以下本発明を、その好ましい実施形態として、シート状に成形された成形体及び発熱成形体に基づいて説明する。
本実施形態の成形体は、少なくとも被酸化性金属、保水剤、繊維状物及びバインダーからなる。
本実施形態の成形体は、前記バインダーの固形成分の含有量を0.001〜5質量%、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含んでいる。前記バインダーの前記含有量が0.001質量%以上であると、製造工程において含有成分の脱落量の増大を抑えることができ、製造ラインの汚染や製品の損失を防ぐことができる。また、含有成分が人体に触れず、不快に感じることがないため、カイロなどに供する場合にも特に厳重な脱落防止策が不要となり、低コストで製品を提供できる。また、前記バインダーの前記含有量が5質量%以下であると、発熱反応に必要な酸素の供給が前記バインダーにより阻害されることなく行われるため、発熱反応速度の遅延や未反応の被酸化性金属の発生を抑えることができる。
前記バインダーとしては、例えば、コーンスターチ、酸化澱粉、アセチル化澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、酵素、グァーガム、特殊変性グァーガム、カルボキシメチル化グァーガム、カチオン化グァーガム、両性グァーガム、リン酸化グァーガム、酸化グァーガム、ヒドロキシエチルエーテル化グァーガム、アセチル化タピオカ澱粉、α化カチオン化タピオカ澱粉、α化タピオカ澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシエチル化澱粉、酵素分解型コーンスターチ、α澱粉、特殊変性澱粉、特殊変性α澱粉、カチオン化α澱粉、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酵素変性澱粉、カチオンスターチエポキサイド、カチオン化タピオカ澱粉、アセチル化馬鈴薯澱粉、酸化タピオカ澱粉、エーテル化澱粉、グラフト化澱粉、デキストリン、エステル澱粉、乳タンパク質、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、両性化タピオカスターチ、特殊変性タピオカスターチ、エステル化澱粉、PVA系珪素含有ポリマー、変性PVA、ポリアクリルアマイド系、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、PAM共重合物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリアミンエピクロ系、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、変性ポリアクリルアミド樹脂、アクリルアミド・アクリル酸共重合物、両性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、エポキシ変性ポリアミド、ノニオン性ポリアクリルアミド、特殊変性アクリル樹脂、特殊ポリエーテル・グリコール系誘導体、アクリル共重合樹脂エマルジョン、コロイダルシリカ複合体粒子エマルジョン、オレフィン系樹脂エマルジョン、カルボキシル変性スチレン・ブタジエン共重合体、カルボキシル変性アクリルエマルジョン、酢酸ビニルコポリマー、スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス、アクリル・酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル・スチレン共重合樹脂、カルボキシ変性スチレン・ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、変性アクリル酸エステル、n-ブチルアクリレート-アクリロニトリル-スチレン共重合体等が挙げられ、天然高分子系、PVA系、水溶性合成高分子系、ラテックス系バインダー等、幅広く用いることができる。これらのバインダーは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。入手性、コスト、取り扱いやすさの面からPVAが特に好ましい。
本実施形態の成形体に含まれる前記被酸化性金属には、従来からこの種の発熱成形体に通常用いられている被酸化性金属を特に制限無く用いることができる。該被酸化性金属の形態は、取り扱い性、成形性等の観点から粉体、繊維状の形態を有するものを用いることが好ましい。
