以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る基板処理装置の平面図である。また、図2は基板処理装置の液処理部の正面図であり、図3は熱処理部の正面図であり、図4は基板載置部の周辺構成を示す図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。
本実施形態の基板処理装置は、半導体ウェハ等の基板に反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の基板に現像処理を行う装置(いわゆるコータ&デベロッパ)である。なお、本発明に係る基板処理装置の処理対象となる基板は半導体ウェハに限定されるものではなく、液晶表示装置用のガラス基板等であっても良い。
本実施形態の基板処理装置は、インデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像・洗浄処理ブロック4およびインターフェイスブロック5の5つの処理ブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には本基板処理装置とは別体の外部装置である露光ユニット(ステッパ)EXPが接続配置されている。つまり、本基板処理装置は露光ユニットEXPに隣接して配置されている。また、本実施形態の基板処理装置および露光ユニットEXPはホストコンピュータ100とLAN回線(図示省略)を経由して接続されている。
インデクサブロック1は、装置外から受け取った未処理基板をバークブロック2やレジスト塗布ブロック3に払い出すとともに、現像・洗浄処理ブロック4から受け取った処理済み基板を装置外に搬出するための処理ブロックである。インデクサブロック1は、複数のキャリアC(本実施形態では4個)を並べて載置する載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納する基板移載機構12とを備えている。基板移載機構12は、載置台11に沿って(Y軸方向に沿って)水平移動可能な可動台12aを備えており、この可動台12aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム12bが搭載されている。保持アーム12bは、可動台12a上を昇降(Z軸方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。これにより、基板移載機構12は、保持アーム12bを各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
インデクサブロック1に隣接してバークブロック2が設けられている。インデクサブロック1とバークブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にインデクサブロック1とバークブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層して設けられている。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック1からバークブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は3本の支持ピンを備えており、インデクサブロック1の基板移載機構12はキャリアCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを後述するバークブロック2の搬送ロボットTR1が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS2も3本の支持ピンを備えており、バークブロック2の搬送ロボットTR1は処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板Wを基板移載機構12が受け取ってキャリアCに収納する。なお、後述する基板載置部PASS3〜PASS10の構成も基板載置部PASS1,PASS2と同じである。
基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁13の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、基板移載機構12やバークブロック2の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
次に、バークブロック2について説明する。バークブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成するための処理ブロックである。バークブロック2は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成するための下地塗布処理部BRCと、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー21,21と、下地塗布処理部BRCおよび熱処理タワー21,21に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR1とを備える。
バークブロック2においては、搬送ロボットTR1を挟んで下地塗布処理部BRCと熱処理タワー21,21とが対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部BRCが装置正面側に、2つの熱処理タワー21,21が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー21,21の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。下地塗布処理部BRCと熱処理タワー21,21とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー21,21から下地塗布処理部BRCに熱的影響を与えることを回避しているのである。
下地塗布処理部BRCは、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3を下から順に積層配置して構成されている。なお、3つの塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3を特に区別しない場合はこれらを総称して下地塗布処理部BRCとする。各塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3は、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック22、このスピンチャック22上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を吐出する塗布ノズル23、スピンチャック22を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック22上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー21には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個のホットプレートHP1〜HP6と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP1〜CP3とが設けられている。この熱処理タワー21には、下から順にクールプレートCP1〜CP3、ホットプレートHP1〜HP6が積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー21には、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理部AHL1〜AHL3が下から順に積層配置されている。なお、図3において「×」印で示した箇所には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
このように塗布処理ユニットBRC1〜BRC3や熱処理ユニット(バークブロック2ではホットプレートHP1〜HP6、クールプレートCP1〜CP3、密着強化処理部AHL1〜AHL3)を多段に積層配置することにより、基板処理装置の占有スペースを小さくしてフットプリントを削減することができる。また、2つの熱処理タワー21,21を並設することによって、熱処理ユニットのメンテナンスが容易になるとともに、熱処理ユニットに必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
図5は、バークブロック2に設けられた搬送ロボットTR1を説明するための図である。図5(a)は搬送ロボットTR1の平面図であり、(b)は搬送ロボットTR1の正面図である。搬送ロボットTR1は、基板Wを略水平姿勢で保持する2個の保持アーム6a,6bを上下に近接させて備えている。保持アーム6a,6bは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン7で基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。
搬送ロボットTR1の基台8は装置基台(装置フレーム)に対して固定設置されている。この基台8上に、ガイド軸9cが立設されるとともに、螺軸9aが回転可能に立設支持されている。また、基台8には螺軸9aを回転駆動するモータ9bが固定設置されている。そして、螺軸9aには昇降台10aが螺合されるとともに、昇降台10aはガイド軸9cに対して摺動自在とされている。このような構成により、モータ9bが螺軸9aを回転駆動することにより、昇降台10aがガイド軸9cに案内されて鉛直方向(Z方向)に昇降移動するようになっている。
