JP2004114261A - マイクロアクチュエータ装置及びこれを用いた光スイッチシステム - Google Patents

マイクロアクチュエータ装置及びこれを用いた光スイッチシステム Download PDF

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Abstract

【課題】高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動部の可動範囲を広げることができ、かつ、消費電力を低減することができ、しかも、制御回路等を簡単化する。
【解決手段】可動板21は、フレクチュア部27a,27bを介して基板11に固定され、基板11に対して上下動し得る。基板11は固定電極を兼用する。可動板21は、基板11との間の電圧により基板11との間に静電力を生じ得る第2の電極部23a,23bと、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずる電流経路25と、を有する。光路に進出及び退出するミラー12が、可動板21に設けられている。制御部は、可動板21の位置とは無関係に基板11と電極部電極部23a,23bとの間に常時所定電圧を印加しつつ、電流経路25に流れる電流を制御する。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロアクチュエータ装置及びこれを用いた光スイッチシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野においてアクチュエータの重要性が高まっている。マイクロアクチュエータが用いられている分野の一例として、例えば、光通信などに利用され光路を切り替える光スイッチを挙げることができる。このような光スイッチの一例として、例えば、下記特許文献1に開示された光スイッチを挙げることができる。
【0003】
マイクロアクチュエータは、一般的に、固定部と、所定の力にて移動可能とされた可動部とを有し、前記所定の力にて所定の位置に保持されるようになっている。従来のマイクロアクチュエータでは、前記所定の力として静電力が用いられることが多かった。例えば、下記特許文献1に開示された光スイッチにおいて採用されているマイクロミラーを移動させるマイクロアクチュエータでは、静電力により、可動部を上方位置(マイクロミラーが入射光を反射させる位置)と下方位置(マイクロミラーが入射光をそのまま通過させる位置)に移動させてその位置に保持している。
【0004】
このような静電力を利用するマイクロアクチュエータでは、固定部に第1の電極部を配置し、可動部に第2の電極部を配置し、第1及び第2の電極部間に電圧を印加して両者の間に静電力を発生させる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−42233号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような静電力を用いる従来のマイクロアクチュエータでは、静電力で可動部を移動させて静電力で所定の位置に保持していたので、可動部の可動範囲を広くすることが困難であった。
【0007】
平行平板の電極間に働く静電力Fは、誘電率ε、電位差V、電極間距離d、電極面積Sを用いると、下記の数1に示す通りとなる。
【0008】
【数1】
=ε×V×S/2d
【0009】
数1からわかるように、電極間距離dが大きくなると、その2乗に反比例して静電力Fが急激に小さくなる。したがって、前記従来のマイクロアクチュエータでは、電極間距離dがある距離以上になると可動部を移動させることが困難となり、可動部の可動範囲を広くすることが困難であった。また、大きな電極間距離dに対して十分な静電力Fを得ようとして電位差(電極間の電圧)Vを大きくすると、絶縁耐力の点で問題が生じたり、高電圧発生部が必要になったりする。また、大きな電極間距離dに対して十分な静電力Fを得ようとして電極面積Sを大きくすると、寸法が大きくなり、小型化というマイクロアクチュエータの本来的な趣旨を損なうことになる。
【0010】
そこで、本発明者は、研究の結果、マイクロアクチュエータにおいて、静電力の代わりにローレンツ力を用いることを着想するに至った。
【0011】
ローレンツ力F(N)は、磁束密度をB(T)、電線の長さをL(m)、電流をI(A)とすると、下記の数2で示す通りとなることが知られている。
【0012】
【数2】
=I×B×L
【0013】
数2には電線の位置を規定する項目がないので、一定の磁束密度の中では、電線の位置が変わっても、発生するローレンツ力Fは変化しない。
【0014】
マイクロアクチュエータにおいて、可動部に前記電線に相当する電流経路を設け、この電流経路に対して磁場をかけ、前記電流経路に電流を流せば、可動部にローレンツ力を作用させることができる。可動部の可動範囲が従来に比べて広くても、その範囲において略一様の磁場をかけておくことは、例えば磁石を用いるなどにより、容易である。したがって、可動部の可動範囲が広くても、可動部の位置に拘わらず可動部に一定の力を作用させることができる。すなわち、マイクロアクチュエータにおいて、静電力の代わりにローレンツ力を用いれば、可動部の位置によって駆動力が変化する静電力を用いる場合とは異なり、可動部の位置に無関係に一定の駆動力を得ることが、原理的にできるのである。
【0015】
例えば、電極間隔が50μm、電極形状が50μm角、電圧が5V、誘電率が1であれば、前記数1の静電力Fは0.1nNとなる。一方、50μm角の電極に50μmの長さの電流経路を作成し、磁束密度0.1Tの磁場をかければ、電流を1mA流したときに5nNのローレンツ力が発生する。5nN以上の力を静電力で得るためには、電極間隔を7μm以下するかあるいは電極形状を350μm角以上にしなければならず、同じ駆動力を得るにはローレンツ力の方が有利であることがわかる。
【0016】
なお、例えば、20mm角のネオジミウム鉄ボロン系磁石をマイクロアクチュエータから2mm離れた位置に配置すれば、0.1Tの磁束密度は容易に得られる。
【0017】
このように、マイクロアクチュエータにおいて、静電力の代わりにローレンツ力を用いれば、高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動部の可動範囲を広げることができる。
【0018】
ところが、マイクロアクチュエータにおいて静電力の代わりにローレンツ力を用いると、新たな問題が生ずることが判明した。すなわち、静電力の代わりにローレンツ力を用いる場合には、ローレンツ力により可動部を所定位置まで移動させ、ローレンツ力により可動部をその位置に保持し続けることになる。したがって、ローレンツ力を発生させるための電流を常に流し続けることになるため、消費電力が著しく増大してしまう。
【0019】
例えば、大規模光スイッチの応用では、数万個のアクチュエータを一つの光スイッチ装置の中に持つため、各アクチュエータの低消費電力化が強く要求される。例えば、100×100チャネルの光スイッチでは、チャネルを選択するための例えばMOSスイッチを半導体基板上に製作することが必須である。MOSスイッチの抵抗を10kΩとすると、そこに1mAの電流を流し続けた場合、1つのMOSスイッチの消費電力は10mWとなる。これが1万個あるので合計では100Wもの消費電力となり、発熱が大き過ぎるため実用上問題がある。
【0020】
また、マイクロアクチュエータの制御に用いられる制御回路等を簡単化することができれば、好ましい。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動部の可動範囲を広げることができ、かつ、消費電力を低減することができ、しかも、制御回路等を簡単化することができる、マイクロアクチュエータ装置及び光スイッチシステムを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、更なる研究の結果、マイクロアクチュエータにおいて、静電力の利用とローレンツ力の利用とを結合し得るように構成することにより、前述した目的を達成し得ることを見出した。すなわち、固定部と該固定部に対して移動し得るように設けられた可動部とを備えたマイクロアクチュエータにおいて、可動部に静電力を作用させ得るようにするための電極部を固定部及び可動部にそれぞれ設け、可動部にローレンツ力を作用させるための電流経路を可動部に設けておくことによって、前述した目的を達成し得ることを、見出した。