粉体の形態を有する前記被酸化性金属としては、例えば、鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、マンガン粉、マグネシウム粉、カルシウム粉等が挙げられ、これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。該被酸化性金属には、後述の繊維状物への定着性、反応のコントロールが良好なことから粒径(以下、粒径というときには、粉体の形態における最大長さ、又は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される平均粒径をいう。)が0.1〜300μmのものを用いることが好ましく、粒径が0.1〜150μmものを50質量%以上含有するものを用いることがより好ましい。
また、繊維状の形態を有する前記被酸化性金属としては、スチール繊維、アルミ繊維、マグネシウム繊維等が挙げられる。これらのなかでも取り扱い性、安全性、製造コストの点からスチール繊維、アルミ繊維等が好ましく用いられる。繊維状の形態を有する被酸化性金属は、成形性や得られる成形体の機械的強度、表面の平滑性、発熱性能の点から繊維長0.1〜50mm、太さ1〜1000μmのものを用いることが好ましい。
本実施形態の成形体における前記被酸化性金属の含有量は、10〜95質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。該配合量が10質量%以上であると、得られる発熱成形体の発熱温度が、人が指先等で触って熱く感じる程度以上に上昇する。また、成形体を構成する後述の繊維状物、バインダー成分が多くなりすぎず、硬くならずに使用感に優れる。該配合量が95質量%以下であると、発熱成形体の表面に表面における被酸化性金属等の酸化皮膜の形成が抑えられて通気性が損なわれることがない。その結果成形体の内部まで反応が起こりやすくなって発熱温度が上昇する。また、酸化反応による被酸化性金属の膨張・凝結よって硬くなりすぎず、発熱時間も保たれる。また、保水剤による水分供給も十分である。また、、成形体を構成する後述の繊維状物、バインダー成分が少なくならず、曲げ強度や引張強度等の機械的強度も保たれる。ここで、成形体中の被酸化性金属の配合量は、JIS P8128に準じる灰分試験で求めたり、例えば、鉄の場合は外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
本実施形態の成形体に含まれる前記保水剤には、従来から発熱成形体に通常用いられている保水剤を特に制限無く用いることができる。該保水剤は、水分保持剤として働く他に、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有している。該保水剤としては、例えば、活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ、カンクリナイト、フローライト等が挙げられ、これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。該保水剤には、被酸化性金属との有効な接触状態を形成できる点から粒径が0.1〜500μmの粉体状のものを用いることが好ましく、0.1〜200μmのものを50質量%以上含有するものを用いることがより好ましい。保水剤には、上述のような粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、活性炭繊維等の繊維状の形態のものを用いることもできる。
本実施形態の成形体における前記保水剤の含有量は、0.5〜60質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。該含有量が0.5質量%以上であると、被酸化性金属が酸化反応により人体温度以上に温度上昇する程度に反応を持続させるために必要な水分を発熱成形体中に蓄積できる。また、発熱成形体の通気性も損なわれないため、酸素供給が良好で発熱効率に優れる。該含有量が60重量%以下であると、得られる発熱量に対する発熱成形体の熱容量も大きくならず、人が温かいと体感できる発熱温度上昇が得られる。また、発熱成形体を構成する後述の繊維状物、バインダー成分が少なくならず、曲げ強度や引張強度等の機械的強度も保たれる。
本実施形態の成形体に含まれる前記繊維状物としては、例えば、天然繊維状物としては植物繊維(コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等)、動物繊維(羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等)、鉱物繊維(石綿等)が挙げられ、合成繊維状物としては、例えば、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等)、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維、又はこれらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を用いることができる。