また、昇降台10a上にアーム基台10bが鉛直方向に沿った軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10aには、アーム基台10bを旋回駆動するモータ10cが内蔵されている。そして、このアーム基台10b上に上述した2個の保持アーム6a,6bが上下に配設されている。各保持アーム6a,6bは、アーム基台10bに装備されたスライド駆動機構(図示省略)によって、それぞれ独立して水平方向(アーム基台10bの旋回半径方向)に進退移動可能に構成されている。
このような構成によって、図5(a)に示すように、搬送ロボットTR1は2個の保持アーム6a,6bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、熱処理タワー21に設けられた熱処理ユニット、下地塗布処理部BRCに設けられた塗布処理ユニットおよび後述する基板載置部PASS3,PASS4に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、レジスト塗布ブロック3について説明する。バークブロック2と現像・洗浄処理ブロック4との間に挟み込まれるようにしてレジスト塗布ブロック3が設けられている。このレジスト塗布ブロック3とバークブロック2との間にも、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。この隔壁25にバークブロック2とレジスト塗布ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック2からレジスト塗布ブロック3へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック2の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック3からバークブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック2の搬送ロボットTR1が受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁25の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR1,TR2が基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。さらに、基板載置部PASS3,PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁25を貫通して上下に設けられている(図4参照)。
レジスト塗布ブロック3は、バークブロック2にて反射防止膜が塗布形成された基板W上にレジストを塗布してレジスト膜を形成するための処理ブロックである。なお、本実施形態では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト塗布ブロック3は、下地塗布された反射防止膜の上にレジストを塗布するレジスト塗布処理部SCと、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー31,31と、レジスト塗布処理部SCおよび熱処理タワー31,31に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR2とを備える。
レジスト塗布ブロック3においては、搬送ロボットTR2を挟んでレジスト塗布処理部SCと熱処理タワー31,31とが対向して配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部SCが装置正面側に、2つの熱処理タワー31,31が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー31,31の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。レジスト塗布処理部SCと熱処理タワー31,31とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー31,31からレジスト塗布処理部SCに熱的影響を与えることを回避しているのである。
レジスト塗布処理部SCは、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3を下から順に積層配置して構成されている。なお、3つの塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3を特に区別しない場合はこれらを総称してレジスト塗布処理部SCとする。各塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3は、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック32、このスピンチャック32上に保持された基板W上にレジスト液を吐出する塗布ノズル33、スピンチャック32を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック32上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー31には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個の加熱部PHP1〜PHP6が下から順に積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー31には、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP4〜CP9が下から順に積層配置されている。
各加熱部PHP1〜PHP6は、基板Wを載置して加熱処理を行う通常のホットプレートの他に、そのホットプレートと隔てられた上方位置に基板Wを載置しておく基板仮置部と、該ホットプレートと基板仮置部との間で基板Wを搬送するローカル搬送機構34(図1参照)とを備えた熱処理ユニットである。ローカル搬送機構34は、昇降移動および進退移動が可能に構成されるとともに、冷却水を循環させることによって搬送過程の基板Wを冷却する機構を備えている。
ローカル搬送機構34は、上記ホットプレートおよび基板仮置部を挟んで搬送ロボットTR2とは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、基板仮置部は搬送ロボットTR2側およびローカル搬送機構34側の双方に対して開口している一方、ホットプレートはローカル搬送機構34側にのみ開口し、搬送ロボットTR2側には閉塞している。従って、基板仮置部に対しては搬送ロボットTR2およびローカル搬送機構34の双方がアクセスできるが、ホットプレートに対してはローカル搬送機構34のみがアクセス可能である。なお、加熱部PHP1〜PHP6は後述する現像・洗浄処理ブロック4の加熱部PHP7〜PHP12と概ね同様の構成(図7)を備えている。
このような構成を備える各加熱部PHP1〜PHP6に基板Wを搬入するときには、まず搬送ロボットTR2が基板仮置部に基板Wを載置する。そして、ローカル搬送機構34が基板仮置部から基板Wを受け取ってホットプレートまで搬送し、該基板Wに加熱処理が施される。ホットプレートでの加熱処理が終了した基板Wは、ローカル搬送機構34によって取り出されて基板仮置部まで搬送される。このときに、ローカル搬送機構34が備える冷却機能によって基板Wが冷却される。その後、基板仮置部まで搬送された熱処理後の基板Wが搬送ロボットTR2によって取り出される。
このように、加熱部PHP1〜PHP6においては、搬送ロボットTR2が常温の基板仮置部に対して基板Wの受け渡しを行うだけで、ホットプレートに対して直接に基板Wの受け渡しを行わないため、搬送ロボットTR2の温度上昇を抑制することができる。また、ホットプレートはローカル搬送機構34側にのみ開口しているため、ホットプレートから漏出した熱雰囲気によって搬送ロボットTR2やレジスト塗布処理部SCが悪影響を受けることが防止される。なお、クールプレートCP4〜CP9に対しては搬送ロボットTR2が直接基板Wの受け渡しを行う。
搬送ロボットTR2の構成は、搬送ロボットTR1と全く同じである。よって、搬送ロボットTR2は2個の保持アームをそれぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、熱処理タワー31,31に設けられた熱処理ユニット、レジスト塗布処理部SCに設けられた塗布処理ユニットおよび後述する基板載置部PASS5,PASS6に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、現像・洗浄処理ブロック4について説明する。レジスト塗布ブロック3とインターフェイスブロック5との間に挟み込まれるようにして現像・洗浄処理ブロック4が設けられている。レジスト塗布ブロック3と現像・洗浄処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁35が設けられている。この隔壁35にレジスト塗布ブロック3と現像・洗浄処理ブロック4との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック3から現像・洗浄処理ブロック4へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS5に載置した基板Wを現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS6は、現像・洗浄処理ブロック4からレジスト塗布ブロック3へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁35の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR2,TR3が基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。さらに、基板載置部PASS5,PASS6の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁35を貫通して上下に設けられている(図4参照)。
