JP2007070978A - 吊天井の補強金具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吊天井に用いられる補強金具3であって、要所に配置される吊ボルト5に、板材からなる金具本体6aと挟持部材6bとで構成される吊金具6と共に取り付けられる取付部3aを備え、かつ、取付部6aから下端縁側に至る範囲で幅広状に形成されて、天井構造枠を構成するクロスバー2またはメインバー1に取り付けられる補強面部3bを備え、この補強面部3bにブレース材7を取り付けることにより、クロスバー2またはメインバー1を挟み込み吊持する吊金具6の吊持部位からの偏心距離を短し、地震の発生時に天井構造枠に作用するねじりモーメントや曲げモーメントを低減させるようにした。
【選択図】 図3
Description
図7に示すように、吊金具6は、帯状の板材を用いた折り曲げ加工によって形成される金具本体6aと、同じく板材によって形成される挟持部材6bと、で構成されている。
そして、図8に示すように、金具本体6aは、天井構造枠を枠組みするメインバー1またはクロスバー2の内、メインバー1の上辺縁部1aを、後記する他方の枠挟み部12とによって挟み込み吊持する一方の枠挟み部11を下端側に備え、上端側にはボルト挿通孔9を有する水平な取付部10を備えている。
この金具本体6aは、取付部10を例えば上階床スラブ(図示省略)などから垂設されて要所に配置される吊ボルト5の下端側に上下のナット8によって取り付けられる。なお、ここで、取付部10を上下から挟むように吊ボルト5に取り付けられる上下のナット8のうち、その一方は取り付けた後の緩み止めを図るロックナットである。
そして、この揺れは、メインバー1の連結窓18を介して直線状に接続されて組み付け配設されるクロスバー2の配設方向における天井構造枠の全域にわたって発生することとなる。つまり、吊金具6は、図8に矢印Yで示すメインバー1の配設方向(長さ方向)に金具本体6aの面内(板幅)方向を向けた状態で、メインバー1を挟持部材6bとによって挟み込み吊持するように取り付けられるものであることから、前記した揺れ現象が起こる。
そのために、地震などの発生時には前記した曲げ連設部を起点として取付部位P1から挟持部位P2の範囲L間において大きく揺れが発生し、吊金具6によって挟み込み吊持されているメインバー1の上辺縁部1aや、この上辺縁部1aを挟み込み吊持する金具本体6aの枠挟み部11および挟持部材6bの枠挟み部12が、揺れによって吊天井の全体に引き起こされるねじりモーメントや曲げモーメントを繰り返し受けて破損したり、最悪の場合、メインバー1の上辺縁部1aが吊金具6から外れ、天井構造枠が崩落する恐れがあった。
ここで、前記天井下地材への補強面部の取り付けとしては、天井下地材の材質と補強面部の材質とが同じ場合には溶接による取り付けも可能ではあるが、ネジ止めによる取り付けが好適なものとなる。また、前記補強面部を、前記天井下地材に取り付けられる下端縁側に至る範囲で幅広状に形成することが好適なものとなる(請求項2)。
そして、天井構造枠を枠組みする天井下地材がメインバーとクロスバーとからなる場合、このメインバーとクロスバーとの連結交差部において、例えば板材からなる吊金具の面内(板幅)方向に対し、補強面部の面内(板幅)方向が直交するように、該補強面部をクロスバーまたはメインバーにネジ止めにて取り付けることで、前記した繋がり強度の強化に加えて、板材からなるが故に面内(板幅)方向に比べて耐震性が劣る吊金具の面外(板厚)方向の横揺れに対する耐震性を補強面部によって強化することができる。
しかも、請求項2に記載のように構成することにより、幅広状の補強面部の面内(板幅)方向が、吊金具の面内(板幅)方向に対して直交するように、補強面部をクロスバーまたはメインバーにネジ止めにて取り付けることで、吊金具の面外(板厚)方向の横揺れに対する耐震性をより一層効果的に強化することができる。
つまり、前記した請求項1に記載の補強面部をクロスバーまたはメインバーにネジ止めするこのネジ止め作用と、挟持部によるクロスバーまたはメインバーの保持作用との相乗作用によって補強面部をクロスバーまたはメインバーに強靭に取り付けることができる。換言すれば、クロスバーまたはメインバーを補強金具に対し、強靭に取付支持させることができる。