【0023】
この手段を採用することによって、例えば、可動部の電極部と固定部の電極部との距離が大きい場合にはローレンツ力のみによって可動部を移動させ、可動部の電極部と固定部の電極部との距離が小さくなった場合には静電力のみによって可動部を保持することが、可能となる。これにより、高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動部の可動範囲を広げることができ、しかも、消費電力を低減することができる。
【0024】
静電力駆動では、電気的にはコンデンサの充放電を行っているので、消費電力は、充放電時すなわち電圧の変化時点でのみ発生する。よって、光スイッチ等に用いるマイクロアクチュエータのように、可動部が頻繁に移動せず可動部が所定位置(固定部の電極部と可動部の電極部との間の距離が小さい位置)で保持されている期間が比較的長い場合には、可動部を所定位置に保持するための力を静電力のみで発生させれば、大幅に消費電力を低減させることができるのである。例えば、電極間の容量が10pFで、電圧が5Vで、可動部の移動が1分毎に1回起こる場合、静電駆動分の消費電力は4.2pWとなる。このマイクロアクチュエータが1万個ある場合、合計の静電駆動分の消費電力は42nWとなる。また、固定部の電極部と可動部の電極との間の距離が小さい位置では、両者の間の電圧が比較的低くかつ電極面積が比較的狭くても、十分な大きさの静電力が得られる。
【0025】
ローレンツ力駆動では、可動部の位置に無関係に一定の駆動力を得ることができるので、ローレンツ力で可動部を移動させれば、可動範囲を広げることができる。ローレンツ力の消費電力は、例えば、前述した例と同様にチャネルを選択するためのオンチップのMOSスイッチの抵抗を10kΩとすると、このMOSスイッチに1mAの電流を1分ごとに10msec(可動部の移動期間に相当)流した場合、ローレンツ力駆動分の消費電力は1.7μWとなる。マイクロアクチュエータが1万個ある場合、合計のローレンツ力駆動分の消費電力は、17mWとなり、前述した常時ローレンツ力駆動する場合の消費電力100Wに比べて、大幅に低減される。全体としての消費電力のうちのほとんどはローレンツ力で占めるが、実用上大きな問題となるほどではない。
【0026】
このように、マイクロアクチュエータの中に、静電力を発生させる仕組みとローレンツ力を発生させる仕組みの、両方を搭載することにより、例えば、可動部を所定位置で保持するための力は静電力で発生させて消費電力を低減する一方、可動電極と固定電極の間隔が広いときにはローレンツ力でアクチュエータを駆動して、高電圧の印加や電極面積の拡大を抑制しつつ可動範囲を拡大することが、可能となる。
【0027】
また、可動部の位置とは無関係に、可動部の電極部と固定部の電極部との間に常時所定電圧を印加しても、その消費電力はほとんど増大することがない。また、ローレンツ力は電流の流す向きを変えることで両方向に発生させることができるので、可動部の電極部と固定部の電極部との間に常時所定電圧を印加しても、動作上何ら不都合は生じない。そして、可動部の電極部と固定部の電極部との間に常時所定電圧を印加する場合には、可動部の位置に応じて可動部の電極部と固定部の電極部との間の電圧をオン・オフするような場合に比べて、マイクロアクチュエータの制御が単純化され、制御回路等を簡単化することができる。
【0028】
本発明は、以上説明した本発明者の研究結果による新たな知見に基づいてなされたものである。
【0029】
すなわち、前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、マイクロアクチュエータと、磁界発生部と、制御部とを備えたマイクロアクチュエータ装置であって、(a)前記マイクロアクチュエータは、固定部と、該固定部に対して移動し得るように設けられた可動部と、を有し、(b)前記固定部は第1の電極部を有し、(c)前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部と、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずる電流経路と、を有し、(d)前記磁界発生部は前記磁界を発生させ、(e)前記制御部は、前記可動部の位置とは無関係に前記第1及び第2の電極部間に常時所定電圧を印加しつつ、前記電流経路に流れる電流を制御するものである。
【0030】
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第1の態様において、前記可動部が薄膜で構成されたものである。
【0031】
本発明の第3の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第1又は第2の態様において、前記電流経路は、前記静電力が増大する第1の位置に前記可動部を移動させるような方向及びその逆方向にローレンツ力を生じ得るように、配置されたものである。
【0032】
本発明の第4の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第3の態様において、前記可動部は、前記第1の位置と前記静電力が低下又は消失する第2の位置との間を移動し得るとともに、前記第2の位置に復帰しようとする復帰力が生ずるように、設けられたものである。
【0033】
本発明の第5の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第4の態様において、前記第1の電極部と前記第2の電極部とが対向して配置され、前記可動部は、前記可動部が前記第1の位置に位置するときには前記第1及び第2の電極部間の間隔が狭まるとともに前記可動部が前記第2の位置に位置するときには前記間隔が広がるように、バネ性を有するバネ性部を介して前記固定部に対して機械的に接続され、前記復帰力が前記バネ性部により生ずるものである。
【0034】
本発明の第6の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第4又は第5の態様において、前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる際には、前記可動部が前記第2の位置へ移動するように、前記電流を制御するものである。
【0035】
本発明の第7の態様によるマイクロアクチュエータ装置は、前記第3乃至第6のいずれかの態様において、前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置へ移動させる際には、前記可動部が前記第1の位置へ移動するように、前記電流を制御し、前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置に保持している少なくとも定常的な保持状態においては、前記電流を流さないように制御するものである。
【0036】
本発明の第8の態様による光スイッチシステムは、前記第1乃至第7のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータ装置と、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたものである。
【0037】
本発明の第9の態様による光スイッチシステムは、前記第8の態様において、前記マイクロアクチュエータ及び前記ミラーの組を複数備え、当該組が2次元状に配置されたものである。
【0038】
本発明の第10の態様による光スイッチシステムは、前記第9の態様において、前記各マイクロアクチュエータの前記第1の電極部が互いに共通に電気的に接続され、前記各マイクロアクチュエータの前記第2の電極部が互いに共通に電気的に接続されたものである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるマイクロアクチュエータ装置及びこれを用いた光スイッチシステムについて、図面を参照して説明する。
【0040】
[第1の実施の形態]
【0041】
