JP2007077496A - 耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、Cr:20.5%以上、22.5%以下、Cu:0.3%以上、0.8%以下、Ni:1.0%以下、Ti:4×(C%+N%)以上、0.35%以下、Nb:0.01%以下、N:0.03%以下、C+N:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280を満たす鋼板である。また、上記鋼板を製造するにあたっては、上記を含有し上記式を満たす組成のステンレス鋼を素材として、該素材を熱間圧延し、800〜1000℃の温度で熱延板を連続焼鈍したのち酸洗し、その後、冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却、酸洗の工程を経て、冷延焼鈍板とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法に関するものである。
ステンレス鋼の中では、その優れた耐食性によりオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304(18%Cr-8%Ni)(日本工業規格、JIS G 4305)が広く使われている。しかし、この鋼種は、Niを多量に含むため高価である。一方、Niを多量に添加しないフェライト系ステンレス鋼としては、SUS304相当の優れた耐食性を持つ鋼種として、Moを添加したSUS436L(18%Cr-1%Mo) (JIS G 4305)がある。しかし、これもまた、Moが高価である元素なため、わずか1%のMo添加でも大幅なコストアップとなっている。
以上のような現状から、Moを添加しないで、SUS304あるいはSUS436L相当の耐食性を持つフェライト系ステンレス鋼が求められている。Moを添加しないフェライト系ステンレス鋼としては、SUS430J1L(19%Cr-0.5%Cu-0.4%Nb)(JIS G 4305)があるが、SUS304やSUS436Lに比較すると耐食性が劣っている。
これに対して、特許文献1では、成分組成として、Cr:9〜30%、Cu:0.1〜0.6%、Ti:5×C%〜15×C%、Sb:0.02〜0.2%を特徴としたフェライト系ステンレス鋼が、特許文献2では、成分組成としてCr:11〜23%、Cu:0.5〜2.0%、Ti、Nb、Zr、Taのうちの少なくとも1種を0.01〜1.0%、V:0.05〜2.0%を特徴としたフェライト系ステンレス鋼が、さらに、特許文献3では、成分組成としてCr:5〜60%、Cu:0.15〜3.0%、Ti:4×(C%+N%)〜0.5%、Nb:0.003〜0.020%を特徴としたステンレス鋼が各々開示されている。
特公昭50-6167号公報 特公昭64-4576号公報 特許第3420371号公報
しかしながら、特許文献1〜3では、熱延板の連続焼鈍および冷延板の高速連続焼鈍による高効率な生産性とSUS304あるいはSUS436L相当の優れた耐食性を両立させた成分は示されていない。
安価に製造するためには高価なMo添加しないことと、さらに高効率で大量生産できることが必要である。Cr添加量を増加すれば耐食性が向上するが、熱延板の靭性が低下する。高Crフェライト系ステンレス鋼の熱延板は、冷間圧延の前に連続焼鈍・酸洗ラインで焼鈍と酸洗を行う必要があるが、熱延板の靭性が低いと連続焼鈍・酸洗ラインに通板ができない場合がある。また、高効率な生産性という点からは、普通鋼と兼用の冷延板の高速連続焼鈍ラインでの効率的な冷延板の焼鈍が行えることも必要である。
本発明は、かかる事情に鑑み、安価かつ高効率な生産が可能であり、耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前述の課題を解決するために、高価なNiやMoを含まず、耐食性に優れたステンレス鋼板を得る方法について鋭意研究した。その結果、Crを耐食性と製造性の観点から20.5%〜22.5%%の範囲に限定するとともに、不純物元素としての炭素や窒素を低減し、さらには、適量のTiを添加することにより、SUS304あるいはSUS436L相当の優れた耐食性を持つステンレス鋼板が得られるとともに、熱延板の連続焼鈍と冷延板の高速連続焼鈍ラインでの冷延板の焼鈍が行え高効率な生産が可能となることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]mass%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、Cr:20.5%以上、22.5%以下、Cu:0.3%以上、0.8%以下、Ni:1.0%以下、Ti:4×(C%+N%)以上、0.35%以下、Nb:0.01%以下、N:0.03%以下、C+N:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記式(1)を満たすことを特徴とする耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280 (1)
