JP2007192902A - 微小電気機械素子の駆動方法及び微小電気機械素子アレイの駆動方法、微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ、並びに画像形成装置 - Google Patents

微小電気機械素子の駆動方法及び微小電気機械素子アレイの駆動方法、微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ、並びに画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可動部の振動をアクティブに減少させることのできる微小電気機械素子の駆動方法を提供し、スイッチング動作を高速化させる。
【解決手段】弾性変位可能に支持された可動部27を備え、該可動部27が物理作用により変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子100の駆動方法であって、可動部27へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部35a,35bにより、可動部27の物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点に向けて可動部27を駆動する場合に、可動部27に対して、該可動部27の変位開始から定位点に到達するまでの第1の期間はその定位点に到達するときの速度を略ゼロとする第1の物理作用力を連続的に常時与え、定位点到達後の第2の期間は可動部27を定位点に定位させるための第2の物理作用力を与えるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性変位可能に支持された可動部を備えた微小電気機械素子の駆動方法及び微小電気機械素子アレイの駆動方法、微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ、並びに画像形成装置に関し、さらに詳しくは、可動部の振動を能動的に減少させる改良技術に関する。
近年、MEMS技術(MEMS;Micro-Electro Mechanical Systems)の急速な進歩により、μmオーダーの微小構造体を電気的に変位・移動させる微小電気機械式素子の開発が盛んに行われている。この微小電気機械式素子には、例えばマイクロミラーを傾けて光の偏向を図るデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)や、光路を切り換える微小電気機械素子としての光スイッチなどがある。DMDは、光学的な情報処理の分野において、投射ディスプレイ、ビデオ・モニター、グラフィック・モニター、テレビ及び電子写真プリントなど用途が広い。また、光スイッチは、光通信、光インタコネクション(並列コンピュータにおける相互結合網など光による信号接続技術)、光情報処理(光演算による情報処理)などへの応用が期待されている。
微小電気機械式素子は、一般的に弾性変位可能に支持され双方向に変位する可動部を備え、この可動部が主にスイッチング動作を担う。従って、可動部の制動制御は、良好なスイッチング動作を行う上でも特に重要となる。
例えば、下記特許文献1に開示される光スイッチは、図25に示すように、電圧制御部1による制御電圧のオン、オフにより変位する振動部材2と、この振動部材2の先端に設けられ振動部材2が変位することにより光導波路3の伝搬光を反射又は遮断するエレメント4を備えた光スイッチ5である。
一般的に光スイッチでは、制御電圧をオン、オフして振動部材2が変位するとき、チャタリングと呼ばれる現象が生じる。このチャタリングは、制御電圧をオン又はオフにした後に、振動部材2が直ちにその制御電圧に対応した変位量分、変化するのではなく、大きな減衰振動をしながら、最終的に制御電圧に対応した変位量分、変位する現象である。図26に制御電圧オン時(a)と制御電圧オフ時(b)のチャタリングの様子を示した。これによれば、振動部材2の振動が減衰し、光出力が一定レベルになるまでは、光路を切り換えたことにならず、光スイッチの切り換え速度が制限されてしまう。これに対し、特許文献1による光スイッチの切替制御方法では、振動部材の固有振動周期より短い予備電圧パルスを、制御電圧をオンする前とオフにした後に振動部材2に印加することで、チャタリングを制御し、光スイッチの切り換え速度の向上を図っている。
特開平2−7014号公報
しかしながら、特許文献1に開示される光スイッチの切替制御方法は、所謂、導波路シャッターの振動制御方法であり、図26に示すように、制御電圧をオン、オフする前に、第1の予備電圧パルス、第2の予備電圧パルスをカンチレバー型(単素子)振動部材2に印加し、1つの可動部電極と1つの固定電極により静電気力を単一方向に働かせ、可動支持部の弾性力及び慣性力との力のつり合いにより可動部駆動時の振動を抑えようとするものである。したがって、可動部変位方向に働く順方向のみの静電気力(電位差)を変化させるため、振動抑制効果が小さい問題がある。また、可動部が最初に所望の変位へ到達するまでの抑制制御であり、全体的な振動抑制には至っていない。さらに、制御電圧を一度オフにすることが前提となっており、可動部が制御されない状態が作られ、新たな振動の要因ともなり得、柔軟な制御を難しくしている。
一般的に、光通信用の光スイッチにおいては、DMDと異なり、任意の角度で位置出しされるために自由振動の収束までに非常に時間がかかる。また、レーザ光などの光情報を出射側のファイバに反射させて入射させるため、高い制御精度が求められるが、可動部(ミラー部)の振動が上記したチャタリングとしてノイズの原因となる。このように、特に光スイッチの場合、振動の影響はDMDもより大きく、重大な課題となっていた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、可動部の振動をアクティブに減少させることのできる微小電気機械素子の駆動方法及び微小電気機械素子アレイの駆動方法、微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ、並びに画像形成装置を提供し、もって、チャタリングを減少させてノイズを低減し、スイッチング動作の高速化を図ることを目的とする。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1)弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用により変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、前記可動部に対して、該可動部の変位開始から前記定位点に到達するまでの第1の期間は前記定位点に到達するときの速度を略ゼロとする第1の物理作用力を連続的に常時与え、前記定位点到達後の第2の期間は前記可動部を前記定位点に定位させるための第2の物理作用力を与えることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、可動部への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、可動部が定位点に到達するときの速度を略ゼロとすることにより、従来非接触駆動での定位点へ到達する際のオーバーシュートや、接触駆動での可動部が大きな速度で定位点へ到達することで生じていた衝突による振動が抑制される。つまり、可動部の振動がアクティブに減少可能となる。
(2)弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用より変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点のうち、いずれかの定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、前記可動部に対して、該可動部の変位開始から前記定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間は、前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に減少させることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、可動部への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、可動部が定位点方向へ駆動された後で、この可動部が可動部定位点方向へ変位している間に、物理作用力の絶対値を減少させることで、可動部が大きな速度で定位点へ到達することで生じていた振動が抑制される。よって、可動部の振動がアクティブに減少可能となる。