図1は、本発明の第1の実施の形態による光スイッチアレー1を備えた光スイッチシステムの一例を示す概略構成図である。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。光スイッチアレー1の基板11の面がXY平面と平行となっている。なお、説明の便宜上、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という。
【0042】
本実施の形態による光スイッチシステムは、図1に示すように、光スイッチアレー1と、M本の光入力用光ファイバ2と、M本の光出力用光ファイバ3と、N本の光出力用光ファイバ4と、光スイッチアレー1に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号を光スイッチアレー1に供給する外部制御回路6と、を備えている。図1に示す例では、M=3、N=3となっているが、M及びNはそれぞれ任意の数でよい。
【0043】
本実施の形態では、磁石5は、図1に示すように、Y軸方向の+側がN極に−側がS極に着磁された板状の永久磁石であり、光スイッチアレー1の下側に配置され、光スイッチアレー1に対して磁力線5aで示す磁界を発生している。すなわち、磁石5は、光スイッチアレー1に対して、Y軸方向に沿ってその−側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石5に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
【0044】
光スイッチアレー1は、図1に示すように、基板11と、基板11上に配置されたM×N個のミラー12とを備えている。M本の光入力用光ファイバ2は、基板11に対するX軸方向の一方の側からX軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。M本の光出力用光ファイバ3は、M本の光入力用光ファイバ2とそれぞれ対向するように基板11に対する他方の側に配置され、光スイッチアレー1のいずれのミラー12によっても反射されずにX軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。N本の光出力用光ファイバ4は、光スイッチアレー1のいずれかのミラー12により反射されてY軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。M×N個のミラー12は、M本の光入力用光ファイバ2の出射光路と光出力用光ファイバ4の入射光路との交差点に対してそれぞれ、後述するマイクロアクチュエータにより進出及び退出可能にZ軸方向に直線移動し得るように、2次元マトリクス状に基板11上に配置されている。なお、本例では、ミラー12の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてX軸と45゜をなすように設定されている。もっとも、その角度は適宜変更することも可能であり、ミラー12の角度を変更する場合には、その角度に応じて光出力用光ファイバ4の向きを設定すればよい。また、図1は光ビームを空間で交差させてスイッチを行う装置であり、ファイバー端には光ビームとの結合を改善する為に、レンズを挿入することもある。
【0045】
この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
【0046】
次に、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、図2乃至図5を参照して説明する。図2は、1つの光スイッチを示す概略平面図である。図3は、図2中のX1−X2線に沿った概略断面図である。図4は、図2中のY1−Y2線に沿った概略断面図である。図5は、図3に対応する概略断面図であり、ミラー12が下側に保持された状態を示している。なお、図3は、ミラー12が上側に保持された状態を示している。
【0047】
この光スイッチは、前述したミラー12及び固定部としての前記基板11の他に、基板11に対して移動し得るように設けられた可動部としての可動板21を備えている。基板11には、可動板21が進入する領域となる凹部13が形成されている。本実施の形態では、基板11としてシリコン基板等の半導体基板が用いられ、基板11における可動板21との対向部分が第1の電極部を構成している。もっとも、基板11とは別に、基板11上に金属膜等により第1の電極部を形成してもよい。
【0048】
可動板21は、薄膜で構成され、下側絶縁膜22と、下側絶縁膜22上に形成された2つの第2の電極部23a,23bと、下側絶縁膜22上に形成され電極部23a,23bをそれぞれ基板11の所定箇所に電気的に接続するための配線パターン24a,24bの一部と、下側絶縁膜22上に形成され図1中の磁石5により生じた磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずる電流経路としてのコイル層25と、これらの上側を覆う上側絶縁膜26と、を有している。第2の電極部23a,23bは、前記第1の電極部を構成している基板11との間の電圧により基板11との間に静電力を生じ得るものである。
【0049】
絶縁膜22,26としては、例えば、SiN膜又はSiO膜などを用いることができる。電極部23a,23b、配線パターン24a,24b及びコイル層25としては、例えば、Al膜等の金属膜などを用いることができる。なお、電極部23a,23b、配線パターン24a,24bの一部、及びコイル層25は、上側絶縁膜26で覆われているため、図2では本来隠れ線で示すべきであるが、図面表記の便宜上、上側絶縁膜26で隠れた部分も実線で示している。ただし、コイル層25におけるミラー12で隠れた部分は隠れ線で示している。
【0050】
本実施の形態では、可動板21のX軸方向の両端部が、バネ性を有するバネ性部としてのフレクチュア部27a,27bと、アンカー部28a,28bとを、それぞれこの順に介して、基板11における凹部13の周辺部に機械的に接続されている。フレクチュア部27a,27b及びアンカー部28a,28bは、可動板21からそのまま連続して延びた、下側絶縁膜22、前記配線パターン24a,24bの残りの部分、コイル層25をそれぞれ基板11の所定箇所に電気的に接続するための配線パターン29a,29b、及び上側絶縁膜26で構成されている。なお、配線パターン29a,29bは、コイル層25を構成する金属膜等がそのまま連続して延びたものとなっている。配線パターン24a,24b,29a,29bは、アンカー部28a,28bにおいて、下側絶縁膜22に形成した穴(図示せず)を介して基板11の所定箇所にそれぞれ電気的に接続されている。配線パターン24a,24bは、基板11に形成された配線(図示せず)により、電気的に共通に接続されている。
【0051】
フレクチュア部27a,27bは図2に示すように平面視で曲がりくねった形状を有している。これにより、可動板21は、上下に(Z軸方向に)移動し得るようになっている。すなわち、本実施の形態では、可動板21は、フレクチュア部27a,27bのバネ力(復帰力)により復帰しようとする上側位置(第2の位置)(図3及び図4参照)と、可動板21が基板11の凹部13に進入してその底部に当接する下側位置(第1の位置)(図5参照)との間を、移動し得るようになっている。図3及び図4に示す上側位置では、可動板21の第2の電極部23a,23bと第1の電極部としての基板11との間隔が広がって、両者の間に生じ得る静電力は低下又は消失する。図5に示す下側位置では、可動板21の第2の電極部23a,23bと第1の電極部としての基板11との間隔が狭まって、両者の間に生じ得る静電力は増大する。
【0052】
コイル層25は、前記静電力が増大する図5に示す下側位置に可動板21を移動させるような方向(下方向)及びその逆方向(上方向)にローレンツ力を生じ得るように、配置されている。具体的には、本実施の形態では、前述したように図1中の磁石5によりY軸方向に沿ってその−側へ向かう磁界が発生されているので、コイル層25は、図1に示すように、X軸方向に延びるように配置されている。
【0053】
