JP3933020B2 - すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性及び靱性に優れたステンレス鋼 - Google Patents

すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性及び靱性に優れたステンレス鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、構造用ステンレス鋼に施したすみ肉溶接継手における、疲労強度および靱性を顕著に改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鉄道車両や自動車などの車両を構成する部品は、すみ肉溶接継手を介して取付けられ、また、この種車両は振動を伴う環境下で使用されることが不可避であるために、すみ肉溶接継手は繰り返し曲げ応力を受け易くなる結果、すみ肉溶接継手に疲労破壊が生じることが多い。
【0003】
このすみ肉溶接継手は、主にガスシールドアーク溶接で形成される。そして、すみ肉溶接継手の疲労破壊は、応力集中部となる溶接止端部の形状が原因で起こる場合が多く、その対策には、溶接止端部の形状改善による応力集中の低減が有効であることが知られている。例えば、特許文献1には、高張力鋼板の溶接において、溶接ワイヤおよび溶接方法を改良し、溶接止端部の曲率半径を大きくすることにより、すみ肉溶接継手の疲労特性を向上させる方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−25080号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、高張力鋼板の溶接に関するものであり、溶接性の点からY308やY309などのオーステナイト系ステンレス鋼製ワイヤを用いるステンレス鋼の溶接には使用できない。すなわち、ステンレス鋼における、すみ肉溶接継手の疲労特性および靭性を改善する技術については、未だ有効な策が無いのが現状である。
【0006】
そこで、この発明の目的は、すみ肉溶接継手の形成手法を変更することなしに、すみ肉溶接継手を施すステンレス鋼自体の鋼成分を適正化することにより、すみ肉溶接継手の疲労特性および靭性を顕著に改善することが可能になる、ステンレス鋼を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の目的を達成すべく、ステンレス鋼の成分について、すみ肉継手の疲労特性に及ぼす影響を詳細に調査した結果、まずCr、Si、Mn、Ni、CおよびNなどの含有量を制御して、溶接熱影響部に50体積%以上のマルテンサイト組織を確保し、さらにN、TiおよびAlを適正範囲に制御して、溶接熱影響部の粒径を微細にすることが、溶接部の強度および靭性を向上し、かつ溶接止端部の形状を改善し、すみ肉溶接継手の疲労特性を顕著に向上するのに有効であることを、新たに見出した。
【0008】
なお、溶接される鋼(母材)の成分を適正範囲に制御することにより溶接止端部の形状が改善される理由は、未だ明確になっていないが、N含有量および窒化物を形成しやすいTiおよびAlの含有量を制御することにより、低温から高温までの広い温度範囲で安定なTiNが形成され、溶接溶融部の高温物性(溶接金属と母材との濡れ性や粘性など)が変化するためであろうことが推定される。
【0009】
この発明は、上記の知見に基づいて完成したものであり、その要旨構成は次の通りである。
(i)C:0.03質量%未満、Si:1.0質量%以下、Mn:0.5質量%超え2.5質量%以下、Cr:11〜15質量%、Ni:0.6質量%超え3.0質量%未満、Mo:2質量%以下、Cu:2質量%以下、Al:0.05質量%以下、N:0.012質量%超え0.050質量%以下およびTi:0.005〜0.100質量%を、下記式(1)および(2)を満足する範囲にて含有し、かつP:0.04質量%以下およびS:0.01質量%以下に抑制し、残部 Feおよび不可避的不純物の成分組成になることを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。

[Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]−0.4×[Mn]−0.7×[Ni]−0.6×[Cu]