ここで、前記補強面部に対するブレース材の取り付けとしては特に限定されるものではないが、溶接またはネジ止めなどが挙げられる。
そして、メインバーとクロスバーとの連結交差部において、例えば板材から形成される吊金具の面内(板幅)方向に対し、補強金具の補強面部の面内(板幅)方向が直交するように、補強面部をクロスバーまたはメインバーに宛がうように沿わせて取り付けることで、前記した繋がり強度の強化に加えて、板材からなるが故に面内(板幅)方向に比べて耐震性が劣る吊金具の面外(板厚)方向の横揺れに対する耐震性を補強面部によって強化することができる。よって、吊ボルトに取り付けられて天井構造枠を挟み込み吊持する吊金具に、揺れによって引き起こされるねじりモーメントや曲げモーメントに対する耐震性の強化を確実に付与することができる。
よって、吊金具を介して吊ボルトに吊り下げ支持される天井構造枠の揺れを抑制することができる。つまり、クロスバーまたはメインバーを吊持する吊金具による天井構造枠の挟持部位からの偏心距離が短くなる。これにより、地震の発生時に吊金具を介して天井構造枠に作用するねじりモーメントや曲げモーメントが低減されることで、天井構造枠の揺れが抑制されることになる。
図1は、本発明に係る吊天井の補強金具の実施形態を示す斜視図であり、図2は、補強金具を用いた吊天井の補強状態を示す斜視図であり、図3は、図2の一部(要部)を拡大して示す斜視図であり、図4は、図3における縦断面図である。
ここでは、吊天井としてシステム天井の例を挙げて説明する。
システム天井には、グリッド型、クロス型、ライン型などのタイプがある。その一例としてグリッド型のシステム天井を図2に示している。
図2に示すように、グリッド型のシステム天井は、メインバー1とクロスバー2とを等間隔をおいてほぼ格子状に枠組みされる天井構造枠4を、例えば上階床スラブ(図示省略)などから垂設されて要所に吊り下げ配置される各吊ボルト5の下端側に、吊金具6を介して吊り下げ支持することで構築される吊天井である。
このようにして吊り下げ構築されるシステム天井は、天井構造枠4の各区画部に、天井パネル(天井板)29が取り付けられたり、天井裏において照明器具および空調機器(図示省略)などが設置されるようになっている。
吊金具6は、従来例(図7)において詳述した構成形態と基本的に同じことから同じ符号を付することで簡単に説明する。
すなわち、吊金具6は、金具本体6aと挟持部材6bとの2部材から構成されている。
金具本体6aは、剛性と耐蝕性に優れた所望な板厚を有する金属製の板材などによって一体に形成されるもので、図7に示すように、上端側にボルト挿通孔9を有する取付部10を備えており、吊ボルト5にナット8で取り付けられるように形成さている(図7の(b)参照)。そして、金具本体6a下端側には図7に示すように、メインバー1およびクロスバー2のそれぞれの上辺縁部1a,2aの断面形状に沿う凹部形状に形成された一方の枠挟み部11を備えている。
挟持部材6bは、金具本体6aと同じく板材などによって一体に形成されるもので、図7に示すように、帯状形態の金具本体6aの板幅と同じ板幅に形成されるとともに、一方の枠挟み部11に沿う凹部形状に形成された他方の枠挟み部12を下半部側に備えている。
補強金具3は、剛性と耐蝕性に優れた所望な板厚を有する金属製の板材を用いた打ち抜き、そして折り曲げなどの加工を施すことによって一体に形成されるもので、図1に示すように、上端側に水平な取付部3aを備え、この取付部3aからほぼ垂直状に折り曲げ連設される補強面部3bを備えている。
取付部3aは、図1に示すように、補強面部3bの板幅方向の中央部位から適宜の傾斜角度と板幅(例えば、吊金具6の金具本体6aの板幅と同幅程度)をもってほぼネック形状に連設する連設部3cの上端側を水平状に折り曲げられることで形成される。そして、この取付部3aには一端縁部側から平面視がほぼU字形に開口するように形成されたボルト挿通部19が備えられており、図3に示すように、吊金具6の取付部10とナット8との間に挟まれた状態で吊ボルト5に吊金具6と共に取り付けられるように形成されている。