ミラー12は、可動板21の上面に直立して固定されている。前述したように、ミラー12の反射面の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてX軸と45゜をなすように設定されている。
【0054】
前述した光スイッチの構造のうちミラー12以外の構成要素によって、ミラー12を駆動するマイクロアクチュエータが構成されている。
【0055】
次に、1つの光スイッチに着目して、その制御方法の一例とこれによる光スイッチの動作について、図6を参照して説明する。図6は、1つの光スイッチのコイル層25に流れてローレンツ力を起こす電流(以下、「ローレンツ力用電流」という)と、当該光スイッチの第1の電極部(基板11)と可動板21の第2の電極部23a,23bとの間に静電力を起こす両者間の電圧(以下、「静電力用電圧」という。)と、当該光スイッチのミラー12の位置(したがって、可動板21の位置)との、時間変化による関係を示す、タイミングチャートである。
【0056】
図6に示すように、ミラー12の位置と無関係に、静電力用電圧が常時所定の電圧Vとされる。この電圧Vは、ローレンツ力用電流がゼロとされミラー12が図3及び図4に示すように上側位置に位置している状態において、前記電極間の静電力が実質的に消失するかあるいはフレクチュア部27a,27bのバネ力と釣り合うように、設定されている。また、この電圧Vは、ローレンツ力用電流がゼロとされミラー12が図5に示すように下側位置に位置しているときに、フレクチュア部27a,27bのバネ力より強い静電力を発生させるように、設定されている。
【0057】
最初に、ローレンツ力用電流がゼロであり、フレクチュア部27a,27bのバネ力により、ミラー12が図3及び図4に示すように上側位置に保持されていたとする。この状態では、図3に示すように、入射光はミラー12にて反射され紙面手前側に進行する。
【0058】
その後、時刻T1において、ミラー12の位置を図5に示す下側位置に切り替えるべく制御を開始する。すなわち、時刻T1において、ローレンツ力用電流を+Iとする。ここで、+Iは、コイル層25に、フレクチュア部27a,27bのバネ力より強くかつ下向きのローレンツ力を発生させる電流である。
【0059】
ミラー12は、このローレンツ力により徐々に下降し、可動板21が基板11に当接した時刻T2で停止し、図5に示す下側位置に保持される。
【0060】
このままローレンツ力によってミラー12を下側位置に保持し続けるのではなく、時刻T3でローレンツ力用電流をゼロにする。この時にローレンツ力はなくなるが、前記電極間には静電力が働いているためミラー12は下側位置に保持される。期間T2−T3は、ミラー12の下側位置への保持を静電力のみによる保持に切り替えるいわば下側保持の過渡期間であり、期間T3以降がいわば下側保持の定常期間である。
【0061】
ミラー12が下側位置に保持された期間では、図5に示すように、入射光はミラー12で反射されることなく、そのまま通過して出射光となる。
【0062】
その後、時刻T4において、ミラー12の位置を図3及び図4に示す上側位置に切り替えるべく制御を開始する。すなわち、時刻T4において、ローレンツ力用電流を−Iとする。ここで、−Iは、フレクチュア部27a,27bのバネ力とローレンツ力の和が前記電極間の静電力より大きくかつ上向きのローレンツ力を発生させる電流である。その結果、ミラー12は、上方へ移動し、時刻T5において図3及び図4に示す上側位置に戻る。その後、時刻T6でローレンツ力用電流をゼロにする。この時にローレンツ力はなくなるが、フレクチュア部27a,27bのバネ力より図3及び図4に示す上側位置に保持され続ける。期間T5−T6は、ミラー12の上側位置への保持をフレクチュア部27a,27bのバネ力による保持に切り替えるいわば上側保持の過渡期間であり、期間T6以降がいわば上側保持の定常期間である。
【0063】
このように、可動板21の第2の電極部23a,23bと基板11(第1の電極部)との間の間隔が大きいときに、ミラー12の位置(可動板21の位置)に大きさが依存しないローレンツ力により、ミラー12をフレクチュア部27a,27bのバネ力に抗して下側位置に移動させている。したがって、静電力を高めるべく高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動板21の可動範囲を広げることができる。また、可動板21の第2の電極部23a,23bと基板11(第1の電極部)との間の間隔が小さくなった下側位置の保持の定常状態では、静電力のみによってミラー12を下側位置に保持し、可動板21の第2の電極部23a,23bと基板11(第1の電極部)との間の間隔が大きくなった上側位置の保持の定常状態では、フレクチュア部27a,27bのバネ力によってミラー12を上側位置に保持しているので、消費電力を低減することができる。
【0064】
そして、前述の動作説明からわかるように、ローレンツ力は電流の流す向きを変えることで両方向に発生させることができるので、静電力用電圧を常時所定電圧Vにしても、動作上何ら不都合は生じない。
【0065】
図1に示す光スイッチアレー1は、前述した単位素子としての図2乃至図5に示す光スイッチを複数有し、これらの光スイッチが2次元マトリクスに配置されている。また、図1に示す光スイッチアレー1には、これらの光スイッチの各々に対して前述したような制御を、少ない本数の制御線で実現するべく、複数のスイッチング素子を含む図7に示す回路が搭載されている。図7は、光スイッチアレー1を示す電気回路図である。
【0066】
図7では、説明を簡単にするため、9個の光スイッチを3行3列に配置している。もっとも、その数は何ら限定されるものではなく、例えば100行100列の光スイッチを有する場合も、原理は同一である。
【0067】
図2乃至図5に示す単一の光スイッチは、電気回路的には、1個のコンデンサ(第2の電極23aと第1の電極(基板11)とがなすコンデンサと、第2の電極23bと第1の電極(基板11)とがなすコンデンサとが、並列接続された合成コンデンサに相当)と、1個のコイル(コイル層25に相当)と見なせる。図7では、m行n列の光スイッチのコンデンサ及びコイルをそれぞれCmn及びLmnと表記している。例えば、図7中の左上の(1行1列の)光スイッチのコンデンサ及びコイルをそれぞれC11及びL11と表記している。
【0068】
制御線の本数を減らすために、図7に示す回路では、コイルLmnに対してそれぞれ、列選択スイッチMmndと行選択スイッチMmncが設けられている。コイルLmnの一端が行選択スイッチMmncの一端に接続され、行選択スイッチMmncの他端が列選択スイッチMmndの一端に接続され、列選択スイッチMmndの他端は電流制御スイッチMC3の一端及び電流制御スイッチMC4の一端に接続されている。コイルLmnの他端はグランドに接続されている。電流制御スイッチMC3の他端は前記電流+Iを供給する電流源I1の一端に接続され、電流源I1の他端はグランドに接続されている。電流制御スイッチMC4の他端は前記電流−Iを供給する電流源I2の一端に接続され、電流源I2の他端はグランドに接続されている。電流制御スイッチMC3,MC4のゲートは、端子C3,C4にそれぞれ接続されている。
【0069】
スイッチング素子としての列選択スイッチMmnd、行選択スイッチMmnc、電流制御スイッチMC3,MC4は、例えば、基板11としてシリコン基板を用いた場合、基板11に形成したN型MOSトランジスタで構成することができる。
【0070】
1行目の行選択スイッチM11c,M12c,M13cのゲートは、端子V1に接続されている。同様に、2行目の行選択スイッチのゲートは端子V2に、3行目の行選択スイッチのゲートは端子V3にそれぞれ接続されている。
【0071】
1列目の列選択スイッチM11d,M21d,M31dのゲートは、端子H1に接続されている。同様に、2列目の列選択スイッチのゲートは端子H2に、3行目の列選択スイッチのゲートは端子H3にそれぞれ接続されている。
【0072】
