JP6610792B2 - フェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents
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Description
また、本発明において、「SUS304と突合せ溶接を行った場合の溶接ビード部の耐食性をより向上させることができる」とは、板厚が1.0mmの場合に、SUS304の溶込率が10%以上30%未満、30%以上50%未満、50%以上70%未満、70%以上90%未満の4条件で、同じ板厚(板厚1.0mm)のSUS304との突合せ溶接(TIG溶接で、条件は溶接電流70A、溶接電圧11V、溶接速度40cm/min、シールドガス:アルゴン、トーチ側は15L/min、裏面側は10L/minとする。)を行い、12サイクルの上記腐食試験を行った結果、いずれの溶け込み率においても溶接ビード部に占める銹面積率が5%以下であることを指す。
C含有量を0.020%以下とし、かつ、N含有量を0.020%以下とし、かつ、Cr含有量を20.0%以上23.0%以下とし、かつ、Ni含有量を1.60%以上3.00%以下とし、かつ、Nb含有量を0.40%以上1.00%以下とすることで、耐食性に優れるとともに、SUS304と突合せ溶接を行った場合の溶接ビード部の耐食性をより向上させることができることを知見した。
フェライト系ステンレス鋼板とSUS304を、SUS304の溶込率が低い条件で溶接した場合には、溶接ビード部はフェライト単相組織となる。この状態においては、フェライト系ステンレス鋼板中に十分量のNbを含有させ、さらにフェライト系ステンレス鋼板中のCやNの量を十分に低減することで、溶接ビード部に含まれるCおよびNがNb炭窒化物として析出する。これにより、溶接ビード部中において、Cr炭窒化物の生成が抑制されて、鋭敏化が抑制される。
一方、フェライト系ステンレス鋼板とSUS304を、SUS304の溶込率が高い条件で溶接した場合には、溶接ビード部はオーステナイト単相組織となる。この状態においては、溶接ビード部に含まれるCおよびNは鋼中に固溶する。これにより、溶接ビード部中において、Cr炭窒化物の生成が抑制されて、鋭敏化が抑制される。なお、上述したCおよびNが鋼中へ固溶するのは、フェライト相と比較して、オーステナイト相には、CやNが多く固溶するためである。
[1]質量%で、C:0.020%以下、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.05〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Al:0.001〜0.150%、Cr:20.0〜23.0%、Ni:1.60〜3.00%、Nb:0.40〜1.00%、およびN:0.020%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する、フェライト系ステンレス鋼板。
[2]さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.80%、Co:0.01〜0.50%、Mo:0.01〜1.00%、およびW:0.01〜0.50%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、前記[1]に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
[3]さらに、質量%で、Ti:0.01〜0.80%、V:0.01〜0.80%、およびZr:0.01〜0.80%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、前記[1]または[2]に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
[4]さらに、質量%で、B:0.0003〜0.0030%、Mg:0.0005〜0.0100%、Ca:0.0003〜0.0030%、Y:0.001〜0.20%、およびREM(希土類金属):0.001〜0.10%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼板。
[5]さらに、質量%で、Sn:0.001〜0.50%、およびSb:0.001〜0.50%のうちから選ばれた1種または2種を含有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼板。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、質量%で、C:0.020%以下、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.05〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Al:0.001〜0.150%、Cr:20.0〜23.0%、Ni:1.60〜3.00%、Nb:0.40〜1.00%、およびN:0.020%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、耐食性に優れ、かつ、SUS304と突合せ溶接を行った場合の溶接ビード部の耐食性をより向上させることができる。