現像・洗浄処理ブロック4は、露光処理後の基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックである。また、現像・洗浄処理ブロック4においては、液浸露光処理が行われた基板Wの洗浄および乾燥を行うことも可能である。現像・洗浄処理ブロック4は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部SDと、液浸露光処理後の基板Wに対する洗浄処理および乾燥処理を行う洗浄処理部SOAKと、現像処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー41,42と、現像処理部SD,洗浄処理部SOAKおよび熱処理タワー41,42に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR3とを備える。なお、搬送ロボットTR3は、上述した搬送ロボットTR1,TR2と全く同じ構成を有する。
現像処理部SDは、図2に示すように、同様の構成を備えた4つの現像処理ユニットSD1,SD2,SD3,SD4を下から順に積層配置して構成されている。なお、4つの現像処理ユニットSD1〜SD4を特に区別しない場合はこれらを総称して現像処理部SDとする。各現像処理ユニットSD1〜SD4は、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック43、このスピンチャック43上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル44、スピンチャック43を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック43上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
洗浄処理部SOAKは1台の洗浄処理ユニットSOAK1を備える。図2に示すように、洗浄処理ユニットSOAK1は、現像処理ユニットSD1の下側に配置される。図6は、洗浄処理ユニットSOAK1の構成を説明するための図である。洗浄処理ユニットSOAK1は、基板Wを水平姿勢にて保持するとともに基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで基板Wを回転させるためのスピンチャック421を備える。
スピンチャック421は、図示を省略する電動モータによって回転される回転軸425の上端に固定されている。また、スピンチャック421には吸気路(図示せず)が形成されており、スピンチャック421上に基板Wを載置した状態で吸気路内を排気することにより、基板Wの下面をスピンチャック421に真空吸着し、基板Wを水平姿勢で保持することができる。
スピンチャック421の側方には、第1の回動モータ460が設けられている。第1の回動モータ460には、第1の回動軸461が接続されている。また、第1の回動軸461には、第1のアーム462が水平方向に延びるように連結され、第1のアーム462の先端に洗浄処理用ノズル450が設けられている。第1の回動モータ460の駆動により第1の回動軸461が回転するとともに第1のアーム462が回動し、洗浄処理用ノズル450がスピンチャック421に保持された基板Wの上方に移動する。
洗浄処理用ノズル450には洗浄用供給管463の先端が連通接続されている。洗浄用供給管463は、バルブVaおよびバルブVbを介して洗浄液供給源Rlおよびリンス液供給源R2に連通接続されている。このバルブVa,Vbの開閉を制御することにより、洗浄用供給管463に供給する処理液の選択および供給量の調整を行うことができる。すなわち、バルブVaを開くことにより洗浄用供給管463に洗浄液を供給することができ、バルブVbを開くことにより洗浄用供給管463にリンス液を供給することができる。
洗浄液供給源Rlまたはリンス液供給源R2から供給された洗浄液またはリンス液は、洗浄用供給管463を介して洗浄処理用ノズル450に送給される。それにより、洗浄処理用ノズル450から基板Wの表面へ洗浄液またはリンス液を供給することができる。洗浄液としては、例えば、純水、純水に錯体(イオン化したもの)を溶かした溶液またはフッ素系薬液などが用いられる。リンス液としては、例えば、純水、炭酸水、水素水、電解イオン水およびHFE(ハイドロフルオロエーテル)などが用いられる。なお、洗浄処理用ノズル450としては気体中に液滴を混合して吐出する二流体ノズルを使用するようにしても良い。
一方、上記とは異なるスピンチャック421の側方には、第2の回動モータ470が設けられている。第2の回動モータ470には、第2の回動軸471が接続されている。また、第2の回動軸471には、第2のアーム472が水平方向に延びるように連結され、第2のアーム472の先端に乾燥処理用ノズル451が設けられている。第2の回動モータ470の駆動により第2の回動軸471が回転するとともに第2のアーム472が回動し、乾燥処理用ノズル451がスピンチャック421に保持された基板Wの上方に移動する。
乾燥処理用ノズル451には乾燥用供給管473の先端が連通接続されている。乾燥用供給管473は、バルブVcを介して不活性ガス供給源R3に連通接続されている。このバルブVcの開閉を制御することにより、乾燥用供給管473に供給する不活性ガスの供給量を調整することができる。
不活性ガス供給源R3から供給された不活性ガスは、乾燥用供給管473を介して乾燥処理用ノズル451に送給される。それにより、乾燥処理用ノズル451から基板Wの表面へ不活性ガスを供給することができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス(N2)やアルゴンガス(Ar)が用いられる。
基板Wの表面へ洗浄液またはリンス液を供給する際には、洗浄処理用ノズル450がスピンチャック421に保持された基板Wの上方に位置するとともに、乾燥処理用ノズル451が所定の位置に退避する。逆に、基板Wの表面へ不活性ガスを供給する際には、図6に示すように、乾燥処理用ノズル451がスピンチャック421に保持された基板Wの上方に位置するとともに、洗浄処理用ノズル450が所定の位置に退避する。
スピンチャック421に保持された基板Wは、処理カップ423によって囲繞される。処理カップ423の内側には、円筒状の仕切壁433が設けられている。また、スピンチャック421の周囲を取り囲むように、基板Wの処理に用いられた処理液(洗浄液またはリンス液)を排液するための排液空間431が仕切壁433の内側に形成されている。さらに、排液空間431を取り囲むように、処理カップ423の外壁と仕切壁433との間に基板Wの処理に用いられた処理液を回収するための回収液空間432が形成されている。
排液空間431には、排液処理装置(図示せず)へ処理液を導くための排液管434が接続され、回収液空間432には、回収処理装置(図示せず)へ処理液を導くための回収管435が接続されている。
処理カップ423の上方には、基板Wからの処理液が外方へ飛散することを防止するためのスプラッシュガード424が設けられている。このスプラッシュガード424は、回転軸425に対して回転対称な形状とされている。スプラッシュガード424の上端部の内面には、断面くの字形状の排液案内溝441が環状に形成されている。また、スプラッシュガード424の下端部の内面には、外側下方に傾斜する傾斜面からなる回収液案内部442が形成されている。回収液案内部442の上端付近には、処理カップ423の仕切壁433を受け入れるための仕切壁収納溝443が形成されている。
このスプラッシュガード424は、ボールねじ機構等で構成されたガード昇降駆動機構(図示せず)によって鉛直方向に沿って昇降駆動される。ガード昇降駆動機構は、スプラッシュガード424を、回収液案内部442がスピンチャック421に保持された基板Wの端縁部を取り囲む回収位置と、排液案内溝441がスピンチャック421に保持された基板Wの端縁部を取り囲む排液位置との問で昇降させる。スプラッシュガード424が回収位置(図6に示す位置)にある場合には、基板Wの端縁部から飛散した処理液が回収液案内部442により回収液空間432に導かれ、回収管435を介して回収される。一方、スプラッシュガード424が排液位置にある場合には、基板Wの端縁部から飛散した処理液が排液案内溝441により排液空間431に導かれ、排液管434を介して排液される。このようにして、処理液の排液および回収を切り換えて実行可能とされている。
図3に戻り、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー41には、基板Wを所定の温度にまで加熱する5個のホットプレートHP7〜HP11と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP10〜CP13とが設けられている。この熱処理タワー41には、下から順にクールプレートCP10〜CP13、ホットプレートHP7〜HP11が積層配置されている。
一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー42には、6個の加熱部PHP7〜PHP12とクールプレートCP14とが積層配置されている。各加熱部PHP7〜PHP12は、上述した加熱部PHP1〜PHP6と同様に、基板仮置部およびローカル搬送機構を備えた熱処理ユニットである。
