JP5111910B2 - 溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Description

本発明は、溶接部加工性と耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
オーステナイト系ステンレス鋼は一般に耐食性および伸び、張り出し性等の加工性が優れているため、用途は広範囲にわたっている。しかしながら、近年、需要増大・供給不足懸念に起因するNi等の原料高騰が著しく、Niを含まず経済的に有利なフェライト系ステンレス鋼の代替・適用が拡大しており、高耐食性のみならず、高成形性および優れた表面品位も要望されている。
ステンレス鋼の孔食電位や耐候性等の耐食性はCrとMoの含有量によって高めることができ、成分設計によってはSUS304、SUS316以上の耐食性が得られる。更にフェライト系ステンレス鋼は耐応力腐食割れ性も優れるというオーステナイト系ステンレス鋼にはない特長を有しており、より広範囲な用途に、複雑化・多様化した構造物へ使用される機会が増えている。一方で、複雑な形状や溶接部等のすき間構造を有する構造物への適用の場合、すき間腐食が問題となる。その場合、耐すき間腐食性の寄与が大きいMoの添加が不可欠である。さらに溶接部耐食性の向上には特許文献1で示されているように、C,N量の規定、TiやNbなどの安定化元素の添加が提案されている。これはC量やN量を低減し、かつTiおよびNb添加によりCおよびNと炭・窒化物を形成することでCr炭化物の粒界析出を防止し、耐粒界腐食性を高めたものである。
一方、フェライト系ステンレス鋼の加工性は、r値は高いため絞り加工は良好なものの、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼と比べると、伸び、張り出し性が劣る。特に、溶接部では結晶粒の粗大化にともなう靭性・延性の低下により、加工性の劣化が顕著である。問題解決のため、特許文献2や特許文献3等に示されているように、TiN析出による凝固組織の微細化、粒界純化による再結晶集合組織の発達を促すTi量の最適化等の技術が提案されている。
またTi量を多量に添加すると、製造時に表面欠陥が多数発生し、圧延時にTi系硬質介在物を起因とする表面疵を生じ、表面品位の劣化をもたらすとともに、これを起点に銹が発生し耐食性も低下するという問題が生じる。加工性悪化の一因としてCr、Mo等の固溶強化が挙げられるが、これらCr量およびMo量を低減すると用途上必要な耐食性を下回る場合もあるため、耐食性を担保し、かつ加工性を向上させる必要がある。
特公昭55-21102号公報 特開2002-12955号公報 特開2002-275590号公報
そこで、本発明では、用途上必要耐食性を担保しつつ、従来の加工性よりも向上したフェライト系ステンレス鋼の開発を検討した。溶接部加工性の向上にはTiの添加とCr,Moの低減により効果が得られるということが知られている。本発明者らは、溶接部加工性の劣化へ及ぼすMo量の寄与を見出し、必要Mo量に応じたTi量の添加最適条件を探ることにより溶接部加工性の向上を可能にした。また、その検討過程で、本発明成分の鋼においては溶接部加工性の劣化に及ぼすCr量の寄与はMo量と比較すると小さく、溶接部のエリクセン値を加工性の指標として数十〜数百分の一の寄与であったため、Crを除くMo量およびTi量の最適バランスの数値化により溶接部加工性の向上を図った。これにより、Mo添加フェライト系ステンレス鋼において、従来よりも加工性を向上することが可能となることを知見し、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼を発明した。
上記課題を解決するため、本発明は、Mo添加フェライト系ステンレス鋼の溶接部加工性と耐食性の指標がMo量とTi量のバランスによって整理されることを見出し、更に安定化元素のTi量とNb量のバランスの最適化を加えたことにより、溶接加工性および耐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
