JP2007074883A - マイクロアクチュエータ装置及び光スイッチシステム - Google Patents

マイクロアクチュエータ装置及び光スイッチシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 可動部を固定部から離れ易くし、作動不良や動作遅延を招き難くする。
【解決手段】 マイクロアクチュエータ装置は、マイクロアクチュエータ111と、その動作を制御する制御部とを備える。マイクロアクチュエータ111は、基板121の固定部と、前記固定部から離れた位置(a)と前記固定部に当接する位置(c)との間を前記固定部に対して移動し得るように設けられた可動部と、を有する。前記制御部は、前記可動部が位置(c)に所定時間以上継続して位置しないように、前記可動部が、位置(c)から、位置(a)と位置(c)との間の位置であって前記固定部から離れた位置(b)に位置した後に、位置(c)に戻る動作を行うように、マイクロアクチュエータ111を制御する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、マイクロアクチュエータ装置及びこれを用いた光スイッチシステムに関するものである。
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野においてマイクロアクチュエータの重要性が高まっている。マイクロアクチュエータが用いられている分野の一例として、例えば、光通信などに利用され光路を切り替える光スイッチを挙げることができる。このような光スイッチの一例として、例えば、下記特許文献1に開示された光スイッチを挙げることができる。
マイクロアクチュエータは、固定部と、被駆動体(光スイッチの場合は、ミラー)が搭載され固定部に対して移動可能とされた可動部とを有し、可動部を所定の位置で保持し得るように構成される。例えば、下記特許文献1に開示された光スイッチにおいて採用されているミラーを移動させるマイクロアクチュエータでは、静電力によって、可動部が固定部に当接する位置(ミラーが入射光をそのまま通過させる位置)に保持されるようになっている。また、このマイクロアクチュエータでは、バネ力によって、可動部が固定部から離れた位置(ミラーが入射光を反射させる位置)に復帰して保持されるようになっている。そして、特許文献1に開示されているマイクロアクチュエータ装置は、このようなマイクロアクチュエータと、これを制御する制御部とから構成されている。このマイクロアクチュエータ装置では、前記制御部は、ミラーが入射光をそのまま通過させる状態(非反射状態)を継続させる場合には、可動部を固定部に当接する位置に継続して保持し続けるように、マイクロアクチュエータを制御している。
特開2003−159698号公報
しかしながら、前記従来のマイクロアクチュエータ装置では、ミラーを長時間非反射状態とし続けると、可動部が固定部に貼り付いて離れなくなってしまうことで作動不良になったり、可動部が固定部から離れ難くなってしまうことで動作遅延が生じたりし易かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可動部が固定部から離れ易くなって作動不良や動作遅延を招き難いマイクロアクチュエータ装置、及び、これを用いた光スイッチシステムを提供することを目的とする。
また、本発明は、可動部が固定部から離れ易くなって作動不良や動作遅延を招き難く、しかも、消費電力を低減することができるマイクロアクチュエータ装置、及び、これを用いた光スイッチシステムを提供することを目的とする。
本発明者は、研究の結果、マイクロアクチュエータにおいて、可動部が固定部に当接し続ける時間を短縮することで、可動部が固定部に貼り付いて離れなくなったり離れ難くなる事態を、生じ難くすることができることを、見出した。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、マイクロアクチュエータと、該マイクロアクチュエータの動作を制御する制御部とを備えたマイクロアクチュエータ装置であって、前記マイクロアクチュエータは、固定部と、前記固定部から離れた第1の位置と前記固定部に当接する第2の位置との間を前記固定部に対して移動し得るように設けられた可動部と、を有し、前記制御部は、前記可動部が前記第2の位置に所定時間以上継続して位置しないように、前記可動部が、前記第2の位置から、前記第1の位置と第2の位置との間の第3の位置であって前記固定部から離れた第3の位置に位置した後に、前記第2の位置に戻る動作を行うように、前記マイクロアクチュエータを制御するものである。
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第1の態様において、前記固定部は第1の電極部を有し、前記可動部は、前記第1の位置に復帰しようとする復帰力が生ずるように、設けられ、前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、前記制御部は、前記可動部を前記第2の位置に保持するときに、前記第1及び第2の電極部の間に静電力が生ずるように電圧を印加するものである。なお、前記復帰力は、バネ力に限定されるものではなく、例えば、駆動力発生部として圧電素子を採用した場合において、当該圧電素子に対する印加電圧をゼロにしたときに元の位置に復帰しようとする力でもよい。
本発明の第3の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第2の態様において、前記マイクロアクチュエータは、前記制御部からの制御信号に応じて前記可動部に静電力以外の駆動力を前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向に与え得るように構成され、前記第3の位置は、前記復帰力と前記駆動力とが釣り合う位置であるものである。
本発明の第4の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第3の態様において、前記駆動力がローレンツ力であるものである。
本発明の第5の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記マイクロアクチュエータを複数備え、それらが2次元状に配置されたものである。
