JP2007070724A - 希土類−鉄−窒素系磁石粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気特性を低下させる非磁性相を低減させ、磁化反転(ニュークリエーション)の核になる結晶の歪みやα−Feの残留を低減させて、優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系磁石粉末、およびそれを還元拡散法で安価に製造する方法を提供。
【解決手段】希土類酸化物粉末と、鉄粉末と、アルカリ金属などから選ばれる少なくとも1種の還元剤粉末とを所定の割合で混合する工程、この混合物を不活性ガス雰囲気中、900〜1180℃で加熱する工程、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で20〜300°Cに冷却する工程、その後、不活性ガスを排出してから、アンモニアと水素とを含有する混合ガスを供給し、この気流中で反応生成物を昇温し、350〜500°Cで窒化処理する工程、次に、得られた窒化処理生成物を水中に投入して湿式処理して崩壊させる工程、さらに、崩壊した窒化処理生成物を粉砕機に入れて微粉砕する工程を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、希土類−鉄−窒素系磁石粉末およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、磁気特性を低下させる非磁性相を低減させ、磁化反転(ニュークリエーション)の核になる結晶の歪みやα−Feの残留を低減させて、優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系磁石粉末、およびそれを還元拡散法により低コストで製造する方法に関する。
Sm−Fe−N磁石で代表される希土類−鉄−窒素系磁石は、高性能かつ安価な磁石として知られている。このSm−Fe−N系磁石粉末は、SmFe17であればx=3の組成で構成されることによって最大の飽和磁化を示すとされている(非特許文献1参照)。
この希土類−鉄−窒素系磁石は、従来、FeとSm金属を用いて高周波炉、アーク炉などにより希土類−鉄合金を作製する溶解法や、FeあるいはFe、Sm等とCaを混合加熱処理により希土類−鉄合金を作製する還元拡散法によって得られた母合金を窒化することで得られている。この様にして得られた粉末状の希土類−鉄−窒素系磁石は、保磁力の発生機構がニュークリエーション型であることから、次の工程において平均粒径が数μmから5μm程度になるまで微粉砕処理されている。
これに対して、出発原料として用いる粉末の粒径を小さくすることにより、母合金を粉砕せずに磁石微粉末を得る方法(特許文献1、2参照)があるが、原料が高価となるため工業的にはコストの点が制約となり実用性がないとされている。
また、溶解法では原料粉末の1500℃以上での溶解、粉砕、組成均一化のための熱処理が必要であり(特許文献3参照)、工程が極めて煩雑であるとともに、各工程間において、一旦大気中に曝されるために酸化により不純物質が生成し、湿式処理後に窒化を行うが、湿式処理時に表面が酸化しているため窒化が均一に進行できなくなり、磁気特性のうち飽和磁化、保磁力、角形性が低下し、結果として最大エネルギー積が低くなってしまう。また、原料として必要とされる希土類金属が高価であるという理由から、希土類−鉄−窒素系磁石の製造方法としては、安価な希土類酸化物粉末を原料として利用できる還元拡散法に比べてコスト的に劣ると考えられている。
上記のような状況から、従来においては、平均粒径約50μmの鉄粉末、希土類酸化物、および該希土類酸化物を還元するための還元剤が少なくとも配合されている混合物を非酸化性雰囲気中で加熱焼成する還元拡散法が有利とされ、先ず、希土類−鉄系合金を含む還元生成物を得て、次に、この還元生成物を湿式処理して、該還元生成物中に生成している還元剤の酸化物を除去し、その後、得られた希土類−鉄系合金を、アンモニアと水素とを含有する混合気流中で窒化した後、粉砕、乾燥することにより所望の希土類−鉄−窒素系磁石粉末を製造している。
このように従来の還元拡散法を用いた希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法では、一般に還元拡散工程で得られた還元物を湿式処理してから、得られた希土類−鉄系合金を窒化している(特許文献4参照)。還元物中には、主相であるSmFe17相と、その周りに非磁性相であるSmFe相、SmFe相、CaOが混在しているため、上記湿式処理で、このCaOが水や酸性溶液によって除去される。
湿式処理後、残留する非磁性相が多いと、主相の比率が低くなり飽和磁化4πImが低下する。しかし、これら非磁性相を除去し過ぎると、湿式処理液中で主相であるSmFe17相に付着するオキシ水酸化鉄が、引き続き行われる窒化工程で還元されα−Feに変化し、ニュークリエーションサイトとなるため保磁力iHcや角形性Hkが大幅に低下してしまう。したがって、従来法では主相粒子を覆うように存在するSmFe相などが、ある程度残留するような条件を選び湿式処理されている。しかし、その後の窒化で、大部分のSmFe相が主相粒子から剥がれ落ちるが、完全ではなく、SmFe相が多すぎれば除去しきれず、最終的に得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の飽和磁化4πImを低下させていた。また、湿式処理や乾燥時に粒子表面が酸化することにより不均一窒化やα−Feの生成が起こり、磁気特性は低下する傾向があった。
上記のようにして得られた粉末状の希土類−鉄−窒素系磁石は、保磁力の発生機構がニュークリエーション型であることから、次の工程において平均粒径が数μmから5μmになるまで微粉砕処理する必要がある。したがって、磁気特性を低下させる非磁性相が低減され、さらには、磁化反転の核となる結晶の歪みが無く、α−Feが存在しない希土類−鉄−窒素系磁石粉末を確実に得ることができる方法の確立が強く望まれていた。
特開平11−189811号公報 特開平2003−29766号公報 特開平3−141608号公報 特開昭61−295308号公報 T.Iriyama IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,VOL.28,NO.5(1992)
本発明は、このような状況に鑑み、非磁性相を低減でき、磁化反転の核になる結晶の歪み、α−Feを低減し、優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系磁石粉末、および還元拡散法を用いて低コストで得ることができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる従来の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、希土類−鉄−窒素系磁石粉末を高性能化するためには、還元拡散処理して得られる粒子の表面が酸化被膜で覆われて窒化時の妨げとならないような状態で均一に窒化し、その後、湿式処理で酸洗を強化して非磁性相を無くし、粉砕による加工度を少なくすべきことを究明し、還元温度を従来よりも低い領域に設定して還元拡散処理を行うとともに、一旦特定温度まで冷却してから、窒化処理時の雰囲気及び温度を制御し、窒化した後に湿式処理粉砕することにより、非磁性相を低減でき、高い飽和磁化が得られ、磁化反転の核になる結晶の歪み、α−Feを低減でき高保磁力を有し減磁曲線の角形性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、希土類酸化物粉末と、鉄粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤粉末とを所定の割合で混合する工程、この混合物を不活性ガス雰囲気中、900〜1180℃で加熱する工程、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で20〜300°Cに冷却する工程、その後、不活性ガスを排出してから、アンモニアと水素とを含有する混合ガスを供給し、この気流中で反応生成物を昇温し、350〜500°Cで窒化処理する工程、次に、得られた窒化処理生成物を水中に投入して湿式処理して崩壊させる工程、さらに、崩壊した窒化処理生成物を粉砕機に入れて微粉砕する工程を含むことを特徴とするα−Fe比率が小さい希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、磁石粗粉末は、1次粒子が集まって、ぶどう状に焼結した2次粒子を形成していることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、1次粒子は、粒径20μm以上の累積個数百分率が10%未満であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明において、希土類酸化物粉末の混合量は、RFe17の化学量論組成の1.1〜1.4倍であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
一方、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、混合ガス中のアンモニア分圧が0.2〜0.6気圧であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明の方法で得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、下記一般式(1)で示されるα−Fe比率が、5%以下であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末が提供される。
α−Fe比率=X線回折におけるα−Fe(110)ピーク強度/希土類−Fe−窒素(300)ピーク強度…(1)
また、本発明の第8の発明によれば、第6の発明において、磁石粉末がSm−Fe−Nであることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、Sm量が、磁石粉末全体に対して23.2〜23.6重量%であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁石粉末が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第6の発明において、下記一般式(2)で示される積分幅が0.2deg.以下であることを特徴とする希土類―鉄―窒素系磁石粉末が提供される。
積分幅=X線回折におけるSmFe17N(113)回折ピークの面積/ピーク強度高さ…(2)
本発明によれば、原料混合物に対して還元拡散処理を行い、その後引き続き窒化処理を行ってから湿式処理を行うに当たり、還元拡散処理を終了してから窒化処理に入るまでの雰囲気及び温度を制御することにより、粒子表面が酸化されるのを抑制し、窒化効率を低下させないよう良好な状態を維持して窒化処理することができるから、高性能な希土類−鉄−窒素系磁石粉末を製造できる。
さらに、従来法よりも還元拡散温度を下げて、900〜1180℃とすることで1次粒子の小さい希土類−鉄−窒素系磁石粉末を作製し、その結果、粉砕負荷を軽減して粉砕時に与える応力が小さくてすみ、磁石粉結晶の歪みを小さくすることができる。また、湿式処理後に窒化するのではなく、窒化処理後に湿式処理することで、非磁性相が低減でき、湿式処理時にオキシ水酸化鉄が主相の周りに付着して窒化時に該オキシ水酸化鉄がα−Feとなって析出することはないので、飽和磁化、保磁力が高まり減磁曲線の角形性が良好なα−Fe比率が小さい希土類−鉄−窒素系磁石粉末を得ることができ、製造コストも安価であることから、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の希土類−鉄−窒素系磁石粉末とその製造方法について、図面を用いて詳しく説明する。
本発明は、希土類酸化物粉末と、鉄粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤粉末とを所定の割合で混合する工程、この混合物を不活性ガス雰囲気中、900〜1180℃で加熱する工程、引き続き、得られた反応生成物(希土類−鉄母合金を含有)を不活性ガス雰囲気中で20〜300°Cに冷却する工程、その後、不活性ガスを排出してから、アンモニアと水素とを含有する混合ガスを供給し、この気流中で反応生成物を昇温し、350〜500°Cで窒化処理する工程、次に、得られた窒化処理生成物を水中に投入して湿式処理して崩壊させる工程、さらに、得られた磁石粗粉末を粉砕機で微粉砕する工程を含んでいる。
1.希土類−鉄母合金の製造方法
(1)原料粉末の混合
まず、磁石原料粉末として希土類酸化物粉末、鉄粉末を用い、これを混合する。
希土類酸化物粉末としては、特に制限されないが、Sm、Gd、Tb、およびCeから選ばれる少なくとも1種の元素、あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるものが好ましい。中でもSmが含まれるものは、本発明の効果を顕著に発揮させることが可能となるので特に好ましい。Smが含まれる場合、高い保磁力を得るためにはSmを希土類全体の60重量%以上、好ましくは90重量%以上にすることが高い保磁力を得るために好ましい。
鉄粉末としては、例えば還元鉄粉、ガスアトマイズ粉、水アトマイズ粉、電解鉄粉などが使用でき、必要に応じて最適な粒度になるように分級する。
ここで鉄粉末の30重量%までを鉄酸化物粉末として投入し、還元拡散反応の発熱量を調整することもできる。また、Feの20重量%以下をCoで置換した組成の希土類−鉄−コバルト−窒素系磁石粉末を製造する場合には、Co源としてコバルト粉末および/またはコバルト酸化物粉末および/または鉄−コバルト合金粉末を用いる。コバルト酸化物としては、たとえば酸化第一コバルトや四三酸化コバルト、これらの混合物で、上記粒度を持つものが使用できる。
ここで、各磁石原料粉末は、粒径が10〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末、粒径が10μm以下の粉末が全体の80%以上を占める希土類酸化物粉末、コバルトを添加する場合は、コバルト粉末および/またはコバルト酸化物粉末とすることが好ましい。
鉄粉末は、粒径70μmを超えるものが多くなると、希土類−鉄母合金粉末中に希土類元素が拡散していない鉄部が多くなるとともに母合金粉末の粒径も大きくなり、窒素分布が不均一になって、得られた希土類−鉄−窒素系磁石粉末の角形性が低下しやすい。
これに対し、希土類酸化物粉末、コバルト酸化物粉末は、これらの中でもっとも多い希土類酸化物粉末でも組成が30重量%未満であることから、還元拡散反応時に、反応容器内部で上記鉄粉末の周りに均一に分布存在していることが望ましい。したがって、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるものであることが好ましい。
粒径が0.1μm未満の粉末が多くなると、製造中に粉末が舞い上がり取り扱いにくくなる。また、10μmを超えるものが多くなると、還元拡散法で得られた希土類−鉄−母合金粉末中の希土類元素が拡散していない鉄部が多くなる。