本発明は、その結果に基づくものであり、以下の構成を要旨とする。即ち本発明は、(1)質量%で、
C:0.020%以下、
N:0.025%以下、
Si:0.25%以下、
Mn:0.20%以下、
P:0.035%以下、
S:0.010%以下、
Cr:16〜24%、
Mo:0.50〜2.00%、
Ti:0.05〜0.20%、
Nb:0.05〜0.40%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、下記(A)式および(B)式を満足する組成を有する。
ここに、
21.7≦Cr+3.3Mo≦26 かつ Ti-0.28Mo≧-0.25・・・ (A)
(Ti+Nb)/(C+N)≧16 かつ 0.2≦Ti/(Ti+Nb)≦0.8・・・ (B)
(2)さらに、質量%で、
Ni:2.0%以下、
Cu:1.0%以下、の一種又は二種以上を含むことを特徴とする、(1)に記載の、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
(3)さらに、質量%で、
V:0.2%以下、
Zr:0.2%以下、の一種又は二種以上を含むことを特徴とする、(1)または(2)に記載の、記載の、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
(4)さらに、質量%で、
B:0.005%以下を含有することを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼を提供することできる。本発明のフェライト系ステンレス鋼は、溶接部加工性に優れ、70℃以下の低温の給湯温度における耐すき間腐食性を有することから、溶接部を有する構造物、例えば、貯湯温度に適した貯湯タンク材料や貯水槽、貯湯槽用材料として提供することができる。また家庭用厨房機器、シンクなど広い用途への応用が期待される。
本発明者らは、従来、考慮されていなかった、Mo量とTi量のバランスが溶接部加工性と耐すき間腐食性を併せ持つ適正範囲の指標として有効であることを見出し、本発明に到った。さらに安定化元素であるTi量とNb量のバランスのこの鋼ならではの数値化を図ることで、本発明は溶接部の加工性・耐食性および表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼を提供することが可能となる。
ステンレス鋼の一般耐食性を改善することにはCr量を高めること、Moを添加することが有効である。しかしながら、上述したように多量のCr,Mo添加は加工性の低下を招く。一方、TiはC、N安定化元素であり、多いほど加工性は向上するが、多すぎるとTiを主体とした介在物が粗大となり、製造時に表面疵を生じやすくなる。本発明では鋭意検討の結果、両者の短所を補い、耐食性を担保しつつ溶接部加工性の向上ができる、Mo量とTi量の最適バランスを見出した。また、本発明過程において本成分範囲ではCrがMoに比較して溶接部加工性の劣化に及ぼす寄与が小さいことも見出した。
以下に、その詳細を図により説明する。
図1にCr-Moと孔食電位の関係および耐すき間腐食性の有無を示す。孔食電位は、質量%で、C:0.003〜0.012%、N:0.006〜0.015%、Si:0.12〜0.20、Mn:0.10〜0.13%、P:0.024〜0.030%、S:0.0004〜0.0070%、Ti:0.16〜0.20%、Nb:0.05〜0.39%、Cr:16.4〜22.0%、Mo:0.5〜1.9%の組成を有する鋼材を用いて、JIS G 0577に従い測定したV’c100をプロットしている。耐すき間腐食性は、孔食電位測定で用いた組成を有する板厚0.7〜1.0mmの2枚の同組成のステンレス鋼を重ね合わせてスポット溶接したものを用い、600ppmCl-および20ppmCu2+を含有した水溶液中に浸漬し、酸素を吹き込んだ状態で70℃に各々14日間保持した後のすき間腐食の有無で評価した。すき間腐食の最大孔食深さが40μm以上の場合をすき間腐食が生じたとし、すき間腐食が生じた場合を(×)、すき間腐食が生じなかった場合を(○)として図中に示した。これにより、Cr+3.3Moが少ない場合には孔食電位の低下やすき間腐食発生など耐食性が劣り、Cr+3.3Mo=21.5以上で高耐食性を有することが分かる。またCr+3.3Mo=26超になると、靭性の劣化が生じ、製造性が低下する。従って、21.5≦Cr+3.3Mo≦26とした。