Cは、鋼の強度を高めるのに有効な元素である。その効果はC含有量を0.003%以上にすることで得られるため、C含有量は0.003%以上が好ましい。しかし、C含有量が0.020%を超えると、耐食性および加工性が著しく低下するとともに、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部で鋭敏化が起こる。よって、C含有量は0.020%以下とする。C含有量は、より好ましくは0.004%以上であり、さらに好ましくは0.005%以上である。また、C含有量は、好ましくは0.016%以下であり、より好ましくは0.012%以下である。
Siは、溶接部の耐食性を高めるのに有効なだけでなく、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部に生成するオーステナイト相中にCを濃縮させ鋭敏化を抑制する効果がある。しかし、Si含有量が1.00%を超えると、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部でのオーステナイト相の生成が抑制されて鋭敏化が起こりやすくなる。よって、Si含有量は0.05〜1.00%とする。Si含有量は、より好ましくは0.08%以上である。また、Si含有量は、好ましくは0.50%以下であり、より好ましくは0.18%以下である。
Mnには、脱酸作用がある。この効果は、Mn含有量を0.05%以上にすることで得られる。また、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部でのオーステナイト相の生成を促進させて鋭敏化を抑制する効果がある。一方、Mn含有量が1.00%を超えると、MnSの析出および粗大化を促して耐食性の低下が起こる。よって、Mn含有量は0.05〜1.00%とする。Mn含有量は、好ましくは0.10%以上であり、より好ましくは0.15%以上である。また、Mn含有量は、好ましくは0.30%未満であり、より好ましくは0.25%以下である。
Pは耐食性を低下させる元素である。また、Pは結晶粒界に偏析することで熱間加工性を低下させる。そのため、P含有量は可能な限り少ないほうが望ましく、0.040%以下とする。好ましくは、P含有量は0.030%以下である。
SはMnと析出物MnSを形成する。このMnSは腐食の起点となり、耐食性の低下が起こる。よって、S含有量は少ないほうが望ましく、0.030%以下とする。好ましくは、S含有量は0.020%以下である。
Alは、脱酸のために有効な元素である。この効果は、Al含有量を0.001%以上にすることで得られる。一方、Al含有量が0.150%を超えると、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部でオーステナイト相の生成を抑制して鋭敏化を起こしやすくなる。よって、Al含有量は0.001〜0.150%とする。Al含有量は、好ましくは0.005%以上であり、より好ましくは0.010%以上である。また、Al含有量は、好ましくは0.100%以下であり、より好ましくは0.050%以下である。
Crは、表面に不働態皮膜を形成して耐食性を高める元素である。Cr含有量が20.0%未満では、十分な耐食性が得られない。一方、Crはオーステナイト相の生成を抑制するため、Cr含有量が23.0%を超えると、SUS304との溶接を行った場合、鋭敏化が起こりやすくなる。よって、Cr含有量は20.0〜23.0%とする。Cr含有量は、好ましくは20.5%以上であり、より好ましくは21.0%以上である。また、Cr含有量は、好ましくは22.5%以下であり、より好ましくは22.0%以下である。
Niは、SUS304と溶接を行った場合に、鋭敏化を抑制する効果を有する。これは、Niが溶接ビード部中のオーステナイト相の生成を促進することによる。生成したオーステナイト相中には、CやNが多く固溶する。このため、オーステナイト相の生成促進により、フェライト相中のCやNの析出が抑制され、鋭敏化が抑制される。この効果は、Ni含有量を1.60%以上とすることで得られる。一方、Ni含有量が3.00%を超えると、鋼が硬質化し、加工性が低下する。さらに、鋼板の組織中に微量のオーステナイト相が生成し、そのオーステナイト相中のCr量が低下して耐食性が低下する。よって、Ni含有量は1.60〜3.00%とする。Ni含有量は、好ましくは1.70%以上であり、より好ましくは1.80%以上である。また、Ni含有量は、好ましくは2.60%以下であり、より好ましくは2.40%以下である。