本発明の第6の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第5の態様において、前記制御部は、複数のスイッチング素子を含む回路を有し、前記回路は、前記複数のマイクロアクチュエータの各行ごとの行選択信号及び前記複数のマイクロアクチュエータの各列ごとの列選択信号に応答して、選択された行及び列のマイクロアクチュエータに制御信号を供給するものである。
本発明の第7の態様による光スイッチシステムは、前記第1乃至第4のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータ装置と、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたものである。
本発明の第8の態様による光スイッチシステムは、前記第7の態様において、前記可動部が前記第1の位置に位置しているときに、前記ミラーが反射状態及び非反射状態のうちの一方の状態となり、前記可動部が前記第2の位置及び第3の位置に位置しているときに、前記ミラーが反射状態及び非反射状態のうちの他方の状態となるものである。
本発明の第9の態様による光スイッチシステムは、前記第7又は第8の態様において、前記マイクロアクチュエータ及び前記ミラーの組を複数備え、当該組が2次元状に配置されたものである。
本発明の第10の態様による光スイッチシステムは、前記第9の態様において、前記制御部は、複数のスイッチング素子を含む回路を有し、前記回路は、前記複数のマイクロアクチュエータの各行ごとの行選択信号及び前記複数のマイクロアクチュエータの各列ごとの列選択信号に応答して、選択された行及び列のマイクロアクチュエータに制御信号を供給するものである。
なお、前記第1乃至第10の態様において、前記可動部は薄膜で構成してもよい。
本発明によれば、可動部が固定部から離れ易くなって作動不良や動作遅延を招き難いマイクロアクチュエータ装置、及び、これを用いた光スイッチシステムを提供することができる。
また、本発明によれば、可動部が固定部から離れ易くなって作動不良や動作遅延を招き難く、しかも、消費電力を低減することができるマイクロアクチュエータ装置、及び、これを用いた光スイッチシステムを提供することができる。
以下、本発明によるマイクロアクチュエータ装置及び光スイッチシステムについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による光スイッチアレー1を備えた光スイッチシステムを示す概略構成図である。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。光スイッチアレー1の基板121の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。
本実施の形態による光スイッチシステムは、図1に示すように、光スイッチアレー1と、m本の光入力用光ファイバ2と、m本の光出力用光ファイバ3と、n本の光出力用光ファイバ4と、光スイッチアレー1に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号を光スイッチアレー1に供給する外部制御部としての外部制御回路6と、を備えている。図1に示す例では、m=3、n=3となっているが、m及びnはそれぞれ任意の数でよい。
本実施の形態では、磁石5は、図1に示すように、X軸方向の−側がN極に+側がS極に着磁された板状の永久磁石であり、光スイッチアレー1の下側に配置され、光スイッチアレー1に対して磁力線5aで示す磁界を発生している。すなわち、磁石5は、光スイッチアレー1に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石5に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
光スイッチアレー1は、図1に示すように、基板121と、基板121上に配置されたm×n個のミラー12とを備えている。m本の光入力用光ファイバ2は、基板121に対するY軸方向の一方の側からY軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。m本の光出力用光ファイバ3は、m本の光入力用光ファイバ2とそれぞれ対向するように基板121に対する他方の側に配置され、光スイッチアレー1のいずれのミラー12によっても反射されずにY軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。n本の光出力用光ファイバ4は、光スイッチアレー1のいずれかのミラー12により反射されてX軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。m×n個のミラー12は、m本の光入力用光ファイバ2の出射光路とn本の光出力用光ファイバ4の入射光路との交差点に対してそれぞれ、後述するマイクロアクチュエータ111により進出及び退出可能にZ軸方向に移動し得るように、2次元マトリクス状に基板121上に配置されている。なお、本例では、ミラー12の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてX軸と45゜をなすように設定されている。もっとも、その角度は適宜変更することも可能であり、ミラー12の角度を変更する場合には、その角度に応じて光出力用光ファイバ4の向きを設定すればよい。
この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
図2は、図1中の光スイッチアレー1を模式的に示す概略平面図である。光スイッチアレー1は、図2に示すように、基板121(図2では図示せず)と、該基板121上に2次元状に配置されたm×n個のマイクロアクチュエータ111と、各マイクロアクチュエータ111の可動部に搭載されたミラー12とを備えている。
図1及び図2並びに後述する図では、説明を簡単にするため、9個の光スイッチを3行3列に配置しているが、光スイッチの数は何ら限定されるものではない。光スイッチアレー1のうちのミラー12以外の部分が、マイクロアクチュエータアレーを構成している。
