JP2007070612A - 発熱体及び発熱中間体 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化反応の進行に伴う硬化が抑えられて柔軟性が維持され、発熱性能も良好な発熱体を提供すること。
【解決手段】本発明の発熱体は、被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及
び粒状硬化抑制剤を含んでいる。前記粒状硬化抑制剤が前記被酸化性金属の平均粒径の25%以下の平均粒径を有する微小粉体であることが好ましい。前記被酸化性金属と前記粒状硬化抑制剤との質量含有比が前記被酸化性金属/前記粒状硬化抑制剤=1〜30であることが好ましい。前記粒状硬化抑制剤の平均粒径が10μm以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、空気中の酸素と被酸化性金属との酸化反応に伴う発熱を利用した発熱体及び発熱中間体に関する。
空気中の酸素と被酸化性金属である鉄粉との酸化反応に伴う発熱を利用した発熱体は、酸化反応の進行に伴って鉄粉が凝結して硬化し、柔軟性が低下するという課題を有している。特に発熱時間が数時間持続する発熱体は柔軟性の低下が顕著である。これは鉄粉の酸化反応が十分に進行するからである。この柔軟性の低下は、発熱体を身体に装着して使用するときに使用者に違和感を生じさせるばかりか、熱を効率よく身体に伝え難くなるため好ましくない。
斯かる柔軟性の低下を防ぐ技術として、鉄粉に代えて亜鉛粉末を用いることで酸化反応が進行しても柔軟性を維持するようにした技術や、発熱層に保水ゲル層を組み合わせて柔軟性を付与した技術が提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
また、水溶性のケイ酸ナトリウム含水塩を発熱組成物に含有させることによって、発熱組成物の使用中の固まりを防ぐ技術も提案されている(下記特許文献3参照)。
さらに、発熱組成物中に、比表面積10m2/g以上のケイ酸塩の結晶集合体からなる粉末を含有させることにより、鉄粉等の金属粉の酸化が進行しても発熱組成物が固結しないようにする技術も提案されている(下記特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、硬化抑制剤が含まれておらず、硬化抑制効果の具体的な数値的開示がされていない。特許文献2に記載の技術は、発熱層以外に保水ゲル層を設けなければならないため、保水ゲル層の分だけ厚くなり、身体に装着して使用する場合には装着性が悪くなるほか、生産コストも割高となる。特許文献3に記載の技術は、水溶性のケイ酸ナトリウム含水塩を発熱組成物に含有させることにより、発熱組成物が強アルカリ性となり、金属鉄の酸化を阻害・遅延させるものであり、発熱性能に影響を与え、例えば、ほぼ一定温度を維持できる時間が短いという問題があった。特許文献4に記載の技術は、ケイ酸塩の結晶集合体からなる粉末を含有させているが、集合体の故に表面の凹凸が大きく且つ、各結晶間に空隙を有しているので、酸化した鉄粉が、該凹凸、空隙に付着されやすくなり、優れた硬化抑制機能を得る事ができなかった。
特開2001−212167号公報 特開2003−135509号公報 特公平3−047857号公報 特開平11−318966号公報
本発明は、発熱性能を低下させることなく、発熱反応終了時においても柔軟性を維持することができる、優れた発熱体に関する。
本発明者らは、被酸化性金属、保水剤、水分及び酸化助剤となる電解質を含む発熱体に、後述の粒状硬化抑制剤を含ませると、発熱性能を低下させることなく、酸化反応の進行に伴う発熱体の硬化を抑制し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及び被酸化性金属の粒径の25%以下の粒状硬化抑制剤を含む発熱体を提供するものである。
また、前記被酸化性金属と前記粒状硬化抑制剤との質量含有比が前記被酸化性金属/前記粒状硬化抑制剤=1〜30である上記発熱体を提供するものである。
また、本発明は、被酸化性金属、保水剤及び被酸化性金属の粒径の25%以下の粒状硬化抑制剤を含み、酸化助剤となる電解質を含まない発熱中間体を提供するものである。
更に本発明は、被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及び硬化抑制剤を含み、発熱反応前の曲げ強度と発熱反応終了時の曲げ強度の比である、曲げ強度倍率が6以下である発熱体を提供するものである。
本発明によれば、発熱性能を低下させることなく、発熱反応終了時においても柔軟性を維持することができる、優れた発熱体及びその製造に用いられる発熱中間体が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態の発熱体は、被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及び粒状硬化抑制剤を含んでいる。発熱体には繊維状物を含めることができる。
発熱体中の被酸化性金属には、酸化反応熱を発する金属を特に制限無く用いることができる。被酸化性金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛等が挙げられる。この中でも、発熱反応の制御のしやすさやコスト等の点から鉄粉を使用するのが望ましい。よって以下においては、本発明を、被酸化性金属として鉄粉を用いた実施形態に基づいて説明する。
本実施形態において用いる鉄粉の粒径(以下、本明細書において、特に記載がない場合には、粒径というときには、粉体の形態における最大長さ、又は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される平均粒径をいう。硬化抑制剤、保水剤についても同様)は、0.1〜300μmが好ましく、1〜150μmがより好ましい。鉄粉の粒径が斯かる範囲であると、鉄粉の酸化反応が効率的に行われるため好ましい。