溶接部加工性は以下の手法により評価した。溶接試験片を質量%で、C:0.003〜0.012%、N:0.006〜0.015%、Si:0.12〜0.20、Mn:0.10〜0.13%、P:0.024〜0.030%、S:0.0004〜0.0070%、Ti:0.16〜0.20%、Nb:0.05〜0.39%、Cr:16.4〜22.0%、Mo:0.5〜1.9%の組成を有する板厚約0.8mmのフェライト系ステンレス鋼を用い、入熱550〜650J/cmで同鋼種TIG突合せ溶接して作製した。得られた溶接試験片を用いて、JIS Z 2247に準拠して、エリクセン試験機で張出加工を5回行い、平均エリクセン値を測定した結果、エリクセン高さ5mm以上を良(○)5mm未満を不良(△)として、図2に溶接部加工性に及ぼすMo量とTi量の影響を示した。また、Ti量が0.25%超ではTi系酸化物およびTi系窒化物に起因した表面疵が発生する。一方、Tiが0.05%未満ではC,Nの固定が不十分となり、加工性と耐食性が劣化し、0.05%以上でこれらの効果が生じる。溶接部加工性は良好であったが、耐すき間腐食性試験においてすき間腐食が生じた場合を(×)として図2に示した。上記、TiとCrの最適バランスの数値化検討によりTi-0.28Mo≦-0.25を得た。
Ti-Nbの複合添加の効果を次に示す。粒界へのCr炭化物、あるいはCr窒化物の析出を抑制することを目的として、安定化元素であるTi,Nbをするが、添加溶接部および母材HAZ部の耐粒界腐食性におよぼすTi、Nbの効果は(Ti+Nb)/(C+N)≧16で公知である。これをTiのみで十分安定化するためにはTiの添加を多量に要するため、上述したように製鋼段階で硬質介在物が生じ易く、製品表面疵を発生し易い。一方、Nb単独添加する場合、母材に対して溶接部の延性を低下させ、また溶接部の結晶粒粗大化を抑制する効果もTiより劣る。これに対して、Ti+Nbの複合添加の場合、表面疵に対するTiの悪影響、溶接部の延性に対するNbの悪影響を軽減し、表面疵の少ない母材に対して溶接部の延性低下のない鋼材を得ることができる。介在物を起因とする耐食性を考慮すると、Ti/(Nb+Ti)が0.2を下回ると、水溶性介在物を基点としたすき間腐食が発生する。またTi/(Nb+Ti)が0.8をこえると、圧延時にTi系の介在物を起因とした表面疵を生じ、外観上問題があるだけでなく、この疵部を基点としたすき間腐食も発生する場合があった。本発明は、Ti-Nb複合添加の効果に加え、Mo-Tiバランスの最適化をすることにより、溶接部加工性および耐食性の向上をすることができる。以上より、溶接部加工性および耐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼を提供でき得る知見を得た。
以下にその他化学組成について説明する。
CおよびNは、フェライト系ステンレス鋼ではその固溶限が小さいため、多すぎる場合または溶接部ではCrの炭窒化物を析出し、特に粒に局部的なCr欠乏部を生じてしまい、耐食性が劣化する。このためC、Nはそれぞれ0.015%以下、0.025%以下とし、さらに安定化元素NbおよびTiを添加して、前述の(B)式を満たす条件が必要である。さらに、経済性と特性を考慮すると、CおよびNの好ましい範囲は0.002〜0.015%である。
Siは、製鋼における脱酸材として使用されるため混入する場合があり、微量では耐食性を向上させることもあるが、多すぎると加工性が低下するために上限を0.25%とした。さらに、材質特性を考慮すると、Siの好ましい範囲は0.05〜0.20%である。
Mnは母材の強度や溶接部の靱性を向上するが、多すぎると耐食性の低下を引き起こすため、上限を0.20%とした。さらに、経済性と材質特性を考慮するとMnの好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