図7は、基板仮置部付きの加熱部PHP7の概略構成を示す図である。図7(a)は加熱部PHP7の側断面図であり、(b)は平面図である。なお、同図には加熱部PHP7を示しているが、加熱部PHP8〜PHP12についても全く同様の構成である。加熱部PHP7は、基板Wを載置して加熱処理する加熱プレート710と、当該加熱プレート710から離れた上方位置または下方位置(本実施形態では上方位置)に基板Wを載置する基板仮置部719と、加熱プレート710と基板仮置部719との間で基板Wを搬送する熱処理部用のローカル搬送機構720とを備えている。加熱プレート710には、プレート表面に出没する複数本の可動支持ピン721が設けられている。加熱プレート710の上方には加熱処理時に基板Wを覆う昇降自在の上蓋722が設けられている。基板仮置部719には基板Wを支持する複数本の固定支持ピン723が設けられている。
ローカル搬送機構720は、基板Wを略水平姿勢で保持する保持プレート724を備え、この保持プレート724がネジ送り駆動機構725によって昇降移動されるとともに、ベルト駆動機構726によって進退移動されるように構成されている。保持プレート724には、これが加熱プレート710の上方や基板仮置部719に進出したときに、可動支持ピン721や固定支持ピン723と干渉しないように複数本のスリット724aが形成されている。
また、ローカル搬送機構720は、加熱プレート710から基板仮置部719へ基板Wを搬送する過程で基板Wを冷却する冷却手段を備えている。この冷却手段は、図7(b)に示すように、保持プレート724の内部に冷却水流路724bを設け、この冷却水流路724bに冷却水を流通させることによって構成されている。なお、冷却手段としては、保持プレート724の内部に例えばペルチェ素子等を設けるようにしても良い。
上述したローカル搬送機構720は、加熱プレート710および基板仮置部719よりも装置背面側(つまり(+Y)側)に設置されている。また、加熱プレート710および基板仮置部719の(+X)側にはインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4が、(−Y)側には現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3が、それぞれ配置されている。そして、加熱プレート710および基板仮置部719を覆う筐体727の上部、すなわち基板仮置部719を覆う部位には、その(+X)側に搬送ロボットTR4の進入を許容する開口部719aが、その(+Y)側にはローカル搬送機構720の進入を許容する開口部719bが、それぞれ設けられている。また、筐体727の下部、すなわち加熱プレート710を覆う部位は、その(+X)側および(−Y)側が閉塞(つまり、搬送ロボットTR3および搬送ロボットTR4に対向する面が閉塞)される一方、(+Y)側にローカル搬送機構720の進入を許容する開口部719cが設けられている。
上述した加熱部PHP7に対する基板Wの出し入れは以下のようにして行われる。まず、インターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4が露光後の基板Wを保持して、基板仮置部719の固定支持ピン723の上に基板Wを載置する。続いて、ローカル搬送機構720の保持プレート724が基板Wの下側に進入してから少し上昇することにより、固定支持ピン723から基板Wを受け取る。基板Wを保持した保持プレート724は筐体727から退出して、加熱プレート710に対向する位置まで下降する。このとき加熱プレート710の可動支持ピン721は下降しているとともに、上蓋722は上昇している。基板Wを保持した保持プレート724は加熱プレート710の上方に進出する。可動支持ピン721が上昇して基板Wを受取位置にて受け取った後に保持プレート724が退出する。続いて、可動支持ピン721が下降して基板Wを加熱プレート710上に載せるととともに、上蓋722が下降して基板Wを覆う。この状態で基板Wが加熱処理される。加熱処理が終わると上蓋722が上昇するとともに、可動支持ピン721が上昇して基板Wを持ち上げる。続いて、保持プレート724が基板Wの下に進出した後、可動支持ピン721が下降することにより、基板Wが保持プレート724に受け渡される。基板Wを保持した保持プレート724が退出して、さらに上昇して基板Wを基板仮置部719に搬送する。この搬送過程で保持プレート724に支持された基板Wが、保持プレート724が有する冷却手段によって冷却される。保持プレート724は、冷却した(概ね常温に戻した)基板Wを基板仮置部719の固定支持ピン723上に移載する。この基板Wを搬送ロボットTR4が取り出して搬送する。
搬送ロボットTR4は、基板仮置部719に対して基板Wの受け渡しをするだけで、加熱プレート710に対して基板Wの受け渡しをしないので、搬送ロボットTR4が温度上昇するのを回避することができる。また、加熱プレート710に基板Wを出し入れするための開口部719cが、ローカル搬送機構720の側のみに形成されているので、開口部719cから漏洩した熱雰囲気によって搬送ロボットTR3および搬送ロボットTR4が温度上昇することがなく、また現像処理部SDおよび洗浄処理部SOAKが開口部719cから漏れ出た熱雰囲気によって悪影響を受けることもない。
以上のように、加熱部PHP7〜PHP12およびクールプレートCP14に対してはインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4はアクセス可能であるが、現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3はアクセス不可である。なお、熱処理タワー41に組み込まれた熱処理ユニットに対しては現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3がアクセスする。
また、熱処理タワー42の最上段には、現像・洗浄処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して組み込まれている。上側の基板載置部PASS7は、現像・洗浄処理ブロック4からインターフェイスブロック5へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS7に載置した基板Wをインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS8は、インターフェイスブロック5から現像・洗浄処理ブロック4へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4が基板載置部PASS8に載置した基板Wを現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3が受け取る。なお、基板載置部PASS7,PASS8は、現像・洗浄処理ブロック4の搬送ロボットTR3およびインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4の両側に対して開口している。
次に、インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、現像・洗浄処理ブロック4に隣接して設けられ、レジスト塗布処理が行われてレジスト膜が形成された基板Wをレジスト塗布ブロック3から受け取って本基板処理装置とは別体の外部装置である露光ユニットEXPに渡すとともに、露光済みの基板Wを露光ユニットEXPから受け取って現像・洗浄処理ブロック4に渡すブロックである。本実施形態のインターフェイスブロック5には、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構55の他に、レジスト膜が形成された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2と、現像・洗浄処理ブロック4内に配設された加熱部PHP7〜PHP12、クールプレートCP14およびエッジ露光ユニットEEW1,EEW2に対して基板Wを受け渡しする搬送ロボットTR4とを備えている。
エッジ露光ユニットEEW1,EEW2(2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2を特に区別しない場合はこれらを総称してエッジ露光部EEWとする)は、図2に示すように、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック56や、このスピンチャック56に保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器57などを備えている。2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2は、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像・洗浄処理ブロック4の熱処理タワー42とに隣接して配置されている搬送ロボットTR4は上述した搬送ロボットTR1〜TR3と同様の構成を備えている。
図2および図8を参照してさらに説明を続ける。図8は、インターフェイスブロック5を(+X)側から見た側面図である。2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2の下側には基板戻し用のリターンバッファRBFが設けられ、さらにその下側には2つの基板載置部PASS9,PASS10が上下に積層して設けられている。リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像・洗浄処理ブロック4が基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像・洗浄処理ブロック4の加熱部PHP7〜PHP12で露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このリターンバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。また、上側の基板載置部PASS9は搬送ロボットTR4から搬送機構55に基板Wを渡すために使用するものであり、下側の基板載置部PASS10は搬送機構55から搬送ロボットTR4に基板Wを渡すために使用するものである。なお、リターンバッファRBFに対しては搬送ロボットTR4がアクセスを行う。