−35× C]−10×[N]≦12.0 ----(1)
[N]≧(14/48)×[Ti]+(14/27)×[Al] ----(2)
ここで、[Cr]、[Si]、[Mo]、[Mn]、[Ni]、[Cu]、[C]、[N]、[Ti]および[Al]は、それぞれCr、Si、Mo、Mn、Ni、Cu、C、N、TiおよびAlの含有量(質量%)
【0010】
(ii)上記(i)において、成分組成がさらにCo:0.3質量%以下、Nb:0.2質量%以下、V:0.2質量%以下、Zr:0.2質量%以下およびTa:0.2質量%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。
【0011】
(iii)上記(i)または(ii)において、成分組成がさらにB:0.005質量%以下およびCa:0.005質量%以下の1種または2種を含有することを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。
【0012】
(iv)上記(i)ないしは(iii)のいずれかにおいて、成分組成がさらにW:0.1質量%以下およびMg:0.01質量%以下の1種または2種を含有することを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のステンレス鋼(以下、「本発明の鋼」という)について詳細に説明する。
C:0.03質量%未満
本発明の鋼において、Cは、溶接部の靭性を低下させ、また溶接割れ感受性を高める元素であり、特に含有量が0.03質量%以上になると、その悪影響が顕著となるため、0.03質量%未満に限定する。特に、溶接部の靭性の観点から、0.015質量%以下とすることが望ましい。
【0014】
Si:1.0質量%以下
Siは、脱酸剤として必要な元素であるとともに、鋼の強度を高める元素であり、好ましくは0.005質量%以上で含有させる。しかしながら、1.0質量%を超えると、鋼を顕著に脆化させ、溶接部の靭性をも低下させることから、1.0質量%以下に限定する。
【0015】
Mn:0.5質量%超え2.5質量%以下
Mnは、鋼の強度を高める元素であるとともに、高温域(およそ1000〜1100℃)でのオーステナイト相の生成を促進し、溶接熱影響部に微細なマルテンサイト組織を50体積%以上形成させることにより、構造用ステンレス鋼に要求される溶接部の靱性を向上させる。そのためには、0.5質量%を超えて含有させる。しかしながら、Mnを過剰に添加すると、鋼の靭性および耐食性を低下させることから、2.5質量%以下に限定する。耐食性を確保する観点からは、1.0質量%以下の範囲で添加することが望ましい。
【0016】
Cr:11〜15質量%
Crは、ステンレス鋼の特徴である耐食性の向上に有効な元素成分であり、十分な耐食性を得るためには11質量%以上が必要である。耐食性の観点からは、Crを12質量%以上、さらには13質量%を超えて添加することが好ましい。一方、Crは鋼の靭性を低下させ、特に15質量%を超えて含有すると、靭性の低下が著しくなるため、15質量%以下に限定する。靭性の観点から、Crは14質量%以下とすることが望ましい。
【0017】
Ni:0.6質量%超え3.0質量%未満
Niは、ステンレス鋼の特徴である耐食性を向上させ、また、高温域(およそ1000〜1100℃)でのオーステナイト相生成を促進し、溶接熱影響部に微細なマルテンサイト組織を形成させて、構造用ステンレス鋼に要求される溶接部の靱性を向上させるため、0.6質量%を超えて添加する。しかしながら、3.0質量%以上を添加しても効果が飽和し、素材コストの上昇をまねくだけであるため、3.0質量%未満に限定する。コストの上昇を抑えるためには、1.0〜2.0質量%とすることが望ましい。
【0018】
Mo:2質量%以下
Moは、耐食性の向上に有効な元素成分であり、この耐食性改善効果を得るためには、0.6質量%を超えて含有することが好ましい。一方、2質量%を超えて含有すると、上記効果が飽和するばかりでなく、鋼が硬化し曲げなどの加工性が低下するため、2質量%以下に限定する。
【0019】
Cu:2質量%以下
Cuは、Moと同様に耐食性の向上に有効な元素成分であり、この耐食性改善効果を得るためには、0.3質量以上で含有することが好ましい。一方、2質量%を超えて含有すると、効果が飽和するばかりでなく、鋼が硬化して曲げなどの加工性が低下するため、2質量%以下に限定する。