そしてこれらの中でも、繊維どうしの接着強度が高く、繊維どうしの融着による三次元の網目構造を作り易すく、パルプ繊維の発火点よりも融点が低い点からポリオレフィン、変性ポリエステルが好ましく用いられる。また、枝分かれを有するポリオレフィン等の合成繊維も被酸化性金属や保水剤との定着性が良好なことから好ましく用いられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの繊維は、その回収再利用品を用いることもできる。そして、これらの中でも、前記被酸化性金属、前記保水剤の定着性、得られる発熱成形体の柔軟性、空隙の存在からくる酸素透過性、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットンが好ましく用いられる。
前記繊維状物は、そのCSF(Canadian Standard Freeness)が、600ml以下であることが好ましく、450ml以下であることがより好ましい。600ml以下であると繊維状物と前記被酸化性金属や保水剤等の成分との定着性が良好であり、所定の配合量を保持できて得られる発熱成形体が発熱性能に優れるものとなる。また、均一な厚みの成形体が得られる等、成形性も良好となる。また、繊維状物と前記成分との定着が良好であるため、該成分の脱落、該成分と該繊維状物との絡み合い、水素結合に由来する結合強度が得られる。このため、曲げ強度や引張強度等の機械的強度が得られ、加工性も良好となる。
前記繊維状物のCSFは、低い程好ましいが、通常のパルプ繊維のみの抄紙では、繊維状物以外の成分比率が低い場合、CSFが100ml未満であると濾水性が非常に悪く、脱水が困難となって均一な厚みの成形体が得られなかったり、乾燥時にブリスター破れが生じたりする等の成形不良となったりする。本発明においては、繊維状物以外の成分比率が高いことから、濾水性も良好で均一な厚みの成形体を得ることができる。また、CSFが低い程、フィブリルが多くなるため、繊維状物と該繊維状物以外の成分との定着性が良好となり、高い強度を得ることができる。
繊維状物のCSFの調整は、叩解処理などによって行うことができる。CSFの低い繊維と高い繊維とを混ぜ合わせ、CSFの調整を行っても良い。
前記繊維状物は、そのゼータ電位がマイナス(負)であることが好ましい。ここで、ゼータ電位とは、荷電粒子界面と溶液間のずり面におけるみかけの電位をいい、流動電位法、電気泳動法等により測定される。そのゼータ電位がマイナスであると、繊維状物への前記酸化性金属や保水剤等の成分の定着が良好となり、所定の配合量を保持できて発熱性能が優れるものとなるほか、排水に多量の該成分が混じることが抑えられ、生産性、環境保全に悪影響を及ぼすことがない。
前記繊維状物には、平均繊維長が0.1〜50mmのものを用いることが好ましく、0.2〜20mmのものを用いることがより好ましい。該平均繊維長が斯かる範囲であると、得られる発熱成形体に十分な曲げ強度や引っ張り強度などの機械的強度が得られる。また、繊維層が密に形成され過ぎず、成形体の通気性が損なわれないため、酸素供給が良好となり、得られる発熱成形体が発熱性に優れるものとなる。また、成形体中に該繊維状物が均一に分散し、一様な機械的強度が得られる。また、均一な肉厚の成形体が得られ、繊維間隔が広くなりすぎず、繊維による被酸化性金属や保水剤等の成分の保持能力が得られるため、該成分の脱落が抑えられる。
本実施形態の成形体における前記繊維状物の含有量は、2〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。該含有量が2質量%以上であると、被酸化性金属や保水剤等の成分の脱落防止効果が得られる。また、成形体も柔軟なものとなる。該含有量が50質量%以下であると、発熱成形体の発熱量に対する熱容量が大きくならず、十分な温度上昇が得られる。また、得られる発熱成形体中の前記成分の比率が低くならず、所望の発熱性能が得られる。
本実施形態の成形体には、後述するように凝集剤が添加されていることが好ましい。
また、本実施形態の成形体には、必要に応じ、サイズ剤、着色剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の抄紙の際に通常用いられる添加物を特に制限無く添加することができる。該添加物の添加量は、添加する添加物に応じて適宜設定することができる。
本実施形態の成形体は、前記繊維状物以外の成分を50質量%以上含んでいることが好ましく、70質量%以上含んでいることがより好ましく、80質量%以上含んでいることがさらに好ましい。繊維状物以外の成分が50質量%以上含まれていると、発熱温度が人の指先等で触って熱く感じる程度以上に上昇する。繊維状物以外の成分は多い程好ましいが、成形体の加工性を維持するのに必要な強度を得る点から、その上限は、98質量%程度とすることが好ましい。ここで、繊維状物以外の成分は、以下のように測定される。