また、発熱体に後述の繊維状物を含ませて抄紙による発熱シートとする場合には、当該繊維状物への定着性、反応のコントロールが良好なことから、用いる鉄粉は、粒径が好ましくは0.1〜300μm、より好ましくは0.1〜150μmのものを50質量%以上含有するものを用いることが好ましい。
発熱体中の前記鉄粉の含有量は、10〜95質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。該鉄粉の含有量が斯かる範囲であると、得られる発熱体の発熱温度を、所望の温度に上昇させることができる。また、該発熱体が後述の発熱シートの場合には、繊維状物、接着成分(凝集剤等)の量を抑えることができるため、発熱体の通気性が十分なものとなり、その結果発熱体内部まで十分に反応が起こり発熱温度を十分に上昇させることができる。また、発熱時間を十分な長さにできるほか、後述の保水剤による水分供給も十分なものとすることができ、鉄粉の脱落も生じ難い。また、発熱体を構成する後述の繊維状物、接着性分をある程度の量に維持することができるため、曲げ強度や引張強度等の機械的強度を十分なものとすることができる。ここで、発熱体中の鉄粉の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
発熱体中の前記保水剤の含有量は、1〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましい。斯かる範囲内であると、酸化反応を持続させるために必要な水分を発熱体中に蓄積できる。また、発熱体の通気性が十分に確保されるため、酸素供給が十分に得られて発熱効率が高い発熱体となる。また、得られる発熱量に対する発熱体の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られる。また、該発熱体が後述の発熱シートの場合には、保水剤の脱落の発生や後述の繊維状物、接着成分の減少が抑えられるため、曲げ強度や引張強度等の機械的強度も十分に得られる。
前記保水剤には、従来からこの種の発熱体に通常用いられている保水剤を特に制限無く用いることができる。例えば、吸水ポリマー、木粉等が挙げられる。また、該保水剤は、水分保持剤として働く他に、鉄粉への酸素保持/供給剤としての機能も有しているものもある。該保水剤としては、例えば、活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ、カンクリナイト、フローライト等が挙げられ、これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。該保水剤には、鉄粉との有効な接触状態を形成できる点から粒径が0.1〜500μmの粉体状のものを用いることが好ましく、0.1〜200μmのものを50質量%以上含有するものを用いることがより好ましい。保水剤には、上述のような粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、活性炭繊維等の繊維状の形態のものを用いることもできる。
発熱体中の前記酸化助剤となる電解質の含有量は、発熱体中の対水質量比で0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。該電解質の含有量が斯かる範囲であると、得られる発熱体の酸化反応を十分に進行させることができるため好ましい。また、電解質の析出も起こり難く、発熱体の通気性が良好であり、発熱機能に必要な電解質を確保することができ、十分な水が鉄粉等に供給され、発熱性能に優れ、発熱体に均一に電解質を配合することができるので好ましい。
前記電解質には、従来からこの種の発熱体に通常用いられている電解質を特に制限なく用いることができる。該電解質としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは重金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。そしてこれらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物が好ましく用いられる。これらの電解質は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記粒状硬化抑制剤は、鉄粉の酸化に伴う凝結による発熱体の硬化を効果的に抑制することができる点から、前記鉄粉の粒径の0.01%以上25%以下、特に、0.02%以上20%以下の粒径を有する微小粉体であることが好ましい。
ここで、本発明における粒状とは、例えば、球状、針状、板状及び柱状等の形状のことであり、前記特許文献4に記載の集合体は除かれる。
前記粒状硬化抑制剤の粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下であり、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜9μmのものを50質量%以上含有するものを用いることが好ましい。粒状硬化抑制剤の粒径は、小さい程好ましいが、その下限は、鉄粉等の成分の飛散及び発熱シートを後述するように透湿性のシートと複合化させた場合の当該透湿性のシートからの漏れ出し等を考慮すると0.1μm以上である。
前記粒状硬化抑制剤としては、カーボンブラック、イライト、カンクリナイト、タルク、フローライト、ベントナイト、酸化チタン、特定粒径の活性炭等が挙げられる。これらの中で、発熱性能に影響を及ぼすことなく酸化反応の進行に伴う発熱体の硬化を抑制できる点を考慮するとタルク、フローライト、ベントナイト、酸化チタン等が好ましく、保水剤と兼用できる点、生産コストを考慮すると活性炭が好ましい。
前記粒状硬化抑制剤が特定粒径の活性炭の場合には、本発明の構成は「被酸化性金属、特定粒径の保水剤、水分、酸化助剤となる電解質を含む発熱体」となる。つまり、特定粒径の活性炭は保水剤と粒状硬化抑制剤を兼ねて発熱体に含まれることになる。また、保水剤として用いられる活性炭と、硬化抑制剤として用いられる活性炭をブレンドして用いることもできる。上記のことは発熱中間体においても同様である。