Nbは、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部においてC、Nを固定し、Cr炭窒化物による鋭敏化を防ぐ元素である。その効果は、Nb含有量を0.40%以上とすることで得られる。一方、Nb含有量が1.00%超となると、Nb炭窒化物が過度に析出し、これが腐食の起点となることで、鋼自体の耐食性を低下させる。さらに、SUS304と溶接を行った場合に、鋭敏化が発生しやすくなる。これは、溶接ビード部中において、Nbがオーステナイト相の生成を抑制することによる。よって、Nb含有量は0.40〜1.00%とする。Nb含有量は、好ましくは0.50%以上であり、より好ましくは0.60%以上である。また、Nb含有量は、好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.75%以下である。
Nは、鋼中に不可避的に混入する元素である。しかし、N含有量が0.020%を超えると、耐食性および加工性が著しく低下するとともに、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部の鋭敏化が起こる。よって、N含有量は0.020%以下とする。好ましくは、N含有量は0.016%以下である。より好ましくは、N含有量は0.012%以下である。
Cuは不働態皮膜を強化し、耐食性を向上させる元素である。一方、過剰にCuを含有するとε−Cuが析出しやすくなり、耐食性が低下する。そのため、Cuを含有する場合は、Cu含有量を0.01〜0.80%とすることが好ましい。Cu含有量は、より好ましくは0.30%以上であり、さらに好ましくは0.40%以上である。また、Cu含有量は、より好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.45%以下である。
Coは、ステンレス鋼の耐隙間腐食性を向上させる元素である。一方、過剰にCoを含有すると溶接部の加工性が低下する。そのため、Coを含有する場合は、Co含有量は0.01〜0.50%とすることが好ましい。Co含有量は、より好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.05%以上である。また、Co含有量は、より好ましくは0.30%以下であり、さらに好ましくは0.10%以下である。
Moには、ステンレス鋼の耐隙間腐食性を向上させる効果がある。一方、過剰にMoを含有すると、SUS304との溶接を行った場合、溶接ビード部でオーステナイト相の生成を抑制されて鋭敏化が起こりやすくなる。そのため、Moを含有する場合は、Mo含有量を0.01〜1.00%とすることが好ましい。Mo含有量は、より好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.05%以上である。また、Mo含有量は、より好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.30%以下である。
Wは、ステンレス鋼の耐隙間腐食性を向上させる元素である。一方、過剰にWを含有すると、溶接部の加工性が低下する。そのため、Wを含有する場合は、W含有量を0.01〜0.50%とすることが好ましい。W含有量は、より好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.05%以上である。また、W含有量は、より好ましくは0.30%以下であり、さらに好ましくは0.10%以下である。
Tiは、Nbと同様に、C、Nを固定し、鋭敏化を防ぐ元素である。一方、過剰にTiを含有すると溶接ビードに酸化物が生成して溶接性が低下する。そのため、Tiを含有する場合は、Ti含有量を0.01〜0.80%とすることが好ましい。Ti含有量は、より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上である。また、Ti含有量は、より好ましくは0.10%以下であり、さらに好ましくは0.05%以下である。
Vは、Nbと同様に、C、Nを固定し、鋭敏化を防ぐ元素である。一方、過剰にVを含有すると溶接高温割れが生じ、また、溶接部の靱性が低下する。そのため、Vを含有する場合は、V含有量を0.01〜0.80%とすることが好ましい。V含有量は、より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上である。また、V含有量は、より好ましくは0.10%以下であり、さらに好ましくは0.05%以下である。