ここで、鉄(−コバルト)−合金粉末については、粒径が10〜80μmの粉末が全体の80%以上を占めること、希土類酸化物粉末については、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるものが好ましい。粒径80μmを超える粒子が多くなると、希土類−鉄母合金中に希土類元素が拡散していない鉄部が多くなるとともに、母合金粉末の粒径も大きくなり窒素分布が不均一になって、得られた希土類−鉄−窒素系磁石粉末の角形性が低下しやすい。
(2)還元拡散
次に、上記の原料粉末を混合して、不活性ガス雰囲気中、所定の温度で熱処理し、還元拡散法でThZn17型結晶構造を有する希土類−鉄系母合金を製造する。
還元拡散法は、前記したように、希土類酸化物粉末と、他の金属の粉末と、Caなどの還元剤との混合物を、不活性ガス雰囲気中、例えば900〜1300℃で加熱した後、反応生成物を湿式処理して副生したCaOおよび残留Caなどの還元剤成分を除去することによって、直接合金粉末を得る方法である。
まず、鉄、必要に応じてコバルトからなる磁石原料粉末と還元剤とを反応容器に投入する。希土類酸化物粉末は、RFe17の化学量論組成の1.1〜1.4倍、好ましくは1.15〜1.35倍、より好ましくは1.2〜1.3倍の範囲で投入する。RFe17の化学量論組成の1.1倍未満では鉄粉末に対して希土類元素の拡散が不均一になり、得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の保磁力や角形性が低下するので好ましくない。1.4倍を超えると、主相以外の磁化を低下させるSmリッチ相が多くなり、Smリッチ相の除去が必要となり、収率低下や除去にかかるコストが高くなる。
ここで各原料粉末は、それぞれの粉体特性差によって分離しないように均一に混合することが重要である。混合方法としては、たとえばリボンブレンダー、タンブラー、S字ブレンダー、V字ブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、振動ミル、アトライター、ジェットミルなどが使用できる。
還元剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの水素化物などが使用でき、取り扱いの安全性とコストの点で、目開き4.00mm以下に篩い分級した粒状金属カルシウムが好ましい。還元剤は上記原料粉末と混合するか、カルシウム蒸気が原料粉末と接触しうるよう分離しておくが、混合して還元拡散させれば、反応生成物が多孔質となり、引き続き行われる窒化処理を効率的に行うことができる。
原料粉末や還元剤とともに、後の湿式処理工程において反応生成物の崩壊を促進させる添加剤を混合することも効果的である。崩壊促進剤としては、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩や酸化カルシウムなどを用いることができ、原料粉末などと同時に均一に混合する。ここで、不活性ガスは、アルゴンガス、ヘリウムガスから選ばれた1種以上が用いられる。
そして、引き続き混合物を加熱処理して、希土類酸化物と他の酸化物原料とを還元するとともに、還元された希土類元素等の金属元素を鉄粉末に拡散させてThZn17型結晶構造を有する希土類−鉄母合金を生成させる。
本発明においては、熱処理温度を900〜1180°Cの範囲とすることが必要である。900°C未満では、鉄粉末に対して希土類元素の拡散が不均一となり、得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の保磁力や角形性が低下する。また、熱処理温度が900℃未満であると拡散に時間がかかるので望ましくない。一方、1180°Cを超えると、生成する希土類−鉄母合金が粒成長を起こすため、均一に窒化することが困難になり磁石粉末の飽和磁化と角形性が低下する場合がある。
ここで、熱処理温度と粒度分布(累積個数百分率)の関係を図1に、SEM像を図2の写真で示す。図1から熱処理温度が高くなるにつれて、得られる窒化処理生成物の粒径が大きくなっていくことがわかる。また、写真から、熱処理温度が高い場合(1190℃)では、希土類−鉄−窒素合金粒子の表面が平滑であるのに対し、熱処理温度が低くなるにつれて一次粒子が小さくなり、熱処理温度が1050℃の場合、ぶどう状に焼結した二次粒子を形成していることがわかる。
すなわち、本発明においては、窒化処理生成物中の希土類−鉄−窒素系粉末(磁石粗粉末)は、小さな粒径のものを含む多数の1次粒子が集まって、ぶどう状に焼結し2次粒子を形成している。この場合、1次粒子は、粒径が20μm以上のものの占める比率が少なく、その累積個数百分率が10%未満であることが望ましい。このような粉末は、粉砕が容易であるというだけでなく、優れた磁気特性を有するものとなる。
熱処理温度を好ましくは930〜1080℃として、1次粒子径が小さい希土類−鉄母合金粒子が含まれる反応生成物とすることにより、窒化時、窒素が希土類−鉄母合金粒界から拡散しやすくなって窒化距離を短くするのは、このためである。また、粉砕時には、焼結している粒子間の粒界の強度が低いので、加工度が小さくてすむことから、結晶歪みを小さくすることができる。さらに、熱処理温度が低い方がSmの蒸発が少なく投入量も低減できるので好ましい。
ここで、還元拡散反応で得られる生成物は、例えば、還元剤として金属カルシウムを用いた場合には、ThZn17型結晶構造を有する希土類−鉄母合金と酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムなどからなる塊状の混合物である。さらに粒状金属カルシウムを原料粉末に混合して還元拡散反応させた場合には、多孔質の塊状混合物となっている。
これに対して、前記特許文献3で採用されている溶解法は、希土類原料として希土類金属が用いられ、これは還元拡散法で用いられる希土類酸化物原料に比べて高価である。特に、希土類元素が、優れた磁気特性をもたらすSmの場合による差は顕著である。また上記粒度調整で発生する不要な粉末は、製品収率を低下させ、粉末コストをさらに引き上げてしまう。また溶解法では、得られた合金中のα−Fe相などをなくすための均質化熱処理工程が必要になり、さらに窒素を導入する前に均質化熱処理した合金を粗粉砕する工程と、粗粉砕粉末を粒度調整する工程が必要になるので好ましくない。
(3)反応生成物の冷却
本発明では、還元拡散反応後の反応生成物に対して、雰囲気ガスを不活性ガスとしたまま変えずに、引き続き、20〜300°C、好ましくは50〜280℃、より好ましくは100〜250°Cに冷却する。
冷却後の温度が300°Cを越えていると、窒化の際に反応生成物との窒化反応が急激に進んでしまい、α−Fe相を増加させてしまうことがあるので、300°Cよりも低い温度まで冷却するのが望ましい。これは、300°Cを越える温度では、反応生成物が活性であるために合金が急激に窒化されて、ThZn17型結晶構造を有する金属間化合物がFeリッチ相とSmNとに分解するものと推測されるからである。ただし、20℃よりも低い温度に冷却しても磁気特性の改善は期待できない。
これまで、数多くの還元拡散法が提案されているが、還元拡散反応後の反応生成物を窒化するに先立ち、殆どのケースで冷却工程を採り入れているものの、冷却後の温度は窒化温度範囲内に収められていた。すなわち、窒化の下限温度である300℃よりも低い温度まで冷却されることはなかった。その主な理由は、温度を下げれば下げるほど、次の窒化工程で昇温するのに大きな熱エネルギーが必要となるからである。そのため、雰囲気ガスを不活性ガスとしたまま変えずに、引き続き、反応生成物を20〜300°Cに冷却することで、母合金がどのようなメカニズムで窒化されるかについては、全く検討されていなかった。
冷却後に、多孔質の塊状混合物である反応生成物を湿式処理しないで、雰囲気ガスを不活性ガスから、少なくともアンモニアと水素とを含有する混合ガスに変えて、次の窒化工程に移る。
