JP2009012070A - ステンレス鋼溶接継手の溶接金属およびその形成方法 - Google Patents

ステンレス鋼溶接継手の溶接金属およびその形成方法 Download PDF

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Abstract

【要 約】
【課 題】 フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板との溶接継手に、優れた耐食性を有する溶接金属を提供すること、およびその溶接金属の形成方法を提供する。
【解決手段】 Cr:18〜21質量%,Mo:0.1質量%以下,Cu:0.5質量%以下,Nb:0.03〜0.25質量%,Ti:0.05質量%以下,N:0.04質量%以下を含有し、下記の(1)式で算出されるCr当量が18〜25の範囲内を満足しかつNi当量が3〜17の範囲内を満足するようにCr,Mo,Si,Nb,Ni,CおよびMnを含有するとともに、オーステナイト相の分率が20%以上であり、かつオーステナイト相のC含有量が0.08質量%以下である組織を有するステンレス鋼溶接継手の溶接金属。
【選択図】 無

Description

本発明は、化学プラント,建築材料,温水器,タンク,家電製品,自動車部品,厨房機器等の幅広い分野で利用可能なステンレス鋼の溶接継手に形成される溶接金属、およびその形成方法に関するものでる。
一般に広く使用されているステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼(たとえばSUS304等)とフェライト系ステンレス鋼(たとえばSUS430等)に大別される。オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304は、Feに約18質量%のCrと約8質量%のNiを添加したステンレス鋼であり、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430は、Feに約17質量%のCrを添加したステンレス鋼である。
SUS430とSUS304の耐食性を比べると、オーステナイト系ステンレス鋼(すなわちSUS304)の方が優れている。しかしながら、精錬技術の進歩に伴って溶鋼のCを低減する技術が確立され、フェライト系ステンレス鋼の耐食性を向上させることが可能となってきた。
つまり、近年発達した技術を活用して製造したフェライト系ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼は、いずれも耐食性に優れており、化学プラント,建築材料,温水器,タンク,家電製品,自動車部品,厨房機器等の様々な分野で使用されている。
ステンレス鋼板を用いて所定の形状を有する製品を作製する際には、複数のステンレス鋼板を接合する必要が生じる。その接合技術としては、アーク溶接(たとえばティグ溶接,ミグ溶接,マグ溶接等)が広く採用される。アーク溶接で使用する溶接材料は、オーステナイト系ステンレス鋼板のアーク溶接では、308系および308L系(たとえばD308,D308L,Y308,Y308L等)などの溶接材料が使用され、低Cのフェライト系ステンレス鋼板のアーク溶接では、309L系(たとえばD309L,Y309L等)などの溶接材料が使用される。これらの溶接材料を使用すれば、溶接継手に形成される溶接金属の耐食性を確保する効果が得られる。
ステンレス鋼板からなる製品を作製するにあたって、溶接施工の効率向上や溶接金属の健全性確保の観点から、フェライト系ステンレス鋼板同士の溶接あるいはオーステナイト系ステンレス鋼板同士の溶接が一般的である(たとえば特許文献1参照)。しかしながらステンレス鋼板からなる製品の中には、各部位に応じて異なる特性が要求されるものがある。それぞれの部位に適した素材を用いて製品を作製するためには、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板の溶接が必要になる場合がある。
既に説明した通り、近年製造されるフェライト系ステンレス鋼板やオーステナイト系ステンレス鋼板は、いずれも耐食性に優れている。ところが、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板の溶接によって形成される溶接金属は、耐食性が劣るという問題がある。
特許3190290号公報
