JP2013208333A - 温熱具 - Google Patents

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Abstract


【課題】製造性に優れ、かつ、発熱特性が良好である温熱具を提供すること。
【解決手段】温熱具は、被酸化性金属、炭素成分、水溶性高分子、及び水を含有する発熱層121Aと基材層121Cとが積層されてなるものである。そして、前記炭素成分は、吸水率が炭素成分の自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10μm〜400μmであり、当該基材層中の水の含有量と、当該温熱具中の被酸化性金属の含有量との質量比(水/金属)が0.05〜0.38である。
【選択図】図1

Description

本発明は、温熱具に関する。
従来、被酸化性金属の酸化反応によって、発熱する温熱具としてさまざまなものが開発されている。
たとえば、特許文献1には、発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び/又は金属の塩化物と水を必須成分とし、全体としてインキ状ないしクリーム状に形成されていることを特徴とするインキ状ないしクリーム状の発熱組成物が開示されている。特許文献1には、この発熱組成物をシート状包材内に積層、封入されてなり、この包材の少なくとも一部が通気性を有するものであり、発熱組成物の水分の一部を前記シート状包材に吸収させてなることを特徴とする発熱体も開示されている。
特開平9−75388号公報
しかしながら、特許文献1のように単に、発熱物質と吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と炭素成分及び/又は金属の塩化物を、大過剰の水に分散させ塗料化した発熱組成物では、製造工程中にインキ状ないしクリーム状の発熱組成物から離水が発生してしまう傾向があり、製造安定性に検討の余地があることがわかった。
これに加え、近年、発熱体の発熱性能を高めることも求められている。
本発明によれば、
被酸化性金属、炭素成分、分子量100万以上の水溶性高分子、及び水を含有する発熱層と、基材層とが積層されてなる温熱具であって、
前記炭素成分は、吸水率が前記炭素成分の自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10〜400μmであり、
当該基材層中の水の含有量と、当該温熱具中の被酸化性金属の含有量との質量比(水/被酸化性金属)が0.05〜0.38である温熱具が提供される。
本発明では、温熱具中に特定の水溶性高分子と特定の炭素成分とを含有させ、さらに、基材層中の水の含有量と温熱具中の被酸化性金属の含有量との質量比(水/被酸化性金属)を規定することで、積層前の塗料としては被酸化性金属と炭素成分と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成するため製造安定性に優れ、且つ、基材層に積層後は得られた製品の発熱性能が良好、すなわち、昇温までの時間が短く、且つ、最高温度が適度に高い温熱具とすることができる。
本発明によれば、製造安定性に優れ、かつ、発熱性能が良好である温熱具が提供される。
本発明の一実施形態にかかる発熱体を示す断面図である。 温熱具を示す平面図である。 温熱具の分解斜視図である。 温熱具の断面図である。 発熱部の断面図である。 製造装置を示す模式図である。 水蒸気発生量を測定する装置を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
図1から図4を参照して、本実施形態の温熱具100について説明する。
温熱具100は、図1に示す発熱体120を有する。発熱体120は、発熱部121と、発熱部121を内包する第1袋体122とを備える。発熱部121は、発熱層121Aと、基材層121Cとを備える。
この発熱部121は、
被酸化性金属、炭素成分、分子量100万以上水溶性高分子、及び水を含有する発熱層121Aと、基材層121Cとが積層されてなるものである。そして、
前記炭素成分は、吸水率が前記炭素成分の自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10〜400μmであり、
当該基材層121C中の水の含有量と、当該温熱具中の被酸化性金属の含有量との質量比(水/被酸化性金属)が0.05〜0.38である。
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
被酸化性金属が粉末である場合、酸化反応が効率的に行われるという観点から、その平均粒径が10〜200μmであることが好ましく、平均粒径が20〜150μmであることがより好ましい。なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、100〜3000g/mであることが好ましく、さらに200〜1600g/mであることが好ましい。これにより、発熱体120の発熱温度を所望の温度に上昇させることができる。ここで、被酸化性金属の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の粒子径且つ吸水率の炭素成分と、分子量が100万以上と大きい水溶性高分子を用いることで、製造中の製造安定性に優れたものとなり、かつ、基材層中の水と当該温熱具中の被酸化性金属とが特定質量比となるようにすることで、製品の発熱性能が良好な温熱具が提供可能であることがわかった。
炭素成分は、被酸化性金属と水溶性高分子と水と相まって非常に良好な構造を形成し、塗工前の塗料としては製造安定性に優れ、且つ、得られた製品としては発熱性能を良好にするために、一定の水分を保持できるものが好ましい。すなわち、炭素成分の吸水率は炭素成分の自重の160%以上、400%以下であり、なかでも、発熱性能を向上させる観点からは、170%以上、300%以下であるものを使用することが好ましく、さらには180%以上、250%以下であるものを使用することが好ましい。