【0020】
N:0.012質量を超え0.050質量%以下
Nは、この発明において特に重要な添加元素である。すなわち、鋼中に固溶状態のNを確保することにより、すみ肉溶接継手の疲労強度が顕著に向上する。この疲労特性の観点からは、0.012質量を超えて添加させる。一方でNは、Cと同様に溶接部の靱性を低下させ、また溶接割れ感受性を高める元素であり、含有量が0.050質量%を超えると、その悪影響が顕著となることから、0.050質量%以下に限定する。特に、溶接割れ防止の観点から、上限は0.030質量%とすることが望ましい。
【0021】
Al:0.05質量%以下
Alは、製鋼上脱酸剤として必要であるが、過度の添加は、介在物の生成により耐食性および靭性が低下するため、0.05質量%以下に限定する。溶接部の靭性確保の観点からは、0.03質量%以下とすることが好ましい。なお、Alを脱酸剤として用いる場合は、0.01質量%を下限とすることが好ましい。
【0022】
Ti:0.005〜0.100質量%
Tiは、Nを強力に固定する元素であり、その窒化物は高温まで安定であるために、溶接熱影響部の結晶粒の粗大化を防止し、溶接部の靱性を改善するために有効な元素である。その効果は0.005質量%以上の添加により発揮されるため、0.005質量%以上に限定する。より好ましくは、0.015質量%以上で添加する。一方、0.100質量%を超えると、TiNの析出量が過剰になり、鋼中の固溶N量を確保することが困難になり、溶接部の疲労強度が低下するため、0.100質量%以下に限定する。
【0023】
また、本発明の鋼では、鋼中にAlおよびTiが存在すると、Nと結合し窒化物となり、上記した固溶状態のNが減少し、すみ肉溶接継手の疲労強度が低下する。そこで、固溶状態のNを確保するため、上記した式(2)、すなわち
[N]≧(14/48)×[Ti]+(14/27)×[Al]
を満たすように、N、TiおよびAlの添加量を調整することが必須である。
【0024】
さらに、本発明の鋼では、上記した式(1)、すなわち下式を満たすことを必須とする。
[Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]−0.4×[Mn]−0.7×[Ni]−0.6×[Cu]−35×[C]−10×[N]≦12.0
この式において、Cr、SiおよびMoは、いわゆるフェライト生成元素であり、溶接熱影響部に微細なマルテンサイト組織を存在させる、構造用ステンレス鋼において高温域(およそ1000〜1100℃)でのオーステナイト相を生じにくくする。一方、Mn、Ni、Cu、CおよびNはオーステナイト生成元素であり、高温域でのオーステナイト相を生じやすくする。すなわち、この不等式の左辺の値が大きいほど、高温でのオーステナイト相が生じにくくなることを意味する。
【0025】
そして、発明者らが詳細に調査した結果、溶接熱影響部の靭性を向上させるには、入熱による溶接熱影響部の結晶粒の粗大化を防止し、微細化することが重要であり、上式の左辺の値が12.0以下であれば、高温でのオーステナイト相から冷却される際のマルテンサイト相への変態により、溶接熱影響部に微細なマルテンサイト組織が50体積%以上生じるために、溶接熱影響部の靭性が顕著に向上する。一方、上式の左辺の値が12.0を超える場合には、フェライト単相あるいは高温で極少量のオーステナイト相しか生じないため、溶接熱影響部でフェライト粒が粗大化し、靭性が極度に低下する。
以上の知見により、上式の左辺の値を12.0以下に規制することとした。
【0026】
また、本発明の鋼では、PおよびSの量を抑制する必要がある。
P:0.04質量%以下
Pは、熱間加工性を低下させる元素であり、出来る限り低く抑えることが望ましいため、0.04質量%以下に限定する。熱間加工性の観点からは、含有量を0.02質量%以下にすることが望ましい。なお、あまりに低く抑制すると、製鋼工程における脱P処理にかかるコストの上昇を招くことになる。
【0027】
S:0.01質量%以下
Sは、Pと同様に、含有量が高いと熱間加工性を低下することになるため、0.01質量%以下に限定する。熱間加工性の観点からは、含有量を0.003質量%以下にすることが望ましい。なお、あまりに低く抑制すると、製鋼の脱S処理にかかるコストの上昇を招く
【0028】
この発明では、さらに次の元素を含有しても良い。