次に、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、図3乃至図10を参照して説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態による光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレー1を構成する単位素子としての1つの光スイッチ(すなわち、1つのマイクロアクチュエータ111及びこれにより駆動される1つのミラー12)を模式的に示す概略平面図である。図3では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って形成された保護膜としてのSiN膜144は省略して示し、本来実線で書くべき凸条部149,150のラインを破線で示し、Al膜142,143にそれぞれ異なるハッチングを付している。図4は、図3中のX11−X12線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図3中のX19−X20線に沿った概略断面図は図4と同様となる。図5は、図3中のX13−X14線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図3中のX17−X18線に沿った概略断面図は図5と同様となる。図6は、図3中のX15−X16線に沿った概略断面図である。図7は、図3中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。図8は、図3中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。図9は、図3中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。図10は、図3中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。なお、図4乃至図10では、梁構成部132,134がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132,134は、実際には、可動部が力を受けていない状態において、当該梁構成部132,134を構成する膜の応力によって+Z方向に湾曲している。
本実施の形態では、マイクロアクチュエータ111は片持ち梁構造を有している。もっとも、本発明では、マイクロアクチュエータは、例えば、前記特許文献1と同様に、フレクチュア部による両持ち構造を有していてもよい。
本実施の形態で用いられているマイクロアクチュエータ111は、シリコン基板やガラス基板等の基板121と、脚部122,123と、Z軸方向から見た平面視で主としてX軸方向に並行して延びた2本の帯板状の梁部124,125と、梁部124,125の先端(自由端、+X方向の端部)に設けられそれらの間を機械的に接続する平面視で長方形状の接続部126と、梁部124を構成する梁構成部133及び梁部125を構成する梁構成部135の固定端側同士を補強のために機械的に接続する接続部127と、固定電極(第1の電極部)128と、を備えている。
梁部124の固定端(−X方向の端部)は、基板121上のシリコン酸化膜等の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる配線パターン130,131(図3では省略)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部122a,122bからなる脚部122を介して、基板121に機械的に接続されている。同様に、梁部125の固定端(−X方向の端部)は、基板121上の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる2つの配線パターン(図示せず)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部123a,123bからなる脚部123を介して、基板121に機械的に接続されている。前述したように、梁部124,125の自由端間が接続部126で機械的に接続され、梁構成部132,134の固定端側同士が接続部127で機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が、全体として、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。本実施の形態では、基板121、固定電極128及び絶縁膜129が、固定部を構成している。
梁部124は、前記可動部の固定端と自由端との間に機械的にX軸方向に直列に接続された2つの梁構成部132,133を有している。梁構成部132は、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた帯板状に構成されている。梁構成部133は、帯板状に構成され、図3に示すように、Z軸方向から見た平面視で、主としてX軸方向に延びているものの、−X側の位置でY軸方向に折れ曲がったような形状を有している。固定端側(−X側)の梁構成部132はZ軸方向に撓み得る板ばね部となっているのに対し、自由端側(+X側)の梁構成部133はZ軸方向(基板121側及びその反対側)の撓み及びその他の方向の撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部となっている。
梁構成部132は、下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。Al膜142とAl膜143とは、同一階層に形成されているが、図3に示すように、若干Y軸方向に隙間をあけて形成され、互いに電気的に分離されている。これは、Al膜142を静電力用の可動電極への配線として用い、Al膜143をローレンツ力用の電流経路を形成するための配線として用いるためである。静電力用の配線ではほとんど電流を流さない一方、ローレンツ力用の配線では比較的大きい電流を流すため、ローレンツ力用の配線の電気抵抗を低減するべく、Al膜142は幅が狭く形成され、Al膜143は幅が広く形成されている。
梁構成部133は、梁構成部132からそのまま連続して延びた下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、構成されている。しかし、後述する凸条部149,150を形成することによって、梁構成部133に前述した剛性を持たせている。
図4では、梁構成部132がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132は、実際には、駆動信号が供給されていない状態において、膜141〜144の応力によって、上方(基板121と反対側、+Z方向)に湾曲している。このような湾曲状態は、膜141,142,144の成膜条件を適宜設定することにより、実現することができる。一方、梁構成部133は、駆動信号の供給の有無に拘わらずZ軸方向に実質的に湾曲しておらず、前述した剛性を持つことにより、膜141〜144の応力により湾曲することがなく常に平板状の状態を維持する。このように、梁構成部132と梁構成部133とは、梁部124が力を受けない状態で、異なる湾曲・非湾曲状態を持っている。