吸水率を炭素成分の自重の160%以上とすることで、発熱に必要な水分を発熱層に十分に供給しやすくなり、発熱温度を向上させることができる。
一方で、吸水率を炭素成分の自重の400%以下、好ましくは300%以下とすることで、炭素成分等を良好に分散させるために必要な水量を抑えることができつつ、発熱組成物が適度な粘度となるため良好な塗工性を示し、且つ、最高温度を適度にしつつ昇温時間を短くすることが可能である。
また、発熱効率を高めるためには被酸化性金属の酸化反応の効率を上げる必要があり、炭素成分が一定値以下の粒子径である必要がある。したがって、炭素成分は、平均粒子径が10〜400μmであり、なかでも、昇温時間を短くし最高温度を適度に高める観点からは、平均粒子径が12〜280μmであることが好ましく、平均粒子径が14〜110μmであることがさらに好ましい。
炭素成分の平均粒子径は、粉体の形態における最大長さをいい、動的光散乱法、レーザー回折散乱法により測定することができる。例えば、炭素成分を水中で分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMADZU製、SALD−300)により、炭素成分の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。
炭素成分の含有量は、坪量で表して、15〜290g/m、更に20〜160g/mであることが好ましい。また、炭素成分の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.3〜20質量部が好ましく、1〜15質量部が好ましく、3〜13質量部がより好ましい。こうすることで、炭素成分と被酸化性金属と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成し、製造中は製造安定性に優れ、且つ、得られた製品の発熱性能を良好にすることができるためより好ましい。また、発熱層中に、酸化反応を持続させるために必要な水分を保持でき、十分な発熱を得ることができる。さらに、発熱層への酸素供給が十分に達成されて発熱効率が高い発熱層が得られる。また、得られる発熱量に対する発熱体の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られる。
本発明に好ましい炭素成分は、例えば、椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭から選ばれる1種又は2種以上の活性炭を用いることができるが、湿潤時酸素を吸着しやすいことや、発熱層の水分を一定に保てる観点や、炭素成分と被酸化性金属と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成し、製造中に製造安定性に優れ、且つ、得られた製品の発熱性能を良好にすることができる観点から、吸水率が炭素成分の自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10〜400μmである活性炭が用いられる。より好ましくは、発熱性能を良好にすることができる観点から、炭素成分としては、吸水率が自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10〜400μmである椰子殻炭、及びピート炭から選ばれる1種又は2種以上のものが用いられる。中でも、製造安定性に優れ、且つ、発熱性能を良好にするため吸水率が自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10〜400μmである椰子殻炭が好ましい。
本発明の温熱具100は、温熱具全体に含まれる炭素成分の含有量に対する発熱層121A中の水の含有量の質量比(水/炭素成分)が、0.8〜4であることが好ましい。こうすることで、発熱層121Aの通気性が十分に確保されるため、酸素供給が十分に得られて発熱効率が高い発熱体120が得られる。また、得られる発熱量に対する発熱体の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られる。
なかでも、最高温度を適度にしつつ昇温時間を短くする点で炭素成分の含有量に対する発熱層121A中の水の含有量の質量比(水/炭素成分)は、1.5〜3であることが好ましい。
分子量100万以上の水溶性高分子は水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができ、炭素成分と被酸化性金属と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成し、製造安定性に優れ、且つ、発熱性能を良好にすることができる観点から、分子量が100万以上の水溶性高分子であり、好ましくは分子量100万以上5000万以下の水溶性高分子が良く、さらに好ましくは200万以上4000万以下の水溶性高分子が良い。特に良好な塗工性能や、耐塩性や、少量でも増粘できるという観点からキサンタンガムが好ましい。
本発明の温熱具100は、該温熱具中の水の含有量と、当該温熱具中の分子量100万以上の水溶性高分子の含有量との質量比(水/高分子)が60〜500、好ましくは180〜400である。こうすることで、被酸化性金属や炭素成分等の固形分を安定に分散させることができつつ塗工性が良好となる。また、チキソトロピー性を付与し、塗工性能をさらに向上させることができる。またさらに、炭素成分と被酸化性金属と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成し、製造安定性に優れ、且つ、発熱性能を良好にすることができる。
