であることを見出した。

以上説明した知見を得ることにより本発明を完成した。
次に請求項1からなる本発明の超弾性チタン合金の各製造条件の限定理由について説明する。
Mo当量:8以上11以下。
(1)式で表されるMo当量が8未満の合金では、高温のβ域から急冷するとマルテンサイト変態が急冷中に生じ、その後応力を負荷しても応力誘起マルテンサイト変態が生じない。また、Mo当量が11を超える合金ではマルテンサイト変態の生じる温度(Ms点)が低くなりすぎ、やはり応力を負荷しても応力誘起マルテンサイト変態が生じない。したがって、Mo当量は8以上11以下とした。
β変態点からβ変態点以下150℃までの温度範囲に5分以上4時間以下保持:
チタン合金はβ変態点以上の温度に加熱保持した場合、β相は容易に再結晶・成長し目的とする亜結晶の形成による細粒化が達成されず、したがって低応力から連続して応力誘起マルテンサイト変態が生じることがなく、低剛性、超弾性が得られない。また、β変態点以下150℃を超える低温に保持しても亜結晶が形成されず低剛性、超弾性が得られない。さらに、保持時間が5分未満の場合にも同様に亜結晶が形成されず低剛性、超弾性が得られない。一方、保持時間が4時間を超えると形成された亜結晶が成長し細粒化が達成されず、したがって、加熱保持は、β変態点からβ変態点以下150℃までの温度範囲に5分以上4時間以下とした。
次に請求項2の発明について説明する。
請求項1の後、高強度化を達成するには200℃以上650℃以下の温度で時効処理を行うことが有効である。200℃未満の温度では時効処理を行っても高強度化に必要なα相の析出が生じず、650℃を超える温度では粗大なαが析出し高強度化は達成されない。
次に請求項3の発明について説明する。
請求項1または請求項2に記載の方法により製造されたチタン合金の引張り試験においては弾性限以下の低い応力で応力誘起マルテンサイト変態によると考えられる歪みが発生し、0.5%歪みでの応力が引張り強さの50%以下、1%歪みでの応力が引張り強さの80%以下という低い応力となり、低応力でもすぐれたばね特性を示す。。
図1に、表2に示す実施例10の場合の引張り試験の応力―歪み曲線を示す。本引張り試験では弾性歪みの量を明らかにするため、歪み量が2%及び4%に達した後いったん除荷しその後再び負荷するという試験を実施している。
0.5%歪みでの応力は引張り強さの25%以下、1%歪みでの応力は引張り強さの30%以下という低い応力となっており、極めて低い応力で弾性変形し良好なばね特性を示すことが認められる。この場合、0.2%歪み及び0.6%歪みの間で求めた平均の弾性率は12.5GPaとなり、一般のβ型チタン合金のおよそ1/10の値で人骨のそれに近い極めて低い値となっている。
図2は、表2に示す実施例11の場合の引張り試験の応力―歪み曲線を示す。0.5%歪みでの応力は引張り強さの35%以下、1%歪みでの応力は引張り強さの45%以下という低い応力となっており、極めて低い応力で弾性変形することがこの場合にも認められる。この場合の平均の弾性率は37GPaで一般のチタン合金の約1/3の値である。また、4%歪みを加えた後除荷した曲線よりこの場合の弾性歪みは約2%であると考えられ、通常のチタン合金の弾性歪みが約1%であることを考えると大きな値となっており、超弾性を示していると考えられる。
図3は、表2に示すNO.13の場合の引張り試験の応力―歪み曲線を示す。この場合にも明らかに超弾性伸びと0.5%歪み及び1%歪みでの低い応力レベルが認められる。