また、前記粒状硬化抑制剤が活性炭の場合には、前記鉄粉と前記粒状硬化抑制剤との質量含有比は、前記鉄粉/前記粒状硬化抑制剤=3〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。該質量含有比が斯かる範囲内であると、鉄粉の酸化に伴う凝結による発熱体の硬化をさらに効果的に抑制することができるとともに発熱性能を大きく変えることなく発熱体の厚みを薄くすることができるので好ましい。また、発熱体が後述の発熱シートの場合にも上記理由に加え、鉄粉のパルプ繊維への定着性が良好となることから、シートの高品質化、生産安定化、機械強度の維持、低コスト化に繋がるので好ましい。 また、同様の理由から前記粒状硬化抑制剤がタルク等の場合には、前記鉄粉と前記粒状硬化抑制剤との質量含有比は、前記鉄粉/前記粒状硬化抑制剤=1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。
発熱体中の前記粒状硬化抑制剤の含有量は、活性炭の場合には、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、タルクの場合には、3〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
粒状硬化抑制剤は非水溶性であることが以下の理由で好ましい。例えば後述の発熱シートの場合には、原料組成物に配合して抄紙できる点で好ましい。また、後述の粉体型発熱体の場合には、含有する水分に硬化抑制剤が溶け出したりせず、粒子として存在することができ、鉄粉の酸化反応に伴い、隣接する鉄粉・保水剤等の発熱組成物に該鉄粉が凝結・固化することを物理的に抑制できる点で好ましい。
ここで非水溶性の程度としては、水100g(質量)に対して、前記硬化抑制剤を10g混ぜた場合に、溶解する量が0〜1gが好ましく、0〜0.1gがさらに好ましい。
粒状硬化抑制剤自身のpH値は強アルカリ性領域以外の値であることが、被酸化性金属の酸化を阻害・遅延させ、その結果、発熱体の発熱性能を低下させることがないので好ましい。具体的にはpH値は3〜10が好ましく、4〜9がさらに好ましい。かかる範囲のpH値であれば、発熱体の発熱が阻害され、所望の温度(例えば40℃以上)にならないといった問題が無い。また、発熱体を酸素非透過性の袋に保存した場合、保存中の水素発生及びそれに伴った袋の破裂も抑制することができる。
ここで、粒状硬化抑制剤自身のpH値とは、水100g(質量)に対して、前記粒状硬化抑制剤を10g混ぜて得られた混合液のpHを指す。
発熱体が後述の発熱シートの場合には、該発熱体中の前記繊維状物の含有量は、1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましい。該繊維状物の含有量が斯かる範囲であると、鉄粉、保水剤、粒状硬化抑制剤等の成分の脱落を十分に防止できるほか、発熱体をシートとした場合に十分なものにすることができる。また、発熱体の発熱量に対する熱容量を抑えることができ、温度上昇を十分なものとすることができるほか、得られる発熱体中の該成分の比率をある程度以上に確保できるため、所望の発熱性能を十分に得ることができるので好ましい。
前記繊維状物は、そのカナディアン・スタンダード・フリーネス(Canadian Standard Freeness:CSF)が、600ml以下であることが好ましく、450ml以下であることがより好ましい。600ml以下であると繊維状物と前記鉄粉、保水剤、粒状硬化抑制剤等の成分との定着性も十分に良好であり、所定の配合量を保持でき発熱性能を十分に発揮させることができる。また、均一な厚みのシートが得られ、繊維状物と該成分との定着が良好となり、該成分の脱落がし難く、該成分と該繊維状物との絡み合いや水素結合に由来する結合強度を持たせることができる。また、曲げ強度や引張強度等の機械的強度も十分なものとすることができ、加工性も良好である。
前記繊維状物のCSFは、低い程好ましいが、通常のパルプ繊維のみの抄紙では、繊維状物以外の成分比率が低い場合、CSFが100ml以上であると濾水性が十分に良好であり、脱水も十分に行うことができ均一な厚みの発熱シートが得られ、乾燥時にブリスター破れが生じず成形性も良好となる。本発明においては、繊維状物以外の成分比率が高いことから、濾水性も良好で均一な厚みの発熱シートを得ることができる。また、CSFが低い程、フィブリルが多くなるため、繊維状物と該繊維状物以外の成分との定着性が良好となり、高いシート強度を得ることができる。
繊維状物のCSFの調整は、叩解処理などによって行うことができる。CSFの低い繊維と高い繊維とを混ぜ合わせ、CSFの調整を行っても良い。
なお、CSFはJIS P8121(パルプのろ水度試験方法)に示す方法で測定することにより得ることができ、0以上の値を示す繊維状物の水切れの程度を表す指標である。
前記繊維状物は、そのゼータ電位がマイナス(負)であることが好ましい。ここで、ゼータ電位とは、荷電粒子界面と溶液間のずり面におけるみかけの電位をいい、流動電位法、電気泳動法等により測定される。そのゼータ電位がマイナスであると、繊維状物への前記鉄粉、保水剤、粒状硬化抑制剤等の成分の定着が良好であり、所定の配合量を保持できて発熱性能が優れたものとなるほか、排水に多量の該成分が混じることを抑えることができ、生産性、環境保全にも悪影響を及ぼすことがない。
前記繊維状物には、平均繊維長が0.1〜50mmのものを用いることが好ましく、0.2〜20mmのものを用いることがより好ましい。該平均繊維長を斯かる範囲とすることで、得られる発熱体の曲げ強度や引張強度等の機械的強度が十分に確保できるほか、繊維状物の層が密になりすぎず発熱体の通気性が良好となり、酸素供給が良好で発熱性に優れるものとなる。また、発熱体中に該繊維状物を均一に分散できるため、一様な機械的強度が得られるほか、均一な肉厚の発熱体が得られる。また、繊維間隔が広くなりすぎず、繊維による前記鉄粉、保水剤又は粒状硬化抑制剤等の成分の保持能力が維持されて該成分が脱落し難くなる。