図8に示すように、搬送機構55の可動台55aは螺軸522に螺合される。螺軸522は、その回転軸がY軸方向に沿うように2つの支持台523によって回転自在に支持される。螺軸522の一端部にはモータM1が連結されており、このモータM1の駆動により螺軸522が回転し、可動台55aがY軸方向に沿って水平移動する。
また、可動台55a上には基板Wを保持する2つの保持アーム59a,59bが上下に並ぶように搭載されている。2つの保持アーム59a,59bは、可動台55aに内蔵された駆動機構によって、それぞれ独立に昇降移動、旋回動作および旋回半径方向への進退移動が可能に構成されている。このような構成によって、搬送機構55は、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うとともに、基板載置部PASS9,PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板送り用のセンドバッファSBFに対する基板Wの収納および取り出しを行う。センドバッファSBFは、露光ユニットEXPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。
また、図2および図8に示すように、洗浄処理ユニットSOAK1の(+X)側には開口部58が形成されている。このため、搬送機構55は、開口部58を介して洗浄処理ユニットSOAK1に対しても基板Wの授受を行うことができる。
以上のインデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像・洗浄処理ブロック4およびインターフェイスブロック5には常に清浄空気がダウンフローとして供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれ、外部環境からのパーティクルや汚染物質の進入などを防いでいる。
また、上述したインデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像・洗浄処理ブロック4およびインターフェイスブロック5は、本実施形態の基板処理装置を機構的に分割した単位である。各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置が構成されている。
一方、本実施形態では、基板搬送に係る搬送制御単位を機械的に分割したブロックとは別に構成している。本明細書では、このような基板搬送に係る搬送制御単位を「セル」と称する。1つのセルは、基板搬送を担当する搬送ロボットと、その搬送ロボットによって基板が搬送されうる搬送対象部とを含んで構成されている。そして、上述した各基板載置部が、セル内に基板Wを受け入れるための入口基板載置部またはセルから基板Wを払い出すための出口基板載置部として機能する。すなわち、セル間の基板Wの受け渡しも基板載置部を介して行われる。なお、セルを構成する搬送ロボットとしては、インデクサブロック1の基板移載機構12やインターフェイスブロック5の搬送機構55も含まれる。
本実施形態の基板処理装置には、インデクサセル、バークセル、レジスト塗布セル、現像処理セル、露光後ベークセルおよびインターフェイスセルの6つのセルが含まれている。インデクサセルは、載置台11と基板移載機構12とを含み、機械的に分割した単位であるインデクサブロック1と結果的に同じ構成となっている。また、バークセルは、下地塗布処理部BRCと2つの熱処理タワー21,21と搬送ロボットTR1とを含む。このバークセルも、機械的に分割した単位であるバークブロック2と結果として同じ構成になっている。さらに、レジスト塗布セルは、レジスト塗布処理部SCと2つの熱処理タワー31,31と搬送ロボットTR2とを含む。このレジスト塗布セルも、機械的に分割した単位であるレジスト塗布ブロック3と結果として同じ構成になっている。
一方、現像処理セルは、現像処理部SDと熱処理タワー41と搬送ロボットTR3とを含む。上述したように、搬送ロボットTR3は熱処理タワー42の加熱部PHP7〜PHP12およびクールプレートCP14に対してアクセスすることができず、現像処理セルに熱処理タワー42は含まれない。また、洗浄処理部SOAKの洗浄処理ユニットSOAK1に対してはインターフェイスブロック5の搬送機構55がアクセスするため、洗浄処理部SOAKも現像処理セルに含まれない。これらの点において、現像処理セルは機械的に分割した単位である現像・洗浄処理ブロック4と異なる。
また、露光後ベークセルは、現像・洗浄処理ブロック4に位置する熱処理タワー42と、インターフェイスブロック5に位置するエッジ露光部EEWと搬送ロボットTR4とを含む。すなわち、露光後ベークセルは、機械的に分割した単位である現像・洗浄処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるものである。このように露光後加熱処理を行う加熱部PHP7〜PHP12と搬送ロボットTR4とを含んで1つのセルを構成しているので、露光後の基板Wを速やかに加熱部PHP7〜PHP12に搬入して熱処理を行うことができる。このような構成は、パターンの露光を行った後なるべく速やかに加熱処理を行う必要のある化学増幅型レジストを使用した場合に好適である。
なお、熱処理タワー42に含まれる基板載置部PASS7,PASS8は現像処理セルの搬送ロボットTR3と露光後ベークセルの搬送ロボットTR4との間の基板Wの受け渡しのために介在する。
インターフェイスセルは、外部装置である露光ユニットEXPに対して基板Wの受け渡しを行う搬送機構55および洗浄処理部SOAKを含んで構成されている。このインターフェイスセルは、現像・洗浄処理ブロック4に位置する洗浄処理部SOAKを含むとともに、搬送ロボットTR4やエッジ露光部EEWを含まない点で、機械的に分割した単位であるインターフェイスブロック5とは異なる構成となっている。なお、エッジ露光部EEWの下方に設けられた基板載置部PASS9,PASS10は露光後ベークセルの搬送ロボットTR4とインターフェイスセルの搬送機構55との間の基板Wの受け渡しのために介在する。
次に、本実施形態の基板処理装置の制御機構について説明する。図9は、制御機構の概略を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の基板処理装置は、メインコントローラMC、セルコントローラCC、ユニットコントローラの3階層からなる制御階層を備えている。メインコントローラMC、セルコントローラCC、ユニットコントローラのハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、各コントローラは、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。
第1階層のメインコントローラMCは、基板処理装置全体に1つ設けられており、装置全体の管理、メインパネルMPの管理およびセルコントローラCCの管理を主に担当する。メインパネルMPは、メインコントローラMCのディスプレイとして機能するものである。また、メインコントローラMCに対してはキーボードKBから種々のコマンドやパラメータを入力することができる。なお、メインパネルMPをタッチパネルにて構成し、メインパネルMPからメインコントローラMCに入力作業を行うようにしても良い。
第2階層のセルコントローラCCは、6つのセル(インデクサセル、バークセル、レジスト塗布セル、現像処理セル、露光後ベークセルおよびインターフェイスセル)のそれぞれに対して個別に設けられている。各セルコントローラCCは、対応するセル内の基板搬送管理およびユニット管理を主に担当する。具体的には、各セルのセルコントローラCCは、所定の基板載置部に基板Wを置いたという情報を、隣のセルのセルコントローラCCに送り、その基板Wを受け取ったセルのセルコントローラCCは、当該基板載置部から基板Wを受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラCCに返すという情報の送受信を行う。このような情報の送受信はメインコントローラMCを介して行われる。そして、各セルコントローラCCはセル内に基板Wが搬入された旨の情報を搬送ロボットコントローラTCに与え、該搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットを制御してセル内で基板Wを所定の手順に従って循環搬送させる。なお、搬送ロボットコントローラTCは、セルコントローラCC上で所定のアプリケーションが動作することによって実現される制御部である。
また、第3階層のユニットコントローラとしては、例えばスピンコントローラやベークコントローラが設けられている。スピンコントローラは、セルコントローラCCの指示に従ってセル内に配置されたスピンユニット(塗布処理ユニット、現像処理ユニットおよび洗浄処理ユニット)を直接制御するものである。具体的には、スピンコントローラは、例えばスピンユニットのスピンモータを制御して基板Wの回転数を調整する。また、ベークコントローラは、セルコントローラCCの指示に従ってセル内に配置された熱処理ユニット(ホットプレート、クールプレート、加熱部等)を直接制御するものである。具体的には、ベークコントローラは、例えばホットプレートに内蔵されたヒータを制御してプレート温度等を調整する。
