JP2005224317A - シート状加温具 - Google Patents

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雅隆 石川
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Abstract

【課題】 薄型で柔軟性を有し、発熱性及び携行性にも優れ、種々の用途に適用することができるシート状加温具を提供すること。
【解決手段】 被酸化性物質、保水剤及び繊維状物を含む発熱性の抄造シート2と、抄造シート2を収容する通気性の収容体4とを備えたシート状加温具である。収容体4の一部が通気性シート5で設けられており、通気性シート5と抄造シート2との間に前記断熱シート3が配されておらず、曲げ強度が0.01〜0.3N/cmである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空気中の酸素と被酸化性物質との酸化反応に伴う発熱を利用したシート状加温具に関する。
空気中の酸素と被酸化性金属粉体との酸化反応に伴う発熱を利用したシート状加温具に関する従来技術として、例えば下記特許文献1に記載の加温型座布団が知られている。この加温型座布団は、空気と接して発熱する発熱組成物を、柔軟性及び通気性を有する発泡シートである表面材と、柔軟性及び断熱性を有する裏面材とで挟持し、さらに表面材側に通気孔を有する被覆材で被覆したものである。
ところで、この加温型座布団は、被覆材と発熱組成物との間にクッション材として発泡シートが配されているため、発熱組成物の発熱が表面まで伝わりにくく且つ発泡シートによって座布団が厚くならざるを得ず、嵩張って携行にも不便であった。また、発熱組成物が粉体であるため、使用時に偏りが発生し発熱温度に大きなムラを生じたり、商品サイズに限界があるため、使用勝手に劣るものであった。さらには粉体特有のガサガサ音や座った時の違和感があり、商品として満足できるものではなかった。
実開平1−158762号公報
従って、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、薄型で柔軟性を有し、発熱性及び携行性にも優れ、種々の用途に適用することができるシート状加温具を提供することを目的とする。
本発明は、被酸化性物質、保水剤及び繊維状物を含む発熱性の抄造シートと、該抄造シートを収容する通気性の収容体とを備えたシート状加温具であって、
前記収容体の一部が通気性シートで設けられており、
前記通気性シートと前記抄造シートとの間に断熱シートが配されておらず、
曲げ強度が0.01〜1.0N/cmであるシート状加温具を提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明のシート状加温具は、薄型で柔軟性を有し、発熱性及び携行性にも優れているので、種々の用途に適用することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のシート状加温具(以下、単に加温具ともいう。)の一実施形態を示すものである。図1において、符号1は加温具を示している。
図1に示すように、加温具1は、発熱性の抄造シート(以下、後述する電解質成分が含まれていない場合を発熱中間シート、電解質成分と水が含まれている場合を発熱シートという。)2及び断熱シート3が、通気性を有する収容体4内に配されている。
加温具1は、収容体4が、通気性シート5及び非通気性シート6で設けられており、通気性シート5と抄造シート2との間に断熱シート3は配されていない。断熱シート3は、抄造シート2と非通気性シート6との間に配されている。
加温具1の曲げ強度は、0.01〜1.0N/cmであり、好ましくは0.02〜0.8N/cmであり、より好ましくは0.03〜0.5N/cmである。曲げ強度が係る範囲であると、柔軟性に優れ、折り畳みが容易になって携行性も良好となる。ここで曲げ強度は、3点曲げ試験による曲げ強度で評価される。
加温具1は、発熱を終了した後の曲げ強度が、好ましくは0.05〜3.0N/cm、より好ましくは0.02〜1N/cmである。曲げ強度がこの範囲であると使用開始から使用を終えるまで柔軟性に優れている。また、廃棄処分も容易に行える加温具となる。
加温具1の厚みは、1〜30mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。加温具の厚みを斯かる範囲とすることで、薄型で携行性も良好となる。
加温具1の坪量は100〜3000g/m2、特に200〜1500g/m2であることが好ましい。加温具1の坪量をこのような範囲とすることで、薄くて柔軟性に優れ、身体に触れる用途でも、使用中の違和感がない。
加温具1の面積及び形状等の形態は、その用途に応じて適宜設定することができる。
前記発熱シート2の厚みは0.08〜10mm、特に0.2〜5mmが好ましい。発熱シート2の厚みを斯かる範囲とすることで、薄型で柔軟性及び発熱性に優れる加温具を得ることができる。
発熱シート2は、被酸化性物質、保水剤及び繊維状物を含んでいる。
発熱中間シート2は、前記繊維状物以外の成分を50重量%以上含んでいることが好ましく、70重量%以上含んでいることがより好ましく、80重量%以上含んでいることがさらに好ましい。繊維状物以外の成分が50重量%以上であると、発熱温度を人の指先等で触って熱く感じる程度以上に十分に上昇させることができる。繊維状物以外の成分は多い程好ましいが、発熱中間シート2の加工性を維持するのに必要な強度を得る点から、その上限は、98重量%程度である。
前記被酸化性物質には、従来からこの種の発熱成形体に通常用いられている被酸化性物質を特に制限無く用いることができる。該被酸化性物質の形態は、取り扱い性、成形性等の観点から粉体、繊維状の形態を有するものを用いることが好ましい。