さらに、本発明の温熱具100には、本発明の効果に影響をもたらさない範囲にて上述した分子量100万以上の水溶性高分子に加えて分子量100万以上の水溶性高分子以外の水溶性高分子を含んでいてもよい。
他の水溶性高分子にはアルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、などの多糖類系水溶性高分子;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系水溶性高分子;酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系水溶性高分子、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子;ステアリン酸塩などの金属石鹸系水溶性高分子等から選ばれた1種又は2種以上の混合物を併用することができる。
ただし、発熱性能の観点からは、分子量100万以上の水溶性高分子以外の他の水溶性高分子は被酸化性金属100質量部に対しては、0.5質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以下であることがさらに好ましく、中でも分子量100万以上の水溶性高分子以外の他の水溶性高分子を含まないことが好ましい。
温熱具100中の水分量は、前記被酸化性金属100質量部に対し、35〜55質量部が好ましい。なかでも、炭素成分と被酸化性金属と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成し、製造安定性に優れ、且つ、発熱性能を良好にすることができる観点、熱の伝達性の観点および発熱層121Aの発熱性の観点から、38〜50質量部であることがより好ましい。
発熱層121A中の水分量Zは、次のように求められる。発熱層121Aを構成する組成物の質量を計測し(質量P)、その後、窒素気流下でKett水分計(FD−240)を用いて120℃15分間乾燥して再度質量を計測する(質量Q)。
発熱層の水分率(R)は次式で表される。
R(質量%)=(P−Q)/P×100。
発熱組成物の比率より算出される固形分(水を除く組成比の合計値を全組成比の合計値で除した値)をXとし、塗工量をYとすると、発熱層中の水分量Zは次式で表される。
Z(g)=(R×X×Y/100)/(1−R/100)
発熱層121A中の水分率は、22質量%以下であると好ましい。このようにすることで、発熱体の熱容量が小さくなり、基材層121C中に比較的多くの水が存在しても、温熱具100の発熱温度上昇速度の低下を防止できる。さらには、発熱層121A中の水分率は、18.5質量%以下、好ましくは15質量%以下、また更に好ましくは14質量%以下であることが好ましい。ただし、発熱層121A中の水分率は、発熱特性を考慮すると10質量%以上、好ましくは12質量%以上であることが好ましい。
さらに、発熱層121Aは、上述した各成分に加えて、反応促進剤を含んでいてもよい。
反応促進剤としては、被酸化性金属の酸化反応を持続させる目的で用いられる。また、反応促進剤を用いることにより、酸化反応に伴い被酸化性金属に形成される酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。反応促進剤には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
発熱層121Aの反応促進剤の含有量は、十分な発熱量が長時間持続する観点から、被酸化性金属100質量部に対して、2〜15質量部とすることが好ましい。さらに好ましくは3〜13質量部である。
基材層121Cは、好ましくは発熱層121Aに直接接触するように積層されている。基材層121C中の水の含有量と、温熱具100中の被酸化性金属の含有量との質量比(基材層中の水/被酸化性金属)は、0.05〜0.38である。0.38以下とすることで、基材層121C中に含まれる水分量が比較的少量となり、昇温までの時間を短くでき、かつ、最高温度を適度に高い温熱具とすることができる。一方で、0.05以上とすることで発熱時間をより持続させることができる。なかでも、基材層121C中の水の含有量と、温熱具中の被酸化性金属の含有量との質量比は0.1〜0.35であることが好ましい。
このようにすることで、発熱層121Aでの発熱と、温熱具100全体の水分の温めに使用される熱と、単位時間あたりの蒸気発生量とのバランスとを最適なものとすることができ、発熱層121Aで発熱が行なわれることで、発熱層121A中の水分と、基材層121C中の水分とが蒸気となり、温熱具100の外部に放出される。
なお、温熱具100中の水の分配状態(発熱層の水分量/基材層中の水分量)が、好ましくは40〜120、更に好ましくは50〜100であることがより、最高温度を適度に高い温熱具100とすることができ、好ましい。
ここで、基材層121Cとしては、水分の吸収保持が可能であり、柔軟性を有するシート材料が用いられるが、通気性を有するものが好ましい。そのような材料としては、例えば繊維を原料とする紙、不織布、織物、編み物等の繊維シートが挙げられる。前記の繊維としては、例えば植物繊維及び動物繊維などの天然繊維を主成分とするものや化学繊維を主成分とするもの挙げられる。植物繊維としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わらから選択される1種又は2種以上が挙げられ、中でも紙が水分の吸収保持性、柔軟性、通気性の点で好ましい。動物繊維としては、例えば羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維から選択される1種又は2種以上が挙げられる。化学繊維としては、例えばレーヨン、アセテート、セルロースから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
