JP2007079006A - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐久による削れやキズを抑制し、かつ耐久を通じて面内電位の均一性が確保された電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】 円筒状支持体及び該円筒状支持体上に設けられた有機感光層を有する円筒状電子写真感光体であって、|600V±10V|以内に帯電させた該円筒状電子感光体を250msec以内に|150V±50V|以内に光減衰させた時の長手方向表面電位ムラΔVl(S)および周方向表面電位ムラΔVl(R)がともに20V以下であることを特徴とする円筒状電子写真感光体、該円筒状電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、ならびに、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真感光体としては、低価格および高生産性などの利点から、光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)として有機材料を用いた感光層(有機感光層)を円筒状支持体上に設けてなる電子写真感光体、いわゆる有機電子写真感光体が普及している。有機電子写真感光体としては、高感度および材料設計の多様性などの利点から、光導電性染料や光導電性顔料などの電荷発生物質を含有する電荷発生層と光導電性ポリマーや光導電性低分子化合物などの電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる感光層、いわゆる積層型感光層を有する電子写真感光体が主流である。
近年電子写真業界においては、カラー化、高画質化、低ランニングコスト化が急速に進んでおり、電子写真感光体に対してもこれらに対応すべく鋭意検討がなされている。その中でも、高耐久性および画像均一性は重要な課題の一部であり、高寿命かつ耐久を通じた画像の安定性および均一性が求められている。
一般に電子写真感光体は、生産性の観点から構成材料を溶剤に溶解あるいは分散させた塗料を基材に塗布、乾燥させる工程によって形成されるが、塗布膜厚の均一性はもちろんのこと、製造条件、すなわち浸漬時間、指触時間、乾燥時間、乾燥温度などが電子写真特性に与える影響は大きく、これらを精密にコントロールすることが重要である。特に近年の高画質カラー化に対しては、画像均一性を確保するために、電子写真感光体面内の電位均一性が特に求められる傾向にある。
また電子写真感光体は、帯電工程−露光工程−現像工程−転写工程−クリーニング工程からなる電子写真画像形成プロセスにおいて電気的および機械的ストレスやダメージを受けるため、感光体表面の削れやキズによる寿命、そしてムラ削れによる面内電位ムラに起因した画像均一性の低下が問題となる。
感光体の削れやキズに対しては、表面層の材料設計により高強度化を図る技術が多く提案されている。例えば表面層に高強度の樹脂を用いたり(例えば特許文献1)、低分子化合物である電荷輸送材料比率を低下させたり、高分子電荷輸送材料を使用したり、硬化性の樹脂を使用するなどが挙げられ、削れやキズに対する効果が見られている。しかし、これらの新規な材料を用いることによる弊害として、先の塗布膜厚均一性が損なわれたり、製造条件に対する電子写真特性のラチチュードが小さくなることにより、感光体面内の電位特性の不均一性が問題となりやすい。例えば、高強度の樹脂を用いる場合においては、樹脂材料の高分子量化に伴う塗料の高粘度化により、膜厚ダレやムラが発生しやすい。また高分子電荷輸送材料を用いる場合においては、下層にある電荷発生層との界面形成状態による電子写真特性への影響が大きく、感光体面内の電位が不均一になりやすい。さらに、硬化性樹脂を用いる場合においては、硬化手段、例えば熱、光などの電子写真特性に対する影響が加味され、感光体面内の電位はより不均一になりやすい傾向にある。
すなわち、従来の技術においては、電子写真感光体の高強度化と耐久を含めた電位均一性の両立による長寿命化が達成されていないのが現状である。
特開平02−127652号公報
本発明の目的は、耐久による削れやキズを抑制し、かつ耐久を通じて面内電位の均一性が確保された電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、円筒状支持体及び該円筒状支持体上に設けられた有機感光層を有する円筒状電子写真感光体であって、|600V±10V|以内に帯電させた該円筒状電子感光体を250msec以内に|150V±50V|以内に光減衰させた時の長手方向表面電位ムラΔVl(S)および周方向表面電位ムラΔVl(R)が下記式(1)であることを特徴とする円筒状電子写真感光体である。
ΔVl(S)≦20かつΔVl(R)≦20 (1)
また本発明は、上記円筒状電子写真感光体において、帯電および光減衰工程を5000回サイクル繰り返した後のΔVl5000(S)およびΔVl5000(R)が下記式(2)であることを特徴とする円筒状電子写真感光体である。
ΔVl5000(S)≦20かつΔVl5000(R)≦20 (2)
また本発明は、上記円筒状電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
また本発明は、上記円筒状電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