粉体の形態を有する被酸化性物質としては、例えば、鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、マンガン粉、マグネシウム粉、カルシウム粉等が挙げられ、これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。該被酸化性物質には、後述の繊維状物への定着性、反応のコントロールが良好なことから粒径(以下、粒径というときには、粉体の形態における最大長さ、又は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される平均粒径をいう。)が0.1〜300μmのものを用いることが好ましく、粒径が0.1〜150μmのものを50重量%以上含有するものを用いることがより好ましい。
また、繊維状の形態を有する被酸化性物質としては、スチール繊維、アルミ繊維、マグネシウム繊維等が挙げられる。これらのなかでも取り扱い性、安全性、製造コストの点からスチール繊維、アルミ繊維等が好ましく用いられる。繊維状の形態を有する被酸化性物質は、成形性や得られるシートの機械的強度、表面の平滑性、発熱性能の点から繊維長0.1〜50mm、太さ1〜1000μmのものを用いることが好ましい。
発熱中間シート2中の前記被酸化性物質の配合量は、10〜95重量%であることが好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。該配合量が10重量%以上であると、発熱シート2の発熱温度が、人が指先等で触って熱く感じる程度以上に十分に上昇させることができる。また、発熱シートを成形する後述の繊維状物、接着成分(凝集剤等)の使用量を抑えることができ、硬さの点で使用感に優れたものとなる。該配合量が95重量%以下であると、発熱シート2の内部まで反応が十分に起こり、発熱温度を十分なものとすることができる。また、酸化反応による、被酸化性物質の膨張、凝結による硬化も比較的少ない。発熱時間も十分なものとすることができ、保水剤による水分供給も十分なものとすることができ、また、被酸化性物質の脱落も生じ難い。また、発熱シート2を構成する後述の繊維状物、接着成分(凝集剤等)をある程度以上用いることになるので、曲げ強度や引張強度等の機械的強度を十分に確保することができる。ここで、発熱シート2中の被酸化性物質の配合量は、JIS P8128に準じる灰分試験や熱重量測定器で求めることができる。例えば、鉄の場合は外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
前記保水剤には、従来から発熱成形体に通常用いられている保水剤を特に制限無く用いることができる。該保水剤は、水分保持剤として働く他に、被酸化性物質への酸素保持/供給剤としての機能も有している。該保水剤としては、例えば、活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ、カンクリナイト、フローライト等が挙げられ、これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。該保水剤には、被酸化性物質との有効な接触状態を形成できる点から粒径が0.1〜500μmの粉体状のものを用いることが好ましく、0.1〜200μmのものを50重量%以上含有するものを用いることがより好ましい。保水剤には、上述のような粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、活性炭繊維等の繊維状の形態のものを用いることもできる。
発熱中間シート2中の前記保水剤の配合量は、0.5〜60重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましい。該配合量が0.5重量%以上であると、被酸化性物質が酸化反応により人体温度以上に温度上昇する程度に反応を持続させるために必要な水分を発熱シート2中に十分蓄積でき、また、発熱シート2の通気性を十分なものとすることができ、酸素供給が十分となり、発熱効率に優れる。該配合量が60重量%以下であると、得られる発熱量に対する発熱シート2の熱容量を抑えることができ、発熱温度上昇を十分なものとすることができるほか、保水剤の脱落も発生し難く、発熱シート2を成形する後述の繊維状物、接着成分を確保することができるため、曲げ強度や引張強度等の機械的強度を確保することができる。
前記繊維状物としては、例えば、天然繊維状物としては植物繊維(コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等)、動物繊維(羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等)、鉱物繊維(石綿等)が挙げられ、合成繊維状物としては、例えば、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等)、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維、又はこれらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を用いることができる。そしてこれらの中でも、繊維どうしの接着強度が高く、繊維どうしの融着による三次元の網目構造を作り易すく、パルプ繊維の発火点よりも融点が低い点からポリオレフィン、変性ポリエステルが好ましく用いられる。また、枝分かれを有するポリオレフィン等の合成繊維も被酸化性物質や保水剤との定着性が良好なことから好ましく用いられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの繊維は、その回収再利用品を用いることもできる。そして、これらの中でも、前記被酸化性物質、前記保水剤の定着性、得られる成形シートの柔軟性、空隙の存在からくる酸素透過性、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットンが好ましく用いられる。
前記繊維状物は、そのCSF(Canadian Standard Freeness)が、600ml以下であることが好ましく、450ml以下であることがより好ましい。600ml以下であると、繊維状物と前記被酸化性物質や保水剤等の成分との定着性も十分であり、所定の配合量を保持でき、発熱性能にも優れる。また、均一な厚みのシートが得られ、成形状態も良好となり好ましい。また、繊維状物と該成分との定着性が十分となることで、該成分の脱落は生じ難く、該成分と該繊維状物との絡み合い、水素結合に由来する結合強度も十分となり、曲げ強度や引張強度等の機械的強度を十分に確保することができ、加工性にも優れる。