本発明は、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板との溶接継手に、優れた耐食性を有する溶接金属を提供すること、およびその溶接金属の形成方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題を達成するために、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板との溶接継手に形成される溶接金属の耐食性に及ぼす成分と組織の影響について鋭意検討を行なった。その結果、溶接金属の成分を制御することによって、溶接金属の耐食性を改善することが可能であるという知見を得た。さらに、溶接金属の組織を制御することによって、溶接金属の耐食性を一層向上できるという知見を得た。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して形成されるステンレス鋼溶接継手の溶接金属であって、Cr:18〜21質量%,Mo:0.1質量%以下,Cu:0.5質量%以下,Nb:0.03〜0.25質量%,Ti:0.05質量%以下,N:0.04質量%以下を含有し、下記の(1)式で算出されるCr当量が18〜25の範囲内を満足しかつ下記の(2)式で算出されるNi当量が3〜17の範囲内を満足するようにCr,Mo,Si,Nb,Ni,CおよびMnを含有するとともに、オーステナイト相の分率が20%以上であり、かつオーステナイト相のC含有量が0.08質量%以下である組織を有するステンレス鋼溶接継手の溶接金属である。
Cr当量=[%Cr]+[%Mo]+1.5[%Si]+0.5[%Nb] ・・・(1)
Ni当量=[%Ni]+30[%C]+0.5[%Mn] ・・・(2)
[%Cr]:溶接金属のCr含有量(質量%)
[%Mo]:溶接金属のMo含有量(質量%)
[%Si]:溶接金属のSi含有量(質量%)
[%Nb]:溶接金属のNb含有量(質量%)
[%Ni]:溶接金属のNi含有量(質量%)
[%C]:溶接金属のC含有量(質量%)
[%Mn]:溶接金属のMn含有量(質量%)
また本発明は、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して形成されるステンレス鋼溶接継手の溶接金属であって、Cr:18〜21質量%,Mo:0.1質量%以下,Cu:0.5質量%以下,Nb:0.03〜0.25質量%,Ti:0.2質量%以下,N:0.04質量%以下を含有し、上記の(1)式で算出されるCr当量が18〜25の範囲内を満足しかつ上記の(2)式で算出されるNi当量が3〜17の範囲内を満足するようにCr,Mo,Si,Nb、Ni,CおよびMnを含有するとともに、オーステナイト相の分率が20%以上であり、かつオーステナイト相のC含有量が0.06質量%以下である組織を有するステンレス鋼溶接継手の溶接金属である。
本発明の溶接金属を形成するためには、フェライト系ステンレス鋼板が、C:0.030質量%以下,N:0.030質量%以下を含有し、CとNの合計含有量が0.050質量%以下であり、かつSi:0.60質量%以下,Mn:0.50質量%以下,P:0.040質量%以下,S:0.010質量%以下,Cr:20.5〜22.5質量%,Cu:0.001〜1.00質量%,Ni:1.00質量%以下,Al:0.10質量%以下を含有し、さらにNb:0.10〜1.00質量%およびTi:0.10〜1.00%の中から選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることが好ましい。さらにフェライト系ステンレス鋼板が、V:0.01〜0.5質量%,W:0.01〜5質量%およびB:0.0002〜0.0030質量%の中から選ばれる1種または2種以上を含有することが好ましい。
また本発明は、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して得るステンレス鋼溶接継手の溶接金属の形成方法において、C:0.030質量%以下,N:0.030質量%以下を含有し、CとNの合計含有量が0.050質量%以下であり、かつSi:0.60質量%以下,Mn:0.50質量%以下,P:0.040質量%以下,S:0.010質量%以下,Cr:20.5〜22.5質量%,Cu:0.001〜1.00質量%,Ni:1.00質量%以下,Al:0.10質量%以下を含有し、さらにNb:0.10〜1.00質量%およびTi:0.10〜1.00質量%の中から選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板を使用し、溶接して得た溶接金属の温度が1000℃から600℃までの範囲を冷却速度10℃/秒以上で冷却するステンレス鋼溶接継手の溶接金属の形成方法である。