このとき反応生成物が大気中に曝されると、反応生成物中の活性な希土類−鉄母合金粉末が酸化されて反応性が失活し、結果として窒化の度合いをばらつかせるので、大気(酸素)に曝されることのないように窒化工程に持ち込むことが必要である。
2.希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法
(1)窒化処理
窒化工程では、雰囲気ガスの不活性ガスを排出してから、少なくともアンモニアと水素とを含有する混合ガスに変えて昇温し、反応生成物を特定温度に加熱する。
窒化ガスとしては、少なくともアンモニアと水素とを含有していることが必要であり、反応をコントロールするためにアルゴン、窒素、ヘリウムなどを混合することができる。窒化ガスの量は、磁石粉末中の窒素量が3.3〜3.7重量%となるに十分な量であることが好ましい。
全気流圧力に対するアンモニアの比(アンモニア分圧)は、0.2〜0.6、好ましくは0.3〜0.5となるようにする。アンモニア分圧が0.2未満であると、長時間かけても母合金の窒化が進まず、窒素量を3.3〜3.7重量%とすることができず、磁石粉末の飽和磁化と保磁力が低下する。
反応生成物を窒化温度である350〜500°C、好ましくは400〜480°Cに加熱しながら、アンモニアと水素とを含有する混合気流を供給して、母合金を窒化熱処理することが必要である。加熱温度が350°C未満であると、反応生成物中の希土類−鉄母合金に3.3〜3.7重量%の窒素を導入するのに長時間を要するので工業的優位性がなくなる。一方、500°Cを超えると、主相であるSmFe17相が分解してα−Feが生成するので、最終的に得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の減磁曲線の角形性が低下するので好ましくない。なお、冷却温度から窒化温度までは、毎分3〜10℃の速度で比較的急速に昇温することが生産効率を高める上で望ましい。
また、冷却温度での保持時間は、特に制限されないが、保持時間が長くなっても窒化は進まないため、結果的に窒化終了までの時間が長くなるだけである。一方、窒化処理の保持時間は、窒化温度にもよるが、100〜300分、好ましくは、140〜250分とする。100分未満では、窒化が不十分になり、一方、300分を超えると窒化が進みすぎるので好ましくない。
本発明においては、窒化処理に引き続いて、さらに水素ガス、または窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス中で合金粉末を熱処理することが望ましい。特に好ましいのは、水素ガスで熱処理した後に窒素ガスおよび/またはアルゴンガスで熱処理をすることである。
これにより、磁石粉末を構成する個々の結晶セル内の窒素分布をさらに均一化することができ、角形性を向上させることができる。熱処理の保持時間は、30〜200分、好ましくは60〜250分が良い。
(2)湿式処理
本発明では、窒化後の処理生成物を湿式処理して、そこに含まれている還元剤成分の副生成物(酸化カルシウムや窒化カルシウムなど)を希土類−鉄−窒素系磁石粉末から分離除去する。
窒化終了後の磁石粉末に対して湿式処理を行うのは、前述したとおり、窒化する前に、反応生成物を湿式処理すると、この湿式処理過程で母合金表面が酸化されて窒化の度合いをばらつかせるからである。
また、窒化後に処理生成物を長期間大気中に放置すると、カルシウムなどの還元剤成分の酸化物が生成し除去しにくくなったり、磁石粉末の表面の酸化によって、窒化が不均一になり主相の比率の低下とニュークリエーションの核の生成によって角形性が低下したりする。したがって、大気中に放置された窒化処理生成物は、反応器から取り出してから2週間以内に湿式処理するのがよい。
湿式処理は、まず崩壊した生成物を水中に投入し、デカンテーション−注水−デカンテーションを繰り返し行い、生成したCa(OH)の多くを除去する。さらに必要に応じて、残留するCa(OH)を除去するために、酢酸および/または塩酸を用いて酸洗浄する。このときの水溶液の水素イオン濃度はpH4〜7の範囲で実施するとよい。還元拡散時に過剰に投入したSmの影響で主相の周りに磁気特性の飽和磁化を低下させる非磁性相が存在している場合があり、Sm量が23.2〜23.6重量%になるように酸洗を行うことが好ましい。
上記酸洗浄処理の終了後には、例えば水洗し、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥することで希土類−鉄−窒素系磁石粗粉末を得ることができる。
(3)微粉砕、乾燥
得られた希土類−鉄−窒素系磁石粗粉末は、その粒子表面が平滑ではなく、全体的に粒径の異なる多数の粒子が集合した形状をしている。
より具体的には、比較的粒径が大きい1次粒子の周囲に、それよりも粒径が小さい多数の粒子が集って、ぶどう状に焼結し2次粒子を形成している。1次粒子は、粒径20μm以上のものが占める比率が小さく、累積個数百分率が10%未満である。このような磁石粗粉末を溶媒とともにビーズミル、媒体撹拌ミル等の粉砕機に入れ、希土類−鉄−窒素系磁石粉末が平均粒径1〜5μmとなるように微粉砕し、その後ろ過、乾燥する。
本発明で希土類−鉄−窒素系磁石粉末を微粉砕するには、固体を取り扱う各種の化学工業において広く使用され、種々の材料を所望の程度に粉砕するための粉砕装置であれば、特に限定されるわけではない。その中でも、粉末の組成や粒子径を均一にしやすい点で優れた、媒体撹拌ミルまたはビーズミルによる湿式粉砕方式によることが好適である。
粉砕に用いる溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、メタノール、ヘキサン等が使用できるが、特にイソプロピルアルコールが好ましい。粉砕後所定の目開きのフィルターを用いて、ろ過、乾燥して希土類−鉄−窒素系磁石微粉末を得る。
3.希土類−鉄−窒素系磁石粉末
本発明では、上記の方法で得られ、磁石粉末がSm−Fe−Nであるものが好ましい。特に、Sm量が磁石粉末全体に対して23.2〜23.6重量%のものが一層好ましい。
本発明の希土類−鉄−窒素系磁石粉末は、下記一般式(1)で示されるα−Fe比率が5%以下であることを特徴とする。
α−Fe比率=X線回折におけるα−Fe(110)ピーク強度/希土類−Fe−窒素(300)ピーク強度…(1)
α−Fe比率は、広域測定結果のバックグランドを除去したあとに、α−Fe(JCPDS No.6−696)の(110)面とSmFe17の(300)面の位置に相当するピーク強度IFe、ISFNを用いて後述する式で算出される。本来のX線回折定量分析においては、化合物間のピーク強度比を補正する必要があるが、本発明に係る希土類−鉄−窒素系磁石であれば、そのような補正を省略しても差し支えない。また、α−Fe、SmFe17(SmFe17:主相)以外には化合物が存在しないと仮定している。
希土類−鉄−窒素系磁石粉主相表面に析出しているα−Feの比率が5%よりも大きくなると、希土類−鉄−窒素系磁石粉主相のニュークリエーションサイトとなるため保磁力iHcや角形性Hkが大幅に低下してしまう。
本発明の希土類−鉄−窒素系磁石粉末は、還元拡散温度を下げることで1次粒子の小さい希土類−鉄−窒素系磁石粉末として得られたものである。そのため、粉砕時の応力が小さくてすむために結晶の歪みが小さい。このことは、得られた希土類−鉄−窒素系磁石粉末のX線回折の測定で確認される。本発明では、下記一般式(2)で示される積分幅が0.2deg.以下であることを特徴とする。
積分幅=X線回折におけるSmFe17N(113)回折ピークの面積/ピーク強度高さ…(2)