前記繊維状物のCSFは、低い程好ましいが、通常のパルプ繊維のみの抄紙では、繊維状物以外の成分比率が低い場合には、CSFが100ml以上である方が、濾水性にも優れ脱水を十分に行なうことができ、均一な厚みの発熱シートを得る上で好ましい。また、乾燥時にブリスター破れが生じる場合もなく、良好な成形を行なうことができる。本発明においては、繊維状物以外の成分比率が高い場合には、濾水性も良好で均一な厚みの発熱シートを得ることができる。また、CSFが低い程、フィブリルが多くなるため、繊維状物と該繊維状物以外の成分との定着性が良好となり、高いシート強度を得ることができる。
繊維状物のCSFの調整は、叩解処理などによって行うことができる。CSFの低い繊維と高い繊維とを混ぜ合わせ、CSFの調整を行っても良い。
前記繊維状物は、そのゼータ電位がマイナス(負)であることが好ましい。ここで、ゼータ電位とは、荷電粒子界面と溶液間のずり面におけるみかけの電位をいい、流動電位法、電気泳動法等により測定される。そのゼータ電位がマイナスである方が、繊維状物への前記被酸化性物質や保水剤等の成分の定着が良好であり、所定の配合量を保持でき、発熱性能を十分なものとすることができる。また、排水に多量の該成分が混じることもなく、ロスがなく、生産性、環境保全上も好ましいものである。
該繊維状物には、平均繊維長が0.1〜50mmのものを用いることが好ましく、0.2〜20mmのものを用いることがより好ましい。繊維長が短すぎると得られる発熱シート2の曲げ強度や引張強度等の機械的強度が十分に確保できなくなるほか、繊維層が密に形成されるため発熱シート2の通気性が損なわれ、酸素供給が悪く発熱性に劣る場合がある。繊維長が長すぎると発熱シート2中に該繊維状物が均一に分散しづらくなり、一様な機械的強度が得られなくなるほか、均一な肉厚の発熱シート2が得られなかったり、繊維間隔が広くなり、繊維による前記被酸化性物質や保水剤等の成分の保持能力が低くなり該成分が脱落し易くなる場合がある。
発熱中間シート2中の前記繊維状物の配合量は、2〜50重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましい。該配合量が2重量%未満であると、被酸化性物質や保水剤等の成分の脱落防止効果が低下するほか、発熱シート2が非常に脆いものになる場合がある。該配合量が50重量%を超えると、発熱シート2の発熱量に対する熱容量が大きくなり、温度上昇が小さくなるほか、得られる発熱シート2中の他の成分の比率が低くなるため、所望の発熱性能が得られない場合がある。
ここで、各成分の組成比は、例えば熱重量測定装置により繊維状物の含有量と被酸化性物質の含有量を求め、総量からの引き算により保水剤の含有量を求めることができる。
発熱中間シート2は、その1枚の厚みが0.08〜1.2mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがより好ましい。該厚みが0.08mm以上であると、発熱性能、機械的強度、前記被酸化性物質や保水剤等の成分の定着性が十分であり、安定した均一の肉厚、組成分布を得ることができる。また、ピンホールの発生等によるシートの破壊等も発生し難く、生産性及び加工性の点でも好ましい。該厚みが1.2mm以下であると、折曲強度に優れ、柔軟性もあり、特に肘、膝、顔等の身体部位の屈伸する部位に装着した場合の装着性に優れる。また、生産性においても、紙層形成時間や乾燥時間を比較的短くすることができ操業性に優れる。また、加工性の点でも好ましい。ここで、発熱中間シートの厚みは、JIS P8118に準じ、成形シートの5点以上を測定し、その平均値を厚みとして算出することができる。
発熱中間シート2は、その1枚の坪量が10〜1000g/m2であることが好ましく、50〜600g/m2であることがより好ましい。該坪量が10g/m2以上であると、被酸化性物質等の中でも比重の大きなものを使用する場合等においても、安定したシートを十分に形成することができるので好ましい。該坪量が1000g/m2以下であると、使用感、生産性、操業性等に優れており好ましい。該坪量は、得られた発熱中間シート2について、少なくとも100cm2以上の面積について重量を測定し、その面積で除すことにより算出することができる。
発熱中間シート2は、その密度が0.6〜1.5g/cm3であることが好ましく、0.7〜1.0g/cm3であることがより好ましい。該密度が0.6g/cm3以上であると、被酸化性物質とそれ以外の成分との絡み合いが十分であり、強度の面で好ましい。また、該密度が1.5g/cm3を以下であると、成形体の通気性も十分なものとなり、発熱特性を十分に発揮することができる。該密度は、発熱中間シート2の坪量をその厚みで除すことにより算出することができる。
発熱中間シート2は、その裂断長が100〜4000mであることが好ましく、200〜3000mであることがより好ましい。該裂断長が100m以上であると、操業時に十分に安定的にシートを形成でき、加工時にも製品加工を好ましく行なうことができる。また、使用時においても、十分な強度を有し使用感に優れたものとすることができる。該裂断長が4000m以下であると、発熱中間シート2を構成する繊維状物、接着成分の量を抑えることができ、柔軟性に富み、発熱性能に優れたものとすることができる。ここで、裂断長は、発熱中間シート2から長さ150mm×幅15mmの試験片を切り出した後、JIS P8113に準じ、該試験片をチャック間隔100mmで引っ張り試験機に装着し、引っ張り速度20mm/minで引っ張り試験を行い、下記計算式により算出される値である。
裂断長〔m〕=(1/9.8)×(引張強さ〔N/m〕)×106/(試験片坪量〔g/m2〕)
発熱シート2には電解質が含まれる。