また本発明は、上記円筒状電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、耐久による削れやキズが抑制され、かつ耐久を通じて面内電位の均一性が確保された電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
まずはじめに、本発明の電位ムラについて説明する。
本発明の電位ムラの測定は、図1に示したように、円筒状電子写真感光体の周りに帯電ユニット、露光ユニット、電位測定ユニット、必要に応じて前露光ユニットを配置した装置により測定することが出来る。これらの各ユニットは、円筒状感光体周りの任意の位置に対して配置が可能であり、かつ円筒状感光体の回転速度を変化させることにより、帯電から露光、電位測定までの時間などを任意に設定することができる。
本発明の電位ムラとは、暗部電位:|600V±10V|に帯電させた円筒状電子写真感光体を、250msec以内に明部電位:|150V±50V|に光減衰させた時の長手方向明部電位ムラΔVl(S)および周方向明部電位ムラΔVl(R)である。
電位ムラの値は、円筒状電子写真感光体の長手画像形成領域内の上下端を含み均等に分割した計5点の明部電位測定データ(|Vl1|/|Vl2|/|Vl3|/|Vl4|/|Vl5|)から読み取る。
周方向電位ムラΔVl(R)については、測定した|Vl1|から|Vl5|のデータそれぞれについて、感光体一周分の電位データから電位絶対値の最大値と最小値の差を計算し、その中で最も大きい値と定義する。
また長手方向電位ムラΔVl(S))については、前述の|Vl1|から|Vl5|計5点それぞれの感光体一周分の電位データから電位絶対値の最大値同志を比較した時最も値が大きいものと、電位絶対値の最小値同志を比較した時最も値が小さいものとの差と定義する。
明部電位ムラΔVl値は、暗部電位ムラΔVdの影響も少なからず受ける場合が多いため、正確なΔVl値を測定するにあたっては、暗部電位の均一性には十分な注意を要する。
以下、より具体的に電位測定方法について説明する。
まずはじめに円筒状電子写真感光体を所定の速度で回転させ、帯電および前露光工程のみを行いながら、円筒状電子写真感光体長手方向中央部の暗部電位Vdが|600V±10V|以内になるように帯電条件設定を行なう。このとき合わせて、周方向の暗部電位ムラΔVd(R)の測定も行い、ΔVd(R)≦10Vに収束していることを確認する。
長手方向各点の暗部電位Vd、周方向の暗部電位ムラΔVd(R)についても、同様の測定を行い、感光体全面における周方向暗部電位の均一性を確認する。
暗部電位ムラΔVd(R)は円筒状電子写真感光体の回転精度の影響を受けるため、注意が必要である。
長手方向の暗部電位ムラΔVd(S)は、帯電器自体の長手方向の帯電性能均一性や、帯電器と円筒状電子写真感光体と距離(ギャップ)により影響を受けやすいので、注意が必要である。また感光体自身の帯電性能が長手あるいは周方向において不均一になる場合があり、実質上この場合は該電子写真感光体が使用される画像形成装置において、プロセス条件設定により暗部電位均一性を向上させる手段が有効であるが、本願においては、前述の通り純粋にΔVl値を議論する目的から、暗部電位Vdが|600V±10V|を外れる場合には、意図的に帯電条件設定を変更し暗部電位Vdを|600V±10V|に合わせ込むこととする。
次に帯電、露光、電位測定、前露光工程を繰り返しながら、円筒状電子写真感光体長手方向中央部の明部電位|Vl3|が|150V±50V|になるように露光光量設定および電位測定を行なった後、同光量にてその他計4点の電位測定を行ない評価する。その後引き続いて、帯電、像露光、電位測定、前露光工程を5000回サイクル繰り返し、最後の電位測定データを解析することにより、初期と同様に5000回サイクル後の電位ムラの値を計算する。
感光体長手方向5点の電位測定については、個々に測定してもよいし、上述したように暗部電位の均一性や回転精度、露光光量に注意した上で、同時計測することも可能である。
本発明においては、初期の長手方向電位ムラΔVl(S)、周方向電位ムラΔVl(R)が下記式(1)であることが好ましい。
ΔVl(S)≦20かつΔVl(R)≦20 (1)
ΔVl(S)およびΔVl(R)の値が20Vを超えると、現像および転写プロセスなどの条件にもよるが、画像濃度ムラが発生しやすい傾向にある。
本発明においては、帯電および光減衰工程を5000回サイクル繰り返した後のΔVl5000(S)およびΔVl5000(R)が下記式(2)であることが好ましい。
ΔVl5000(S)≦20かつΔVl5000(R)≦20 (2)
ΔVl5000(S)およびΔVl5000(R)の値が20Vを超えると、実際の繰り返し画像形成プロセスを行なった際に、現像および転写プロセスなどの条件にもよるが、画像濃度ムラが発生しやすい傾向にある。
また、本発明においては、初期の長手方向電位ムラΔVl(S)、周方向電位ムラΔVl(R)が下記式(4)であることがより好ましい。
ΔVl(S)≦10かつΔVl(R)≦10 (4)
初期の電位ムラΔVl(S)およびΔVl(R)値を上記範囲内に抑制することで、繰り返しサイクル後の電位ムラΔVl5000(S)およびΔVl5000(R)値をより小さく抑制することが可能となる。
次に、本発明の円筒状電子写真感光体の硬さ物性について説明する。