前記繊維状物としては、例えば、天然繊維状物としては植物繊維(コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等)、動物繊維(羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等)、鉱物繊維(セピオライト、ワラストナイト、ロックウール等)が挙げられ、合成繊維状物としては、例えば、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等)、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維、又はこれらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を用いることができる。そしてこれらの中でも、繊維どうしの接着強度が高く、繊維どうしの融着による三次元の網目構造を作り易すく、パルプ繊維の発火点よりも融点が低い点からポリオレフィン、変性ポリエステルが好ましく用いられる。また、枝分かれを有するポリオレフィン等の合成繊維も鉄粉や保水剤との定着性が良好なことから好ましく用いられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの繊維は、その回収再利用品を用いることもできる。そして、これらの中でも、鉄粉や保水剤の定着性、得られる発熱体の柔軟性、空隙の存在からくる酸素透過性、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットンが好ましく用いられる。
発熱体の含水率(質量含水率、以下同じ。)は、5〜80%であることが好ましく、10〜60%であることがより好ましい。該含水率が斯かる範囲であると、酸化反応を持続するために必要な水分が十分に確保でき、酸化反応が途中で終了してしまうことを抑えることができるほか、発熱体に均一に水分を供給することができるため、均一な発熱性能を得ることができる。該含水率が80%以下であると得られる発熱体の発熱量に対する熱容量を低く抑えることができ、発熱温度を十分に上昇させることができるほか、発熱体の通気性が十分に得られるため、発熱性能に優れるとともに、保形性や機械的強度も十分に得られる。
発熱体の原料組成物は被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及び粒状硬化抑制剤に限定されず他の組成物が添加されてもよい。例えば、発熱体が後述の発熱シートの場合には、該発熱体には、後述するように凝集剤が添加されていることが好ましい。
また、発熱体には、必要に応じ、サイズ剤、着色剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の抄紙の際に通常用いられる添加物を特に制限無く添加することができる。該添加物の添加量は、添加する添加物に応じて適宜設定することができる。
次に、発熱体の製造方法を、その好ましい実施形態として、前記繊維状物を含めたシート状の形態の発熱体(以下、発熱シートともいう。)の製造方法に基づいて説明する。
先ず、前記鉄粉、前記保水剤、前記粒状硬化抑制剤、前記繊維状物及び水を含む原料組成物(スラリー)を調製し、該原料組成物から発熱中間シート(発熱中間体)を抄紙により成形することが好ましい。発熱シートは、後述の様に発熱中間シートに酸化助剤となる電解質を含有させることによって得られる。
発熱中間体の原料組成物は被酸化性金属、保水剤及び粒状硬化抑制剤を含み、酸化助剤となる電解質を含まないことに限定されず他の組成物を添加されても良い。例えば、前記原料組成物には、前記凝集剤を添加することが好ましい。
該凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄等の金属塩からなる無機凝集剤;ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル系、カルボキシメチルセルロースナトリウム系、キトサン系、デンプン系、ポリアミドエピクロヒドリン系等の高分子凝集剤;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド系若しくはエチレンイミン系のアルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物等の有機凝結剤;モンモリロナイト、ベントナイト等の粘土鉱物;コロイダルシリカ等の二酸化珪素若しくはその水和物;タルク等の含水ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。そして、これら凝集剤の中でもシートの表面性、地合い形成、成形性の向上、鉄粉、保水剤、粒状硬化抑制剤等の材の定着率、紙力向上の点からアニオン性のコロイダルシリカやベントナイト等とカチオン性のデンプンやポリアクリルアミド等の併用やアニオン性のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩やポリアクリルアミドとカチオン性のポリアミドエピクロルヒドリン系やポリアクリルアミド等のカチオン性とアニオン性の薬剤の併用が特に好ましい。上述の組み合わせ以外でも、これらの凝集剤は単独で又は二種以上を併用することもできる。
なお、上記のベントナイトは粒径が10μm以下の場合には後述の実施例に示したように、粒状硬化抑制剤としても使用することができる。
前記凝集剤の添加量は、原料組成物の固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。0.01質量%以上であると、凝集効果に優れ、抄紙時の鉄粉、保水剤、粒状硬化抑制剤等の成分の脱落も抑えることができ原料組成物が均一となり、肉厚及び組成の均一な発熱体を得ることができる点で優れている。該添加量が5質量%以下であると、乾燥時の乾燥ロールに貼り付き、破れ、焼け、焦げ等の発生を抑えることができ、生産性に優れ、原料組成物の電位バランスを良好に保ち、抄紙時の白水への該成分の脱落量も抑えることができる点で優れている。また、発熱体の酸化反応が進行し、発熱特性や強度等の保存安定性に優れる。