前記電解質には、従来からこの種の発熱成形体に通常用いられている電解質を特に制限なく用いることができる。該電解質としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは重金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。そしてこれらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(第1、第2)等の各種塩化物が好ましく用いられる。これらの電解質は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
発熱シート2中の前記電解質の配合量は、発熱シート2中の水重量比で0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜25重量%であることがより好ましい。該配合量が0.5重量%以上であると、得られる発熱シート2の酸化反応を十分なものとすることができ、発熱温度上昇を十分なものとすることができる。該配合量が30重量%以下であると、発熱シート2の通気性を良好な状態とすることができ、また、十分な水を被酸化性物質等に供給することで、発熱性能に優れたものとすることができる。また、発熱シート2に均一に電解質を配合することができる点で好ましい。
発熱シート2には、後述するように凝集剤が添加されていてもよい。
また、発熱シート2には、必要に応じ、サイズ剤、着色剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の抄紙の際に通常用いられる添加物を特に制限無く添加することができる。該添加物の添加量は、添加する添加物に応じて適宜設定することができる。
発熱シート2は、その1枚の厚みが0.08〜2.0mmであることが好ましく、0.15〜1.8mmであることがより好ましい。厚みが0.08mm以上であると、発熱性能、機械強度も十分である。厚みが2mm以下であると、シートの柔軟性も十分であり、使用感にも優れる。ここで、発熱シートの厚みは、JIS P8118に準じ、成形シートの5点以上を測定し、その平均値を厚みとして算出することができる。
発熱シート2は、その1枚の坪量が10〜2000g/m2であることが好ましく、50〜1500g/m2であることがより好ましい。該坪量が10g/m2以上であると、安定した発熱シートの形成を十分に行なうことができる。該坪量が1000g/m2以下であると、使用感の点で好ましい。
発熱シート2は、その密度が0.6〜3.0g/cm3であることが好ましく、0.7〜2.0g/cm3であることがより好ましい。該密度が0.6g/cm3未以上であると被酸化性物質とそれ以外の成分との絡み合いを十分なものとすることができ、発熱体に十分な強度を持たせることができる。また、構成成分の脱落も生じ難く、生産性及び加工性の点で優れている。該密度が3.0g/cm3以下であると、軟らかさの点で好ましく、装着性、肌触りにすぐれ、使用性に優れるほか、成形体の通気性も良好であり、発熱性能や水蒸気の発生の点で優れている。該密度は、発熱シート2の坪量をその厚みで除すことにより算出することができる。
発熱シート2は、発熱到達温度が30〜100℃であることが好ましく、35〜90℃であることがより好ましい。ここで、発熱到達温度は、発熱シートから50mm×50mmの試験片を切り出した後、該発熱シートにJIS Z208で測定される透湿度(以下、本明細書において、単に透湿度という。)が5000g/(m2・24h)の透湿シートと不透湿シートとを両側に袋状に貼り合わせて包装した後、容積4.2リットル、相対湿度1%以下の環境下で密封系内に5.0リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に前記透湿シート側を上面として静置して発熱させたときの発熱シートの下側の温度を熱電対で測定した値である。発熱シート2の発熱到達温度は、商品用途によって急激な発熱が必要な場合や比較的低温で長時間の持続が必要な商品等、前述の配合組成の組み合わせにより任意に設計ができる。
発熱シート2は、単位面積あたり10分間に発生する水蒸気量が、1〜100mg/(cm2・10min)であることが好ましく、1.0〜50mg/(cm2・10min)であることがより好ましい。ここで、該水蒸気量は、以下のように測定される。
容積4.2リットル、湿度1RH%以下とし、密閉系内に5.0リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に水蒸気が蒸散可能なようにシートを静置して発熱させる。そして、前記密閉系内に排出される空気の湿度を湿度計で想定し、下記式(1)を用いて発熱開始後に発生する水蒸気量を求め、単位時間当たりの水蒸気量とした。そして、10分間の累積値を蒸気発生量として求め、単位面積当たりに換算した。ここで、eは水蒸気圧(Pa)、esは飽和水蒸気圧(Pa:JIS Z8806より引用)、Tは温度(℃:乾球温度)、sはサンプリング周期(秒)である。
相対湿度U(%RH)=(e/es)×100
絶対湿度D(g/m3)=(0.794×10-2×e)/(1+0.00366T)
=(0.794×10-2×U×es)/〔100×(1+0.00366T)〕
単位空気容積P(リットル)=(2.1×s)/60
単位時間当たりの水蒸気量A(g)=(P×D)/1000・・・(1)
前記水蒸気量は、発熱到達時間と同様に商品用途によって急激な発熱が必要な場合や比較的低温で長時間の持続が必要な商品等、前述の配合組成の組み合わせにより任意に設計ができる。
発熱シート2は、含水率(重量含水率、以下同じ。)が10〜80%であることが好ましく、20〜60%であることがより好ましい。該含水率が10%以上であると酸化反応を持続するために必要な水分が十分に確保され、酸化反応を持続的に維持できる。また、発熱シート2に均一に水分を供給することが十分に行なえ、均一な発熱性能を得ることができる点で優れる。該含水率が80%以下であると、発熱シート2の発熱量に対する熱容量を抑えることができ、発熱温度上昇を十分にすることができるほか、発熱シート2の通気性も十分に確保でき、発熱性能に優れ、保形性や機械的強度の点でも優れている。