あるいは、前記したフェライト系ステンレス鋼板のCu含有量が1.00質量%以下であることが好ましい。この場合の本発明は、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して得るステンレス鋼溶接継手の溶接金属の形成方法において、C:0.030質量%以下,N:0.030質量%以下を含有し、CとNの合計含有量が0.050質量%以下であり、かつSi:0.60質量%以下,Mn:0.50質量%以下,P:0.040質量%以下,S:0.010質量%以下,Cr:20.5〜22.5質量%,Cu:1.00質量%以下,Ni:1.00質量%以下,Al:0.10質量%以下を含有し、さらにNb:0.10〜1.00質量%およびTi:0.10〜1.00質量%の中から選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板を使用し、溶接して得た溶接金属の温度が1000℃から600℃までの範囲を冷却速度10℃/秒以上で冷却するステンレス鋼溶接継手の溶接金属の形成方法である。
本発明によれば、フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板との異なる鋼種の溶接継手に形成される溶接金属の耐食性を改善できる。
まず、本発明を適用して得られる溶接金属の成分について説明する。
Cr当量:18〜25,Ni当量:3〜17
Cr当量は、フェライト安定化元素を用いた下記の(1)式で算出される値であり、Ni当量はオーステナイト安定化元素を用いた下記の(2)式で算出される値である。
Cr当量=[%Cr]+[%Mo]+1.5[%Si]+0.5[%Nb] ・・・(1)
Ni当量=[%Ni]+30[%C]+0.5[%Mn] ・・・(2)
[%Cr]:溶接金属のCr含有量(質量%)
[%Mo]:溶接金属のMo含有量(質量%)
[%Si]:溶接金属のSi含有量(質量%)
[%Nb]:溶接金属のNb含有量(質量%)
[%Ni]:溶接金属のNi含有量(質量%)
[%C]:溶接金属のC含有量(質量%)
[%Mn]:溶接金属のMn含有量(質量%)
溶接金属をオーステナイトとフェライトの2相組織とするために、Cr当量を18〜25,Ni当量を3〜17の範囲内とする。したがって、溶接金属に含有されるCr,Mo,Si,Nb,Ni,C,Mnは、Cr当量とNi当量が所定の範囲内を満足するように調整する。たとえば、好適な成分を有するステンレス鋼板やステンレス溶接ワイヤを選択して溶接する等の方法で、溶接金属のCr,Mo,Si,Nb,Ni,C,Mnの含有量を調整する。
Cr:18〜21質量%
Crは、溶接金属の耐食性を向上させるために不可欠な元素であり、溶接に用いるステンレス鋼板や溶接ワイヤから溶接金属に供給される。ただし、Cr含有量が18質量%未満では、溶接金属の耐食性を向上させる効果が得られない。一方、21質量%を超えると、ステンレス鋼板の靭性が低下する。したがって、Crは18〜21質量%の範囲内とする。
Mo:0.1質量%以下
Moは、溶接金属の耐食性を向上させる元素であり、溶接に用いるステンレス鋼板や溶接ワイヤから溶接金属に供給される。しかしMoは高価であるから、過剰に含有させると、ステンレス鋼板の製造コスト(あるいはステンレス鋼板を溶接して作製する製品の製造コスト)の上昇を招く。したがって、Moは0.1質量%以下とする。Moは不可避的不純物程度に含有していても効果がある。そのため、Moは0.001〜0.1質量%の範囲内が好ましい。
Cu:0.5質量%以下
Cuは、Moと同様に、溶接金属の耐食性を向上させる元素であり、溶接に用いるステンレス鋼板や溶接ワイヤから溶接金属に供給される。しかしCuを過剰に含有させると、ステンレス鋼板の熱間加工性が低下する。したがって、Cuは0.5質量%以下とする。Cuは不可避的不純物程度に含有していても効果がある。そのため、Cuは0.001〜0.5質量%の範囲内が好ましい。
Nb:0.03〜0.25質量%
Nbは、優先的に炭窒化物を形成する元素であり、ステンレス鋼板の溶接時に溶接金属中のCrがCやNと結合するのを防止し、粒界腐食を抑制する効果を有する。Nb含有量が0.03質量%未満では、その効果が得られない。一方、0.25質量%を超えると、溶接時の高温割れが発生し易くなる。しかしながらNb含有量を0.03〜0.25質量%とし、Tiを添加することによって、高温割れを防止できる。したがって、Nbは0.03〜0.25質量%の範囲内とする。
Ti:0.05質量%以下あるいは0.2質量%以下
Tiは、Nbと同様に、優先的に炭窒化物を形成する元素であり、ステンレス鋼板の溶接時に溶接金属中のCrがCやNと結合するのを防止し、粒界腐食を抑制する効果を有する。しかし、後述するオーステナイト相のC含有量が0.08質量%以下である場合は、Ti含有量が0.05質量%を超えると、溶接時に高温割れが発生し易くなる。しかしながらTi含有量を0.05質量%以下とし、Nbを添加することによって、高温割れを防止できる。したがって、Tiは0.05質量%以下とする。Tiは不可避的不純物程度に含有していても効果がある。そのため、Tiは0.001〜0.05質量%の範囲内が好ましい。
あるいは、後述するオーステナイト相のC含有量が0.06質量%以下である場合は、Ti含有量が0.2質量%を超えると、オーステナイトの生成が阻害される。したがって、Tiは0.2質量%以下とする。ただし、好ましくは0.03〜0.2質量%である。