さらに、本発明の希土類−鉄−窒素系磁石粉末は、還元拡散処理を終了してから窒化処理の間の雰囲気及び温度を制御することにより、粒子表面が酸化等で窒化時の妨げとならないよう良好な状態を維持して窒化処理される。そして、湿式処理後に窒化するのではなく、窒化してから湿式処理するため、非磁性相が低減している。また、湿式処理時にオキシ水酸化鉄が主相の周りに付着し、窒化時にα−Feとなって析出して磁気特性を低下させることがないため、希土類−鉄−窒素系磁石粉末のα−Feが低減し、その比率は5%以下である。この結果、飽和磁化、保磁力が高まり減磁曲線の角形性が良好である希土類−鉄−窒素系磁石粉末となる。
すなわち、この希土類−鉄−窒素系磁石粉末の磁気特性は、飽和磁化が1.4T(14kG)、保磁力が800kA/m(10kOe)、角形性:Hkが400kA/m(5kOe)以上という優れた性能を有している。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。得られた窒化粉末は次の方法で測定した。
(1)磁気特性
合金粉末の磁気特性は、日本ボンド磁石工業協会、ボンド磁石試験方法ガイドブック、BM−2002、BM−2005に準じて、1600A/mの配向磁界をかけてステアリン酸中で希土類−鉄−窒素系磁石粉末を配向させ試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁して測定した。磁石合金粉末の比重を7.67g/cmとし、反磁場補正をせずに最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計を用いて、飽和磁化:4πIm(T)、保磁力:iHc(kA/m)、角形性:Hk(kA/m)を測定した。
なお、上記希土類−鉄−窒素系磁石では、飽和磁化1.4T(14kG)、保磁力800kA/m(10kOe)、角形性:Hk400kA/m(5kOe)以上であれば十分な性能を有するものといえる。Hkは、減磁曲線の角形性を表し、第二象限において、磁化4πIが残留磁化4πIrの90%の値を取るときの減磁界の大きさである。
(2)結晶歪み
粉末X線回折装置(Cu−Kα、理学電機株式会社製 Rotaflex RAD−rVB、マックサイエンス株式会社製 SUN SP/IPX)を用いて、SmFe17(113)回折ピークの積分幅を求めた。前記積分幅は、SmFe17(113)回折ピークの面積をピーク強度高さで割った値として、算出した。結晶歪みは2θ(deg.)で表されるから、deg.が大きい程歪みは大きくなり、粉砕後の磁石粉末に残る歪み量の目安になる。
測定はゴニオン半径185mm、発散スリット1.0°、散乱スリット1.0°、受光スリット0.3mm、湾曲グラファイトモノメーターを用いた光学系で行った。
(3)α−Fe比率
結晶歪み測定で使用した粉末X線回折装置を用いてα−Fe比率を求めた。α−Fe比率は、広域測定結果のバックグランドを除去したあとに、α−Fe(JCPDS No.6−696)の(110)面とSmFe17の(300)面の位置に相当するピーク強度IFe、ISFNを用いて、下記の式より算出した比率である(表1)。
Figure 2007070724
本来X線回折定量分析においては、化合物間のピーク強度比を補正する必要があるが、今回の比率算出には行っていない。また、α−Fe、SmFe17(SmFe17:主相)以外には化合物が存在しないと仮定している。
希土類−鉄−窒素系磁石粉の主相表面に析出しているα−Feの比率が大きくなると、希土類−鉄−窒素系磁石粉主相のニュークリエーションサイトとなるため、保磁力iHcや角形性Hkが大幅に低下してしまうことから、α−Fe比率で磁気特性、角形性への影響が容易に判断できる。
Figure 2007070724
(4)粒子形状
粉砕前の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の粒子表面、形状を走査型電子顕微鏡(SEM:株式会社日立製作所製、S−800)で観察した。
(5)粒度分布
SEM像から1次粒子の粒径を1000倍で撮影した写真を2倍に拡大して、最小メモリ1mmの定規で各粒子の最長の長さを測定し、累積個数百分率で求めた。
(実施例1)
磁石原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%:へガネス製 ASC300)24.3gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.5%:トーメン)11.4gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%:ミンテックジャパン製)4.6gを、コンデショニングミキサー(MX−201:シンキー製)で30秒間混合した。酸化サマリウム粉末は、SmFe17化学量論組成の1.27倍である。
これをステンレススチール反応容器に装入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら900°Cまで昇温し、4時間保持し250°Cまで炉内でArガスを流通しながら冷却した。次に、Arガスをアンモニア分圧が0.33のアンモニア−水素混合ガスに切り替えて昇温し、450°Cで200分保持し、その後、同温度で窒素ガスに切り替えて30分保持し冷却した。
取り出した多孔質塊状の反応生成物を直ちに純水中に投入したところ、崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後に1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。
得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に7分間保持した。合金粉末をろ過後、エタノールで数回掛水洗浄し、35°Cで真空乾燥することによって、Sm−Fe−N磁石粉末26.8gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.0重量%であった。
得られた粉末は1次粒子20μm以上の累積百分率は0.2%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.2重量%、N3.32重量%、O0.15重量%、残部Feだった。
この合金粉末をエタノール中で振動式ミル(マルチミル:ナルミ技研製)を用い、SUJ2ボール5/32インチ、振動数 30Hz、120分間エタノール中で微粉砕し、常温真空乾燥した。得られた磁石粉末の磁気特性を、合金粉末の磁気特性は、日本ボンド磁石工業協会、ボンド磁石試験方法ガイドブック、BM−2002、BM−2005に準じて、1600A/mの配向磁界をかけてステアリン酸中で希土類−鉄−窒素系磁石粉末を配向させ試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁して測定した。磁石合金粉末の比重を7.67g/cmとし、反磁場補正をせずに最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計を用いて、飽和磁化:4πIm(T)、保磁力:iHc(kA/m)、角形性:Hk(kA/m)を測定した。
分析組成とThZn17型結晶構造の格子定数から算出された粉末のX線密度は7.67g/cmで、この値で飽和磁束密度4πImを換算した。iHcは保磁力である。またHkは、減磁曲線の角形性を表し、第二象限において、磁化4πIが4πIrの90%の値を取るときの減磁界の大きさである。結果を表2に示す。
4πIm 1.41T、iHc 856kA/m、Hk 410kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.05deg.、α−Fe比率は1%であった。
(実施例2)