本実施形態の成形体中における繊維状物以外の成分は、原料組成物中の固形分重量、組成並びに成形体の乾燥重量より以下の式から求められる。
原料組成物固形分の重量:Ms
原料組成物固形分中繊維状物の含有率:a(%)
成形体の乾燥重量:Mh
成形体中の繊維状物以外の成分の含有率:b
b=(Mh/Ms)×(100−a)
本実施形態の成形体は、その表面の摩擦に伴う含有成分の合計脱落量が該摩擦の回数に比例して線形的に増加し、且つ所定回数を超えて前記表面を摩擦させたときの前記含有成分の前記合計脱落量が該含有成分の全含有量の2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。ここで、該成形体の表面の摩擦に伴う脱落量は365Paの圧力をかけた状態で、30回を超えて摺動させたときの脱落量をいい、例えば、後述する実施例の方法によって求められる。
本実施形態の成形体は、その裂断長が100〜4000m、特に200〜3000mであることが好ましい。該裂断長が100m以上であると、エンボス加工を施したりする場合に破断や切断が生じることなく安定的に成形体を形成できる。また、使用時においても、適度に腰があって使用感に優れる。該裂断長が4000m以下であると、成形体を構成する繊維状物、バインダー成分が多くなりすぎず、柔軟で発熱性能に優れるものとなる。ここで、裂断長は、成形体から長さ150mm×幅15mmの試験片を切り出した後、JIS P8113に準じ、該試験片をチャック間隔100mmで引っ張り試験機に装着し、引っ張り速度20mm/minで引っ張り試験を行い、下記計算式により算出される値である。
裂断長〔m〕=(1/9.8)×(引張強〔N〕)×106/(試験片坪量〔g/m2〕)
本実施形態の成形体は、厚みが0.08〜1.2mm、特に0.1〜0.6mmであることが好ましい。該厚みが0.08mm以上であると、機械的強度、被酸化性金属や保水剤等の成分の定着性も良好であり、安定した均一の肉厚、組成分布が得られる。また、ピンホールの発生等による破壊等の発生が抑えられ、生産性及び加工性に支障を来すこともない。また、得られる発熱成形体の発熱性も良好である。該厚みが1.2mm以下であると柔軟で、特に肘、膝、顔等の身体部位の屈伸する部位に装着した場合、装着性が良好で違和感を生じることもない。また、生産性においても、紙層形成時間や乾燥時間が早くすみ、操業性に優れる他、十分な発熱性能が得られる。また、割れ、折れも生じ難く、加工に支障をきたすこともない。
本実施形態の成形体は、その坪量が10〜1000g/m2、特に50〜600g/m2であることが好ましい。該坪量が10g/m2以上であるとピンホールなどの不良が発生を防ぐことができ、機械的強度も十分に得られるため、生産性や加工性も良好である。また、発熱成形体として使用する際に発熱性能が十分なものとなる。該坪量が1000g/m2以下であると厚くなりすぎず、柔軟で、軽い成形体が得られる。このため、発熱成形体として身体に装着する場合に違和感を生じることがない。また、該成形体を加圧成形する際にも時間がかかりすぎず、生産性にも優れる。
本実施形態の発熱成形体は、前記本実施形態の成形体に電解質を含んでいる。
前記電解質には、従来からこの種の発熱成形体に通常用いられている電解質を特に制限なく用いることができる。該電解質としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは重金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。そしてこれらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(第1、第2)等の各種塩化物が好ましく用いられる。これらの電解質は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記電解質の含有量は、発熱成形体中の水重量比で0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。該含有量が0.5質量%以上であると、得られる発熱成形体の酸化反応が促進されるほか、発熱機能に必要な電解質を確保するために、発熱成形体中の水分の比率が多くなりすぎず、その結果、発熱成形体の熱容量が大きくならず、十分な発熱温度上昇が得られる。該含有量が30質量%以下であると余分な電解質が析出せず、発熱成形体の通気性が損なわれない。また、発熱機能に必要な電解質を確保するための発熱成形体中の水分比率が低くならず、十分な水が被酸化性金属等に供給できるほか、発熱成形体に均一に電解質を供給することができるため、発熱性能に優れるものとなる。