また、基板処理装置に設けられた3階層からなる制御階層のさらに上位の制御機構として、基板処理装置とLAN回線を介して接続されたホストコンピュータ100が位置している(図1参照)。ホストコンピュータ100は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えており、一般的なコンピュータと同様の構成を有している。ホストコンピュータ100には、本実施形態の基板処理装置が通常複数台接続されている。ホストコンピュータ100は、接続されたそれぞれの基板処理装置に処理手順および処理条件を記述したレシピを渡す。ホストコンピュータ100から渡されたレシピは各基板処理装置のメインコントローラMCの記憶部(例えばメモリ)に記憶される。
なお、露光ユニットEXPには、上記の基板処理装置の制御機構から独立した別個の制御部が設けられている。すなわち、露光ユニットEXPは、基板処理装置のメインコントローラMCの制御下で動作しているものではなく、単体で独自の動作制御を行っているものである。もっとも、このような露光ユニットEXPもホストコンピュータ100から受け取ったレシピに従って動作制御を行っている。
次に、本実施形態の基板処理装置の動作について説明する。ここでは、まず、基板処理装置における一般的な基板Wの循環搬送の概略手順について説明する。以下に説明する処理手順は、ホストコンピュータ100から受け取ったレシピの記述内容に従ったものである。
まず、装置外部から未処理の基板WがキャリアCに収納された状態でAGV等によってインデクサブロック1に搬入される。続いて、インデクサブロック1から未処理の基板Wの払い出しが行われる。具体的には、インデクサセル(インデクサブロック1)の基板移載機構12が所定のキャリアCから未処理の基板Wを取り出し、上側の基板載置部PASS1に載置する。基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークセルの搬送ロボットTR1が保持アーム6a,6bのうちの一方を使用してその基板Wを受け取る。そして、搬送ロボットTR1は受け取った未処理の基板Wを塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のいずれかに搬送する。塗布処理ユニットBRC1〜BRC3では、基板Wに反射防止膜用の塗布液が回転塗布される。
塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR1によってホットプレートHP1〜HP6のいずれかに搬送される。ホットプレートにて基板Wが加熱されることによって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が形成される。その後、搬送ロボットTR1によってホットプレートから取り出された基板WはクールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却される。なお、このときにクールプレートWCPによって基板Wを冷却するようにしても良い。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって基板載置部PASS3に載置される。
また、基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wを搬送ロボットTR1が密着強化処理部AHL1〜AHL3のいずれかに搬送するようにしても良い。密着強化処理部AHL1〜AHL3では、HMDSの蒸気雰囲気で基板Wを熱処理してレジスト膜と基板Wとの密着性を向上させる。密着強化処理の終了した基板Wは搬送ロボットTR1によって取り出され、クールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却される。密着強化処理が行われた基板Wには反射防止膜を形成しないため、冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって直接基板載置部PASS3に載置される。
また、反射防止膜用の塗布液を塗布する前に脱水処理を行うようにしても良い。この場合はまず、基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wを搬送ロボットTR1が密着強化処理部AHL1〜AHL3のいずれかに搬送する。密着強化処理部AHL1〜AHL3では、HMDSの蒸気を供給することなく基板Wに単に脱水のための加熱処理(デハイドベーク)を行う。脱水のための加熱処理の終了した基板Wは搬送ロボットTR1によって取り出され、クールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のいずれかに搬送され、反射防止膜用の塗布液が回転塗布される。その後、基板Wは搬送ロボットTR1によってホットプレートHP1〜HP6のいずれかに搬送され、加熱処理によって基板W上に下地の反射防止膜が形成される。さらにその後、搬送ロボットTR1によってホットプレートから取り出された基板WはクールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却された後、基板載置部PASS3に載置される。
基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布セルの搬送ロボットTR2がその基板Wを受け取って塗布処理ユニットSC1〜SC3のいずれかに搬送する。塗布処理ユニットSC1〜SC3では、基板Wにレジストが回転塗布される。なお、レジスト塗布処理には精密な基板温調が要求されるため、基板Wを塗布処理ユニットSC1〜SC3に搬送する直前にクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送するようにしても良い。
レジスト塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR2によって加熱部PHP1〜PHP6のいずれかに搬送される。加熱部PHP1〜PHP6にて基板Wが加熱処理されることにより、レジスト中の溶媒成分が除去されて基板W上にレジスト膜が形成される。その後、搬送ロボットTR2によって加熱部PHP1〜PHP6から取り出された基板WはクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR2によって基板載置部PASS5に載置される。
レジスト塗布処理が行われてレジスト膜が形成された基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、現像処理セルの搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってそのまま基板載置部PASS7に載置する。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wは露光後ベークセルの搬送ロボットTR4によって受け取られ、エッジ露光ユニットEEW1,EEW2のいずれかに搬入される。エッジ露光ユニットEEW1,EEW2においては、基板Wの周縁部の露光処理が行われる。エッジ露光処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によって基板載置部PASS9に載置される。そして、基板載置部PASS9に載置された基板Wはインターフェイスセルの搬送機構55によって受け取られ、露光ユニットEXPに搬入され、パターン露光処理に供される。このときには、搬送機構55が保持アーム59aを使用して基板Wを基板載置部PASS9から露光ユニットEXPに搬送する。
本実施形態では化学増幅型レジストを使用しているため、基板W上に形成されたレジスト膜のうち露光された部分では光化学反応によって酸が生成する。また、露光ユニットEXPにおいては、基板Wに液浸露光処理が行われる。液浸露光処理とは、屈折率の大きな液体(例えば、屈折率1.44の純水)に基板Wを浸漬してパターン露光を行う技術であり、従来からの光源や露光プロセスをほとんど変更することなく高解像度を実現することができる。なお、エッジ露光処理が終了した基板Wを露光ユニットEXPに搬入する前に、搬送ロボットTR4によってクールプレート14に搬入して冷却処理を行うようにしても良い。
パターン露光処理が終了した露光済みの基板Wは露光ユニットEXPから再びインターフェイスセルに戻され、搬送機構55によって洗浄処理ユニットSOAK1に搬入される。このときには、搬送機構55が保持アーム59bを使用して基板Wを露光ユニットEXPから洗浄処理ユニットSOAK1に搬送する。液浸露光処理後の基板Wには液体が付着している場合もあるが、露光前の基板Wの搬送には保持アーム59aが用いられ、露光後の基板Wの搬送には保持アーム59bが専ら用いられるため、少なくとも保持アーム59aに液体が付着することは無く、露光前の基板Wに液体が転写されることも防止される。
ここで、洗浄処理ユニットSOAK1における処理動作について説明しておく。まず、基板Wの搬入時には、スプラッシュガード424が下降するとともに、搬送機構55が基板Wをスピンチャック421上に載置する。スピンチャック421に載置された基板Wは、スピンチャック421により水平姿勢にて吸着保持される。
次に、スプラッシュガード424が上述した排液位置まで移動するとともに、洗浄処理用ノズル450が基板Wの中心部上方に移動する。その後、回転軸425が回転を開始し、それにともなってスピンチャック421に保持されている基板Wが回転する。その後、バルブVaを開放して洗浄処理用ノズル450から洗浄液を基板Wの上面に吐出する。これにより、基板Wの洗浄処理が進行し、基板Wに付着していた液浸露光用の液体が洗い流される。回転する基板Wから遠心力によって飛散した液体は排液案内溝441により排液空間431に導かれ、排液管434から排液される。
所定時間経過後、洗浄液の供給を停止するとともに、バルブVbを開放して洗浄処理用ノズル450からリンス液を基板Wの上面に吐出する。これにより、基板W上の洗浄液が洗い流される。なお、洗浄液として純水を使用する場合には、リンス液の供給は必ずしも必要ではない。
