JP2007069258A - はんだ付け用フラックス組成物及びヤニ入りはんだ並びにソルダペースト - Google Patents
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Abstract
【解決】2,2,2−トリブロモエタノールを活性剤として含有する。
Description
はんだ付け方法としてフラックスを塗布した後,溶融はんだに浸漬してはんだ付けを行うフロー法、はんだゴテ等を用いてヤニ入りはんだを溶融して接合する方法、はんだ粉末とフラックスを混合したソルダペーストを印刷し、コンベア炉などを通してこれを溶融し、はんだ付けを行うリフロー法などがある.
これらのはんだ付けにおいて、フラックスは母材表面の酸化膜を除去して清浄にする、はんだ付け中での母材及び溶融はんだを覆って酸化を防止する、はんだの界面張力を減少して濡れを促進する等の作用を奏する。
しかしながら、活性の強いフラックスでは、フラックス残渣の活性も強くなり、はんだ付け箇所の腐食が問題となって信頼性を担保し難い。
また、規制があるためにフロンで洗浄することはできない。
しかしながら、鉛フリーはんだは表面張力が大きい。また、液相線温度が高く、実装部品の耐熱上、完全な液相化のもとでは使用し難く表面張力の高い固液共存状態で使用せざるを得ないことが往々にしてある。また、鉛フリーはんだでは、In等の反応性金属元素が添加されることがあり、ソルダーペーストやヤニ入りはんだにおいては、保存中にこの金属元素とフラックスとが反応してフラックスが劣化されることもある。
従って、旧来の鉛を主成分とするはんだに使用されているフラックスでは、鉛フリーはんだに対応し難い。
窒素等の不活性雰囲気中ではんだ付けすることも知られているが、ランニングコストがかかり過ぎ、汎用的ではない。
特許文献8の表1によれば、これらのハロゲン化アルコールでは、耐腐食性がエチルアミン・HBr等の有機アミンハロゲン化水素酸塩やアジピン酸等の有機酸よりも優れているが、はんだ付け性についてはほぼ同等である。
しかしながら、本発明書の前記2,2,2−トリブロモエタノールについての鋭意検証結果によれば、腐食性が有機ハロゲン化合物や有機酸よりも優れているばかりか、はんだ付け温度240℃程度でもフラックスや溶融はんだの飛散を防止して頗る良好なはんだ付け性を保証できることが判明した。その理由は、約170℃近傍まで殆ど臭素を解離せず,180℃を超えると徐々に臭素を解離してはんだ付け温度の240℃以上では濡れ性の劣る鉛フリーはんだにおいても充分に良好な濡れが得られるほどの活性を呈するからである。
今まで濡れ性を損なう傾向が主であった飛散防止剤の効果を活性剤が併せ持つことで、作業性を損なうこと無く飛散防止効果が得られる。また、瞬間的な気化が抑制されるので、作業性を損なうこと無くボイド抑制効果も得られるのでソルダペーストとしても有用である。
請求項2に係るはんだ付け用フラックス組成物は、2,2,2−トリブロモエタノールのみを活性剤として含有することを特徴とする。
請求項3に係るはんだ付け用フラックス組成物は、請求項1または2のはんだ付け用フラックス組成物において、ヤニ入りはんだ用であり、溶剤を含まないことを特徴とする。
請求項4に係るはんだ付け用フラックス組成物は、請求項1〜3何れかのはんだ付け用フラックス組成物において、フラックス全量に対し,2,2,2−トリブロモエタノールが0.5質量%〜10質量%含有することを特徴とする。
請求項5に係るヤニ入りはんだは、請求項1〜4何れかのはんだ付け用フラックス組成物を線状はんだ内部に含有することを特徴とする。
請求項6に係るヤニ入りはんだは、請求項5のヤニ入りはんだにおいて、線状はんだがSnにAg,Cu,Bi,In,Zn,Sb,Ni,Au,Pt,Ga,Ge,Co,Al,Fe及びPからなる群より選択される1種または2種以上を添加したはんだであることを特徴とする。
請求項7に係るソルダペーストは、請求項1〜2の何れか、または4のはんだ付けフラックス組成物及びはんだ粉末を含有することを特徴とする。
請求項8に係るソルダペーストは、はんだ粉末がSnにAg,Cu,Bi,In,Zn,Sb,Ni,Au,Pt,Ga,Ge,Co,Al,Fe及びPからなる群より選択される1種または2種以上を添加したはんだであることを特徴とする。
2,2,2−トリブロモエタノールにおいては,温度に対する分解が急激でなく、瞬間的な気化が抑制され、活性剤として分解物が全て濡れ反応に関与するため、特にヤニ入りはんだでのはんだ付け時においてフラックスや溶融はんだ粒の飛散がよく抑えられる。
而して、飛散防止剤の効果を活性剤が併せ持つことで、作業性を損なうこと無く飛散防止効果が得られる。
また、瞬間的な気化が抑制されるので、作業性を損なうこと無くボイド抑制効果も得られるのでソルダペーストとしても有用である。
しかしながら、Niメッキなどはんだ付けが困難な部材に対しては補助的役割としてジイソブチルアミン臭化水素酸塩やシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩等で代表されるアミン類のハロゲン化水素酸塩やn−ヘキシルアミンアジピン酸塩やモノエチルアミンアジピン酸塩、ジイソブチルアミンマロン酸塩等で代表されるアミン有機酸塩、アジピン酸やベンジル酸、無水グルタル酸等で代表される有機酸,ベンゾグアナミンやジフェニルグアニジン等の水に不溶であるアミンなどの活性剤を添加することが可能である。
水添ヒマシ油や硬化ヒマシ油等のワックス類や12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド類で代表される軟化点降下剤及び溶剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、艶消し剤等を必要に応じ添加することができる。
例えば、Sn95Sb5(固相線温度238℃、液相線温度241℃)、Sn99.3Cu0.7(固相線温度227℃、液相線温度228℃)、Sn97Cu3(固相線温度227℃、液相線温度309℃)、Sn92Cu6Ag2(固相線温度217℃、液相線温度373℃)、Sn99Cu0.7Ag0.3(固相線温度217℃、液相線温度226℃)、Sn95Cu4Ag1(固相線温度217℃、液相線温度335℃)、Sn97Ag3(固相線温度221℃、液相線温度222℃)、Sn96.3Ag3.7(固相線温度221℃、液相線温度221℃)等を列挙できる。
勿論、標準的なSn−Pb系に用いても同様の有用性は得られる。
次に、本発明の実施例を説明し、比較例と対比する。%表示は全て質量%である。
フラックス組成は水添ロジン92.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/ジイブチルアミン臭化水素酸塩2.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