本実施の形態では、脚部122は、梁構成部132を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成され、2つの個別脚部122a,122bを有している。脚部122が2つの個別脚部122a,122bを有しているのは、静電力用の配線とローレンツ力用の配線とを分離して、Al膜142とAl膜143とを基板121上の別々の配線パターン130,131にそれぞれ電気的に接続させるためである。Al膜142は、個別脚部122aにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン130に電気的に接続されている。Al膜143は、個別脚部122bにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン131に電気的に接続されている。なお、脚部122の上部には、脚部122の強度を補強するために、凸条部151がZ方向から見た平面視で個別脚部122a,122bを一括して囲むように口の字状に形成されている。
梁部125及び脚部123は、前述した梁部124及び脚部122とそれぞれ全く同一の構造を有している。梁部125を構成する梁構成部134,135は、梁部124を構成する梁構成部132,133に相当している。脚部123を構成する個別脚部123a,123bは、脚部122を構成する個別脚部122a,122bにそれぞれ相当している。また、脚部123の上部には、前述した凸条部151に相当する凸条部152が形成されている。
接続部127は、梁構成部133,135からそのまま連続して延びたSiN膜141,144の2層膜で構成されている。接続部127には、梁構成部133,135からのAl膜142は延びておらず、接続部127においては、何ら電気的な接続は行われていない。
本実施の形態では、梁構成部133,135及び接続部126,127に一括して剛性を付与するべく、図3中の破線で示すように、平面視でこれらの一括した領域の外周側において周回するように凸条部149が形成され、前記一括した領域の内周側に周回するように凸条部150が形成されている。この凸条部149,150によって、梁構成部133,135が補強されて剛性を有している。梁構成部133,135は、駆動信号の供給の有無に拘わらずZ軸方向に実質的に湾曲しておらず、前述した剛性を持つことにより、膜141〜144の応力により湾曲することがなく常に平板状の状態を維持する。
接続部126は、梁構成部133,135を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成されている。接続部126には、被駆動体としてのAu、Ni又はその他の金属からなるミラー12が設けられている。
接続部126におけるAl膜142の部分が、静電力用の可動電極(第2の電極部)として兼用されている。この可動電極に対向する基板121上の領域には、Al膜からなる静電力用の固定電極128が形成されている。図面には示していないが、固定電極128を構成するAl膜は配線パターンとしても延びており、前記配線パターン130と共に利用することによって、固定電極128と可動電極として兼用された接続部126におけるAl膜142との間に電圧(静電力用電圧)を、印加できるようになっている。
一方、前述した説明からわかるように、Al膜143によって、脚部122の個別脚部122b下の配線パターン131から、梁構成部132→梁構成部133→接続部126→梁構成部135→梁構成部134を経て、脚部123の個別脚部123b下の配線パターン(図示せず)へ至る、電流経路が構成されている。この電流経路のうち、接続部126におけるY軸方向に沿った電流経路が、X軸方向の磁界内に置かれたときに、Z軸方向へ向かうローレンツ力を発生させる部分となっている。したがって、前述した図1中の永久磁石5を用いてX軸方向の磁界内に置き、前記電流経路へ電流(ローレンツ力用電流)を流すと、接続部126におけるAl膜143にローレンツ力(駆動力)がZ方向へ作用する。なお、このローレンツ力の向きが+Z方向であるか−Z方向であるかは、ローレンツ力用電流の向きによって定まる。
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が構成する可動部が、基板121、固定電極128及び絶縁膜129からなる固定部に対して、上下に(Z軸方向に)移動し得るようになっている。すなわち、本実施の形態では、前記可動部は、板ばねを構成する梁構成部132,134のバネ力(復帰力)により復帰しようとする上側位置(後述する図11(a)に示す位置)と、可動部が固定部に当接する下側位置(後述する図11(c)との間を、移動し得るようになっている。前記上側位置では、可動部の可動電極(接続部126におけるAl膜142)と固定部の固定電極128との間隔が広がって、両者の間に生じ得る静電力は低下又は消失する。前記下側位置では、可動部の可動電極(接続部126におけるAl膜142)と固定部の固定電極128との間隔が狭まって、両者の間に生じ得る静電力は増大する。
本実施の形態では、前記電極間電圧(静電力用電圧)及びローレンツ力用電流を制御することで、ミラー12が後述する図11(a)に示す上側位置に保持された状態、ミラー12が後述する図11(c)に示す下側位置に保持された状態、及び、ミラー12が後述する図11(b)に示す下側中間位置に保持された状態にすることができる。本実施の形態では、後述するように、外部制御回路6と光スイッチアレー1に搭載された後述する図14に示す回路とからなる制御部によって、このような制御が行われるようになっている。
図11は、1つの光スイッチの可動部及びこれに設けられたミラー12が保持される各位置を模式的に示す概略側面図である。図11において、各部の構造は大幅に簡略化して示している。また、図11において、Kは、ミラー12の進出位置に対する光路の断面を示している。
図11(a)は、前記静電力及び前記ローレンツ力が印加されていない状態を示している。梁構成部132,134がそれらを構成する膜の応力(バネ力)によって+Z方向に湾曲した状態に復帰し、可動部が固定部から離れてミラー12が上側位置に保持される。これにより、ミラー12が光路Kに進出して当該光路に入射した光を反射させ、反射状態となる。
