JP2007069855A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルク検出部3と、車両の車速を検出する車速検出部15と、操舵系に対して操舵補助力を発生する操舵補助モータ12と、操舵トルク及び車速に基づいて操舵補助トルク指令値を算出し、操舵補助トルク指令値に基づいて前記操舵補助モータを駆動制御するモータ電流指令値を算出する駆動制御部50,60と、車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出部と、該直進走行状態検出部で直進走行状態を検出したときに、前記操舵系に路面側から入力されるオフセットトルクに基づいてモータ電流補正値を算出し、当該モータ電流補正値によって前記駆動制御部で算出するモータ電流指令値を補正する指令値補正部62,67とを有している。
【選択図】 図4
Description
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、車両の直進走行状態で、路面や車体側から操舵系に伝達されるトルク入力を打ち消すことができる電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング制御装置は、請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング制御装置において、前記不揮発性記憶部は、EEPROMを含んで構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る電動パワーステアリング制御装置は、請求項1乃至7の何れか1つの発明において、前記指令値補正部は、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクを比例積分演算してモータ電流補正値を算出するように構成されていることを特徴としている。
しかも、操舵補助トルク補正値を不揮発正記憶部に記憶しておくことにより、車両の走行開始直後からモータ電流指令値を補正することが可能となり、安定走行を確保することができるという効果が得られる。
図1は、本発明に一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出部としての操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結された操舵補助力を発生する電動機としての電動モータ12とを備えている。
そして、マイクロコンピュータ16には、操舵トルクセンサ3で検出したトルク検出値T、モータ電流検出回路19で検出したモータ電流検出値IMD及びモータ端子間電圧検出回路20で検出したモータ端子間電圧VMが夫々A/D変換器21、22及び23でデジタル値に変換されて入力される。
トルク系制御部50は操舵トルク算出部51、アシスト量演算部52、微分制御器53、ヨーレート収斂性制御部54、ロバスト安定化補償部55、セルフアライニングトルク(SAT)推定フィードバック部56、ステアリングセンター位置検出部101及び舵角検出部102によって構成され、更に加算器57及び58、減算器59を具備している。
操舵トルクセンサ3から入力される操舵トルク検出値Tは操舵トルク算出部51で中立トルクT0が減算されて正負を表す操舵トルクTsが算出され、この操舵トルクTsがアシスト量演算部52、微分制御器53、ヨーレート収斂性制御部54及びSAT推定フィードバック部56に入力され、これらアシスト量演算部52、微分制御器53、ヨーレート収斂性制御部54及びSAT推定フィードバック部56には何れも車速信号Vをパラメータ入力としている。
J・ω′+ Fr・sign(ω) + SAT = Tm + Ts …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、SATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + Ts(s) − J・ω′(s) + Fr・sign(ω(s)) …(2)
ステアリングセンター位置は車の直進状態でのステアリングホイールの位置である。ステアリング系の摩擦がない場合、ステアリングを切った後、操舵力を与えなくてもSATの作用によりステリングホイールがセンター位置に戻る。つまり、ターン状態から直進状態に戻り、SATがゼロになる。摩擦を考慮した場合、操舵力を与えないと摩擦とSATのバランスで、SATはゼロにならなくてもステアリングホイールが止まってしまう。つまり、ターン状態から完全な直進状態に戻らない。前記(2)式より、SAT(s) = −Fr・sign(ω(s))になる。
ステアリングセンター位置(舵角θ=0)の検出処理を、図7のフローチャートに従って説明する。
電動モータ12に取付けられたセンサからのモータ回転角度信号RS(又はモータ回転角度推定信号)により、モータ回転角度変化量Δθmが得られる。また、モータ軸とステアリングホイール軸との間の減速ギア比(Gr)によって、下記(3)式に従って舵角変化量Δθが求められる。
Δθ=(1/Gr)×Δθm …(3)
Δθ=f(Δθm) …(4)
θ(t)=θ(t−T)+Δθ(t) …(5)
θ(t−T)は1サンプリング時間前の舵角検出値である。ステアリングの回転数Nは下記(6)式でθ(t)の360度の倍数より計算される。