(3)弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用より変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点のうち、いずれかの定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、前記可動部に対して、前記該可動部の変位開始から前記定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間の後、この第1の期間終了時から次に速度がゼロになるまでの第2の期間において、前記可動部に前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に増大させることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、可動部への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、可動部が定位点から離反する方向、すなわち、可動部定位点方向とは逆方向へ変位している間には、物理作用力の絶対値を増加させることで、振動抑制のために可動部を定位点方向へ向かわせる作用を与えることができる。これにより、過剰な振れが抑制されて定位点における振動発生が抑制される。つまり、可動部の振動がアクティブに減少可能となる。
(4)弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用より変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点のうち、いずれかの定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、前記可動部に対して、該可動部の変位開始から前記定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間は前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に減少させ、前記第1の期間終了時から次に速度がゼロになるまでの第2の期間において、前記可動部が前記定位点から離反する方向に変位しているときに、前記可動部に前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に増大させることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、可動部への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、可動部が定位点方向へ駆動された後で、この可動部が可動部定位点方向へ変位している間に、物理作用力の絶対値を減少させることで、可動部が大きな速度で定位点へ到達することで生じていた振動を抑制させることができる。また、可動部が定位点から離反する方向、すなわち、可動部定位点方向とは逆方向へ変位している間には、物理作用力の絶対値を増加させることで、振動抑制のために可動部を定位点方向へ向かわせる作用を与えることができる。これにより、過剰な振れが抑制されて定位点における振動発生が抑制される。つまり、可動部の振動がアクティブに減少可能となる。
(5)前記物理作用力を前記第1の期間および前記第2の期間にわたって、連続して前記可動部に加えることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、可動部に物理作用力を連続して与えることにより、可動部の動きを円滑に制御することができ、断続的に物理作用力を与える場合と比較して、より高精度な位置制御が可能となる。
(6)前記可動部の前記定位点間における変位を、前記物理作用力を前記可動部に複数回加えることで複数回繰り返すことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、物理作用力を繰り返し複数回加えることで、連続的な制御が行える。
(7)前記物理作用力の印加波形が、三角波・矩形波・鋸波・正弦波のいずれかを含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法。
この微小電気機械素子の駆動方法によれば、所望の物理作用力を三角波・矩形波・鋸波・正弦波のいずれかから得ることができる。
(8)前記微小電気機械素子が複数配列された微小電気機械素子アレイに対し、(1)〜(7)のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法に基づいて、前記微小電気機械素子アレイの駆動を行うことを特徴とする微小電気機械素子アレイの駆動方法。
この微小電気機械素子アレイの駆動方法によれば、微小電気機械素子アレイを構成する各素子の振動タイミングを調整することで、アレイ全体としての振動抑制が可能となる。
(9)前記複数の可動部が、前記複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、前記複数の可動部が前記第2定位点に到達するタイミングを略一致させるように、(1)〜(7)のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法を実施することを特徴とする請求項8記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法。
この微小電気機械素子アレイの駆動方法によれば、複数の可動部が第2定位点に到達するタイミングを略一致させる制御を、可動部に振動を伴わせることなく正確に実現できる。
(10)前記複数の可動部が、前記複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、前記複数の可動部が前記第2定位点に向けて変位開始するタイミングが略一致したときに、(1)〜(7)のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法を実施することを特徴とする(8)記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法。
この微小電気機械素子アレイの駆動方法によれば、複数の可動部が第2定位点に向けて変位開始するタイミングを一致させる制御を、振動を伴わせることなく正確に実現できる。
(11)前記複数の可動部が、前記複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、前記複数の可動部が前記第2定位点に対して同じ方向に変位している期間に、(1)〜(7)のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法を実施することを特徴とする(8)記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法。
この微小電気機械素子アレイの駆動方法によれば、複数の可動部が前記第2定位点に対して同じ方向に変位してときに、可動部の振幅が過剰に大きくなることが防止でき、正確な制御が可能となる。
(12)弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用力で変位する微小電気機械素子であって、(1)〜(7)のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法に基づいて光変調を行う制御部を具備したことを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部の振動をアクティブに減少させることができ、チャタリングを減少させてノイズを低減し、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