0.5%歪み及び1%歪みでのこのように低い応力/引張り強さの比は文献3にNear β型チタン合金に分類されるTi−10V−2Fe−3Al合金について報告されている例があるが、初晶のαが0%すなわちβ変態点以上での熱処理の場合であり、本発明のようにβ変態点以下での熱処理後に、なおこのように低い応力/引張り強さの比を示す例はこれまでに報告を見ない。
次ぎに請求項4の発明について説明する。
請求項1または2の条件で製造されたチタン合金は、β結晶粒内に平均粒径が50μm以下の微細なβの亜結晶が形成されている。このβ亜結晶はβ変態点以下から(β変態点―100℃)の温度範囲に5分以上4時間以下の時間保持したことにより形成されたものであり、この亜結晶の形成により応力誘起変態が低応力段階から均一に発生し、その結果として1.5%以上の超弾性伸びと低弾性率が実現されたものである。
次に請求項5の発明について説明する。
請求項5は、前記した請求項1または2に記載の製造方法で製造された請求項3及び4に記載のチタン合金を少なくとも素材の一部分に使用して成形したことを特徴とする低剛性、高強度でばね特性にすぐれためがねフレームである。
請求項1、2により低剛性、超弾性、高強度を達成でき、かつ焼結法でなく溶製法で製造可能なため低コストで製造可能なチタン合金を明らかにした。この合金は優れた特性を有しているため、数多くの種類の装身具、携帯品(腕時計、ピアス、指輪、ネクタイピン、ブローチ、カフスボタン、携帯電話、ベルトのバックル、鍵、ライター、各種筆記用具(ボールペン等)、キーホルダー、ネックレス、ブレスレット、イアリング、ハンドバッグや財布等の金具)や、ゴルフクラブ、人工骨等の医療分野への適用が可能であるが、特にめがねフレームに適用すると大きな効果を得ることができる。
すなわち、めがねフレームは常時人が顔に身につけて活動するため、軽量化要求が強く、かつ顔とのフィット性が要求されるため外力によって容易に変形できかつ外力を除去した場合にはすぐにもとの形状に戻ることが必要であり、低剛性、超弾性と高強度、すなわちばね特性が最も強く要求される製品であるからである。
前記した請求項1または2に記載の製造方法で製造された請求項3及び4に記載のチタン合金を用いてめがねフレームを製造することにより、装着性、フィット性にすぐれ、従来合金を用いた場合に比べ大幅に軽量化しためがねフレームの製造が可能となる。なお、めがねフレームは、テンプル部、リム部、ブリッジ部からなっているが、本発明合金をその全てに適用しても良いし、一部分に使用しても良い。特にその中でもテンプル部が装着性、フィット性に最も関係の大きい部分であるため、一部に本発明合金を使用する場合には、テンプル部に本発明合金を使用すると装着性、フィット性にすぐれためがねフレームを製造することができる。また、本発明合金は高い強度を有しているため、前記した全ての部分に使用することにより、従来の純チタン製のフレームに比べ大幅に軽量化しためがねフレームを製造することも可能である。
本発明合金は冷間加工による線材への加工が可能な加工性を有しているため、70GPa以下の低ヤング率と超弾性を達成でき、数多くの種類の携帯品、装身具は勿論のこと、人体の骨に近いヤング率を有しているため、人工骨等の医療分野にも適用でき、特にめがねフレームに適用すると、大幅に装着性、フィット性を改善することが可能となる。
次に本発明の特徴を実施例により明らかにする。表1に実施例として使用した供試材の化学組成、Mo当量及びβ変態点を示す。

