JP3529756B2 - 静電アクチュエータ、静電アクチュエータの駆動方法及びこれを用いたカメラモジュール - Google Patents

静電アクチュエータ、静電アクチュエータの駆動方法及びこれを用いたカメラモジュール

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JP3529756B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電アクチュエー
タ、静電アクチュエータの駆動方法及びこれを用いたカ
メラモジュールに関し、特に、動作を停止した状態から
動作を開始する際に、円滑且つ確実に起動する静電アク
チュエータ、静電アクチュエータの駆動方法及びこれを
用いたカメラモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】超小型カメラの焦点調節などに用いるた
め、小型、正確且つ安価な直線駆動機構が要求されてい
る。このような用途に答えるものとして、例えば、特開
平8−140367号公報に静電アクチュエータが開示
されている。図37は、このような静電アクチュエータ
の構成を表す模式図である。
【0003】すなわち、同図の静電アクチュエータ10
1は、可動子102と、それを上下より挟み込む2つの
固定子103a、103bより構成されている。固定子
103a、103bのそれぞれには、2系統ずつの電極
が配されており、上下一組の固定子で、合計4系統の電
極A〜Dを持つ。
【0004】ここで、固定子103a、103bに設け
たそれぞれの電極A〜Dおよび可動子102の電極部1
04のピッチと電極幅はそれぞれ同一である。ただし、
固定子103a、103bにおいては、2系統の電極
(例えばAとC)が、それぞれ順番に交互に現れるよう
に電極が組み合わされている。加えて、上下一組の固定
子の電極(例えばAとB)は、上下でちょうどその配列
パターンの位相が1/2ずれるように配されている。
【0005】今、電極Aに高電圧を印加すると、電極A
と可動子102の電極部104に設けられた電極Eとの
間に作用する静電力(クーロンカ)により、可動子は上
側固定子103aに(電極Aと電極Eが重なりあう位置
に)吸引される。続いて、高電圧を印加する電極を電極
Bに切り換えると、可動子102は下側固定子103b
に(電極Bと電極Eが重なり合う位置に)吸引される。
このように高電圧を印加する電極を電極A→電極B→電
極C→電極Dと順次切り換えていくと、可動子102は
微視的には上下振動をしながら、巨視的には図中の右側
(1自由度)に駆動される。
【0006】電極に高電圧を加える順番を逆にして、電
極A→電極D→電極C→電極Bとすれば、可動子は図中
の左側への駆動される。
【0007】本願明細書においては、図37に例示した
ように可動子の上下に駆動電極を配した静電アクチュエ
ータを「両側電極タイプ」と称することとする。
【0008】これに対して、本発明者らは、先に、特願
2001−102460号などにおいて、「片側電極タ
イプ」の静電アクチュエータを提案した。
【0009】図38は、片側電極タイプの静電アクチュ
エータの概略構成を表す模式図である。
【0010】この静電アクチュエータにおいては、互い
に対向して第1の固定子2a及び第2の固定子2bが配
置され、その間に矢印24に示す方向に沿ってスライド
可能に可動子3が配置されている。
【0011】第1の固定子2aには、4系統の電極A〜
Dが設けられ、第2の固定子2bには、その表面に一様
な1系統の電極Fが設けられている。4系統の電極A〜
Dは、図示した如く、ストライプ状に配列され、可動子
3の進行方向に沿って見ると順番に表れるように配置さ
れている。そして、電極の系統毎に、制御回路140に
よって電圧源142から所定の駆動電圧を印加される。
【0012】図39は、制御回路140により各電極に
印加される電圧波形を表すタイミングチャートである。
【0013】すなわち、始めに、可動子電極部3aの電
極Eが図39(f)に示すようにローレベルの電位Lに
維持され、図39(a)及び(b)示すように電極A、
Bに電圧が印加される。従って、電極A、Bと可動子電
極部3aとの間の静電力によって可動子電極部3aが電
極A、Bに引き寄せられるように可動子3は、第1の固
定子2a側に吸引される。続いて、図39(e)に示さ
れるように制御回路140によって電極A、Bから切り
換えられて電圧が電極Fに印加され、可動子3は、第3
の電極A、Bから離れて第2の固定子2b側に吸引され
る。
【0014】その後、制御回路140によって電極Fか
ら固定子電極B、Cに切り換えられ、図39(b)及び
(c)に示されるように固定子電極B、Cに電圧が印加
され、電極B、Cと可動子3aとの間の静電力によっ
て、可動子3は、第1の固定子2a側に吸引される。続
いて、制御回路140によって固定子電極B、Cから電
極Fに切り換えられて図39(e)に示されるように電
圧が電極Fに印加され、可動子3は、電極B、Cから離
れて第2の固定子2b側に吸引される。
【0015】その後、制御回路140によって電極Fか
ら電極C、Dに切り換えられ、図39(c)及び(d)
に示されるように電極C、Dに電圧が印加され、電極
C、Dと第1の可動子電極部3aとの間の静電力によっ
て、可動子3は、第1の固定子2a側に吸引される。続
いて、制御回路140によって電極C、Dから電極Fに
切り換えられて図39(e)に示されるように電圧が電
極Fに印加され、可動子3は、固定子電極Bから離れて
第2の固定子2b側に吸引される。
【0016】更に、制御回路140によって電極Fから
電極D、Aに切り換えられ図39(d)及び(a)に示
されるように電極D、Aに電圧が印加され、電極D、A
と可動子電極部3aとの間の静電力によって、可動子3
は、第1の固定子2a側に吸引される。続いて、制御回
路140によって固定子電極D、Aから電極Fに切り換
えられて図39(e)に示されるように電圧が電極Fに
印加され可動子3は、固定子電極D、Aから離れて第2
の固定子2b側に吸引される。
【0017】以上説明した動作を繰り返すことにより、
可動子3は、微視的には上下振動をしながら、巨視的に
は第1の固定子2aに配列された電極の配列方向に駆動
される。
【0018】以上説明したように、図38に例示した
「片側電極タイプ」の静電アクチュエータの場合、固定
子2bには一様な一系統の電極Dが設けらているのみで
直線駆動を実現している。従って、図37に表した従来
の静電アクチュエータのように、ストライプ状の電極が
形成された上下2枚の固定子103a、103bにおけ
る電極配列パターンの位相を精度良くコントロールする
必要がない。つまり、一対の固定子2a、2bの位置関
係をそれほど精密に調節する必要がないため、組立に要
する時間と手間を減らし、コストを下げ、量産性を大幅
に改善することができる。
【0019】図40は、図38に例示したような「片側
電極タイプ」の静電アクチュエータを駆動させるため
の、もうひとつのタイミングチャートである。
【0020】このタイミングの特徴を一言で表現する
と、「下部電極に電圧を印加する際に、駆動電極のいず
れかにも同時に電圧を印加する」ということである。こ
のようなタイミングで電圧を印加すると、可動子3を、
第1の固定子2aにほぼ吸着した状態のまま、横方向に
移動させることができる。
【0021】図40に例示したタイミングについて以下
に説明すると、まず始めに、可動子3の電極Fが図40
(f)に示すようにローレベルの電位に維持され、図4
0(a)及び(b)示すように駆動電極A、Bに電圧が
印加される。従って、駆動電極A、Bと可動子3との間
の静電力によって可動子3が電極A、Bに引き寄せられ
るように可動子3は、第1の固定子2a側に吸引され
る。
【0022】続いて、次のタイミングには、駆動電極A
の電圧がローレベルにされ、下部電極Fの電圧がハイレ
ベルにされる。この際に、駆動電極Bの電圧はハイレベ
ルに維持される。従って、可動子3は、駆動電極が形成
された第1の固定子2aの側に引き寄せられたまま、下
部電極Fからも吸引されて、第1の固定子2aから僅か
に浮いた状態となり、駆動電極Bに向けて横方向にずれ
る。つまり、駆動電極Bは、可動子3が下部電極Fに吸
着されることを防ぐための「アシスト電極」として作用
する。
【0023】次に、駆動電極Bの電圧をハイレベルに維
持したまま、駆動電極Cの電圧をハイレベルに遷移さ
せ、下部電極Fの電圧をローレベルにする。すると、可
動子は第1の固定子2aの側に引き寄せられつつ、駆動
電極Cに向けて横方向にずれる。
【0024】次に、駆動電極Cの電圧をハイレベルに維
持したまま、駆動電極Bの電圧をろーレベルに遷移さ
せ、下部電極Fの電圧をハイレベルにする。すると、や
はり可動子3は、駆動電極の側に引き寄せられたまま、
下部電極Fからも吸引されて、第1の固定子2aから僅
かに浮いた状態となり、駆動電極Cに向けて横方向にず
れる。つまり、駆動電極Cが「アシスト電極」として作
用する。
【0025】以下、同様の手順により駆動電極C、D、
Aに順番に電圧を印加することにより、1サイクルが終
了する。このようなサイクルを横方向に並んだ一連の駆
動電極A〜Dに繰り返すことにより、可動子3は、第1
の固定子2aにほぼ吸着した状態のまま、横方向に駆動
される。
【0026】つまり、図40の駆動パターンによれば、
下部電極Fに電圧を印加する際に、駆動電極A〜Dのい
ずれかに同時に電圧を印加することにより「アシスト電
極」として作用させ、可動子3の上下振動を抑えて、駆
動電極の側にほぼ吸着させたままスムーズに駆動させる
ことが可能となる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図37に例
示したような「両側電極タイプ」の静電アクチュエータ
においても、あるいは図38乃至図40に例示したよう
な「片側電極タイプ」の静電アクチュエータにおいて
も、可動子が駆動している時は、アクチュエータの固定
子の駆動電極パターンと可動子の串歯状のパターンとは
平行な位置関係になっている。
【0028】しかし、アクチュエータの停止状態あるい
は待機状態に駆動電圧が印加されていない場合、アクチ
ュエータの可動子が外部からの振動や衝撃あるいは何ら
かの外力を受けることによって、アクチュエータの固定
子の駆動電極パターンと可動子の串歯状のパターンとが
平行な位置関係が保たれないことも生じうる。
【0029】このように両者が平行でないと、通常動作
時の必要な推進力よりも多くの力を必要とするため、通
常の印加電圧パターンを用いても安定した起動ができな
い場合がある。また、駆動開始時の可動子の位置が不明
となると、どの電極から駆動シーケンスを開始すべきで
あるかの判断ができないという問題も生ずる場合があ
る。
【0030】特に、小型の静電アクチュエータは、例え
ば、デジタルカメラや携帯電話あるいは携帯情報端末
(PDA)などの各種の携帯機器において、カメラモジ
ュールのフォーカスあるいはズーミングを行うためなど
の応用が期待されている。
【0031】しかし、これらの携帯機器は、様々な態様
で頻繁に持ち運ばれ取り扱われるものであるから、振動
や衝撃を特に受けやすく、このような環境下においても
円滑な起動が可能な静電アクチュエータの開発は極めて
重要である。
【0032】本発明は、かかる課題の認識に基づいてな
されたものである。すなわち、その目的は、停止状態に
おいて振動や衝撃などが与えられても円滑に起動するこ
とができる静電アクチュエータ、静電アクチュエータの
駆動方法及びこれを用いたカメラモジュールを提供する
ことにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては、以下の構成を採ることができ
る。
【0034】すなわち、本発明の第1の静電アクチュエ
ータは、複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を有す
る第1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固定
子と対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の固
定子と前記第2の固定子との間に設けられた可動子と、
前記複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれか
ひとつの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が
生ずる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と
前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加する
タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動
子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で複数回振
動させた後、前記複数の系統の駆動電極を順次切り替え
つつ前記第1の電極と前記可動子との間、及び前記第2
の電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を
断続的に印加することにより、前記可動子を前記第1及
び第2の固定子の対向面に対して略平行な駆動方向に向
けて駆動させる、制御回路と、を備えたことを特徴とす
る。
【0035】上記構成によれば、停止状態あるいは待機
状態において生じた可動子のずれを修正してから安定し
た駆動を実行できる。
【0036】ここで、前記第1の電極は、前記駆動方向