(13)弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用力で変位する微小電気機械素子を複数配列されてなる微小電気機械素子アレイであって、(8)〜(11)のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法に基づいて光変調を行う制御部を具備したことを特徴とする微小電気機械素子アレイ。
この微小電気機械素子アレイによれば、複数の可動部の振動をそれぞれアクティブに減少させることができ、チャタリングを減少させてノイズを低減し、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
(14)光源と、(13)記載の微小電気機械素子アレイと、前記光源からの光を前記微小電気機械素子アレイに照射する光学系と、前記微小電気機械素子アレイから出射される光を画像形成画面に投影する投影光学系と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
この画像形成装置によれば、振動をアクティブに減少でき、従来装置に比べ、駆動サイクルが短縮される。これにより、高速な感光材露光や、より高画素数のプロジェクタの表示が可能となる。また、露光光のオン・オフで階調制御がなされる画像形成装置(露光装置)では、オン・オフ時間の短縮が可能となることで、より高階調の実現が可能となる。
本発明によれば、可動部へ与える物理作用力を制御することで、可動部に対していずれの変位方向についても、振動抑制のため可動部を定位点方向へ向かわせる作用を与えることができる。これにより、可動部が大きな速度で定位点へ到達することで生じていた振動が抑制される。つまり、可動部のオーバーシュートによる振動(非接触駆動系)や可動部の接触時の振動(接触駆動系)がアクティブに減少可能となる。また、物理作用力を停止することなく駆動制御するので、可動部が制御されない状態が発生することがなく、柔軟な制御を提供できる。
また、複数の可動部それぞれの物理作用力を制御することで、可動部の定位点に到達した後の振動をアクティブに減少させることができる。この結果、チャタリングを減少させてノイズを低減し、微小電気機械素子アレイにおけるスイッチング動作を高速化することができる。
さらに、微小電気機械素子アレイを用いて画像形成装置を構成することにより、可動部の振動をアクティブに減少でき、駆動サイクルが高速化され、高速な感光材露光や、より高画素数のプロジェクタの表示が可能となる。
以下、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る駆動方法を適用する微小電気機械素子の第1の実施の形態を(a),(b)で表す概念図、図2は図1に示した微小電気機械素子の変位過程を(a),(b)で表した動作説明図である。
本実施の形態による微小電気機械素子としての光スイッチ100は、基本的な構成要素として、基板21と、基板21に空隙23を介して平行に配置される小片状の可動部27と、可動部27の両縁部から延出されるヒンジ29,29と、このヒンジ29,29を介して可動部27を基板21に支持するスペーサ31,31とを備える。このような構成により、可動部27は、ヒンジ29,29の捩れによって回転変位が可能となっている。
光スイッチ100は、可動部27の上面が光反射部(マイクロミラー部)となる。この他、本発明に係る光スイッチは、可動部27の材質を適宜選択することにより、音波、流体、熱線のスイッチングも可能にできる。
本実施の形態において、可動部27は、特定方向の変位の最終位置(定位点)に到達するに際し、基板21や図示しない停止部材には接触せずに停止される。つまり、非接触型の光スイッチを構成している。
基板21の上面には、ヒンジ29,29を中央として両側に第1アドレス電極35aと第2アドレス電極35bが設けられる。これらアドレス電極35a,35bが可動部27へ静電気力を与える駆動部となる。また、可動部27にもその一部に図示しない可動電極が設けられている。光スイッチ100には基板21中に駆動回路37が設けられ、駆動回路37は可動部27と第1アドレス電極35aとの間、可動部27と第2アドレス電極35bとの間に電圧を印加する。光スイッチ100は、基本動作として、第1アドレス電極35a、第2アドレス電極35b、可動部27へ電圧を印加することによって、ヒンジ29,29を捩り中心として可動部27を揺動変位させる。つまり、可動部27がマイクロミラー部であることにより、光の反射方向がスイッチングされる。
光スイッチ100では、可動部27に対し、第1アドレス電極35a、第2アドレス電極35bに電位差を与えると、それぞれの電極と、可動部27との間に静電気力が発生し、ヒンジ29,29を中心に回転トルクが働く。この際に発生する静電気力は、周囲雰囲気の誘電率、可動部27の面積、印加電圧、可動部27とアドレス電極の間隔に依存する。
従って、周囲雰囲気の誘電率、可動部27の面積、可動部27とアドレス電極の間隔、ヒンジ29、29の弾性係数が一定である場合、可動部27は、それぞれの電極の電位を制御することにより、左右に回転変位可能となる。例えば、V>Vのときには、第1アドレス電極35aと可動部27に発生する静電気力が、第2アドレス電極35bと可動部27に発生する静電気力より大きくなり、可動部27は左側が下がるように傾く。逆に、V<Vのときは、第2アドレス電極35bと可動部27に発生する静電気力が、第1アドレス電極35aと可動部27に発生する静電気力より大きくなり、可動部27は右側が下がるように傾く。
このように、可動部27の可動電極、第1アドレス電極35a、第2アドレス電極35bは、ヒンジ29、29を軸として可動部27を回転変位させる駆動部となっている。このような駆動部から可動部27へ加えられる物理作用力が、静電気力となることで、高速な回転変位によるスイッチングが可能となる。
なお、可動部27に作用させる物理作用力は、静電気力以外の物理作用力であってもよい。その他の物理作用力としては、例えば、圧電体による効果や電磁力を挙げることができる。この場合、駆動部としては、圧電素子を用いた圧電型アクチュエータや、マグネット・コイルを用いた電磁型アクチュエータが採用される。
次に、この可動部27の振動と、本発明の駆動方法による振動抑制について述べる。
本発明が適用される光スイッチ100は、駆動部により可動部27を図1の左回転方向(反時計方向)で光スイッチとして機能できる程度の変位位置である定位点へ変位駆動させるに際し、可動部27がその定位点方向に変位している間に、駆動部により可動部27に対し始めの物理作用力より減少させた物理作用力が加えられる。つまり、可動部27に対して、可動部27の変位開始から定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間は、定位点に到達するときの速度を略ゼロとする第1の物理作用力を連続的に常時与え、第1の期間終了時から次に速度がゼロになるまでの第2の期間は、可動部27を定位点に定位させるための第2の物理作用力を与える。
図3は、第1実施形態における可動部の駆動波形とそれに対する可動部の挙動を表した説明図である。
本実施形態の光スイッチ100は、図2(a)に示すように静電気力がかかっていない状態がニュートラル状態(位置P)となる。そして、図2(b)及び図3(a)に示すように、第1アドレス電極35aに駆動電圧Va2が印加される(第1の期間:t〜tの期間)と、図2(b)及び図3(b)に示すように、光スイッチ100としての一方の状態として、可動部27の左端が、定位点である変位の最終位置(P)方向に変位する。このとき、図3(b)に実線で示すようなPからPへの曲線に示す変位が生じる。また、第2アドレス電極35bに駆動電圧を印加すると、可動部27は逆側の最終位置(P)方向へ移動する。以下の説明では、定位点である最終位置P,Pへの遷移動作はいずれも等価と見なせるので、可動部27の移動方向はP1→P2の順であっても、P2→P1の順であっても同様である。