本実施形態の発熱成形体は、含水率(重量含水率、以下同じ。)が10〜80%であることが好ましく、20〜60%であることがより好ましい。該含水率が10%以上であると酸化反応を持続するために必要な水分が確保でき、酸化反応が十分に進行する。また、発熱成形体に均一に水分を供給することができるため、均一な発熱性能を得ることができる。該含水率が80%以下であると発熱成形体の発熱量に対する熱容量が大きくならず、十分な発熱温度上昇が得られる。また、発熱成形体の通気性が損なわれないため、発熱性能に優れ、十分な保形性や機械的強度が得られる。
本実施形態の発熱成形体は、その坪量が10〜1000g/m2、特に50〜600g/m2であることが好ましい。該坪量が10g/m2以上であると被酸化性金属等の中でも比重の大きな材を使用する場合等において、特に安定した成形体を形成することができる。該坪量が1000g/m2以下であると重量感がなく、使用感も良好である。また、生産性や操業性等も良好となる。
本実施形態の発熱成形体は、発熱到達温度が30〜100℃であることが好ましく、35〜90℃であることがより好ましい。ここで、発熱到達温度は、発熱成形体から50mm×50mmの試験片を切り出した後、該発熱成形体にJIS Z208で測定される透湿度(以下、本明細書において、単に透湿度という。)が5000g/(m2・24h)の透湿シートと不透湿シートとを両側に袋状に貼り合わせて包装した後、容積4.2リットル、相対湿度1%以下の環境下で密封系内に2.1リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に前記透湿シート側を上面として静置して発熱させたときの発熱成形体の下側の温度を熱電対で測定した値である。発熱成形体の発熱到達温度は、商品用途によって急激な発熱が必要な場合や比較的低温で長時間の持続が必要な商品等、前述の配合組成の組み合わせにより任意に設計ができる。
本実施形態の発熱成形体は、水蒸気発生量が、0.1〜100mg/(cm2・10min)であることが好ましく、1〜50mg/(cm2・10min)であることがより好ましい。ここで、水蒸気発生量は、例えば、以下のように測定される。
容積4.2リットル、湿度1RH%以下とし、密閉系内に2.1リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に水蒸気が蒸散可能なように発熱成形体を静置して発熱させる。そして、前記密閉系内に排出される空気の湿度を湿度計で想定し、下記式(1)を用いて発熱開始後に発生する水蒸気量を求め、単位時間当たりの水蒸気量とした。そして、10分間の累積値を蒸気発生量として求めた。ここで、eは水蒸気圧(Pa)、esは飽和水蒸気圧(Pa:JIS Z8806より引用)、Tは温度(℃:乾球温度)、sはサンプリング周期(秒)である。
相対湿度U(%RH)=(e/es)×100
絶対湿度D(g/m3)=(0.794×10-2×e)/(1+0.00366T)
=(0.794×10-2×U×es)/〔100×(1+0.00366T)〕
単位空気容積P(リットル)=(2.1×s)/60
単位時間当たりの水蒸気量A(g)=(P×D)/1000・・・(1)
発熱成形体の水蒸気発生量は、発熱到達時間と同様に商品用途によって急激な発熱が必要な場合や比較的低温で長時間の持続が必要な商品等、前述の組成の組み合わせにより任意に設計ができる。
次に、本実施形態の発熱成形体の製造方法について説明する。
発熱成形体の製造に際しては、先ず、前記被酸化性金属、前記保水剤、前記繊維状物、水及び前記バインダーを含む原料組成物(スラリー)を調製し、該原料組成物を抄造して前記シート状の湿潤成形体を成形する。
前記原料組成物には、凝集剤を添加することが好ましい。該凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄等の金属塩からなる無機凝集剤;ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル系、カルボキシメチルセルロースナトリウム系、キトサン系、デンプン系、ポリアミドエピクロヒドリン系等の高分子凝集剤;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド系若しくはエチレンイミン系のアルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物等の有機凝結剤;モンモリロナイト、ベントナイト等の粘土鉱物;コロイダルシリカ等の二酸化珪素若しくはその水和物;タルク等の含水ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。