表1
Figure 2005248202
(注)下線部が本特許範囲外
このうち、No.1〜4が本発明の請求範囲内の合金であり、No.5〜7は比較合金である。
表2には製造条件を、表3にはそれぞれの特性を示す。



表2
Figure 2005248202
(注)下線部が本発明の範囲外
表3
Figure 2005248202
これらの供試材は、真空2重アーク溶解により溶製された10kgのインゴット(直径120mm)を熱間鍛造及び熱間圧延で直径6mmの線材とし、表面の酸化層を酸洗で除去し、断面減少率70%以上となる冷間伸線を実施したあと、表2に示す加熱・保持を行い、一部の試料は表2の条件で時効処理が行われた。得られた供試材を用いて引張強度及びヤング率の測定を行った。
ヤング率は引張試験片に歪ゲージを取り付け、引張試験実施中における応力ー歪曲線を測定し、降伏点以下の応力での応力増加直線の勾配から求めた。
冷間加工性は、前記した供試材準備時の減面率70%の冷間圧延が正常に行うことができた場合を○、割れが発生し正常に圧延できなかった場合を×で示した。前記した表3にその結果を示す。
表3から明らかなように、本発明条件であるNo.10〜14はいずれも断面減少率70%の冷間圧延を正常に行うことができ、かつ70GPa以下の低いヤング率を示し、さらに1.5%以上の高い弾性伸びを持つ超弾性を示し、めがねフレームでの適用時に重要視されるばね特性に非常にすぐれていることがわかる。
それに対し比較例であるNo.15〜22の条件では、いずれかの条件が本発明の請求範囲を満足しないために、ヤング率、冷間加工性あるいは弾性伸びのいずれかが本発明合金に比べ劣るものである。具体的にはNo.15では使用した合金のMo当量が、本発明の範囲外で低いため、ヤング率が高くまた弾性伸びも低いものであり冷間圧延時に割れが発生したものである。No.16は加熱温度が本特許範囲よりも高いためヤング率が高く、弾性伸びが低く、No.17は加熱温度が本特許成分範囲を外れ低いため、ヤング率が高く弾性伸びが低く、No.18は冷却速度が本発明の範囲外で低いためヤング率が高く弾性伸びが低く、
No.19は加熱保持の時間が長いため、No.20は時効温度が高いためヤング率が高く弾性伸びが低く、No.21及びNo.22はMo当量が、本発明の範囲外で高いため、ヤング率が高くまた弾性伸びも低いものである。
以上の結果より本発明合金によりすぐれた特性の得られることが明らかになったので、実際に本発明合金を用いて図3に示すようなめがねフレームを製造した。なお、図中で1はテンプル部、2はリム部、3はブリッジ部である。このうち、1のテンプル部は最も装着性、フィット性の良し悪しに影響の大きい部品であるため、一種類はテンプル部、リム部、ブリッジ部の全てが純チタン(ヤング率100GPa、引張強度600MPa)からなるめがねフレーム(従来のめがねフレーム)を製造し、もう一種類としてテンプル部のみ表1のNo.1に相当する合金を用い、リム部、ブリッジ部は前記と同じ純チタンからなるめがねフレームを製造した。そして、リム部、ブリッジ部については両者とも同じ寸法とし、テンプル部については引張による破断荷重が同一となるよう太さを変更し、長さは同一となるようにして製造した。製造後に重量を測定した結果、純チタンのみから製造しためがねフレームが5.5gであったのに対し、テンプル部に本発明合金を用いためがねフレームは4.0gと約25%の軽量化を実現することができた。
この試作しためがねフレームの使用した合金の違いによる効果であるが、装着性、フィット性は個人によっても評価に差が生じ、数値で明確に評価することは困難であるため、無作為に20人を選び装着性、フィット性について5段階評価を実施(評価が5,4,3,2,1のそれぞれについて点数を5,4,3,2,1として評価)し、その平均点で評価した。その結果、従来合金のみにより製造しためがねフレームが平均3.2点であったのに対し、本発明の合金を使用しためがねフレームは、平均4.9点とかなりの改善が見られた。これは、軽量化効果に加え、ヤング率の低下と高強度化により、めがねをかける時にテンプル部の間隔の調整の自由度が大きくなったことにより、フィット性が向上したことが大きな原因と推定される。
合金1を表2の10の条件で処理した場合の引張り試験の応力―歪線図である。 合金2を表2の11の条件で処理した場合の引張り試験の応力―歪線図である。 合金4を表2の13の条件で処理した場合の引張り試験の応力―歪線図である 実施例として製造しためがねフレームの形状を説明する図である。
符号の説明
1 テンプル部
2 リム部
3 ブリッジ部

Claims (5)

  1. 下記の(1)式で表されるMo当量が8以上11以下となる合金を、そのβ変態点からβ変態点以下150℃までの温度範囲に5分以上4時間以下保持後1℃/秒以上の冷却速度で急冷することを特徴とする高弾性伸び、低弾性率を実現するチタン合金の製造方法。
    Mo当量=(Mo)+2/3×(V)+(Nb)/3.5+2/9×(Ta)+2.8×(Fe)+1.6×(Cr) (1)
    ただし、(M)は合金元素Mの重量%で表した含有量を示す。
  2. 請求項1に加え、さらに200℃以上650℃以下の温度で時効することを特徴とする低弾性率、高弾性伸びを示す高強度チタン合金の製造方法。
  3. 引張試験における0.5%歪みでの応力が引張強さの45%以下、1%歪みでの応力が80%以下の低応力となる請求項1または2に記載の方法による、ばね特性にすぐれた低弾性率チタン合金。
  4. 請求項1または2の方法により製造された、β結晶粒内に平均粒径が50μm以下の微細なβの亜結晶を有し、1.5%以上の大きな弾性伸びを有することを特徴とする超弾性チタン合金。
  5. 請求項1又は2の方法により製造された請求項3及び4に示すチタン合金を、少なくとも一部に使用したばね特性および掛け心地にすぐれためがねフレーム。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP3168367U (ja) * 2011-03-29 2011-06-09 株式会社 グラスアート 超弾性材料を用いたメガネフレーム

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