に沿って少なくとも3系統の駆動電極が順番に現れるよ
うに周期的に配置された前記駆動電極を有し、前記第2
の電極は、前記駆動方向に延設された1系統の下部電極
を有し、前記制御回路は、前記少なくとも3系統の駆動
電極のうちの少なくともいずれかの系統の駆動電極と前
記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加するタ
イミングと、前記下部電極と前記可動子との間に電位差
を生じさせる電圧を印加するタイミングと、を交互に繰
り返すことにより、前記可動子を前記少なくともいずれ
かの系統の駆動電極と前記下部電極との間で前記複数回
振動させた後、前記少なくとも3系統の駆動電極と前記
可動子との間に電位差を生じさせる電圧を前記駆動方向
に沿って前記系統ごとに順次切り替えて印加することに
より、前記可動子を前記駆動させるものとすることがで
きる。
【0037】または、前記第1の電極は、前記駆動方向
に沿って少なくとも2系統の駆動電極が順番に現れるよ
うに周期的に配置された前記駆動電極を有し、前記第2
の電極は、前記駆動方向に沿って少なくとも2系統の駆
動電極が順番に現れるように周期的に配置された前記駆
動電極を有し、前記制御回路は、前記第1の電極の前記
少なくとも2系統の駆動電極のうちの少なくともいずれ
かの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差を生じ
させる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極の
前記少なくとも2系統の駆動電極のうちの少なくともい
ずれかの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差を
生じさせる電圧を印加するタイミングと、を交互に繰り
返すことにより、前記可動子を前記第1の電極の前記少
なくともいずれかの系統の駆動電極と前記第2の電極の
前記少なくともいずれかの系統の駆動電極との間で前記
複数回振動させるものとすることができる。
【0038】また、本発明の第2の静電アクチュエータ
は、複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を有する第
1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固定子と
対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の固定子
と前記第2の固定子との間に設けられた可動子と、前記
複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれかひと
つの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が生ず
る電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と前記
可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加するタイ
ミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動子を
前記第1の電極と前記第2の電極との間で振動させつつ
保持し、前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ
前記第1の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電
極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続
的に印加することにより、前記可動子を前記第1及び第
2の固定子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて
駆動させる、制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0039】前記構成によれば、停止状態あるいは待機
状態において可動子を振動させておくことにより、可動
子のずれを適宜修正して安定した起動を実行させること
ができる。
【0040】ここで、前記第1の電極は、前記駆動方向
に沿って少なくとも3系統の駆動電極が順番に現れるよ
うに周期的に配置された前記駆動電極を有し、前記第2
の電極は、前記駆動方向に延設された1系統の下部電極
を有し、前記制御回路は、前記少なくとも3系統の駆動
電極のうちの少なくともいずれかの系統の駆動電極と前
記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加するタ
イミングと、前記下部電極と前記可動子との間に電位差
を生じさせる電圧を印加するタイミングと、を交互に繰
り返すことにより、前記可動子を前記少なくともいずれ
かの系統の駆動電極と前記下部電極との間で前記振動さ
せつつ保持し、前記少なくとも3系統の駆動電極と前記
可動子との間に電位差を生じさせる電圧を前記駆動方向
に沿って前記系統ごとに順次切り替えて印加することに
より、前記可動子を前記駆動させるものとすることがで
きる。
【0041】または、前記第1の電極は、前記駆動方向
に沿って少なくとも2系統の駆動電極が順番に現れるよ
うに周期的に配置された前記駆動電極を有し、前記第2
の電極は、前記駆動方向に沿って少なくとも2系統の駆
動電極が順番に現れるように周期的に配置された前記駆
動電極を有し、前記制御回路は、前記第1の電極の前記
少なくとも2系統の駆動電極のうちの少なくともいずれ
かの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差を生じ
させる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極の
前記少なくとも2系統の駆動電極のうちの少なくともい
ずれかの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差を
生じさせる電圧を印加するタイミングと、を交互に繰り
返すことにより、前記可動子を前記第1の電極の前記少
なくともいずれかの系統の駆動電極と前記第2の電極の
前記少なくともいずれかの系統の駆動電極との間で前記
振動させつつ保持するものとすることができる。
【0042】また、前記可動子を前記駆動させるに際し
て、前記少なくともいずれかの系統の駆動電極から順次
切り替えて前記電圧を印加することができる。
【0043】また、前記少なくともいずれかの系統の駆
動電極は、隣接する複数の系統の駆動電極であるものと
することができる。
【0044】また、本発明の第3の静電アクチュエータ
は、複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を有する第
1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固定子と
対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の固定子
と前記第2の固定子との間に設けられた可動子と、前記
第1及び第2の電極の少なくともいずれかと前記可動子
との間に電位差を生じさせる電圧を連続的に印加するこ
とにより、前記第1及び第2の電極のいずれかに向けた
力を連続的に前記可動子に作用させた状態で保持し、前
記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1の
電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記可
動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加す
ることにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定子
の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
る、制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0045】上記構成によれば、停止状態あるいは待機
状態において可動子を固定しておくことにより、可動子
のずれを防いで、安定した起動が可能となる。
【0046】また、本発明の第4の静電アクチュエータ
は、保護膜により覆われ複数の系統の駆動電極を含む第
1の電極を有する第1の固定子と、保護膜により覆われ
た第2の電極を有し、前記第1の固定子と対向して設け
られた第2の固定子と、前記第1の固定子と前記第2の
固定子との間に設けられた可動子と、前記第1及び第2
の電極のいずれか一方と前記可動子との間に吸引力が発
生するように前記第1及び第2の電極の前記いずれか一
方に電圧を印加するタイミングと、前記第1及び第2の
電極のいずれか他方と前記可動子との間に反発力が発生
するように前記第1及び第2の電極並びに前記可動子の
少なくともいずれかに電圧を印加するタイミングと、を
交互に繰り返すことにより、前記第1及び第2の電極の
前記いずれか一方に向けた力を連続的に前記可動子に作
用させた状態で保持し、前記複数の系統の駆動電極を順
次切り替えつつ前記第1の電極と前記可動子との間、及
び前記第2の電極と前記可動子との間に電位差を生じさ
せる電圧を断続的に印加することにより、前記可動子を
前記第1及び第2の固定子の対向面に対して略平行な駆
動方向に向けて駆動させる、制御回路と、を備えたこと
を特徴とする。
【0047】上記構成によれば、停止状態あるいは待機
状態において可動子を固定しておくことにより、可動子
のずれを防いで、安定した起動が可能となる。
【0048】また、前記第1及び第2の固定子の少なく
ともいずれかと前記可動子との間に設けられたストッパ
をさらに備え、前記可動子は、前記力を作用させた状態
において前記ストッパに接触することものとすることが
できる。
【0049】また、本発明の第5の静電アクチュエータ
は、複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を有する第
1の固定子と、複数の系統の下部電極を含む第2の電極
を有し、前記第1の固定子と対向して設けられた第2の
固定子と、前記第1の固定子と前記第2の固定子との間
に設けられた第1の可動子と、前記第1の固定子と前記
第2の固定子との間に設けられた第2の可動子と、前記
複数の系統の下部電極のうちのいずれかの系統の下部電
極と前記第1及び第2の可動子のいずれか一方との間に
電位差を生じさせる電圧を連続的に印加することによ
り、前記第1及び第2の電極のいずれかに向けた力を前
記いずれか一方の可動子に作用させた状態で保持しつ
つ、前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記
第1の電極と前記第1及び第2の可動子のいずれか他方
との間、及び前記第2の電極と前記第1及び第2の可動
子のいずれか他方との間に電位差を生じさせる電圧を断
続的に印加することにより、前記いずれか他方の可動子
を前記第1及び第2の固定子の対向面に対して略平行な
駆動方向に向けて駆動させる、制御回路と、を備えたこ
とを特徴とする。
【0050】上記構成によれば、複数の可動子を有する
場合にも、それぞれの可動子の停止状態あるいは待機状
態において固定することにより、ずれを防いで安定した
起動をさせることができる。
【0051】ここで、前記制御回路は、前記複数の系統
の駆動電極のうちの少なくともいずれかひとつの系統の
駆動電極と前記可動子との間に電位差が生ずる電圧を印
加するタイミングと、前記第2の電極と前記可動子との
間に電位差を生じさせる電圧を印加するタイミングと、
を交互に繰り返すことにより、前記いずれか他方の可動
子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で複数回振
動させた後に、前記いずれか他方の可動子を前記駆動方
向に向けて駆動させるものとすることができる。
【0052】一方、本発明の静電アクチュエータの駆動
方法は、複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を有す
る第1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固定
子と対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の固
定子と前記第2の固定子との間に設けられた可動子と、
を有する静電アクチュエータの駆動方法であって、前記
複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれかひと
つの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が生ず
る電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と前記
可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加するタイ
ミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動子を
前記第1の電極と前記第2の電極との間で複数回振動さ
せた後、前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ
前記第1の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電
極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続