N:0.04質量%以下
Nは、Crと結合してCr窒化物を形成する元素である。溶接金属にCr窒化物が析出すると、溶接金属の耐食性を向上するCrの効果が得られない。N含有量が0.04質量%を超えると、溶接金属にCr窒化物が析出し易くなる。したがって、Nは0.04質量%以下とする。ただしN含有量が0.0050質量%未満では、溶接金属でのオーステナイト相の生成量が少なくなってしまう。そのため、Nは0.0050〜0.04質量%の範囲内が好ましい。
上記した溶接金属の成分は基本成分であり、本発明では、その他の元素も適宜含有させることができる。たとえばP,S,Al,Cu,Ni,V,W,B,Ca等である。
次に、本発明を適用して得られる溶接金属の組織について説明する。
オーステナイト相の分率:20%以上
溶接金属は、オーステナイトとフェライトの2相組織である。ただし、溶接に用いるステンレス鋼板や溶接ワイヤの成分あるいは溶接の条件によっては、オーステナイトの一部がマルテンサイトとなる。オーステナイト相の分率が20%未満では、溶接金属に耐食性を付与することは困難である。したがって、オーステナイト相の分率は20%以上とする。ただし、オーステナイト相の分率が80%を超えると、溶接金属の耐食性は向上するが、一般的な溶接方法で80%を超えるオーステナイト相分率を得ることは困難である。したがって、オーステナイト相の分率は20〜80%の範囲内が好ましい。なお上記した値は、溶接金属の組織を観察することによってオーステナイト相の分率を求める方法、あるいはシェフラー状態図に基づいて溶接金属の成分からオーステナイト相の分率を求める方法で得られる。
オーステナイト相のC含有量:0.08質量%以下あるいは0.06質量%以下
Cは、Crと結合してCr炭化物を形成する元素である。溶接金属にCr炭化物が析出すると、溶接金属の耐食性を向上するCrの効果が得られない。溶接金属のTi含有量が0.05質量%以下の場合は、オーステナイト相のC含有量が0.08質量%を超えると、溶接金属にCr炭化物が析出し易くなる。したがって、Cは0.08質量%以下とする。ただしオーステナイト相のC含有量が0.005質量%未満では、溶接金属でのオーステナイト相の生成量が少なくなってしまう。そのため、Cは0.005〜0.08質量%の範囲内が好ましい。
あるいは、溶接金属のTi含有量が0.2質量%以下の場合は、オーステナイト相のC含有量が0.06質量%を超えると、溶接金属にCr炭化物が析出し易くなる。したがって、Cは0.06質量%以下とする。ただしオーステナイト相のC含有量が0.005質量%未満では、溶接金属でのオーステナイト相の生成量が少なくなってしまう。そのため、Cは0.005〜0.06質量%の範囲内が好ましい。
なおオーステナイト相のC含有量は、溶接金属のC含有量を、溶接金属のオーステナイト相(マルテンサイト相を含む)の分率で除した値である。
以上に説明した組成と組織を有する溶接金属を形成するために好適なステンレス鋼板の成分について、以下に説明する。
C:0.030質量%以下,N:0.030質量%以下,CとN:合計0.050質量%以下
CとNは、溶接時にCrと結合してCr炭化物,Cr窒化物を形成する。溶接金属にCr炭化物,Cr窒化物が析出すると、Cr欠乏層が生じて粒界腐食を助長する。したがって、C,Nが少ないほど、溶接金属の粒界腐食を抑制できる。このような理由で、C含有量を0.030質量%以下,N含有量を0.030質量%以下とし、かつCとNの合計含有量を0.050質量%以下とする。好ましくは、C含有量を0.015質量%以下,N含有量を0.015質量%以下とし、かつCとNの合計含有量を0.030質量%以下である。ただしC含有量が0.0050質量%未満では、溶接金属でのオーステナイト相の生成量が少なくなってしまう。そのため、Cは0.0050〜0.030質量%の範囲内が好ましい。またN含有量が0.0050質量%未満では、溶接金属でのオーステナイト相の生成量が少なくなってしまう。そのため、Nは0.0050〜0.030質量%の範囲内が好ましい。CとNの合計含有量は0.0050〜0.030質量%の範囲内が好ましい。
Si:0.60質量%以下
Siは、溶接金属の強度を増加させる元素であり、強度の増加に伴って加工性,靭性を低下させる。したがって、Siは可能な限り低減することが望ましいが、溶接金属の耐酸化性を向上する作用を有する。このような理由で、Si含有量を0.60質量%以下とする。好ましくは0.20質量%以下である。ただしSi含有量が0.01質量%未満では、強度を確保することが困難になる。そのため、Siは0.01〜0.60質量%の範囲内がより好ましい。0.05〜0.20質量%の範囲内が一層好ましい。
Mn:0.50質量%以下