なかでも基材層121Cとしては、前述した繊維で構成される繊維材料と、吸水性のポリマーとを含むものが好ましい。
図5中では、成分(a)繊維材料、及び、成分(b)吸水性ポリマーを含むものを基材層121Cとした例が示されている。基材層121Cに成分(b)を含む場合、基材層121Cの形態は、(i)成分(a)及び成分(b)が均一に混合した状態の1枚のシートとしたもの、(ii)成分(a)を含む同一の又は異なるシート間に、成分(b)が配置されたもの、(iii)成分(b)を散布してシート状としたものを例示することができる。中でも、発熱層121Aの含水量のコントロールを容易に行うことができるため、好ましいものは、(ii)の形態のものである。なお、(ii)の形態の基材層121Cは、具体的には、例えば、成分(a)を含むシート上に成分(b)吸水性ポリマーを均一に散布し、その上から200g/mの量の水を噴霧した後、更にその上に成分(a)を含む同一の又は異なるシートを積層し、100±0.5℃、5kg/cmの圧力にてプレス乾燥して含水率が5質量%以下になるまで乾燥して製造することが可能である。
吸水性ポリマーとしては、吸水性ポリマーの自重の20倍以上の重さの液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。吸水性ポリマーの粒子の形状としては、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等が挙げられる。吸水性ポリマーの粒子の乾燥状態での粒径は、1〜1,000μm、特に10〜500μmであることが好ましい。なお、吸水性ポリマー粒子の乾燥状態での粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
吸水性ポリマーの具体例としては、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体、ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアスパラギン塩、ポリグルタミン酸塩、デンプン、セルロースから選択される1種又は2種以上が挙げられる。中でも、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を用いることが好ましい。
基材層121Cに占める成分(b)吸水性ポリマーの粒子の量は、乾燥状態で10〜70質量%、特に20〜65質量%であることが好ましい。
以上のような発熱部121は、第1袋体122に収容され、発熱部121と第1袋体122とで発熱体120を構成している。
第1袋体122は、第1袋体第1シート122Aと第1袋体第2シート122Bとを含んで構成されており、これらの第1袋体第1シート122A、第1袋体第2シート122Bの周縁部を好ましくは密閉接合することで第1袋体122が構成されている。第1袋体第1シート122A、第1袋体第2シート122Bの周縁部以外の領域は非接合領域であり、非接合領域内に発熱部121が配置される。
第1袋体第1シート122Aを着用者の肌に近い側に位置するもの(肌側の面)とし、第1袋体第2シート122Bを着用者の肌から遠い側に位置するものとした場合、第1袋体第1シート122Aの通気度は、1,000〜7,000秒/100mlであることが好ましく、更に好ましくは1,500〜6,000秒/100mlであり、殊更好ましくは1,800〜5,000秒/100mlである。第1袋体第1シート122Aの通気度を7,000秒/100ml以下とすることで、第1袋体第1シート122Aの通気性を確保し、蒸気を第1袋体122外部に多量に放出しやすくすることができる。一方で、第1袋体第1シート122Aの通気度を1,000秒/100ml以上とすることで、異常発熱を防ぎ、温度を制御することができる。
このような通気度を有する第1袋体第1シート122Aとしては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好適である。具体的には、ポリエチレンに炭酸カルシウム等の微粉末を含有させてフィルム成型したものを延伸したフィルムを用いることができる。かかる多孔性シートを用いる場合には、多孔性シートの外面にニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及び、スパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第1袋体第1シート122Aの風合いを高めてもよい。第1袋体第1シート122Aは、その一部又は全部が通気性を有する通気性シートであるとよいが、第2シート122Bよりも通気性の高いシート(即ち通気度の低いシート)であることが好ましい。
第1袋体第2シート122Bは、その一部又は全部が通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいが、第1袋体第1シート122Aよりも通気性の低いシート(即ち通気度の高いシート)であることが好ましい。
第1袋体第2シート122Bを非通気性シートとする場合、一層又は多層の合成樹脂製のフィルムや、該一層又は多層の合成樹脂製のフィルムの外面にニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第1袋体第2シート122Bの風合いを高めてもよい。具体的には、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムからなる2層フィルム、ポリエチレンフィルムと不織布とからなるラミネートフィルム、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムなどが用いられるが、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムが殊更に好ましい。