的に印加することにより、前記可動子を前記第1及び第
2の固定子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて
駆動させることを特徴とする。
【0053】または、本発明の静電アクチュエータの駆
動方法は、複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を有
する第1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固
定子と対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の
固定子と前記第2の固定子との間に設けられた可動子
と、を有する静電アクチュエータの駆動方法であって、
前記複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれか
ひとつの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が
生ずる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と
前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加する
タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動
子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で振動させ
つつ保持し、前記複数の系統の駆動電極を順次切り替え
つつ前記第1の電極と前記可動子との間、及び前記第2
の電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を
断続的に印加することにより、前記可動子を前記第1及
び第2の固定子の対向面に対して略平行な駆動方向に向
けて駆動させることを特徴とする。
【0054】または、本発明の静電アクチュエータの駆
動方法は、複数の駆動電極を含む第1の電極を有する第
1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固定子と
対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の固定子
と前記第2の固定子との間に設けられた可動子と、を有
する静電アクチュエータの駆動方法であって、前記第1
及び第2の電極の少なくともいずれかと前記可動子との
間に電位差を生じさせる電圧を連続的に印加することに
より、前記第1及び第2の電極のいずれかに向けた力を
連続的に前記可動子に作用させた状態で保持し、前記複
数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1の電極
と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記可動子
との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加するこ
とにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定子の対
向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させること
を特徴とする。
【0055】または、本発明の静電アクチュエータの駆
動方法は、保護膜により覆われ複数の駆動電極を含む第
1の電極を有する第1の固定子と、保護膜により覆われ
た第2の電極を有し、前記第1の固定子と対向して設け
られた第2の固定子と、前記第1の固定子と前記第2の
固定子との間に設けられた可動子と、を有する静電アク
チュエータの駆動方法であって、前記第1及び第2の電
極のいずれか一方と前記可動子との間に吸引力が発生す
るように前記第1及び第2の電極の前記いずれか一方に
電圧を印加するタイミングと、前記第1及び第2の電極
のいずれか他方と前記可動子との間に反発力が発生する
ように前記第1及び第2の電極並びに前記可動子の少な
くともいずれかに電圧を印加するタイミングと、を交互
に繰り返すことにより、前記第1及び第2の電極の前記
いずれか一方に向けた力を連続的に前記可動子に作用さ
せた状態で保持し、前記複数の系統の駆動電極を順次切
り替えつつ前記第1の電極と前記可動子との間、及び前
記第2の電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる
電圧を断続的に印加することにより、前記可動子を前記
第1及び第2の固定子の対向面に対して略平行な駆動方
向に向けて駆動させることを特徴とする。
【0056】一方、本発明のカメラモジュールは、撮像
素子と、上記した本発明のいずれかの静電アクチュエー
タと、前記静電アクチュエータの前記可動子に設けられ
前記撮像素子に光学的情報を入力するレンズと、を備え
たことを特徴とする。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、具体例を参照しつつ本発明
の実施の形態について詳細に説明する。 (第1の実施の形態) まず、本発明の第1の実施の形態として、起動時に可動
子を強制的に上下に振動させることにより、固定子と可
動子との配置を平行に修正させて円滑な駆動を開始する
静電アクチュエータについて説明する。
【0058】図1は、本発明の実施の形態にかかる静電
アクチュエータの概略構成を表す模式図である。同図に
ついては、図38乃至図40に関して前述したものと同
様の要素には同一の符号を付した。
【0059】本実施の形態の静電アクチュエータにおい
ても、互いに対向して第1の固定子2a及び第2の固定
子2bが配置され、その間に矢印24に示す方向に沿っ
てスライド可能に可動子3が配置されている。
【0060】ここで、第1及び第2の固定子2a、2b
は、平板状であっても良く、或いは、半円筒板状であっ
ても良い。第1及び第2の固定子2a、2bが平板状で
ある場合には、可動子3は、これらとの対向面がほぼ平
坦な面を有するブロック体あるいは中空ブロックに形成
され、第1及び第2の固定子2a、2bが半円筒板状で
ある場合には、可動子3は、第1及び第2の固定子2
a、2bの形状に対応して円柱体あるいは中空シリンダ
ーに形成される。
【0061】図2は、第1の固定子2aにおける電極A
〜Dの配列を例示する平面図である。
【0062】同図にも表したように、第1の固定子2a
には、4系統の電極A〜Dが設けられ、第2の固定子2
bには、その表面に一様な1系統の電極Fが設けられて
いる。4系統の電極A〜Dは、図示した如く、ストライ
プ状の「駆動電極」として配列され、これら駆動電極が
可動子3の進行方向に沿った見た時に順番に表れるよう
に配置されている。そして、電極の系統毎に、制御回路
(スイッチング回路)40によって電圧源42から所定
の駆動電圧を印加される。
【0063】図2に表したように、これら4系統の電極
A〜Dは、順次切り替えて電圧を印加することにより、
可動子を所定方向へ移動させるために用いられるもので
あるから、以下、これら電極A〜Dを「駆動電極」と称
する。また、これに対して、第2の固定子2bに設けら
れた一様な1系統の電極Fを「下部電極」と称すること
とする。なお、この下部電極は、1系統であれば単一で
あっても、複数であってもかまわない。
【0064】なお、図2における符号10は、可動子3
と駆動電極との間隔を規定するストッパを表す。
【0065】本実施形態の静電アクチュエータも、図3
9あるいは図40に例示したような駆動電圧パターンを
印加することにより、可動子3を所定の方向に駆動させ
ることができる。これらの駆動時の動作を「駆動時動
作」と称することとする。
【0066】本発明の静電アクチュエータは、このよう
な「駆動時動作」に先だって、「起動時動作」を実施す
る。
【0067】図3は、本発明の静電アクチュエータにお
ける起動時動作と駆動時動作との関係を表す概念図であ
る。すなわち、停止状態あるいは待機状態から「駆動時
動作」を実行させる前に、まず、「起動時動作」を実行
させる。ここで、「駆動時動作」は、例えば、図39や
図40などに例示したような電圧パターンを印加して、
可動子3を所定の方向に駆動させる動作である。
【0068】図4は、起動時動作の前後での固定子と可
動子との配置関係を例示した模式図である。すなわち、
アクチュエータの停止状態あるいは待機状態において
は、外部からの振動や衝撃あるいは外力などにより、同
図(a)に例示した如く、固定子2aと可動子3とは、
互いに平行な状態からずれている場合がある。
【0069】このような状態から、「起動時動作」を実
行させると、固定子2aと可動子3とは互いに平行な配
置関係に修正され、その後の駆動時動作により円滑に駆
動を開始させることができる。
【0070】図5は、図1に例示した「片側電極タイ
プ」の静電アクチュエータの一部を拡大した模式図であ
る。ここでは、同図に表したように、固定子2aに4系
統の駆動電極A〜Dが設けられている場合を例に挙げて
説明する。
【0071】図6は、起動時動作において静電アクチュ
エータに与える印加電圧パターンの第1の具体例を例示
する模式図である。すなわち、同図に例示した起動時動
作においては、4系統の駆動電極A〜Dのうちの隣接す
るいずれか2系統の電極(例えば、電極Aと電極B)に
同時に電圧を印加するタイミングと、対向する固定子2
bに設けられた下部電極Fに電圧を印加するタイミング
と、を交互に繰り返す。
【0072】すると、図5に表したように、可動子3に
対しては、進行方向に対して平行な方向の推進力Fx
と、進行方向に対して垂直な上下方向の振動力Fyとが
作用し、上下振動を繰り返しながら駆動電極A〜Dのパ
ターンと可動子の凸部パターン3aとが平行な方向に向
かうように配置関係が修正される。
【0073】図7は、図6に表したように隣接する2つ
の駆動電極に電圧を同時に印加した場合の、推進力Fx
の分布を表すグラフ図である。すなわち、同図の横軸
は、4系統の駆動電極A〜Dの配列を表し、縦軸は推進
力Fxの大きさを相対的に表す。また、図7は、これら
の駆動電極のうちで、ハッチが施された2つの隣接する
電極に電圧が印加された場合の駆動力の分布を表す。
【0074】図7から、推進力Fxは、電圧が印加され
ている2つの電極の中心(x=0)においてはゼロであ
り、ここから離れるに従って、x=0に引き戻そうとす
る向きに次第に大きくなり、極大を迎えた後、急峻に収
束して、電圧が印加されていない電極の中心(x=2
p)においてゼロとなることが分かる。つまり、電圧が
印加されている2つの電極の中心(x=0、プラスマイ
ナス4p・・・)が安定点(収束点)となる。
【0075】ちなみに、この場合の電極CとDとの中心
は、推進力Fxはゼロであるが、不安定点となる。何故
ならば、電極CとDとの中心よりもマイナス側(電極C
の側)においては推進力Fxは負であり、この中心から
遠ざかる方向に推進力Fxが作用するからである。また
同様に、電極CとDとの中心よりもプラス側(電極Dの
側)においては推進力Fxは正であり、やはりこの中心
から遠ざかる方向に推進力Fxが作用する。
【0076】例えば、電極A及びBに対して同時に電圧
を印加した場合について説明すると、電極AとBとの中
心が可動子3の安定点となり、電極CとDとの中心が可
動子3の不安定点となる。そして、可動子の凸部3aを
これら電極A及びBの中心に引き寄せようとする推進力
は、電極Cあるいは電極Dの付近で極大となる。
【0077】なお、可動子3の凸部3aが電極Dと電極
Dとのちょうど中心にある場合には、原理的には推進力
Fxはゼロとなり、安定点に向けて引き寄せる力は作用
しない。但し、本発明における「起動時動作」は、可動
子が電極パターンA〜Dに対して傾斜している場合に対
処するものである。可動子3の全体に亘って、凸部3a
の中心線CLが正確に電極CとDとの中心にあるような
場合は、「起動時動作」は当然に不要であるから、問題
はない。
【0078】本具体例によれば、図7に表した推進力F
xの分布から分かるように、4系統の駆動電極A〜Dの
うちの隣接する2系統の駆動電極に同時に電圧を印加す
ることにより、十分な推進力Fxが得られ、可動子3を
上下に振動させながら、駆動電極パターンに対して平行
に位置修正することができる。
【0079】そして、図6に表したように、「起動時動
作」として、例えば、タイプAとして、電極Aと電極B
とに同時に電圧を印加するタイミングと、下部電極Fに
電圧を印加するタイミングとを繰り返した場合には、可
動子3は、最終的に、電極Aと電極Bとの中央に凸部3
aの中心線CLが合う位置に収束する。
【0080】同様に、タイプBの場合には、電極Bと電
極Cとに同時に電圧を印加する電圧パターンを与え、可
動子の凸部3aは電極BとCとの中央部に収束する。
【0081】また、タイプCの場合には、電極Cと電極
Dとに同時に電圧を印加することにより、可動子の凸部
3aは電極CとDとの中央部に収束する。
【0082】そして、タイプDの場合には、電極Dと電
極Aとに同時に電圧を印加することにより、可動子の凸
部3aは電極DとAとの中央部に収束する。
【0083】図8は、「起動時動作」と「駆動時動作」
との関係を表す概念図である。
【0084】上述の如く、起動時動作における電圧の印
加パターンのタイプに応じて、可動子の凸部3aの収束
位置は異なるので、それに引き続く駆動時動作において
電圧を印加するシーケンスも対応する電極から開始する
ことが望ましい。
【0085】例えば、図8に表したように、起動時動作
において「タイプA」のパターンを用いた場合、可動子