Co:0.3質量%以下、Nb:0.2質量%以下、V:0.2質量%以下、Zr:0.2質量%以下および Ta:0.2質量%以下の1種または2種以上
Co、Nb、V、ZrおよびTaは、鋼の強度を高くする元素であり、疲労特性の向上に寄与する。しかしながら、Coで0.3質量%を超えておよび、それ以外の元素で0.2質量%を超えて添加すると過度に硬化し、靭性が低下するため、Coで0.3質量%以下および、それ以外の元素で0.2質量%以下の添加が望ましい。なお、Co、Nb、V、ZrおよびTaは、微量の添加で有効であるから、特に下限を設ける必要はない。
【0029】
B:0.005質量%以下およびCa:0.005質量%以下の1種または2種
BおよびCaは、微量の添加で鋼の強度を高くする効果がある。しかしながら、0.005質量%を超えて添加しても効果が飽和するばかりでなく、耐食性を低下させるため、0.005質量%以下の添加が望ましい。なお、BおよびCaは、微量の添加で有効であるから、特に下限を設ける必要はない。
【0030】
W:0.1質量%以下およびMg:0.01質量%以下の1種または2種
WおよびMgは、鋼の強度を高くする効果があり、疲労特性の向上に有効な元素成分である。しかしながら、WおよびMgは、それぞれ0.1質量%および0.01質量%を超えて含有すると、靭性を低下させるため、それぞれ0.1質量%以下および0.01質量%以下の添加が望ましい。なお、WおよびMgは、微量の添加で有効であるから、特に下限を設ける必要はない。
【0031】
本発明の鋼は、上記成分以外 Feおよび不可避的不純物からなる。ここで Feおよび不可避的不純物からなるとは、残部にFe以外にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素および遷移金属などが少量含有されることを意味する。これらの元素の少量の含有は、この発明の効果を何ら妨げるものではない。
【0032】
なお、本発明の鋼を製造する方法は、特に限定されず、ステンレス鋼の製造に一般的に採用されている方法をそのまま適用することができる。
例えば、製鋼は、前記必須成分および必要に応じて添加される成分に従う組成の下、転炉あるいは電気炉等で溶製し、VOD(Vacuun Oxygen Decarburization)あるいはAOD(Argon Oxygen Decarburization)により2次精錬を行う方法が好適である。次いで、溶製した溶鋼は、公知の鋳造方法にしたがって鋼素材とすることができるが、生産性および品質の観点から、連続鋳造法を適用するのが好ましい。連続鋳造して得られた鋼素材は、1000〜1250℃に加熱され、熱間圧延により所望の板厚の熱延板とされる。この熱延板は、必要に応じて、好ましくは600〜900℃のバッチ式焼鈍を施した後、酸洗等により脱スケ−ルされて製品となる。また、用途によっては、冷間圧延し、600〜900℃の連続焼鈍後に酸洗を施して、冷延焼鈍板とする、冷延薄板製品とすることも可能である。
【0033】
本発明の鋼を使用して、すみ肉溶接継手を形成する場合、その溶接方法は、MIG溶接、MAG溶接、TIG溶接等のガスシールドアーク溶接方法がすべて適用可能である。本発明の鋼は、CおよびNを低減し、溶接割れを防止しているため、溶接後の後熱処理が不要で、溶接ままでも構造材として十分使用可能であるが、強度の調整などのために、後熱処理を行っても良い。
【0034】
【実施例】
表1に示す化学成分を有する50kg鋼塊を高周波真空溶解炉で溶製し、通常の熱間圧延により厚さ3mmの熱延板とした。その後、アルゴン雰囲気中で、700℃×10時間保持の後徐冷による焼鈍を行った後、酸洗で脱スケ−ルし、供試材とした。
【0035】
かくして得られた供試材を用い、MIG溶接(Y308ワイヤ,電流:100A、電圧:15V、溶接速度:6mm/s、シールドガス:100%Arを20リットル/分)で重ねすみ肉(両側)溶接継手を作製した。作製した溶接継手の疲労特性を評価するため、JIS Z 2275に準拠した曲げ疲労試験を行った。試験片形状は図1に示すように、すみ肉溶接継手で最も特性の劣る溶接止端部Eに疲労負荷のかかるものとし、両振り繰り返し曲げにより、107疲労限(107回曲げを繰り返しても割れない曲げ応力の最大値)を測定した。
【0036】