ここで、C%、N%、Cr%、Ti%は,それぞれC、N、Cr、Tiの含有量(mass%)を表す。
[2]mass%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、Cr:20.5%以上、22.5%以下、Cu:0.3%以上、0.8%以下、Ni:1.0%以下、Ti:4×(C%+N%)以上、0.35%以下、Nb:0.01%以下、N:0.03%以下、C+N:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記式(1)を満たすように含有する組成のステンレス鋼を素材として、該素材を熱間圧延し、800〜1000℃の温度で熱延板の連続焼鈍したのち酸洗し、その後、冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却、酸洗の工程を経て、冷延焼鈍板とすることを特徴とする耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280 (1)
ここで、C%、N%、Cr%、Ti%は,それぞれC、N、Cr、Tiの含有量(mass%)を表す。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%である。
本発明によれば、高価なMo等を添加することなく、SUS304あるいはSUS436Lに相当する優れた耐食性を持つフェライト系ステンレス鋼板を得られる。また、本発明のステンレス鋼板は、高効率な生産が行え、かつ、高価なNiやMoを添加していないため安価に製造することができる。
さらに、本発明のステンレス鋼板は、不純物元素を低減し、鋼中のCやNを固定する安定化元素であるTiを添加しているため、溶接性、溶接部加工性、溶接部耐食性にも優れる。
以下に本発明を詳細に説明する。まず、本発明の成分組成について説明する。
C:0.03%以下、N:0.03%以下、C+N:0.05%以下
CおよびNは熱延板の靭性を低減させるので少ないほうが望ましく、それぞれ0.03%以下、合計(C+N)でも0.05%以下に限定する。好ましくは、C:0.015%以下、N:0.015%以下、C+N:0.03%以下である。
Si:1.0%以下
Siは、脱酸剤として必要な元素である。しかし、多量に添加すると熱延板の靭性を低下させる。よって、Siは1.0%以下とする。好ましくは、0.3%以下である。
Mn:0.5%以下
Mnは、脱酸作用がある。しかし、鋼中で硫化物を形成し著しく耐食性を低下させるため添加量は低いほうが望ましく、製造時の経済性を考慮して、Mnは0.5%以下とする。好ましくは、0.3%以下である。
P:0.04%以下
Pは、熱間加工性の点から少ないほうが望ましく、Pは0.04%以下とする。
S:0.02%以下
Sは、熱間加工性及び耐食性の点から少ないほうが望ましく、Sは0.02%以下とする。好ましくは、0.005%以下である。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸のために有効な成分である。しかし、過剰な添加はAl系の非金属介在物の増加により表面傷を招くとともに加工性も低下させる。よって、Alは0.1%以下とする。
Cr:20.5%以上、22.5%以下
Crは、本発明において、最も重要な成分である。耐食性向上に有効であり、SUS304あるいはSUS436L相当の耐食性を得るためには20.5%以上の添加が必要である。一方、22.5%を超えて添加すると熱延板の靭性を低下させ、熱延板の連続焼鈍を困難にする。よって、Crは20.5%以上、22.5%以下とする。好ましくは、20.5〜21.5%である。
Cu:0.3%以上、0.8%以下
Cuは、本発明において、重要な成分である。隙間腐食を低減するために必要な元素である。そのためには少なくとも0.3%以上添加することが必要である。一方、0.8%を超えると熱間加工性が劣化する。よって、Cuは0.3%以上、0.8%以下とする。好ましくは、0.3%以上、0.5%未満である。
Ni:1.0%以下