一方、コンデンサCmnに対しては列選択スイッチ及び行選択スイッチは設けられておらず、各コンデンサCmnの一端が電気的に互いに共通に接続されてグランドに接続され、各コンデンサCmnの他端が互いに電気的に共通に接続されてクランプ電圧VCに接続されている。これは、前述したように、静電力用電圧を常時所定電圧V(クランプ電圧VCに相当)にしておくことができるためである。各コンデンサCmnに対する印加電圧を個別に制御する場合には、コイルLmnの場合と同様に、各コンデンサCmnに対しては列選択スイッチ及び行選択スイッチを設ける必要がある。本実施の形態では、その場合に比べて、図7に示す回路構成が簡単となっているとともに、コンデンサCmnの制御のための制御端子が不要となっている。
【0073】
次に、各端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C3,C4に印加する電圧のタイミングチャートの一例を、図8に示す。図8において、時刻t1以前は、全ての光スイッチの光路切換状態をそのまま保持する待機期間である。この期間では、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3は全てハイレベルとされて、全ての列選択スイッチMmnd及び行選択スイッチMmncが導通状態になっているが、端子C3,C4がローレベルとされて電流制御スイッチMC3,MC4が不導通状態になっている。待機期間では、ミラー12は上側位置及び下側位置のいずれかに保持されている。図8の例では、時刻t1以前の待機期間では、ミラー12が上側位置に保持されている。
【0074】
ところで、本実施の形態では、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C3,C4に印加する信号(電圧)は、図1中の外部制御回路6から制御信号として供給される。外部制御回路6は、例えば、光路切換状態指令信号に基づいて、現在の位置状態から変更すべき光スイッチを調べて、当該変更すべき光スイッチの1つずつについて、状態変更期間を1つずつ順次設定していく。現在の位置状態から変更すべき光スイッチがない場合には、前記待機期間を設定する。また、状態変更期間を複数設定する場合(つまり、現在の位置状態から変更すべき光スイッチの数が2つ以上の場合)には、各状態変更期間の間に待機期間を設定してもよいし、設定しなくてもよい。例えば、現在の位置状態から変更すべき光スイッチの数が3つある場合には、状態変更期間→待機期間→状態変更期間→待機期間→状態変更期間を設定してもよいし、連続して状態変更期間を設定してもよい。そして、設定した各状態変更期間においては、対応する光スイッチについて、指令された光路切換状態に応じて前述した図6に示すような制御が実現されるように、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C3,C4に印加する信号を供給する。なお、外部制御回路6を光スイッチアレー1に搭載してもよいことは、言うまでもない。
【0075】
図8は、外部制御回路6により、待機期間→1行1列の光スイッチについての状態変更期間→待機期間が、設定された例である。図8の例では、時刻t1以前の電圧リフレッシュ期間では、ミラー12が上側位置に保持されている。時刻t1で、1行1列の光スイッチについての状態変更期間が開始され、端子V2,V3,H2,H3がローレベルにされて1行1列のコイルL11が選択される。次に、時刻t3で端子C3がハイレベルにされ、これにより電流制御スイッチMC3が導通し、電流源I1からスイッチM11c,M11dを経由してコイルL11に電流+Iが流れる。この時刻t2は図6中の時刻T1に対応している。この電流+Iで発生するローレンツ力によって、ミラー12は、上側から下側に移動する。下側位置への移動後、時刻t3で端子C3がローレベルにされ、電流制御スイッチMC3が不導通状態とされる。この時刻t3は図6中の時刻T3に対応している。その後、時刻t4で、当該状態変更期間を終了し、待機期間とされる。
【0076】
次に、本実施の形態による光スイッチシステムで用いる光スイッチアレー1の製造方法の一例について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10の各図は、この製造工程を模式的に示す概略断面図であり、図4に対応している。
【0077】
まず、前記基板11となるべきシリコン基板31に、図7中のスイッチMmnc,Mmnd,MC3,MC4となるMOSトランジスタ(図示せず)を、通常のMOSプロセスで形成する。また、シリコン基板11に図7に示す回路を実現するのに必要な配線(図示せず)を形成する。この状態の基板31の表面にSiO膜32を成膜する。次に、SiO膜32上に下側絶縁膜22となるべきSiN膜33を成膜する。なお、SiO膜32及びSiN膜33には、基板31に形成したMOSトランジスタに配線パターン24a,24b,29a,29bを接続すべき箇所に、接続用の穴をフォトエッチ法により形成しておく。この状態の基板31上に、電極部23a,23b、配線パターン24a,24b,29a,29b及びコイル層25となるべきAl膜34を蒸着法等により形成した後、フォトエッチ法によりパターニングし、これらの形状とする。その後、上側絶縁膜26となるべきSiN膜35を成膜し、フォトエッチ法によりSiN膜33,35を、可動板21、フレクチュア部27a,27b及びアンカー部28a,28bの形状にパターニングする(図9(a))。
【0078】
次に、図9(a)に示す状態の基板31上にSiO膜36を成膜する。そして、SiO膜36におけるミラー12を形成すべき箇所、及び、SiO膜32,36におけるエッチングホールを形成すべき箇所を、除去する(図9(b))。
【0079】
次いで、図9(b)に示す状態の基板にレジスト37を厚塗りする。ここで、レジスト37を露光、現像して、ミラー12が成長される領域をレジスト37に形成する(図9(c))。その後、電解メッキによりミラー12となるべきAu、Niその他の金属38を成長させる(図10(a))。
【0080】
次に、レジスト37を除去した後、KOH溶液をエッチングホールを介して注入し、基板31の一部を除去する(図10(b))。最後に、残存しているSiO膜32,36を除去する。これにより、本実施の形態による光スイッチアレー1が完成する。
【0081】
本実施の形態によれば、前述したように静電力とローレンツ力とが巧みに利用されるため、高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動部の可動範囲を広げることができ、かつ、消費電力を低減することができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、前述したように、光スイッチの第1の電極部(基板11)と可動板21の第2の電極部23a,23bとの間に常時所定電圧を印加することにより、図7に示す回路構成が簡単となっているとともに、コンデンサCmnの制御のための制御端子が不要となっている。このように回路構成が簡単となるため、製造歩留まりが向上しコストダウンできるというメリットがある。また、コンデンサCmnの制御のための制御端子が不要であるため、外部から制御しなければならない端子数が減り、これによりコストダウンできる。
【0083】
[第2の実施の形態]
【0084】
図11は、本発明の第2の実施の形態による光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを構成する単位素子としての1つの光スイッチ(すなわち、1つのマイクロアクチュエータ111及びこれにより駆動される1つのミラー12)を模式的に示す概略平面図である。図11では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って形成された保護膜としてのSiN膜144は省略して示し、本来実線で書くべき凸条部149,150のラインを破線で示し、Al膜142,143にそれぞれ異なるハッチングを付している。図12は、図11中のX11−X12線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図11中のX19−X20線に沿った概略断面図は図12と同様となる。図13は、図11中のX13−X14線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図11中のX17−X18線に沿った概略断面図は図13と同様となる。図14は、図11中のX15−X16線に沿った概略断面図である。図15は、図11中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。図16は、図11中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。図17は、図11中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。図18は、図11中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。なお、図12乃至図18では、梁構成部132,134がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132,134は、実際には、可動部が力を受けていない状態において、当該梁構成部132,134を構成する膜の応力によって+Z方向に湾曲している。