断熱シート3は、通気性を有していないことが好ましいが通気性を有していてもよい。
断熱シート3は、通気性を有せずかつ水分保持力がないシートが最も好ましい。水分保持力のある断熱シートの場合、被酸化性物質の酸化反応時に発生する水蒸気を吸収してしまい、シート自体の水分率が急激に低下することや断熱シートに保持された水分が発熱シートに接するため、発熱の持続時間が短くなったり、温度のバラツキを生じる場合がある。通気性を有する断熱シートを用いる場合には、その表面、特に発熱シート2側に非通気シートを積層させることが好ましい。
このような断熱シートとしては、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、発泡ポリスチレン、発泡メラミン、エアパッキン、嵩高パルプシート、コルゲート紙、織物、不織布等が挙げられる。中でも軽量かつ柔軟性、クッション性に優れた発泡タイプの断熱シートを好ましく用いることができる。また、これらの断熱シートにアルミ箔を積層したり、蒸着したシートは、輻射熱により更に温熱効果を高めることができるので好ましい。
前記断熱シート3の厚みは、使用環境や用途によって、任意に適用できるが、商品の嵩張り、携帯性、廃棄時の処理等の使用勝手と発熱性能の両立から考慮すると0.2〜30mm、特に0.5〜10mmとすることが好ましい。また、断熱シート3の密度は、例えば、加重をかけた際の潰れによる断熱効果の低下や柔軟性等の点から考慮して0.005〜0.9g/cm3、特に0.01〜0.6g/cm3とすることが好ましい。
収容体4は、通気性を有し、前記発熱シート2の構成成分の脱落を防止できるものであればよいが、発熱シート2の十分な発熱特性を得るためには、透湿度が100〜10000g/(m2・24h)、特に200〜8000g/(m2・24h)であることが好ましい。
本実施形態の加温具1では、収容体4は、通気性シート5と非通気性シート6との周縁部が発熱シート2を囲繞するように接合されて設けられている。通気性シート5と非通気性シート6との接合方法は、これらのシートの材質に応じて適宜選択することができる。該接合方法としては、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合、縫合等の方法が挙げられる。
通気性シート5は、通気性を有するシートであれば特に制限はないが、透湿度が100〜10000g/(m2・24h)、特に200〜8000g/(m2・24h)であることが好ましい。透湿度がこのような範囲にあると加温具を包装材から取り出すと直ちに熱と水蒸気がすばやく発生し、暖かくなるのを待つことなく、その温感と加湿感を実感できる。通気性シート5は、その全面に通気性を有していてもよく、部分的に通気性を有していてもよい。
通気性シート5は、坪量が10〜200g/m2、特に20〜100g/m2であることが好ましい。通気性シート5の坪量がこのような範囲であると、薄く柔軟性で非常に感触が良く、加温具1の柔らかさを損なわないものとなるほか、熱と水蒸気とを素早く発生させることができる。
通気性シート5としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂からなるシートに機械的に孔を形成させたものや前記樹脂と無機フィラーの混合シートを延伸により界面剥離させ微孔を設けたもの、また、その結晶構造の界面剥離を利用し、微孔を形成させたもの、発泡成形による連続気泡を利用し微孔を連通させたものなどが挙げられる。また、ポリオレフィン等の合成パルプ、木材パルプ、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維等から形成された不織布、織布、合成紙、紙等も挙げられる。通気性シート5は複数枚を重ねて用いることもできる。
本実施形態の加温具1では、通気性シート5の表面に表面材50が配されている。表面材50は通気性シート5の通気性に影響を与えないものであれば、材質、製法等に特に制限はない。表面材50としては、合成繊維、天然繊維又はこれらの複合繊維製の不織布が挙げられ、該不織布の製法としてはスパンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法、エアレイド法、エアースルー法、抄紙法等が挙げられる。柔らかさ、フレキシブル性を付与できる点よりエアースルー法、エアレイド法が好ましく、また、様々な繊維を使用でき応用性が高い点からスパンレース法が好ましい。表面材50には、種々の香料を保持させることもできる。香料の保持性を考慮するとレーヨン、コットン等の保水性・保油性が高い繊維を使用しやすい点からスパンレース法が好ましい。
表面材50の坪量に特に制限はないが、発熱体の温度を効率良く伝達する点や手触り等の感触、風合いの向上、使用時の擦れや潰れに対する強度を考慮すると、5.0〜200g/m2、特に10〜100g/m2であることが好ましい。
非通気性シート6は、非通気性のシートであれば特に制限はないが、透湿度が10g/(m2・24h)以下、特に1.0g/(m2・24h)以下であることが好ましい。透湿度がこのような範囲にあると、例えば、高温多湿の使用環境下や液状物と接触させて使用するような用途においても非通気シート側からの液状物移動による発熱シートの品質に悪影響を及ぼす恐れはまずないと考えられる。また、発熱に伴う水蒸気の発生方向を部分的に規制することができる。これにより、加温具1では、酸素が通気シート側から供給され、該非通気シート面からは水蒸気の発生が抑えることができ、通気シート側からのみ水蒸気を発生させることができるようになる。
非通気性シート6の坪量は、10〜200g/m2、特に20〜100g/m2が好ましい。非通気性シート6の坪量がこのような範囲であると、加温具の薄さや柔軟性を維持しかつ該発熱シートの隠蔽性を向上させることができる。
非通気性シート6としては、PE、PP等のポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂からなるシートが挙げられ、特に発熱体の隠蔽性が必要とさせる場合は、前記樹脂中に酸化チタン等の無機フィラーを配合したシートが用いられる。非通気性シート6は複数枚を重ねて用いることもできる。