Niは、Cu添加による熱間加工性低下を防ぐ効果がある。しかし、高価な元素であることに加え、1.0%を超えて添加してもその効果は飽和する。よって、Niは1.0%以下とする。好ましくは、0.1〜0.4%である。
Ti:4×(C%+N%)以上、0.35%以下
Tiは、本発明において、最も重要な成分である。本発明の根本となる添加元素であり、22.5%までのCr添加量でSUS304あるいはSUS436L相当の優れた耐食性を得るために、添加が必要な元素である。Tiは、従来から溶接部の加工性や耐食性に有害なCやNをTiCやTiNとして無害化して耐食性を向上させる効果を有する元素として認められていたが、本発明ではTiが直接、孔食電位を上げて耐食性を向上させる効果を有することを見出した。さらには、連続焼鈍による鋭敏化を防止するためにもTiを添加する。以上の効果を得るためには、4×(C%+N%)以上の添加が必要である。一方、0.35%を超えて過剰に添加すると熱延板の靭性を悪化させる。よって、Tiは4×(C%+N%)以上、0.35%以下とする。好ましくは、8×(C%+N%)}〜0.30%である。
Nb:0.01%以下
Nbは、再結晶温度を上昇させて、高速冷延板焼鈍ラインでは焼鈍が不十分となり加工性を確保できなくなる。よって、Nbは0.01%以下とする。好ましくは、0.005%以下である。
240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280
本発明では、NiやMoを含有せずに、SUS304あるいはSUS436L相当以上の優れた耐食性を得るために、Cr、Ti、C及びNは式(1)の関係を満たすものとする。
240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280 式(1)
CrおよびTiはそれぞれ孔食電位を上げる効果があるが、SUS304あるいはSUS436L相当以上の優れた耐食性を得るためにはCrを20.5%以上、Tiを4×(C%+N%)以上添加するだけでは不十分であり、さらに、Cr含有量およびTi含有量が、C含有量とN含有量を考慮しながら、上記式(1)を満たす必要がある。式(1)はCr含有量およびTi含有量と孔食電位(mV vs S.C.E )との関係から導き出したもので、孔食電位の値がSUS304あるいはSUS436Lの一般的な孔食電位値である280mV以上となるCr含有量およびTi含有量の下限値を示している。また、Tiは、TiCやTiNとして結合したものを除いた、固溶しているTiが孔食電位の向上の効果を発揮することから、固溶Ti量に相当する{Ti%−4×(C%+N%)}を式(1)中では用いている。
Mo: 0.2%以下
Moは耐食性を向上させる元素であるが、高価な元素であることに加えて、熱延板の靭性を低下させて製造を困難にさせ、さらに、冷延焼鈍板を硬くして加工性を低下させるので0.2%以下とする。好ましくは、0.1%以下とする。
その他、必要に応じて、下記の元素を添加することができる。
B: 0.0002%以上、0.002%以下
Bは、深絞り成形後の耐二次加工脆性を改善するために有効な元素である。その効果は0.0002%未満では得られない。一方、過剰の添加は熱間加工性と深絞り性を劣化させる。よって、添加する場合は、その添加量は0.0002%以上、0.002%以下が望ましい。
V: 0.01%以上、0.5%以下、Zr : 0.01%以上、0.5%以下VおよびZrはCやNを無害化して、溶接部で粒界腐食が生じるのを防ぐ効果がある。その効果は、VおよびZrは、それぞれ0.005%未満では現れず、それぞれ0.01%以上の添加が必要である。ただし、VおよびZrは、それぞれ0.5%を越えて添加すると、熱延板の靭性を低下させ製造を困難にする。さらに、VおよびZrは、C,NあるいはOと結合して介在物を生成し表面欠陥を増加させる。よって、添加する場合は、VおよびZrは各々0.01%以上、0.5%以下が好ましい。
上記以外の残部はFe及び不可避的不純物である。
次に本発明の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法について説明する。
本発明鋼の高効率な製造方法としては、スラブに連続鋳造し、1100〜1250℃に加熱して熱間圧延を行い熱延コイルとして、これを熱延板の連続焼鈍・酸洗ラインで800〜1000℃の温度で焼鈍し酸洗を行い、次に、冷間圧延を施し冷延板として、普通鋼と兼用の冷延板の高速連続焼鈍ラインで効率的な冷延板の焼鈍と酸洗を行う方法が推奨される。
詳細には以下の通りである。