3の凸部3aは電極Aと電極Bとの中央に整列する。従
って、駆動時動作においては、電極Aと電極Bとに同時
に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始する
と、可動子3はスムーズな動作を開始する。つまり、
「起動時動作」によって可動子3は電極AとBとの中心
に収束しているのであるから、駆動時動作においては、
電極AとB、電極BとC、電極CとD、電極DとA、・
・・の如くに電圧を順次切り替えて印加することによ
り、可動子3を円滑に駆動させることができる。
【0086】なお、ここで駆動時動作の具体的な電圧印
加パターンとしては、例えば、図39あるいは図40に
例示したような印加パターンを用いることができる。
【0087】また、同様に、起動時動作においてタイプ
Bを選択した場合には、駆動時動作において、電極Bと
電極Cとに同時に電圧を印加するフェイズからシーケン
スを開始するとよい。
【0088】また、起動時動作においてタイプCを選択
した場合には、駆動時動作において、電極Cと電極Dと
に同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始
するとよい。
【0089】さらに、起動時動作においてタイプDを選
択した場合には、駆動時動作において、電極Dと電極A
とに同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開
始するとよい。
【0090】次に、起動時動作の第2の具体例について
説明する。
【0091】図9は、起動時動作における印加電圧パタ
ーンの第2の具体例を例示する模式図である。すなわ
ち、同図に例示した起動時動作においては、4系統の駆
動電極A〜Dのうちの隣接するいずれか3系統の電極
(例えば、電極Aと電極Bと電極C)に同時に電圧を印
加するタイミングと、対向する固定子2bに設けられた
下部電極Fに電圧を印加するタイミングと、を交互に繰
り返す。
【0092】図10は、図9に表したように隣接する3
系統の駆動電極に電圧を同時に印加した場合の、推進力
Fxの分布を表すグラフ図である。すなわち、同図の横
軸は、4系統の駆動電極A〜Dの配列を表し、縦軸は推
進力Fxの大きさを相対的に表す。また、図10におい
ては、ハッチが施された3つの隣接する電極に電圧が印
加された場合の駆動力の分布が例示されている。
【0093】図10から、3つの電極に同時に電圧を印
加した場合、推進力Fxは、電圧が印加されている3つ
の電極の中心、すなわちこれらのうちの真ん中の電極の
中心においてはゼロであり、ここから離れるに従って、
この中心点に引き戻そうとする向きに次第に大きくな
り、極大を迎えた後、急峻に収束して、電圧が印加され
ていない電極の中心においてゼロとなることが分かる。
つまり、電圧が印加されている3つの電極の中心が安定
点(収束点)となる。
【0094】例えば、図10に例示したように電極A、
B及びCに同時に電圧を印加した場合には、電極Bの中
心が収束点となる。そして、電極Dの中心は、そこから
遠ざかろうとする推進力分布がゼロを交差する不安定点
となる。
【0095】図7と図10とを比較すると、図10の分
布においては、安定点の周囲における推進力は小さい
が、不安定点の周囲における推進力が大きいことが分か
る。つまり、図10の分布によれば、起動時動作の開始
直後のように、可動子3が収束点から大きく外れている
場合に、高い発生力を作用させて引き戻すことができる
点で有利である。但し、収束点に近づくと収束力が小さ
くなる。また、同時に3系統の電極に電圧を印加するの
で、消費電力は大きくなる。
【0096】なお、図10において、可動子3の凸部3
aが電極Dのちょうど中心にある場合には、原理的には
推進力Fxはゼロとなり、安定点に向けて引き寄せる力
は作用しない。しかし、図7に関して前述したように、
本発明における「起動時動作」は、可動子が電極パター
ンA〜Dに対して傾斜している場合に対処するものであ
るから、問題はない。むしろ、図10の分布の場合に
は、この不安定点の付近における推進力が高い点で有利
である。
【0097】本具体例の場合も、図9に表したように、
「起動時動作」として、例えば、タイプAとして、電極
D、A及びBに同時に電圧を印加するタイミングと、下
部電極Fに電圧を印加するタイミングとを繰り返した場
合には、可動子3は、最終的に、電極Aの中央に凸部3
aの中心線CLが合う位置に収束する。
【0098】同様に、タイプBの場合には、電極A、B
及びCに同時に電圧を印加する電圧パターンを与え、可
動子の凸部3aは電極Bの中央部に収束する。
【0099】また、タイプCの場合には、電極B、C及
びDに同時に電圧を印加することにより、可動子の凸部
3aは電極Cの中央部に収束する。
【0100】そして、タイプDの場合には、電極C、D
及びAに同時に電圧を印加することにより、可動子の凸
部3aは電極Dの中央部に収束する。
【0101】本具体例の場合の「起動時動作」と「駆動
時動作」との関係は、図8に例示したものと同様とする
ことができる。
【0102】すなわち、図8に表したように、起動時動
作において「タイプA」のパターンを用いた場合、可動
子3の凸部3aは電極Aの中央に収束する。従って、駆
動時動作においては、電極Aと電極Bとに同時に電圧を
印加するフェイズからシーケンスを開始すると、可動子
3はスムーズな動作を開始する。つまり、「起動時動
作」によって可動子3は電極AとBとの中心に収束して
いるのであるから、駆動時動作においては、電極Aと
B、電極BとC、電極CとD、電極DとA、・・・の如
くに電圧を順次切り替えて印加することにより、可動子
3を円滑に駆動させることができる。
【0103】また、同様に、起動時動作においてタイプ
Bを選択した場合には、駆動時動作において、電極Bと
電極Cとに同時に電圧を印加するフェイズからシーケン
スを開始するとよい。
【0104】また、起動時動作においてタイプCを選択
した場合には、駆動時動作において、電極Cと電極Dと
に同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始
するとよい。
【0105】さらに、起動時動作においてタイプDを選
択した場合には、駆動時動作において、電極Dと電極A
とに同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開
始するとよい。
【0106】次に、起動時動作の第3の具体例について
説明する。
【0107】図11は、起動時動作における印加電圧パ
ターンの第3の具体例を例示する模式図である。すなわ
ち、同図に例示した起動時動作においては、4系統の駆
動電極A〜Dのうちの1系統の電極(例えば、電極A)
のみに電圧を印加するタイミングと、対向する固定子2
bに設けられた下部電極Fに電圧を印加するタイミング
と、を交互に繰り返す。
【0108】図12は、図11に表したように1系統の
駆動電極のみに電圧を同時に印加した場合の、推進力F
xの分布を表すグラフ図である。すなわち、同図の横軸
は、4系統の駆動電極A〜Dの配列を表し、縦軸は推進
力Fxの大きさを相対的に表す。また、図12において
は、ハッチが施された1系統の電極(例えば、電極B)
に電圧が印加された場合の駆動力の分布が例示されてい
る。
【0109】この場合には、電極Bの中心に安定点(収
束点)が形成され、その周囲には比較的急峻な推進力F
xの分布が形成される。そして、電極Dの中心に不安定
点が形成され、その両側には、不安定点から遠ざかろう
とする推進力Fxの分布が形成される。図12の推進力
分布は、図7(2系統の電極に電圧を印加)や図12
(3系統の電極に電圧を印加)と比較すると推進力Fx
は小さいため、安定点に静定する方向の発生力は小さく
なるが、起動時動作の消費電力を低く抑えることができ
るという点では有利である。
【0110】本具体例の場合も、図9に表したように、
「起動時動作」として、例えば、「タイプA」を用い
て、電極Aのみに電圧を印加するタイミングと、下部電
極Fに電圧を印加するタイミングとを繰り返した場合に
は、可動子3は、最終的に、電極Aの中央に凸部3aの
中心線CLが合う位置に収束する。
【0111】同様に、「タイプB」の場合には、電極B
に電圧を印加する電圧パターンを与え、可動子の凸部3
aは電極Bの中央部に収束する。
【0112】また、「タイプC」の場合には、電極Cに
電圧を印加することにより、可動子の凸部3aは電極C
の中央部に収束する。
【0113】そして、「タイプD」の場合には、電極D
に電圧を印加することにより、可動子の凸部3aは電極
Dの中央部に収束する。
【0114】従って、本具体例の場合の「起動時動作」
と「駆動時動作」との関係も、図8に例示したものと同
様とすることができる。
【0115】すなわち、図8に表したように、起動時動
作において「タイプA」のパターンを用いた場合、可動
子3の凸部3aは電極Aの中央に収束する。従って、駆
動時動作においては、電極Aと電極Bとに同時に電圧を
印加するフェイズからシーケンスを開始すると、可動子
3はスムーズな動作を開始する。つまり、「起動時動
作」によって可動子3は電極AとBとの中心に収束して
いるのであるから、駆動時動作においては、電極Aと
B、電極BとC、電極CとD、電極DとA、・・・の如
くに電圧を順次切り替えて印加することにより、可動子
3を円滑に駆動させることができる。
【0116】また、同様に、起動時動作においてタイプ
Bを選択した場合には、駆動時動作において、電極Bと
電極Cとに同時に電圧を印加するフェイズからシーケン
スを開始するとよい。
【0117】また、起動時動作においてタイプCを選択
した場合には、駆動時動作において、電極Cと電極Dと
に同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始
するとよい。
【0118】さらに、起動時動作においてタイプDを選
択した場合には、駆動時動作において、電極Dと電極A
とに同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開
始するとよい。
【0119】次に、起動時動作の第4の具体例について
説明する。
【0120】図13は、起動時動作における印加電圧パ
ターンの第4の具体例を例示する模式図である。すなわ
ち、同図に例示した起動時動作においては、4系統の駆
動電極A〜Dのうちの隣接しない2系統の電極(例え
ば、電極Aと電極C)のみに電圧を印加するタイミング
と、対向する固定子2bに設けられた下部電極Fに電圧
を印加するタイミングと、を交互に繰り返す。
【0121】図14は、図13に表したように隣接しな
い2系統の駆動電極のみに電圧を同時に印加した場合
の、推進力Fxの分布を表すグラフ図である。すなわ
ち、同図の横軸は、4系統の駆動電極A〜Dの配列を表
し、縦軸は推進力Fxの大きさを相対的に表す。また、
図14においては、ハッチが施された2系統の電極(例
えば、電極Bと電極D)に電圧が印加された場合の駆動
力の分布が例示されている。
【0122】この場合には、電極Bと電極Dの中心にそ
れぞれ安定点(収束点)が形成され、電極Aと電極Cの
中心には不安定点が形成される。つまり、第1乃至第3
具体例と比較すると、2倍の数の収束点が形成されるた
め、起動時動作において、可動子3をいち早く収束点に
静定させることが可能である。
【0123】但し、可動子が収束する位置は、「タイプ
A」すなわち電極Aと電極Cに電圧を印加した場合に
は、電極Aの中心か電極Cの中心というように、2つの
可能性が有る。
【0124】同様に、「タイプB」すなわち電極Bと電
極Dに電圧を印加した場合には、可動子は、電極Bまた
は電極Dのいずれかの中心に収束する。
【0125】また、「タイプC」すなわち電極Cと電極
Aに電圧を印加した場合には、可動子は、電極Cまたは
電極Aのいずれかの中心に収束する。
【0126】そして、「タイプD」すなわち電極Dと電
極Bに電圧を印加した場合には、可動子は、電極Dまた
は電極Bのいずれかの中心に収束する。
【0127】従って、起動時動作の後に引き続く駆動時
動作のシーケンスは、いずれかの収束点から開始するも
のとすればよい。
【0128】図15は、本具体例の場合の起動時動作と
駆動時動作の関係を例示する概念図である。
【0129】すなわち、起動時動作において「タイプ
A」のパターンを用いた場合、可動子3の凸部3aは電
極Aまたは電極Cの中央に収束する。これらいずれに収
束するかは、不明であるので、駆動時動作においては、
電極Aと電極Bとに同時に電圧を印加するフェイズから
シーケンスを開始する。この場合に、仮に電極Cに収束
していたとすると、駆動時動作の第1フェーズで電極A
及び電極Bに電圧を印加した時に、可動子3はわずかに
後退することとなる。しかし、この後退量は駆動電極の
ピッチ程度の量であるので、実用上は何ら問題はない。
【0130】また、起動時動作において「タイプB」を
選択した場合には、可動子は電極Bまたは電極Dに収束
するので、駆動時動作においては、電極Bと電極Cとに
同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始す
るとよい。
【0131】同様、起動時動作において「タイプC」を
選択した場合には、可動子は電極Cまたは電極Aに収束
するので、駆動時動作においては、電極Aと電極Bとに
同時に電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始す
ることができる。但し、ここで、電極Cと電極Dとに同
時に電圧を印加するフェーズから開始してもよい。これ
らいずれを選ぶかは、動作プログラミングの簡略化など
の観点から決定することができる。
【0132】また、起動時動作においてタイプDを選択