本実施形態においては、定位点に到達する時刻tまでの間(第1の期間)、図3(a)の実線で示すように、可動部27に印加する物理作用力(静電気力)を発生させるための駆動電圧VをVa1からVa2に絶対値を減少させている。これにより、既に変位が開始されている可動部27に対して第1アドレス電極35aに向かう静電気力を連続的に常時与えつつ、相対的に減少させるので、ヒンジ29、29の弾性力が相対的に大きくなり振動抑制方向に作用する。よって、変位開始後で最終変位位置となる定位点Pに到達する前の可動部27が減速され、定位点に到達する瞬間の速度が略ゼロとなる。その結果、図3(b)の時刻t以降(第2の期間)で判るように可動部27の振動が抑えられる。この時刻t以降の駆動電圧Vは、可動部27を定位点Pに定位させるための物理作用力を発生するため、電圧Va2より絶対値が高い電圧Va1が印加されている。なお、駆動電圧Vを減少させない場合、図3(b)の点線に示すように、オーバーシュートにより振動が大きい状態で推移する。
a2の値については、使用される微小電気機械素子にVa2として数段階の電圧を印加実験することで、最適な数値を実験的に特定することができる。また、下記の(1)、(2)式によって解析的に求めることもできる。
[式1]
Figure 2007192902

つまり、(1)式で表される運動方程式00で、t=tにおいて、
Figure 2007192902

上記Bとなるような物理作用力fを与えるVa2として決定される。
図3(a)では、第1の物理作用力を発生させる第1アドレス電極35aの駆動電圧の絶対値を、電圧Va1から減少させた一定の値Va2としたが、図4に示すように、段階的に変化させることも可能である。図4(a)においては、可動部27が第1アドレス電極35aに近づくにつれ、可動部27に加わる静電気力が徐々に強められるので、定位点P1に到達するまでの間で駆動電圧の絶対値を段階的に減少させている。これにより、定位点到達時の速度を確実にゼロにすることができる。また、図4(b)においては、可動部27の変位開始時における静電気力を一時的に弱めることで、可動部27の遷移動作に対してオーバーシュートの防止効果を高め、結果として可動部27の応答性を高めている。つまり、可動部27が第1アドレス電極35aに近づくことにより、同じ電圧レベルであっても発生する静電気力が増加するため、変位の途中で電圧を下げて、発生する静電気力を抑えている。
これらの駆動電圧の各段階における電圧値設定についても、上記(1)、(2)式において、t=t2においてBとなるような物理作用力fを与える電圧値として決定される。
このように、可動部27が特定方向の定位点P又はPに到達するときに、到達の瞬間の速度が略ゼロとなることで、従来可動部が大きな速度で最終変位位置へ到達するに際し、所望の回転角度(収束位置)を超えてオーバーシュートして生じていた振動が発生しなくなる。
図5は、図2で示した光スイッチ100の他方の状態として、可動部27の左側が第1アドレス電極35a側の定位点Pに保持されてから、これとは反対側の定位点Pに変位するまでの駆動の様子を示している。
具体的には、第2アドレス電極35bに駆動電圧を印加して可動部27を時計方向に変位させるが、その場合の第2アドレス電極35bには、時刻tまでの保持期間において電圧Va1を印加し、さらに時刻t以降は第1アドレス電極35bに駆動電圧Va1より絶対値が低い電圧Vaを連続して印加する。これにより、可動部27の右端が第2アドレス電極35b側の定位点の方向(即ち、定位点Pの方向)に変位し、この可動部27の左端は図5(b)の実線で示すような曲線を描いて変位する。そして、定位点Pに到達する瞬間には、その変位速度が略ゼロとなって、この定位点Pで静止する。可動部27の左端が定位点Pに到達した後は、第1アドレス電極35aに印加する駆動電圧をVa3よりさらに絶対値が低い電圧Va4とする。ここで、駆動電圧Va4の設定については、前述のVa2の設定に準ずる。
本実施形態の駆動方法によれば、従来可動部が大きな速度で最終変位位置P又はPへ到達することで生じていたオーバーシュートによる振動や、接触駆動での最終変位位置へ到達する際の衝突による振動が抑止される。つまり、可動部27の振動がアクティブに減少可能となる。
なお、ここでは説明の都合上、第1アドレス電極35aを物理作用力の駆動部としたが、これに限定されることなく、本実施形態の中では、第2アドレス電極35bとすることもでき、また、他の微小電気機械素子であれば、可動部へ物理作用力を作用させる部分であれば良い。これは、以下に続く、他の実施形態についても同様である。
また、駆動電圧Vの波形は、図示例では矩形状であるが、これに限らず、三角波・矩形波・鋸波・正弦波のいずれかを含む波形であってもよく、駆動電圧Vが正の値の範囲内で連続的に変化する滑らかな曲線等の波形であってもよい。
次に、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の第2の実施の形態を説明する。
本実施形態の駆動方法では、可動部27が定位点方向へ駆動されて変位している間に、可動部27に静電気力を連続的に常時与えるとともに、静電気力の絶対値を減少させている。
図6は、第2実施形態における可動部の駆動波形とそれに対する可動部の挙動を表した説明図である。図6(a)に示すように、ニュートラル状態Pから第1アドレス電極35aに駆動電圧Va1が印加されると、図6(b)の実線で示すように、可動部27の左端が変位の最終位置(定位点P)方向に向けて変位する。次に、定位点Pに到達する時刻tにおいて、図6(a)に示すように、駆動電圧Va1をVa5のように絶対値を一時的に減少させている。
これによれば、可動部27が定位点Pを越えて変位して、その変位方向が反転しない期間(すなわち、ヒンジ部の弾性復元力により、その変位方向とは反対方向に向かう反転が生じない期間)に、可動部27に与える静電気力を低下させて、定位点Pを越えて第1アドレス電極35a側に引き寄せる作用を低下させる。その結果、ヒンジ29、29の弾性力が相対的に大きくなり、振動抑制効果が高められる。よって、図6(b)の時刻t以降で判るように振動が抑えられる。なお、駆動電圧Va1を減少させない場合、図6(b)の点線で示すように、オーバーシュートなどにより振動が大きい状態で推移する。
以上のように、可動部27の双方向の変位に対してそれぞれ駆動電圧を制御することで、従来可動部が大きな速度で最終変位位置へ到達することで生じていたオーバーシュートによる振動が抑止される。つまり、可動部27の振動がアクティブに減少可能となる。
次に、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の第3の実施の形態を説明する。
本発明が適用される光スイッチ100は、駆動部により可動部27をその定位点方向とは逆方向に変位している間に、駆動部により、可動部に静電気力が連続的に常時与えられるとともに、可動部27に対して始めの静電気力より絶対値を増加させた静電気力が加えられる。
図7は、第3実施形態における可動部の駆動波形とそれに対する可動部の挙動を表した説明図である。
図7(a)に示すように、ニュートラル状態Pから第1アドレス電極35aに駆動電圧Va1が印加されると、図7(b)の実線で示すように、可動部27の左端が変位の最終位置(定位点P)方向に向けて変位を開始する。次に、可動部27が定位点Pに到達した(時刻t)後、可動部27が変位方向を反転させて、再度定位点Pに到達したとき(時刻t)に、図7(a)に示すように、駆動電圧Va1をVa8のように絶対値を増加させている。
つまり、可動部27が一旦定位点Pを越えて変位して、再度定位点Pに戻り、この変位点Pを越えたとき(時刻t)から、その変位方向が反転するまでの間、可動部27に与える静電気力の絶対値を増加させて、第1アドレス電極35aに引き寄せる作用を強くする。その結果、ヒンジ29、29の弾性力と相まって、振動抑制効果が高められる。よって、図7(b)の時刻t以降で判るように、可動部27の振動が小さく抑えられる。なお、駆動電圧Va1の絶対値を増加させない場合、図7(b)の点線で示すように、オーバーシュートなどにより振動が大きい状態で推移する。
次に、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の第4の実施の形態を説明する。
本実施形態の駆動方法では、可動部27が定位点方向へ駆動された後で、可動部27が定位点方向へ変位している間に、静電気力の絶対値を減少させ、かつ、可動部27が定位点方向とは逆方向へ変位している間には、静電気力の絶対値を増加させている。このときも、静電気力は連続的に常時、可動部に与えられる。
図8は、第4実施形態における可動部の駆動波形とそれに対する可動部の挙動を表した説明図である。