フラックス組成は水添ロジン92.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/ベンジル酸2.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
フラックス組成は水添ロジン90.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/ジイブチルアミン臭化水素酸塩1.0%/1,1,2,2−テトラブロモエタン3.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
フラックス組成は水添ロジン90.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/ジイブチルアミン臭化水素酸塩1.0%/2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール3.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
〔広がり率〕JIS Z 3197:1999に準じて行い、はんだバス温度は270℃とした。
〔フラックス飛び散り試験〕JIS Z 3197:1999に準じ、ヤニ入りはんだの一定量を計りとり、400℃に維持されたはんだゴテ上で溶融し、飛び散ったフラックス量を測定し、ヤニ入りはんだに含まれるフラックス総量に対する割合を算出した。〔銅板腐食試験〕JIS Z 3197:1999に準じて行い、40倍顕微鏡で観察し、腐食なしの場合を合格、変色乃至は腐食の発生が見られる場合を不合格と判定した。
〔銅鏡腐食試験〕JIS Z 3197:1999に準じて行い、銅箔の抜けの全くないものを合格、一部にでも抜けが見られるものを不合格と判定した。
〔はんだ付け性試験〕2.5mmピッチ,18ピン,Snメッキコネクターを5個片面紙フェノール基板に挿入し、コテ先温度約380℃のはんだコテを使用して1ヶ所当たり5秒間はんだ付けを行い、はんだ未濡れや銅ランド露出の濡れ不足等の不良数を調べた。
〔塩素含有量試験〕初期としてヤニ入りはんだそのもの,及び実装後を想定してコテ先温度を350℃に設定したはんだコテに同量のはんだを当てて全て溶融させた後に2−プロパノールにてはんだと分離したフラックスをJIS Z 3197:1999はんだ付け用フラックス試験方法のハライド系活性剤含有量試験の電位差滴定法により塩素含有量を測定した。
〔比較例5〕
フラックス組成は水添ロジン89.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/2,3−ジブロモ−1−プロパノール5.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
〔比較例6〕
フラックス組成は水添ロジン89.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/1−ブロモ−2−ブタノール5.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
〔比較例7〕
フラックス組成は水添ロジン89.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/1,4−ジブロモ−2−ブタノール5.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
〔比較例8〕
フラックス組成は水添ロジン89.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/2,3−ジブロモ−2−プロパノール5.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
〔比較例9〕
フラックス組成は水添ロジン89.0%/12−ヒドロキシステアリン酸6.0%/1,4−ジブロモ−2−ブタンジオール5.0%とし、Sn96.5%/Ag3.0%/Cu0.5%のはんだ合金を用いて線径φ0.8mm,フラックス含有量3%のヤニ入りはんだを作製した。
Claims (8)
- 2,2,2−トリブロモエタノールを活性剤として含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
- 2,2,2−トリブロモエタノールのみを活性剤として含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
- ヤニ入りはんだ用であり、溶剤を含まないことを特徴とする請求項1または2記載のはんだ付け用フラックス組成物。
- フラックス全量に対し,2,2,2−トリブロモエタノールが0.5質量%〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜3何れか記載のはんだ付け用フラックス組成物。
- 請求項1〜4何れか記載のはんだ付け用フラックス組成物を線状はんだ内部に含有することを特徴とするヤニ入りはんだ。
- 線状はんだがSnにAg,Cu,Bi,In,Zn,Sb,Ni,Au,Pt,Ga,Ge,Co,Al,Fe及びPからなる群より選択される1種または2種以上を添加したはんだである請求項5記載のヤニ入りはんだ。
- 請求項1〜2の何れか、または4記載のはんだ付けフラックス組成物及びはんだ粉末を含有することを特徴とするソルダペースト。
- はんだ粉末がSnにAg,Cu,Bi,In,Zn,Sb,Ni,Au,Pt,Ga,Ge,Co,Al,Fe及びPからなる群より選択される1種または2種以上を添加したはんだである請求項7記載のソルダペースト。
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US20150000792A1 (en) * | 2012-01-17 | 2015-01-01 | Senju Metal Industry Co., Ltd. | Flux for Flux-cored Solder, and Flux-cored Solder |
CN104625483A (zh) * | 2014-12-17 | 2015-05-20 | 华南理工大学 | 一种低残留低腐蚀的铝软钎焊锡膏及其制备方法 |
EP3842177A1 (en) * | 2019-12-25 | 2021-06-30 | Senju Metal Industry Co., Ltd. | Flux, resin flux cored solder using the flux, and a soldering method |
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