した場合には、可動子は電極Dまたは電極Bに収束する
ので、駆動時動作において、電極Bと電極Cとに同時に
電圧を印加するフェイズからシーケンスを開始するとよ
い。但し、ここで、電極Dと電極Aとに同時に電圧を印
加するフェーズから開始してもよいのは前述した通りで
ある。
【0133】以上説明したように、本発明によれば、図
1に例示したような「片側電極タイプ」の静電アクチュ
エータにおいて、駆動時動作を実行させることによって
固定子に対して可動子3の方向を平行に整列させ、円滑
な駆動を開始させることができる。
【0134】ところで、本発明は、図37に例示したよ
うな「両側電極タイプ」の静電アクチュエータにも適用
して同様の効果を得ることができる。
【0135】図16は、両側電極タイプの静電アクチュ
エータの機構部を拡大した模式図である。同図に例示し
たように、一対の固定子103a、103bの間に可動
子102が設けられ、これら固定子103a、103b
にそれぞれ設けられた駆動電極A〜Dに順次電圧を切り
替えて印加することにより、可動子102は進行方向に
駆動される。
【0136】このような両面電極タイプの静電アクチュ
エータにおいても、停止状態または待機状態において、
可動子102が振動や衝撃あるいは外力などにより固定
子に対して平行方向からズレることがある。
【0137】従って、本発明により、起動時動作とし
て、上下方向に振動力Fyを与えるとともに、進行方向
に沿った推進力Fxを与えることにより、可動子102
を平行な方向に整列させ、円滑な駆動を開始させること
ができる。
【0138】図17は、両面電極型の静電アクチュエー
タの起動時動作における印加電圧パターンの具体例を表
す模式図である。
【0139】すなわち、同図に例示した起動時動作にお
いては、上側の固定子103aに設けられた2系統の駆
動電極B、Cと、下側に設けられた2系統の駆動電極
A、Dのいずれかを選択して、上下で交互に電圧を印加
する。例えば、「タイプA」の場合、電極Aと電極Bと
に交互に電圧を印加する。こうすれば、可動子102を
上下に振動させながら電極A及び電極Bの方向に収束さ
せて整列させることができる。
【0140】図18は、本具体例の場合の「起動時動
作」と「駆動時動作」との関係を例示する概念図であ
る。
【0141】すなわち、同図に表したように、起動時動
作において「タイプA」のパターンを用いた場合、可動
子102は電極Aと電極Bとの間で振動し収束する。従
って、駆動時動作においては、電極A→電極B→電極C
→電極D→・・の如く電圧を順次切り替えて印加するこ
とにより、円滑な駆動を開始させることができる。但し
ここで、電極Aではなく、電極Bから駆動シーケンスを
開始してもよい。
【0142】同様に、起動時動作において「タイプB」
を選択した場合には、起動時動作において可動子102
は電極Bと電極Cとの間で振動し収束する。従って、駆
動時動作において、電極Bから駆動シーケンスを開始す
るとよい。但し、電極Cから駆動シーケンスを開始して
もよい。
【0143】また、起動時動作において「タイプC」を
選択した場合には、起動時動作において可動子102は
電極Cと電極Dとの間で振動し収束する。従って、駆動
時動作において、電極Cから駆動シーケンスを開始する
とよい。但し、電極Dから駆動シーケンスを開始しても
よい。
【0144】そして、起動時動作において「タイプD」
を選択した場合には、起動時動作において可動子102
は電極Dと電極Aとの間で振動し収束する。従って、駆
動時動作において、電極Dから駆動シーケンスを開始す
るとよい。但し、電極Aから駆動シーケンスを開始して
もよい。
【0145】以上、図1乃至図18を参照しつつ詳述し
たように、本発明の第1実施形態においては、停止状態
あるいは待機状態から駆動を開始する前に、「起動時動
作」として可動子を上下に振動させながら推進力を与え
ることにより、固定子の電極パターンに対して平行な方
向に整列させることができる。その結果として、円滑な
駆動を開始させることができる。
【0146】また、本実施形態は、図1に表したような
「片側電極タイプ」の静電アクチュエータにおいても、
図16に表した「両側電極タイプ」の静電アクチュエー
タにおいても同様に実施可能であり、同様の作用効果を
得ることができる。
【0147】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態として、停止状態あるいは待機状態におい
て、可動子を上下に振動させることにより可動子を所定
位置に固定する「保持動作」を行う静電アクチュエータ
について説明する。
【0148】図19は、本実施形態の静電アクチュエー
タにおける保持動作と駆動時動作との関係を表す概念図
である。すなわち、アクチュエータの停止状態あるいは
待機状態においては「保持動作」を実行させることによ
り、可動子を固定子のパターンに対して平行に整列させ
ておく。そして、可動子を駆動させる必要が生じた場合
には、「駆動時動作」に移行する。
【0149】本実施形態における「保持動作」の内容
は、第1実施形態における「起動時動作」と類似する。
そこで、以下、第1実施形態に関して前述した図1乃至
図18を参照しつつ、本実施形態の「保持動作」につい
て説明する。
【0150】まず、図1に例示したような「片側電極タ
イプ」の静電アクチュエータの場合には、図6に例示し
たように2系統の駆動電極(例えば、電極AとB)と下
部電極Fとの間に交互に電圧を印加することにより、可
動子3を上下に振動させつつ推進力Fxを作用させて、
所定位置に収束・静定させておくことができる。この際
に可動子3に作用する推進力Fxは、図7に表した如き
分布を有する。
【0151】このように、停止状態あるいは待機状態に
おいて可動子3を上下に振動させつつ収束点への推進力
を作用させておくと、振動や衝撃あるいは外力などが可
動子3に作用して可動子3が動いたとしても、再びその
付近の所定の収束点に静定させることができる。従っ
て、その後に必要に応じて可動子3を駆動させる際に
は、円滑な駆動を開始させることができる。
【0152】従って、例えば、図6に例示したような電
圧パターンを用いて「保持動作」を行った場合には、こ
れに引き続く「駆動時動作」の動作シーケンスは図8に
例示した如くとなる。すなわち、例えば、「タイプA」
のパターンで「保持動作」を行う場合、可動子3は、電
極A及びBの中心点に静定しているので、「駆動時動
作」は、電極A及びBに電圧を印加するフェイズから開
始するとよい。
【0153】一方、本実施形態における「保持動作」と
しては、図9に例示したように、隣接する3系統の電極
(例えば、電極A、B及びC)と下部電極Fとの間で交
互に電圧を印加させることにより、可動子を振動させて
収束・静定させても良い。この場合には、消費電力は若
干大きくなるものの、大きい発生力が得られるために、
可動子3をより安定に静定できるという効果が得られ
る。
【0154】なお、この場合の推進力Fxの分布は図1
0に関して前述した通りであるのでここでは省略する。
【0155】一方、本実施形態における「保持動作」と
して、図11に例示したように、1系統の電極(例え
ば、電極A)と下部電極Fとの間で交互に電圧を印加さ
せることにより、可動子を振動させて収束・静定させて
も良い。この場合には、発生力は小さいが、消費電力が
低い点で有利である。また、この場合の推進力Fxの分
布は図12に関して前述した通りである。
【0156】また、本実施形態における「保持動作」と
して、図13に例示したように、隣接しない2系統の電
極(例えば、電極AとC)と下部電極Fとの間で交互に
電圧を印加させることにより、可動子を振動させて収束
・静定させても良い。この場合の推進力Fxの分布は図
14に表した如くである。この場合には、収束点が増え
るため、可動子3が動いたとしても、すぐにその直近の
収束点に静定させることができる。
【0157】また、この場合の「保持動作」と「駆動時
動作」との関係についても、図15に関して前出したも
のと同様にすることができる。
【0158】一方、本実施形態も「両側電極タイプ」の
静電アクチュエータに適用することができる。すなわ
ち、図16に例示したような「両側電極タイプ」の静電
アクチュエータにおいて、停止状態あるいは待機状態
に、図17に例示したような電圧パターンを印加してお
くことにより、可動子102を上下に振動させつつ固定
子103a、103bのパターンに対して平行に整列さ
せておくことができる。
【0159】そして、この場合の「保持動作」と「駆動
時動作」との関係も、図18に関して前述したものと同
様にすることができる。
【0160】以上、図1乃至図19を参照しつつ説明し
たように、本実施形態においては、停止状態あるいは待
機状態において、可動子を上下に振動させつつ推進力F
xを作用させる「保持動作」を実行させることにより、
可動子を固定子のパターンに対して平行に整列させてお
くことができる。その結果として、可動子を駆動させる
必要が生じた場合に、円滑かつ速やかな駆動が可能とな
る。
【0161】本実施形態は、「片側電極タイプ」の静電
アクチュエータにも「両側電極タイプ」の静電アクチュ
エータにも適用して同様の作用効果を得ることができ
る。
【0162】なお、本実施形態における「保持動作」と
しては、図6に例示したような電圧パターンを、アクチ
ュエータの停止状態あるいは待機状態の間、ずっと繰り
返しても良い。このようにすれば、振動や衝撃により可
動子が動いても直ちに位置を修正させて整列させること
ができる。
【0163】または、「保持動作」として、図6に例示
したような電圧パターンを間欠的に印加してもよい。す
なわち、数パルス分の電圧パターンを印加した後、所定
の休止時間をはさんで、再び数パルス分の電圧パターン
を印加する、というような間欠的な動作としてもよい。
このようにすれば、「保持動作」の消費電力を低減でき
る。
【0164】またさらに、「保持動作」として、図6に
例示したような電圧パターンをクロック周波数を下げて
印加しても良い。すなわち、「駆動時動作」の際に用い
るクロック周波数と比較して低いクロックを用いて電圧
パターンを印加する。このようにすれば、可動子の変動
を直ちに修正できると同時に「保持動作」の消費電力も
低減することができる。
【0165】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態として、停止状態あるいは待機状態におい
て、可動子を上下いずれかの固定子に吸引された状態と
することにより可動子を所定位置に固定する「保持動
作」を行う静電アクチュエータについて説明する。
【0166】本実施形態における「保持動作」と「駆動
時動作」との関係は、図19に表したものと同様であ
る。
【0167】すなわち、アクチュエータの停止状態ある
いは待機状態においては「保持動作」を実行させること
により、可動子をいずれかの固定子に吸引させておくこ
とにより固定しておく。そして、可動子を駆動させる必
要が生じた場合には、「駆動時動作」に移行する。
【0168】図20は、図1に例示した「片側電極タイ
プ」の静電アクチュエータの機構部を拡大した模式図で
ある。
【0169】また、図21は、固定子2bの電極形成面
を眺めた模式図である。
【0170】すなわち、駆動電極A〜Dと下部電極Fの
表面は、それぞれ保護膜4により覆われて保護されてい
る。保護膜4は、絶縁性の材料からなり、例えば、酸化
シリコンや窒化シリコンなどの無機材料、あるいはポリ
イミドなどの有機材料を用いることができる。
【0171】そして、これら保護膜4と可動子3とが直
接に接触しないように、ストッパ10が設けられてい
る。例えば、図22に表したように、上下の固定子2
a、2bの表面にストッパ10を設けて、可動子3とス
トッパ10とが摺動するようにすれば、可動子3と保護
膜4とが接触するのを防ぐことができる。また、図23
に表したように、接触を防ぐためのストッパ10は、可
動子3の側に設けてよい。
【0172】さて、図20に戻って説明を続けると、こ
れらストッパ10の高さは、例えば、4.5ミクロン程
度とすることができる。また、上下のストッパの間で可
動子3が動き得る振幅値は、例えば4.0ミクロン程度
に設定することができる。
【0173】さて、本実施形態においては、アクチュエ
ータの停止状態あるいは待機状態における「保持動作」
として、駆動電極A〜Dあるいは下部電極Fのいずれか
に電圧を印加して可動子3を吸引する。つまり、可動子
3は、これら電極に吸引されてストッパ10に押しつけ
られた状態となり、これらの間の摩擦力により固定され
る。
【0174】本実施形態において各電極に印加する電圧
パターンとしては、種々のものを挙げることができる。
【0175】例えば、最も単純なパターンとしては、駆
動電極A〜Dのいずれかまたはこれら全てに電圧を連続
的に印加するパターンを挙げることができる。このよう
にすれば、可動子3を上側の固定子2aに向けて吸引
し、ストッパ10に圧接させた状態で固定することがで
きる。
【0176】または、下部電極Fに連続的に電圧を印加
すれば、可動子3を下側の固定子2bに向けて吸引し、
ストッパ10に圧接させた状態で固定することができ
る。
【0177】また一方、駆動電極A〜Dのいずれかに順
次切り替えて電圧を印加してもよい。
【0178】図24及び図25は、このように順次切り
替えて電圧を印加するパターンの具体例を表す模式図で
ある。
【0179】すなわち、図24に表した具体例の場合、
電極Aと電極Bとに交互に電圧を印加することにより可
動子3を吸引して、固定子2aの側のストッパに圧接固
定することかできる。
【0180】また、図25に表した具体例の場合、電極
A〜Dの全てを対象として、順番に切り替えて電圧を印