図8(a)に示すように、静電気力がかかっていない状態から、時刻tにおいて駆動部である第1アドレス電極35aにより駆動電圧Va1が印加される。すると、図8(b)に示すように、光スイッチ100としての一方の状態として、可動部27の左端が定位点方向に変位し、図8(b)の実線で示すような曲線の変位が始まる。
そして、定位点に到達する時刻t2からその変位方向が反転するまでの間において、図8(a)に示すように、可動部27が定位点方向に変位する場合ということで、物理作用力を発生させる駆動電圧をVa1からVa12に絶対値を減少させている。よって、可動部27に対し、ヒンジ29、29の弾性力を相対的に大きくして振動抑制方向に働かせ、可動部27の振動が抑制される。
更に、図8(b)に示すように、ニュートラル状態(P)から定位点Pを通過し、定位点Pから離反した後に変位方向を反転し、再び定位点Pに到達する時刻t3から、さらに変位方向が反転するまでの間(つまり可動部27が定位点から離反する方向に変位する間)において、図8(a)の時刻tに示すように、物理作用力を発生させる駆動電圧Va1をVa13に絶対値を増加させる。これによって、図8(b)で判るように、可動部27の振動に対し時刻t以降における振動が更に抑制される。
従って、可動部27のいずれの変位方向(定位点方向への変位、又は定位点方向とは逆方向へ変位)に対しても、振動抑制のために可動部27を定位点方向へ向かわせる作用を与えることができ、可動部27が大きな速度で定位点へ到達することで生じていた振動が強力に抑制される。つまり、可動部の振動がアクティブに減少可能となる。
以上をまとめると、本実施形態の光スイッチの駆動方法は、図9に非接触型駆動方式の光スイッチの変位動作を示すように、可動部27が一方のアドレス電極(例えば第1アドレス電極35a)側へ遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間と、他方のアドレス電極(例えば第2アドレス電極35b)側へ遷移して速度がゼロになるまでの第2の期間とに切り分けて、各期間毎に異なる駆動電圧の制御を行う。そして、駆動電圧を減少または増加、あるいは増減させることで、可動部27が最終変位位置に到達した後のオーバーシュートや振動を無くすことができる。その結果、駆動サイクルを短縮することができる。
上記の例では、非接触型駆動方式の光スイッチの場合であるが、接触型駆動方式の光スイッチの場合についても同様である。つまり、図10に示すように、可動部27が一方のアドレス電極側へ遷移する期間と、他方のアドレス電極側へ遷移する期間とに切り分けて駆動電圧を制御する。そして、この駆動電圧の制御は、可動部27を駆動させる度に実施し、物理作用力を可動部27に複数回加えることで、連続的な制御が安定して行えるようになる。
次に、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の第5の実施の形態を説明する。
ここでは、上述の微小電気機械素子が複数配列されてなる微小電気機械素子アレイを駆動の対象としている。具体的な微小電気機械素子アレイの構成については後述することとし、ここではまず、微小電気機械素子アレイの駆動方法について説明する。
本実施形態の駆動方法では、複数の可動部27が、複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、複数の可動部27が第2定位点に到達するタイミングを略一致させるように、印加する駆動電圧をそれぞれ前述の各実施形態のように連続的に制御するものである。
このような可動部27の挙動において、図11に示す本駆動方法のシーケンスでは、まず、複数の可動部がそれぞれともにラッチ状態から解除され、ヒンジの弾性復元力によって一斉に略水平状態にされる(時刻t)。そして、図11(a)に示すように、時刻tのタイミングで各可動部27に対して、駆動電圧V、Vのいずれか、若しくは両方を印加する。なお、図では一例として第1実施形態の駆動波形を示した。つまり、正規の駆動電圧より低い電圧を印加した後、駆動電圧V、Vのいずれか、若しくは両方を印加する。したがって、それぞれの可動部27は、一斉に水平姿勢をとっているので、同時に低い駆動電圧と、その後の駆動電圧V、Vが印加されることで、左側又は右側への異なる遷移方向であっても、図11(b)に示すように、最初の定位点への到達タイミングが同時となり、複数の微小電気機械素子それぞれの位相を合わせることができる。換言すれば、最初の定位点への到達タイミングが同時になるように、低い電圧値の駆動電圧が印加される。
本実施形態においては、このように可動部27の位相がそれぞれ合わせられることで、上記の作用による振動減衰効果を、全微小電気機械素子に対して得ることができ、その結果、微小電気機械素子アレイの駆動タイミングを各可動部で一定に揃えることができる。
次に、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の第6の実施の形態を説明する。
本実施形態は上述の微小電気機械素子が複数配列されてなる微小電気機械素子アレイを駆動の対象としている。
本実施形態の駆動方法では、複数の可動部27が、複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、複数の可動部27が第2定位点に向けて変位開始するタイミングが略一致したときに、印加する駆動電圧をそれぞれ前述の各実施形態のように制御するものである。各可動部の変位開始するタイミングが一致するときは、実験的に求めてもよく、解析的に求めてもよい。これによって予め設定されるタイミングで駆動電圧の制御を行う。
このような駆動方法による可動部27の挙動の一例を図12に示した。図12に示す本駆動方法では、まず、複数の可動部をそれぞれいずれかの定位点に向けて駆動する。そのとき、図12(a)に示すように、各可動部の変位の挙動は、異なる周期(固有振動数)となった振動となる。これは可動部の寸法等の個体差によって差が生じるためである。そこで、所望の定位点へ変位するタイミングが略一致したところで、前述の第2実施形態における駆動電圧の制御を行う。即ち、駆動電圧の絶対値を一時的に減少させる。
これにより、それぞれの可動部27は、位相の略一致した時刻tで同時に駆動電圧V又はVが印加されることで、左側又は右側への異なる遷移であっても、図12(b)に示すように、時刻t以降の可動部の振動を抑制できる。
次に、本発明に係る微小電気機械素子の駆動方法の第7の実施の形態を説明する。
本実施形態は上述の微小電気機械素子が複数配列されてなる微小電気機械素子アレイを駆動の対象としている。
本実施形態の駆動方法では、複数の可動部が、複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、複数の可動部が第2定位点に対して同じ方向に変位している期間に、印加する駆動電圧をそれぞれ前述の各実施形態のように制御するものである。
このような可動部27の挙動において、図13に示す本駆動方法においては、まず、複数の可動部をそれぞれいずれかの定位点に向けて駆動する。そのとき、各可動部の変位の挙動が変位先となる定位点に向けて変位しているか(接近方向)、変位先とは逆の定位点に向けて変位しているか(離反方向)を区別して、それぞれの可動部27が同じ方向(接近又は離反)に変位している期間に対して、駆動電圧の制御を行う。図中では一例として接近する方向を示している。
この駆動方法によれば、複数の可動部が変位先となる定位点に対して同じ方向に変位している期間に駆動電圧を制御することで、可動部の振幅が過剰に大きくなることが防止でき、正確な制御が可能となる。
図14に本実施形態の一例としての駆動波形とそれによる可動部の挙動を示した。
図14(a)に示すように、可動部27が同じ方向に変位している期間に、それぞれの定位点に向かう静電気力を発生する駆動電圧を、図14(b)に示すように一時的に低減する。これにより、可動部27が定位点に到達するときの速度が小さく抑えられ、定位点到達後の振動が抑制される。同一の駆動電圧であっても、可動部27と電極との間の距離が短くなると、発生する静電気力が増大するため、過剰な駆動力が発生しやすくなるが、この方法によれば、適切な駆動力を発生させることができ、可動部27の振動発生が抑制できる。
次に、以上説明した各実施形態にける微小電気機械素子の他の構造例について説明する。
図15は2軸にて揺動される可動部を備えた3次元光スイッチの例を表した斜視図である。