さらに所定時間経過後、回転軸425の回転速度が低下する。これにより、基板Wの回転によって振り切られるリンス液の量が減少し、基板Wの表面全体にリンス液の液層が形成され、いわゆる液盛りされた状態となる。なお、回転軸425の回転を停止させて基板Wの表面全体に液層を形成してもよい。
本実施形態においては、洗浄液処理用ノズル450から洗浄液およびリンス液のいずれをも供給できるように、洗浄液の供給およびリンス液の供給に洗浄液処理用ノズル450を共用する構成を採用しているが、洗浄液供給用のノズルとリンス液供給用のノズルとを別々に分けた構成を採用してもよい。
また、リンス液を供給する場合には、リンス液が基板Wの裏面に回り込まないように、基板Wの裏面に対して図示しないバックリンス用ノズルから純水を供給してもよい。
次に、リンス液の供給が停止され、洗浄処理用ノズル450が所定の位置に退避するとともに、乾燥処理用ノズル451が基板Wの中心部上方に移動する。その後、バルブVcを開放して乾燥処理用ノズル451から基板Wの上面中心部近傍に不活性ガスを吐出する。これにより、基板Wの中心部のリンス液が基板Wの周縁部に押し流され、基板Wの周縁部のみに液層が残留する状態となる。
次に、回転軸425の回転数が再度上昇するとともに、乾燥処理用ノズル451が基板Wの中心部上方から周縁部上方へと徐々に移動する。これにより、基板W上の液層に大きな遠心力が作用するとともに、基板Wの表面全体に不活性ガスを吹き付けることができるので、基板W上の液層を確実に取り除くことができる。その結果、基板Wを確実に乾燥させることができる。
次に、不活性ガスの供給が停止され、乾燥処理ノズル451が所定の位置に退避するとともに、回転軸425の回転が停止する。その後、スプラッシュガード424が下降するとともに、搬送機構55が基板Wを洗浄処理ユニットSOAK1から搬出する。これにより、洗浄処理ユニットSOAK1における処理動作が終了する。なお、洗浄および乾燥処理中におけるスプラッシュガード424の位置は、処理液の回収または排液の必要性に応じて適宜変更することが好ましい。
洗浄処理ユニットSOAK1における洗浄および乾燥処理が終了した基板Wは搬送機構55によって基板載置部PASS10に載置される。なお、このときには搬送機構55が保持アーム59aを使用して基板Wを洗浄処理ユニットSOAK1から基板載置部PASS10に搬送する。露光後の基板Wが基板載置部PASS10に載置されると、露光後ベークセルの搬送ロボットTR4がその基板Wを受け取って加熱部PHP7〜PHP12のいずれかに搬送する。加熱部PHP7〜PHP12における処理動作は上述した通りのものである。加熱部PHP7〜PHP12では、露光時の光化学反応によって生じた生成物を酸触媒としてレジストの樹脂の架橋・重合等の反応を進行させ、現像液に対する溶解度を露光部分のみ局所的に変化させるための加熱処理(Post Exposure Bake)が行われる。露光後加熱処理が終了した基板Wは、冷却機構を備えたローカル搬送機構720によって搬送されることにより冷却され、上記化学反応が停止する。続いて基板Wは、搬送ロボットTR4によって加熱部PHP7〜PHP12から取り出され、基板載置部PASS8に載置される。
基板載置部PASS8に基板Wが載置されると、現像処理セルの搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってクールプレートCP10〜CP13のいずれかに搬送する。クールプレートCP10〜CP13においては、露光後加熱処理が終了した基板Wがさらに冷却され、所定温度に正確に温調される。その後、搬送ロボットTR3は、クールプレートCP10〜CP13から基板Wを取り出して現像処理ユニットSD1〜SD4のいずれかに搬送する。現像処理ユニットSD1〜SD4では、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる。やがて現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR3によってホットプレートHP7〜HP11のいずれかに搬送され、さらにその後クールプレートCP10〜CP13のいずれかに搬送される。
その後、基板Wは搬送ロボットTR3によって基板載置部PASS6に載置される。基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布セルの搬送ロボットTR2によってそのまま基板載置部PASS4に載置される。さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークセルの搬送ロボットTR1によってそのまま基板載置部PASS2に載置されることにより、インデクサブロック1に格納される。基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板Wはインデクサセルの基板移載機構12によって所定のキャリアCに収納される。その後、所定枚数の処理済み基板Wが収納されたキャリアCが装置外部に搬出されて一連のフォトリソグラフィー処理が完了する。
ところで、本実施形態の基板処理装置においては、フォトレジストとして化学増幅型レジストを基板Wに塗布している。化学増幅型レジストを使用した場合、処理条件のわずかな変動、特に露光処理の終了時点から露光後加熱処理の開始時点までの時間が線幅均一性に大きな影響を与えることは既述した通りである。このため、本実施形態の基板処理装置においては、露光後ベーク時間厳守モードとスループット優先モードとを設け、露光後ベーク時間厳守モードが選択されたときには以下のようにして露光処理の終了時点から露光後加熱処理の開始時点までの時間を一定にしている。なお、スループット優先モードが選択されたときには、露光処理の終了時点から露光後加熱処理開始までの時間を特段に管理しない従来の動作が実行される。
まず、露光ユニットEXPからインターフェイスブロック5が基板Wを受け取った時点から加熱部PHP7〜PHP12のいずれかにて当該基板Wの加熱処理を開始するまでの規定時間RTを基板処理装置のメインコントローラMCの記憶部に予め格納しておく。この規定時間RTは、基板処理装置が露光後の基板Wを受け取ってから露光後加熱処理を開始するまでに要する時間として想定される最悪(最長)の時間であり、基板処理装置のユーザがキーボードKBまたはメインパネルMPから予め設定入力しておく。また、これと併せて規定時間RTに対して許容可能なばらつき時間(許容ずれ時間)もユーザがキーボードKBまたはメインパネルMPから予め設定入力しておく。このばらつき時間もメインコントローラMCの記憶部に記憶される。
本実施形態では、3種類の規定時間RTが登録される。図10は、3種類の規定時間RTについて説明する図である。ここでは、第1規定時間RT1、第2規定時間RT2および第3規定時間RT3がメインコントローラMCの記憶部に登録されている。同図に示すように、第1規定時間RT1よりも第2規定時間RT2の方が短く、第2規定時間RT2よりも第3規定時間RT3の方が短い。そして、メインコントローラMCは、基板処理装置と露光ユニットEXPとのインライン形態に応じて第1規定時間RT1、第2規定時間RT2および第3規定時間RT3のいずれかを選択し、適用すべき規定時間RTを決定する。
上述したように、露光ユニットEXPは、基板処理装置のメインコントローラMCの制御下で動作しているものではなく、単体で独自の動作制御を行っている。このため、メインコントローラMCは露光ユニットEXPにおけるプロセス状態を把握することは出来ず、メインコントローラMCが露光処理後の基板Wの受け取りを認識するタイミングは以下の3パターンとなる。まず、第1パターンとしては、露光ユニットEXPから露光処理後の基板Wが実際に基板処理装置のインターフェイスブロック5に渡される瞬間にメインコントローラMCが受け取りを認識するというものである。この場合、露光処理が施された基板Wの受け取りが露光ユニットEXPから当該基板Wが渡される時点で判明することとなり、メインコントローラMCは第1規定時間RT1を選択する。
次に、第2パターンとしては、露光処理後の基板Wをインターフェイスブロック5に送り出すよりも所定時間前に露光ユニットEXPが送信したウェハ送り予告信号(受け渡し予告信号)を基板処理装置側で受信した時点でメインコントローラMCが当該基板Wの受け取りを認識するというものである。この場合、露光処理が施された基板Wの受け取りが露光ユニットEXPからウェハ送り予告信号を受けた時点で判明することとなり、メインコントローラMCは第2規定時間RT2を選択する。
最後に、第3パターンとしては、基板Wの露光処理が完了した時点で露光ユニットEXPが送信した露光完了信号を基板処理装置側で受信した時点でメインコントローラMCが当該基板Wの受け取りを認識するというものである。この場合、露光処理が施された基板Wの受け取りが露光ユニットEXPから露光完了信号を受けた時点で判明することとなり、メインコントローラMCは第3規定時間RT3を選択する。なお、通常、露光ユニットEXPが送信した露光完了信号は一旦ホストコンピュータ100に送信され、ホストコンピュータ100から基板処理装置に送信されることとなる。