加する。このようにしても、可動子3を固定子2aの側
のストッパに圧接固定することかできる。
【0181】図24及び図25は一例に過ぎず、電圧を
印加する電極の組み合わせとしては、他のあらゆる組み
合わせを用いることが可能である。
【0182】しかし、アクチュエータの停止状態あるい
は待機状態が長時間継続するような場合、上述の如く連
続的あるいは断続的に電圧を印加し続けると、駆動電極
A〜Dあるいは下部電極Fを覆っている保護膜4の分極
が残留する場合がある。すなわち、保護膜4を構成する
酸化シリコンや有機絶縁体などは、電界の印加により分
極するが、その状態を長時間継続すると、電界が消滅し
ても分極が残留する場合がある。このように保護膜4に
「残留分極」が生ずると、「保持動作」が終了して電圧
をゼロに戻しても可動子3は、保護膜4に対して吸引さ
れ続け、「張り付いた」状態となる。つまり、「駆動時
動作」のパルスを与えても可動子3が動かない、という
事態が生ずる場合がある。
【0183】本実施形態においては、さらに工夫した電
圧パターンを印加することにより、このような保護膜4
の「残留分極」の発生を解消することができる。
【0184】図26は、残留分極の発生を防ぐことがで
きる電圧パターンを例示する模式図である。
【0185】同図に例示したパターンにおいては、駆動
電極A〜Dの全てを対象として、電圧の「オン」と「オ
フ」を同期させる。そして、これとは位相を反転させた
「オン」と「オフ」の電圧パターンを可動子3と下部電
極Fに印加する。
【0186】駆動電極A〜Dに電圧を印加し、電極E及
びFをローレベルとすると、可動子3(電極E)を上側
の固定子2aに吸引することができる。また、電極A及
びDをローレベルとし、電極E及びFをハイレベルとす
ると、やはり可動子3は、上側の固定子2aに向けて押
しつけられることとなる。
【0187】さらに、駆動電極A〜Dに電圧が印加され
ている状態と、可動子3(電極E)に電圧が印加されて
いる状態と、では、電界の向きが反転する。つまり、駆
動電極A〜Dを覆っている保護膜4に印加される電界の
向きは、電圧のオン・オフに対応して反転する。
【0188】その結果として、保護膜4の分極も短時間
で反転されるために、「残留分極」が生ずる虞はなくな
り、長時間の「保持動作」を継続しても、可動子3の
「張り付き」を解消することができる。
【0189】なお、本実施形態において、駆動電極A〜
Dのいずれに電圧を印加するかは、適宜決定することが
できる。例えば、図26に例示したように駆動電極A〜
Dの全てに電圧を印加すると、最も大きい吸引力が得ら
れる。一方、駆動電極A〜Dのうちのいずれか3系統、
2系統あるいは1系統のみに電圧をそれぞれ印加する場
合には、吸引力は順次低下するが、消費電力の点で順次
有利となる。
【0190】図27は、下部電極の側に可動子を吸引さ
せる場合の電圧パターンの一例を表す模式図である。
【0191】すなわち、下部電極Fに対して与える電圧
の「オン」と「オフ」に対応して、駆動電極A〜D及び
可動子3(電極E)に位相を反転させた電圧を与える。
この場合、下部電極Fの電圧が「オン」のフェイズで
は、可動子3は下部電極Fに吸引され、一方、駆動電極
A〜D及び可動子3(電極E)の電圧が「オン」のフェ
イズではこれらの間に作用する反発力により、可動子3
は下部電極Fの側に押しつけられる。
【0192】そして、下部電極Fを覆う保護膜4に印加
される電界に注目すると、下部電極Fが「オン」の状態
と「オフ」の状態とで、電界の向きが反転する。このよ
うにして、下部電極Fを覆う保護膜4の「残留分極」を
解消することができる。
【0193】一方、本実施形態は、図16に例示したよ
うな「両側電極タイプ」の静電アクチュエータに適用し
ても同様の作用効果を得ることができる。
【0194】すなわち、両面電極タイプの静電アクチュ
エータにおいて、単純に上下いずれかの駆動電極に電圧
を連続的あるいは断続的に印加すれば、可動子102を
固定することが可能である。
【0195】また、保護膜の残留分極を防ぐためには、
前述の如く可動子102にも電圧を印加して電界の向き
を反転させればよい。
【0196】図28は、両側電極タイプの静電アクチュ
エータにおける「保持動作」の電圧パターンを例示する
模式図である。
【0197】同図に例示したパターンの場合、例えば、
電極A、B及びDと可動子102(電極E)が「オン」
となるフェイズと、電極Cのみが「オン」となるフェイ
ズとが交互に繰り返される。このようにすれば、可動子
102は電極Cの側に吸引され、且つ、電極Cの保護膜
に対する電界の向きは周期的に反転するので残留分極を
防ぐことができる。
【0198】以上、詳述したように、本実施形態によれ
ば、アクチュエータの停止状態あるいは待機状態におい
て可動子をいずれかの固定子に向けて吸引し、ストッパ
との間の静止摩擦静力により固定することができる。
【0199】その結果として、振動や衝撃あるいは外力
などによって可動子が動くことを防止し、駆動を円滑に
開始させることができる。
【0200】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態として、複数の可動子を有する静電アクチ
ュエータについて説明する。
【0201】図29は、本実施形態にかかる静電アクチ
ュエータの構成を概念的に表した模式図である。すなわ
ち、本実施形態の静電アクチュエータは、固定子20内
に第1の可動子31と第2の可動子32とが設けられて
いる。これら可動子31、32は、相互に独立した駆動
が可能とされ、さらに、本発明の第1実施形態にかかる
「起動時動作」、または第2あるいは第3実施形態にか
かる「保持動作」をそれぞれ実行可能とされている。
【0202】図30及び図31は、本実施形態にかかる
静電アクチュエータをカメラモジュールのレンズ機構に
適用した例を表す模式図である。
【0203】このレンズ機構は、四角筒状の固定子20
と、この固定子20内を軸方向に沿って往復動自在に配
置された2つの可動子31、32とを備え、固定子20
の一端部に配置され画像を検出するCCDデバイス50
を設けることでカメラモジュールを構成する。なお、図
中のCはレンズの光軸方向を表している。
【0204】固定子20は、枠体21と、ガラス基板上
に半導体プロセス技術を用いてパターンニングされた固
定子電極22と、枠体21内部に光軸方向Cに沿って延
設された突条部25と、固定子電極22に電力を供給す
る電力供給部26とを備えている。
【0205】固定子電極22は、駆動電極群23と、下
部電極群24とを備えている。
【0206】駆動電極23は、光軸方向Cに沿って交互
に設けられた4系統の駆動電極23a、23b、23
c、23dからなっている。すなわち、各駆動電極23
a、23b、23c、23dは、それぞれ光軸方向Cと
交差する方向に沿ってストライプ状に形成されている。
ここで、駆動電極群23は、4系統に限定されるもので
はなく、3系統あるいは5系統以上とすることもでき
る。
【0207】一方、下部電極群24は、2系統の下部電
極24a、24bからなり、それぞれ光軸方向Cに沿っ
てストライプ状に形成されている。
【0208】電力供給部26は、電源保持回路26a及
び制御回路26bを備えている。これらは、図1に例示
した制御回路(スイッチング回路)40及び電圧源42
にそれぞれ対応するものである。すなわち、電源保持回
路26aは、下部電極群24のそれぞれの下部電極24
a、24bに対する電圧の供給を選択的に行うことで可
動子31又は可動子32のいずれか一方を保持固定し、
その光軸方向Cに沿った移動を規制する機能を有してい
る。
【0209】制御回路26bは、駆動電極群23の各駆
動電極23a、23b、23c、23d及び下部電極群
24の各下部電極24a、24bのうち電源保持回路2
6aにて保持状態となっていない下部電極に電圧を交互
供給するとともに、各駆動電極23a、23b、23
c、23dに供給する順序を順次切り換える機能を有し
ている。
【0210】このような静電アクチュエータにおいて
も、第1実施形態に関して前述した「起動時動作」を実
行させることにより、停止状態あるいは待機状態からの
起動を円滑に行うことができる。この際に、第1の可動
子31あるいは第2の可動子32のいずれかを固定して
おく必要がある場合には、第3実施形態に関して前述し
た「保持動作」として、対応する下部電極24aと24
bのいずれかに電圧を印加しておけばよい。
【0211】また、停止状態あるいは待機状態において
は、第2実施形態あるいは第3実施形態の「保持動作」
を適用することにより、第1及び第2の可動子31、3
2を整列させあるいは固定しておくことができる。
【0212】(第5の実施の形態)次に、本発明の第5
の実施の形態として、第1乃至第4実施形態のいずれか
にかかる静電アクチュエータを搭載した小型カメラモジ
ュールについて説明する。
【0213】すなわち、本発明にかかる静電アクチュエ
ータは、第1実施形態に関して前述した「起動時動作」
あるいは、第2及び第3実施形態に関して前述した「保
持動作」を実行させることにより、駆動特性に優れるこ
とから、各種の携帯型の小型カメラの焦点調節機構やズ
ーム機構としての利用に適している。
【0214】図32は、本発明にかかる静電アクチュエ
ータを搭載した小型カメラのモジュール部分を例示した
模式図である。すなわち、同図の小型カメラにおいて
は、基板321上には、CMOSもしくはCCD等の撮
像素子があり、その前面には、本発明の第1乃至第4実
施形態にかかる静電アクチュエータ322が設けられて
いる。
【0215】ここで、静電アクチュエータを構成する可
動子は、例えば、レンズー体型のものを用いることがで
きる。また、基板21上には静電アクチュエータの駆動
を制御するためのDSP(Digital Signal Processor)
のICが搭載されている。
【0216】図33は、カメラモジュールのシステム構
成を例示する模式図である。可動子3、102の一部に
取り付けられたレンズ310を通り、撮像素子312に
画像情報が入力される。この画像情報をもとに、波形デ
ータ生成部320は、静電アクチュエータ322の特定
の電極に印加するパターンを生成する。すなわち、波形
データ生成部322は、図1における制御回路40や電
源42を包含する構成要素である。
【0217】図34は、本発明の第1実施形態を適用し
た場合の、エラーに対応した駆動ルーチンを表すフロー
チャートである。すなわち、第1実施形態に関して前述
した「起動時動作」が終了した後(S1)、「駆動時動
作」(前進動作または後退動作)を行う(S2)。
【0218】「起動時動作」が正常に終了した場合は、
駆動動作を行った場合レンズの位置が移動することによ
って画像情報が変化(S3:YES)する。この画像情
報のうち、例えば輝度情報をモニタし、輝度情報に変化
があった場合は可動子が正常に動作していることが確認
できる。従って、このまま駆動動作を続行する(S
4)。
【0219】一方、もし駆動波形を出力した場合に画像
情報が変化しない場合(S3:NO)は、可動子が正常
に動いていない可能性があり、起動時動作をもう一度繰
り返すことによって復旧を試みる。
【0220】また、図35は、本発明の第2または第3
の実施形態の「保持動作」を含めた場合の駆動シーケン
スを例示するフローチャートである。
【0221】ここで、「駆動動作」と「保持動作」とは
繰り返し行われるが、保持動作(S11)から駆動動作
(S12)に切り替わるときに、残留分極により保護膜
に電荷がチャージされている場合は可動子3、102を
スムーズに動かすことができない。そのため、駆動動作
を与えたにもかかわらず、映像情報に変化がない場合
(S13:NO)がある。この駆動時の映像情報の変化
(例えば輝度値の変化)をモニタすることで、電荷が絶
縁層にたまっているかどうかを判定できる(S3)。
【0222】電荷が絶縁層に残っている場合はディスチ
ャージ動作を行って、電荷を開放(S14)し、もう一
度駆動動作を行う(S12)。この場合のディスチャー
ジ動作としては、例えば、一定時間電圧の印加を停止し
たり、あるいは電界が反転するように電圧を印加するな
どの方法がある。
【0223】一方、映像情報に変化が生ずる場合(S1
3:YES)は、そのまま駆動動作を完了させて、シー
ケンスが終了しない場合(S15:NO)には、保持動
作(S11)に戻る。また一方、シーケンスを終了する
場合(S15:YES)には、処理を終了する。
【0224】一方、第4実施形態に関して前述したよう
な複数の可動子を有する静電アクチュエータをカメラモ
ジュールに搭載することもできる。
【0225】例えば、ズーム光学系を構成するには、少
なくとも2組の移動可能なレンズ群が必要とされ、光軸
方向に短い小型のズーム光学系は、それぞれのレンズ群
を離した位置から一度近接させて離す位置関係で光学倍
率を変化させることが多い。
【0226】図36は、このような複数の可動子を有す
る静電アクチュエータを搭載したカメラモジュールの動
作シーケンスを例示するフローチャートである。
【0227】すなわち、ここでは、第1の可動子に第1
群のレンズを搭載し、第2の可動子に第2群のレンズを
搭載して、これらを順次駆動させる場合を想定してい
る。
【0228】まず、第2群を保持した状態で第1群を駆
動させる(S21)。ここで、例えば、第3実施形態に
関して前述した「保持動作」により第2群を下部電極に
吸引させて保持しておくことができる。また、第1群の
駆動に先立って、第1実施形態に関して前述した「起動
時動作」を実行させることができる。
【0229】次に、映像情報が変化したか否かを判定す
る(S22)。第1群が円滑に駆動を開始した場合に
は、映像情報が変化する(S22:YES)ので、この