光スイッチは、図1に示したヒンジ29、29を捩れ中心とする基本構成となる1軸の2次元光スイッチの他、図15に示すヒンジ29a、29a、ヒンジ29b、29bを捩れ中心とする2軸の3次元光スイッチ200であってもよい。この場合、3次元光スイッチ200は、第1アドレス電極35aと第2アドレス電極35bに加え、第3アドレス電極35cと第4アドレス電極35dが設けられることになる。そして、第1アドレス電極35a、第2アドレス電極35bと、可動部27とへの電圧印加によって可動部27がX方向に駆動され、第3アドレス電極35c、第4アドレス電極35dと、可動部27とへの電圧印加によって可動部27がY方向に駆動される。
このような3次元光スイッチ200の場合においても、前述した各実施形態の駆動電圧の制御が可能である。例えば、可動部27が最終変位位置に到達する前の変位中に、変位方向と逆方向に物理的引力を作用させ、可動部27が最終変位位置へ到達する直前の速度を減速する。これによってオーバーシュートによる振動が抑止され、3次元駆動される可動部27の振動がアクティブに減少可能となる。
図16は本発明が適用される微小電気機械素子の他の例を表す概念図である。
この場合の光スイッチ300は、可動部41の一端がヒンジ29、29、スペーサ31、31を介して基板21に支持固定されている。つまり、可動部41は、他端が自由端となった片持ち梁状に構成される。そして、基板21上には可動部41の自由端に対向して第1アドレス電極35aが設けられ、可動部41を挟んだ第1アドレス電極35aの反対側には図示しない対向基板に形成される第2アドレス電極35bが設けられている。
このような構成の光スイッチ300においても、例えば、第1アドレス電極35aと可動部41に駆動電圧Vaを印加するとともに、第2アドレス電極35bと可動部41に振動抑制電圧Vbを印加することで、可動部27が最終変位位置(この場合、第1アドレス電極35a側の直近非接触位置)に到達する前の変位している間に、変位方向と逆方向に静電吸引力を作用させ、可動部27が最終変位位置へ到達する直前の速度を減速させることができる。
図17は本発明が適用される微小電気機械素子の他の例を表す概念図である。
この場合の光スイッチ400は、所謂、平行平板型の素子であって、導電性と可撓性を有する平板状の可動部43の両端が基板21上に形成した絶縁膜45に所定の間隙47を有して固定されている。この基板21の可動部43の下方には、絶縁膜45を介して、第1アドレス電極35aが配設されており、また、可動部43の上方には絶縁膜49を介して第2アドレス電極35bが配設されている。つまり、可動部43は、第1アドレス電極35aと第2アドレス電極35bとの間で両端が支持された両持ち梁状に構成されている。
このような平行平板型の光スイッチ400においても、例えば第1アドレス電極35aと可動部41に駆動電圧Vaを印加するとともに、第2アドレス電極35bと可動部41に振動抑制電圧Vbを印加することで、可動部43が最終変位位置(この場合、第1アドレス電極35a側の直近非接触位置)に到達する前の変位している間に、変位方向と逆方向に静電吸引力を作用させ、可動部43が最終変位位置へ到達する直前の速度を減速させることができる。
また、本発明に係る微小電気機械素子としては、上記の光スイッチの構成に限らず、素子の方向、構造、駆動は任意であってよく、双方向で駆動される全ての素子に対して本発明を適用することができる。
図18は本発明が適用できる微小電気機械素子をRFスイッチに応用した例を表す平面図である。
図19は図18に示したRFスイッチのオフ状態のA−A断面を(a)、オン状態のA−A断面を(b)に表した説明図、図21は図18に示したRFスイッチのオフ状態のB−B断面を(a)、オン状態のB−B断面を(b)に表した説明図である。
本発明に係る光スイッチは、その基本構成によりマイクロミラー部を備えないRFスイッチ500に応用することができる。RFスイッチ500は、カンチレバー式のRF(radio frequency)スイッチを構成している。即ち、RFスイッチ500は、基板21に空隙23を介して平行に配置される可動部であるカンチレバー53と、カンチレバー53の基端を基板21に支持するスペーサ31と、第1電極35e及び第2電極35fと、入力端子55と、出力端子57と、短絡接点59とを備える。
このような構成により、第1電極35e及び第2電極35fに電圧が印加されることで、静電気力によってカンチレバー53が上下に弾性変位し、入力端子55と出力端子57とを開閉して、RF(高周波)信号の接続及び切換を行うRFスイッチを実現している。このRFスイッチ500は、1つのスイッチで、例えば送信/受信時の低周波と高周波の信号経路を切換可能にできる。また、2つの入力端子55、出力端子57で構成する接点は、1つのメカニカル素子を使って接続し、閉路を形成できる。これにより、信号経路を接続する直列接続モードと、信号経路を接地に落とす短絡モードの両方が実現可能となる。
スイッチやルーター、RF信号処理に本発明に係る光スイッチの構成を活用すれば、通常の電子部品を使った場合に比べて、はるかに良好な性能を実現できる。即ち、可動部の振動をアクティブに減少させることができることから、スイッチング動作を高速化できる。また、伝送損失を低減でき、オフ状態での絶縁性を高められる。インダクターやコンデンサーに適用すれば、通常の半導体プロセスを使って作成した場合に比べて、はるかに高いQ値を有する同調(チューニング)回路を実現できる。そして、帯域通過フィルターや位相シフターを構成すれば、SAW素子を上回るこれまでにない高いレベルの性能を得られ、可変容量コンデンサーを構成すれば、バラクター・ダイオードよりも理想に近い同調特性を有する回路を実現できる。さらに、オフ状態の絶縁性は通常で40dB以上と高く、オン状態での挿入損失は1dBの数分の1とすることが可能となり、ダイオードやFETスイッチとは異なり、略理想的なRF特性を得ることができる。
上記の各実施形態に開示した光スイッチ100,200,300,400,500のそれぞれは、1次元又は2次元配列することによって微小電気機械素子アレイである光スイッチアレイを構成することができる。
この光スイッチアレイでは、高速なスイッチング動作の可能となった光スイッチ100,200,300,400,500がアレイ化され、振動の鎮静化する時間の短縮が可能となり、従来より早いアドレス電圧の書込みが可能となる。
従って、可動部が最終変位位置へ到達した後の振動が抑止され、振動鎮静化時間をなくし、或いは大幅に短縮することが可能となり、振動の収まるのを待つ必要がなく、アドレス電圧を書込むことができる。この結果、スイッチング動作を高速化して、駆動サイクルを短縮することができる。
また、光通信用の光スイッチアレイでは高精度が求められるため、個々の素子のばらつきに起因する作動誤差の補正が必要となる。従って、光スイッチアレイにおいては、各素子ごとにこの補正を行わなければならない。これに対し、本実施の形態による光スイッチアレイによれば、この補正に対応させて個々の光スイッチ100,200,300,400,500における印加電圧を変えることで、作動誤差の補正を容易に行うことができる。
図21は光スイッチのそれぞれがメモリ回路を含む駆動回路を有した構成を示す説明図である。
光スイッチアレイ600は、光スイッチ(例えば100)のそれぞれがメモリ回路61を含む駆動回路37(図1参照)を有することが好ましい。このようなメモリ回路61が備えられることで、メモリ回路61に対して予め素子変位信号の書き込みが可能となる。つまり、メモリ回路61には予め素子変位信号が書き込まれる。光スイッチ100のスイッチングのとき、各々の光スイッチ100のメモリ回路61に記憶された素子変位信号と、光スイッチ100への印加電圧を制御する駆動電圧制御回路63により、本発明の駆動電圧を所望のタイミングで光スイッチ100の信号電極(第1アドレス電極、第2アドレス電極)65に出力する。このとき、共通電極(可動電極)67に対しても所望の電圧が出力される。
このように、メモリ回路61を用いて光スイッチ100を駆動すると、複数の光スイッチ100のそれぞれを任意の駆動パターンで動作させることが容易にでき、より高速なアクティブ駆動が可能となる。なお、ここでは、図1の光スイッチ100の構成を示したが、これに限らず、他の構成の光スイッチ200,300,400,500であってもよい。