本発明における電子写真感光体の物性としては、後述する方法により測定した感光体表面の弾性変形率が好ましくは40%以上、特には50〜65%であることが好ましい。弾性変形率をこの範囲とすることにより、耐久時における電子写真感光体表面への傷の発生を抑制し、表面層の磨耗量を大幅に低減することが出来る。さらにはユニバーサル硬さ値(HU)を150N/mm2以上とすることにより前述の抑制効果が大きい傾向にある。
本発明において、電子写真感光体のユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率は、25℃/50%RH環境下、微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した値である。このフィシャースコープH100Vは、測定対象(電子写真感光体の周面)に圧子を当接し、この圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さが求められる装置である。
本発明においては、圧子として対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、電子写真感光体の周面に圧子を押し当て、圧子に連続的にかける荷重の最終(最終荷重)は6mNとし、圧子に最終荷重6mNをかけた状態を保持する時間(保持時間)は0.1秒とした。また、測定点は273点とした。
フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を図2に示す。また、本発明の電子写真感光体を測定対象としたときのフィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの一例を図3に示す。図2、3中、縦軸は圧子にかけた荷重F(mN)を、横軸は圧子の押し込み深さh(μm)を示す。図2は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて荷重が最大になった(A→B)後、段階的に荷重を減少させた(B→C)ときの結果を示している。図3は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて最終的に荷重を6mNとし、その後、段階的に荷重を減少させたときの結果を示している。
ユニバーサル硬さ値(HU)は、圧子に最終荷重6mNをかけたときの該圧子の押し込み深さから下記式(5)により求めることができる。なお、下記式中、HUはユニバーサル硬さ(HU)を意味し、Ffは最終荷重を意味し、Sfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込まれた部分の表面積を意味し、hfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込み深さを意味する。
Figure 2007079006
また、弾性変形率は、圧子が測定対象(電子写真感光体の周面)に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち、圧子の測定対象(電子写真感光体の周面)に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができる。具体的には、弾性変形仕事量Weを全仕事量Wtで除した値(We/Wt)が弾性変形率である。なお、全仕事量Wtは図2中のA−B−D−Aで囲まれる領域の面積であり、弾性変形仕事量Weは図2中のC−B−D−Cで囲まれる領域の面積である。
次に、本発明の電子写真感光体について説明する。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体(円筒状支持体)および該支持体(該円筒状支持体)上に設けられた有機感光層(以下単に「感光層」ともいう。)を有する円筒状の電子写真感光体である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよいが、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上等を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であればよく、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。
また、支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体と後述の中間層あるいは感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料や抵抗調節顔料を結着樹脂に分散および/または溶解させた導電層用塗布液を用いて形成することができる。導電層用塗布液には、加熱または放射線照射により硬化重合する化合物を添加してもよい。導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層の膜厚は、0.2〜40μmであることが好ましく、さらには1〜35μmであることがより好ましく、さらには5〜30μmであることがより一層好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体/共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。
導電性顔料および抵抗調節顔料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスなどの金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズなどの金属酸化物の粒子でもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。