場合には、次のステップS24へ進む。
【0230】一方、映像情報が変化しない場合(S2
2:NO)は、ディスチャージ動作を実行させる(S2
3)。この動作は、図35に関して前述した通りであ
る。
【0231】さて、第1群の駆動が終了したら、第1群
を保持して第2群を駆動させる(S24)。この際に
も、例えば、第3実施形態に関して前述した「保持動
作」により第1群を下部電極に吸引して固定することが
できる。また、第2群の駆動に先立って、第1実施形態
に関して前述した「起動時動作」を実行させることによ
り、円滑に駆動を開始させることが可能となる。
【0232】次に、映像情報が変化したか否かを判定す
る(S25)。第2群が円滑に駆動を開始した場合に
は、映像情報が変化する(S25:YES)ので、この
場合には、次のステップS27へ進み、第1群、第2群
ともに「保持動作」を実行させる。ここでの「保持動
作」としては、第2あるいは第3実施形態に関して前述
したいずれかを採用することができる。
【0233】一方、映像情報が変化しない場合(S2
5:NO)は、ディスチャージ動作を実行させる(S2
6)。この動作も、図35に関して前述した通りであ
る。
【0234】以上説明したように、本発明によれば、第
4実施形態に関して前述した静電アクチュエータを用い
ることより、このような2組のレンズ群を光軸に沿って
独立に移動可能とし、しかも、「起動時動作」あるいは
「保持動作」を実行させることにより、確実且つ円滑な
動作を確保できる。
【0235】以上、説明したように、本発明のカメラモ
ジュールは、第1乃至第4実施形態のいずれかを適用し
た静電アクチュエータを搭載することにより、停止状態
あるいは待機状態からの円滑な動作が可能となる。そし
て、確実且つ安定したフォーカシングやズーミングが可
能となり、小型カメラモジュールの性能を向上させるこ
とができる。
【0236】そして、日常的に持ち運ばれ、振動や衝撃
あるいは外力が与えられやすい、携帯電話やデジタルカ
メラあるいは携帯型パソコン等のカメラユニットなどと
して用いて好適である。
【0237】
【発明の効果】本発明は以上説明した構成を有し以下に
説明する効果を奏する。
【0238】まず、本発明によれば、起動時に可動子を
強制的に上下に振動させることにより、固定子と可動子
との配置を平行に修正させて円滑な駆動を開始させるこ
とができる。
【0239】また、本発明によれば、停止状態あるいは
待機状態において、可動子を上下に振動させることによ
り可動子を所定位置に固定する「保持動作」を行うこと
により、固定子と可動子との配置を平行に修正させて円
滑な駆動を開始させることができる。
【0240】またさらに、本発明によれば、停止状態あ
るいは待機状態において、可動子を上下いずれかの固定
子に吸引された状態とすることにより可動子を所定位置
に固定することにより、固定子と可動子との配置を平行
な状態に維持して円滑な駆動を開始させることができ
る。
【0241】すなわち、本発明によれば、振動や衝撃あ
るいは外力が与えられやすい、携帯電話やデジタルカメ
ラあるいは携帯型パソコン等の各種の機器に用いて好適
な静電アクチュエータを実現でき、産業上のメリットは
多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる静電アクチュエー
タの概略構成を表す模式図である。
【図2】第1の固定子2aにおける電極A〜Dの配列を
例示する平面図である。
【図3】本発明の静電アクチュエータにおける起動時動
作と駆動時動作との関係を表す概念図である。
【図4】起動時動作の前後での固定子と可動子との配置
関係を例示した模式図である。
【図5】図1に例示した「片側電極タイプ」の静電アク
チュエータの一部を拡大した模式図である。
【図6】起動時動作において静電アクチュエータに与え
る印加電圧パターンの第1の具体例を例示する模式図で
ある。
【図7】図6に表したように隣接する2つの駆動電極に
電圧を同時に印加した場合の、推進力Fxの分布を表す
グラフ図である。
【図8】「起動時動作」と「駆動時動作」との関係を表
す概念図である。
【図9】起動時動作における印加電圧パターンの第2の
具体例を例示する模式図である。
【図10】、図9に表したように隣接する3系統の駆動
電極に電圧を同時に印加した場合の、推進力Fxの分布
を表すグラフ図である。
【図11】起動時動作における印加電圧パターンの第3
の具体例を例示する模式図である。
【図12】図11に表したように1系統の駆動電極のみ
に電圧を同時に印加した場合の、推進力Fxの分布を表
すグラフ図である。
【図13】起動時動作における印加電圧パターンの第4
の具体例を例示する模式図である。
【図14】図13に表したように隣接しない2系統の駆
動電極のみに電圧を同時に印加した場合の、推進力Fx
の分布を表すグラフ図である。
【図15】本発明の具体例の場合の起動時動作と駆動時
動作の関係を例示する概念図である。
【図16】両側電極タイプの静電アクチュエータの機構
部を拡大した模式図である。
【図17】両面電極型の静電アクチュエータの起動時動
作における印加電圧パターンの具体例を表す模式図であ
る。
【図18】本発明の具体例の場合の「起動時動作」と
「駆動時動作」との関係を例示する概念図である。
【図19】本発明の実施形態の静電アクチュエータにお
ける保持動作と駆動時動作との関係を表す概念図であ
る。
【図20】図1に例示した「片側電極タイプ」の静電ア
クチュエータの機構部を拡大した模式図である。
【図21】固定子2bの電極形成面を眺めた模式図であ
る。
【図22】上下の固定子2a、2bの表面にストッパ1
0を設けられた静電アクチュエータを表す模式図であ
る。
【図23】ストッパ10が可動子3の側に設けられた静
電アクチュエータを表す模式図である。
【図24】このように順次切り替えて電圧を印加するパ
ターンの具体例を表す模式図である。
【図25】このように順次切り替えて電圧を印加するパ
ターンの具体例を表す模式図である。
【図26】残留分極の発生を防ぐことができる電圧パタ
ーンを例示する模式図である。
【図27】下部電極の側に可動子を吸引させる場合の電
圧パターンの一例を表す模式図である。
【図28】両側電極タイプの静電アクチュエータにおけ
る「保持動作」の電圧パターンを例示する模式図であ
る。
【図29】本発明の実施形態にかかる静電アクチュエー
タの構成を概念的に表した模式図である。
【図30】本発明の実施形態にかかる静電アクチュエー
タをカメラモジュールのレンズ機構に適用した例を表す
模式図である。
【図31】本発明の実施形態にかかる静電アクチュエー
タをカメラモジュールのレンズ機構に適用した例を表す
模式図である。
【図32】本発明にかかる静電アクチュエータを搭載し
た小型カメラのモジュール部分を例示した模式図であ
る。
【図33】カメラモジュールのシステム構成を例示する
模式図である。
【図34】本発明の第1実施形態を適用した場合の、エ
ラーに対応した駆動ルーチンを表すフローチャートであ
る。
【図35】本発明の第2または第3の実施形態の「保持
動作」を含めた場合の駆動シーケンスを例示するフロー
チャートである。
【図36】複数の可動子を有する静電アクチュエータを
搭載したカメラモジュールの動作シーケンスを例示する
フローチャートである。
【図37】両面電極タイプの静電アクチュエータの構成
を表す模式図である。
【図38】片側電極タイプの静電アクチュエータの概略
構成を表す模式図である。
【図39】制御回路140により各電極に印加される電
圧波形を表すタイミングチャートである。
【図40】「片側電極タイプ」の静電アクチュエータを
駆動させるための、もうひとつのタイミングチャートで
ある。
【符号の説明】
2a 固定子 2b 固定子 3 可動子 3a 凸部 4 保護膜 10 ストッパ 20 固定子 21 基板 22 固定子電極 23 駆動電極群 23a 駆動電極 24 下部電極群 24a、24b 下部電極 25 突条部 26 電力供給部 26a 電源保持回路 26b 制御回路 31、32 可動子 40 制御回路 42 電圧源 50 デバイス 101 静電アクチュエータ 102 可動子 103a 上側固定子 103a 固定子 103b 下側固定子 104 電極部 140 制御回路 142 電圧源 310 レンズ 312 撮像素子 320 波形データ生成部 321 基板 322 波形データ生成部 322 静電アクチュエータ A〜D 駆動電極 CL 中心線 F 下部電極 Fx 推進力 Fy 振動力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−239578(JP,A) 特開 平4−304192(JP,A) 特開 平7−194190(JP,A) 特開 昭62−225198(JP,A) 特開 平8−140367(JP,A) 特開2001−346385(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 1/00 H02N 11/00 G02B 7/04 G02B 7/08

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を
    有する第1の固定子と、 第2の電極を有し、前記第1の固定子と対向して設けら
    れた第2の固定子と、 前記第1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられ
    た可動子と、 前記複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれか
    ひとつの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が
    生ずる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と
    前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加する
    タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動
    子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で複数回振
    動させた後、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    る、制御回路と、 を備えたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】前記第1の電極は、前記駆動方向に沿って
    少なくとも3系統の駆動電極が順番に現れるように周期
    的に配置された前記駆動電極を有し、 前記第2の電極は、前記駆動方向に延設された1系統の
    下部電極を有し、 前記制御回路は、前記少なくとも3系統の駆動電極のう
    ちの少なくともいずれかの系統の駆動電極と前記可動子
    との間に電位差を生じさせる電圧を印加するタイミング
    と、前記下部電極と前記可動子との間に電位差を生じさ
    せる電圧を印加するタイミングと、を交互に繰り返すこ
    とにより、前記可動子を前記少なくともいずれかの系統
    の駆動電極と前記下部電極との間で前記複数回振動させ
    た後、 前記少なくとも3系統の駆動電極と前記可動子との間に
    電位差を生じさせる電圧を前記駆動方向に沿って前記系
    統ごとに順次切り替えて印加することにより、前記可動
    子を前記駆動させることを特徴とする請求項1記載の静
    電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】前記第1の電極は、前記駆動方向に沿って
    少なくとも2系統の駆動電極が順番に現れるように周期
    的に配置された前記駆動電極を有し、 前記第2の電極は、前記駆動方向に沿って少なくとも2
    系統の駆動電極が順番に現れるように周期的に配置され
    た前記駆動電極を有し、 前記制御回路は、前記第1の電極の前記少なくとも2系
    統の駆動電極のうちの少なくともいずれかの系統の駆動
    電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印
    加するタイミングと、前記第2の電極の前記少なくとも
    2系統の駆動電極のうちの少なくともいずれかの系統の
    駆動電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧
    を印加するタイミングと、を交互に繰り返すことによ
    り、前記可動子を前記第1の電極の前記少なくともいず
    れかの系統の駆動電極と前記第2の電極の前記少なくと
    もいずれかの系統の駆動電極との間で前記複数回振動さ
    せることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエー
    タ。
  4. 【請求項4】複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を
    有する第1の固定子と、 第2の電極を有し、前記第1の固定子と対向して設けら
    れた第2の固定子と、 前記第1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられ
    た可動子と、 前記複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれか
    ひとつの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が