補強面部3bは、その下端縁側がクロスバー2またはメインバー1に沿わされるように宛がわれて取り付けられることで、吊金具6と同じく天井構造枠4と吊ボルト5とを繋ぎ止める(連結する)一方で、図3に示すように、ブレース材7の傾斜下端側が取り付けられるブレース取付部20を兼ねるように形成される。
すなわち、補強面部3bは、図1および図2に示すように、メインバー1を跨いで両クロスバー2の上辺縁部2aに沿わされて宛がわれる板幅を有する幅広状に形成されている。そして、この補強面部3bの下端縁側には下方に向けて開口させた凹欠部21を備えている。
凹欠部21は、メインバー1を介して直線状に接続される両クロスバー2,2の上辺縁部2a,2aに補強面部3bを取り付けるに際して、メインバー1との干渉を避ける適宜の開口幅と開口高さ形状にて補強面部3bの下端縁の縁方向中央部位に形成される。
このように、凹欠部21を設けることによって、図3に示すように、吊金具6によって吊持されるメインバー1とクロスバー2との連結交差部において、メインバー1を介して直線状に接続される両クロスバー2,2に、メインバー1を跨いだ状態で補強面部3bの下端縁側を沿わせて宛がうことができるようにしている。
挟持部は、図1に示すように、補強面部3bの高さ方向の曲げ強度を強化させるために、補強面部3bの両側縁を、補強面部3bのほぼ全高にわたり折り曲げて該両側縁に備えた補強縁部25の下端部26と、この下端部26と同じ水平レベル高さにて凹欠部21の開口両側縁から折り曲げ突設させた突片部27と、補強面部3bの下端縁に沿って折り曲げて該下端縁に備えた掛止部28と、によって形成され、図3および図4に示すように、メインバー1を介して直線状に接続される両クロスバー2,2の上辺縁部2a,2aを上下からそれぞれ挟み込み保持するようにしている。
まず、図2および図3に示すように、天井構造枠4を枠組みするメインバー1とクロスバー2との連結交差部において、その交差部真上に位置する上階床スラブ(図示省略)などから垂設されて、連結交差部に向けて吊り下げ配置される吊ボルト5の下端側に、吊金具6の金具本体6aの取付部10をナット8によって取り付けて、吊金具6を吊ボルト5に備える。このとき、下側のナット8によって天井構造枠4の高さレベルを合せて、吊ボルト5に対する吊金具6の取付高さ位置を調整するレベル出しを行なうが、上側のナット8は本締めせずに仮止め状態で備えておく。
すなわち、補強面部3bの面内(板幅)方向が、図3に矢印Xで示すクロスバー2の配設方向(直線接続方向)を向くように、補強金具3の取付部3aを仮止め状態のナット8と吊金具6の取付部10との間に介在させるとともに、凹欠部21によってメインバー1を跨いだ状態で補強面部3bを両クロスバー2,2の上辺縁部2a,2aに沿わせるように宛がう。
これにより、凹欠部21を挟む補強面部3bの両下端縁側に設けた両側補強縁部25の下端部26、突片部27および掛止部28からなる挟持部は、メインバー1を介して直線的に接続される両クロスバー2,2の上辺縁部2a,2aを上下からそれぞれ挟み込み保持するように上辺縁部2a,2aにセットされる(図3および図4参照)。
このようにして、補強金具3を吊金具6と共に吊ボルト5に取り付けた後に、図2に示すように、斜めに配設されるブレース材7の傾斜下端側を補強金具3の補強面部3b(ブレース取付部20)に溶接またはネジ止めなどによって取り付ける(図3参照)。
なお、前記した施工手順は一例にすぎなく、これに限定されるものではない。
図5は、補強金具の他の使用形態(取付形態)を示す拡大斜視図である。
斯かる使用形態では、図5に示すように、メインバーを吊持する吊金具6の金具本体6aに補強金具3の補強面部3bを宛がうように、補強金具3を吊金具6と共に吊ボルト5に取り付けて、メインバー1を吊金具6と共に吊ボルト5に吊り下げ支持し得るように、そして、ブレース材7の傾斜下端側を吊金具6による天井構造枠4の挟持部位P2側に近づけて取り付けることができるようにしている。