本実施形態の加温具1では、非通気性シート6の表面に表面材60が配されている。表面材60は材質、製法等に特に制限はない。表面材60の材質としては、合成繊維、天然繊維又はこれらの複合繊維製の不織布が挙げられ、該不織布の製法としてはスパンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法、エアレイド法、エアースルー法、抄紙法等が挙げられる。
表面材60の坪量に特に制限はないが、断熱効果の向上や接触物との擦れや潰れに対する強度を考慮すると、5.0〜200g/m2、特に10〜100g/m2であることが好ましい。
加温具1は、未使用状態では酸素不透過性の包装材で包装されて提供される。
加温具1は、例えば、下記のようにして製造される発熱シート2と、断熱シート3とを、収容体4を構成するシート間の所定位置に配し、発熱シート2を封止するように通気性シート5、非通気性シート6、表面材50、60を接合した後、所定の形状に裁断することによって製造される。
発熱シート2の製造に際しては、先ず、前記被酸化性物質、前記保水剤、前記繊維状物、及び水を含む原料組成物(スラリー)を調製する。
該原料組成物には、前記凝集剤を添加することが好ましい。
該凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄等の金属塩からなる無機凝集剤;ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル系、カルボキシメチルセルロースナトリウム系、キトサン系、デンプン系、ポリアミドエピクロヒドリン系等の高分子凝集剤;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド系若しくはエチレンイミン系のアルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物等の有機凝結剤;モンモリロナイト、ベントナイト等の粘土鉱物;コロイダルシリカ等の二酸化珪素若しくはその水和物;タルク等の含水ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。そして、これら凝集剤の中でもシートの表面性、地合い形成、成形性の向上、被酸化性物質や保水剤等の成分の定着率、紙力向上の点からアニオン性のコロイダルシリカやベントナイト等とカチオン性のデンプンやポリアクリルアミド等の併用やアニオン性のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩とカチオン性のポリアミドエピクロルヒドリン系のカチオン性とアニオン性の薬剤の併用が特に好ましい。上述の組み合わせ以外でも、これらの凝集剤は単独で又は二種以上を併用することもできる。
前記凝集剤の添加量は、原料組成物の固形分に対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。0.01重量%以上であると、凝集効果に優れ、抄紙時の前記被酸化性物質や保水剤等の成分の脱落を抑えることができ、また、原料組成物を均一にすることができ、肉厚及び組成の均一な成形シートを得ることができる点で優れている。該添加量が5重量%以下であると、凝集剤が乾燥時の乾燥ロールに貼りつき難く、生産性に優れ、原料組成物の電位バランスも安定したものとなり、抄紙時の白水への前記成分の脱落量を低減できる点で優れている。また、成形シートの酸化反応の進行を抑えることができ、発熱特性や強度等の保存安定性に優れる。
原料組成物の濃度は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましい。該濃度が0.05重量%以上であると、大量の水を使用することがなく、成形シートの成形に要する時間も短時間にすることができるので好ましい。また、均一な厚みのシートを成形することが十分に行える。該濃度が10重量%以下であると、原料組成物の分散性が良好であり、得られるシートの表面性に優れ、均一な厚みのシートが得られる点で好ましい。
次に、前記原料組成物を抄紙して前記成形シートを成形する。
前記成形シートの抄紙方法には、例えば、連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いた抄紙方法、バッチ方式の抄紙方法である手漉法等が挙げられる。更に、前記原料組成物と、該原料組成物と異なる組成の組成物とを用いた多層抄き合わせによって成形シートを成形することもできる。また、前記原料組成物を抄紙して得られた成形シート同志を多層に貼り合わせたり、該成形シートに該原料組成物と異なる組成を有する組成物から得られたシート状物を貼り合わせることによって成形シートを成形することもできる。
前記成形シートは、抄紙後における形態を保つ(保形性)点や、機械的強度を維持する点から、含水率(重量含水率、以下同じ。)が70%以下となるまで脱水させることが好ましく、60%以下となるまで脱水させることがより好ましい。抄紙後の成形シートの脱水方法は、例えば、吸引による脱水のほか、加圧空気を吹き付けて脱水する方法、加圧ロールや加圧板で加圧して脱水する方法等が挙げられる。
前記被酸化性物質(通常雰囲気下において加熱反応性を有する)を含有する成形シートを、積極的に乾燥させて水分を分離することにより、製造工程中における被酸化性物質の酸化抑制、長期の保存安定性に優れた成形シートを得ることが可能となる。さらに、乾燥後の前記繊維状物への被酸化性物質の担持力を高めてその脱落を抑える点に加え、熱溶融成分、熱架橋成分の添加による機械的強度の向上が期待できる点から、前記成形シートの抄紙後で前記電解質の電解液を含有させる前に該成形シートを乾燥させることが好ましい。
成形シートは加熱乾燥によって乾燥することが好ましい。この場合、加熱乾燥温度は、60〜300℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。成形シートの加熱乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなるため、水分の乾燥とともに、被酸化性物質の酸化反応が促進されてしまい、発熱シートの発熱性の低下を引き起こす場合があるほか、発熱シートの表裏層のみ被酸化性物質の酸化反応が促進され、うす茶色に変色する場合がある。加熱乾燥温度が高すぎると、保水剤等の性能劣化を招き、発熱シートの発熱効果が低下するほか、成形シート内部で急激に水分が気化して成形シートの構造が破壊されたりする場合がある。