図11(a)に示す状態において、所定の大きさのローレンツ力用電流を流して、前記ローレンツ力を下向きに所定の大きさで印加すると、可動部及びミラー12が下方へ移動していき、図11(b)に示すように、可動部が固定部と当接せずに固定部からスペースを残して離れた位置(下側中間位置)で、梁構成部132,134のバネ力と前記ローレンツ力とが釣り合い静止し、可動部及びミラー12がこの下側中間位置に保持される。前記スペースは、可動部の可動電極と固定部の固定電極128との間に十分な静電力が発生できる距離に設定されている。この状態では、ミラー12が光路Kから退出して、光路Kに入射した光がミラー12で反射されずにそのまま通過し、非反射状態となる。
図11(b)に示す状態において、可動部の可動電極と固定部の固定電極128との間に所定の電圧を印加して十分な静電力を印加すると、その静電力によって、可動部及びミラー12が更に下方へ移動していき、図11(c)に示すように、可動部が固定部に当接がする下側位置で静止する。その後、ローレンツ力用電流をゼロにして、前記ローレンツ力の印加を停止する。ローレンツ力の印加が停止されても、前記静電力が印加されているので、前記静電力によって、可動部及びミラー12が図11(c)に示す下側位置に保持され続ける。図11(c)に示す状態においても、前記図11(b)に示す状態と同様に、ミラー12が光路Kから退出しており、非反射状態となっている。
図11(c)に示す状態において、前記ローレンツ力及び前記静電力の印加を停止すると、図(a)に示す状態に戻る。一方、図11(c)に示す状態において、前記ローレンツ力を印加するとともに前記静電力の印加を停止すると、図11(b)に示す状態となる。
1つの光スイッチに着目すると、本実施の形態では、前記可動部が図11(c)に示す下側位置に所定時間以上継続して位置しないように、図11(c)に示す下側位置から、図11(b)に示す下側中間位置に位置した後に、図11(c)に示す下側位置に戻る動作(「当接継続中止動作」と呼ぶ。)を行うように、当該光スイッチのマイクロアクチュエータが制御される。この制御を実現するためには、例えば、非反射状態を長時間に渡って維持し続ける間は、前記可動部が図11(b)に示す下側中間位置及び図11(c)に示す下側位置に交互に位置するように、当該光スイッチのマイクロアクチュエータを制御すればよい。
次に、1つの光スイッチに着目して、このような本実施の形態による制御方法の具体例とこれによる光スイッチの動作について、図12を参照して説明する。図12は、1つの光スイッチのローレンツ力用電流と、当該光スイッチの固定電極128と可動電極との間の静電力用電圧と、当該光スイッチのミラー12の位置(したがって、可動部の位置)との、時間変化による関係を示す、本実施の形態のタイミングチャートである。
図12は、反射状態から非反射状態に切り替え、その非反射状態を長時間に渡って維持し続け、その後に反射状態に切り替える例を示している。
最初に、ローレンツ力用電流がゼロであるとともに静電力用電圧がゼロであり、梁構成部132,134のバネ力により、ミラー12が図11(a)に示す上側位置に保持されていたとする。この状態は、反射状態である。
その後、時刻T1において、非反射状態に切り替えるべく制御を開始する。すなわち、時刻T1において、ローレンツ力用電流を+Iとする。ここで、+Iは、ローレンツ力用電流経路に、下向きでかつ図11(b)に示す下側中間位置の状態で梁構成部132,134のバネ力と釣り合う大きさのローレンツ力を発生させる電流である。ミラー12は、このローレンツ力により徐々に下降し、非反射状態に切り替わり、時刻T2で図11(b)に示す下側中間位置で停止してその位置に保持される。
その後、時刻T3において、静電力用電圧をVとする。ここで、Vは、ミラー12が図11(b)に示す下側中間位置に位置しているときに図11(c)に示す下側位置まで引き寄せるのに十分な静電力を発生させる電圧である。これにより、ミラー12は、更に下降していき、時刻T4において、可動部が固定部に当接する図11(c)に示す下側位置で停止してその位置に保持される。その後、時刻T5でローレンツ力用電流はゼロにされるが、前記静電力によって、ミラー12は図11(c)に示す下側位置に保持され続ける。
次に、時刻T6でローレンツ力用電流を+Iにした後に、時刻T7で静電力用電圧をゼロにする。その結果、ミラー12は、時刻T7から上昇していき、時刻T8で図11(b)に示す下側中間位置で停止してその位置に保持される。
その後、時刻T9で静電力用電圧をVとする。その結果、ミラー12は、下降していき、時刻T10において、図11(c)に示す下側位置に戻ってその位置に保持される。その後、時刻T11でローレンツ力用電流はゼロにされるが、前記静電力によって、ミラー12は図11(c)に示す下側位置に保持され続ける。
図12中の時刻T12〜T17は、前述した時刻T6〜T11にそれぞれ相当しているので、ここでは、その説明は省略する。
その後、時刻T18において、ミラー12の位置を反射状態に切り替えるべく制御を開始する。すなわち、時刻T18において、静電力用電圧をゼロにする。その結果、ミラー12は、梁構成部32,34のバネ力により上昇していき、時刻T19で図11(a)に示す上側位置に戻り、当該バネ力により上側位置に保持され続ける。
ここで、図12に示す本実施の形態による制御方法と比較される比較例による制御方法とこれによる光スイッチの動作について、図13を参照して説明する。図13は、1つの光スイッチのローレンツ力用電流と、当該光スイッチの固定電極128と可動電極との間の静電力用電圧と、当該光スイッチのミラー12の位置(したがって、可動部の位置)との、時間変化による関係を示す、比較例のタイミングチャートである。
図13に示す比較例が図12に示す本実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
すなわち、図12に示す本実施の形態では、期間T6−T11及び期間T12−T17でローレンツ力用電流が+Iとされるとともに期間T7−T9及び期間T13−T15で静電力用電圧がゼロとされているので、期間T7−T10及び期間T13−T16でそれぞれ、ミラー12及び可動部が当接継続中止動作(図11(c)に示す下側位置から、図11(b)に示す下側中間位置に位置した後に、図11(c)に示す下側位置に戻る動作)を行う。その結果、非反射状態が期間T2−T19と長時間に渡るにも拘わらず、前記当接継続中止動作によって、ミラー12及び可動部が図11(c)に示す下側位置に位置する継続期間が、それぞれ比較的短い期間T4−T7,T10−T13,T16−T18に抑えられる。