中間層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわおよびゼラチンなどが挙げられる。中間層は、これらの材料を溶剤に溶解させることによって得られる中間層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の膜厚は0.05〜7μmであることが好ましく、さらには0.1〜2μmであることがより好ましい。
次に本発明における感光層について説明する。
本発明の感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、各種の中心金属および各種の結晶系(α、β、γ、ε、X型など)を有するフタロシアニン顔料や、アントアントロン顔料や、ジベンズピレンキノン顔料や、ピラントロン顔料や、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、インジゴ顔料や、キナクリドン顔料や、非対称キノシアニン顔料や、キノシアニン顔料や、アモルファスシリコンなどが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、上記の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物以外に、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物などが挙げられる。
感光層を電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離する場合、電荷発生層は、電荷発生物質を0.3〜4倍量(質量比)の結着樹脂および溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルなどを用いる方法で分散することによって得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
電荷発生層および電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、さらには0.1〜2μmであることがより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は5〜50μmであることが好ましく、さらには10〜35μmであることがより好ましい。
本発明において電子写真感光体に要求される特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、上述の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要であり、高強度の結着樹脂を用いたり、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率をコントロールしたり、高分子電荷輸送物質を使用するなどが挙げられるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
本発明においては、電荷輸送層自体を硬化系樹脂で構成、上述の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層あるいは保護層として硬化系樹脂層を形成することが可能である。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力の両立であり、電荷輸送材料および重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
電荷輸送材料としては、公知の正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物、重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の材料、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基などを有する逐次重合系の材料が挙げられるが、得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性などの観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましく、さらには正孔輸送性基およびアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させる系が特に好ましい。
硬化手段としては、後述のように熱、光、放射線などが利用できる。
硬化層の膜厚は、電荷輸送層の場合は前述と同様5〜50μmであることが好ましく、さらには10〜35μmであることがより好ましい。第二の電荷輸送層あるいは保護層の場合は、0.1〜20μmであることが好ましく、さらには1〜10μmであることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑剤などが挙げられる。
次に、本発明において電子写真感光体に要求される別の特性である電位の均一性向上について、製造方法の影響を詳しく説明する。