乾燥後における成形シート(発熱中間シート)の含水率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。含水率が20%以下であると、長期保存安定性に優れ、例えば巻きロール状態で一時保存しておく場合等でも、該ロールの厚み方向での水分の移動が起こり難く、発熱性能、機械的強度において均一な製品を供給することができる点で優れている。
該成形シートの乾燥方法は、成形シートの厚さ、乾燥前の成形シートの処理方法、乾燥前の含水率、乾燥後の含水率等に応じて適宜選択することができる。該乾燥方法としては、例えば、加熱構造体(発熱体)との接触、加熱空気や蒸気(過熱蒸気)の吹き付け、真空乾燥、電磁波加熱、通電加熱等の乾燥方法が挙げられる。また、前述の脱水方法と組み合わせて同時に実施することもできる。
前記成形シートの成形(脱水、乾燥)は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、上述のように成形シートに酸化助剤となる電解質を含有していないので、必要に応じて通常の空気雰囲気下で成形を行うこともできる。このため、製造設備を簡略化することができる。また、必要に応じて、クレープ処理、スリット加工、トリミングを施したり、加工処理により形態を変更する等の加工を施すこともできる。得られた成形シートは、薄くて破れにくいので、必要に応じ、ロール状に巻き取ることができる。また、成形シートを、単独若しくは重ねて又は紙、布(織布又は不織布)、フィルム等の他のシートと重ねて、加圧したり、さらには加圧しエンボス加工やニードルパンチ加工を行うことにより、複数のシートを積層一体化させたり、凹凸状の賦型や孔あけを行うこともできる。また、前記原料組成物に熱可塑性樹脂成分や熱水解成分を含有させることにより、ヒートシール加工を施して貼り合わせ等を行い易くすることもできる。
次に、前記成形シート(発熱中間シート)に前記電解質を含有させる。この電解質を含有させる工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、電解質をその電解液の含浸により添加する場合には、添加直後の酸化反応がゆるやかなため、通常の空気雰囲気下で該電解質を含有させることもできる。
前記成形シートへ前記電解質を含有させる方法は、抄紙後における当該成形シートの処理方法、含水率、形態等に応じて適宜設定することができる。該電解質を含有させる方法としては、例えば、前記成形シートに、前記電解質の所定濃度の電解液を含浸させる方法、前記電解質の所定粒径のものを固体のまま添加して成形シートに含有させる方法、所定濃度の電解液をシリンジ等で該成形シートの一部分に注入し、前記繊維状物の毛管現象を利用して該成形シート全体に浸透させる方法等が挙げられる。成形シートに電解質を均一に含有させることができる点や含水率の調整が同時に行える点からは、所定濃度の電解液を含浸させる方法が好ましい。
上述のように前記電解質をその電解液で前記成形シートに含浸させる場合、その含浸方法は、成形シートの厚み等の形態、含水率に応じて適宜選択することができる。該含浸方法には、該電解液を該成形シートにスプレー塗工する方法、刷毛等で塗工する方法、該電解液に浸漬する方法、グラビアコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等が挙げられ、これらの中でも、電解質を均一に分布でき、簡便で、設備コストも比較的少なくて済む点からスプレー塗工する方法が好ましい。また、複雑な形状、層構成の商品においては生産性が向上する点や最終仕上げを別工程とできることにより生産のフレキシブル性が良好となる点、設備が簡便となる点から、所定濃度の電解液をシリンジ等で注入する方法が好ましい。この電解液を注入する方法は、該成形シートを前記収容体に収容した後に行うこともできる。
上述のように成形シートに電解質を含有させた後、必要に応じて含水率を調整し、安定化させて発熱シートとすることができる。そして必要に応じ、トリミング、二枚以上の積層化等の処理を施し、所定の大きさに加工することができる。
このようにして得られる加温具1は、薄型で柔軟性を有し、発熱性及び携行性にも優れている。また、使用後にも柔軟性が保たれるので、折りたたんだり、丸めるなどして容易に廃棄することができる。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
本発明のシート状加温具は、前記実施形態の加温具1のように、発熱シート2に予め電解質の電解液が含まれていることが好ましいが、発熱シートに電解質の電解液を含ませないで加温具を製造しておき、使用時に前記電解質の前記電解液を含ませるようにすることもできる。このように電解質を含ませていない場合には、製造時の雰囲気を無酸素又は低酸素雰囲気で製造を行わなくても済むため、製造工程及びその製造設備の簡素化を図ることができる。
本発明のシート状加温具の形態は、用途に応じて適宜変更することができる。例えば、加温具を身体や対象物に巻き付けて使用する場合には、帯状に形成することもできる。また、身体や対象物の表面に当てて使用する場合には、クロスのような形態とすることもできる。
本発明のシート状加温具においては、発熱シート及び収容体の層構成は、用途に合わせて変更することができる。例えば、加温具表面に表面材が積層されているが、表面材を省略することもできる。
本発明の加温具は、その用途に特に制限はないが、布団、毛布若しくはそれらのカバー等の使い捨ての寝具、座布団、レジャーシート、ペット用シート等の使い捨ての敷物、盆栽や植物等の降霜防止シート等の使い捨ての園芸用シートにも好適である。
以下、本発明のシート状加温具を実施例によりさらに具体的に説明する。