まず、転炉、電気炉等と強攪拌・真空酸素脱炭処理(VOD)あるいはアルゴン・酸素脱炭処理(AOD)法による2次精錬で上記の化学成分範囲に調整された溶鋼を溶製する。次いで、上記溶鋼から連続鋳造または造塊でスラブを溶製する。鋳造方法は、生産性、品質の面から連続鋳造が好ましい。
鋳造により得られたスラブは、必要により1100〜1250℃に再加熱し、板厚2.0〜6.0mmになるように熱間圧延し、800〜1000℃の温度で熱延板を連続焼鈍したのち酸洗する。800℃未満では圧延による歪みが残留して硬くなるため表面傷が発生しやすくなり、1000℃を超えると粗粒化しやすくなり靭性が低下するので、熱延板の連続焼鈍の温度範囲は800〜1000℃とする。
酸洗された熱延板は冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却、酸洗の各工程を順次経て、板厚0.03〜5.0mmの冷延焼鈍板とする。
冷間圧延時の圧下率は本発明が目的とする靭性・加工性等の機械的特性を確保するために25%以上が好ましい。より好ましくは50%以上である。また、冷間圧延は1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延としてもよい。冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗の工程は繰り返し行ってもよい。さらに、普通鋼と兼用の冷延板の高速連続焼鈍ラインで効率的な冷延板焼鈍と酸洗を行う方法が推奨される。また、生産性は低下するものの、一般的なステンレス鋼の冷延板焼鈍・酸洗ラインで冷延板焼鈍・酸洗を行っても良い。また、必要に応じて、光輝焼鈍ラインで光輝焼鈍を行っても良い。以上説明した本発明の鋼板を溶接する場合には、TIG、MIGを始めとするアーク溶接、シーム溶接、スポット溶接等の抵抗溶接、レーザー溶接など、通常の溶接方法はすべて適用可能である。
表1に示す組成を有するフェライト系ステンレス鋼(比較例では一部オーステナイト系ステンレス鋼あり)を30kg鋼塊に溶製した後、1150℃の温度に加熱して熱間圧延を行って板厚2.5〜2.8mmの熱延板を得た。ここで、Mo添加量は実工程で不純物として混入が予想される量に調整している。得られた熱延板に対して、圧延方向に試験片(JIS B 7722 Vノッチ)を採取してシャルピー衝撃試験を行った。なお、Crが22.8%と本発明範囲外で高い比較例11と、Tiが0.39%と本発明範囲外で高い比較例12は、靭性が低く実工程で熱延板の連続焼鈍が困難なため、以後の試験を行わなかった。
比較例11、12を除く残りの供試材については950℃で連続焼鈍した後酸洗し、冷間圧延を行い、板厚0.8mm冷延板を製作した。次いで、大気雰囲気下で880℃で仕上げ焼鈍、冷却、酸洗を行った。なお、Nbが0.15%と本発明範囲外で高い比較例13は、この温度では焼鈍が不充分であり伸びが20%未満となり、冷延板の高速連続焼鈍ラインでの冷延板焼鈍では十分な加工性を確保することが出来ないため以後の試験を行わなかった。
以上により得られた比較例11〜13を除く残りの供試材(本発明例1〜8と21〜25、比較例14〜16)と、SUS304、SUS436LおよびSUS430J1Lの0.8mm厚の冷延焼鈍板から採取した試験片に対して、JIS G 0577に準じて3.5%NaCl溶液、30℃中で孔食電位を測定するとともに、塩水噴霧サイクル試験を行った。塩水噴霧サイクル試験は、600番の研磨紙で表面を研磨した供試材(20mm×30mm)に対して、塩水噴霧(5%NaCl、35℃、噴霧2h)→乾燥(60℃、4h、相対湿度40%)→湿潤(50℃、2h、相対湿度≧95%)を1サイクルとして、45サイクルを行った。得られた結果を表1に併せて示す。
次に比較例11〜15およびSUS430J1Lを除く残りの供試材(本発明例1〜8と21〜25、比較例16)と、SUS304、SUS436Lに対して、隙間腐食試験を行った。この試験では、それぞれの供試材から採取した横60mm×縦80mmと横20mm×縦30mmの平板を用い、それらの表面を600番の研磨紙で研磨した後、横60mm×縦80mmの平板の上に横20mm×縦30mmの平板をそれぞれの対角線が重なるように置き、中心点をスポット溶接で接合して隙間構造を作ったものを用いた。この試験片に対して上記の塩水噴霧サイクル試験を90サイクル行い、スポット溶接部を取り除いて隙間部を開いて腐食孔の深さをレーザー顕微鏡で測定した。以上により得られた結果を表1に併せて示す。
Figure 2007077496
なお、表1において、各試験の判定基準は以下の通りである。