また、光スイッチアレイ600には、それぞれの可動部をスイッチング駆動させる制御部としての制御回路63が設けられることが好ましい。このような制御回路63が備えられた光スイッチアレイ600では、可動部が制御回路63によって駆動制御されることで、可動部が最終変位位置に到達する前に、可動部に設けた可動電極(共通電極67)と固定電極(信号電極65)との間の電極間電圧の絶対値が減少、又は増加、或いは増減され、可動部が最終変位位置へ到達することで生じていた衝突による振動や、オーバーシュートが抑止可能となる。
図22は光スイッチが用いられたクロスコネクトスイッチの構成を示す説明図である。
クロスコネクトスイッチ71は、例えば光スイッチ100を1次元状に配列した光スイッチアレイ600を用いて構成することができる。図示の例では、2つの光スイッチアレイ600a,600bが設けられる。このクロスコネクトスイッチ71では、入力ファイバーボート73の光ファイバ73aからの出射光がマイクロレンズ75を通り一方の光スイッチアレイ600aの所定の光スイッチ100aに入射される。入射光は、光スイッチ100aのスイッチング動作によって、反射光となって入射側光スイッチアレイ600bの所望の光スイッチ100bに入射する。入射した光は光スイッチ100bのスイッチングによって所定の出力ファイバーボード77の光ファイバ77aへ入射する。
このクロスコネクトスイッチ71においても、上記の複数の光スイッチ100からなる光スイッチアレイ600が用いられることで、可動部(マイクロミラー部)27の最終位置到達時の振動をアクティブに減少させ、チャタリングを減少させてノイズを低減し、スイッチング動作を高速化することができる。
そして、このクロスコネクトスイッチ71では、上記のように個々の光スイッチ100における印加電圧を変えることで、作動誤差の補正を容易に行うことができることから、個々の光スイッチ100のばらつきに起因する作動誤差の補正が簡単に行え、高精度なスイッチングを行うことができる。
また、上記のクロスコネクトスイッチ71では、1軸回動される光スイッチ100を用いた例で説明したが、光スイッチアレイには図15に示した2軸回動される3次元光スイッチ200を用いてもよい。このような構成とすることで、例えば入力ファイバーボート73の光ファイバ73aが1次元配列され、出力ファイバーボード77の光ファイバ77aが2次元配列される場合であっても、可動部27を3次元駆動することによって、光ファイバ73aからの出射光を紙面垂直方向所望の光ファイバ77aへも切り換えることができる。
なお、上記した構成を有する光スイッチアレイ600は、光源と、光源からの光を光スイッチアレイ600に照射する照明光学系と、光スイッチアレイ600から出射される光を画像形成面に投影する投影光学系とを備えることで、画像形成装置を構成することができる。そして、このような光スイッチアレイ600を備えた画像形成装置では、振動をアクティブに減少でき、従来装置に比べ、駆動サイクルが短縮される。これにより、高速な感光材露光や、より高画素数のプロジェクタの表示が可能となる。また、露光光のオン・オフで階調制御がなされる画像形成装置(露光装置)では、オン・オフ時間の短縮が可能となることで、より高階調の実現が可能となる。
次に、上記光スイッチアレイ600を用いて構成した画像形成装置について説明する。
まず、露光装置700について説明する。
図23は本発明の光変調素子アレイを用いて構成した露光装置の概略構成を示す図である。露光装置700は、照明光源91と、照明光学系93と、上述した実施の形態の光スイッチ100を同一平面状で2次元状に複数配列した光スイッチアレイ600と、投影光学系95とを備える。
照明光源91は、レーザ、高圧水銀ランプ、及びショートアークランプ等の光源である。照明光学系93は、例えば、照明光源91から出射された面状の光を平行光化するコリメートレンズである。コリメートレンズを透過した平行光は光スイッチアレイ600の各光変調素子に垂直に入射する。照明光源91から出射された面状の光を平行光化する手段としては、コリメートレンズ以外にも、マイクロレンズを2つ直列に配置する方法等がある。また、照明光源91としてショートアークランプ等の発光点が小さいものを使用することで、照明光源91を点光源とみなし、光スイッチアレイ600に平行光を入射するようにしても良い。また、照明光源91として光スイッチアレイ600の各光変調素子に対応するLEDを有するLEDアレイを使用し、LEDアレイと光スイッチアレイ600とを近接させて光を発光させることで、光スイッチアレイ600の各光変調素子に平行光を入射するようにしても良い。なお、照明光源91としてレーザを用いた場合には、照明光学系93は省略しても良い。
投影光学系95は、画像形成面である記録媒体97に対して光を投影するためのものであり、例えば、光スイッチアレイ600の各光変調素子に対応したマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイ等である。
次に、画像形成装置の他の例として、投影装置について説明する。
図24は本発明の光変調素子アレイを用いて構成した投影装置の概略構成を示す図である。図23と同様の構成には同一符号を付し、その説明は省略するものとする。投影装置としてのプロジェクタ800は、照明光源91と、照明光学系93と、光スイッチアレイ600と、投影光学系101とを備える。投影光学系101は、画像形成面であるスクリーン103に対して光を投影するための投影装置用の光学系である。照明光学系93は、前述したコリメータレンズであってもよく、マイクロレンズアレイであってもよい。
以上説明した各実施形態および各構成の微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ、並びに、上述の各電極への電圧駆動のタイミングや波形等は、これに限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更が可能である。
本発明に係る微小電気機械素子の第1の実施の形態を(a)(b)で表す概念図である。 図1に示した微小電気機械素子の制振の過程を(a)(b)で表した動作説明図である。 第1実施形態における可動部の駆動波形(a)とそれに対する可動部の挙動(b)を表した説明図である。 他の駆動波形(a)とそれに対する可動部の挙動(b)を表した説明図である。 図3で示した光スイッチの他方の状態として、可動部の左側が第1アドレス電極側の定位点に保持されてから、これとは反対側の定位点に変位するまでの駆動波形(a)とそれによる可動部の挙動(b)を表した説明図である。 第2実施形態における可動部の駆動波形とそれに対する可動部の挙動を表した説明図である。 第3実施形態における可動部の駆動波形(a)とそれに対する可動部の挙動(b)を表した説明図である。 第4実施形態における可動部の駆動波形(a)とそれに対する可動部の挙動(b)を表した説明図である。 非接触型駆動方式の光スイッチの変位動作を示す説明図である。 接触型駆動方式の光スイッチの変位動作を示す説明図である。 第5の実施形態における駆動シーケンスを示す図で、(a)は駆動波形、(b)はそれによる可動部の挙動を表した説明図である。 第6の実施形態における駆動シーケンスを示す図で、(a)は駆動波形、(b)はそれによる可動部の挙動を表した説明図である。 第7の実施形態における駆動シーケンスを示す図で、可動部の挙動を表した説明図である。 図13の一例としての駆動波形(a)とそれによる可動部の挙動(b)を示した説明図である。 2軸にて揺動される可動部を備えた3次元光スイッチの例を表した斜視図である。 本発明が適用できる微小電気機械素子の例を表す概念図である。 本発明が適用できる微小電気機械素子の例を表す概念図である。 本発明が適用できる微小電気機械素子をRFスイッチに応用した例を表す平面図である。 図18に示したRFスイッチのオフ状態のA−A断面を(a)、オン状態のA−A断面を(b)に表した説明図である。 図18に示したRFスイッチのオフ状態のB−B断面を(a)、オン状態のB−B断面を(b)に表した説明図である。 光スイッチのそれぞれがメモリ回路を含む駆動回路を有した構成を示す説明図である。 光スイッチが用いられたクロスコネクトスイッチの構成を示す説明図である。 本発明の光変調素子アレイを用いて構成した露光装置の概略構成を示す図である。 本発明の光変調素子アレイを用いて構成した投影装置の概略構成を示す図である。 従来の光スイッチの概略構成を示した説明図である。 従来の光スイッチにおける切替制御方法の特性を表した説明図で,(a)は制御電圧オン時、(b)は制御電圧オフ時の様子である。