電子写真感光体の製造方法は大きく分けて塗布および乾燥工程からなるが、効率性や生産性の観点から浸漬塗布法および熱風乾燥を使用するのが一般的である。しかし、感光層は複数の異なる材料構成からなる塗料に対して、塗布および乾燥-固化工程を繰り返して形成されるため、各層の界面の形成状態が大きく電位特性に影響するため、それをコントロールすることが重要となる。
例えば各層の膜厚が均一であるにもかかわらず、電子写真感光体の長手方向の電位に差が発生したりする場合がある。詳細なメカニズムはわかっていないが、各層形成時の塗料中の浸漬時間、塗布後の指触時間、乾燥時の温度ムラなどが影響しているのではないかと推測される。このような場合は、電位の均一性を向上させるために、意図的に各層の膜厚をコントロールしたり、浸漬および指触時間や乾燥温度を制御するなどの方法が用いられる。
さらに本願のように、電子写真感光体に硬化層を設けた場合には、上記に加えて硬化プロセスにおける製造条件が電位特性に影響を与えやすいことがわかった。
硬化層の形成方法としては、硬化層用塗料の塗布および硬化工程からなるが、塗布工程に関しては上述と同様な注意が必要である。
一方硬化工程としては、使用される材料により熱、光あるいは放射線などが用いられるが、いずれの場合においても感光体全面において、劣化反応を抑制しつつ硬化反応を均一に進行あるいは完結させることが、電位特性の安定化につながることがわかった。
特に放射線を用いた製造方法においては、高エネルギーがゆえ、硬化反応と同時に感光体が劣化を受けやすく、感光体面内の電位ムラが発生しやすいため、製造条件のコントロールが重要となる。
次に放射線を用いた製造方法についてより詳しく説明する。
電子写真感光体への応用としては、生産性などの観点から放射線の中でも特に電子線の使用が好ましい。
電子線を照射する際には、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型およびラミナー型などの加速器を用いて行うことができる。
加速電圧は250kV以下であることとが好ましく、特には150kV以下であることがより好ましい。線量は1〜1000kGy(0.1〜100Mrad)の範囲であることが好ましく、特には5〜200kGy(0.5〜20Mrad)の範囲であることがより好ましい。
加速電圧や線量が大きすぎると、電子写真感光体の電気的特性が大幅に劣化する場合がある。線量が小さすぎると、硬化重合が不十分となり、所望の耐久性能が確保出来ない場合がある。
さらに前述したように、感光体全面において硬化反応を均一に進行あるいは完結させ、劣化による感光体面内の電位ムラを抑制するために、該円筒状電子写真感光体の任意の各点が受ける放射線の吸収線量の平均値〔X〕、最大値Xmax、最小値Xminが下記式(3)で示されるように製造条件をコントロールすることが重要である。
(Xmax−〔X〕)/〔X〕≦0.3 かつ(〔X〕−Xmin)/〔X〕≦0.3 (3)
また、硬化層の反応を促進するためには、電子線による硬化重合の際に、被照射体(電子線が照射されるもの)を加熱することが好ましい。
加熱するタイミングは、電子線照射前、照射中、照射後のいずれの段階でもよいが、反応ラジカルが存在する間、被照射体がある一定範囲内の温度になっていることが好ましい。加熱は、被照射体の温度が室温〜250℃(より好ましくは50〜150℃)となるように行うことが好ましい。
加熱の温度が高すぎると、電子写真感光体の材料に劣化が生じる場合がある。加熱の温度が低すぎると、加熱を行うことによって得られる重合に対する効果が乏しくなる。
加熱の時間は、おおよそ数秒から数十分程度が好ましく、具体的には2秒〜30分が好ましい。
なお加熱温度の感光体面内の電位ムラに対する影響は、電子線照射の影響と比較して小さい傾向にはあるが、所定の温度に対して±5%以内に制御することが望ましい。
電子線照射時および被照射体加熱時の雰囲気は、大気中、窒素やヘリウムなどの不活性ガス中、真空中のいずれであってもよいが、酸素によるラジカルの失活を抑制することができるという点で、不活性ガス中または真空中が好ましい。また、電子線照射および加熱硬化時の雰囲気は、全域において可能限り低酸素濃度状態を維持することが重要である。
図4に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図4において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。なお、帯電手段3は、図4に示すような帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段に限られず、コロナ帯電器を用いたコロナ帯電手段であってもよいし、その他の方式の帯電手段であってもよい。
電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の周面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の周面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図4に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図4では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