前記原料組成物の濃度は、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。該濃度が斯かる範囲であると、大量の水を必要とせず、発熱体の成形に長時間を要せず、均一な厚みの発熱シートを成形することができる点で好ましい。また、原料組成物の分散状態も良好であり、得られる発熱シートの表面性にも優れ、均一な厚みの発熱シートが得られる点で好ましい。
次に、前記原料組成物を抄紙して前記発熱中間シートを成形する。
前記発熱中間シートの抄紙方法には、例えば、連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いた抄紙方法、バッチ方式の抄紙方法である手漉法等が挙げられる。更に、前記原料組成物と、該原料組成物と異なる組成の組成物とを用いた複層抄き合わせによって発熱中間シートを成形することもできる。また、前記原料組成物を抄紙して得られた発熱中間シートどうしを複層に貼り合わせたり、該発熱中間シートに該原料組成物と異なる組成を有する組成物から得られたシート状物を貼り合わせることによって発熱中間シートを成形することもできる。
前記発熱中間シートは、抄紙後における形態を保つ(保形性)点や、機械的強度を維持する点から、含水率(質量含水率、以下同じ。)が70%以下となるまで脱水させることが好ましく、60%以下となるまで脱水させることがより好ましい。抄紙後の発熱中間シートの脱水方法は、例えば、吸引による脱水のほか、加圧空気を吹き付けて脱水する方法、加圧ロールや加圧板で加圧して脱水する方法等が挙げられる。
前記鉄粉(通常雰囲気下において加熱反応性を有する)を含有する発熱中間シートを、積極的に乾燥させて水分を分離することにより、製造工程中における鉄粉の酸化抑制、長期の保存安定性に優れた発熱中間シートを得ることが可能となる。さらに、乾燥後の前記繊維状物への鉄粉の担持力を高めてその脱落を抑える点に加え、熱溶融成分、熱架橋成分の添加による機械的強度の向上が期待できる点から、前記発熱中間シートの抄紙後で前記電解質の電解液を含有させる前に該発熱中間シートを乾燥させることが好ましい。
前記発熱中間シートは、加熱乾燥によって乾燥することが好ましい。この場合、加熱乾燥温度は、60〜300℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。発熱中間シートの加熱乾燥温度を斯かる温度範囲とすることで、乾燥時間を短くできるため、水分の乾燥に伴う鉄粉の酸化反応を抑えることができ、得られる発熱シートの発熱性の低下を防ぐことができる。また同時に、鉄粉が酸化する事によるシートの変色を防止することができる。さらに保水剤や粒状硬化抑制剤の等の性能劣化を抑えることができるため、発熱シートの発熱効果を維持することができるほか、発熱中間シート内部で急激に水分が気化して発熱シートの構造が破壊されたりすることを防ぐことができる。
乾燥後における発熱中間シートの含水率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。含水率が20%以下であると長期保存安定性に優れ、例えば巻きロール状態で一時保存しておく場合等においても該ロールの厚み方向で水分の移動が起こり難く、発熱性能、機械的強度に変化がなく、優れている。該発熱中間シートの裂断長は、100〜4000mであることが好ましく、200〜3000mであることがより好ましい。該裂断長が斯かる範囲内であると使用時ならびに生産・操業時での取り扱いが容易となるとともに、適度な通気性を有すために発熱体中の鉄粉の酸化を有意に促進することができる。ここで、裂断長は、発熱中間シートから長さ150mm×幅15mmの試験片を切り出した後、JIS P8113に準じ、該試験片をチャック間隔100mmで引張試験機に装着し、引張速度20mm/minで引張試験を行い、下記計算式により算出され、自重で裂断する長さを表している値である。
裂断長〔m〕=(1/9.8)×(引張強さ〔N/m〕)×106/(試験片坪量〔g/m2〕)
酸化助剤となる電解質を含まない発熱中間シートは、その1枚の坪量が10〜1000g/m2であることが好ましく、50〜600g/m2であることがより好ましい。斯かる範囲の坪量であると、軽くて使用感に優れる上に、生産性や操業性等の点、特に安定したシートを形成することができる点で好ましい。
前記発熱中間シートは、その一枚の厚みは、0.08〜1.2mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがより好ましい。該厚みが斯かる範囲であると、酸化助剤となる電解質を含ませて発熱シートとした場合に発熱性能、機械的強度、鉄粉、保水剤、粒状硬化抑制剤等の成分の定着が良好となり、安定した均一の肉厚、組成分布が得られるほか、ピンホールの発生等によるシートの破壊等が発生し難くなり、生産性及び加工性が良好となる。また、シートの折曲強度を確保でき、脆性破壊を簡単に起こし難くなるほか、柔軟性も良好であり、特に肘、膝、顔等の身体部位の屈伸する部位に装着した場合、装着性が良く、違和感なく使用できる。また、生産性においても、紙層形成時間や乾燥時間の遅延が起こり難く、操業性も良好となる他、発熱性能が良好で、曲げ等の加工性にも優れる。
前記発熱中間シートは、複数枚重ねて使用することができる。複数枚重ねることにより、必要とされる発熱性能を容易に実現できるようになると同時に、発熱体厚さが厚くても、フレキシブル性が高く、使用感の優れた発熱体を得ることができる。
前記発熱中間シートの乾燥方法は、当該発熱中間シートの厚さ、乾燥前の発熱中間シートの処理方法、乾燥前の含水率、乾燥後の含水率等に応じて適宜選択することができる。