Mnは、溶接時にSと結合してMnSを形成する。このMnSは可溶性硫化物であり、溶接金属の耐食性に悪影響を及ぼす。このような理由で、Mn含有量を0.50質量%以下とする。好ましくは0.30質量%以下である。ただしMn含有量が0.01質量%未満では、強度を確保することが困難になる。そのため、Mnは0.01〜0.50質量%の範囲内がより好ましい。0.05〜0.30質量%の範囲内が一層好ましい。
P:0.040質量%以下
Pは、熱間加工性と耐食性に有害な元素である。特に、ステンレス鋼板のPが0.040質量%を超えると、溶接金属の耐食性が著しく低下する。したがって、Pは0.040質量%以下とする。ただし、Pは不可避的不純物程度に含有していてもかまわない。
S:0.010質量%以下
Sは、熱間加工性と耐食性に有害な元素である。特に、ステンレス鋼板のSが0.010質量%を超えると、溶接金属の耐食性が著しく低下する。したがって、Sは0.010質量%以下とする。好ましくは0.005質量%以下である。ただし、Sは不可避的不純物程度に含有していてもかまわない。
Cr:20.5〜22.5質量%
Crは、耐食性を向上させる元素であり、特にフェライト系ステンレス鋼板では不可欠の元素である。SUS304に相当する耐食性を得るためには、Crを20.5質量%以上含有する必要がある。一方、22.5質量%を超えると、ステンレス鋼板の靭性が著しく低下し、その製造に支障をきたす。したがって、Crは20.5〜22.5質量%の範囲内とする。
Cu:0.001〜1.00質量%
Cuは、耐食性を向上させる元素である。Cu含有量が0.001質量%未満では、溶接金属の耐食性を向上する効果が得られない。一方、1.00質量%を超えると、熱間加工性が劣化するのでステンレス鋼板の製造に支障をきたす。したがって、Cuは0.001〜1.00質量%の範囲内とする。好ましくは0.40〜0.70質量%である。
Ni:1.00質量%以下
Niは、耐食性を向上させる元素である。またCuに起因する熱間加工性の劣化を抑制する効果も有する。ただしNiは高価であるので、ステンレス鋼板の製造コストを削減する観点から、1.00質量%以下とする。Niは不可避的不純物程度に含有していても効果がある。そのため、Niは0.001〜1.00質量%の範囲内が好ましい。
Al:0.10質量%以下
Alは、溶接時に溶接金属の脱酸剤として作用するとともに、Nと結合して固溶Nの低減に寄与する元素である。Al含有量が0.10質量%を超えると、脱酸効果と固溶N低減効果のさらなる向上が期待できない。したがって、Alは0.10質量%以下とする。ただしAl含有量が0.005質量%未満では、脱酸効果が得られない。そのため、Alは0.005〜0.10質量%の範囲内が好ましい。
Nb:0.10〜1.00質量%とTi:0.10〜1.00質量%の中から選ばれる1種または2種
NbとTiは、いずれも溶接時に炭窒化物を形成して固溶C,固溶Nを低減することによって、Crの炭窒化物の形成を抑制し、溶接金属の延性,靭性,耐食性を高める作用を有する。またNbは、溶接金属の高温強度を向上させる作用も有する。NbとTiは、いずれもその含有量が0.10質量%未満では、これらの効果が得られない。一方、いずれもその含有量が1.00質量%を超えると、溶接金属の延性が低下する。したがって、Nb:0.10〜1.00質量%,Ti:0.10〜1.00質量%の範囲内とする。好ましくは、Nb:0.30〜0.50質量%,Ti:0.15〜0.45質量%である。なおNbとTiは、いずれか片方を添加しても良いし、あるいは両方を併用しても良い。
上記した成分に加えて、本発明を適用するステンレス鋼板は必要に応じて下記の成分を含有しても良い。
V:0.01〜0.5質量%,W:0.01〜5質量%,B:0.0002〜0.0030質量%の中から選ばれる1種または2種以上
VとWは、いずれも溶接熱影響部の溶接割れ感受性を改善する作用を有する。またNbは、溶接金属の高温強度を向上させる作用も有する。VとWは、いずれもその含有量が少な過ぎると、これらの効果が得られない。一方、いずれもその含有量が過大であれば、溶接熱影響部の靭性が低下する。したがって、V:0.01〜0.5質量%,W:0.01〜5質量%の範囲内とする。好ましくは、V:0.05〜0.3質量%,W:0.1〜3質量%である。なおVとWは、いずれか片方を添加しても良いし、あるいは両方を併用しても良い。
B:0.0002〜0.0030質量%
Bは、焼入れ性を向上させる元素であり、溶接熱影響部の靭性を改善する効果を有する。B含有量が0.0002質量%未満では、その効果が得られない。一方、0.0030質量%を超えると、溶接熱影響部の強度が過剰に上昇して、靭性と加工性が損なわれる。したがって、Bは0.0002〜0.0030質量%の範囲内とする。好ましくは0.0005〜0.0010質量%である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物は、ステンレス鋼を溶製する段階や圧延する段階で不可避的に混入する。不可避的不純物としては、たとえばO,Mg,Mo,Ca等が挙げられる。これらの元素の含有量は、たとえばO:0.015質量%以下,Mg:0.0020質量%以下,Ca:0.0020質量%以下が許容できる。