第1袋体第2シート122Bが通気性シートである場合には、第1袋体第1シート122Aと同一のものを用いることができる、或いは、異なるものを用いることができる。異なるものを用いる場合、第1袋体第2シート122Bの通気性は、第1袋体第1シート122Aの通気性よりも低いことを条件として、第1袋体第2シート122Bの通気度を50,000秒/100ml以上、更に好ましくは80,000秒/100ml以上とすることが好ましい。第1袋体第2シート122Bの通気性を第1シート122Aよりも低くすることで、発熱部121で発生した蒸気を第1袋体第1シート122A側から放出することができる。なかでも、第1袋体第1シート122Aの通気度を2,000〜4,000秒/100mlとし、第1袋体第2シート122Bの通気度を100,000秒/100ml以上とすると、殊更に好ましい。このような通気度とすることで、被酸化性金属の酸化反応が良好となる上、第1袋体第1シート122A側から多量の水蒸気を発生することを可能とし得る。
なお、発熱部121は、基材層121C側が使用者の肌面に対向するように配置される。すなわち、基材層121C側が第1袋体第1シート122A側に配置され肌に近い側となり、発熱層121A側が第1袋体第2シート122B側に配置され肌から遠い側となるように発熱部121が第1袋体122内に配置される。本発明では、基材層121C中の水の含有量が特定であるため、発熱部121からの蒸気を第1袋体第1シート122Aから効率よく排出することができる。
なお、基材層121Cのみ発熱層121Aに形成され、基材層121Cを用いない場合、発熱層121Aの面が第1袋体第2シート122Bに直接接触してしまい第1袋体第2シート122Bの通気性が発熱層の付着により通気性に影響を与える可能性がある。このため、第2シート122Bを非通気性シートとすることが好ましい。
第1袋体122に収容されている発熱部121は、1枚でもよく、複数枚を積層させた多層状態で収容してもよい。
つづいて、発熱体120の製造方法の一例について説明する。発熱体120は、例えば、被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱組成物を基材層121Cに塗布して積層することで作製することができる。発熱組成物は、前述した成分を全て一度に混合することで調製されても良いが、予め、増粘剤を水に溶解したものに反応促進剤を溶解して水溶液を準備し、次に被酸化性金属と炭素成分とをプレ混合したものを水溶液と混合しても良い。
反応促進剤は、発熱組成物中の他の成分と同時に混合しても良いが、発熱組成物を積層した後に別途水等に溶解させた反応促進剤を浸透、噴霧又は滴下等により添加しても良いし、反応促進剤の粉末を散布しても良い。
基材層121Cの少なくとも一方の面に、上述の発熱組成物が積層されると、基材層121Cに発熱組成物中の水の少なくとも一部が吸収され、基材層121C上に発熱層121Aが形成される。発熱層121Aは、基材層121Cに吸収されなかった残余の成分から構成される。発熱層121Aは、基材層121C上に存在していてもよいし、発熱層121Aの下部が基材層121Cに少なくとも一部埋没していてもよい。また、発熱層121Aは、基材層121Cの一方の面に設けられてもよいし、基材層121C及び基材層121B(図示せず)に挟まれた形で設けられていてもよい。図1には、発熱層121Aが基材層121Cの一方の面に設けられている例を示す。
図6は、この製造方法をより具体的に説明する図である。まず、塗工槽301に、発熱組成物302を構成する原料を用意する。発熱組成物302は、攪拌器303により攪拌して、被酸化性金属、及び、保水剤、水に不溶な成分をより均一に分散させてもよい。
ついで、ポンプ304により発熱組成物302をダイヘッド305までくみ上げる。くみ上げた発熱組成物302は、ダイヘッド305を用いて、加圧して押し出しながら基材層121Cに塗工する。このとき、発熱組成物302の塗工坪量は、160〜4,800g/mが好ましく、320〜2,200g/mとすることがより好ましい。
なお、図6では、ダイコーティングによる塗工を例示したが、これに塗工方法は、これに限定されず、例えば、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーディング、カーテンコーター等などを用いることもできる。
以上の操作により、発熱層121Aと基材層121Cとを備える発熱物の連続長尺物が得られるので、これを任意の大きさに裁断し、第1袋体122に収容することで、発熱体120が形成される。
ここで、24℃、B型粘度計にて発熱組成物の粘度は8,000mPa・s〜28,000mPa・sであることが好ましく、さらに9,000mPa・s〜25,000mPa・sであり、さらに10,000mPa・s〜20,000mPa・sであることが好ましい。このようにすることで、塗布時の作業性を向上させ、均一な発熱層121Aが形成可能である。
次に、図2から4を参照して、温熱具100のその他の構成について説明する。
温熱具100は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して十分な温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100に準拠した測定において、発熱温度40〜70℃の性能を有することができる。温熱具100は、本実施形態では、水蒸気の発生を伴う蒸気発熱具である。温熱具100は、本実施形態では、いわゆるアイマスクタイプのものであり、ヒトの目及びその周囲に当接させて、所定温度に加熱された水蒸気(以下、「蒸気温熱」とも言う。)を目及びその周囲に付与するために用いられるものである。
温熱具100は、本体部101と、耳が挿入される孔104が形成された耳掛け部102とを有している。