そして、これら凝集剤の中でも成形体の表面性、地合い形成、成形性の向上、被酸化性金属や保水剤等の材の定着率、紙力向上の点からアニオン性のコロイダルシリカやベントナイト等とカチオン性のデンプンやポリアクリルアミド等の併用やアニオン性のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩とカチオン性のポリアミドエピクロルヒドリン系のカチオン性とアニオン性の薬剤の併用が特に好ましい。上述の組み合わせ以外でも、これらの凝集剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記凝集剤の添加量は、原料組成物の固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。該添加量が斯かる範囲であると、凝集効果が得られ、抄紙時の前記被酸化性金属や保水剤等の成分の脱落が抑えられる。また、原料組成物が均一になり、肉厚及び組成の均一な成形体を得ることができる。また、乾燥時に乾燥ロールへの貼り付き、破れ、焼け、焦げを発生させることもなく、生産性に悪影響を及ぼすこともない。また、原料組成物の電位バランスが保たれ、抄紙時の白水への該成分の脱落量が抑えられる。また、成形体の酸化反応が進行せず、脱酸素特性や強度等の保存安定性が得られる。
前記原料組成物の濃度は、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。斯かる濃度であると、大量の水を必要とせず、成形体の成形に時間を要しない。また、原料組成物が均一に分散されるため、得られる成形体の表面性が良好であり、均一な厚みの成形体が得られる。
次に、前記原料組成物を抄紙して前記シート状の湿潤成形体を成形する。
前記成形体の抄紙方法には、例えば、連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いた抄紙方法、バッチ方式の抄紙方法である手漉法等が挙げられる。更に、前記原料組成物と、該原料組成物と異なる組成の組成物とを用いた多層抄き合わせによって成形体を成形することもできる。また、前記原料組成物を抄紙して得られた成形体どうしを多層に貼り合わせたり、該成形体に該原料組成物と異なる組成を有する組成物から得られたシート状物を貼り合わせることによって成形体を成形することもできる。
前記成形体は、抄紙後における形態を保つ(保形性)点や、機械的強度を維持する点から、含水率(重量含水率、以下同じ。)が70%以下となるまで脱水させることが好ましく、60%以下となるまで脱水させることがより好ましい。抄紙後の成形体の脱水方法は、例えば、吸引による脱水のほか、加圧空気を吹き付けて脱水する方法、加圧ロールや加圧板で加圧して脱水する方法等が挙げられる。
前記被酸化性金属(通常雰囲気下において加熱反応性を有する)を含有する成形体を、積極的に乾燥させて水分を分離することにより、製造工程中における被酸化性金属の酸化抑制、長期の保存安定性に優れた成形体を得ることが可能となる。さらに、乾燥後の前記繊維状物への被酸化性金属の担持力を高めてその脱落を抑える点に加え、熱溶融成分、熱架橋成分の添加による機械的強度の向上が期待できる点から、前記成形体の抄紙後で前記電解質の電解液を含有させる前に成形体を加熱及び加圧して成形する。
この場合、加熱温度(乾燥温度)は、60〜300℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。成形体の加熱温度が斯かる温度範囲であると、乾燥時間が長くなりすぎず、水分の乾燥とともに被酸化性金属の酸化反応が促進されることもない。このため、得られる発熱成形体の発熱性の低下を引き起こすことがない。また、保水剤等の性能劣化を招くことがなく、発熱成形体の発熱効果の低下を抑えることができる。また、成形体内部で急激に水分が気化して発熱成形体の構造が破壊されたりすることもない。
加圧力は、線圧0.5〜100N/mmであることが好ましく、1〜80N/mmであることがより好ましい。該加圧力が斯かる範囲であると、熱の伝達が十分となり、乾燥状態にムラがなく十分に乾燥を行える。また、表面を平滑でき、摩擦させた際の含有成分脱落量を抑えることができる。また、成形体の破壊や含有繊維状物の破断を防ぐことができ、強度の低下や柔軟性が損なわれることもない。
乾燥後における前記成形体の含水率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。含水率が20%以下であると、長期保存安定性に優れ、例えば巻きロール状態で一時保存しておく場合等該ロールの厚み方向で水分の移動が起こりにくくなり、発熱性能、機械的強度に変化を来すおそれがない。
前記成形体の乾燥方法は、当該成形体の厚さ、乾燥前の成形体の処理方法、乾燥前の含水率、乾燥後の含水率等に応じて適宜選択することができる。該乾燥方法としては、例えば、加熱構造体(発熱体)との接触、加熱空気や蒸気(過熱蒸気)の吹き付け、真空乾燥、電磁波加熱、通電加熱等の乾燥方法が挙げられる。また、前述の脱水方法と組み合わせて同時に実施することもできる。