符号の説明
27 可動部
35a 第1アドレス電極
35b 第2アドレス電極
37 駆動回路
61 メモリ回路
63 制御回路(制御部)
65 信号電極
67 共通電極
100,200,300,400,500 光スイッチ(微小電気機械素子)
600 光スイッチアレイ(微小電気機械素子アレイ)

Claims (14)

  1. 弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用により変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、
    前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、
    前記可動部に対して、該可動部の変位開始から前記定位点に到達するまでの第1の期間は前記定位点に到達するときの速度を略ゼロとする第1の物理作用力を連続的に常時与え、前記定位点到達後の第2の期間は前記可動部を前記定位点に定位させるための第2の物理作用力を与えることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
  2. 弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用より変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、
    前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点のうち、いずれかの定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、
    前記可動部に対して、該可動部の変位開始から前記定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間は、前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に減少させることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
  3. 弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用より変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、
    前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点のうち、いずれかの定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、
    前記可動部に対して、前記該可動部の変位開始から前記定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間の後、この第1の期間終了時から次に速度がゼロになるまでの第2の期間において、前記可動部に前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に増大させることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
  4. 弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用より変位する際に発生する振動を抑制する微小電気機械素子の駆動方法であって、
    前記可動部へ物理作用力を加える少なくとも1つ以上の駆動部により、前記可動部の前記物理作用力による変位終了位置となる少なくとも1つ以上の定位点のうち、いずれかの定位点に向けて前記可動部を駆動する場合に、
    前記可動部に対して、該可動部の変位開始から前記定位点方向に遷移して速度がゼロになるまでの第1の期間は前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に減少させ、
    前記第1の期間終了時から次に速度がゼロになるまでの第2の期間において、前記可動部が前記定位点から離反する方向に変位しているときに、前記可動部に前記定位点方向への物理作用力を連続的に常時与えるとともに、該物理作用力の絶対値を相対的に増大させることを特徴とする微小電気機械素子の駆動方法。
  5. 前記物理作用力を前記第1の期間および前記第2の期間にわたって、連続して前記可動部に加えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法。
  6. 前記可動部の前記定位点間における変位を、前記物理作用力を前記可動部に複数回加えることで複数回繰り返すことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法。
  7. 前記物理作用力の印加波形が、三角波・矩形波・鋸波・正弦波のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法。
  8. 前記微小電気機械素子が複数配列された微小電気機械素子アレイに対し、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法に基づいて、前記微小電気機械素子アレイの駆動を行うことを特徴とする微小電気機械素子アレイの駆動方法。
  9. 前記複数の可動部が、前記複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、前記複数の可動部が前記第2定位点に到達するタイミングを略一致させるように、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法を実施することを特徴とする請求項8記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法。
  10. 前記複数の可動部が、前記複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、前記複数の可動部が前記第2定位点に向けて変位開始するタイミングが略一致したときに、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法を実施することを特徴とする請求項8記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法。
  11. 前記複数の可動部が、前記複数の定位点の内のいずれかの第1定位点からいずれかの第2定位点にそれぞれ独立して変位する際に、前記複数の可動部が前記第2定位点に対して同じ方向に変位している期間に、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法を実施することを特徴とする請求項8記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法。
  12. 弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用力で変位する微小電気機械素子であって、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の微小電気機械素子の駆動方法に基づいて光変調を行う制御部を具備したことを特徴とする微小電気機械素子。
  13. 弾性変位可能に支持された可動部を備え、該可動部が物理作用力で変位する微小電気機械素子を複数配列されてなる微小電気機械素子アレイであって、請求項8〜請求項11のいずれか1項記載の微小電気機械素子アレイの駆動方法に基づいて光変調を行う制御部を具備したことを特徴とする微小電気機械素子アレイ。
  14. 光源と、請求項13記載の微小電気機械素子アレイと、前記光源からの光を前記微小電気機械素子アレイに照射する光学系と、前記微小電気機械素子アレイから出射される光を画像形成画面に投影する投影光学系と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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