本体部101は、長手方向Xとこれに直交する幅方向Yを有する横長の形状をしている。本体部101は略長円形をしている。耳掛け部102は一対で用いられ、各耳掛け部102は本体部101の長手方向(X方向)の各端部にそれぞれ取り付けられている。温熱具100は、各耳掛け部102を着用者の耳に掛けて、本体部101を着用者の両目を覆うように装着される。この着用状態下、温熱具100から発生した蒸気温熱が着用者の目に施され、目の疲れや充血、眼精疲労が緩和され、またリラックス感が得られる。更に入眠感も誘発される。
図3には、温熱具100の分解斜視図が示されている。同図においては、耳掛け部102は本体部101上に配置されている。また図4には、温熱具100のX方向に沿う断面図が示されている。温熱具100の本体部101は、前述した発熱体120と、この発熱体120を収容する第2袋体110とを有する。
第2袋体110は、着用者の肌に近い側に位置する第2袋体第1シート110Aと、着用者の肌から遠い側に位置する第2袋体第2シート110Bとを有している。
第2袋体第1シート110Aの坪量は、内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や保温性、柔軟性、厚みの観点から20〜200g/m2が好ましく、さらに坪量が40〜110g/m2であることが好ましい。
また、第2袋体第2シート110Bも内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や保温性、柔軟性、厚みの観点から坪量20〜200g/m2が好ましく、さらに坪量が40〜110g/m2であることが好ましい。
なお、蒸気を放出するとともに発熱層121Aに酸素を供給するという観点から第2袋体第1シート110Aの通気度は、6,000秒/100ml以下であり、1,000秒/100ml以下であることがより好ましい。発熱部121から蒸発した水蒸気は、第1袋体の第1シート122A、及び第2袋体第1シート110Aを通過して、肌に到達する。
第2袋体第1シート110A及び第2袋体第2シート110Bは同形であり、略長円形をしている。そして、第2袋体第1シート110A及び第2袋体第2シート110Bの外形が本体部101の外形をなしている。第1袋体第1シート110A及び第2袋体第1シート110Bはそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を接合し、かつX方向の中央部をY方向に沿って接合することで、内部に2つの空間を有する袋体110となされる。そして、各空間内に発熱体120がそれぞれ収容される。第1袋体第1シート110A及び第2袋体第2シート110Bを接合するためには、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。なお、袋体110内には、発熱体120が収容されるが、発熱体120は接着剤やヒートシール等(図示略)により、袋体110に固定されていてもよい。
第2袋体第1シート110A及び第2袋体第2シート110Bとしては、たとえば、不織布をはじめとする繊維シートを使用できる。たとえば、ニードルパンチ不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等を使用できる。
袋体110には、そのX方向に延びる2つの長辺の中央部の位置において、該長辺からY方向に沿って内方に切れ込んだ略V字形のノッチ部113A,113Bが形成されている。ノッチ部113A,113Bは、切れ込みの程度が異なっている。ノッチ部113Aは、温熱具100を装着したときに、着用者の眉間又はその近傍に位置する。ノッチ部113Bは、温熱具100を装着したときに、着用者の鼻梁に位置する。したがって、ノッチ部113Aよりもノッチ部113Bの方が切れ込みの程度が大きくなっている。なお、図2に示すノッチ部113A,113Bは、それらの少なくとも一方がスリットであってもよい。
温熱具100における耳掛け部102は、その使用前の状態では、図3及び図4に示すように、本体部101における第2袋体第1シート110A上に配置されている。温熱具100を使用するときには、図2に示すように、耳掛け部102をX方向の外方へ向けて反転させて、開いた状態にする。使用前の状態、すなわち左右の耳掛け部102が本体部101上に位置している状態においては、左右の耳掛け部102によって形成される輪郭は、本体部101の輪郭とほぼ同じになっている。耳掛け部102は、袋体110と同様な材料を用いることができる
本実施形態の温熱具100は、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)によって包装されて、発熱部121が空気中の酸素と接触しないようになっている。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、構成や配置変更、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記実施形態では、温熱具として、着用者の目に当接させて使用するアイマスク型のものを例示したが、これに限られるものではない。
たとえば、温熱具は、着用者の肩、膝、肘等に当接させて使用するものであってもよい。この場合には、耳掛け部102にかえて粘着剤等の固定手段を設けることが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
〔発熱組成物の調製〕
まずはじめに、表1で示す実施例1〜8及び表2で示す比較例1〜4の組成にてスラリー状の発熱組成物を調整した。
なお、被酸化性金属、炭素成分、水、反応促進剤、及び水溶性高分子の種類、製品名及び製造元は以下のとおりである。
被酸化性金属:鉄粉(鉄粉RKH、平均粒径45μm、DOWA IP クリエイション(株)製)
炭素成分:
・DO−2(日本エンバイロケミカルズ(株)製)
・CB(フタムラ化学(株)製)
・KR(フタムラ化学(株)製)
・活性炭素破砕状I(和光純薬工業(株)製)平均粒径60μm
・活性炭素破砕状II(和光純薬工業(株)製)平均粒径175μm
・粒状白鷺WH−2c(日本エンバイロケミカルズ(株)製)
・カルボラフィン(日本エンバイロケミカルズ(株)製)
水:水道水
反応促進剤:塩化ナトリウム(局方塩化ナトリウム、大塚化学(株)製)
水溶性高分子:
・キサンタンガム(エコーガムBT、DSP五協フード&ケミカル(株)製)平均分子量200万
・グアーガム:(太陽化学製)平均分子量20〜30万
・ヒドロキシメチルプロピルセルロース:(信越化学製)平均分子量1〜20万
なお、水溶性高分子の平均分子量は重量平均分子量であり、ゲルパーメーションクロマトグラフィーにより計測されたものである。
〔発熱部121の製造〕
得られた実施例1〜8及び比較例1〜4の発熱組成物をそれぞれ25cm(5cm×5cm)の基材層121C上に上記発熱組成物を、温熱具1個あたり塗布量2.0g(鉄粉量として25cmあたり1.09〜1.33g)にて塗布し、発熱部121を得た。塗布方法はダイコーティング法を用いた。
なお、基材層121Cとして、木材パルプ製の紙(20g/m、伊野紙(株)製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、30g/m50g/m、アクアリックCA、(株)日本触媒製)と木材パルプ製の紙(30g/m、伊野紙(株)製)を積層して一体化したポリマーシートを使用した。
〔温熱具の製造〕
得られた発熱部全体を第1袋体で被覆し発熱体を作成した。具体的には、通気性を有する6.5cm×6.5cmの第1袋体[肌側に第1袋体第1シート(通気度2,500秒/ml、坪量50g/m、TSF−EU、(株)興人社製)、肌と反対側に第1袋体第2シート(非通気性、坪量40g/m、ポリエチレン100%)]に実施例1〜8、比較例1〜4の発熱部をそれぞれ入れて、周縁部を密閉シールした。このとき、基材層側が、第1袋体第1シート側に位置するように、発熱部を第1袋体中に配置した。
得られた発熱体を、第2袋体7.5cm×7.5cm[肌側に第2袋体第1シート(エアスルー不織布、ポロプロピレン100%、繊維径1dtex、通気度1秒/100ml、坪量30g/m)、肌と反対側に第2袋体第2シート(ニードルパンチ不織布PP製、繊維径2.2dtex、通気度1秒/100ml、坪量80g/m)]の中に入れて、周縁部を密閉シールしたものを温熱具とした(図1参照)。温熱具は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れた。
(評価方法)
実施例1〜8及び比較例1〜4の温熱具について、以下のように評価した。評価結果は、表1及び表2に示した。
以下、1.安定性、2.塗工性、3.粘度、4.発熱層の水分率、5.発熱層の水分量、6.基材層の水分量、7.炭素成分の吸水率、8.炭素成分の平均粒子径、9.被酸化性金属の平均粒子径、10.発熱特性、および11.10分間の蒸気量について測定方法を記述する。
1.安定性
安定性は、発熱組成物を200mlビーカー内でTOKI SANGYO製(VISCOMETER B型粘度計)で、#4のローターを用い、回転数200rpmで20分攪拌、30分静置後に目視確認し、分離、沈降しているかどうかで判断した。分離、沈降したものを不良とし、分離、沈降していないものを良好とした。実施例1〜8については、安定性に優れたものであった。
2.塗工性
塗工性は、ダイコーティングでむらなくぬれているかどうかで判定した。表1に示すように、実施例1〜8については、塗工性はいずれも良好であった。
3.粘度
粘度は、以下のようにして計測した。
TOKI SANGYO製(VISCOMETER BH型粘度計)で、#4あるいは#3のローターを用い、回転数6rpmとし、100mlトールビーカーを用いて測定温度20℃で1分後の測定値を粘度とした。表1に示すように、実施例1〜8については、発熱組成物の粘度は、14,200mPa・s〜25,000mPa・sであった。
4.発熱層の水分率R(%)
発熱層121A中の水分率は次のように求められる。基材層121Cに塗布された発熱層121A全体を、薬さじで1〜2gかきとって回収し、質量を計測する(質量P)。その後、窒素気流下でKett水分計(FD−240)を用いて120℃15分間乾燥して再度質量を計測する(質量Q)。発熱層の水分率Rは次式で表される。
R(%)=(P−Q)/P×100。
5.発熱層の水分量C(g)
発熱組成物の比率より算出される固形分(水を除く組成比の合計値を全組成比の合計値で除した値)をXとし、塗工量をY(g)とすると、発熱層中の水分量Zは次式で表される。
Z(g)=(R×X×Y/100)/(1−R/100)
6.基材層の水分量D(g)
基材層121Cに含まれる水分量Dは、塗工量をY(g)とすると、発熱組成物の配合比率より次式で表される。
D(g)=Y×(1−X)−Z
7.炭素成分の吸水率(%)
炭素成分の吸水率は、以下のようにして計測した。
まず、濾紙を敷いた5.0mLのベローズピペットの先端を水中に2分間浸し、濾紙に完全に吸水させる。炭素成分を濾紙上に測り取り(質量a)、再びスポイトの先端を水中に浸す。毛管現象により炭素成分の吸水量が飽和に達した時点の質量(質量b)を測定する。炭素成分の最大吸水率は{(質量b−質量a)/(質量a)}×100と表される。なお、炭素成分の吸水量が飽和に達した時点とは、質量bが変動しなくなったときの状態をいう。
8.炭素成分の平均粒子径
炭素成分の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した。炭素成分を水中で分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMADZU製、SALD−300)により、炭素成分の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定した。