Zrは、Nbと同様に、C、Nを固定し、鋭敏化を防ぐ元素である。一方、過剰にZrを含有すると溶接ビード部に酸化物が生成して溶接性が低下する。そのため、Zrを含有する場合は、Zr含有量を0.01〜0.80%とすることが好ましい。Zr含有量は、より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上である。また、Zr含有量は、より好ましくは0.10%以下であり、さらに好ましくは0.05%以下である。
Bには、溶接部の強度を向上させる効果がある。一方、過剰にBを含有すると溶接部の靱性が低下する。そのため、Bを含有する場合は、B含有量を0.0003〜0.0030%とすることが好ましい。B含有量は、より好ましくは0.0010%以上である。また、B含有量は、より好ましくは0.0025%以下である。
Mgは、溶鋼中でAlとともにMg酸化物を形成し脱酸剤として作用する。一方、過剰にMgを含有すると溶接ビード部に酸化物が生成して溶接性が低下する。そのため、Mgを含有する場合は、Mg含有量を0.0005〜0.0100%とすることが好ましい。Mg含有量は、より好ましくは0.0010%以上である。また、Mg含有量は、より好ましくは0.0050%以下であり、さらに好ましくは0.0030%以下である。
Caは、溶鋼中で酸化物を形成し脱酸剤として作用する。しかし、過剰にCaを含有すると溶接ビード部に酸化物が生成して溶接性が低下する。そのため、Caを含有する場合は、Ca含有量を0.0003〜0.0030%とすることが好ましい。Ca含有量は、より好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.0007%以上である。また、Ca含有量は、より好ましくは0.0025%以下であり、さらに好ましくは0.0015%以下である。
Yは、溶鋼の粘度減少を減少させ、清浄度を向上させる元素である。一方、過剰にYを含有すると、溶接部の加工性が低下する。そのため、Yを含有する場合は、Y含有量を0.001〜0.20%とすることが好ましい。Y含有量は、より好ましくは0.10%以下である。
REM(希土類金属:La、Ce、Ndなどの原子番号57〜71の元素)は、溶鋼の粘度を減少させ、清浄度を向上させる元素である。一方、REMを過剰に含有すると、溶接部の加工性が低下する。そのため、REMを含有する場合は、REM含有量を0.001〜0.10%とすることが好ましい。REM含有量は、より好ましくは0.005%以上である。また、REM含有量は、より好ましくは0.05%以下である。
Snは、圧延時における変形帯生成の促進による加工肌荒れ抑制に効果的である。一方、過剰にSnを含有すると、溶接部の加工性が低下する。そのため、Snを含有する場合は、Sn含有量を0.001〜0.50%とすることが好ましい。Sn含有量は、より好ましくは0.003%以上である。また、Sn含有量は、より好ましくは0.20%以下である。
Sbは、Snと同様に、圧延時における変形帯生成の促進による加工肌荒れ抑制に効果的である。一方、過剰にSbを含有すると、溶接部の加工性が低下する。そのため、Sbを含有する場合は、Sb含有量を0.001〜0.50%とすることが好ましい。Sb含有量は、より好ましくは0.003%以上である。また、Sb含有量は、より好ましくは0.20%以下である。
また、本発明の鋼板は、上記のような冷延板製品のみに限らず、熱延板製品としても有効である。
試験No.54はSUS304相当鋼である。試験No.54のSUS304相当鋼の冷延焼鈍酸洗板は、熱延板の焼鈍を1150℃で5分、酸洗後の焼鈍酸洗板の焼鈍を1050℃で1分としたこと以外は、上記と同様にして製造した。
以上の製造条件で得られた試験No.1〜53、55、56のフェライト系ステンレス鋼冷延焼鈍酸洗板を、せん断加工により長さ80mm×幅60mmに切出した。切り出し後、600番のエメリー研磨紙で長さ方向に研磨目が入るように研磨し、アセトンによる脱脂を行った。得られた鋼板の端部および裏面をシールし、幅方向を横にして、傾き:60°でサイクル腐食試験機に配置した。腐食試験機中では、7.0質量%NaCl水溶液の噴霧(2時間、35℃、98%RH)、乾燥(4時間、60℃、30%RH)、湿潤(2時間、40℃、95%RH)を1サイクルとして、50サイクルの腐食試験を行った。試験後、試験片を写真撮影し、試験片中心部50mm×50mmの領域について、画像解析にて銹面積率を測定した。銹面積率が10%以下であったものを「○」(合格:優れている)、10%超20%以下であったものを「□」(合格)、20%超であったものを「▲」(不合格)と評価した。
また、得られた上記試験No.1〜53、55、56のフェライト系ステンレス鋼冷延焼鈍酸洗板を35mm×400mmに切り出し、端面を平滑に加工して溶接用材料とした。得られた溶接用材料について、試験No.54から作製した溶接用材料(以下SUS304板と称する)とのI字開先のTIG溶接を実施し、溶接材を作製した。TIG溶接条件は、溶接電流70A、溶接電圧11V、溶接速度40cm/minとした。また、シールドガスにはアルゴンを用い、トーチ側は15L/min、裏面側は10L/minとした。