実施例1の条件の還元拡散温度を1100℃に変えた以外は同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末27.0gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.5重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が7%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.5重量%、N3.35重量%、O0.16重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.41T、iHc 810kA/m、Hk 410kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.18deg.、α−Fe比率は2%であった。
(実施例3)
実施例1の条件の還元拡散温度を1050℃、窒化を350℃、300分、アンモニア分圧0.2に変えた以外は同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末27.1gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.8重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が3.0%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.39重量%、O0.14重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.42T、iHc 820kA/m、Hk 416kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.08deg.、α−Fe比率は0.8%であった。
(実施例4)
実施例1の条件の還元拡散温度を1050℃、窒化を500℃、100分、アンモニア分圧0.6に変えた以外は同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末26.9gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.3重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が4.0%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.35重量%、O0.14重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.43T、iHc 820kA/m、Hk 420kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.09deg.、α−Fe比率は0.7%であった。
(実施例5)
実施例1の還元拡散を1050℃で行い、100℃まで還元物を冷却した以外は同様にして、アンモニアと水素とを含有する混合気流中で昇温し、実施例1と同様の窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末26.8gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.0重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が4.0%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.2重量%、N3.39重量%、O0.14重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.42T、iHc 830kA/m、Hk 410kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.07deg.、α−Fe比率は0.7%であった。
(実施例6)
実施例1の還元拡散を1050℃で行い、20℃まで還元物を冷却した以外は同様にして、アンモニアと水素とを含有する混合気流中で昇温し、実施例1と同様の窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末27.0gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.5重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が2.0%で1次粒子と焼結したぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.39重量%、O0.16重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.41T、iHc 830kA/m、Hk 415kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.07deg.、α−Fe比率は1.0%であった。
(実施例7)
原料配合量を鉄粉末24.3g、酸化サマリウム粉末10.2g、カルシウム4.2gとした。酸化サマリウム粉末はSmFe17化学量論組成の1.15倍である。混合以降の処理は実施例5と同様に行い、Sm−Fe−N粗粉末28.4gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は73.4重量%であった。
得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が3.0%で、1次粒子と焼結したぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.2重量%、N3.5重量%、O0.13重量%、残部Feだった。
実施例1と同様、微粉砕後にサンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.40T、iHc 825kA/m、Hk 412kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.10deg.、α−Fe比率は1.10%であった。
(実施例8)
原料配合量を鉄粉末24.3g、酸化サマリウム粉末12.5g、カルシウム5.1gとした。酸化サマリウム粉末はSmFe17化学量論組成の1.40倍である。混合以降の処理は実施例5と同様に行い、Sm−Fe−N粗粉末26.2gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は62.5重量%であった。
得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が4.0%で、1次粒子と焼結したぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.4重量%、O0.17重量%、残部Feだった。
実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.41T、iHc 830kA/m、Hk 415kA/mであり、高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.09deg.、α−Fe比率は0.9%であった。
(比較例1)
実施例1とは窒化と湿式処理工程の順を入れ替えて、原料粉末の還元拡散後に湿式処理を行ってから窒化、微粉砕を行った。還元拡散温度を1100℃、窒化を450℃、200分、アンモニア分圧0.33に変えてSm−Fe−N粗粉末を得た。Sm−Fe−N磁石粉末は27.2gであった。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は、68.0重量%であった。