9.鉄粉の平均粒子径
鉄粉の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した。鉄粉成分を水中で分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMADZU製、SALD−300)により、鉄粉成分の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定した。
10.発熱特性の評価(昇温時間、最高温度)
JIS S4100に準拠した測定機を用いて、温熱具100の肌面側を外側にし、肌側の面と反対側の面に温度センサーを設置して固定した。固定には、メッシュ材(ポリエステル製、厚み8ミリのダブルラッセル生地)を使用した。開封後、10秒間隔で温度を測定して40分間測定を行い、その最高温度を比較した。具体的には、温度の立ち上がり(35℃からスタートし、発熱温度が45℃に到達した時間(分))、酸素遮断袋から開封後の最高温度(℃)について評価した。
11.15分間の蒸気量
水蒸気の発生の持続時間は、図7に示す装置30を用いて次のように測定した。図7に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積2.1L)31と、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32と、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33とを備えている。流入路32には、入口温湿度計34と入口流量計35とが取り付けられている。一方、流出路33には、出口温湿度計36と出口流量計37とが取り付けられている。測定室31内には温度計(サーミスタ)38が取り付けられている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用した。測定環境温度30℃(30±1℃)において温熱具を包装材から取り出し、その水蒸気放出面を上にして測定室31に載置する。金属球(4.5g)をつけた温度計38をその上に載せる。この状態で測定室31の下部から除湿空気を流す。入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求める。さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から温熱具が放出した水蒸気量を算出する。この装置の詳細は、本出願人の先の出願に係る特開2004−73688号公報に記載されている。
実施例1〜8では、いずれも発熱組成物の安定性に優れ、昇温時間が比較的短く、最高温度も適切なものとなった。さらには、15分間の蒸気発生量も多く、塗工性も良好であった。なかでも、平均粒子径が110μm以下の炭素成分を使用した実施例1〜5、実施例8では、被酸化性金属と炭素成分と水溶性高分子と水とが非常に良好な構造を形成し、昇温時間が非常に短く、最高温度も適度に高く、15分間の蒸気発生量も非常に多かった。
さらに、炭素成分の吸水率が300%以下である炭素成分を使用した実施例1〜7では、発熱組成物の粘度が低く、塗工性が非常に良好であり、最高温度も適度にすることができた。以上の点を鑑みると、実施例1〜8のなかでも、分子量100万以上の水溶性高分子を使用し、吸水率が300%以下であり、平均粒径が100μm以下、特に30μm以下の炭素成分を使用した場合、発熱特性と発熱組成物の粘度とのバランスが非常に良好なものとなるうえ、発熱組成物の安定性も良好となることがわかる。
これに対し、比較例1〜3では、発熱組成物が分離し、塗工性がわるかった。比較例4では、吸水率の低い炭素成分を使用したため、発熱組成物が分離し、塗工性がわるかった。
Figure 2013208333
Figure 2013208333
30 装置
31 測定室
32 流入路
33 流出路
34 入口温湿度計
35 入口流量計
36 出口温湿度計
37 出口流量計
38 温度計
100 温熱具
101 本体部
102 耳掛け部
104 孔
110 第2袋体
110A 第2袋体第1シート
110B 第2袋体第2シート
113A ノッチ部
113B ノッチ部
120 発熱体
121 発熱部
121A 発熱層
121C 基材層
122 第1袋体
122A 第1袋体第1シート
122B 第1袋体第2シート
301 塗工槽
302 発熱組成物
303 攪拌器
304 ポンプ
305 ダイヘッド

Claims (5)

  1. 被酸化性金属、炭素成分、分子量100万以上の水溶性高分子、及び水を含有する発熱層と、基材層とが積層されてなる温熱具であって、
    前記炭素成分は、吸水率が前記炭素成分の自重の160%以上、400%以下であり、且つ、平均粒子径が10〜400μmであり、
    当該基材層中の水の含有量と、当該温熱具中の被酸化性金属の含有量との質量比(水/金属)が0.05〜0.38である温熱具。
  2. 炭素成分の含有量に対する発熱層中の水の含有量の質量比(水/炭素成分)が、0.8〜4である請求項1記載の温熱具。
  3. 温熱具中の水の含有量が被酸化性金属100質量部に対し、35〜55質量部であり、前記発熱層中の水分率が22%質量以下である請求項1又は2記載の温熱具。
  4. 温熱具中の水の含有量と、当該温熱具中の分子量100万以上の水溶性高分子の含有量との質量比(水/高分子)が60〜500である請求項1〜3の何れか1項に記載の温熱具。
  5. 前記水溶性高分子は、キサンタンガムである請求項1〜4の何れか1項に記載の温熱具。
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