N=floor(θ(t)/360) …(6)
図9は初期化処理のフローを示しており、全てのパラメータを0に初期化する(ステップS10)。なお、abs#angle#flgは絶対ステアリング角度有効フラグであり、"1"は有数、"0"は無数を示している。また、θ(t)は絶対ステアリング角度検出値であり、Nはステアリングの回転数であり、θ(t−T)は1サンプリング時間前の絶対ステアリング角度検出値である。
そして、舵角検出部102で算出した操舵角θと操舵トルクTs及び車速Vとがモータ電流補正値算出部62に入力される。
このモータ電流補正値算出処理は、図11に示すように、所定のメインプログラムに対する所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS31で、イグニッションスイッチIGがオフ状態からオン状態に変化した電源投入時であるか否かを判定し、電源投入時であるときにはステップS32に移行して、EEPROM34に後述するように記憶されている操舵補助トルク補正値積分成分Tai(n-1)及び操舵補助トルク補正値Taを読込み、これらをRAM35に形成した積分成分記憶領域及びトルク補正値記憶領域に記憶し、次いでステップS33に移行して、自己保持回路SHのスイッチング素子SWをオン状態とする制御信号CSを出力してからステップS34に移行し、電源投入時でないときには直接ステップS34に移行する。
このステップS37では、車速検出値Vが予め設定した車両直進走行状態を判断する車速閾値Vs以上であるか否かを判定し、V≧Vsであるときには、車両が直進走行状態にあるものと判断して、ステップS38に移行する。
Tap=Kp′×Ts …………(7)
Tai(n)=Ki′∫Tsdt+Tai(n-1) …………(8)
ここで、Tai(n-1)は1つ前の演算時における操舵補助トルク補正値積分成分であって積分初期値である。
このステップS43では、下記(9)式に示すように、算出した比例成分Tap及び積分成分Taiを加算して操舵補助トルク補正値Taを算出し、これをRAM35のトルク補正値記憶領域に記憶する。
Ta=Tap+Tai …………(9)
ここで、ゲイン算出マップは、図12に示すように、車速検出値Vが“0”から第1の設定値V11に達するまでの間はゲインKvが“0”に設定され、車速検出値Vが第1の設定値V11から第2の設定値V12に達するまでの間で、車速検出値Vの増加に応じてゲインKvが“0”から“1”まで連続的に増加し、車速検出値Vが第2の設定値V12以上では、ゲインKvが“1”を維持するように設定されている。
この図11の処理において、ステップS31〜S39の処理が直進走行状態検出部に対応し、ステップS40〜S46の処理及び加算器67が指令値補正部に対応し、このうちステップS40〜S43の処理が比例積分演算処理に対応し、ステップS47及びS48の処理とEEPROM34とが不揮発性記憶部に対応している。
今、EEPROM34に前回の例えば直進走行状態で算出した操舵補助トルク補正値積分成分Tai(n-1)及び操舵補助トルク補正値IMAが記憶されており、これらが平坦路を直進走行したときの略“0”の値となっており、車両がイグニッションスイッチIGをオフ状態として平坦路で停車しているものとする。
この車両の平坦路の停車状態で、イグニッションスイッチIGをオン状態とすると、これに応じてバッテリーBから電源がコントローラ14に投入されて、マイクロコンピュータ16、モータ駆動回路18、モータ電流検出回路19、モータ端子間電圧検出回路20及びA/D変換器21〜23が動作状態となる。
このため、加算器67では補償器61から出力されるモータ電流指令値Iraがモータ電流IMとしてモータ駆動回路18に供給されるので、このモータ駆動回路18から比較的大きなモータ駆動電流が電動モータ12に供給されて、電動モータ12が回転駆動されて大きな操舵補助力が発生され、これが減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2に伝達されることにより、ステアリングホイール1を軽く操舵することができる。
その後、車速検出値Vが設定値V11を超えるとゲインKvが“0”から徐々に増加するが、RAM35に記憶されている操舵補助トルク補正値Taが略“0”であるので、操舵補助トルク補正値Ta′は略“0”を継続し、これをスケール変換したモータ電流補正値IMAも“0”の状態を継続する。
しかしながら、車両が直進走行状態で、道幅方向で傾斜している走行路を走行する状態となったり、左右輪の一方が水、氷等の低摩擦係数路面で他方が乾燥した高摩擦路面である所謂スプリットμ路を走行する状態となったりした場合やタイヤ空気圧の左右輪差等による車体セッティングにより、車両が直進走行しているにもかかわらず、車両が傾斜方向又は低摩擦係数路面方向にステアリングホイール1が例えば左切り方向に回動することになり、このステアリングホイール1の回動を防止するためにステアリングホイール1を保舵する場合には、操舵トルクセンサ3でオフセットトルクに応じた操舵トルク検出値Tが出力される。
このオフセットトルクを打ち消しながら直進走行している状態から同様にオフセットトルクが生じる例えば右カーブを走行する状態となると、ステアリングホイール1を右切りすることにより、操舵トルクセンサ3で検出される操舵トルク検出値Tがさらに増加し、これに応じてアシスト量演算部52で算出されるアシストトルク量Ta、アシスト量AQ、Ia、モータ電流指令値Ir、Iraが増加する。