前記成形体の成形(脱水、乾燥)は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、上述のように成形体に酸化助剤となる電解質を含有していないので、必要に応じて通常の空気雰囲気下で成形を行うこともできる。このため、製造設備を簡略化することができる。得られた成形体は、薄くて破れにくいので、必要に応じ、ロール状に巻き取ることができる。
次に、乾燥した成形体には、必要に応じて、エンボス処理、クレープ処理、スリット加工、トリミングを施したり、加工処理により形態を変更する等の加工を施すこともできる。また、ニードルパンチ加工を行うことにより孔あけを行うこともできる。さらに、前記原料組成物に熱可塑性樹脂成分や熱水解成分を含有させることにより、ヒートシール加工を施して貼り合わせ等を行い易くすることもできる。
次に、成形体に前記電解質を含有させる。この電解質を含有させる工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、電解質をその電解液の含浸により添加する場合には、添加直後の酸化反応がゆるやかなため、通常の空気雰囲気下で該電解質を含有させることもできる。
前記成形体へ前記電解質を含有させる方法は、抄紙後における当該成形体の処理方法、含水率、形態等に応じて適宜設定することができる。該電解質を含有させる方法としては、例えば、前記成形体に、前記電解質の所定濃度の電解液を含浸させる方法、前記電解質の所定粒径のものを固体のまま添加して成形体に含有させる方法等が挙げられる。成形体に電解質を均一に含有させることができる点や含水率の調整が同時に行える点からは、所定濃度の電解液を含浸させる方法が好ましい。
上述のように前記電解質をその電解液で前記成形体に含浸させる場合、その含浸方法は、成形体の厚み等の形態、含水率に応じて適宜選択することができる。該含浸方法には、該電解液を該成形体にスプレー塗工する方法、該電解液をシリンジ等で該成形体の一部分に注入し、前記繊維状物の毛管現象を利用して該成形体全体に浸透させる方法、刷毛等で塗工する方法、該電解液に浸漬する方法、グラビアコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等が挙げられ、これらの中でも、電解質を均一に分布でき、簡便で、設備コストも比較的少なくて済む点からスプレー塗工する方法が好ましい。また、複雑な形状、層構成の商品においては生産性が向上する点や、最終仕上げを別工程とできることにより生産のフレキシブル性が向上する点や、設備が簡便となる点からは、前記シリンジ等で注入する方法が好ましい。この電解液を注入する方法は、該成形体を前記収容体に収容した後に行うこともできる。
上述のように成形体に電解質を含有させた後、必要に応じて含水率を調整し、安定化させて発熱成形体とすることができる。そして必要に応じ、トリミング、二枚以上の積層化等の処理を施し、所定の大きさに加工することができる。得られた発熱成形体は、未使用状態では酸素不透過性の包装材で包装されて提供される。
以上説明したように、本実施形態の成形体は、含有成分が脱落しにくいため、発熱成形体の製造時の損失や製造環境の汚れを抑えることができる。また、本実施形態の成形体及び発熱成形体は、従来のように、被覆材で表面を被覆しなくてもよいため、その分厚みが薄く低コストの製品を得ることができる。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
本発明の成形体及び発熱成形体は、前記実施形態のようにシート状に成形されていることが好ましいが、成形体及び発熱成形体の形態は、シート状に限られず、カップ状、ボトル状等の容器形状のように立体形状に成形されていてもよい。
本発明の発熱成形体の用途は特に制限はない。発熱成形体の用途は、例えば、洗浄・除菌、ワックス徐放、芳香、消臭等の諸機能剤と組み合わせたホットブラシとして、フローリング、畳み、レンジ周り、換気扇等のハウスケア用途、車等の洗浄、ワックスかけ等のカーケア用途、顔、身体の洗浄、除菌、保湿、メイク落とし等のスキンケア用途、各種ペットのブラッシング等のペットケア用途にも適用することができる。
以下、本発明の成形体及び発熱成形体を実施例によりさらに具体的に説明する。
表1に示す組成のシート状の成形体が得られるように、下記実施例1〜3並びに比較例1及び2のように成形体を作製した。そして、得られた成形体から下記のようにして発熱成形体を作製した。
〔実施例1〕
<原料組成物配合>
被酸化性金属:鉄粉(45μメッシュ分級品)、同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」、150g