直径84mm、長さ370.0mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部/メタノール50部からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し導電層用塗料を調整した。このようにして調合した導電層用分散液をアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、140℃のオーブンで1時間加熱硬化することにより、膜厚が15μmの樹脂層を形成した。なお円筒状電子写真感光体画像形成領域内の長手および周方向の膜厚は、15±3μm以内であった。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部とメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した溶液を、前記樹脂層の上に浸漬塗布し、100℃のオーブンで25分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.45μmの中間層を形成した。なお円筒状電子写真感光体画像形成領域内の長手および周方向の膜厚は、0.45±0.05μm以内であった。
次にCuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン20部、下記構造式(1)のカリックスアレーン化合物0.2部、
Figure 2007079006
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)10部およびシクロヘキサノン600部を直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で塗布し、80℃のオーブンで25分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.170μmの電荷発生層を形成した。なお円筒状電子写真感光体画像形成領域内の長手および周方向の膜厚は、0.170±0.005μm以内であった。
次いで下記構造式(2)の正孔輸送性化合物70部
Figure 2007079006
およびポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)100部をモノクロロベンゼン600部およびメチラール200部の混合溶媒中に溶解して調整した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、1100℃のオーブンで30分間加熱乾燥することにより、膜厚が21μmの電荷輸送層を形成した。なお円筒状電子写真感光体画像形成領域内の長手および周方向の膜厚は、21±1μm以内であった。
次いで、分散剤として、フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した後、潤滑剤として4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で600kgf/cm2の圧力で4回の処理を施し均一に分散させた。これをポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い潤滑剤分散液を作成した。その後、下記式(3)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を潤滑剤分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い第二電荷輸送層用塗料を調製した。
Figure 2007079006
この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に第二電荷輸送層を塗布した後、大気中50℃のオーブンで15分間乾燥した。その後、窒素中において加速電圧150KV、ビーム電流3.0mAの条件でシリンダーを200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行い、引き続いて窒素中において25℃から125℃まで100秒かけて昇温させ硬化反応を行なった。なお円筒状電子写真感光体全面における各点の電子線の吸収線量を測定したところ15±1.5KGy以内であった。また加熱硬化反応時の回転している円筒状電子写真感光体長手全域の昇温カーブを放射温度計にて測定したところ、中心温度±5℃以内で推移後最終到達温度は125±3.5℃以内であった。さらに電子線照射および加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は、全域に於いて15ppm以下であった。その後、大気中において電子写真感光体を25℃まで自然冷却し、100℃のオーブンで30分の大気中後加熱処理を行なって、膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。なお円筒状電子写真感光体画像形成領域内の長手および周方向の膜厚は、5±0.5μm以内であった。
得られた感光体について、ドラム試験機CYNTHIA(GENTEC(株)社製)を用いて前述した方法により、初期および5000回転後の電位測定を行なった。暗部電位設定はコロナ帯電により−600V、明部電位設定は波長680nmにおいて−150V、前露光光量設定は660nmにおいて像露光量のおよそ10倍、帯電から露光までの時間、露光から電位測定までの時間および前露光から次帯電までの時間はともに50msecとした。また前述した方法により弾性変形率およびユニバーサル硬さ(HU)を測定した。さらに、複写機(商品名:iRC6800、キヤノン(株)製)を負帯電の有機電子写真感光体が装着できるように改造した装置を用いて、A4単色100枚間欠で100000枚の通紙耐久実験を行いハーフトーンにおける画像濃度ムラ(○:発生なし、×:ごく軽微、××:レベル悪、×××:非常にレベル悪)を検証した。