該乾燥方法としては、例えば、加熱構造体(発熱体)との接触、加熱空気や蒸気(過熱蒸気)の吹き付け、真空乾燥、電磁波加熱、通電加熱等の乾燥方法が挙げられる。また、前述の脱水方法と組み合わせて同時に実施することもできる。
前記発熱中間シートの成形(脱水、乾燥)は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、上述のように発熱中間シートに酸化助剤となる電解質を含有していないので、必要に応じて通常の空気雰囲気下で成形を行うこともできる。このため、製造設備を簡略化することができる。得られた発熱中間シートは、薄くて破れにくいので、必要に応じ、ロール状に巻き取ることができる。
乾燥した発熱中間シートには、必要に応じて、クレープ処理、スリット加工、トリミングを施したり、ニードルパンチ加工を行うことにより孔あけを行うこともできる。また、前記原料組成物に熱可塑性樹脂成分や熱水解成分を含有させることにより、ヒートシール加工を施して貼り合わせ等を行い易くすることもできる。
次に、前記発熱中間シートに、前記電解質を含有させる。この電解質を含有させる工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、電解質をその電解液の含浸により添加する場合には、添加直後の酸化反応がゆるやかなため、通常の空気雰囲気下で該電解質を含有させることもできる。
前記発熱中間シートへ前記電解質を含有させる方法は、抄紙後における該発熱中間シートの処理方法、含水率、形態、複層化したシートの層構成等に応じて適宜設定することができる。該電解質を含有させる方法としては、例えば、前記発熱中間シートに、前記電解質の所定濃度の電解液を含浸させる方法、前記電解質の所定粒径のものを固体のまま添加して発熱中間シートに含有させる方法等が挙げられる。発熱中間シートに電解質を均一に含有させることができる点や含水率の調整が同時に行える点からは、所定濃度の電解液を含浸させる方法が好ましい。
上述のように前記電解質をその電解液で前記発熱中間シートに含浸させる場合、その含浸方法は、発熱中間シートの厚み等の形態、含水率に応じて適宜選択することができる。該含浸方法には、所定濃度の該電解液を該発熱中間シートにスプレー塗工する方法、該電解液をシリンジ等で該発熱中間シートの一部分に注入し、前記繊維状物の毛管現象を利用して該発熱中間シート全体に浸透させる方法、刷毛等で塗工する方法、該電解液に浸漬する方法、グラビアコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等が挙げられ、これらの中でも、電解質を均一に分布でき、簡便で、設備コストも比較的少なくて済む点からスプレー塗工する方法が好ましい。また、複雑な形状、層構成の商品においては生産性が向上する点や、最終仕上げを別工程とできることにより生産のフレキシブル性が良好となる点、設備が簡便となる点からは、所定濃度の電解液をシリンジ等で注入する方法が好ましい。この電解液を注入する方法は、前記複層化したシートを所定の収容体に収容した後に行うこともできる。
上述のように発熱中間シートに電解質を含有させた後、必要に応じて含水率を調整し、安定化させて発熱体(発熱シート)とする。そして必要に応じ、透湿性のシートと非透湿性のシートとの間に挟み、トリミング等の処理を施し、所定の大きさに加工することができる。また、必要に応じて、透湿性のシートの間に発熱体を挟んで所定の加工をすることもできる。得られた発熱体は、未使用状態では、例えば、酸素不透過性の包装材で包装されて提供される。
発熱シートは、その1枚の厚みが0.08〜2.0mmであることが好ましく、0.15〜1.8mmであることがより好ましい。厚みが0.08mm以上であると、発熱性能、機械強度も十分である。厚みが2mm以下であると、シートの柔軟性も十分であり、使用感にも優れる。ここで、発熱シートの厚みは、JIS P8118に準じ、成形シートの5点以上を測定し、その平均値を厚みとして算出することができる。
発熱シートは、その1枚の坪量が10〜2000g/m2であることが好ましく、50〜1500g/m2であることがより好ましい。該坪量が10g/m2以上であると、安定した発熱シートの形成を十分に行なうことができる。該坪量が2000g/m2以下であると、使用感の点で好ましい。
また、発熱シートは、その2枚以上を積層して使用することができる。積層された発熱シート全体の厚みは0.2〜5mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ましい。厚みが0.2mm以上であると、発熱性能、機械強度も十分である。厚みが5mm以下であると、積層された発熱シート全体の柔軟性も十分であり、使用感にも優れる。
積層された発熱シートは、その坪量が100〜3000g/m2であることが好ましく、200〜2500g/m2であることがより好ましい。該坪量が100〜3000g/m2の範囲であると、発熱性能に優れ、使用初期の使用感にも優れる。
また、積層された発熱シートの密度は0.6〜3g/cm3であることが好ましく、0.7〜2g/cm3であることがより好ましい。該密度が0.6g/cm3以上であると被酸化性金属とそれ以外の成分とが十分に密着し、良好な発熱性能ならびに十分な強度を発熱シートに付与させることができる。また、構成成分の脱落も殆ど無く、生産性及び加工性の点で優れている。該密度が3g/cm3以下であると、柔軟性の点で好ましく、使用感に優れるほか、酸化反応が進行する際の硬化も和らげることができる。