P,Sは不可避的不純物であるが、熱間加工性や耐食性を低下させる元素であるため低い方が望ましい。このためPは0.035%以下、Sは0.010%以下とした。
さらに、経済性を考慮すると、P、Sの好ましい範囲を各々0.010〜0.030%、0.001〜0.008%である。
Crは耐食性を高める主元素であり、濃度が高いほど耐食性が向上する。しかし、Cr量を高めると、靭性の低下から製造性が困難となる上、鋼材が硬質化し加工性が低下する。このため、上限を24%とした。また低すぎると耐食性が低下する為、下限を16%とした。さらに、耐食性と加工性を考慮すると、Crの好ましい範囲は18〜20%である。
MoはCrとともに耐食性を向上させ、再不働態化能を高める。この効果は本発明が対象とするCr含有量では、Moが0.5%以上で得られる。しかしながら、Mo含有量が多すぎると、加工性および溶接時の溶け込み性が低下し、鋼の価格変動も大きくなる。このため、上限を2.0%として、溶接部加工性の向上のため式(A)の関係を満たす。さらに、経済性と耐食性を考慮すると、Moの好ましい範囲は0.8〜1.5%である。
Tiは本発明を構成する上で、重要な元素であり、C,N安定化のため添加されるが、多すぎると、製造時に表面疵を生じやすくなり、耐食性および溶接部の強度を下げる為、上限を0.20%とした。Tiを添加せずNbのみを添加した場合には、溶接部の延性が大幅に劣るため、Ti とNbは(B)式の関係を満足するように同時に添加されなければならない。加えて、加工性確保のため、下限を0.05%とした。さらに、Ti-0.28Mo≧-0.25のバランスで最適な加工性が得られる範囲となる。
NbはTiと同様に、CおよびNの安定化のために添加される。多いほど、C,Nの安定化能は高いが、多すぎると強度が上がり、加工性を低下させる為、上限を0.40%とした。またNbを添加せずTiのみを添加させた場合、表面疵が溶接部の強度低下を引き起こすため、Nbの下限を0.05%とした。
選択元素について以下に説明する。
CuおよびNiはCr,Moに加えて添加することにより、耐孔食性や耐すき間腐食性を向上させることができる。ただしCuおよびNiの添加は加工性を低下させるほか、応力腐食割れの懸念が生じるため、上限をCuは1.0%、Niは2.0%とする。さらに、経済性と特性を考慮すると、好ましい範囲は、Cuが0.05〜0.40%、Niは0.1〜1.0%とする。
VはCr,Moに加えて添加することによりフェライト系ステンレス鋼の弱点である耐銹性や耐すき間腐食性が改善され,適切な組合せによりSUS304と同等以上の耐食性が得られるだけでなく,Cr,Moの使用を最小限にしてVを添加すれば伸びや平均r値の低下も小さく,耐食性と合わせて優れた加工性を確保することができる。Vの過度の添加はやはり加工性を低下させる上,耐食性向上効果も飽和するため,Vの上限を0.2%とする。さらに、経済性と特性を考慮すると、Vの好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
Zrは不動態皮膜の強化や介在物の組成制御を通じて,耐銹性や耐すき間腐食性の改善に効果を発揮する。しかし,過度の添加は,伸びの低下をもたらすとともに,製造工程で鋳造が困難になったりするため,Zrの添加量は,0.2%以下とする。さらに、耐食性と加工性を考慮すると、Zrの好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
Bは高純度フェライト系ステンレス鋼の二次加工脆性改善に有効な粒界強化元素であり,このような効果は0.0002%以上で安定する。しかし,過度の添加はフェライトを固溶強化して延性低下の原因になるので,上限を0.005%とする。好ましい範囲は0.0005〜0.0020%である。
以上の元素に加えて本発明では,耐食性のさらなる向上や加工性,表面特性の改善を意図して,Sn,Mg、Alのうち1種または2種以上を目的に応じて適宜添加してもよい。特にAlは脱酸元素として有効である。
本発明の実施例を以下に記す。
表1に記す成分組成のフェライト系ステンレス鋼を実験室の真空溶解炉で溶製、鋳造した。これを実験室で熱間圧延、熱延板焼鈍・酸洗、冷延、冷延板焼鈍・酸洗を実施し、0.8mmの冷延板を作製した。なお冷延板焼鈍の温度は、各々の鋼材の再結晶温度に基づき950〜1050℃の間で調整した。