これにより、補強面部3bの下端縁側に設けた両側補強縁部25の下端部26、突片部27および掛止部28からなる挟持部は、メインバー1の上辺縁部1aを上下から挟み込み保持するように上辺縁部1aにセットされるようにしている。
図6は、本発明に係る吊天井の補強金具の他の実施形態を示す斜視図である。
斯かる実施形態の補強金具3は、図6に示すように、前記した凹欠部21を挟む補強面部3bの両下端側に挟持部材24をそれぞれ備えている。
なお、斯かる実施形態では挟持部材24を補強面部3bに備えた以外の構成においては前記した実施形態における補強金具3の構成形態と基本的に同じことから同じ構成部分に同じ符号を付することにより重複説明は省略する。
挟持部材24は、補強面部3bの前記した下端部26と掛止部28とによってクロスバー2またはメインバー1の上辺縁部2a,1aを挟み込むように支持するものであり、図6に示すように、凹欠部21を挟む補強面部3bの両下端側にネジ31によって備えられるように形成されるとともに、掛止部30を備えている。
つまり、挟持部材24は、前記した吊金具6の金具本体6aと挟持部材6bとの枠挟み部11,12によるクロスバー2またはメインバー1の上辺縁部2a,1aの挟み込み吊持と同様に上辺縁部2a,1aを挟み込み保持するように補強面部3bに備えられる用に形成されている。
例えば、補強金具3の水平な取付部3aの板幅を、垂直な補強面部3bの板幅と同じ幅に形成して、取付部3a、補強面部3bを含む補強金具3の全体形状を四角形状(矩形状)とするなど任意である。
また、補強面部3bを平面視がほぼ十字形に形成して、メインバー1とクロスバー2との連結交差部において、メインバー1とクロスバー2とを共に吊ボルト5に対し、繋ぎ支持させるように補強金具を構成するもよく、任意である。
2 クロスバー(天井下地材)
1a,2a 上辺縁部
3 補強金具
3a 取付部
3b 補強面部
4 天井構造枠
5 吊ボルト
6 吊金具
6a 金具本体
6b 挟持部材
7 ブレース材
8 ナット
11,12 枠挟み部
19 ボルト挿通部
20 ブレース取付部
21 凹欠部
26 下端部(挟持部)
27 突片部(挟持部)
28 掛止部(挟持部)
30 掛止部(挟持部)
Claims (6)
- 天井下地材によって枠組みされる天井構造枠を、要所に配置される吊ボルトに、吊金具を介して吊り下げ支持させることにより構築される吊天井に用いられる補強金具であって、
前記吊ボルトに取り付けられる取付部を上端側に備え、かつ、前記取付部またはその近傍部位から前記天井下地材に至る範囲で形成されて、前記天井下地材に沿わされるように宛がわれて取り付けられる補強面部を備えていることを特徴とする吊天井の補強金具。 - 前記補強面部が、前記天井下地材に取り付けられる下端縁側に至る範囲で幅広状に形成されていることを特徴とする吊天井の補強金具。
- 前記取付部は、一端を開口させた平面視がほぼU字状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吊天井の補強金具。
- 前記補強面部は、下端縁側における縁方向中央部位に、下方に向けて開口させた凹欠部を備えて、前記天井構造枠を枠組みするメインバーとクロスバーとの連結交差部において、前記メインバーを介して直線状に接続される両クロスバーに、前記メインバーを跨いだ状態で宛がわれるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吊天井の補強金具。
- 前記補強面部は、前記クロスバーの上辺縁部またはメインバーの上辺縁部を挟み込むように保持する挟持部を備えていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項4に記載の吊天井の補強金具。
- 前記補強面部は、前記吊ボルトの間に斜めに取り付けられるブレース材の傾斜下端側を取り付けるブレース取付部を兼ねることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4または請求項5に記載の吊天井の補強金具。
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