本実施形態の発熱体は、前述のように、粒状硬化抑制剤を含んでいるので、酸化が進行した場合にも柔軟性が維持され、発熱性能も良好である。得られた発熱体の硬化抑制効果は、後述の曲げ強度測定で得られる曲げ強度倍率で評価することができる。曲げ強度倍率は1〜6が好ましく、2〜6がさらに好ましい。曲げ強度倍率が、かかる範囲内であると、発熱体の発熱反応終了時まで柔軟性が維持されて、身体などの加熱対象物への装着性が優れる。特に、発熱体を身体に装着して使用するときには、使用者に違和感を生じさせることがなく、熱を効率良く身体に伝えることができる発熱体となる。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。また、発熱シートだけではなく従来より広く市販されている粉体型発熱体(透湿性のあるフィルムなどで作られた袋に鉄粉、保水剤等の粉体発熱体を収納したもの)を利用した使い捨てカイロや温熱医療器具等にも使用することができる。粉体型発熱体の場合でも酸化助剤となる電解質を含まない発熱中間体を製造した後に電解質を含有させて発熱体とすることもできる。
なお、粉体型発熱体の場合でも、積層された発熱シートと同様、その坪量が100〜3000g/m2であることが好ましく、200〜2500g/m2であることがより好ましい。該坪量が100〜3000g/m2の範囲であると、発熱性能に優れ、使用初期の使用感にも優れる。
また、粉体型発熱体の密度も、積層された発熱シートと同様、0.6〜3g/cm3であることが好ましく、0.7〜2g/cm3であることがより好ましい。該密度が0.6〜3g/cm3の範囲であると、柔軟性に優れ、酸化反応が進行する際の硬化も和らげることができる。
以下、本発明の発熱体を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1〜6及び比較例1〜4は発熱シート、実施例7〜9及び比較例5〜6は粉体型発熱体の例である。
下記実施例1〜6及び比較例1〜4のようにして、表1に示す固形分含有組成の発熱中
間シートを作製した。さらに、得られた発熱中間シートから下記のようにして発熱シートを作製した。
また、市販の粉体型発熱体をそのまま使用したり、新たに粉体型発熱体を製作して、表3に示す実施例7〜9及び比較例5〜6の発熱体を製作した。そして、得られた発熱体について、酸化反応(発熱反応)前の曲げ強度と酸化反応(発熱反応)終了時の曲げ強度を下記のように測定してその最大曲げ荷重で柔軟性を評価した。その結果を表2及び表4に示した。また、得られた発熱体について、下記のようにして発熱特性を調べた結果を図1〜図4に示す。
〔実施例1〕
<原料組成物配合>
鉄粉:粒径45μm、同和鉱業社製、商品名「RKH」25.2g
繊維状物:パルプ繊維(フレッチャー・チャレンジ・カナダ社製、商品名「Mackenzie」)、2.4g
保水剤:活性炭(粒径45μm、(日本エンバイロケミカルズ社製、商品名「カルボラフィン」))、2.4g
粒状硬化抑制剤:タルク(粒径0.9μm、日本タルク社製、商品名「SG2000」)1.5g
上記原料組成物を300rpmで1分間の撹拌条件で撹拌した。そして、JIS P8209に準じて熊谷理機工業(株)製、標準角型シートマシンならびに80mesh抄紙ネットを用いて抄紙を行った。そして、熊谷理機工業(株)製、KRK回転型乾燥機を用いて、含水率が1質量%以下となるように乾燥を行って発熱中間シートを得た。得られたシートの坪量はおおよそ450g/m2前後であった。
<発熱シートの作製>
得られた発熱中間シートを100mm×80mmに切り取り、2枚重ねて発熱中間シートの質量に対し電解液量が37.5%となるように、シリンジを用いて前記電解液を注入し、毛管現象を利用してシート全体に浸透させて発熱シートを得た。
そして、上記の発熱シートの上下に、下記透湿性のシートと非透湿性のシートを積層し、発熱シートの周りをヒートシールによって接合し、試験体を作製した。
透湿性のシート:ポリエチレン製の微多孔シート、透湿度1000g/(m2・24h)
非透湿性のシート:ポリエチレンシート
<発熱反応評価>
得られた試験体を、JIS S4100に準拠した簡易型温度測定装置を用いて発熱による温度を測定した。簡易型温度測定装置は、厚さ1mmのポリプロピレンシートを6枚、日本薬局方で規定するタイプ1のガーゼを2枚重ね、表面を35℃に保った測定台を水平に設置したものである。該測定装置の上に上記試験体を透湿シートを下面として静置し、その上から「綿100%、テックス番手5.905双糸のネル」を8枚重ねて発熱反応評価を行った。
その結果、40℃以上の発熱が5時間以上継続し、発熱反応終了時の発熱シートは全面において酸化が進行し赤茶色に変色していた。ここで、発熱シートの温度が低下し始めて、再び40℃になった時点で発熱反応終了とみなした。
<曲げ強度の測定>
発熱前及び発熱反応終了時の試験体について、スパン間距離50mmで試験体両端を支え、試験体中央部を幅50mm、先端半径5mmの押圧部材にて、クロスヘッドスピード20mm/minで負荷を与えその最大荷重を得た。また、曲げ強度倍率(=発熱反応終了時曲げ強度/発熱反応前曲げ強度)も得た。
〔実施例2〕
実施例1で用いたタルク添加量を表1に示すように30質量部にした以外は、実施例1
と同様にして発熱シートを得た。
〔実施例3及び4〕
実施例1で用いた保水剤及び粒状硬化抑制剤を下記活性炭に変更し、表1に示すように配合を変更し、さらに電解液の添加量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして発熱シートを得た。
保水剤及び粒状硬化抑制剤:活性炭(粒径9μm、(二村化学社製、商品名「太閤SA1000」
))、実施例3は3.3g、実施例4は2.4g
〔実施例5〕
実施例1で用いたタルクをベントナイトに変更し、表1に示すように配合を変更した以外は、実施例1と同様にして発熱シートを得た。
粒状硬化抑制剤:ベントナイト(粒径2μm以下、(株式会社ホージュン製、商品名「ベンゲルw-200u」))
〔実施例6〕
実施例1で用いたタルクを酸化チタンに変更し、表1に示すように配合を変更した以外は、実施例1と同様にして発熱シートを得た。
粒状硬化抑制剤:酸化チタン(粒径2μm以下、(関東化学株式会社、商品名「酸化チタン(IV) アナターゼ型」))
〔比較例1〕
タルクを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして発熱シートを作製し、発熱反応終了時の柔軟性を調べた。