以上に説明したステンレス鋼板を製造する手順について、以下に説明する。
転炉,電気炉,真空溶解炉等で1次精錬を行ない、次いで強攪拌真空酸素脱炭処理(いわゆるVOD)法,アルゴン酸素脱炭処理(いわゆるAOD)法等で2次精錬を行ない、所定の成分を有する溶鋼を溶製する。得られた溶鋼を連続鋳造あるいは造塊に供してスラブとする。
スラブを1100〜1250℃に加熱して熱間圧延を行ない、熱延コイル(厚さ2.0〜6.0mm程度)とし、さらに800〜1100℃で焼鈍した後、酸洗を行なう。焼鈍温度が800℃未満では、熱間圧延によって発生した歪が残留して熱延コイルが硬くなり、表面に疵が生じ易くなる。一方、焼鈍温度が1100℃を超えると、粗粒化に起因して熱延コイルの靭性が低下する。なお熱延コイルとは、熱延鋼板を巻き取ったものを指す。
酸洗した熱延コイルを冷間圧延し、さらに仕上げ焼鈍と酸洗を施して冷延コイル(厚さ0.03〜5.00mm程度)とする。冷間圧延の圧下率は、靭性,加工性等の機械的性質を良好に保つために、25%以上が好ましい。より好ましくは50%以上である。また冷間圧延から酸洗に至る工程は、繰り返し行なっても良い。仕上げ焼鈍として、光輝焼鈍を行なっても良い。なお冷延コイルとは、冷延鋼板を巻き取ったものを指す。
本発明を適用してステンレス鋼板を溶接する際には、上記で説明したフェライト系ステンレス鋼板を、他のオーステナイト系ステンレス鋼板と組み合わせて溶接することが好ましい。溶接法は、不活性ガス雰囲気で溶接材料(たとえば溶接ワイヤ,溶加材等)を用いて行なうティグ溶接,ミグ溶接,マグ溶接等が好ましい。ただし、溶接して得た溶接金属に炭化物が析出する1000℃から600℃までの温度域における冷却速度が10℃/秒未満では、Cr炭化物が多量に析出して、溶接金属の耐食性が著しく低下する。したがって、1000℃から600℃までの範囲を10℃/秒以上の冷却速度で冷却する。
<実施例1:溶接金属のTi含有量が0.05質量%以下,オーステナイト相のC含有量が0.08質量%以下の場合>
表1に示す鋼記号Aの成分を有するステンレス鋼を小型真空溶解炉で溶製し、100kgの鋼塊とした。得られた鋼塊を1100℃に加熱し、仕上げ温度750℃,巻取り温度650℃の条件で熱間圧延を施して厚さ4.0mmの熱延鋼板とした。その熱延鋼板を800℃で焼鈍し、さらに酸洗した後、冷間圧延を施して厚さ1.5mmの冷延鋼板とした。次いで、冷延鋼板を950℃で仕上げ焼鈍を行ない、さらに冷却,酸洗を行なった。
Figure 2009012070
その冷延鋼板を、表2に示す鋼記号aの成分を有するステンレス鋼板(SUS304相当,厚さ1.5mm)と組み合わせてミグ溶接にて突合せ溶接を行ない、溶接継手を作製した。開先形状はI開先とし、ギャップは種々調整して鋼板の希釈率を変更した。ミグ溶接の条件は下記の通りである。
溶接電圧 :18〜20V
溶接電流 :90〜110A
溶接速度 :600〜800mm/分
シールドガス成分:Ar−2体積%O2
シールドガス流量:15 liter/分
溶接ワイヤ :Y308,Y308L,Y309,Y309L
ワイヤ径 :1.2mm
Figure 2009012070
得られた溶接継手の溶接ビードを中心にして、幅60mm,長さ80mmの試験片を採取し、溶接ビードの余盛を機械加工で除去した後、#600番の研磨紙で研磨して、溶接によるテンパーカラーを除去した。次に、溶接継手の耐食性を調査するため、複合サイクル腐食試験を行なった。複合サイクル腐食試験は、塩水噴霧(35℃,2時間,5質量%NaCl)→乾燥(60℃,4時間)→湿潤(50℃,2時間)を1サイクルとして、繰り返し30サイクルを行なった。
複合サイクル腐食試験が終了した後、溶接金属の外観を目視で観察し、錆の発生状況を調査した。錆の発生状況は、赤錆なしをA,赤錆面積10%未満をB,赤錆面積10%以上30%未満をC,赤錆面積30%以上70%未満をD,赤錆面積70%以上をEとして評価した。その結果を表3に示す。表3中の比較例は、いずれもオーステナイト相のC含有量が0.08質量%を超える例である。
なお、継手記号1〜5のオーステナイト相の分率は、15〜40%程度であった。ただし発明例(継手記号2,3)では20〜40%の範囲内であった。
Figure 2009012070
表3から明らかなように、発明例はいずれも赤錆が認められなかったのに対して、比較例は赤錆が発生した。つまり、発明例の溶接継手は耐食性に優れている。
<実施例2:溶接金属のTi含有量が0.05質量%以下,オーステナイト相のC含有量が0.08質量%以下の場合>