3種類の規定時間RTの間で差が設けられているのは以下のような理由による。図10に示す例では、時刻t1にて露光ユニットEXPにおける基板Wの露光処理が終了する。この時点で露光ユニットEXPが露光完了信号を送信する場合は、上記第3パターンに該当し、メインコントローラMCが第3規定時間RT3を選択する。この場合、露光処理が完了した時刻t1からインターフェイスブロック5に実際に基板Wが渡される時刻t3までの時間は、基板Wの受け取りを認識した基板処理装置側にて受け取りの準備を行う時間として利用することができる。すなわち、露光処理が完了しても直ちに露光ユニットEXPから基板Wが渡されるものではないため、露光処理後の基板Wの受け取りが基板処理装置側で判明した時点(時刻t1)では直ちに受け取り動作を行う必要が無く、時刻t1から時刻t3までの期間(図10の点線期間)に受け取り動作の準備を行うことができる。このため、露光ユニットEXPからインターフェイスブロック5に実際に基板Wが渡される時刻t3の時点では、基板処理装置側にて基板Wの受け取り準備が整っており、直ちに基板Wを受け取って搬送を行うことができる。このため、露光ユニットEXPから基板Wを受け取った時刻t3から加熱部PHP7〜PHP12のいずれかにて当該基板Wの加熱処理を開始する時刻t4までの規定時間を相対的に短めの第3規定時間RT3として決定しているのである。
逆に、露光ユニットEXPが露光完了信号もウェハ送り予告信号も送信しない場合は、上記第1パターンに該当し、メインコントローラMCが第1規定時間RT1を選択する。この場合は、露光処理後の基板Wの受け取りが基板処理装置側で判明した時点(時刻t3)で直ちに受け取り動作を行う必要がある。しかしながら、例えば時刻t3にてインターフェイスブロック5の搬送機構55がウェハ送り動作(露光前の基板Wを露光ユニットEXPに渡す動作)を行っているような場合は、直ちに受け取り動作を行うことができない。よって、露光処理後の基板Wの受け取りが基板処理装置側で判明した時点からしばらく経過した後に当該基板Wを受け取るような場合もあり得る。このため、露光ユニットEXPから基板Wを受け取った時刻t3から加熱部PHP7〜PHP12のいずれかにて当該基板Wの加熱処理を開始する時刻t6までの規定時間を相対的に長めの第1規定時間RT1として決定しているのである。
一方、上記の中間の場合、つまり時刻t2にて露光ユニットEXPがウェハ送り予告信号を発信する場合は第2パターンに該当し、メインコントローラMCが第2規定時間RT2を選択する。この場合、ウェハ送り予告信号を受信した時刻t2からインターフェイスブロック5に実際に基板Wが渡される時刻t3までの時間は、基板Wの受け取りを認識した基板処理装置側にて受け取りの準備を行う時間として利用することができる。しかし、第2パターンにおける受け取り準備時間は上記第3パターンのそれよりも短く、それ故に露光ユニットEXPから基板Wを受け取った時刻t3から加熱部PHP7〜PHP12のいずれかにて当該基板Wの加熱処理を開始する時刻t5までの規定時間を上記の中間の第2規定時間RT2として決定しているのである。
メインコントローラMCが露光処理後の基板Wの受け取りを認識するタイミングとして上記いずれのパターンに該当するかは、露光ユニットEXPの仕様や基板処理装置と露光ユニットEXPとのインライン形態に依存する。従って、基板処理装置と露光ユニットEXPとのインライン形態が決定した時点で、ユーザが上記いずれのパターンに該当するかをメインコントローラMCに入力し、メインコントローラMCが入力されたパターンに応じて第1規定時間RT1、第2規定時間RT2および第3規定時間RT3のいずれかを選択する。例えば、露光ユニットEXPが露光完了信号を送信する仕様の場合には、ユーザが第3パターンである旨を入力し、メインコントローラMCが第3規定時間RT3を選択する。また、露光ユニットEXPがウェハ送り予告信号を送信する仕様の場合には、ユーザが第2パターンである旨を入力し、メインコントローラMCが第2規定時間RT2を選択する。
以上のようにして規定時間RT(第1規定時間RT1、第2規定時間RT2、第3規定時間RT3を特に区別しないときには単に規定時間RTとする)が決定されている状態において、メインコントローラMCにさらにばらつき時間が入力される。ばらつき時間とは、規定時間RTに対して許容可能なずれ量である。そして、メインコントローラMCは規定時間RTからばらつき時間を減じて臨界規定時間CRTを算出する。図11は、臨界規定時間CRTを説明するための図である。ばらつき時間が特に設定されていない場合、或いはばらつき時間として”0”が入力されている場合には、規定時間RTがそのまま臨界規定時間CRTとなる。
こうして臨界規定時間CRTが算定され、パラメータとしてメインコントローラMC内の記憶部に保持されている状態にて、加熱部PHP7〜PHP12のいずれかに露光処理後の基板Wが到達したときに、その基板Wを露光ユニットEXPから受け取った時点から該基板Wが加熱部に到達するまでに要した搬送時間TTと上記臨界規定時間CRTとの比較がメインコントローラMCによって実行される。その結果、搬送時間TTよりも臨界規定時間CRTの方が長い場合には、メインコントローラMCが臨界規定時間CRTから搬送時間TTを減じて待機時間WTを算定する(図11参照)。ばらつき時間が”0”である場合には、メインコントローラMCが規定時間RTから搬送時間TTを直接減じて待機時間WTを算定しても良い。一方、搬送時間TTが臨界規定時間CRT以上である場合には、メインコントローラMCが待機時間WTを”0”として設定する。
加熱部PHP7〜PHP12のいずれかに露光処理後の基板Wが到達した後、上記算定された待機時間WTが経過した時点で加熱部PHP7〜PHP12による基板Wの露光後加熱処理が開始される。具体的には、メインコントローラMCからの指示によって露光後ベークセルのセルコントローラCCが加熱部PHP7〜PHP12を制御し、基板仮置部719に基板Wが滞在する時間を調整することによって待機時間WTが経過した時点で基板Wの露光後加熱処理を開始するようにしても良いし、基板Wを保持した可動支持ピン721の下降タイミングを調整することによって待機時間WTが経過した時点で基板Wの露光後加熱処理を開始するようにしても良い。なお、待機時間WTとして”0”が設定されているときには、加熱部PHP7〜PHP12に到達した基板Wの露光後加熱処理を直ちに開始する。
以上説明したように、本実施形態においては、露光ユニットEXPからインターフェイスブロック5が基板Wを受け取った時点から加熱部PHP7〜PHP12のいずれかにて当該基板Wの露光後加熱処理を開始するまでの規定時間RTなるパラメータを導入し、基板Wを受け取ってから規定時間RT経過後にその基板Wの露光後加熱処理を開始するようにしているため、露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間を確実に一定にすることができる。すなわち、従来は基板処理装置と露光ユニットとの間で完全に同期した基板の受け渡しがなされていなかったために露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間を一定にすることが難しかったのであるが、本実施形態のように露光後の基板Wを受け取ってから露光後加熱処理を開始するまでの最悪(最長)の時間である規定時間RTを定め、全ての基板Wについて露光ユニットEXPから受け取ってから規定時間RT経過後に露光後加熱処理を開始するようにすれば、基板処理装置と露光ユニットとの間の基板受け渡しの同期・非同期に関わりなく露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間を確実に一定にすることができる。なお、露光ユニットEXPにおいて露光処理完了から基板処理装置側に基板Wを渡すまでの時間はほぼ一定である。また、3種類の規定時間RTのうちのいずれを選択するかは基板処理装置と露光ユニットEXPとの接続形態によって決定されるものであるため、一連のロットを処理している間に、基板間で異なる規定時間RTが選択されるようなことはない。
また、露光ユニットEXPの仕様やインライン形態に応じて3種類の規定時間RTを選択できるようにしているため、基板処理装置側にて基板Wの受け取りを認識するタイミングを早くできるようなインライン形態(例えば、露光ユニットEXPが露光完了信号を送信する形態)にすれば、相対的に短時間の規定時間RTを選択することができ、露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間を短時間化することができる。
さらに、ばらつき時間の設定入力を可能にしているため、露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間設定に柔軟性を持たせることができるとともに、無駄な待機時間WTを低減してスループットを向上することができる。例えば、露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間を厳密に一定にすることが要求される場合にはばらつき時間を”0”に設定することによって基板処理装置側で基板Wを受け取ってから加熱処理を開始するまでの時間が全基板Wについて規定時間RTとなり、露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間を確実に一定にすることができる。また、露光処理完了から露光後加熱処理開始までの時間に多少のばらつきが許容される処理の場合には、その許容時間をばらつき時間として設定することにより、基板処理装置側で基板Wを受け取ってから短時間で加熱部PHP7〜PHP12に搬送された基板Wについては露光後加熱処理の開始を早めることができ、スループットを向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、露光ユニットEXPにて液浸露光処理を行い、露光ユニットEXPから渡された基板Wを洗浄処理ユニットSOAK1に搬送して洗浄および乾燥処理を行うようにしていたが、これに限定されるものではなく、露光ユニットEXPにて通常の露光処理を行い、露光ユニットEXPから渡された基板Wを直接加熱部PHP7〜PHP12に搬送するようにしても良い。
また、本発明に係る基板処理装置の構成は図1から図4に示したような形態に限定されるものではなく、複数の処理部に対して搬送ロボットによって基板Wを循環搬送することによって該基板Wに所定の処理を行うような形態であれば種々の変形が可能である。