さらにまた、上記実施形態においては、中央処理装置32の制御処理を機能ブロック図で表した場合について説明したが、実際上は、機能ブロック図に対応したフローチャートに基づいて演算処理が行われる。
また、上記実施形態においては、ロバスト安定化補償部55の前段側にヨーレート収斂製制御部54の出力を加算し、後段側にSAT推定フィードバック部56の出力を加算する場合について説明したが、これらを逆関係即ちロバスト安定化補償部55の前段側にSAT推定フィードバック部56の出力を加算し、後段側にヨーレート収斂性制御部54の出力を加算するようにしてもよい。
さらにまた、本発明は電動パワーステアリング装置の形式(コラムタイプ、ピニオンタイプ、ラックタイプ)、モータの種類(ブラシ付き、ブラシレス等)を問わず、全ての電動パワーステアリング装置に適用可能である。
Claims (8)
- 操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、車両の車速を検出する車速検出部と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する操舵補助モータと、前記操舵トルク及び車速に基づいて操舵補助トルク指令値を算出し、当該操舵補助トルク指令値に基づいて前記操舵補助モータを駆動制御するモータ電流指令値を出力する駆動制御部と、車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出部と、該直進走行状態検出部で直進走行状態を検出したときに、前記操舵系に外部から入力されるオフセットトルクに基づいてモータ電流補正値を算出し、当該モータ電流補正値によって前記駆動制御部で算出するモータ電流指令値を補正する指令値補正部とを有することを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
- 操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、車両の車速を検出する車速検出部と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する操舵補助モータと、前記操舵トルク及び車速に基づいて操舵補助トルク指令値を算出し、当該操舵補助トルク指令値に基づいて前記操舵補助モータを駆動制御するモータ電流指令値を出力する駆動制御部と、車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出部と、該直進走行状態検出部で直進走行状態を検出したときに、前記操舵系に外部から入力されるオフセットトルクに基づいてモータ電流補正値を算出し、当該モータ電流補正値によって前記駆動制御部で算出するモータ電流指令値を補正する指令値補正部と、該指令値補正部で算出したモータ電流補正値を記憶する不揮発性記憶部とを有することを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
- 前記不揮発性記憶部は、電源の自己保持回路を有し、イグニッションスイッチがオフ状態となったことを検出したときに、そのときのモータ電流補正値の算出に必要な値を記憶するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記不揮発性記憶部は、EEPROMを含んで構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記直進走行状態検出部は、前記操舵系の操舵角を検出する操舵角検出部を有し、該操舵角検出部で検出した操舵角が直進設定範囲内で、且つ前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが直進設定範囲内であり、さらに前記車速検出部で検出した車速が設定車速以上であることを所定時間継続したときに直進走行状態であることを検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記直進走行状態検出部は、車両の横加速度を検出する横加速度検出部を有し、該横加速度検出部で検出した横加速度が直進設定範囲内で、且つ前記車速検出部で検出した車速が設定車速以上であることを所定時間継続したときに直進走行状態であることを検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記直進走行状態検出部は、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出部を有し、該ヨーレート検出部で検出したヨーレートが直進設定範囲内で、且つ前記車速検出部で検出した車速が設定車速以上であることを所定時間継続したときに直進走行状態であることを検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記指令値補正部は、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクを比例積分演算してモータ電流補正値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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