【0085】
前記第1の実施の形態では、ミラー12を駆動するマイクロアクチュエータがフレクチュア部27a,27bによる両持ち構造を有していたのに対し、本実施の形態では、マイクロアクチュエータ111は片持ち梁構造を有している。
【0086】
本実施の形態で用いられているマイクロアクチュエータ111は、シリコン基板やガラス基板等の基板121と、脚部122,123と、Z軸方向から見た平面視で主としてX軸方向に並行して延びた2本の帯板状の梁部124,125と、梁部124,125の先端(自由端、+X方向の端部)に設けられそれらの間を機械的に接続する平面視で長方形状の接続部126と、梁部124を構成する梁構成部133及び梁部125を構成する梁構成部135の固定端側同士を補強のために機械的に接続する接続部127と、固定電極128と、を備えている。
【0087】
梁部124の固定端(−X方向の端部)は、基板121上のシリコン酸化膜等の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる配線パターン130,131(図11では省略)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部122a,122bからなる脚部122を介して、基板121に機械的に接続されている。同様に、梁部125の固定端(−X方向の端部)は、基板121上の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる2つの配線パターン(図示せず)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部123a,123bからなる脚部123を介して、基板121に機械的に接続されている。前述したように、梁部124,125の自由端間が接続部126で機械的に接続され、梁構成部132,134の固定端側同士が接続部127で機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が、全体として、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。本実施の形態では、基板121、固定電極128及び絶縁膜129が、固定部を構成している。
【0088】
梁部124は、前記可動部の固定端と自由端との間に機械的にX軸方向に直列に接続された2つの梁構成部132,133を有している。梁構成部132は、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた帯板状に構成されている。梁構成部133は、帯板状に構成され、図11に示すように、Z軸方向から見た平面視で、主としてX軸方向に延びているものの、−X側の位置でY軸方向に折れ曲がったような形状を有している。固定端側(−X側)の梁構成部132はZ軸方向に撓み得る板ばね部となっているのに対し、自由端側(+X側)の梁構成部133はZ軸方向(基板121側及びその反対側)の撓み及びその他の方向の撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部となっている。
【0089】
梁構成部132は、下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。Al膜142とAl膜143とは、同一階層に形成されているが、図11に示すように、若干Y軸方向に隙間をあけて形成され、互いに電気的に分離されている。これは、Al膜142を静電力用の可動電極への配線として用い、Al膜143をローレンツ力用の電流経路を形成するための配線として用いるためである。静電力用の配線ではほとんど電流を流さない一方、ローレンツ力用の配線では比較的大きい電流を流すため、ローレンツ力用の配線の電気抵抗を低減するべく、Al膜142は幅が狭く形成され、Al膜143は幅が広く形成されている。
【0090】
梁構成部133は、梁構成部132からそのまま連続して延びた下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、構成されている。しかし、後述する凸条部149,150を形成することによって、梁構成部133に前述した剛性を持たせている。
【0091】
図12では、梁構成部132がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132は、実際には、駆動信号が供給されていない状態において、膜141〜144の応力によって、上方(基板121と反対側、+Z方向)に湾曲している。このような湾曲状態は、膜141,142,144の成膜条件を適宜設定することにより、実現することができる。一方、梁構成部133は、駆動信号の供給の有無に拘わらずZ軸方向に実質的に湾曲しておらず、前述した剛性を持つことにより、膜141〜144の応力により湾曲することがなく常に平板状の状態を維持する。このように、梁構成部132と梁構成部133とは、梁部124が力を受けない状態で、異なる湾曲・非湾曲状態を持っている。
【0092】
本実施の形態では、脚部122は、梁構成部132を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成され、2つの個別脚部122a,122bを有している。脚部122が2つの個別脚部122a,122bを有しているのは、静電力用の配線とローレンツ力用の配線とを分離して、Al膜142とAl膜143とを基板121上の別々の配線パターン130,131にそれぞれ電気的に接続させるためである。Al膜142は、個別脚部122aにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン130に電気的に接続されている。Al膜143は、個別脚部122bにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン131に電気的に接続されている。なお、脚部122の上部には、脚部122の強度を補強するために、凸条部151がZ方向から見た平面視で個別脚部122a,122bを一括して囲むように口の字状に形成されている。
【0093】
梁部125及び脚部123は、前述した梁部124及び脚部122とそれぞれ全く同一の構造を有している。梁部125を構成する梁構成部134,135は、梁部124を構成する梁構成部132,133に相当している。脚部123を構成する個別脚部123a,123bは、脚部122を構成する個別脚部122a,122bにそれぞれ相当している。また、脚部123の上部には、前述した凸条部151に相当する凸条部152が形成されている。
【0094】
接続部127は、梁構成部133,135からそのまま連続して延びたSiN膜141,144の2層膜で構成されている。接続部127には、梁構成部133,135からのAl膜142,143は延びておらず、接続部127においては、何ら電気的な接続は行われていない。
【0095】
本実施の形態では、梁構成部133,135及び接続部126,127に一括して剛性を付与するべく、図11中の破線で示すように、平面視でこれらの一括した領域の外周側において周回するように凸条部149が形成され、前記一括した領域の内周側に周回するように凸条部150が形成されている。この凸条部149,150によって、梁構成部133,135が補強されて剛性を有している。梁構成部133,135は、駆動信号の供給の有無に拘わらずZ軸方向に実質的に湾曲しておらず、前述した剛性を持つことにより、膜141〜144の応力により湾曲することがなく常に平板状の状態を維持する。