これに対し、図13に示す比較例では、期間T6−T11及び期間T12−T17でローレンツ力用電流がゼロのままとされるとともに期間T7−T9及び期間T13−T15で静電力用電圧がVのままとされているので、ミラー12及び可動部が図11(c)に示す下側位置に位置する継続期間が、非反射状態の期間の大部分の長時間に渡る期間T4−T18となってしまう。
このように、図12に示す本実施の形態では、図13に示す比較例に比べて、ミラー12及び可動部が図11(c)に示す下側位置に位置する継続期間を短くすることができるので、可動部が固定部に貼り付き難くなり、図11(c)に示す位置から図11(a)に示す位置に戻る際に、可動部が固定部から離れ易くなって作動不良や動作遅延を招き難くなる。
ところで、可動部と固定部との貼り付きを防止するだけであるなら、図12において、静電力用電圧を常時ゼロにするとともにローレンツ力用電流を期間T1−T18中+Iにして、期間T2−T18においてミラー12及び可動部の位置を図11(b)に示す下側中間位置に維持するだけでもよい。しかし、このように長時間に渡る期間T1−T18においてローレンツ力用電流を+Iに維持すると、消費電力が増大してしまう。これに対し、本実施の形態では、非反射状態を維持する期間は、図11(b)に示す下側中間位置と図11(c)に示す下側位置を交互に繰り返すので、図11(b)に示す下側中間位置は必要最小限の時間に留めることができることから、消費電力を大幅に低減することができる。
図14は、本実施の形態による光スイッチシステムの光スイッチアレー1を示す電気回路図である。図3乃至図11に示す単一の光スイッチは、電気回路的には、1個のコンデンサ(固定電極128と可動電極とがなすコンデンサに相当)と、1個のコイル(ローレンツ力用電流路(接続部126におけるAl膜143)に相当)と見なせる。図14では、m行n列目の光スイッチのコンデンサ及びコイルをそれぞれCmn及びLmnと表記している。例えば、図14中の左上の(1行1列目の)光スイッチのコンデンサ及びコイルをそれぞれC11,L11と表記している。図14では、説明を簡単にするため、既に説明したように、9個の光スイッチを3行3列に配置している。もっとも、光スイッチの数は何ら限定されるものではなく、例えば100行100列の光スイッチを有する場合も、原理は同一である。
制御線の本数を減らすために、図14に示す回路では、コンデンサCmn及びコイルLmnに対してそれぞれ、列選択スイッチMmnb,Mmndと行選択スイッチMmna,Mmncが設けられている。コンデンサCmnの一端が行選択スイッチMmnaの一端に接続され、行選択スイッチMmnaの他端が列選択スイッチMmnbの一端に接続され、列選択スイッチMmnbの他端は電圧制御スイッチMC1の一端及び電圧制御スイッチMC2の一端に接続されている。コンデンサCmnの他端はグランドに接続されている。電圧制御スイッチMC1の他端はクランプ電圧VCに接続され、電圧制御スイッチMC2の他端はグランドに接続されている。
また、コイルLmnの一端が行選択スイッチMmncの一端に接続され、行選択スイッチMmncの他端が列選択スイッチMmndの一端に接続され、列選択スイッチMmndの他端は電流制御スイッチMC3の一端に接続されている。コイルLmnの他端はグランドに接続されている。電流制御スイッチMC3の他端は前記電流+Iを供給する電流源I1の一端に接続され、電流源I1の他端はグランドに接続されている。
スイッチング素子としての列選択スイッチMmnb,Mmnd、行選択スイッチMmna,Mmnc、電圧制御スイッチMC1,MC2及び電流制御スイッチMC3は、例えば、基板100としてシリコン基板を用いた場合、基板100に形成したN型MOSトランジスタで構成することができる。
1行目の行選択スイッチM11a,M11c,M12a,M12c,M13a,M13cのゲートは、端子V1に接続されている。同様に、2行目の行選択スイッチのゲートは端子V2に、3行目の行選択スイッチのゲートは端子V3にそれぞれ接続されている。
1列目の列選択スイッチM11b,M11d,M21b,M21d,M31b,M31dのゲートは、端子H1に接続されている。同様に、2列目の列選択スイッチのゲートは端子H2に、3行目の列選択スイッチのゲートは端子H3にそれぞれ接続されている。
次に、各端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3に印加する電圧のタイミングチャートの一例を、図15及び図16に示す。
図15における時刻t1以前及び図16における時刻t11以前は、全ての光スイッチのコンデンサCmnをクランプ電圧VCにバイアスする電圧リフレッシュ期間である。したがって、この期間では、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3は全てハイレベルとされて、全ての列選択スイッチMmnb,Mmnd及び行選択スイッチMmna,Mmncが導通状態になっている。また、この期間では、端子C1がハイレベルで端子C2がローレベルとされ、電圧制御スイッチMC1が導通状態で電圧制御スイッチMC2が不導通状態になっている。さらに、端子C3はローレベルとされ、電流制御スイッチMC3が不導通状態となっている。電圧リフレッシュ期間では、ミラー12は、図11(a)に示す上側位置及び図11(c)に示す下側位置のいずれかに保持されている。図15の例では、時刻t1以前の電圧リフレッシュ期間では、1行1列目の光スイッチのミラーが図11(c)に示す下側位置に保持されている。同様に、図16の例では、時刻t11以前の電圧リフレッシュ期間では、1行1列目の光スイッチのミラーが図11(c)に示す下側位置に保持されている。
なお、ミラー12が図11(a)に示す上側位置に位置しているときに静電力用電圧をVにした際に生ずる静電力は、梁構成部132,134のバネ力より小さいものとなっているので、ミラー12が図11(a)に示す上側位置に位置しているときに、電圧リフレッシュ期間となっても、ミラー12が図11(c)に示す位置に変更されるようなことはない。