〔比較例2〕
タルクの粒径を13μmとした以外は、実施例1と同様にして発熱シートを作製し、発熱反応終了時の柔軟性を調べた。
〔比較例3〜4〕
保水剤及びパルプの配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして発
熱シートを作製した。
〔実施例7〕
<原料組成物配合>
鉄粉:粒径45μm、同和鉱業社製、商品名「RKH」 8g
保水剤:バーミキュライト(最大粒径500μm未満(カタログ値)、チヨダセラ株式会社、品種「0号」 1g)
粒状硬化抑制剤:活性炭(粒径9μm、二村化学株式会社、商品名「太閤SA1000」 1g
5%NaCl溶液:5g
<発熱体の製作>
上記原料を窒素下にて十分に混合し、実施例1で用いた透湿シートと非透湿シートを積層して作られた100mm×80mmの袋内に厚みが均一になるように充填した。
上記で得られた粉体型発熱体を実施例1と同様に評価を行った。
なお、前述の曲げ強度を測定する際、粉体型発熱体の場合には、押圧部材にて負荷を与えている間に、粉体型発熱体が割れてしまい、一旦荷重が下がり、再び荷重が上昇する現象が見られる場合がある。その場合には、最大荷重の代わりに、粉体型発熱体が割れた時の荷重を曲げ強度とした。
〔実施例8〕
<原料組成物配合>
鉄粉:粒径45μm、同和鉱業社製、商品名「RKH」 8g
保水剤A:活性炭(粒径45μm、日本エンバイロケミカルズ社製、商品名「カルボラフィン」 1g
保水剤B:バーミキュライト(粒径500μm未満、チヨダセラ株式会社、品種「0号」 1g
粒状硬化抑制剤:タルク(粒径0.9μm、日本タルク社製、商品名「SG2000」1g
5%NaCl溶液:5g
上記の原料を用いて実施例7と同様に発熱体を製作し、評価を行った
〔実施例9〕
発熱体として市販の粉体型発熱体(久光製薬株式会社製、商品名「直貼」)の発熱成分
23g中の固形分18gに対し、実施例1で用いたタルクを3.6g混合した粉を用い、
上記製品の発熱体を収容している袋に入れた以外は、実施例1と同様にして発熱体を作製
した。上記発熱体を収容している袋の透湿面の透湿度は200〜300g/(m2・24h
)程度である。また、透湿面を上にして発熱させた。これは通常の粉体型発熱体と同じ使
い方である。
〔比較例5〕
粒状硬化抑制剤を添加しなかった以外は、実施例8と同様にして発熱体を作成し、評価を行った。
〔比較例6〕
発熱体として市販の粉体型発熱体(久光製薬株式会社製、商品名「直貼」)の発熱成分
23gを用いた以外は、実施例5と同様にして発熱体を作製した。
表2及び表4に示したように、実施例と比較例の発熱体の全体厚みがほぼ同じにも関わらず、実施例の発熱体は、比較例のものに比べて発熱反応終了時においても柔軟性が維持されていることが確認できた。また、曲げ強度倍率が6以下であり、比較例と比べて柔軟性を維持していることも確認できた。また、図1〜図4に示したように、実施例の発熱体は、比較例のものと比べて同等の発熱性能が得られることが確認できた。従って換言すれば、本発明は発熱性能を低下させることなく、発熱反応終了時においても柔軟性を維持することができる優れた発熱体であると言う事ができる。
本発明の発熱体は、薄く、使用前後において柔軟性を有し、短時間で高い発熱が得られ
る特性を利用することによって、例えば、おしぼり、蒸気発生体、パック等の顔、身体の
洗浄、除菌、保湿、メイク落とし等のスキンケア用途、洗浄・除菌、ワックス徐放、芳香
、消臭等の諸機能剤と組み合わせ、フローリング、畳み等の建物の内外装品及びインテリ
ア用品や、レンジ周り、換気扇等の調理器具等の手入れといったいわゆるハウスケア用途
、車等の洗浄、ワックスかけ等のカーケア用途にも適用することができる。また本発明の
発熱体は、蒸気を発生させたい方向に透湿面を配置することにより蒸気発生体としても用
いることができる。このように蒸気を利用することにより、温熱効果ならびに洗浄効果の
向上が可能となる。
本発明の実施例1と比較例1の発熱シートの発熱特性を示す図ある。 本発明の実施例3と比較例3の発熱シートの発熱特性を示す図ある。 本発明の実施例5、実施例6及び比較例1の発熱シートの発熱特性を示す図ある。 本発明の実施例9と比較例6の粉体型発熱体の発熱特性を示す図ある。

Claims (11)

  1. 被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及び粒状硬化抑制剤を含む発熱体であって、前記粒状硬化抑制剤が前記被酸化性金属の粒径の25%以下の粒径を有する微小粉体である発熱体。
  2. 前記被酸化性金属が鉄粉である請求項1に記載の発熱体。
  3. 前記被酸化性金属と前記粒状硬化抑制剤との質量含有比が前記被酸化性金属/前記粒状硬化抑制剤=1〜30である請求項1に記載の発熱体。
  4. 前記粒状硬化抑制剤の粒径が10μm以下である請求項1〜3の何れかに記載の発熱体。
  5. 前記粒状硬化抑制剤が活性炭である請求項1〜4の何れかに記載の発熱体。
  6. 被酸化性金属、保水剤及び粒状硬化抑制剤を含み、酸化助剤となる電解質を含まない発熱中間体であって、前記粒状硬化抑制剤が前記被酸化性金属の粒径の25%以下の粒径を有する微小粉体である発熱中間体。
  7. 前記被酸化性金属が鉄粉である請求項6に記載の発熱中間体。
  8. 前記被酸化性金属と前記粒状硬化抑制剤との質量含有比が前記被酸化性金属/前記粒状硬化抑制剤=1〜30である請求項6に記載の発熱中間体。
  9. 前記粒状硬化抑制剤の粒径が10μm以下である請求項6〜8の何れかに記載の発熱中間体。
  10. 前記粒状硬化抑制剤が活性炭である請求項6〜9の何れかに記載の発熱中間体。
  11. 被酸化性金属、保水剤、水分、酸化助剤となる電解質及び硬化抑制剤を含み、発熱反応前の曲げ強度と発熱反応終了時の曲げ強度の比である、曲げ強度倍率が6以下である発熱体。
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