また、溶接熱影響部の靭性を調べるために、MIG溶接(Y308ワイヤ,電流:150A、電圧:20V、溶接速度:7mm/s、シールドガス:100%Arを流量20リットル/分、ルートギャップ:1mm)により、突き合わせ溶接継手を作製し、作製した溶接継手の表裏両面を研削し、板厚を2.5mmに仕上げた後、図2に示すように、すみ肉溶接継手の表裏両面を研削し、板厚を2.5mmに仕上げた後、図2に示すように、すみ肉溶接継手で最も靱性の劣る溶接熱影響部にノッチ先端が在るようにノッチ加工し、JIS Z 2242に準拠したシャルピ−衝撃試験を行い、0℃におけるシャルピー衝撃値を測定した。なお、107疲労限は200MPa以上、0℃のシャルピー衝撃値は50J/cm2以上であれば、十分車両構造材として用いることができる。
以上の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003933020
【0038】
表1から明らかなごとく、本発明の鋼は、溶接継手の疲労強度、および溶接熱影響部の靭性にいずれも優れることが分かる。比較鋼はそのいずれかが、発明例に比べて劣っている。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の鋼は、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れているため、製品使用中のすみ肉溶接部での疲労破壊を防止することが可能となるため、例えば鉄道や自動車などの車両構造部品に適した素材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 すみ肉溶接部疲労試験片の形状を示す図である。
【図2】 シャルピ−衝撃試験片の形状を示す図である。

Claims (4)

  1. C:0.03質量%未満、
    Si:1.0質量%以下、
    Mn:0.5質量%超え2.5質量%以下、
    Cr:11〜15質量%、
    Ni:0.6質量%超え3.0質量%未満、
    Mo:2質量%以下、
    Cu:2質量%以下、
    Al:0.05質量%以下、
    N:0.012質量%超え0.050質量%以下および
    Ti:0.005〜0.100質量%
    を、下記式(1)および(2)を満足する範囲にて含有し、かつ
    P:0.04質量%以下および
    S:0.01質量%以下
    に抑制し、残部 Feおよび不可避的不純物の成分組成になることを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。

    [Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]−0.4×[Mn]−0.7×[Ni]−0.6×[Cu]
    −35×[C]−10×[N]≦12.0 ----(1)
    [N]≧(14/48)×[Ti]+(14/27)×[Al] ----(2)
    ここで、[Cr]、[Si]、[Mo]、[Mn]、[Ni]、[Cu]、[C]、[N]、[Ti]および[Al]は、それぞれCr、 Si、Mo、Mn、Ni、Cu、C、N、TiおよびAlの含有量(質量%)
  2. 請求項1において、成分組成がさらに
    Co:0.3質量%以下、
    Nb:0.2質量%以下、
    V:0.2質量%以下、
    Zr:0.2質量%以下および
    Ta:0.2質量%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。
  3. 請求項1または2において、成分組成がさらに
    B:0.005質量%以下および
    Ca:0.005質量%以下
    の1種または2種を含有することを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。
  4. 請求項1ないしは3のいずれかにおいて、成分組成がさらに
    W:0.1質量%以下および
    Mg:0.01質量%以下
    の1種または2種を含有することを特徴とする、すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性および靱性に優れたステンレス鋼。
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