(1)シャルピー衝撃試験:25℃での吸収エネルギーが50J/cm2以上が○(合格)、50J/cm2未満が×(不合格)と判定した。
(2)冷延板焼鈍:880℃の焼鈍後の伸びが20%以上が○(合格)、880℃の焼鈍後の伸びが20%未満が×(不合格)と判定した。
(3)塩水噴霧サイクル試験:試験片の片面(60mm×80mm)に対して、発錆面積が20%未満が○(合格)、20%以上が×(不合格)と判定した。
(4)隙間腐食試験結果:試験片の隙間部に発生した腐食孔のうち深い10点の平均値が300μm未満が○(合格)、300μm以上が×(不合格)と判定した。なお、腐食孔の深さは、レーザー顕微鏡で測定した。 表1より、本発明例では、孔食電位はSUS304、SUS436Lと同等以上であり、塩水噴霧サイクル試験の結果も良好で、耐食性に優れていることがわかる。また、隙間腐食試験での腐食孔の平均深さも300μm未満であり、耐隙間腐食性も優れている。
一方、Crが20.1%と本発明範囲外で低い比較例14および式(1)を満たさない比較例15の孔食電位はSUS304あるいはSUS436Lよりも低く、塩水噴霧サイクル試験でも発錆面積が大きく耐食性が劣っていた。
本発明例1〜8、21〜25および比較例14,15,16について孔食電位とCr%とTi%-4×(C%+N%)との関係を図1に示す。図1より、SUS304あるいはSUS436L相当の280mV以上の孔食電位を得るためには、式(1) 240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280 を満たすことが必要なことは明らかである。
また、Cuを添加していない比較例16は、隙間腐食試験での腐食孔の平均深さも300μm以上であり、本発明例1〜8、21〜25やSUS304、SUS436Lに比較して耐隙間腐食性が劣っている。
以上より、本発明例では、熱延板を連続焼鈍できるとともに、880℃で伸びが20%以上と冷延板の高速連続焼鈍ラインでの冷延板の焼鈍ができ、高効率で生産が可能であることがわかった。また、SUS304あるいはSUS436L相当の優れた耐食性を持つことが明らかとなった。
海上輸送用コンテナー、器物、厨房機器、建築内外装材、自動車部品、エレベータ、エスカレータ、鉄道車両、電気装置筐体外板等を中心に、耐食性が要求される部材として好適である。
孔食電位とCr%とTi%-4×(C%+N%)との関係を示す図である。

Claims (2)

  1. mass%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、Cr:20.5%以上、22.5%以下、Cu:0.3%以上、0.8%以下、Ni:1.0%以下、Ti:4×(C%+N%)以上、0.35%以下、Nb:0.01%以下、N:0.03%以下、C+N:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記式(1)を満たすことを特徴とする耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
    240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280 (1)
    ここで、C%、N%、Cr%、Ti%は,それぞれC、N、Cr、Tiの含有量(mass%)を表す。
  2. mass%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、Cr:20.5%以上、22.5%以下、Cu:0.3%以上、0.8%以下、Ni:1.0%以下、Ti:4×(C%+N%)以上、0.35%以下、Nb:0.01%以下、N:0.03%以下、C+N:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記式(1)を満たすように含有する組成のステンレス鋼を素材として、該素材を熱間圧延し、800〜1000℃の温度で熱延板を連続焼鈍したのち酸洗し、その後、冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却、酸洗の工程を経て、冷延焼鈍板とすることを特徴とする耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。240+35×(Cr%−20.5)+280×{Ti%−4×(C%+N%)}≧280 (1)
    ここで、C%、N%、Cr%、Ti%は,それぞれC、N、Cr、Tiの含有量(mass%)を表す。
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