ところで、本実施の形態では、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3に印加する信号(電圧)は、図1中の外部制御回路6から制御信号として供給される。外部制御回路6は、例えば、光路切換状態指令信号に基づいて、現在の位置状態から変更すべき光スイッチを調べて、当該変更すべき光スイッチの1つずつについて、状態変更期間を1つずつ順次設定していく。
現在の位置状態から変更すべき光スイッチがない場合には、前記電圧リフレッシュ期間や当接継続中止期間を設定する。ミラー12が非反射状態である光スイッチであって前記当接継続中止動作を行わなければ図11(c)に示す位置に所定時間以上継続して位置してしまうことになるような光スイッチの1つずつについて、当接継続中止期間を1つずつ適当なタイミングで設定する。当接継続中止期間は、対応する光スイッチについて前述した当接継続中止動作を行うための期間である。
また、状態変更期間を複数設定する場合(つまり、現在の位置状態から変更すべき光スイッチの数が2つ以上の場合)には、各状態変更期間の間に電圧リフレッシュ期間及び/又は当接継続中止期間を設定してもよいし、設定しなくてもよい。例えば、現在の位置状態から変更すべき光スイッチの数が3つある場合には、状態変更期間→電圧リフレッシュ期間→状態変更期間→電圧リフレッシュ期間→状態変更期間の後、当接継続中止期間と電圧リフレッシュ期間を交互に設定してもよいし、連続して状態変更期間を設定した後、当接継続中止期間と電圧リフレッシュ期間を交互に設定してもよい。
そして、設定した各状態変更期間においては、対応する光スイッチについて、指令された光路切換状態に応じて前述した図12中の期間T1−T5付近に相当するような制御や期間T18−T19付近に相当するような制御が実現されるように、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3に印加する信号を供給する。また、設定した各当接継続中止期間においては、対応する光スイッチについて、図12中の期間T6−T11付近又は期間T12−T17付近に相当するような制御が実現されるように、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3に印加する信号を供給する。
なお、外部制御回路6を光スイッチアレー1に搭載してもよいことは、言うまでもない。
図15は、外部制御回路6により、電圧リフレッシュ期間→1行1列目の光スイッチについての状態変更期間→電圧リフレッシュ期間が、設定された例である。
図15の例では、時刻t1以前の電圧リフレッシュ期間では、1行1列目のミラー12が図11(c)に示す下側位置に保持されている。時刻t1で、1行1列目の光スイッチについての状態変更期間が開始され、端子V2,V3,H2,H3がローレベルにされてコンデンサC11以外のコンデンサが切り離される。次に、時刻t3で端子C2がハイレベルにされ、C11に充電されていた電荷が放電され、静電力用電圧がゼロにされる。この時刻t3は図12中の時刻T18に対応している。これによって、静電力が無くなり、ミラー12は、図11(a)に示す上側位置に移動して保持される。次に、時刻t4で端子C2がローレベルにされ、更に時刻t5で端子C1がハイレベルにされる。その後、時刻t6で、当該状態変更期間を終了し、電圧リフレッシュ期間とされる。
図16は、外部制御回路6により、電圧リフレッシュ期間→1行1列目の光スイッチについての当接継続中止期間→電圧リフレッシュ期間が、設定された例である。
図16の例では、時刻t11以前の電圧リフレッシュ期間では、1行1列目の光スイッチのミラー12が図11(c)に示す下側位置に保持されている。時刻t11で、1行1列目の光スイッチについての当接継続中止期間が開始され、端子V2,V3,H2,H3がローレベルにされてコンデンサC11以外のコンデンサ、及び、コイルL11以外のコイルが切り離される。次に、時刻t12で、端子C3がハイレベルにされて、コイルL11のみに電流+Iが流れる。次に、時刻t14で端子C2がハイレベルにされ、C11に充電されていた電荷が放電され、静電力用電圧がゼロにされる。この時刻t14は図12中の時刻T7又は時刻T13に対応している。また、このとき、C3はハイレベルになっているので、コイルL11には電流+Iが流れている。これによって、静電力が無くなるが、コイルL11に電流が流れているのでローレンツ力は働き、1行1列目の光スイッチのミラー12は、図11(b)に示す下側中間位置に移動して保持される。
次に、時刻t15で端子C2がローレベルにされた後に、時刻t16で端子C1がハイレベルにされる。この時刻t16は図12中の時刻T9又は時刻T15に対応している。これにより、再びコンデンサC11に静電力用電圧が印加されるので、1行1列目の光スイッチのミラー12は、図11(c)に示す下側位置に移動する。その後、時刻t17で、端子C3がローレベルとされ、コイルL11への電流はゼロになるが、静電力用電圧がコンデンサC11に印加されているので、1行1列目の光スイッチのミラー12は、図11(c)に示す下側位置に保持され続ける。最後に、時刻t18で、全ての状態はt1以前と同じになり、当該当接継続中止期間を終了し、電圧リフレッシュ期間とされる。
図15中の時刻t1から時刻t6までの期間や図16中の時刻t11から時刻t18までの期間では、1行1列目以外の光スイッチのミラー12の図11(c)に示す下側位置の保持は、各コンデンサに残っている電荷によって発生する電圧によっている。よって各コンデンサはMOSスイッチが非導通状態で電荷のリークが小さくなるように作製することが、好ましい。
なお、本実施の形態では、クランプ電圧VCは、直流電圧としたが、交流電圧としてもよい。
本実施の形態によれば、前述したように、前記当接継続中止動作が行われるので、ミラー12及び可動部が図11(c)に示す下側位置に位置する継続期間を短くすることができる。よって、可動部が固定部に貼り付き難くなり、図11(c)に示す位置から図11(a)に示す位置に戻る際に、可動部が固定部から離れ易くなって作動不良や動作遅延を招き難くなる。また、本実施の形態によれば、前述したように、非反射状態を維持する期間は、図11(b)に示す下側中間位置と図11(c)に示す下側位置を交互に繰り返すので、図11(b)に示す下側中間位置は必要最小限の時間に留めることができることから、消費電力を大幅に低減することができる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前述した各実施の形態は、複数の光スイッチを2次元状に配置した光スイッチアレーを用いた光スイッチシステムの例であったが、本発明は1つの光スイッチのみを用いた光スイッチシステムであってもよい。この場合、光スイッチのマイクロアクチュエータの動作を制御する制御部は、図12に示すような動作を行うように制御するように構成すればよい。このとき、当該制御部には、図14に示すような列選択スイッチMmnb,Mmndと行選択スイッチMmna,Mmncを用いた回路は不要である。