溶接材の作製にあたっては、トーチ位置を、突合せ部直上からSUS304板側にずらしてSUS304の溶接ビード部への溶込率を増やしたり、もう一方の材料側にずらしてSUS304の溶接ビード部への溶込率を減らしたりして、その溶込率を、10%以上30%未満(条件1)、30%以上50%未満(条件2)、50%以上70%未満(条件3)、70%以上90%未満(条件4)の4条件に調整した。なお、トーチはI字開先の突合せ部と平行に移動するので、そのずらした量は溶接始端部から終端部まで同一である。本実験では、その量はSUS304板側に1.2〜−0.2mmであった。
溶接材については、その溶接ビード部中のSUS304板側の溶込率が上記の4条件となっていることを確認するため、以下のように分析を実施した。
まず、溶接材のうち、後述する溶接部の耐食性評価試験を実施する領域に接する溶接部(溶接ビード部の前側および後側)について、それら溶接部のうち、ビード部(溶融金属部)のみをそれぞれ「ビード幅×100mm」に切り出した。得られた2本のビード部について、スケールを研磨して除去してから湿式分析により成分分析を行い、Ni含有量を測定した。2本のビード部のNi含有量を平均し、「溶接ビード部に含まれるNi含有量(下記C)」とした。そして、試験対象鋼のNi含有量をA、SUS304板のNi含有量をB、溶接ビード部に含まれるNi含有量をC、SUS304板の溶接用材料の溶込率をDとして、「D={(C−A)/(B−A)}×100」よりSUS304板の溶接用材料の溶込率(D)を得た。なお、Dの単位は%である。
特に、Cr含有量が21.0%以上であると共に、Ni含有量が1.80%以上である本発明鋼は耐食性の評価が「○」であった。
試験No.46の比較例は、Crの含有量が本発明の成分範囲よりも低いため、耐食性が劣っていた。
試験No.47の比較例は、Crの含有量が本発明の成分範囲よりも高いため、SUS304との溶接部耐食性が劣っていた。
試験No.48の比較例は、Niの含有量が本発明の成分範囲よりも低いため、SUS304との溶接部耐食性が劣っていた。
試験No.49の比較例は、Niの含有量が本発明の成分範囲よりも高いため、耐食性が劣っていた。
試験No.50の比較例は、Nbの含有量が本発明の成分範囲よりも低いため、SUS304との溶接部耐食性が劣っていた。
試験No.51の比較例は、Nbの含有量が本発明の成分範囲よりも高いため、耐食性が劣っているとともに、SUS304との溶接部耐食性が劣っていた。
試験No.52、53の比較例は、それぞれCとNとの含有量が本発明の成分範囲よりも高いため、耐食性が劣っているとともに、SUS304との溶接部耐食性が劣っていた。
Claims (5)
- SUS304との突合せ溶接に用いるフェライト系ステンレス鋼板であって、
質量%で、
C:0.020%以下、
Si:0.05〜1.00%、
Mn:0.05〜1.00%、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Al:0.001〜0.150%、
Cr:20.0〜23.0%、
Ni:1.60〜3.00%、
Nb:0.40〜1.00%、および
N:0.020%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する、フェライト系ステンレス鋼板。 - さらに、質量%で、
Cu:0.01〜0.80%、
Co:0.01〜0.50%、
Mo:0.01〜1.00%、および
W:0.01〜0.50%
のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼板。 - さらに、質量%で、
Ti:0.01〜0.80%、
V:0.01〜0.80%、および
Zr:0.01〜0.80%
のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼板。 - さらに、質量%で、
B:0.0003〜0.0030%、
Mg:0.0005〜0.0100%、
Ca:0.0003〜0.0030%、
Y:0.001〜0.20%、および
REM(希土類金属):0.001〜0.10%
のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼板。 - さらに、質量%で、
Sn:0.001〜0.50%、および
Sb:0.001〜0.50%
のうちから選ばれた1種または2種を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼板。
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