この冷延板から20mm×50mmおよび20mm×20mmの板を切断し、2枚を重ね合わせてその中央部をスポット溶接してすき間腐食試験片とした。スポット溶接条件はスポット径8mm、電流値は約3.8kAとした。耐すき間腐食性試験は、600ppmCl−と20ppm Cu2+を含む水溶液を用い、試験片のすき間部に試験液を十分浸透させてから試験片を浸漬したまま14日間放置し、取り出した後のすき間腐食の有無で評価した。試験温度は70℃とした。すき間腐食が進展する成長すき間は孔食深さが40μm以上とされており、40μm以下ではすき間腐食が進展しないとされていることから、すき間腐食の最大孔食深さが40μm以上の場合をすき間腐食が生じたとし、すき間腐食が生じた場合を(×)、すき間腐食が生じなかった場合を(○)として表中に示した。実施例24では、Cr+3.3Moが18.6と21.5以下であり、本実験において耐すき間腐食性を示さなかった。実施例39は、Ti/(Nb+Ti)が0.2以下で水溶性介在物を基点としたすき間腐食の発生が見られた。
表面疵の評価は、サンプルの圧延時の表面疵発生状況を目視により観察し、ランク付けを行った。疵ランクA、Bまでが表面の美観を損ねないレベルで、C、Dは表面疵が発生したことを示している。実施例36では、Ti/(Nb+Ti)が0.8を越え、圧延時にTi系の介在物を起因とした表面疵が確認された。
溶接部加工性は、JIS Z 2247に準拠したエリクセン試験にて行った。溶接試験片に板厚0.8mmのフェライト系ステンレス鋼を用い、入熱550〜650J/cmで同鋼種TIG突合せ溶接して作製した。得られた溶接試験片を用いて、JIS Z 2247に準拠して、エリクセン試験機で張出加工を5回行い、平均エリクセン値を測定した結果、エリクセン高さ5mm以上を良(○)5mm未満を不良(×)として評価した。例えば、Ti-0.28Moが-0.25以下となる実施例41では、平均エリクセン値が基準に満たなかった。
Figure 0005111910
Cr+3.3Moと耐食性の関係を示す図である。 溶接部加工性に及ぼすMo量とTi量の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以下、
    N:0.025%以下、
    Si:0.25%以下、
    Mn:0.20%以下、
    P:0.035%以下、
    S:0.010%以下、
    Cr:16〜24%、
    Mo:0.50〜2.00%、
    Ti:0.05〜0.20%、
    Nb:0.05〜0.40%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、下記(A)式および(B)式を満足することを特徴とする、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
    ここに、
    21.7≦Cr+3.3Mo≦26 かつ Ti-0.28Mo≧-0.25・・・ (A)
    (Ti+Nb)/(C+N)≧16 かつ 0.2≦Ti/(Ti+Nb)≦0.8・・・(B)
  2. さらに、質量%で、
    Ni:2.0%以下、
    Cu:1.0%以下、の一種又は二種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
  3. さらに、質量%で、
    V:0.2%以下、
    Zr:0.2%以下、の一種又は二種以上を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
  4. さらに、質量%で、
    B:0.005%以下を含有することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の、溶接部加工性および耐すき間腐食性に優れた表面疵の少ないフェライト系ステンレス鋼。
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