また、前記実施の形態は本発明によるマイクロアクチュエータ装置を光スイッチシステムに適用した例であったが、その用途に限定されるものではない。
さらに、前記実施の形態では、駆動力として静電力及びローレンツ力が用いられていたが、本発明は、これに限定されるものではなく、種々の駆動力を用いることができる。例えば、ローレンツ力で駆動する代わりに、バイマテリアルをヒータで熱駆動してもよい。
本発明の第1の実施の形態による光学システムを模式的に示す概略構成図である。 図1中の光スイッチアレーを模式的に示す概略平面図である。 図1中の光スイッチアレーの単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。 図3中のX11−X12線に沿った概略断面図である。 図3中のX13−X14線に沿った概略断面図である。 図3中のX15−X16線に沿った概略断面図である。 図3中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。 図3中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。 図3中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。 図3中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。 1つの光スイッチの可動部及びこれに設けられたミラーが保持される各位置を模式的に示す概略側面図である。 図1中の光スイッチアレーを構成する1つの光スイッチの、ローレンツ力用電流と静電力用電圧とミラーの位置との時間変化による関係を示す、第1の実施の形態のタイミングチャートである。 図1中の光スイッチアレーを構成する1つの光スイッチの、ローレンツ力用電流と静電力用電圧とミラーの位置との時間変化による関係を示す、比較例のタイミングチャートである。 図1中の光スイッチアレーを示す電気回路図である。 図14中の各端子に供給する信号を示すタイミングチャートである。 図14中の各端子に供給する信号を示す他のタイミングチャートである。
符号の説明
1 光スイッチアレー
2 光入力用光ファイバ
3,4 光出力用光ファイバ
5 磁石
6 外部制御回路
12 ミラー
111 マイクロアクチュエータ
121 基板
128 固定電極

Claims (10)

  1. マイクロアクチュエータと、該マイクロアクチュエータの動作を制御する制御部とを備えたマイクロアクチュエータ装置であって、
    前記マイクロアクチュエータは、固定部と、前記固定部から離れた第1の位置と前記固定部に当接する第2の位置との間を前記固定部に対して移動し得るように設けられた可動部と、を有し、
    前記制御部は、前記可動部が前記第2の位置に所定時間以上継続して位置しないように、前記可動部が、前記第2の位置から、前記第1の位置と第2の位置との間の第3の位置であって前記固定部から離れた第3の位置に位置した後に、前記第2の位置に戻る動作を行うように、前記マイクロアクチュエータを制御することを特徴とするマイクロアクチュエータ装置。
  2. 前記固定部は第1の電極部を有し、
    前記可動部は、前記第1の位置に復帰しようとする復帰力が生ずるように、設けられ、
    前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、
    前記制御部は、前記可動部を前記第2の位置に保持するときに、前記第1及び第2の電極部の間に静電力が生ずるように電圧を印加することを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ装置。
  3. 前記マイクロアクチュエータは、前記制御部からの制御信号に応じて前記可動部に静電力以外の駆動力を前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向に与え得るように構成され、
    前記第3の位置は、前記復帰力と前記駆動力とが釣り合う位置であることを特徴とする請求項2記載のマイクロアクチュエータ装置。
  4. 前記駆動力がローレンツ力であることを特徴とする請求項3記載のマイクロアクチュエータ装置。
  5. 前記マイクロアクチュエータを複数備え、それらが2次元状に配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ装置。
  6. 前記制御部は、複数のスイッチング素子を含む回路を有し、
    前記回路は、前記複数のマイクロアクチュエータの各行ごとの行選択信号及び前記複数のマイクロアクチュエータの各列ごとの列選択信号に応答して、選択された行及び列のマイクロアクチュエータに制御信号を供給することを特徴とする請求項5記載のマイクロアクチュエータ装置。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ装置と、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたことを特徴とする光スイッチシステム。
  8. 前記可動部が前記第1の位置に位置しているときに、前記ミラーが反射状態及び非反射状態のうちの一方の状態となり、
    前記可動部が前記第2の位置及び第3の位置に位置しているときに、前記ミラーが反射状態及び非反射状態のうちの他方の状態となることを特徴とする請求項7記載の光スイッチシステム。
  9. 前記マイクロアクチュエータ及び前記ミラーの組を複数備え、当該組が2次元状に配置されたことを特徴とする請求項7又は8記載の光スイッチシステム。
  10. 前記制御部は、複数のスイッチング素子を含む回路を有し、
    前記回路は、前記複数のマイクロアクチュエータの各行ごとの行選択信号及び前記複数のマイクロアクチュエータの各列ごとの列選択信号に応答して、選択された行及び列のマイクロアクチュエータに制御信号を供給することを特徴とする請求項9記載の光スイッチシステム。
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