得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が6.0%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。この粉末組成は、Sm23.8重量%、N3.31重量%、O0.14重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.32T、iHc 704kA/m、Hk 360kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.07deg.、α−Fe比率は6%であった。
(比較例2)
還元拡散温度を850℃、窒化を450℃、200分、アンモニア分圧0.33に変えた以外は実施例1と同様に、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末26.8gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.0重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の粒子がなく1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.2重量%、N3.39重量%、O0.14重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.39T、iHc 816kA/m、Hk 380kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.03deg.、α−Fe比率は10%であった。
(比較例3)
還元拡散温度を1190℃、窒化を450℃、200分、アンモニア分圧0.33に変えた以外は実施例1と同様に、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末27.3gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は68.3重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が50%で、1次粒子と焼結した表面が平滑な2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.4重量%、N3.31重量%、O0.17重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.39T、iHc 805kA/m、Hk 390kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.22deg.、α−Fe比率は0.9%であった。
(比較例4)
還元拡散温度を1050℃、窒化を450℃、200分、アンモニア分圧0.1に変えた以外は実施例1と同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末26.8gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.0重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が3%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.19重量%、O0.16重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.35T、iHc 630kA/m、Hk 310kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.08deg.、α−Fe比率は6%であった。
(比較例5)
還元拡散温度を1050℃、窒化を450℃、200分、アンモニア分圧0.7に変えた以外は実施例1と同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末27.0gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.5重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が2%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.41重量%、O0.17重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.37T、iHc 680kA/m、Hk 325kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.07deg.、α−Fe比率は12%であった。
(比較例6)
還元拡散温度を1050℃、窒化を340℃、300分、アンモニア分圧0.6に変えた以外は実施例1と同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末26.8gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.0重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が2%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.5重量%、N3.35重量%、O0.16重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.35T、iHc 640kA/m、Hk 332kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.09deg.、α−Fe比率は10%であった。
(比較例7)
還元拡散温度を1050℃、窒化を520℃、100分、アンモニア分圧0.33に変えた以外は実施例1と同様にして、還元拡散、窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末26.8gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.5重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が3%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.00重量%、O0.16重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.36T、iHc 656kA/m、Hk 316kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.08deg.、α−Fe比率は9%であった。
(比較例8)
1050℃で還元拡散を行い、350℃まで還元物を冷却してからアンモニアと水素とを含有する混合気流中で昇温した以外は、実施例1と同様の窒化処理、湿式処理を行った。Sm−Fe−N磁石粉末27.0gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は67.5重量%であった。得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が4.0%で1次粒子と焼結した、ぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm22.5重量%、N3.01重量%、O0.20重量%、残部Feだった。実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.35T、iHc 750kA/m、Hk 300kA/mであり磁気特性は低かった。結晶歪み(積分幅)は0.07deg.、α−Fe比率は17%であった。