下記実施例1、2及び比較例1のように加温具を作製し、得られた加温具の厚み及び曲げ強度及び発熱特性を下記のように測定した。それらの結果を表1に示した。
〔実施例1〕
<原料組成物配合>
被酸化性物質:鉄粉、同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」、75重量%
繊維状物:パルプ繊維(NBKP、製造者:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Mackenzi」、CSF200ml)、15重量%
保水剤:活性炭(平均粒径43μm、武田薬品(株)製、商品名「カルボラフィン」)、10重量%
上記原料組成物100重量部に対し、凝集剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業薬品(株)製、商品名「セロゲン WS−C」)0.2重量部、及びポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(日本PMC(株)製、商品名「WS552」)0.3重量部
水:工業用水、固形分濃度0.3%となるまで添加
<抄紙条件>
上記原料組成物を用い、傾斜型短網抄紙機によって、抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
<乾燥条件>
フェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま120℃の加熱ロール間に通し、含水率が5重量%以下になるまで乾燥した。そして、坪量180g/m2、厚さ0.25mmの抄造シート(発熱中間シート)を得た。得られた発熱中間シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄72重量%、パルプ17重量%、活性炭11重量%であった。
<発熱シートの作製>
乾燥した抄造シート(発熱中間シート)を6枚重ね、坪量を1060g/m2に調整し、下記電解液をスプレー塗布することによって前記電解液を添加して所望の抄造シート(発熱シート)を得た。得られた発熱シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄45重量%、パルプ10.6重量%、活性炭6.9重量%、NaCl1.9重量%、水35.6重量%であった。
<電解液>
電解質:精製塩(NaCl)
水:工業用水
電解液濃度:5質量%
<加温具の作製>
得られた発熱シートの下側に下記断熱シート配して積層し、それらの上下に下記通気性シート及び非通気性シートを積層して挟持し、発熱シートの周りをヒートシールによって接合した。
断熱シート:非通気タイプの高発泡ポリエチレン((株)JSP製、商品名「ミラマット」、品番#110、厚み1mm、4枚重ね)
通気性シート:不織布ラミネートタイプの多孔質ポリエチレンシート(日東電工(株)製、商品名「ブレスロン1500」、透湿度500g/(m2・24h)、坪量100g/m2
非通気性シート:PEフィルム(坪量20g/m2
非通気性シート表面の表面材:PET/PE芯鞘繊維エアースルー不織布、坪量20g/m2
〔実施例2〕
断熱シートを通気タイプの発泡ウレタン(ブリヂストン(株)製、商品名「TL」、厚み5mm)とし、発熱シートと断熱シートの間に非通気のPEフィルムを積層した以外は、実施例1と同様にして加温具を作製した。
〔比較例1〕
市販の加温具(ロッテ電子工業(株)製、商品名「ホカロン座ぶとん」、サイズ:330mm×240mm、2003年市販)を用いた。
〔厚みの測定〕
実施例及び比較例の加温具の厚みをノギス((株)ミツトヨ製)を用いて5点以上厚みを測定し、平均値を求めることによって測定した。なお、比較例1については、測定に先立って、加温具の両端を把持して横方向に数回振り、厚みを均一にならした。
〔曲げ強度の測定〕
得られた加温具の曲げ強度は、引張圧縮試験機((株)オリエンテック社製 RTA-500)を用いた3点曲げ試験によって測定した。各加温具から、5cm×30cmの大きさに切り出して測定サンプルを作製し、各サンプルを支点間距離50mmで静置し、中央部を加圧くさび(先端半径5mm)にてクロスヘッド速度20mm/minで押圧して行い、下記式により曲げ強度を求めた。
曲げ強度〔N/cm〕=最大曲げ強さ〔N〕/サンプル幅〔cm〕
〔発熱特性の測定〕
5℃のチャンバー内において、厚み5mmのポリプロピレン製の板の上に加温具を通気シート面を上向きにのせ、該シート上に温度センサーを7、8個任意の箇所にセットし、その上に毛布をかけることによって発熱特性を調べた。その結果を図2〜3に示した。
Figure 2005224317
表1に示すように、実施例の加温具(本発明品)は薄型で柔軟性を有し携行性に優れていた。また、図2及び3に示すように、実施例の加温具は、各箇所による発熱温度特性が均一であり、40℃以上のプラトー領域が長時間に亘って安定的に維持できることがわかった。これに対し、比較例の加温具は、図4に示すように、測定箇所によって温度特性に大きく差があり、殆どの部位で、40℃以上の発熱も短時間しか得られなかった。
本発明のシート状加温具の一実施形態を模式的に示す断面図である。 実施例の加温具の発熱温度の経時変化を示す図である。 実施例の加温具の発熱温度の経時変化を示す図である。 比較例の加温具の発熱温度の経時変化を示す図である。
符号の説明
1 シート状加温具
2 発熱シート(発熱性の抄造シート)
3 断熱シート
4 収容体
5 通気性シート
6 非通気性シート
50、60 表面材

Claims (2)

  1. 被酸化性物質、保水剤及び繊維状物を含む発熱性の抄造シートと、該抄造シートを収容する通気性の収容体とを備えたシート状加温具であって、
    前記収容体の一部が通気性シートで設けられており、
    前記通気性シートと前記抄造シートとの間に断熱シートが配されておらず、
    曲げ強度が0.01〜1.0N/cmであるシート状加温具。
  2. 厚みが1〜30mmである請求項1記載のシート状加温具。

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