結果を表1に示したが、本感光体は初期および5000サイクル回転後ともに電位ムラΔVl(R)およびΔVl(S)の値が小さく良好であり、実際の画像形成装置を用いた画像評価においても初期/耐久後ともにハーフトーン画像濃度ムラは良好であった。
さらに第二の電荷輸送層形成の電位ムラの影響を確認するために、本実施例において、第二の電荷輸送層を形成しなかった感光体を用いて、ΔVl(R)およびΔVl(S)の値を測定したところ、ほぼ同じ傾向を示したことから、第二の電荷輸送層形成による電位ムラへの影響はほぼなしと判断した。なお、ΔVl(S)の値に関して、電位測定データ(|Vl1|/|Vl2|/|Vl3|/|Vl4|/|Vl5|)を解析した結果、円筒状電子写真感光体の上端から下端にかけて値が小さくなる傾向、すなわち感度が高くなる傾向を示していた。これについては、詳細なメカニズムは明らかではないが、表2に示したように、各層の膜厚との相関が見られていないことから、前述したように各層の膜形成時の界面形成状態の違いによる影響であると考えられる。
実施例1において、より面内電位ムラ均一性を確保する目的で、電荷発生層の円筒状電子写真感光体長手方向の膜厚を調整した。具体的には電荷発生層の膜厚について、上端位置で0.180μm、下端位置で0.170μmとなるように浸漬塗布時の塗布スピードを制御することにより膜厚を傾斜させた。それ以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果、実施例1と比較してΔVl(S)は低減し、面内の電位均一性が良好になった。
実施例2において、電子線照射時のシリンダー回転数を100rpmにした以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製し評価した。この時の円筒状電子写真感光体全面における各点の電子線の吸収線量を測定したところ、周方向の線量が不均一な傾向にあり15±4.5KGy以内であった。結果実施例2と比較して、初期のΔVl(R)がやや大きい傾向にあり、5000サイクル回転後の値もやや増加傾向であった。
実施例2において、ビーム電流を10mAとした以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。このときの円筒状電子写真感光体全面における各点の電子線の吸収線量を測定したところ50±5KGy以内であった。結果、実施例2と比較して、初期のΔVl(R)は、同等であったが、5000サイクル回転後はやや増加傾向にあった。
実施例4において、帯電から露光までの時間、露光から電位測定までの時間および前露光から次帯電までの時間はともに125msecとした以外は、実施例4と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果、実施例4と比較して、初期のΔVl(R)も小さくなり、また5000サイクル回転後も増加が抑制された。
実施例2において、帯電から露光までの時間および露光から電位測定までの時間をともに25msecとした以外は、実施例2と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果、初期および5000サイクル回転後のΔVl(R)がやや増加した。
実施例2において、明部電位設定を−100Vとした以外は、実施例2と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果、初期および5000サイクル回転後のΔVl(R)がやや増加した。
(比較例1)
実施例2において、ビーム電流6.0mA、電子線照射時間を0.8秒とした以外は、実施例2と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。この時の円筒状電子写真感光体全面における各点の電子線の吸収線量を測定したところ、周方向の線量が不均一な傾向にあり15±6KGy以内であった。結果初期のΔVl(R)が大きく、また5000サイクル回転後の値がより増加傾向にあった。また実機におけるハーフトーン画像濃度均一性については、初期は良好であったが、耐久後は円筒状感光体の周方向ピッチのごく軽微な濃度ムラが観察された。
(比較例2)
実施例4において、電子線照射時のシリンダー回転数を100rpmにした以外は実施例4と同様に電子写真感光体を作製し評価した。この時の円筒状電子写真感光体全面における各点の電子線の吸収線量を測定したところ、周方向の線量が不均一な傾向にあり50±20KGy以内であった。結果初期のΔVl(R)が大きく、また5000サイクル回転後の値が大幅に増加した。また実機におけるハーフトーン画像濃度均一性については、初期から円筒状感光体の周方向ピッチの濃度ムラが観察され、耐久後は濃度ムラがより増加する傾向にあった。
(比較例3)
実施例2において、上端位置で0.195μm、下端位置で0.170μmとなるように浸漬塗布時の塗布スピードを制御することにより膜厚を傾斜させた以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果、実施例1とは逆に下端部に対して上端部の感度が大幅に高くなったため、初期のΔVl(S)が増加した。また実機におけるハーフトーン画像濃度均一性については、初期および耐久後に円筒状感光体の長手方向にごく軽微な濃度ムラが観察された。