表1に示す鋼記号B〜Eの成分を有するステンレス鋼を小型真空溶解炉で溶製し、100kgの鋼塊とした。得られた鋼塊を1100〜1250℃に加熱し、仕上げ温度750〜950℃で熱間圧延を施して厚さ3.0mmの熱延鋼板とした。その熱延鋼板を800〜1100℃で焼鈍し、さらに酸洗した後、冷間圧延を施して厚さ1.5mmの冷延鋼板とした。次いで、冷延鋼板を1000℃で仕上げ焼鈍を行ない、さらに冷却,酸洗を行なった。
その冷延鋼板を、表2に示す鋼記号bの成分を有するステンレス鋼板(SUS304相当,厚さ1.5mm)と組み合わせてティグ溶接にて突合せ溶接を行ない、溶接継手を作製した。開先形状はI開先とし、ギャップの調整,溶接ワイヤ(すなわちフィラーワイヤ)の送給量を調整して鋼板とフィラーワイヤの希釈率を変更した。ティグ溶接の条件は下記の通りである。
溶接電圧 :9〜12V
溶接電流 :130〜180A
溶接速度 :600mm/分
電極 :2.4mmタングステン電極
シールドガス成分 :Ar
シールドガス流量 :20 liter/分
バックシールドガス成分 :Ar
バックシールドガス流量 :10 liter/分
溶接ワイヤ(フィラーワイヤ):Y308L
得られた溶接継手の溶接ビードを中心にして、幅60mm,長さ80mmの試験片を採取し、溶接ビードの余盛を機械加工で除去した後、#600番の研磨紙で研磨して、溶接によるテンパーカラーを除去した。次に、溶接継手の耐食性を調査するため、複合サイクル腐食試験を行なった。複合サイクル腐食試験は、塩水噴霧(35℃,2時間,5質量%NaCl)→乾燥(60℃,4時間)→湿潤(50℃,2時間)を1サイクルとして、繰り返し30サイクルを行なった。
複合サイクル腐食試験が終了した後、溶接金属の外観を目視で観察し、錆の発生状況を調査した。錆の発生状況は、赤錆なしをA,赤錆面積10%未満をB,赤錆面積10%以上30%未満をC,赤錆面積30%以上70%未満をD,赤錆面積70%以上をEとして評価した。その結果を表4に示す。表4中の比較例は、いずれもオーステナイト相のC含有量が0.08質量%を超える例である。
なお、継手記号6〜13のオーステナイト相の分率は、10〜40%程度であった。ただし発明例(継手記号6〜9)では20〜40%の範囲内であった。
Figure 2009012070
表4から明らかなように、発明例はいずれも赤錆が認められなかったのに対して、比較例は赤錆が発生した。つまり、発明例の溶接継手は耐食性に優れている。
<実施例3:溶接金属のTi含有量が0.2質量%以下,オーステナイト相のC含有量が0.06質量%以下の場合>
表5に示す鋼記号F,Gの成分を有するステンレス鋼を小型真空溶解炉で溶製し、100kgの鋼塊とした。得られた鋼塊を1200℃に加熱した後、仕上げ温度800℃で熱間圧延を施して板厚4.0mmの熱延鋼板とした。その熱延鋼板を800℃で焼鈍し、さらに酸洗した後、冷間圧延によって板厚1.5mmの冷間鋼板とした。次いで、冷延鋼板を1000℃で仕上げ圧延を行ない、さらに冷却,酸洗を行なった。
Figure 2009012070
その冷延鋼板を表2に示すaの成分を有するステンレス鋼板(SUS304相当,板厚1.5mm)と組合わせてミグ溶接にて突合せ溶接を行ない、溶接継手を作製した。開先形状はI開先とし、ギャップを種々調整して鋼板の希釈率を変更した。ミグ溶接の条件は下記の通りである。
溶接電圧 :18〜20V
溶接電流 :90〜110A
溶接速度 :600〜800mm/分
シールドガス成分 :Ar−2%O2
シールドガス流量 :15 liter/分
溶接ワイヤ(フィラーワイヤ):Y308,Y308L
ワイヤ径 :1.2mm
得られた溶接継手の溶接ビードを中心にして、幅60mm,長さ80mmの試験片を採取し、溶接ビードの余盛を機械加工で除去した後、#600番の研磨紙で研磨して、溶接によるテンパーカラーを除去した。次に、溶接継手の耐食性を調査するため、複合サイクル腐食試験を行なった。複合サイクル腐食試験は、塩水噴霧(35℃,2時間,5質量%NaCl)→乾燥(60℃,4時間)→湿潤(50℃,2時間)を1サイクルとして、繰り返し30サイクルを行なった。
複合サイクル腐食試験が終了した後、溶接金属の外観を目視で観察し、錆の発生状況を調査した。錆の発生状況は、赤錆なしをA,赤錆面積10%未満をB,赤錆面積10%以上30%未満をC,赤錆面積30%以上70%未満をD,赤錆面積70%以上をEとして評価した。その結果を表6に示す。表6中の比較例は、いずれもオーステナイト相のC含有量が0.06質量%を超える例である。
なお、継手記号14〜17のオーステナイト相の分率は、10〜40%程度であった。ただし発明例(継手記号15,17)では20〜40%の範囲内であった。
Figure 2009012070
表6から明らかなように、発明例はいずれも赤錆が認められなかったのに対して、比較例は赤錆が発生した。つまり、発明例の溶接継手は耐食性に優れている。

Claims (5)