【0096】
接続部126は、梁構成部133,135を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成されている。接続部126には、被駆動体としてのAu、Ni又はその他の金属からなるミラー12が設けられている。
【0097】
接続部126において、Al膜142とAl膜143とは図11に示すように分離されており、接続部126におけるAl膜142の部分が静電力用の可動電極として兼用されている。この可動電極に対向する基板121上の領域には、Al膜からなる静電力用の固定電極128が形成されている。図面には示していないが、固定電極128を構成するAl膜は配線パターンとしても延びており、前記配線パターン130と共に利用することによって、固定電極128と可動電極として兼用された接続部126におけるAl膜142との間に電圧(静電力用電圧)を、印加できるようになっている。
【0098】
一方、前述した説明からわかるように、Al膜143によって、脚部122の個別脚部122b下の配線パターン131から、梁構成部132→梁構成部133→接続部126→梁構成部135→梁構成部134を経て、脚部123の個別脚部123b下の配線パターン(図示せず)へ至る、電流経路が構成されている。この電流経路のうち、接続部126におけるY軸方向に沿った電流経路が、X軸方向の磁界内に置かれたときに、Z軸方向へ向かうローレンツ力を発生させる部分となっている。したがって、永久磁石等(図示せず)を用いてX軸方向の磁界内に置き、前記電流経路へ電流(ローレンツ力用電流)を流すと、接続部126におけるAl膜143にローレンツ力(駆動力)がZ方向へ作用する。なお、このローレンツ力の向きが+Z方向であるか−Z方向であるかは、ローレンツ力用電流の向きによって定まる。
【0099】
したがって、本実施の形態においても、1つの光スイッチに対して、前述した図6に示す制御と同様の制御を行うことにより、ミラー12が上側(基板121と反対側)に保持された状態及びミラー12が下側(基板121側)に保持された状態にすることができる。本実施の形態では、このような制御が行われるようになっている。
【0100】
本実施の形態では、図19に示すように、ミラー12及びこれを駆動するマイクロアクチュエータ111で構成された光スイッチが複数基板121上に2次元マトリクスに配置され、これらが光スイッチアレーを構成している。本実施の形態では、梁構成部133,135が、図11に示すように、Z軸方向から見た平面視で−X側の位置でY軸方向に折れ曲がったような形状を有し、これにより、梁部124,125の途中をY軸方向に折れ曲がったような形状にしているため、図19に示すように、複数のマイクロアクチュエータ111を基板121上に2次元状に配置する場合、その配置密度を高めることができるようになっている。図19は、本実施の形態による光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを模式的に示す概略平面図である。
【0101】
なお、本実施の形態では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って、保護膜としてのSiN膜144が形成されているが、このSiN膜144は形成しなくてもよい。ただし、この場合、Al膜142,143の電気的な絶縁を確保するため、ミラー12の下部にはSiN膜144を残しておく。
【0102】
図面には示していないが、本実施の形態で用いられている光スイッチアレーには、前記第1の実施の形態と同様に、図7に示す回路と同様の回路が搭載されている。当該回路には、前記第1の実施の形態と同様に、例えば、図8に示すような信号を印加すればよい。なお、本実施の形態で用いられている光スイッチアレーは、例えば、MOSトランジスタ製造プロセスの他、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。
【0103】
本実施の形態による光スイッチシステムは、前述した光スイッチアレーの他、図20及び図21に示すように、光導波路基板190を有している。図20及び図21は、それぞれ本発明の第2の実施の形態による光スイッチシステムの要部を模式的に示す概略断面図である。図20はミラー12が上側に保持されて光路に進出した状態、図21はミラー12が下側に保持されて光路から退出した状態を示している。なお、図20及び図21において、マイクロアクチュエータ111の構造は大幅に簡略化して示している。図22は、図20及び図21中の光導波路基板190の一部を模式的に示す概略斜視図である。
【0104】
本実施の形態では、光導波路基板190は、図22に示すように、切り替えるべき光を伝搬する4本の光導波路191〜194を有している。光導波路基板190は中央部に例えば幅数十μm程度の溝196を有し、溝196の側面に光導波路191〜194の端面191a,192a,193b,194bが露出されている。端面191aと端面192aとの間隔、及び、端面193bと端面194bとの間隔は、図20及び図21に示すように、ミラー12の反射面で覆うことのできる間隔に設計されている。
【0105】
図20及び図21に示すように、光導波路基板190が、マイクロアクチュエータ111の基板121上に設置され、導波路基板190と基板121との間の空間及びこれに連通する溝196内の空間内に、屈折率整合液202が封入されている。もっとも、屈折率整合液202は必ずしも封入しなくてもよいが、屈折率整合液を用いた場合は、光のビームの損失がより少なくなる。なお、基板121と光導波路基板190とは、ミラー12が溝196内に挿入できるように位置合わせされている。
【0106】
なお、図20乃至図22では、光導波路基板190における光導波路の交差点が1つであるものとして示しているが、実際には、光導波路基板190において光導波路を2次元マトリクス状に形成することにより、光導波路の交差点が2次元マトリクス状に配置され、これに応じて、基板121上に複数のマイクロアクチュエータ111が2次元状に配置され、光導波路の各交差点に位置するミラー12が個々のマイクロアクチュエータ111で駆動するように構成されている。
【0107】
また、本実施の形態による光スイッチシステムでは、図面には示していないが、前述した磁界を発生する磁界発生部として、例えば、永久磁石が光導波路基板190上に設けられている。
【0108】
前述した制御によって、図21に示すように、ミラー12が光導波路193,194の端面193b,194bより下側に位置すると、例えば、光導波路193の端面193aから光を入射した場合、光導波路193を伝搬した光は、端面193bから出射され、そのまま対向する光導波路192の端面192aに入射し、光導波路192を伝搬して端面192bから出射される。また、例えば、光導波路191の端面191bから光を入射した場合、光導波路191を伝搬した光は、端面191aから出射され、そのまま対向する光導波路194の端面194bに入射し、光導波路194を伝搬して端面194aから出射される。
【0109】
一方、前述した制御によって、図20に示すように、ミラー12が光導波路193,194の端面193b,194bを覆うように位置すると、例えば、光導波路193の端面193aから光を入射した場合、光導波路193を伝搬した光は、端面193bから出射され、ミラー12で反射されて、光導波路194の端面194bに入射し、光導波路194を伝搬して端面194aから出射される。また、例えば、光導波路191の端面191bから光を入射した場合、光導波路191を伝搬した光は、端面191aから出射され、ミラー12で反射されて、光導波路192の端面192aに入射し、光導波路192を伝搬して端面192bから出射される。
【0110】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0111】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0112】