    生ずる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と
    前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加する
    タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動
    子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で振動させ
    つつ保持し、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    る、制御回路と、 を備えたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  5. 【請求項5】前記第1の電極は、前記駆動方向に沿って
    少なくとも3系統の駆動電極が順番に現れるように周期
    的に配置された前記駆動電極を有し、 前記第2の電極は、前記駆動方向に延設された1系統の
    下部電極を有し、 前記制御回路は、前記少なくとも3系統の駆動電極のう
    ちの少なくともいずれかの系統の駆動電極と前記可動子
    との間に電位差を生じさせる電圧を印加するタイミング
    と、前記下部電極と前記可動子との間に電位差を生じさ
    せる電圧を印加するタイミングと、を交互に繰り返すこ
    とにより、前記可動子を前記少なくともいずれかの系統
    の駆動電極と前記下部電極との間で前記振動させつつ保
    持し、 前記少なくとも3系統の駆動電極と前記可動子との間に
    電位差を生じさせる電圧を前記駆動方向に沿って前記系
    統ごとに順次切り替えて印加することにより、前記可動
    子を前記駆動させることを特徴とする請求項4記載の静
    電アクチュエータ。
  6. 【請求項6】前記第1の電極は、前記駆動方向に沿って
    少なくとも2系統の駆動電極が順番に現れるように周期
    的に配置された前記駆動電極を有し、 前記第2の電極は、前記駆動方向に沿って少なくとも2
    系統の駆動電極が順番に現れるように周期的に配置され
    た前記駆動電極を有し、 前記制御回路は、前記第1の電極の前記少なくとも2系
    統の駆動電極のうちの少なくともいずれかの系統の駆動
    電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印
    加するタイミングと、前記第2の電極の前記少なくとも
    2系統の駆動電極のうちの少なくともいずれかの系統の
    駆動電極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧
    を印加するタイミングと、を交互に繰り返すことによ
    り、前記可動子を前記第1の電極の前記少なくともいず
    れかの系統の駆動電極と前記第2の電極の前記少なくと
    もいずれかの系統の駆動電極との間で前記振動させつつ
    保持することを特徴とする請求項4記載の静電アクチュ
    エータ。
  7. 【請求項7】前記可動子を前記駆動させるに際して、前
    記少なくともいずれかの系統の駆動電極から順次切り替
    えて前記電圧を印加することを特徴とする請求項2また
    は5に記載の静電アクチュエータ。
  8. 【請求項8】前記少なくともいずれかの系統の駆動電極
    は、隣接する複数の系統の駆動電極であることを特徴と
    する請求項2、5及び7のいずれか1つに記載の静電ア
    クチュエータ。
  9. 【請求項9】複数の系統の駆動電極を含む第1の電極を
    有する第1の固定子と、 第2の電極を有し、前記第1の固定子と対向して設けら
    れた第2の固定子と、 前記第1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられ
    た可動子と、 前記第1及び第2の電極の少なくともいずれかと前記可
    動子との間に電位差を生じさせる電圧を連続的に印加す
    ることにより、前記第1及び第2の電極のいずれかに向
    けた力を連続的に前記可動子に作用させた状態で保持
    し、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    る、制御回路と、 を備えたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  10. 【請求項10】保護膜により覆われ複数の系統の駆動電
    極を含む第1の電極を有する第1の固定子と、 保護膜により覆われた第2の電極を有し、前記第1の固
    定子と対向して設けられた第2の固定子と、 前記第1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられ
    た可動子と、 前記第1及び第2の電極のいずれか一方と前記可動子と
    の間に吸引力が発生するように前記第1及び第2の電極
    の前記いずれか一方に電圧を印加するタイミングと、前
    記第1及び第2の電極のいずれか他方と前記可動子との
    間に反発力が発生するように前記第1及び第2の電極並
    びに前記可動子の少なくともいずれかに電圧を印加する
    タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記第1
    及び第2の電極の前記いずれか一方に向けた力を連続的
    に前記可動子に作用させた状態で保持し、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    る、制御回路と、 を備えたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  11. 【請求項11】前記第1及び第2の固定子の少なくとも
    いずれかと前記可動子との間に設けられたストッパをさ
    らに備え、 前記可動子は、前記力を作用させた状態において前記ス
    トッパに接触することを特徴とする請求項9または10
    に記載の静電アクチュエータ。
  12. 【請求項12】複数の系統の駆動電極を含む第1の電極
    を有する第1の固定子と、 複数の系統の下部電極を含む第2の電極を有し、前記第
    1の固定子と対向して設けられた第2の固定子と、 前記第1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられ
    た第1の可動子と、 前記第1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられ
    た第2の可動子と、 前記複数の系統の下部電極のうちのいずれかの系統の下
    部電極と前記第1及び第2の可動子のいずれか一方との
    間に電位差を生じさせる電圧を連続的に印加することに
    より、前記第1及び第2の電極のいずれかに向けた力を
    前記いずれか一方の可動子に作用させた状態で保持しつ
    つ、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記第1及び第2の可動子のいずれか他方との
    間、及び前記第2の電極と前記第1及び第2の可動子の
    いずれか他方との間に電位差を生じさせる電圧を断続的
    に印加することにより、前記いずれか他方の可動子を前
    記第1及び第2の固定子の対向面に対して略平行な駆動
    方向に向けて駆動させる、制御回路と、 を備えたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  13. 【請求項13】前記制御回路は、前記複数の系統の駆動
    電極のうちの少なくともいずれかひとつの系統の駆動電
    極と前記可動子との間に電位差が生ずる電圧を印加する
    タイミングと、前記第2の電極と前記可動子との間に電
    位差を生じさせる電圧を印加するタイミングと、を交互
    に繰り返すことにより、前記いずれか他方の可動子を前
    記第1の電極と前記第2の電極との間で複数回振動させ
    た後に、 前記いずれか他方の可動子を前記駆動方向に向けて駆動
    させることを特徴とする請求項12記載の静電アクチュ
    エータ。
  14. 【請求項14】複数の系統の駆動電極を含む第1の電極
    を有する第1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1
    の固定子と対向して設けられた第2の固定子と、前記第
    1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられた可動
    子と、を有する静電アクチュエータの駆動方法であっ
    て、前記複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいず
    れかひとつの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位
    差が生ずる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電
    極と前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加
    するタイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記
    可動子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で複数
    回振動させた後、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    ることを特徴とする静電アクチュエータの駆動方法。
  15. 【請求項15】複数の系統の駆動電極を含む第1の電極
    を有する第1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1
    の固定子と対向して設けられた第2の固定子と、前記第
    1の固定子と前記第2の固定子との間に設けられた可動
    子と、を有する静電アクチュエータの駆動方法であっ
    て、 前記複数の系統の駆動電極のうちの少なくともいずれか
    ひとつの系統の駆動電極と前記可動子との間に電位差が
    生ずる電圧を印加するタイミングと、前記第2の電極と
    前記可動子との間に電位差を生じさせる電圧を印加する
    タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記可動
    子を前記第1の電極と前記第2の電極との間で振動させ
    つつ保持し、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    ることを特徴とする静電アクチュエータの駆動方法。
  16. 【請求項16】複数の駆動電極を含む第1の電極を有す
    る第1の固定子と、第2の電極を有し、前記第1の固定
    子と対向して設けられた第2の固定子と、前記第1の固
    定子と前記第2の固定子との間に設けられた可動子と、
    を有する静電アクチュエータの駆動方法であって、 前記第1及び第2の電極の少なくともいずれかと前記可
    動子との間に電位差を生じさせる電圧を連続的に印加す
    ることにより、前記第1及び第2の電極のいずれかに向
    けた力を連続的に前記可動子に作用させた状態で保持
    し、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    ることを特徴とする静電アクチュエータの駆動方法。
  17. 【請求項17】保護膜により覆われ複数の駆動電極を含
    む第1の電極を有する第1の固定子と、保護膜により覆
    われた第2の電極を有し、前記第1の固定子と対向して
    設けられた第2の固定子と、前記第1の固定子と前記第
    2の固定子との間に設けられた可動子と、を有する静電
    アクチュエータの駆動方法であって、 前記第1及び第2の電極のいずれか一方と前記可動子と
    の間に吸引力が発生するように前記第1及び第2の電極
    の前記いずれか一方に電圧を印加するタイミングと、前
    記第1及び第2の電極のいずれか他方と前記可動子との
    間に反発力が発生するように前記第1及び第2の電極並
    びに前記可動子の少なくともいずれかに電圧を印加する
    タイミングと、を交互に繰り返すことにより、前記第1
    及び第2の電極の前記いずれか一方に向けた力を連続的
    に前記可動子に作用させた状態で保持し、 前記複数の系統の駆動電極を順次切り替えつつ前記第1
    の電極と前記可動子との間、及び前記第2の電極と前記
    可動子との間に電位差を生じさせる電圧を断続的に印加
    することにより、前記可動子を前記第1及び第2の固定
    子の対向面に対して略平行な駆動方向に向けて駆動させ
    ることを特徴とする静電アクチュエータの駆動方法。
  18. 【請求項18】撮像素子と、 請求項1〜13のいずれか1つに記載の静電アクチュエ
    ータと、 前記静電アクチュエータの前記可動子に設けられ前記撮
    像素子に光学的情報を入力するレンズと、 を備えたことを特徴とするカメラモジュール。
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