  1. フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して形成されるステンレス鋼溶接継手の溶接金属であって、Cr:18〜21質量%、Mo:0.1質量%以下、Cu:0.5質量%以下、Nb:0.03〜0.25質量%、Ti:0.05質量%以下、N:0.04質量%以下を含有し、下記の(1)式で算出されるCr当量が18〜25の範囲内を満足しかつ下記の(2)式で算出されるNi当量が3〜17の範囲内を満足するようにCr、Mo、Si、Nb、Ni、CおよびMnを含有するとともに、オーステナイト相の分率が20%以上であり、かつ前記オーステナイト相のC含有量が0.08質量%以下である組織を有することを特徴とするステンレス鋼溶接継手の溶接金属。
    Cr当量=[%Cr]+[%Mo]+1.5[%Si]+0.5[%Nb] ・・・(1)
    Ni当量=[%Ni]+30[%C]+0.5[%Mn] ・・・(2)
    [%Cr]:溶接金属のCr含有量(質量%)
    [%Mo]:溶接金属のMo含有量(質量%)
    [%Si]:溶接金属のSi含有量(質量%)
    [%Nb]:溶接金属のNb含有量(質量%)
    [%Ni]:溶接金属のNi含有量(質量%)
    [%C]:溶接金属のC含有量(質量%)
    [%Mn]:溶接金属のMn含有量(質量%)
  2. フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して形成されるステンレス鋼溶接継手の溶接金属であって、Cr:18〜21質量%、Mo:0.1質量%以下、Cu:0.5質量%以下、Nb:0.03〜0.25質量%、Ti:0.2質量%以下、N:0.04質量%以下を含有し、下記の(1)式で算出されるCr当量が18〜25の範囲内を満足しかつ下記の(2)式で算出されるNi当量が3〜17の範囲内を満足するようにCr、Mo、Si、Nb、Ni、CおよびMnを含有するとともに、オーステナイト相の分率が20%以上であり、かつ前記オーステナイト相のC含有量が0.06質量%以下である組織を有することを特徴とするステンレス鋼溶接継手の溶接金属。
    Cr当量=[%Cr]+[%Mo]+1.5[%Si]+0.5[%Nb] ・・・(1)
    Ni当量=[%Ni]+30[%C]+0.5[%Mn] ・・・(2)
    [%Cr]:溶接金属のCr含有量(質量%)
    [%Mo]:溶接金属のMo含有量(質量%)
    [%Si]:溶接金属のSi含有量(質量%)
    [%Nb]:溶接金属のNb含有量(質量%)
    [%Ni]:溶接金属のNi含有量(質量%)
    [%C]:溶接金属のC含有量(質量%)
    [%Mn]:溶接金属のMn含有量(質量%)
  3. 前記フェライト系ステンレス鋼板が、C:0.030質量%以下、N:0.030質量%以下を含有し、CとNの合計含有量が0.050質量%以下であり、かつSi:0.60質量%以下、Mn:0.50質量%以下、P:0.040質量%以下、S:0.010質量%以下、Cr:20.5〜22.5質量%、Cu:0.001〜1.00質量%、Ni:1.00質量%以下、Al:0.10質量%以下を含有し、さらにNb:0.10〜1.00質量%およびTi:0.10〜1.00%の中から選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1または2に記載のステンレス鋼溶接継手の溶接金属。
  4. 前記フェライト系ステンレス鋼板が、さらにV:0.01〜0.5質量%、W:0.01〜5質量%およびB:0.0002〜0.0030質量%の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載のステンレス鋼溶接継手の溶接金属。
  5. フェライト系ステンレス鋼板とオーステナイト系ステンレス鋼板とを溶接して得るステンレス鋼溶接継手の溶接金属の形成方法において、C:0.030質量%以下、N:0.030質量%以下を含有し、CとNの合計含有量が0.050質量%以下であり、かつSi:0.60質量%以下、Mn:0.50質量%以下、P:0.040質量%以下、S:0.010質量%以下、Cr:20.5〜22.5質量%、Cu:0.001〜1.00質量%、Ni:1.00質量%以下、Al:0.10質量%以下を含有し、さらにNb:0.10〜1.00質量%およびTi:0.10〜1.00質量%の中から選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板を使用し、溶接して得た溶接金属の温度が1000℃から600℃までの範囲を冷却速度10℃/秒以上で冷却することを特徴とするステンレス鋼溶接継手の溶接金属の形成方法。
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