例えば、前述した実施の形態は、複数の光スイッチを2次元状に配置した光スイッチアレーを有する光スイッチシステムの例であったが、本発明は1つの光スイッチのみを有する光スイッチシステムであってもよい。また、前述した実施の形態は、本発明によるマイクロアクチュエータ装置を光スイッチシステムに適用した例であったが、本発明によるマイクロアクチュエータ装置の用途は、光スイッチシステムに限定されるものではない。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高い電圧をかけたり小型化を損なったりすることなく、可動部の可動範囲を広げることができ、かつ、消費電力を低減することができ、しかも、制御回路等を簡単化することができる、マイクロアクチュエータ装置及び光スイッチシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光スイッチシステムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示す光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを構成する1つの光スイッチを示す概略平面図である。
【図3】図2中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図4】図2中のY1−Y2線に沿った概略断面図である。
【図5】図3に対応する概略断面図である。
【図6】図1に示す光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを構成する1つの光スイッチの、ローレンツ力用電流と静電力用電圧とミラーの位置との時間変化による関係を示す、タイミングチャートである。
【図7】図1に示す光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを示す電気回路図である。
【図8】図7中の各端子に供給する信号を示すタイミングチャートである。
【図9】図1に示す光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーの各製造工程を模式的に示す概略断面図である。
【図10】図1に示す光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーの他の各製造工程を模式的に示す概略断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態による光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを構成する単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。
【図12】図11中のX11−X12線に沿った概略断面図である。
【図13】図11中のX13−X14線に沿った概略断面図である。
【図14】図11中のX15−X16線に沿った概略断面図である。
【図15】図11中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。
【図16】図11中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。
【図17】図11中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。
【図18】図11中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態による光スイッチシステムで用いられている光スイッチアレーを模式的に示す概略平面図である。
【図20】ミラーが上側に保持されている状態における、本発明の第2の実施の形態による光スイッチシステムの要部を模式的に示す概略断面図である。
【図21】ミラーが下側に保持されている状態における、本発明の第2の実施の形態による光スイッチシステムの要部を模式的に示す概略断面図である。
【図22】図20及び図21中の光導波路基板の一部を模式的に示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 光スイッチアレー
2 光入力用光ファイバ
3,4 光出力用光ファイバ
5 磁石
6 外部制御回路
11 基板(第1の電極部)
12 ミラー
13 凹部
21 可動板
23a,23b 第2の電極部
25 コイル層(電流経路)
27a,27b フレクチュア部

Claims (10)

  1. マイクロアクチュエータと、磁界発生部と、制御部とを備えたマイクロアクチュエータ装置であって、
    前記マイクロアクチュエータは、固定部と、該固定部に対して移動し得るように設けられた可動部と、を有し、
    前記固定部は第1の電極部を有し、
    前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部と、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずる電流経路と、を有し、
    前記磁界発生部は前記磁界を発生させ、
    前記制御部は、前記可動部の位置とは無関係に前記第1及び第2の電極部間に常時所定電圧を印加しつつ、前記電流経路に流れる電流を制御する、
    ことを特徴とするマイクロアクチュエータ装置。
  2. 前記可動部が薄膜で構成されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ装置。
  3. 前記電流経路は、前記静電力が増大する第1の位置に前記可動部を移動させるような方向及びその逆方向にローレンツ力を生じ得るように、配置されたことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロアクチュエータ装置。
  4. 前記可動部は、前記第1の位置と前記静電力が低下又は消失する第2の位置との間を移動し得るとともに、前記第2の位置に復帰しようとする復帰力が生ずるように、設けられたことを特徴とする請求項3記載のマイクロアクチュエータ装置。
  5. 前記第1の電極部と前記第2の電極部とが対向して配置され、
    前記可動部は、前記可動部が前記第1の位置に位置するときには前記第1及び第2の電極部間の間隔が狭まるとともに前記可動部が前記第2の位置に位置するときには前記間隔が広がるように、バネ性を有するバネ性部を介して前記固定部に対して機械的に接続され、
    前記復帰力が前記バネ性部により生ずることを特徴とする請求項4記載のマイクロアクチュエータ装置。
  6. 前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる際には、前記可動部が前記第2の位置へ移動するように、前記電流を制御することを特徴とする請求項4又は5記載のマイクロアクチュエータ装置。
  7. 前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置へ移動させる際には、前記可動部が前記第1の位置へ移動するように、前記電流を制御し、
    前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置に保持している少なくとも定常的な保持状態においては、前記電流を流さないように制御する、
    ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ装置と、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたことを特徴とする光スイッチシステム。
  9. 前記マイクロアクチュエータ及び前記ミラーの組を複数備え、当該組が2次元状に配置されたことを特徴とする請求項8記載の光スイッチシステム。
  10. 前記各マイクロアクチュエータの前記第1の電極部が互いに共通に電気的に接続され、前記各マイクロアクチュエータの前記第2の電極部が互いに共通に電気的に接続されたことを特徴とする請求項9記載の光スイッチシステム。
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