(比較例9)
原料配合量を鉄粉末24.3g、酸化サマリウム粉末9.4g、カルシウム3.8gとした。酸化サマリウム粉末はSmFe17化学量論組成の1.05倍である。混合以降の処理は実施例5と同様に行い、Sm−Fe−N粗粉末29.0gを得た。得られた粉末の収率(回収量/原料投入量)は77.3重量%であった。
得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が8.0%で、1次粒子と焼結したぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.0重量%、N3.3重量%、O0.17重量%、残部Feだった。
実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.35T、iHc 650kA/m、Hk 315kA/mであり、高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.10deg.、α−Fe比率は7.5%であった。
(比較例10)
原料配合量を鉄粉末24.3g、酸化サマリウム粉末14.3g、カルシウム5.8gとした。酸化サマリウム粉末はSmFe17化学量論組成の1.60倍である。混合以降の処理は実施例5と同様に行いSm−Fe−N粗粉末25.0gを得た。粉末の収率(回収量/原料投入量)は56.3重量%であり低かった。
得られた粉末は、1次粒子20μm以上の累積百分率が3.0%で、1次粒子と焼結したぶどう状の2次粒子が観察された。
この粉末組成は、Sm23.3重量%、N3.4重量%、O0.15重量%、残部Feだった。
実施例1と同様に微粉砕後サンプリングして、磁気特性、結晶歪み(積分幅)およびα−Fe比率を求めた。結果を表2に示す。4πIm 1.41T、iHc 825kA/m、Hk 415kA/mであり高特性が得られた。結晶歪み(積分幅)は0.10deg.、α−Fe比率は0.9%であった。
「評価」
上記の結果、各実施例によれば、特定の原料粉末を用いて還元拡散法で製造された希土類−鉄系母合金、これを特定条件で窒化した希土類−鉄−窒素系磁石粉末はいずれも好ましい磁気特性(飽和磁化、保磁力、角形性)を有することが分かる。これに対して、比較例1は、Sm量とα−Fe比率が好ましい範囲からはずれたもので、Smが23.8重量%となり非磁性相が多くなりすぎ、4πImを低下させた。また、湿式処理後に窒化したために湿式処理後、磁石粉末表面に付着したオキシ水酸化鉄が窒化で磁石表面に析出し、α−Fe比率が6%となり、iHc、Hkが低下している。
比較例2、3は、還元拡散温度が好ましい範囲からはずれたもので、還元拡散温度が850℃では還元時間が不十分であるために、SmFe17合金ができていない未拡散Feの影響でα−Fe比率が10%となり、1190℃では粒子表面の平滑な粒子(単結晶)がほとんどであるために、粉砕中に粒子表面に受ける歪みが0.22deg.となり、iHc、Hkが低下している。
比較例4、5は、窒化雰囲気のアンモニア分圧が好ましい範囲からはずれたもので、比較例6、7は、窒化温度が好ましい範囲からはずれたもので、還元拡散温度が好ましい範囲内であったものの、窒化不足や過窒化、主相の分解でα−Feが5%を越え、4πIm、iHc、Hkが低下している。
比較例8は、還元拡散した反応生成物の窒化前の冷却温度が好ましい範囲からはずれたもので、反応生成物との窒化反応が急激に進んでしまい、Feリッチ相を増加させてしまい活性な反応生成物が急激に窒化されるために、ThZn17型結晶構造を有する金属間化合物がα−Fe相とSmNとに分解され窒化不足、主相の分解でα−Feが17%と高く、4πIm、iHc、Hkが低下している。
比較例9、10は酸化サマリウム配合量が好ましい範囲からはずれたもので、比較例9は鉄粉末に対して希土類元素の拡散が不均一になり、α−Feが7%を超え、4πIm、iHc、Hkが低下している。
比較例10はα−Fe量、積分幅は問題ないが酸化サマリウムの配合量が多いため、磁石粉末中に主相以外のSmリッチ相が多くなり、Smリッチ相を除去した後のSmFeN粉末の収率が大きく低下した。磁気特性は完全にSmリッチ相が除去できずに4πImが低くなった。
Figure 2007070724
希土類−鉄−窒素系磁石粉末の粉砕前の粒度分布(累積個数百分率)に対する還元拡散処理温度依存性を示すグラフである。 熱処理温度を1050℃、1190°Cとして還元拡散処理を行い、その後窒化して得られた粉砕前の希土類−鉄−窒素系磁石粉末のSEM像を示す写真である。

Claims (10)

  1. 希土類酸化物粉末と、鉄粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤粉末とを所定の割合で混合する工程、この混合物を不活性ガス雰囲気中、900〜1180℃で加熱する工程、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で20〜300℃に冷却する工程、その後、不活性ガスを排出してから、アンモニアと水素とを含有する混合ガスを供給し、この気流中で反応生成物を昇温し、350〜500℃で窒化処理する工程、次に、得られた窒化処理生成物を水中に投入して湿式処理して崩壊させる工程、さらに、得られた磁石粗粉末を粉砕機に入れて微粉砕する工程を含むことを特徴とするα−Fe比率が小さい希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法。
  2. 磁石粗粉末は、1次粒子が集まって、ぶどう状に焼結した2次粒子を形成していることを特徴とする請求項1記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法。
  3. 1次粒子は、粒径20μm以上の累積個数百分率が10%未満であることを特徴とする請求項2記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法。
  4. 希土類酸化物粉末の混合量は、RFe17合金の化学量論組成の1.1〜1.4倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法。
  5. 混合ガス中のアンモニア分圧が0.2〜0.6気圧であることを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末。
  7. 下記一般式(1)で示されるα−Fe比率が、5%以下であることを特徴とする請求項6に記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末。
    α−Fe比率=X線回折におけるα−Fe(110)ピーク強度/希土類−Fe−窒素(300)ピーク強度…(1)
  8. 磁石粉末がSm−Fe−Nであることを特徴とする請求項6に記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末。
  9. Sm量が、磁石粉末全体に対して23.2〜23.6重量%であることを特徴とする請求項8に記載の希土類−鉄−窒素系磁石粉末。
  10. 下記一般式(2)で示される積分幅が0.2deg.以下であることを特徴とする請求項6に記載の希土類―鉄―窒素系磁石粉末。
    積分幅=X線回折におけるSmFe17(113)回折ピークの面積/ピーク強度高さ…(2)
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