繊維状物:パルプ繊維(NBKP、スキーナ(株)製、商品名「スキーナ」、平均繊維長さ=2.1mm)、20g
保水剤:活性炭(45μメッシュ分級品)、武田薬品(株)製、商品名「カルボラフィン」)、30g
バインダー:ポリビニルアルコール繊維、1.0g
凝集剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業薬品(株)製、商品名「セロゲン」WS−C)、0.5g、及びポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(日本PMC(株)製、商品名「WS547」)、0.5g
水:工業用水、99800g
<抄紙条件>
上記原料組成物を用い、傾斜型短網小型抄紙機によって湿潤状態の成形シートを作製した。
<脱水・乾燥条件>
湿潤状態の成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま120℃の加熱ロール間に通し、含水率が5質量%以下になるまで乾燥した。
<発熱シートの作製>
得られた成形シート(厚み0.14mm)を2枚重ね合わせてから、下記電解液をスプレー塗布して含浸させて含水率が36%の発熱シートを作製した。
<電解液>
電解質:精製塩(NaCl)
水:工業用水
電解液濃度:3質量%
〔実施例2〕
バインダーをポリビニルアルコール繊維2gとした以外は、実施例1と同様にして発熱成形体を作製した。
〔実施例3〕
バインダーをポリビニルアルコール繊維10.0gとした以外は、実施例1と同様にして発熱成形体を作製した。
〔比較例1〕
バインダーを用いなかった以外は、実施例1と同様にして発熱成形体を作製した。
〔比較例2〕
バインダーを20gとした以外は、実施例1と同様にして発熱成形体を作製した。
〔表面の摩擦に伴う含有成分の合計脱落量の測定〕
得られた成形体から試験片(63.5mm×63.5mm)を切り出してその表面に白色度の高いPPC用紙を重ね合わせ、一定圧力(365Pa)を負荷した状態で、該紙を成形体の表面に100mmの往復可動範囲で5〜30回摩擦(摺動)させた。そして、そのときの該紙表面への含有成分の付着状態を画像読取装置によって画像化し、試験片(63.5mm×63.5mm)に対応する領域(画素)、又は、一定サイズの領域(画素)の輝度を合計した値を求めた。得られた画像の合計輝度と摩擦(摺動)させる前の前記紙の合計輝度とを比較し、低下した合計輝度量を成形体表面の摩擦に伴う含有成分の合計脱落量とみなして評価した。得られた結果を図1に示す。また、5〜30回摩擦させたときの、試験片重量に対する脱落量の割合を摩擦前後の重量を測定することによって求めた。その結果を図2に示す。そして、その結果に基づいて、下記の4段階によって評価した結果を表2に示す。
なお、図2には、参照例として実施例1のパルプ繊維100%の成形体(坪量も同じ)について同様の測定を行った結果を示している。
◎:脱落量が全含有量に対して1%以下
○:脱落量が全含有量に対して1%超2%以下
△:脱落量が全含有量に対して2%超5%以下
×:脱落量が全含有量に対して5%超
〔発熱成形体の発熱特性の測定〕
得られた成形体から50mm×50mmの試験片を切り出した後、該成形体にJIS Z208で測定される透湿度が5000g/(m2・24h)の透湿シートと、不透湿のシートとを両側に袋状に貼り合わせて包装する。そして、容積4.2リットル、湿度1RH%以下とし、密封系内に2.1リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に前記透湿シート側を上面として静置して発熱させる。
発熱シートの発熱温度は当該発熱シートの下側の温度を熱電対で測定した。その結果を図3に示す。そして、その結果に基づいて、下記の4段階によって評価した結果を表2に併せて示す。
◎:最高到達温度が50℃以上
○:最高到達温度が40℃以上50℃未満
△:最高到達温度が30℃以上40℃未満
×:最高到達温度が30℃未満
図1、図2及び表2に示すように、摩擦回数に比例して含有成分が脱落していく。脱落量が2質量%を超えると、PPC用紙表面は激しく汚損した。また、30回摩擦させた後の脱落量が2質量%を越える場合は、バインダーを加えていない場合に等しく、効果的なバインダーであるとはいえない。含有成分の脱落量はゼロであることが望ましいが、脱落防止のためにバインダー成分を加えると、図3のように発熱性能が低下する。そこで、鋭意検討を行った結果、バインダー成分が5質量%を越えない領域であれば発熱性能の低下を最小限に抑えつつ、バインダー成分による脱落防止機能を効果的に用いることができることがわかった。バインダー成分を、5質量%を超えて加えた場合、脱落量はバインダー成分が5質量%の場合と比較して大きく改善することはなく、発熱性能だけが大きく低下した。