(比較例4)
実施例2において、ビーム電流6.0mA、電子線照射時間を0.8秒、電子線照射および加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度を1000ppmとした以外は、実施例2と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。この時の円筒状電子写真感光体全面における各点の電子線の吸収線量を測定したところ、周方向の線量が不均一な傾向にあり15±6KGy以内であった。結果、比較例1と同様に初期のΔVl(R)がやや大きく、5000サイクル回転後の値も増加傾向にあった。さらに、実機を用いた耐久試験において、10000枚以降のハーフトーン画像において、濃度ムラが発生し始め、耐久とともにレベルが徐々に悪化した。このドラムについて電位ムラの測定を行なったところ、ΔVl(S)の値が40Vと大幅に増加していた。また、第二電荷輸送層の膜厚を測定したところ、長手方向に削れムラが観測された。
Figure 2007079006
Figure 2007079006
本発明の電位測定を行なう装置の概略構成の一例を示す図である。 フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を示す図である。 フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (12)

  1. 円筒状支持体及び該円筒状支持体上に設けられた有機感光層を有する円筒状電子写真感光体であって、|600V±10V|以内に帯電させた該円筒状電子感光体を250msec以内に|150V±50V|以内に光減衰させた時の長手方向表面電位ムラΔVl(S)および周方向表面電位ムラΔVl(R)が下記式(1)であることを特徴とする円筒状電子写真感光体。
    ΔVl(S)≦20かつΔVl(R)≦20 (1)
  2. 前記円筒状電子写真感光体において、帯電および光減衰工程を5000回サイクル繰り返した後のΔVl5000(S)およびΔVl5000(R)が下記式(2)であることを特徴とする請求項1に記載の円筒状電子写真感光体。
    ΔVl5000(S)≦20かつΔVl5000(R)≦20 (2)
  3. 前記円筒状電子写真感光体において、25℃、湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度を試験した時、荷重6mNで押込んだ時の弾性変形率が40%以上であることを特徴とする請求項1あるいは2のいずれかに記載の円筒状電子写真感光体。
  4. 前記円筒状電子写真感光体において、25℃、湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度を試験した時、荷重6mNで押込んだ時のユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の円筒状電子写真感光体。
  5. 前記円筒状電子写真感光体が放射線照射により形成される層を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の円筒状電子写真感光体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の円筒状電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の円筒状電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  8. さらにクリーニング手段を有する請求項7に記載の電子写真装置。
  9. 円筒状支持体及び該円筒状支持体上に設けられた有機感光層を有する円筒状電子写真感光体の製造方法であって、|600V±10V|以内に帯電させた該円筒状電子感光体を250msec以内に|150V±50V|以内に光減衰させた時の長手方向表面電位ムラΔVl(S)および周方向表面電位ムラΔVl(R)が下記式(1)であることを特徴とする円筒状電子写真感光体の製造方法。
    ΔVl(S)≦20かつΔVl(R)≦20 (1)
  10. 前記円筒状電子写真感光体の製造方法であって、該円筒状電子写真感光体に対して帯電および光減衰工程を5000回繰り返した後のΔVl5000(S)およびΔVl5000(R)が下記式(2)であることを特徴とする請求項9に記載の円筒状電子写真感光体の製造方法。
    ΔVl5000(S)≦20かつΔVl5000(R)≦20 (2)
  11. 前記円筒状電子写真感光体の製造方法において、該円筒状電子写真感光体が放射線を照射される工程を有することを特徴とする請求項9あるいは10のいずれかに記載の円筒状電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記円筒状電子写真感光体の製造方法において、該円筒状電子写真感光体の任意の各点が受ける放射線の吸収線量の平均値〔X〕、最大値Xmax、最小値Xminが下記式(3)で示されることを特徴とする請求項11に記載の円筒状電子写真感光体の製造方法。
    (Xmax−〔X〕)/〔X〕≦0.3 かつ(〔X〕−Xmin)/〔X〕≦0.3 (3)
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